超ワールドサッカー

コラム

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【日本サッカー見聞録】サウジ戦での原口の成長

▽W杯アジア最終予選で日本代表は、グループB首位のサウジアラビアを2-1で下し、オーストラリアがタイと2-2で引き分けたため、サウジと同勝点の2位に浮上した。正直な感想としては、サウジもオーストラリアも「たいしたことはないチーム」という印象だ。むしろイラクに勝ってオーストラリアと同勝点で4位UAEの、オマル・アブドゥルラフマン(背番号10)と、日本戦ではFKとPKから2得点のアハメド・ハリル(背番号11)の方が、「個の強さ」による脅威を感じた。 ▽といったところでサウジ戦である。ハリルホジッチ監督は本田と香川、岡崎をスタメンから外し、久保と大迫、清武をスタメンに起用した。ベンチスタートとなったこれまでの主力を、「ジョーカー」と表現して起用したことは、いままでになかった発想だけに面白い。そしてサウジ戦では原口の決勝点で逃げ切ったが、試合後に原口の発言を聞いて、「やっとチームになった」と感じたものだ。 ▽ザッケローニ監督からアギーレ監督、そしてハリルホジッチ監督になっても、日本代表の攻撃陣は、ほぼ決まった顔ぶれだった。右MFは本田、トップ下は香川か清武、1トップは岡崎だ。唯一、ピースがハマらないのが左MFだった。 ▽遡ること2013年、ザッケローニ監督は東アジア・カップで左MFに原口、大迫、工藤、齋藤らをテストしてきた。その後も歴代監督は宇佐美や乾を同じポジションで起用したため、ポジション争いの無風な右MFやトップ下、1トップと違い、左MFは激戦区となった。その弊害として、左MFに起用された選手は結果を残そうと得点を求めるあまり、個人プレーに走っていた印象が強い。 ▽ジーコ・ジャパン時代から続く、日本代表のレギュラーになるためには「海外でプレーしなければいけない」という呪縛の悪弊だ。ようやくハリルホジッチ監督は、海外組に「試合に出られるチーム」への移籍を推奨したが、これも日本の実情を経験したからの発言だろう。 ▽話を原口に戻そう。東アジア・カップ以降、左MFに起用された選手は、誰もが結果を残そうと自身のゴールにこだわった。チーム内の競争は歓迎すべきところだが、その結果、パスを出していればというシーンでもエゴイストになりチャンスを潰していた。これはチーム作りの難しさでもある。 ▽そんな左MFに、今予選では原口がハマった。W杯の最終予選で4試合連続得点という記録もさることながら、サウジ戦の試合直後に「今日は勝点3が必要な試合だったので、それを達成できてよかったです。(ゴールは)コースは見えていた。ゴールはおまけなようなものです」と、自身のプレーではなくチームの勝利を優先した発言に、彼自身の成長を感じずにはいられなかった。原口の成長が日本を救ったと言っても過言ではないだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.11.17 18:20 Thu
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【日本サッカー見聞録】日本vsサウジはアジアのクラシコ?

▽4-0の勝利を収めたオマーン戦から一夜明けた12日、日本代表は午前10時30分からカシマスタジアムで約2時間近く汗を流した。スタメン組はウォーキングとランニングで、1時間ほどでクールダウンを切り上げたが、途中出場した選手とサブ組はランニングとストレッチ、パス交換などで1時間ほど費やすと、そこからインテンシティの高い練習を1時間30分に渡り繰り返した。 ▽最初は10メートル四方のスクェアにミニゴールを4つ置き、1対1でのゴールの奪い合いを2分交代で繰り広げた。マッチアップしたのは岡崎対森重、原口対長友、久保対槙野、小林対井手口、浅野対植田、香川対長谷部という組み合わせ。10メートル四方という狭いスペースのため、スピードで抜くわけにはいかない。そこでフェイントをかけるわけだが、互いに代表選手だけに、そう簡単には引っ掛からない。 ▽そこでボールをキープするためスクリーンすると、守備側は腰や上半身を使ってボールを奪おうと身体を密着させて圧力をかける。同様にボール保持者も身体や手を使って押し返すため、必然的にハリルホジッチ監督の求めるデュエルが、身体のサイズに関係なく要求されることになる。この1対1が、選手のコンディションの善し悪しを見るには一番分かりやすく、香川と長友はプレーにキレ味を欠いていること、原口と小林は動きがシャープなことが一目瞭然だった。 ▽次は同じスペースでの2対2に移り、岡崎&久保対森重&槙野、小林&原口対長友&井手口、長谷部&植田対浅野&香川という守備陣と攻撃陣の攻防を2分交代で実施。その次は2タッチという制約つきでの3対3で、こちらは森重&槙野&植田対浅野&久保&岡崎、長友&長谷部&井手口対原口&小林&香川という組み合わせだった。 ▽この練習で、さすがと思ったのが香川だった。人数が増えると、味方の動きをダミーに、アウトサイドでパスを出すと見せかけて、柔らかい足首のスナップからインサイドに切り替えマーカーの逆を取る。コンディションとスキルは関係ないことを証明していた。 ▽スモールフィールドでの3対3の次は、GKを入れてペナルティエリアでの6対6の攻防で、こちらの練習もかなりハードにぶつかり合っていた。この練習を見る限り、香川と長友以外はサウジアラビア戦に向け臨戦態勢に入っていると判断してもよさそうだ。 ▽この練習を見学中に、カタールのテレビ局に務めている日本在住のシリア陣記者から逆取材を受けた。日本に来て4年目になるが、内戦が勃発して母国には戻れないでいるという。日本人記者には非公開となるサウジアラビアの練習も取材していて、FWのナセル・アル・シャムラニにインタビューしたところ、ファン・マルバイク監督とは「一言も話したことはない」と、選手と監督間でコミュニケーションはほとんど取れていないそうだ。 ▽1週間前にプライベートジェットで来日した理由は時差調整よりも気候に慣れるためで、「フィジカルの準備はできているので試合に勝つ自信はある。3点は取れるだろう」と豪語していたそうだ。日本が最後にサウジアラビアと対戦したのは2011年1月のアジアカップのグループリーグで、この時は5-0と大勝している。過去の対戦成績でも日本が7勝1分け3敗と圧倒しているものの、アジアカップに3度優勝しているからなのか、サウジアラビアの人々にとって日本戦は特別な試合であり、彼らは両国の対戦を「アジアのクラシコ」と呼んでいるのは初耳だった。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.11.12 19:30 Sat
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【日本サッカー見聞録】代わり映えしない日本代表。唯一の救いは…

▽昨日3日でJ1リーグは全日程を終了し、すでに第2ステージ優勝を決めている浦和が年間総合勝点でも首位の座を守り、CS(チャンピオンシップ)決勝進出を確定した。しかしファンの最大の関心事は残留争いにあっただろう。名古屋、新潟、甲府の3チームによる争いは、3チームとも敗れた結果、得失点差で名古屋が初のJ2降格となった。 ▽これで93年に開幕したJリーグに参加した、いわゆる「オリジナル10」でJ2降格を免れているのは鹿島と横浜FMの2チームだけ。千葉(当時は市原)と東京V(同じくヴェルディ川崎)はJ2に落ちて久しいだけに、改めてトップリーグに居続けることの難しさが分かる。 ▽名古屋の久米社長は降格から一夜明けた4日に辞意を表明し、その場で受理されたという。柏や清水、名古屋で強化部長として成功を収めてきたものの、今シーズンは経験の浅い小倉監督兼GMに指揮を委ねたことが仇となったようだ。修羅場をくぐってきた久米氏が、小倉監督に固執して早い段階で手を打たないのが思議でならなかったが、1シーズンでJ1に復帰できるかどうか。選手の流出も予想されるだけに、名古屋には茨の道が待っているかもしれない。 ▽そして4日は、11日のオマーン戦と15日のサウジアラビア戦に臨む日本代表のメンバーが発表された。今回の出席者はハリルホジッチ監督だけ。そしてVTRも使わず、質疑応答は37分間という異例の早さで終わった。それというのも初招集はG大阪の井手口だけで、あとはほとんど10月のメンバーと変わらないからだろう。小林と大島(川崎F)はケガで外れたのは想定内だったが、柏木(浦和)がメンバー外だったのはちょっと意外だった。 ▽指揮官によれば、山口(C大阪)と井手口が柏木の代役のようで、永木(鹿島)は長谷部の控えという位置付けのようだ。2列目には香川や清武、小林(ヘーレンフェーン)の他にも原口や齋藤、大迫らのタレントがいる。そこで中盤の底には敢えてプレーメーカーは必要なしと判断したのかもしれない。 ▽海外組の合流日時にもよるが、ハリルホジッチ監督はオマーン戦では若い力を試すようなことも匂わせていた。テストマッチだけに、海外組に無理をさせてコンディションを崩しては元も子もないだけに、当然と言えば当然の起用法だろう。サウジは3勝1分けの勝点10でグループBの首位に立っている。勝点3差の3位につける日本としては、ホームだけに勝利が義務付けられているし、それを熟知しているだけにハリルホジッチ監督もいつものような長広舌によるエクスキューズを今回は控えたのかもしれない。 ▽これは毎回思うことだが、代わり映えしないメンバーとはいえ、「では他に誰を呼ぶのか」と聞かれたら返事に困ってしまう。それだけチームの若返りは遅々として進んでいない。ハリルホジッチ監督ならずとも、頭の痛いところだろう。それでも誰かを推薦するとしたら、GKの中村(柏)くらいで、あとは鹿島で出場機会のない植田よりは、U-19日本代表でも活躍し、柏での出場機会の多いCB中山くらいか。 ▽今回のメンバーで唯一の救いは、やっと宇佐美が外れたことだ。去年の第2ステージから、かつての輝きを失っているにもかかわらず、ハリルホジッチ監督は彼を呼び続けた。それはアウクスブルクに移籍して出番を失っても変わらなかった。宇佐美を呼ぶなら、代わりに家長(大宮)を入れた方がまだマシだと思っていただけに、やっと納得できるメンバーになった。とはいえ、そんなことくらいしか話題にできない、寂しい日本代表でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.11.04 19:00 Fri
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【日本サッカー見聞録】飛び飛びで分かりにくいCSと天皇杯の日程…早すぎるオフ突入の楽しみはストーブリーグ

