コラム

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【CL決勝特集②・キーマッチアップ】最注目はマルセロvsサラー!

▽チャンピオンズリーグ(CL)決勝、レアル・マドリーvsリバプールが、日本時間26日27:45にキエフ(ウクライナ)のオリンピスキ・スタジアムでキックオフされる。前人未到の3連覇に意気込む王者マドリーと、13年ぶり6度目の優勝を目指す躍進のリバプールによる今シーズン最後のビッグマッチだ。 ▽ここでは運命のファイナルの戦局を左右する3つのマッチアップに焦点を当てて、両チームのキープレーヤーを紹介していく。 ◆神出鬼没のフィルミノを止められるかGetty Images▽今回のファイナルではマルセロvsサラー、C・ロナウドvsファン・ダイクという両エースと守備陣のマッチアップに最も注目が集まっているが、試合の流れに大きな影響を与えそうなのが、マドリーの主力CBとリバプールの陰のエースFWのマッチアップだ。 ◆DFラファエル・ヴァラン(25歳/レアル・マドリー) CL出場試合:10試合(先発10)、出場時間:848分 得点数:0、アシスト数:1 ▽マドリーが誇る世界屈指の万能型センターバック。高さ、強さ、速さの全てを兼ね備えた圧倒的な対人守備と幅広いエリアをカバーできるフランス代表DFは攻撃的なチームを後方から支える頼れるディフェンスリーダーの1人だ。その一方で、守備範囲の広さが仇となり、不必要にサイドや前に釣り出されて最も危険なエリアを度々空けてしまう悪癖もある。今回の対戦相手のフィルミノはトップ下が本職でサイドや中盤に流れて起点作りやスペースメイクを得意としており、最も苦手なタイプと言える。通常であれば、相棒セルヒオ・ラモスやMFカゼミロが自身の空けたスペースをケアしてくれるが、今回はサラーと対峙するマルセロのカバーに終われる可能性が高く、ヴァランの的確なポジショニングや判断が重要となる。 ◆FWロベルト・フィルミノ(26歳/リバプール) CL出場試合:12試合(先発12)、出場時間:966分 得点数:10、アシスト数:8 ▽今季最も過小評価される万能型ストライカー。サラーとマネという世界最速クラスの強力ウイングを支えるブラジル代表FWだが、サラーと並ぶチームトップの得点数とミルナーに次ぐ8アシストでチームの総得点(40点)のほぼ半数に絡む圧巻の存在感を放っている。決定力、ラストパスの精度に加えてボールを引き出す動きや味方の動き出しを見逃さない視野の広さが光り、現スカッドで最も替えが利かないプレーヤーの1人だ。今回の一戦に向けては相手の出方次第という部分はあるものの、守備の局面ではハイプレスの一の矢として相手センターバックにプレッシャーをかけると共に、同胞MFカゼミロの脇のスペースや局面に応じてサイドで味方ウイングと数的優位を作って起点となり、インサイドハーフの攻撃参加を促して攻撃のアクセントとなりたい。 ◆リーダー同士による中盤のマッチアップGetty Images ▽互いにリスクを冒して中盤を飛ばす戦い方を選ぶ可能性もあるが、スペースも時間も限られる最激戦区の中盤の攻防でカギを握るのが、攻守両面で幅広いタスクを担う32歳の同級生同士のマッチアップだ。 ◆MFルカ・モドリッチ(32歳/レアル・マドリー) CL出場試合:10試合(先発10)、出場時間:868分 得点数:1、アシスト数:1 ▽エル・ブランコのCL連覇をけん引してきた絶対的司令塔。今季はややコンディションを維持するのに苦戦を強いられているものの、傑出した戦術眼とテクニック、勝負強さによってビッグマッチで存在感を示し続けているクロアチア代表MF。豊富な運動量と球際の強さを最大のストロングポイントとするリバプール相手の試合では、そのプレスを掻い潜るボール