▽J1リーグは第2ステージも残すところあと2試合。浦和がYBCルヴァンカップに続き第2ステージも制しそうで、どうやらCS(チャンピオンシップ)は浦和と第1ステージ覇者の鹿島、そして川崎Fの出場が濃厚だ。本来なら佳境を迎えて盛り上がるはずなのに、いまひとつ盛り上がっていないような気がする。 ▽それというのも、これはあらかじめ分かっていたことだが、日程が飛び飛びになっているからだ。今年の第2ステージは11月3日に終了する。昨シーズンの11月22日に比べ、3週間近くも早い。そしてCSは3チームの出場となると準決勝は11月23日からで、こちらも3週間近く空いてしまう。そしてCSに出られず、天皇杯でも敗退しているチームは、11月3日からオフに突入し、約3カ月近くも実戦から遠ざかることになる。これだけ長いオフを経験するのは、どのチームも初めてだろう。 ▽これは11月中旬に日本代表のテストマッチとW杯予選、いわゆる“代表ウィーク”が入っていたのと、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)決勝のため、約2週間の中断期間を設けねばならなかったからだ。さらに11月9、12日には天皇杯のラウンド16の8試合が行われるが、準々決勝は1カ月以上も先の12月24日である。これは12月にクラブW杯があるためだが、CSも天皇杯もこれだけ中断期間が長いと、勝ち残ったチームのファンでない限り、いつ何の大会をやっているのか分からないだろうし、興ざめもはなはだしい。 ▽すべての原因は2ステージ制とCSにあるのだが、幸いなことに来シーズンからは従来の1シーズン制に戻るため、いくぶんはすっきりするだろう。ただし、来年も代表ウィークは続き、ACLに出場するチームはリーグ戦とリーグカップ戦、そして天皇杯もあるだけに、過密日程は避けられない。これまで何回か書いたが、天皇杯はもうアマチュアの日本一を決める大会にして、ACLの出場権はルヴァンカップの勝者に与えるべきだと思う。 ▽そのJリーグは来シーズンからパフォーム社と10年間で総額2100億円の放映権契約を結んだ。それに伴いJ1の18クラブに支給する「均等分配金」や選手に還元される「優勝賞金」も大幅に増額した。さらにACLに出場する4チームには、3年間で総額15億円の「強化分配金」も支払うことが決まっている。とはいえ、これで大物助っ人の獲得に結びつくかといえば、中国Cリーグの資金力には到底及ばないため、ビッグネームの獲得は難しいだろう。 ▽シーズンも終盤を迎え、そろそろストーブリーグも始まり、浦和は新潟のFWラファエル・シルバの獲得に動いているそうだ。まだ24歳と若く、高速ドリブルを武器にするストライカーで、けして悪い補強ではない。しかしながら、本来ならJリーグをリードするビッグクラブでなければならない浦和の、来シーズンの補強の目玉がラファエル・シルバでは、浦和のファン・サポーターの心が躍るとは思えない。川崎Fの大久保には複数のクラブが獲得に乗り出しているそうだし、同じく川崎Fの小林には神戸が興味を示していると報じられた。 ▽川崎Fのファン・サポーターにとっては、監督も交代し、その上で主力選手を引き抜かれては気が気ではないだろうが、やはり新鮮味には欠ける。それならいっそ、海外で出番に恵まれていない選手に触手を伸ばした方が新鮮味もあるというもの。まだ残留争いの渦中にいる名古屋だが、降格を免れたらGK川島、CB吉田、MF本田の3人を呼び戻した方がインパクトも強いだろう。 ▽早すぎるオフ突入で、楽しみはストーブリーグになるだけに、「あっ」と驚くようなサプライズを期待したいところだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.10.28 12:45 Fri
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【日本サッカー見聞録】ルヴァン杯MVPは時間が決めた?

▽今週のコラムはメルマガに引き続き、YBCルヴァンカップ決勝の話題をピックアップしよう。この試合のMVPは途中出場からファーストタッチで浦和の同点弾を決めた李忠成だった。この1点がなければ延長やPK戦にはならず、G大阪が優勝していた可能性もあるだけに、価値ある同点ゴールと言える。 ▽李忠成はPK戦でも4番手に登場し、呉屋のPK失敗に動ずることなく強シュートを右サイドに突き刺した。ただ、延長戦では2度の決定機に遭遇しながら、シュートをゴール枠に飛ばすことができなかった。どちらか1本でも決めていれば、文句なくMVPだけに惜しまれる。 ▽それでも李忠成がMVPに選ばれたのは、同点ゴールの時間帯ではないだろうか。実は取材受付でIDカードをもらう際に、私ともう一人のベテラン記者の名前に蛍光マーカーで印がつけられていた。気になったので理由を聞いたところ、「大会MVPの候補を両チームから選出して欲しい」と言われて投票用紙を渡された。恐らく新聞社や通信社、そして専門誌の記者も投票したのだろう。 ▽記者席に着くと、大会関係者が回収のための座席を確認し、「投票のリミットは後半の35分くらいです」と言う。そして試合は76分(後半31分)に李忠成の同点ゴールが生まれた。その時点ではまだ記入していなかったし、試合は1-1の同点になったため、両チームからMVP候補を選ぶのは至難の業。そこで試合終了まで待ってもらえないかと打診したところ、答えはNGとのこと。そこで仕方なく、浦和の候補は李忠成、G大阪は先制点を決めたアデミウソンがすでに交代で退いていたため、今野か井手口かで迷ったが、ニューヒーロー賞を獲得した井手口の名前を書いた。 ▽最終的には大会関係者がPK戦も含めてMVPを決めたのだろうが、個人的には李忠成のゴールにつながるCKをお膳立てし、延長後半は体力を消耗してふらつきながらも果敢にサイドアタックを仕掛けた関根をMVPに推したい。今大会で浦和の攻撃を牽引したのは、この関根や駒井、高木らサイドアタッカーの活躍があったからだ。米倉や藤春との攻防は、決勝戦にふさわしい高レベルだったことを付け加えておこう。 ▽そしてもう1点、この試合で気になったことがあった。それは84分にペナルティエリア左でボールをキープしたズラタンを、背後からマークしていた米倉が倒したものの、佐藤主審はファウルを取らずにプレー続行をうながしたことだ。ハリルホジッチ監督はデュエルを求め、村井チェアマンもタフな攻防を推奨する。それはそれで悪いことではないが、米倉のプレーはW杯予選では“アジアの笛”によりPKを取られないかと危惧したものだ。 ▽記者会見場へ移動する際に、偶然にも上川元審判委員長と遭遇したので、米倉のプレーについて聞いたところ、「たぶん」と断った上で、「ズラタンも後ろ手で米倉選手のシャツを引っ張っていたのでしょう。だから佐藤主審は笛を吹かなかったのだと思います」と解説してくれた。まだまだ見方が甘いと痛感した次第である。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.10.20 18:00 Thu
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【日本サッカー見聞録】W杯予選考察による日本サッカーの曲がり角

▽W杯予選は4試合を終えて日本は2勝1分け1敗の3位につけている。初戦のUAE戦にFKとPKによる失点で逆転負けを喫したのは誤算だった。ここで勝点3を確実にモノにしていれば首位だっただけに、返す返す残念でならない。とはいえ思い通りにならないのがサッカーでもある。残念といえば、11日のオーストラリア戦も、もしもUAEに勝っていれば、もう少しアグレッシブなサッカーができただろうし、勝点3を奪えたのではないだろうか。 ▽というのも、日本と同様にオーストラリアも世代交代の端境期で、アジア王者とはいえかつての破壊力は感じられなかった。攻撃陣ではケーヒルやレッキー、クルーズは以前ほどの存在感はなく、スピラノビッチとセインズバリーの両CBも守備に不安を抱え、ビルドアップ能力にも特筆する点はなかった。それはベンチにいたマーク・ミリガンも同様だろう。キャプテンのジェディナクが最終ラインに入ってゲームを組み立てていたが、彼にプレスを掛ければオーストラリアの攻撃は手詰まりになっていた可能性も高い。 ▽ただ、そうするとオーストラリアはリスク回避のため、日本にとって嫌なロングボールでの攻撃が増えるだろう。このため最終ラインにはあまりプレスをかけず、オーストラリアが自画自賛する地上戦に持ち込んだ方が得策でもある。アウェイで勝てなかったのは残念とはいえ、オーストラリアの実力を確認できたのは収穫だった。 ▽意外なのはスタートダッシュに成功したサウジアラビアだ。格下(イラクとタイ)相手に連勝したのは組み合わせに恵まれただけと思っていたが、オーストラリアと点の取り合いから引き分け(2-2)、UAEには3-0と完勝した。“中東の雄”復活の気配が感じられるだけに、11月15日の試合は警戒が必要だろう。サウジだけでなく、UAEとイラクも若手選手が台頭してきて、簡単に勝てる相手ではないことを日本は身をもって実感した。 ▽グループAでは実力者のイランが首位に立ち、日本と同様に韓国は2勝1分け1敗の3位と出遅れている。海外組が主力の日本、韓国、オーストラリアが苦戦しているが、それは海外組のコンディションだけが問題ではないかもしれない。若年層の育成はどの国も力を入れている。しかしながら、日本を例にとるとロンドン五輪やリオ五輪の選手がすぐに日本代表の主力や中心選手になっていなのが現状だ。このタイムラグをどう解消していくか。 ▽代表監督にすべての責任を押し付けるのでは解決しないターニングポイントを、アジアのサッカー界は迎えているのかもしれない。これまでの日本は1990年代からカズ、ヒデ、俊輔、圭佑と自然発生的に代表を牽引する選手が生まれてきたが、それももう限界を迎えようとしているのかもしれない。もしもそうであるならば、日本はどのような道を選ぶべきか。代表監督のクビを挿げ替えるだけで済む問題ではないほど、根は深いと思う。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.10.13 20:00 Thu
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【日本サッカー見聞録】W杯予選の醍醐味

▽この原稿は、現地時間の10月8日午後21時45分、オーストラリアはメルボルンのドックランドという地域にあるホテルで書いている。6日の日本vsイラク戦を取材後、翌日の夕方に成田を飛び立ち、バンコク経由で今日の午後2時過ぎにメルボルンへ到着。ホテルにチェックイン後、トラムで30分ほどのところにあるレイクサイド・スタジアムで午後5時30分からの練習を取材して戻り、ホテルの机に向かっている次第だ。 ▽9月のW杯初戦はUAEに逆転負けする“まさか”のスタートとなった。タイには何とか勝って初勝利を奪ったものの、10月の2連戦に招集予定の武藤嘉紀と宇佐美貴史がケガで辞退を最初のトラブルに見舞われる。武藤はともかく、海外移籍したとはいえここ1年はJリーグでも代表でもこれといった目立つパフォーマンスのない宇佐美を、なぜ続けてハリルホジッチ監督が呼んだのが不思議だっただけに、斉藤学の追加招集はうれしい出来事だった。 ▽ところが6日のイラク戦では右サイドバックの酒井宏樹が2枚目のイエローカードでオーストラリア戦が出場停止となる。ブンデスリーガでは反則にならなくても、アジアの笛は違うことをUAE戦のジャッジで学ばなかったのかと思うほど、不要なファウルが目立った。日本にとって痛手ではあるが、試合後はこれで「酒井高徳が右サイドバックに回り、左サイドバックは久々に長友佑都のプレーが見られる」と期待したものだ。 ▽ところが翌7日の練習で長友と槙野智章が激突して長友が負傷。脳震とうという診断からオーストラリアへの遠征メンバーから外れた。予想外の出来事である3度目に不運である。そして7日の国内では室内練習を続けていた岡崎慎司が、オーストラリアに来たものの、練習は最初からフィジカルコーチとマンツーマンでのストレッチに終始してロッカールームに引き上げた。イラク戦の低調なプレーを思い起こすと、単に時差や移動によるコンディション不良だけでなく、肉体的な負担も抱えていたことが予想できる。 ▽結果、武藤、宇佐美に始まり10月のW杯予選は岡崎、長友と短期間に4選手がチームを離脱することになった。時間もないため追加招集はできない。そして迎える相手はアウェイのオーストラリア戦と、今年の大一番だ。思い起こすにザッケローニ時代は選手も伸び盛りか円熟期を迎えていたのとは、あまりにも対照的なハリルホジッチ・ジャパンである。主力選手の直前の離脱に代役も限られているが、ものは考えようだ。この苦境を脱することができれば、チームも自信を取り戻せるかもしれない。 ▽なぜなら、これ以上はない最悪の状況での、アジア最大のライバルであるオーストラリアとの決戦だからだ。どんな結果になるのか、日本が崖っぷちに立たされるという状況は1997年以来と記憶するが、スリリングな状況もW杯予選の醍醐味だと思う。だからこそ11日までの3日間をハラハラドキドキしながら楽しもうではないか。ロシアへの道は一日にしてならず、である。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.10.09 00:22 Sun
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【日本サッカー見聞録】イラク戦はコンディション重視の選手起用を

▽インドのゴアで開催されているU-16アジア選手権で日本は、準決勝でイラクに逆転負けを喫した。アジア最強と言われるイラクに対し、日本は久保ら負傷者も出てベストの布陣ではなかったものの、前半こそ2-1とリードしたが、後半はイラクのエースであるタムードにPKから2点を奪われるなど2-4と試合を引っくり返された。U-17W杯の出場権を獲得した後だけに、モチベーションを保つのに難しい面もあったのかもしれない。この雪辱は来年の本大会に期待するとしよう。 ▽そして昨日はロシアW杯アジア最終予選のイラクとオーストラリアに臨む日本代表も発表された。約2時間に及ぶ会見だったようだが、今日の報道を見る限り、これといった話題は特にない。それというのも、選ばれたメンバーは9月の2試合とほとんど同じで、サプライズは鹿島MFの永木だけ。その永木にしても、実際に試合で使われるかどうか、彼が長谷部や山口に代わる選手になれるかどうかは未知数の部分が多いため、初招集に「?」を抱いた読者も多いだろう。 ▽今回招集されたメンバーを見る限り、「エクスキューズ」の人選といった印象を受けた。前回初招集でUAE戦では2失点に絡んでしまった大島は、今回呼ばなければ自信を失いかねない。柏木の後継者候補として期待しつつも、柏木の状態が万全ならイラク戦とオーストラリア戦で使われることはないだろう。同じことは海外組の所属クラブで出番のない宇佐美や香川にも当てはまる。招集しないことでメンタリティの低下を懸念したのではないだろうか。 ▽ハリルホジッチ監督は、彼らに代わる選手がJリーグにはいないこと、彼ら自身が欧州のトップレベルの選手とポジション争いをしていることを招集理由にあげていた。そして齋藤(横浜FM)や中島(FC東京)の名前を出しながら、まだ海外組からポジションを奪うほどの活躍はしていないとの見解を示した。日本代表の左MFは“最激戦区”でもある。しかし9月のパフォーマンスを見る限り、宇佐美よりは齋藤や中島の方がゴールに向かう姿勢を感じられた。 ▽同じことはトップ下の香川にも当てはまる。もういい加減10番を重用するのはやめて欲しい。香川の才能は認めるものの、現在の彼は全盛時のパフォーマンスからほど遠い。最終予選は結果が求められるだけに、いっそ予備登録の中村憲を呼んでみてはいかがだろう。とりわけインテンシティの求められるオーストラリア戦は、香川の密集地帯へのショートパスより、中村憲のスルーパスやサイドチェンジが生きるような気がする。 ▽本田や岡崎もけしてベストの状態ではないと思うが、彼らはまだピッチに立てば“ファイト”できるのが救いだ。そしてイラク戦に関しては、試合前日に合流した選手は起用しないで欲しい。コンディション優先の選手起用を指揮官には求めたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.30 16:45 Fri
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【日本サッカー見聞録】注目度の低い天皇杯はアマチュアの大会にすべきでは

▽昨日はバスケットボールのBリーグの開幕戦をテレビ観戦した。さほどバスケに興味がある方ではないが、これまで福利厚生を目的にした企業チームのNBLと、地域密着でプロ化を目指していたbjリーグの反目で、国際連盟から資格停止処分を受け、リオ五輪予選に出場できない危機にあったバスケ界。それを救ったのがJFA(日本サッカー協会)の最高顧問の川淵三郎氏だったからだ。 ▽川淵氏はJリーグでの成功体験をもとに、剛腕を発揮して地域密着やホームアリーナの確保を義務付け、自治体や地元企業も巻き込んだクラブ作りを指導した。Jリーグの常務理事で、クラブライセンスの基礎を作るなど経営のプロである大河正明氏を転籍させ、チェアマンに就任させた。彼以外にもJリーグからBリーグに移籍して昨日の開幕戦に尽力した知人がいるだけに、その船出が気になった。 ▽幸いにも開幕戦は盛況のうちに終了したが、Jリーグ同様、今後は継続する力が必要になるだろう。日本代表の強化と底上げにつながるかどうかも大事なポイントになる。といったところで、サッカーの話題に移ろう。Bリーグの開幕戦を見ながら、チャンネルを変えて天皇杯の3回戦も観戦したが、昨日に天皇杯が行われていることをどれだけのファンが知っているのか疑問に思わざるを得なかった。 ▽テレビはもちろん一般紙での告知も皆無だった気がする。チームの熱狂的なファンやサポーターしか、試合が行われることを知らなかったのではないだろうか。これまでもリーグ戦とリーグカップにACLと、ただでさえJ1のクラブは過密日程なのに、天皇杯が加わり、さらにクラブW杯が日本開催の時はカレンダー作りに苦労して、そのしわ寄せが選手のコンディションに影響してきた。 ▽もういい加減、天皇杯はアマチュアにとって“最高峰”の大会に規定を変えた方がいいと思う。ACLへの出場権はリーグ戦の上位3チームにルヴァンカップの優勝チームに与えると同時に、ルヴァンカップをJ1だけでなくJ2とJ3にも門戸を開く。そして大会方式もトーナメントに変えるのはいかがだろう。 ▽リーグ戦でないとホームの試合数が減り、入場料収入の減少が予想されるとはいえ、これまでのルヴァンカップのグループリーグのスタジアムは、閑古鳥が鳴いているのが現状だ。幸い、来シーズンからはCS(チャンピオンシップ)は廃止されて1シーズン制に戻るため、日程的に余裕はできる。Jリーグは各カテゴリーのリーグ戦とルヴァンカップ、ACLの3大会に専念して、JFAが主催する天皇杯とは袂を分かつ時期に来ていると思うのだが、いかがだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.23 12:35 Fri
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【日本サッカー見聞録】久保とU-16日本のアジア選手権に期待

▽いよいよ今日からインドのゴアで、AFC U-16アジア選手権が始まる。日本は明日、ベトナムとの初戦を迎えるが、グループリーグ3試合をCSテレ朝チャンネルがライブで、NHKのBS1が録画で放映してくれるのは楽しみなところ。チームに対する期待と同時に、やはり久保建英(FW。FC東京U-18)の存在が大きいのかもしれない。 ▽私事で恐縮だが、昨日の夕方に日本テレビから突然電話があり、久保の凄さについてコメントして欲しいという依頼が来た。今朝の6時過ぎにオンエアされたZIPという番組だったが、担当者も「待ったなし」の状況で困り、電話してきたのだろう。21時過ぎから始まった収録の際にプロデューサーから注意されたのが、「朝の番組でサッカーファン以外も見ているため、なるべく分かりやすく、サッカー用語やカタカナは使わずにお願いします」ということだった。こちらは慣れないため、何度も取り直して迷惑をかけてしまった。 ▽番組の趣旨は、今月にトップ登録されれば15歳と3カ月という史上最年少Jリーガーの誕生についてフォーカスしたもの。彼の非凡な才能について、改めて語る必要はないと思うが、VTRを見ていて感心したのは、ドリブルにしてもパスにしても、余裕を持ってプレーしていることだった。ボールコントロールに絶対の自信があるのだろう。ボールを見ることはほとんどなく、常に周囲の状況を把握してプレーを選択している。 ▽相手を見下しているといっては語弊があるかもしれないが、とにかく落ち着き払っている。例えば代表クラスのJリーガーが中学生を相手にしたら、技術的にもスピード的にも圧倒できるため、余裕を持ってプレーすることが可能だろう。しかし久保は、同学年や年長者を相手に同じプレーができる。彼の成長を促すためにも、U-18ではなくもう1ランク上のトップチームに入れた方がいいというFC東京の判断は正解だ。 ▽その久保を始め、平川怜(東京U-18)と福岡慎平(京都サンガF.C. U-18)のボランチコンビや、得点源のFW中村敬斗(三菱養和SCユース)ら、今回のU-16日本には前線から最終ラインまで豊富なタレントが揃っている。グループBの最終戦ではシード国のオーストラリアと対戦するが、まずは初戦のベトナムと第2戦のキルギスから勝点3を奪い、ベスト8進出を確実なものにしたいところだ。 ▽日本は前回大会で韓国に準々決勝で敗れて世界への道を断たれている。今回は準々決勝に勝ち上がってもシード国の韓国(グループC)と北朝鮮(グループD)とは対戦しない組み合わせ。しかしグループAには開催国でシードのインドの他に、イラン、サウジアラビア、UAEと中東勢がひしめいている。アンダーカテゴリーになると中東勢とはフィジカルの差が大きいものの、なんとかベスト8の壁を突破して、世界切符を、さらにはアジア制覇を達成して欲しいものだ。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.15 15:00 Thu
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【日本サッカー見聞録】手倉森氏のコーチ就任を歓迎すると同時にU-19代表の強化も課題

▽ロシアW杯アジア最終予選のタイ戦が終わって2日が経っても、香川を始めとした数選手のパフォーマンスや起用法に疑問の声がメディアだけでなくファンからも上がっている。これはこれで健全な議論だと思う。海外のビッグクラブでプレーしているからといって、彼らを“アンタッチャブル”な存在にするのは危険だと思うからだ。とりわけハリルホジッチ監督は宇佐美に対する期待が大きいようだが、彼は昨シーズンのJ1リーグ第2ステージ以降、パフォーマンスが低下しているだけに、過度の期待は起用法に疑問を招きかねないだろう。 ▽海外でもW杯予選に出場した選手はクラブに戻ると活躍できず、「FIFAウイルス」という言葉も生まれた。移動距離の長い日本人選手なら、その負担は増すばかりで、往復によるダメージはかなりのものだろう。W杯予選をホームの日本で戦い、次はアウェイの中東なら、ホームは国内組で戦い、アウェイは海外組と割り切って準備することも一つの手だと思うが、そこまで選手層は厚くないのが現実だけに、なんとも悩ましい問題だ。 ▽このジレンマは現行のシステムでは解決しようがないだけに、なんとも悩ましい。せめて代表選手を拘束できる時間をもう1週間確保できれば、コンディション調整にも余裕が生まれるが、そのためにはリーグ戦の日程調整が必要になる。ここらあたりはFIFAが指導力を発動して各大陸連盟に譲歩を迫るしかないものの、コトはそう簡単にはいかないだろう。 ▽そんな厳しい状況の代表チームにあって、日本に朗報がもたらされた。昨日、都内でハリルホジッチ監督と会談した手倉森・元U-23日本代表監督が、代表チームのコーチに復帰することが濃厚になったからだ。過去、山本氏(アテネ五輪)、反町氏(北京五輪)、関塚氏(ロンドン五輪)と3大会連続して五輪代表監督は、五輪終了後に兼任していた代表チームのコーチに復帰することはなく、Jクラブの監督に就任していた。 ▽兼任とはいえ五輪終了までの2年間は代表チームのコーチは名ばかりだったため、“復帰”には抵抗があったのかもしれない。このため代表チームのコーチは外国人スタッフで占められてきた。今回はハリルホジッチ監督の「日本人コーチ」という要請があったため実現したが、選手とのコミュニケーションを円滑にする意味でも、“会話力”のある同氏のコーチ就任は歓迎したい。 ▽リオ五輪終了後、移動のための空港で開いた囲み会見でも、手倉森氏はリオ五輪での経験の「継続性」や、早川コーチの「コンディショニング」の重要性を訴えていた。こうした財産をロシアに向けて役立てるためにも、手倉森氏の経験を活用しない手はない。 ▽そして、せっかく手倉森氏を再び代表スタッフに加えたなら、来月中旬からバーレーンで始まるU-19アジア選手権にも彼をスタッフの一員にしてはいかがだろう。これまでU-20日本はW杯の出場を逃し続けている。それが国際舞台の経験不足と指摘されてきた。今回も、内山監督の手腕を含め選手のクオリティからW杯出場は不安視されている。現チームは20年東京五輪のベースとなるだけに、ロシアW杯の予選突破は直近の課題ではあるが、こちらも並行して強化に着手しなければならない課題だと思うからだ。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.09 13:00 Fri
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【日本サッカー見聞録】UAE戦レビュー

▽サッカーにミスはつきものだ。シュートミスに始まり、トラップミス、パスミスなど数え上げたらきりがない。それは審判も同じで、誤審もサッカーの試合の一部とされている。有名なところでは、1966年イングランドW杯決勝のジェフ・ハーストのバーを叩いたシュートがゴールか否か。いまでも敗れた西ドイツ国民はノーゴールと主張する。1986年のメキシコW杯では、ディエゴ・マラドーナの“神の手”がイングランドを突き放した。 ▽勝敗とは別に記憶され、語り継がれる試合があるとすれば、昨夜の日本対UAE戦も、レフェリーを務めたアブドゥルラフマン・アルジャシムという名のカタール人の名前を憶えて置いたほうがいいだろう。逆転負けを喫した悔しさから彼ら審判団を批判しているわけではないが、1点目のFKは吉田の反則とは思えないし、2点目のPKも大島が足を引っ掛けたというより相手選手のダイブに見えた。 ▽そして浅野のゴールを認められなかったのは、アルジャシム主審の判断ミスというより、適正なポジションにいて正確なジャッジのできなかった第2副審のスピード不足にある。日本はアルジャシム主審の3つの判断ミスで勝利を逃したとも言えるが、それよりも残念だったのは、接触プレーのたびに笛を吹き、不必要なイエローカードを出したことだ。 ▽W杯出場のかかった最終予選で、これほどまでにレベルの低い審判団を指名したアジアサッカー連盟(AFC)の姿勢こそ、日本サッカー協会(JFA)は糾弾すべきだろう。UAEはけして格下のチームではなかった。GKを除くスタメンの10人は2年前のアジアカップに出場したメンバーで、当時に比べ堅守からのカウンターだけでなくオープンな打ち合いでも日本をヒヤリとさせた。 ▽失点は、1点目が大島の緩いパスをカットしてのカウンターからのFK、2点目は長谷部のバックパスのミスからペナルティエリアに侵入を許し、3人で相手選手を囲いながら与えたPKと、遡れば原因はいろいろとある。とはいえ、吉田は相手がフェイントをかけてバランスを崩した時のアタックだし、大島も相手が香川と酒井宏にサンドイッチされて“死に体”になってからのボール奪取のプレーで、いずれもプレーのアドバンテージは日本サイドにあった。 ▽憂鬱なのは、これがアウェイの“中東の笛”なら諦めもつくが、ホームでこれほどレベルの低い審判団だったということだ。それは9月6日のタイ戦を始め、今後の最終予選でも続くかもしれないことだ。W杯最終予選での初戦の敗北と、埼玉スタジアムでの不敗神話の崩壊など、ネガティブな要素はあるものの、「負けていい試合はないものの、これが初戦で良かった。残り9試合、しっかり勝てばいい」(田嶋JFA会長)ことに変わりはない。 ▽UAE戦のジャッジを過去のエピソードにするためにも、アウェイのタイ戦と10月のホームのイラク戦は勝利が求められるハリルホジッチ・ジャパンと言えよう。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.02 18:00 Fri
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【日本サッカー見聞録】ハリルホジッチ監督の深謀遠慮

▽2018ロシアW杯のアジア最終予選、9月1日のUAE戦と5日のタイ戦に臨む日本代表24名が8月25日に発表された。今回の発表でのサプライズは次の3点と言える。まず、これまで所属チームで出番がなかったり、所属チームそのものがなかったりしたGK川島を、「手元においてコンディションを見てみたい」とケガをのぞいて招集してきたが、今回は「先発に入れなければ」正GK争いの競争には加われないと突き放したこと。 ▽過去2度のW杯に出場した守護神も33歳を迎えた。体力的な衰えは練習でカバーできたとしても、試合勘の鈍りは否定できないだろう。移籍先のFCメスは公式ホームページで川島を「第3GK」と公表しているだけに、代表への返り咲きは国内復帰も視野に入れて、まずはスタメン確保が最低条件となりそうだ。 ▽次に驚かされたのが、名前こそ出さなかったが香川と清武が負傷した場合は川崎Fの中村憲剛の招集を計画していることだ。中村憲剛をボランチではなくトップ下で使うのかという疑問は抜きにして、これまでJリーグ得点王の大久保嘉人を代表に呼ばないのかという質問に、「2年後に彼は何歳になっていますか?」と頑なまでに拒否していたのに、「私が見てきた中でも使いたい選手」と、あっさりとこれまでの発言を撤回した。 ▽そして、その理由を「W杯予選はたくさんのことを考慮しないといけない。ケガ人も予想しないといけない。この選手も予想の一環で、W杯予選はリスクを冒せない。ロシアに行くには予測もカギになる。(ケガ人に)驚いているようではロシアに行けない」と、しれっとした顔で語っていた。 ▽この言葉を聞いて、「このおっさんはヤルな」と感じずにはいられなかった。たぶん、「前は年齢を理由に大久保の招集を見送ったのに、なんで中村憲は呼ぶんだ。選手の選考基準に一貫性がない」と突っ込んでも、平然とした顔で「あの時とは状況が違う」とはねのけるだろう。日本人にありがちな、自分の発した言葉に縛られないしたたかさと、最終予選にはかなりの危機感を抱いていることが伺われた。 ▽そんなハリルホジッチ監督のことだから、例え最終予選で中村憲が活躍してW杯出場を決めたとしても、本大会に臨む23名からは年齢を理由に外しかねない。彼には“功労者”をリスペクトするという発想より、W杯では「いかにグループリーグを突破して決勝トーナメントに進むか」と目標を切り替えていることだろう。この切り替えの速さ、ドライさは川島へのコメントでも想像できる。 ▽そして最後は金崎夢生への厳しい態度だ。こちらは100パーセント金崎に非がある。自業自得とも言えるが、もしもこれが日本人監督だったら、金崎の「か」の字も言わずにスルーしていたのではないだろうか。それを、敢えて問題提起したところにハリルホジッチ監督の日本サッカーに対する愛情と、理解度の深さを感じた。 ▽就任当初はことさら規律に厳しかった。それは、これまで歴任してきたアフリカでの経験が招いたものだろうと推測した。日本人のメンタリティーなら言わなくてもいいことだと違和感も覚えた。そうして1年が過ぎ、ようやく彼も日本人の「言われたことは従順に守る」メンタリティーを理解したのではないだろうか。 ▽それでも金崎の湘南戦での態度に言及したことは、新たな問題提起につながって欲しい。なぜなら審判に対して同様の抗議をすればペナルティが科されると思うが、監督に対してはどういう裁定になるのか前例がないからだ。クラブが独自にペナルティを科すのか。いずれにせよ、マスコミ不信と言われる金崎だが、いくら激高しても監督に詰め寄る態度は許されるものではない。せっかくの才能を持ちながらセルフコントロールできないのは残念でならない。あとは、いかにして誰が、どういう形で金崎に救済の手を差し伸べるのか。ハリルホジッチ監督が問題を提起した鹿島とJリーグの判断を待ちたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.08.25 22:30 Thu
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【日本サッカー見聞録】リオ五輪のこぼれ話

▽リオ五輪も残すは3位決定戦と決勝戦のみとなった。その決勝は、ブラジルvsドイツという因縁の好カード。ブラジルとしては2年前のW杯で1-7と惨敗した屈辱を晴らす、またとない絶好の機会でもある。まさに「舞台は整った」と言えよう。 ▽五輪の取材は2008年の北京以来だが、北京でのサッカー会場は天津や遼寧といった北京近郊の都市だったし、北京にも滞在したためメインメディアセンターにも何回か足を運んだので、五輪の雰囲気を楽しむことができた。しかし“リオ五輪”とは言うものの、日本の試合会場はマナウス、サルバドールの2会場だったし、グループリーグを2位で突破した場合のサンパウロにも滞在したが、五輪の雰囲気はまるで感じられなかった。 ▽それらの3都市ではサッカーしか行われないから当然と言えば当然だし、五輪のサッカー競技は各グループとも同日に行われるため、日本以外の試合をテレビで見られる機会はない。W杯ならグループリーグ期間中は連日のように試合があるため、他国の試合をテレビ観戦することができる。ここらあたりも、五輪は都市開催、W杯は国開催の違いといったところだろう。 ▽やはり五輪の雰囲気を満喫するには、リオに行くしか方法はないようだ。そのリオだが、連日のように強盗などの被害がニュースになっている。「五輪に行く」と言うと、多くの知人・友人から温かい忠告を頂いたが、マナウスは田舎のためか身の危険を感じることはほとんどなかった。日本の練習取材のためにタクシーに乗ったら、運転手がICレコーダーを取り出し、「日本人の忘れもだから返して欲しい」(と言っていたと思う)と手渡された。海外取材で初めての経験でもある。 ▽さすがにサルバドールは2年前のW杯で同業者がひったくりに遭い、逃げようとして肘を骨折したことがあったため警戒せざるを得なかった。サルバドールはリオと同様、海岸沿いのビーチが美しいリゾート地。やはり観光客が集まる所は、強盗などの物騒な輩が出没するのだろう。日本食のレストランで久々の和食を堪能した帰り道、歩いてタクシーを拾おうとしたらお店のママから忠告された。 ▽彼女いわく、「2年前からブラジル経済は閣僚の汚職で悪化し、お店がどんどん潰れている。そのため強盗が増えた。彼らは拳銃を持っているので、絶対に抵抗してはいけない。抵抗したら、彼らは怖くなって撃つ。移動には必ずタクシーを使いなさい」とアドバイスしてくれ、タクシーを拾うまで炎天下で付き合ってくれた。 ▽2年前のW杯は、連日、日本の練習取材のためサンパウロ郊外(と言ってもバスで1時間かかる)のイトゥと試合会場への移動の往復のため、現地の人と触れ合う機会はほとんどなかった。五輪はW杯に比べて日程的に余裕がある。これはこれで、いいのかもしれないと思った。残念なのは、日本がグループリーグで敗退したことだった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.08.18 19:20 Thu
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【日本サッカー見聞録】手倉森監督の指摘した2つの課題

▽日中の陽射しは刺すように痛かったマナウス、初夏の気候を思わせる爽やかな風の吹いていたサルバドール、そして待ちゆく人々はダウンやレザーのジャケットを着ている冬のサンパウロ。同じ国でありながら、こうも気候が違い、改めて国土の広さを痛感させるのがブラジルだ。 ▽残念ながら手倉森ジャパンは1勝1敗1分けでグループリーグ敗退を余儀なくされた。試合を重ねるごとに駆け引きの妙を見せつつあっただけに、せめてあと1試合くらいは見たかったというのが正直な気持ちだ。すべては初戦のナイジェリア戦の“打ち合い”が誤算だったが、それについて手倉森監督は計算外だったことを明かした。 ▽アジアではボールポゼッションで対戦相手を上回れるものの、逆にカウンターの餌食になりやすい。ところが世界に出れば、日本のストロングポイントであるボールポゼッションは通じない。それはザック・ジャパンが2年前に身を持って体験した。そこで手倉森監督は、アジアの戦いからボールポゼッションを半ば捨て、ショートカウンターに活路を求め、アジアでは成功を収めた。この発想はハリルホジッチ監督に通じるものがある。 ▽ところがナイジェリア戦では、相手の素早い仕掛けに後手に回った。アジアと比べて“個の強さ”も違った。「前からプレスに行けば」と悔やんだものの後の祭り。大会前にアフリカ勢と2試合を行ったが、所詮はテストマッチに過ぎず、効果はほとんどなかったと言える。ただ、こうした経験の積み重ねをいかに今後に生かし、共有していくか。そのことを試合後に手倉森監督が指摘していたのは興味深い。こちらは霜田NTDを含め、技術委員会の今後の課題となる。 ▽そしてもう一つ見逃せないのが、アジア最終予選と今大会を含め、手倉森監督は選手のコンディションについて自信を持っていたことだ。それは早川コンディションングコーチの存在を抜きにして語れない。2000年シドニー五輪以来、A代表と五輪チームを掛け持ちで見続けてきた早川氏は、アテネ五輪の山本ジャパン、南アW杯の岡田ジャパンでも陰でチームを支えてきた。 ▽そんな早川氏について、手倉森監督は、外国人監督だと同じく外国人フィジコを採用するため、その指導法が日本人に合っているのか疑問を呈していた。過去にはファルカン時代にフィジコのトレーニングがハード過ぎて、選手が悲鳴を上げ、ブラジル人と日本人では骨格や筋肉の質が違うため、指導法に疑問の声が上がったこともある。現状は、外国人フィジコと早川氏がコミュニケーションを取りながら指導しているものの、イニシアチブは外国人フィジコが握っているように映る。 ▽選手とのコミュニケーションを考えれば、早川フィジコの方が選手も安心して練習しやすいだろうし、違和感を覚えてもすぐに相談できる。そうした利点も含めて、経験豊富な早川フィジコを手倉森監督は全面的に信頼していたからこそ、選手のコンディションには自信を持っていた。スタミナと早いリカバリーは日本の武器の1つでもある。それを支えるフィジコについても一石を投じた手倉森監督。このことも、技術委員会にはしっかり検証し、今後の代表強化に生かしてもらいたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.08.13 11:30 Sat
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【日本サッカー見聞録】久保の招集を断念。当てにならない約束より現実的な判断を歓迎

▽4日に開幕するリオ五輪男子サッカーで、マナウスで調整中のU-23日本代表の手倉森監督は現地時間2日20時30分過ぎに、FW久保(ヤングボーイズ)の招集を断念し、バックアップメンバーからFW鈴木を18名に登録することを明らかにした。鈴木の代わりにはFWオナイウ阿道を追加招集する。 ▽ヤングボーイズのGMと日本サッカー協会(JFA)との交渉は、最後まで平行線を辿った。当初はチームのFWが負傷したため久保の招集を拒否したヤングボーイズだったものの、急きょ霜田NTDが現地入りして交渉した結果、3日のCL(チャンピオンズリーグ)予備戦後は久保の招集に柔軟な姿勢を見せた。 ▽日本サイドとしては、4日のナイジェリア戦は物理的に間に合わないものの、3日のCL戦後にスイスを発ちマナウスに向かえば、4日の試合中には合流できる可能性が出てきた。このため3日の試合後は必ず久保をリリースして飛行機に乗せることの確約を求めた。選手を入れ替えるタイムリミットをFIFA(国際サッカー連盟)とIOC(国際オリンピック委員会)に確認したところ、2日に手続きをしないと間に合わないことが判明したからだ。選手を入れ替えない場合、初戦は久保が不在となるが、第2戦以降の主力として期待できる。 ▽そこで2日昼過ぎに最終決断を下すとして粘り強く交渉したものの、ヤングボーイズの結論は「3日の試合が終わらないと久保を出せるかどうかの判断はできない」というものだった。3日以降では選手の入れ替えができないため、もしも3日の試合後にノーという返事が来たら、日本は17名の選手で五輪に臨まなければならない。ヤングボーイズが3日の試合後に久保をマナウスに向かわせるという確約が得られない以上、久保の招集を断念せざるを得ない苦渋の決断を手倉森監督は下した。 ▽手倉森監督は「縁というのは良いバランスがあってこそ結ばれるもの。自分が、彼は海外組であり、この世代のエースと思い過ぎたことで縁がなくなってしまったのかな」と自戒を込めて久保の離脱を残念がった。そして18名の登録枠に滑り込んだ鈴木は「久保の思いを考えると、あいつの分もやらないといけない。複雑な気持ちでもあるが、せっかく来たチャンスなのでモノにしたい」と、久保を気遣いながらも意欲を見せていた。 ▽正直なところ、今回の決断は正解だったと思う。それというのも、例え「3日の試合後は久保をリリースする」とヤングボーイズが確約しても、その約束にどこまで拘束力があるのか不明だからだ。「やっぱり出せない」とか「ケガをしたので出せない」と言われたら、それまでのような気がする。当てにならない約束なら、現実的な判断をした方が被害も少なくてすむ。久保にはロシアW杯や東京五輪のOA枠を目指してもらい、チャンスをもらった鈴木にはマナウスで爆発して欲しい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.08.04 00:05 Thu
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【日本サッカー見聞録】パフォーム社との放映権契約(2)

▽今週は先週に引き続き、来シーズンからJリーグはパフォーム社と放映権契約を結んだが、スマホやタブレットでJリーグの試合をファンがライブ観戦できるメリットにどんなものがあるのか紹介しよう。 ▽そもそもの発想はアメリカのMLBを参考にしている。MLBでは球場内のwi-fi環境を整備し、複数台のカメラでベンチだけを撮影したり、ファンだけを撮影したりしている。Jリーグもそうしたマルチ映像に加え、プレーバック機能を使ってゴールシーンをリプレイしたり、解説者のオリジナル分析を聞いたりするなど、目の前で繰り広げられる熱戦に加え、様々な情報をリアルタイムで選択して視聴できることで、観戦スタイルの幅が大きく広がることが予想される。 ▽さらに放映権料の増加(年間50億円が4倍強の210億円になり、さらに地上波とBS放送権料の増加も見込まれる)により、各クラブへの分配金を増やし、大物外国人選手の獲得をJリーグが資金的にサポートしたり、経営基盤の強化につなげたりするメリットもある。これまでJFA(日本サッカー協会)と比較して放映権料やスポンサー契約、入場料収入で脆弱だったJリーグだが、これでやっと対等な立場になったと言えるかもしれない。 ▽この契約に関してJリーグの村井チェアマンは「日本のスポーツ界初と言える長期大型の放映権契約であり、日本のスポーツ産業が有力なコンテンツとして、海外から投資対象と認識いただけたものと考えております」とコメント。先駆者的な役割を果たすところは、元リクルート社出身だけにフットワークの軽さと大胆な決断のなせる技だろう。一方、パフォーム社はサッカーをきっかけに、今後は野球、テニス、バスケット、ラグビー、モータースポーツ、総合格闘技でも同じようなサービスを展開する予定でいる。 ▽「DAZN(ダ・ゾーン)」が提供するサービスの概要(値段や加入方法など)は今年の夏に発表する予定でいる。月額の値段が幾らになるのか、そしてどんなサービスが受けられるのかで加入者は判断するだけに、サービス概要は気にかかるところだ。そしてもう1点、気になるのがパフォーム社とソフトバンクが争っていた今年2月頃の噂である。そもそもパフォーム社は英国で「ウォッチ&ベット(Watch&Bet)」という、オンライン・ブックメーカー向けの動画配信サービスを展開したことで急成長した。 ▽スポーツ中継をライブ配信しながら、ベット(賭け)を促すサービスは、提携するブックメーカーにとっては口座獲得の窓口にもなる。英国ではスポーツが賭けの対象になっているからこそできたサービスだ。しかし日本にはtotoがあるものの、あくまで“サッカーくじ”として賭けのイメージを排除している。ギャンブルという言葉にはネガティブなイメージがつきまとい、抵抗感があるからだろう。このため一時はソフトバンクとの契約を望む声も多かった。それが最後は契約金の高さでパフォーム社に決まったが、その背景にはベット(賭け)に関する懸念もクリアできた公算が高い。果たしてオリジナルの動画配信により顧客数増で、どれだけ動画広告収入が伸びるのか。サービスの概要ともども気になるところだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.07.27 17:30 Wed
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【日本サッカー見聞録】Jリーグはパフォーム社と放映権で破格の契約を締結

▽Jリーグは7月20日、2017年から10年間に及ぶ放映権を英国のパフォーム社と締結したと発表した。放映権の総額は2100億円で、無料視聴の地上波テレビとBS放送を除く、国内の有料放送が対象となる。パフォーム社はインターネットを使い、スポーツ映像やデータといったデジタルコンテンツを世界的に展開している大手企業で、新たなスポーツ生中継サービスとして「DAZN(ダ・ゾーン)」を日本で開始することを6月に発表していた。 ▽それにしても突然の発表だった。前日19日には第7回のJリーグ理事会があり、村井チェアマンは1時間前倒しで始めた3時間に及ぶ会議は放映権の議論がメインだったと明かした。しかし具体的な内容については「事務手続きは契約事項なのでケアしないといけない。事務方の整理をしてから発表の日時を決めるので、今日はお話しできません。ただ、来シーズンのことなので時間はかけたくない。迅速に進めたいと思います」と話していた。それが一転、翌日の午前に会見なのだから驚かされた。 ▽かねてから噂のあったパフォーム社だが、これまでJリーグは、スカパー! とNHKの2社と2012年から2016年までの5年契約を結んでいて、スカパー! は年間推定40億円、NHKは年間推定10億円と言われていた。2017年からの新規契約にはパフォーム社と、スペインリーグやイングランド・プレミアリーグの放送権を獲得したソフトバンクもJリーグに興味を示していたものの、金額面で上回ったパフォーム社が権利を獲得した。 ▽今回の契約ではNTTも技術提供やインフラ整備の形で参画し、J1、J2、J3、CS(チャンピオンシップ)、J1昇格プレーオフ、J2・J3入替戦の全試合をライブで配信し、スタジアムに行けないファンはもちろん、スタジアムで観戦しているファンにもスマホやタブレットで視聴できるようにするのが目玉だ。そのため全国のスタジアムのwi-fi環境の整備が急務となる。 ▽では、スマホやタブレットでJリーグの試合をファンがライブ観戦できるメリットはどこにあるのか疑問に思う読者もいることだろう。この続きは次週で紹介したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.07.21 13:15 Thu
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【日本サッカー見聞録】EUROとJを見比べて感じた疑問

▽今週10日にポルトガルの初優勝で終わったEUROだが、ポゼッションサッカーで一時代を築いたスペインは、主力の高齢化もあり決勝トーナメント1回戦でイタリアに敗れた。W杯を制し、EUROでも連覇を果たした“無敵艦隊”も、一つの時代が終わったと言える。スペイン同様、準決勝ではポゼッションでフランスを圧倒したドイツも敗れ、決勝では終始試合を支配したフランスが延長戦でポルトガルに屈した。 ▽W杯やEUROのような長期間に渡る大会でジャイアントキリングを起こすには、アイスランドのような堅守速攻型しか方法がないことは、過去にもギリシャが証明している。世界のトレンドとして、このままポゼッションサッカーは衰退していくのだろうか。 ▽と言ったところでJリーグである。第2ステージの第3節を消化したばかりだが、3連勝を飾った川崎F、横浜FM、浦和、そして4位につけるG大阪にはいずれも共通点がある。それは中盤に違いを生み出せるパサーがいることだ。中村憲、中村俊、柏木、遠藤らベテランのプレーメーカーがチームを牽引し、横浜FM以外はポゼッションサッカーで優勝争いを演じている。第1ステージ覇者の鹿島にも小笠原と柴崎というプレーメーカーを擁している。 ▽ほんの10年くらい前の日本は、プレーメーカーの宝庫だった。小野、中田英、中村俊、稲本ら中盤にはきらめくようなタレントがいた。しかし現在は香川を筆頭に原口、宇佐美、南野らサイドアタッカーが海外移籍を果たし、リオ五輪日本代表にもプレーメーカーは見当たらない。これはこれでトレンドなのかもしれないが、日本のトップレベルであるJ1リーグで優勝争いを演じているのは、いずれもプレーメーカーを擁したポゼッションサッカーという点にギャップを感じてしまう。そしてACLでのJリーグ勢の凋落が追い打ちを掛ける。Jリーグは世界のトレンドと逆行しているのではないかという疑問である。 ▽ただし、やむを得ない事情もある。日本は欧州やアフリカ勢はもちろん、韓国や中国と比較しても190センチ台の巨漢CBやストライカーはいないし、今後も出て来る可能性は低い。このためアジリティとスキルで勝負するしかなく、必然的にポゼッションサッカーにならざるを得ない。そこで気になるのが、プレーメーカーの後継者だ。いまだ中村憲、中村俊が輝きを放っている一方、彼らの系譜を継ぐ選手がすぐに思い浮かばない。可能性を秘めているのは大島くらいだが、前任者に比べると“小粒感”は否めない。 ▽大型CBとストライカーの育成は日本サッカーの課題であるが、本田や柏木の後継者の発掘と育成も急務なのではないだろうか。1カ月近く、EUROとJリーグを交互に見比べて感じた素朴な疑問だった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.07.14 15:30 Thu
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【日本サッカー見聞録】望月三起也さんを偲ぶ会に思う

▽7月7日の七夕の日、午後7時から今年4月3日に亡くなられた漫画家の「望月三起也氏を偲ぶ会」が横浜市内のホテルで開催されたので、末席に参加した。会の発起人は漫画家の九里一平氏、さいとう・たかを氏、ちばてつや氏、森田拳次氏、サッカー界からは川淵三郎・元Jリーグチェアマン、杉山隆一・元ヤマハ発動機監督、田嶋幸三・JFA会長など錚々たる方々が名前を連ねた。 ▽望月さんが亡くなられたのは77歳、そして偲ぶ会も7月7日の午後7時ということに、同氏の代表作であるワイルド『7』を偲んでの会であることに間違いはないだろう。最後まで『7』にこだわった偲ぶ会だった。 ▽会には「ゴルゴ13」で有名なさいとう・たかを氏、お別れの言葉を述べた「ロボタン」などのギャグ漫画を描いた森田拳次氏を始め、サッカー界からは付き合いの深かった三菱サッカー部の監督の二宮寛氏や、杉山隆一氏、森健兒氏、田口光久氏の他、三起也さんのサッカーチーム「ミイラ」に縁のある奥寺康彦氏、早野宏氏、前田秀樹氏、木村和司氏、水沼貴史氏を始め、芸能界からも多くの方々が列席し、別れを惜しんでいた。 ▽三起也さんと、いつ親しくなったのかと言われても、正直記憶にない。取材はしたが、たぶんJSL(日本サッカーリーグ)時代に試合会場で顔見知りになり、親しく話しをさせてもらったのだろう。その後も三起也さんとは、三起也さん率いるサッカーチーム「ザ・ミイラ」とメディアの混成チーム「ピンボケズ」や落語家のチーム「マンダラーズ」といった素人チームで「字絵(Jのもじり)リーグ」を立ち上げて対戦し、親交を深めたものだ。 ▽そんな三起也さんは、サッカーの話になると目を輝かせていつまでも話し続けるエピソードを参加したゲストが次々に披露した。サッカー好きとは誰とでも仲良くなってしまう三起也さんの生前がうかがえるエピソードだ。サッカー好き=同士という感覚に近いかもしれない。かつて日本サッカーの父と言われたD・クラマーは「サッカーは少年を大人に、大人を紳士にする」と言った。 ▽三起也さんに当てはめるなら、「サッカーは大人を子供にする」と言えるのではないだろうか。それだけ純真にサッカーの喜びを誰とでも共有しようとしていた。弔辞を呼んだミイラのメンバーで俳優の宮下直紀氏は、「宮本征勝さん(初代の鹿島監督)、ジャンルカ富樫さん(サッカージャーナリスト)、ヨハン・クライフとボールを蹴っていてください。僕らも、いつかそちらに行きます」と述べていた。 ▽会場には老若男女を合わせて300人以上が参加した。一般ファンを受け入れたらその数は倍以上になっただろう。それだけ愛されたサッカー人だと思う。改めて故人のご冥福を祈りたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.07.08 11:50 Fri
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【日本サッカー見聞録】五輪代表18名が発表

▽リオ五輪に臨む日本代表18名が7月1日に発表された。6月29日の南アフリカ戦のスタメンでメンバーから漏れたのはCB中谷(柏)とMF野津田(新潟)の2人で、彼らはバックアップメンバーとして8月1日から13日までチームに帯同する。南ア戦は国内最後の試合なので、ケガから復帰したSB室屋とFW中島(いずれもFC東京)は回復具合をチェックするテストの場だと思っていた。結果的に2人とも90分間フル出場したため、最終メンバー入りは確実だと思った。 ▽意外だったのはMFの大島(川崎F)と井手口(G大阪)だ。日本が30分にPKから失点すると、手倉森監督はベンチにいる原川(川崎F)と橋本(FC東京)にウォームアップを命じた。屈強なフィジカルの南アに対し、170センチ前後の大島と井手口がどこまでやれるのかテストしているのだろうと思ったものだ。 ▽そしてハーフタイムに井手口は原川と、大島も51分に橋本と交代した。原川も橋本も複数のポジションでプレーできるポリバレントな選手のためリオ行きは確実で、ボランチでゲームをコントロールしても守備力に不安のある大島か井手口のどちらかが「託される側」に回ると思った。 ▽しかし実際には手倉森監督も認めたように、OA枠を除けば1月のアジア最終予選で戦ったメンバーに落ち着いた。意外だったのはトゥーロン国際大会の初戦で左膝を負傷して、まだ実戦に復帰できていないCB岩波(神戸)を「予測での計算でしかない」ものの、「来週には復帰して、7月9日の試合には出られそう」と見切り発車で招集したことだ。 ▽DF陣の構成は右SBに室屋と塩谷、左SBに亀川(福岡)と藤春、そしてCBに植田(鹿島)と岩波の各コンビによる6人。岩波の保険として塩谷とボランチの遠藤(浦和)はCBもできるとはいえ、もしも岩波に何かあったら中谷と入れ替える予定なのだろう。それならいっそ、遠藤の代わりにボランチもでき、右SBと両サイドのMFでプレーできる橋本をあらかじめ18名に招集し、岩波をバックアップメンバーに入れておいた方が18名の枠をフルに使えるのではないだろうか。 ▽たぶん手倉森監督は、そうしたあらゆる可能性を探った上で、「昨日の深夜、寝る前に」18人のメンバーを決めたのだろう。会見では目標を聞かれて、「金メダルを目指さないと銅にも引っかからない。“どう”にもこうにもならない」とか、キャプテンが誰になるか聞かれると、「遠藤のままでリオに“わたり”ます」と得意のダジャレを連発するなど、大役を果たし終えた解放感からか、終始リラックスした様子だった。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.07.01 18:30 Fri
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【日本サッカー見聞録】五輪代表の18人を予想

▽リオ五輪のOA(オーバーエイジ)枠の3人目に、興梠の招集が明らかになった。これでOA枠の3人は藤春と塩谷に決定。そして来週の29日には最後のテストマッチとなるU-23南アフリカ戦が控えている。その試合の招集メンバー21日が今週初めに発表された。 ▽GKは鹿島の櫛引と柏の中村。櫛引は鹿島では出場機会に恵まれていないものの、リオ五輪の代表はこの2人で決まりだろう。問題は残りのフィールドプレーヤーだ。DF7人、MF8人、FW4人が招集され、手倉森監督は「これまで活動にずっと参加している選手、アジア最終予選からケガで離脱した選手、そして改めてもう1回手元に置いて見てみたい選手」を呼んだと明言した。 ▽この言葉から推測すると、DF陣で「ずっと参加している選手」はCBの植田、MF陣なら遠藤、大島、原川、矢島、FW陣は浅野、オナイウ阿道ということになる。そして「ケガで離脱した選手は」はDF陣の松原、室屋、亀川、MF陣は豊川、FW陣は鈴木、中島だろう。ここで改めてOA枠の人選を考えると、左SBの藤春はレギュラーとして、その控えに亀川がどこまで負傷から復帰できたのかが南ア戦でのテストとなる。右SBは同じく負傷からの復帰組として松原と室屋の争いで、ここにOA枠の塩谷もいるため、どちらか1人がリオ行きの切符をつかむことになる。そしてCBは植田の相棒に三浦か中谷ということになる。きわめて分かりやすい競争の図式だ。 ▽難しいのがMF陣と言える。6人が登録されると想定し、ボランチ候補の遠藤、今回はDF登録ながら複数のポジションができる橋本、同じくポリバレントな背番号10を任された矢島、「ずっと参加」してケガもない原川と大島、そして海外組の南野を入れると、伊東、野津田、豊川、井手口の入る枠はない。唯一の可能性として、試合を落ち着かせる大島の代わりに野津田のような攻撃的な選手をチョイスするかどうかが南ア戦の見どころになるのかもしれない。 ▽最後にFW陣だが、興梠と久保の招集が可能なら、残る枠は2つしかない。とはいえ浅野は当確なため、残り1枠をケガから癒えた鈴木と中島、さらには今回招集されていない富樫の3人で争うことになる。フィジカルに長けた鈴木、スキルフルな中島、オールラウンダーな富樫と三人三様の長所がある。さらにオナイウはトゥーロンで活躍した。 ▽手倉森ジャパンは4-4-2か4-2-3-1を基本システムにしている。もしも興梠をFW陣の核に据えるなら、彼はシャドーストライカーでもあるため、一番のベストチョイスはポストプレーもできる久保になる。そして浅野はジョーカーという位置付けとして欠かせない。となると、残る1枠は……誰を選んでもおかしくないという結論になってしまう。 ▽もしも4-2-3-1を採用するなら、トップ下に中島というFW登録ながらMFとしても使える選択肢もある。今回招集されたフィールドプレーヤーは19人。リオ五輪の登録枠はフィールドプレーヤー16人のため(GK2人と想定して)、3人に加えOA枠の3人の計6人が篩に掛けられる狭き門でもある。こうして原稿を書いていると、なんとなくバックアップに回る選手が見えてきたような気もするが、ケガなども含めて予断は禁物だ。とりあえずは29日の南ア戦を待ちたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.06.23 16:10 Thu
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【日本サッカー見聞録】浦和の脱落に見るリーグ戦の価値観

▽J1リーグ1stステージは15日にACLのため延期となっていた2試合を行い、FC東京と広島は1-1のドロー、G大阪vs 浦和は宇佐美のゴールでG大阪が3試合ぶりの勝利を飾った。この結果、浦和(勝点27)は首位の川崎F(同34)や2位の鹿島(同33)と1試合消化は少ないものの、川崎Fとの勝点を詰めることができず7差のまま。浦和が残り3試合を全勝しても勝点は36のため、第16節で川崎Fが勝ち、鹿島が敗れれば川崎Fの第1ステージ優勝が決まる。 ▽浦和が優勝するためには、未消化の2試合を連勝して川崎Fに勝点1差に詰め寄る必要があった。しかし、そんな浦和の前に立ちふさがったのが、“天敵”とも言えるG大阪だった。昨シーズンのCS準決勝でも延長戦の末に1-3と敗れ、年間順位3位に後退したのは記憶に新しいところ。一昨シーズンも手中に収めかけたリーグタイトルを奪われている。 ▽今シーズンのG大阪は遠藤の起用法に逡巡が見られ、一時期ほどの爆発的な攻撃力はない。実際、試合はアウェイの浦和が主導権を握っていたものの、カウンターから失点するのもこれまでの敗戦パターンと同じだった。G大阪に敗れたこともさることながら、4試合連続の無得点にこそ失速の直接の原因があるとも言えるだろう。 ▽毎年のように補強を重ね、今年は湘南から遠藤、京都から駒井と即戦力を獲得し、特に遠藤は那須の代役としてDF陣の安定に貢献。14試合で9失点は鹿島と並ぶ最少失点でもある。にもかかわらず第1ステージの優勝は絶望的になった。フロントやファン・サポーターは「第2ステージがある」とか「年間チャンピオンになればいい」とすんなり頭を切り替えて、現体制を維持するのかどうか。 ▽これは余談だが、リオ五輪のOA枠にG大阪のDF藤春と広島のDF塩谷の招集が発表された。残り1枠は興梠が候補に挙げられているものの、未だにイエスかノーの正式発表はない。もしかしたら、第1ステージで優勝できたら興梠を送り出す方向で調整していたのではないだろうか。リオ五輪期間中は事前キャンプも含めると第2ステージを5試合ほど欠場することになる。リーグ戦の約3分の1に当たるためエースストライカーの離脱は痛手だ。このため、もしかしたら興梠の招集を浦和は拒否する可能性もあるだろう。 ▽話を本題に戻そう。この浦和に限らず、昨シーズンの上位4チームはいずれも優勝争いから脱落している。やはりACLの影響からか、浦和以外の3チームはACL後のリーグ戦で苦戦している。リーグとACLのダブル・タイトル獲得のためターンオーバー制を採用しても、攻守の主力戦は出場せざるを得ないため、肉体的な負担もかなりなものだろう。逆に優勝争いを演じている川崎Fと鹿島はACLの負担がなく、ナビスコ杯もベストメンバーで戦ってはいないためグループリーグで敗退している。価値観をどこに置くかはチームの方針と言ってしまえばそれまでだが、ちょっと不公平感も感じずにはいられない。 ▽まだ第1ステージの途中ではあるが、リーグとリーグカップ、ACLの位置付けをもう一度整理する必要があるのではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.06.16 16:59 Thu
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【日本サッカー見聞録】五輪OA枠5人の候補を絞ってみた

▽今日のスポーツ紙でリオ五輪OA(オーバーエイジ)枠の候補5人の名前が取り上げられていた。G大阪のDF藤春、広島のDF塩谷、川崎FのFW大久保、ハノーファー96からセビージャへの移籍が噂されるMF清武、そしてFCケルンのFW大迫だ。 ▽藤春と塩谷の招集理由は簡単だ。トゥーロン国際大会で左SB亀川(福岡)が負傷。本大会には間に合うというものの、まだJリーグに復帰できていないだけに不安がつきまとう。このための藤春招集だろう。そして右SBの松原(新潟)は5月29日の仙台戦で復帰こそ果たしたものの、万全のコンディションか疑わしい。さらにCB奈良(川崎F)はJリーグで骨折、CB岩波(神戸)もトゥーロン国際大会で左膝を傷めて、本大会に間に合うかは微妙だ。そこで右SBもCBもできる塩谷という人選になったのだろう。 ▽23歳以下ではMF遠藤(浦和)とMF橋本(FC東京)もCBや右SBでプレーできるものの、やはり彼らはボランチで起用したいというチーム事情もありそうだ。そこでDF陣は松原、植田、三浦(か岩波)、亀川の4人に加え、OA枠として藤春と塩谷の6人という顔ぶれになる。最終予選では主力として活躍した右SB室屋(FC東京)は、チームの全体練習に部分合流しているので、彼の回復次第では松原との競争になりそうだ。 ▽MF陣は遠藤、橋本に手倉森ジャパンの常連である矢島(岡山)、南野(ザルツブルク)の4人は当確。FW陣も浅野(広島)、富樫(横浜FM)、久保(ヤングボーイズ)の3人は決まりだろう。残る枠はMF陣が2人、FW陣が1人ということになる。MF枠の候補は大島(川崎F)や野津田(新潟)がいるし、FW枠にはこちらも復帰組の鈴木(新潟)がいるし、オナイウ阿道(千葉)もトゥーロン国際大会では活躍した。ここに残り1枠のOA枠をどちらで使うかということになる。 ▽大迫の去就は未定だが、海外組にとって事前キャンプの始まる7月中旬は新シーズンに向けて準備を始める時期だけに、コンディション調整に問題はないだろう。逆に34歳の大久保は、梅雨明けの蒸し暑い時期を過ごした後での調整となるだけに、体力的な不安がつきまとう。3人ともブラジルW杯のメンバーだったため、黄熱病の予防接種をする必要がないのは利点だが、手倉森監督も最後の最後までラスト1枠で頭を悩ませるのではないだろうか。 ▽個人的には、遠藤と橋本のダブル・ボランチに、MF陣は右から野津田、清武、南野と並べ、久保の1トップがベスト布陣ではないだろうか。このため最後のOA枠は、リオ五輪出場が可能であれば清武を推したい。キリンカップを見た後では、余計にその印象が強くなったのも事実である。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.06.09 20:00 Thu
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【日本サッカー見聞録】キリン杯初戦で本田不在でも成長を示したハリル・ジャパン

▽キリンカップサッカー2016の準決勝2試合が6月3日に愛知県の豊田スタジアムで開催され、第1試合はボスニア・ヘルツェゴビナが2-2からのPK戦を4-3で制してデンマークに競り勝ち、第2試合は日本がブルガリアを7-2の大差で下して決勝に進出した。今年のキリン杯はFIFA国際Aマッチデーが2日しかないため、4チームによるトーナメント戦となっている。 ▽準決勝で日本はブルガリアと対戦したわけだが、よく考えられたマッチメイクだと感心した。準決勝の第1試合はボスニア・ヘルツェゴビナvsデンマーク。ボスニア・ヘルツェゴビナはハリルホジッチ監督の祖国だし、デンマークにはレスターで岡崎のチームメイトであるGKシュマイケルがいる。どちらが勝っても、日本とは多少の因縁がある対戦相手となるだけに、決勝戦か3位決定戦はメディア的に盛り上げやすいというわけだ。 ▽第1試合のボスニア・ヘルツェゴビナvsデンマークは前半にデンマークが2点を先制したものの、後半は退場者を出したボスニア・ヘルツェゴビナが198センチの長身FWミラン・ジュリッチが2ゴールを上げる活躍で同点に追いつくと、PK戦では最初のシュートこそGKシュマイケルにストップされたものの、その後は4人が連続してシュートを決めて競り勝った。 ▽ボスニア・ヘルツェゴビナはスピード豊かなサイドアタッカーのハリス・ドゥリュビッチ、攻撃参加を得意とする左DFセアド・コラシナツにコントロールタワーのハリス・メドゥニャニンらくせ者揃いの好チーム。東欧勢特有の個人技も健在で、日本との試合は好ゲームが期待できそうだ。 ▽その日本だが、第1戦は本田が左ヒザの炎症で欠場したものの、本田の不在を感じさせない前半だった。本田の武器は屈強なフィジカルを生かした“タメ”と決定力の高さにあることは周知の通り。しかし、その“タメ”が時として攻撃のスピードダウンを招いてしまうこともある。しかしブルガリア戦は香川と清武のハーモニーに柏木が絡み、ワンタッチによるパス交換から流れるような攻撃を見せた。 ▽6月3日は午前中になでしこジャパンvsアメリカの試合をテレビ観戦したが、4-4-2システムから大儀見や大野の2トップに川澄のドリブル突破と、両サイドDFの攻撃参加を武器にした佐々木前監督に比べ、高倉新監督は4-2-3-1システムから岩渕をトップに据え、大儀見を左FWに起用していた。すると選手間の距離が近くなったため、岩渕のキープ力が生き、ゴール前の攻撃が多彩になった。 ▽なでしこジャパンが奪った3ゴールは、いずれも名GKソロにとってノーチャンスの鮮やかなシュート。ただ、アメリカのゴールは先制点と3点目は防げたと思うだけに、残念な引き分けでもあった。それでもロスタイムに横山がゴール前のパス交換から奪った同点弾は、相手の足が止まっていたとはいえ、佐々木前監督時代にはあまりお目に掛かれなかった得点シーンだった。 ▽話をハリル・ジャパンに戻そう。後半は6枚の攻撃カードを切ったために守備に混乱が生じて2点を失った。それでも23歳の遠藤や浅野に、代表歴1試合の昌子をピッチに送り込むなど経験を積ませた。大量リードがあったからこそできた交代ではあるが、浅野はPKを獲得する粘りを見せるなど、チームの若返りにも着々と着手している。果たしてボスニア・ヘルツェゴビナ戦ではどのような選手がテストされるのか。ハリルホジッチ監督のチームマネジメントに注目したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.06.04 14:36 Sat
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【日本サッカー見聞録】ACL敗退と日本代表の小粒感

▽ACL(アジアチャンピオンズ・リーグ)は24日のFC東京に続き、25日は浦和もアウェイでFCソウルにPK戦で敗れ、日本勢はラウンド16で全滅した。ベスト8には山東と上海の中国勢2チーム、FCソウルと全北現代の韓国勢2チーム、そして中東勢はアルアイン(UAE)、アルジャイシュ(カタール)、アルナスル(サウジアラビア)に、中央アジアからタシケント(ウズベキスタン)が勝ち進んだ。 ▽全滅した地域は日本勢とオーストラリア勢で、26日にキリンカップサッカーに臨む日本代表メンバーを発表したハリルホジッチ監督も、Jリーグ勢の不甲斐なさに、すぐにでも敗因分析をしないと取り残されると警鐘を鳴らしていた。どのチームもリトリートして守備を固めるスタイルにも苦言を呈し、前線からアグレッシブにプレスをかける川崎Fのサッカーを高く評価していたが、果たして川崎Fがアジアでベスト8に入れるかどうかは正直言って疑問だ。 ▽なぜなら、この日発表された代表メンバーの“国内組”で攻撃的なポジションの柏木(浦和)、小林(磐田)、大島(川崎F)、小林(川崎F)、宇佐美(G大阪)、浅野(広島)らは、ハリルホジッチ監督の求める“デュエル”で見劣りしてしまう。辛うじて対抗できそうなのが遠藤(浦和)と金崎(鹿島)くらい。それ以外の選手はいずれも“海外組”だ。 ▽選手の海外流出により国内リーグの空洞化を指摘されて久しい。さらにコストダウンにより中国Cリーグのような“大物助っ人”も獲得できていないのが現状だ。川崎Fのサッカーは美しいものの、韓国や中国の激しさに対抗できるレベルのスキルかと問われれば、即答できないのが正直なところだ ▽JリーグはACLでの躍進を後押しするため金銭的な支援と人的支援を強化、さらには日程調整で協力したものの、基本的なチーム力向上には結びついていない。まだ“焼け石に水”という範囲にとどまっているということなのだろう。今年は広州恒大(中国)がグループステージで敗退したように、巨額の資金を投じれば結果が出るとは限らないものの、Jリーグの“じり貧”感は否めない。ここらあたりが、Jリーグのプレミア化によりJ1のチーム数を限定し、有力選手と資金を集中させ、「強くて魅力あるチーム作り」で結果を残し、ファンをスタジアムに呼ぼうという意見が出て来る所以だろう。 ▽代表メンバーの発表では小林(磐田)と大島(川崎F)が初招集され、小林(川崎F)と浅野(広島)も復帰した。とはいえビッグサプライズの選出とは言えず、ここでも“小粒感”は否めない。それだけ急成長した選手がいない裏返しだ。大久保(川崎F)を呼ばない理由をハリルホジッチ監督は「16㍍(ペナルティエリア内)」で躍動する選手であり、ビルドアップや守備で貢献できないと想定し、過去の日本代表でも結果を残していないと指摘したが、その通りだと思う。大久保は川崎Fのポゼッション・サッカーで復活、もしくは覚醒したストライカーだからだ。 ▽ハリルホジッチ監督は将来を見据えて浅野を高く評価し、宮市(ザンクトパウリ)についても注目していることを明かしたが、「ゴールゲッターがいない国は高い位置には行けない。だから今はゴールゲッターを探している。ビッグクラブだけでなく、小さなクラブでも探している」と話していた。これこそが、日本代表の課題であり、Jリーグ勢がアジアで勝てない理由であることは明白だろう。 ▽ACLでJリーグ勢が優勝争いを演じるには、Jリーグがスポンサーを見つけて出場4チームに強力助っ人をレンタルで加入させるのが手っ取り早いと思うが、それはそれで根本的な問題の解決につながらないのが悩ましいところでもある。 ▽昨夜はU-23日本代表がやっと初勝利をあげたが、FC東京と浦和の悔しい敗退により、フラストレーションの溜まった1週間の始まりだった。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.05.26 21:38 Thu
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【日本サッカー見聞録】奈良と久保が離脱。OA枠も考えざるをえないか?

▽先週のコラムでは、11日のガーナ戦を振り返りながら、ケガ人が続出しても動じない手倉森監督の懐の広さについて触れた。チームは現在、21日から始まるトゥーロン国際大会に備えているが、メンバー発表後のDF奈良(川崎F)がタックルに行った“自爆”から左脛骨の骨折でリオ五輪出場は絶望的となった。さらにFW久保(ヤングボーイズ)も下半身の違和感のためトゥーロン国際大会を辞退と、相変わらずケガ人に見舞われている。 ▽正直、奈良の離脱は痛手だ。CBには屈強なフィジカルの植田(鹿島)と岩波(神戸)がいるものの、彼らのビルドアップ能力は消して高くない。その点、奈良は、かつては無謀なアタックから反則を犯していたが、川崎Fに加入後は悪癖も減り、なりよりもビルドアップ能力でU-23日本代表では攻撃の起点になっていた。ガーナ戦だけでなく清水とのテストマッチでも、日本の攻撃は左サイドが起点になることが多かった。 ▽奈良はガーナ戦でハーフタイムに岩波と交代し、その後は植田が積極的にロングフィードを試みたものの、精度はいま一つ。リオ五輪ではカウンターが日本の武器となるだけに、奈良の負傷離脱は攻守に渡って大きな痛手だろう。代わりに招集された三浦(清水)がどこまで代役を務められるかも未知数のため不安は尽きない。 ▽こうなると浮上するのがOA枠でのCB候補だ。植田とコンビを組む昌子(鹿島)という選択もあるが、右SB伊東(鹿島)はガーナ戦で好クロスを配球してアピールしただけに、DF3人の招集は鹿島の石井監督にとっても簡単には認められないだろう。日本代表クラスのCBとなると、フィードの正確な森重や、奈良と同じレフティーの丸山が候補となるが、いずれもFC東京のレギュラーCBだ。FC東京には彼ら以外にも橋本や小川、さらに負傷中ではあるが中島、室屋といった最終予選に出場したメンバーもいる。1チーム3人という制限がある中で、6人の中から誰を選択するか。そして、それを城福監督が認めるのかどうかという問題もある。 ▽久保の代わりにはオナイウ阿道(千葉)が追加招集された。これまでも常連だけに、チームに溶け込むのは難しくない。問題は久保のコンディションである。ヤングボーイズはCL予備選の3回戦から出場するため、その試合を終えてからチームに合流する予定となっているが、日程は決まっていない。問題となるのは、夏とはいえ過ごしやすい気候のスイスから熱帯地域のマナウスに移動することで、暑熱対策が間に合うかどうかという点である。日本にいれば梅雨の蒸し暑さを経験し、暑くなる夏を迎えてのマナウス入りだけに暑熱対策は大きな問題にはならないだろう。 ▽今から2カ月以上も後のことを心配しても仕方ないが、とりあえず、もうこれ以上ケガ人が増えないことを願わずにはいられない。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.05.19 13:30 Thu
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【日本サッカー見聞録】手倉森ジャパンは逆境を力に変える不思議なチーム

▽U-23日本代表は、5月11日に佐賀県のベストアメニティスタジアムで開催された『九州 熊本震災復興支援チャリティマッチ』でガーナ代表と対戦し、矢島の2ゴールと富樫の代表初ゴールにより3-0と快勝した。代表とはいえガーナは国内リーグの若手を中心としたチームで、スタメンには19歳の選手が4人など平均年齢も21.3歳と日本よりも若い。GKリチャード・オフォリとMFサミュエル・テッテーの2人はフル代表に名を連ねているものの、国内リーグが終わったばかりとあってコンディションも万全ではなかったようだ。 ▽日本は立ち上がりからガーナの高いDFラインの背後にある広大なスペースを利用して、縦パスから浅野が抜け出しては果敢にシュートを放つ。試合前、霜田技術委員は「高温多湿のマナウスではどのチームもスローペースの試合展開で、引いて守りを固めて来るだろう。そこで日本もカウンターがカギになる」と予想していたが、浅野の俊足は大きな武器になるだけに、後半途中のジョーカーとして起用するのではなく、スタメン起用が効果的と感じさせる立ち上がりだった。 ▽前半11分と15分の矢島のゴールは、右利きの矢島を左MFに、左利きの野津田を右MFに起用して、彼らのカットインからスペースを作り、サイドバックの亀川や伊東の攻撃参加を引き出したプランが的中した。「ガーナ(の守備)はボールサイドにブロックを作ってスライドしてくる。日本の悪い癖は攻撃を切り返すが、ラストパスを早いタイミングで狙って行け」という手倉森監督のスカウティングも功を奏した。 ▽1点目は中央突破のこぼれ球を左サイドの矢島が右足のコントロールシュートでGKの頭上を破った技ありのゴール。そして2点目は素早いリスタートから伊東のクロスをファーサイドでフリーになった矢島が豪快なボレーで決めた。 ▽これが代表2試合目となる伊東は、このアシストだけでなく、再三にわたり質の高いクロスを供給。ゴール前の選手に合わせて高低やタイミングを考えたクロスで、シュートの精度が高ければもう2点くらいはアシストしていただろう。この伊東だけでなく、代表初スタメンの冨樫は「空中戦はもう少し勝ちたかった」と反省したものの、ゴール前で存在感を示し、30分にはGKの出際を浮かす技巧的なシュートで初ゴールを決める。そして同じく初スタメンの橋本もボランチとして落ち着き払ったプレーで攻守に安定感をもたらしていた。 ▽リオ五輪のアジア最終予選後、主力選手にケガ人が続出し、チーム作りを不安視される手倉森ジャパンだが、特定の選手に頼るのではなく「レギュラーがいない」(手倉森監督)チーム作りが、今回も好結果をもたらした不思議なチームでもある。ただ、相手の実力を考えると手放しでは喜べない。その意味でも18日から始まるトゥーロン国際大会は、ポルトガルら強敵が集うだけに、リオ五輪へ向けて格好の試金石となるだろう。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.05.12 10:30 Thu
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【日本サッカー見聞録】J1第1ステージ前半戦の総括

▽みどりの日の4日は、J1リーグにACLと昼から夜までサッカー三昧の一日だった。J1リーグはACL出場チームと対戦相手を除く10チームが折り返しである第1ステージ第10節を消化。首位の浦和を追う2位の川崎Fは仙台に先制される苦しい試合展開から、なんとか引き分けに持ち込んだものの、未消化の浦和が勝利したと仮定すると勝点差は4ということになる。前節では3位の鹿島が圧倒的に攻めながら、大宮の粘りに引き分けるなど足踏み状態から勝点を落として後退している。 ▽どうやらACLでもベスト16に進出した浦和が、昨シーズンに続き第1ステージの覇者となりそうだ。前節の名古屋戦、首位攻防となった川崎F戦でもスキのない試合運びで確実に勝点3を獲得。鹿島との直接対決を残しているとはいえ、浦和の優位は動かないだろう。逆にし烈なのがCS出場権を巡る2位争いで、川崎F、鹿島以外にも柏と大宮が迫っている。 ▽柏は開幕3戦未勝利でメンデス監督が辞任。ヘッドコーチの下平が監督に昇格すると、その後は負け知らずで、第6節のFC東京戦から5連勝で4位に浮上した。吉田前監督のポゼッション・スタイルを継承しつつ、フィニッシュの意識が高まったことと、トラッキングデータでチーム平均3位という豊富な運動量が躍進の原動力だろう。この柏に限らず甲府や湘南に加え昇格組の大宮、磐田ら下位候補と目されていたチームがダークホースとなっているのが今シーズンの特徴かもしれない。 ▽湘南が横浜FMを破って初勝利をあげた試合は素直に感動したし、第3節で仙台が鹿島を破った試合も“魂”を感じた一戦だった。上位で健闘している柏、大宮、磐田には失礼だが、「あの戦力でよくその順位にいるな」と思ってしまう。監督の手腕と選手の奮戦には頭が下がるばかりだ。 ▽その反面、今シーズンは上位が予想されたディフェンディング・チャンピオンの広島は7位、G大阪は11位と出遅れ、ACLでもグループリーグ敗退が決定した。FC東京は辛うじてベスト16に進出したものの、リーグ戦は13位に沈んでいる。広島はピーター・ウタカ、G大阪はアデミウソンをシーズン前に、FC東京もシーズン中ではあるがムリキと、いずれも即戦力の外国人選手を補強したにもかかわらず、結果には結びついていない。 ▽ちょっと早いが今シーズンの第1ステージを総括するなら、『戦力で劣るチームが戦略を90分間遂行する決意と努力』でジャイアント・キリングを起こし、ダークホースになっているのではないだろうか。このため順位で相手を判断すると、上位でも痛い目に遭うことが判明した。残り8試合(9試合)、浦和も含めてどのチームも対戦相手を舐めてかかることはないだろう。上位も下位も、ここから第1ステージは本当の正念場を迎えると言える。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.05.05 13:30 Thu
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【日本サッカー見聞録】高倉監督就任も女子代表の監督育成に不安あり

▽JFA(日本サッカー協会)は4月27日、「なでしこジャパン」の監督にU-20日本代表監督の高倉麻子氏が就任したと発表した。女性がフル代表の監督に就任するのは男女を通じて初めてのこととなる。高倉監督は2014年にU-17女子日本代表を率いてW杯を制覇するなど実績も十分。今後は「ヤングなでしこ(U-20女子日本代表)」と「なでしこジャパン」の監督を兼任し、2020年の東京五輪でメダルを目指すことになる。 ▽U-17女子日本代表を率いてW杯を制した高倉監督の、「なでしこジャパン」監督就任は既定路線だった。問題は、どのタイミングで就任するかにあった。前監督の佐々木氏の任期は昨年8月に中国で開催された東アジアカップまで。この大会を若手中心に臨んだ日本だったが、1勝2敗で3位に沈む。他国がフル代表を送り込んできたため、佐々木監督もそれほど結果には悲観していなかった。「なでしこジャパン」なら間違いなく勝てると思ったことは想像に難くない。 ▽その大会期間中、関係者と話したところ、なかなか若返りが進まない「なでしこジャパン」に危機感を抱きつつも、「高倉は日本の切り札なので、万が一、監督に就任してリオ五輪予選で敗退したら傷をつけることになるし、辞任に追い込まれるだろう」と危惧していた。佐々木監督の続投が決まったのは9月に入ってから。その間、どのような綱引きがあったのかは不明だが、結果的に関係者の不安は的中し、「なでしこジャパン」はリオ五輪の出場権を逃してしまった。 ▽こうして誕生した高倉ジャパンではあるが、不安材料もある。それは、彼女に続く人材が見当たらない点だ。例えば男子のフル代表の場合、オフト監督以降は外国人監督の時代が長いものの、加茂氏や岡田氏ら日本人監督が指揮した時代もあった。最近ではJリーグで結果を残した森保監督や長谷川監督を推す声もある。しかし女子の場合は、なでしこリーグでいくら結果を残しても、それが代表監督にはつながらない。リーグでの手腕と代表監督はリンクしていないのだ。 ▽かつて日テレ・ベレーザやINAC神戸で黄金時代を築いた星川監督も、寂しそうにそのことを指摘していた。前任の佐々木監督も女子リーグの監督経験はなく、女子日本代表のコーチやU-17女子代表の監督からキャリアをスタートさせ、「なでしこジャパン」で頂点を極めている。こうした構造が変わらない限り、女子日本代表のスタッフは慢性的に人材不足に陥らないかと不安を抱かざるをえない。 ▽高倉監督の誕生は喜ばしい限りだし、期待もしている。だからこそ、次を見据えた人材育成を今井女子委員長や田嶋JFA会長には期待したい。 【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.04.28 14:06 Thu
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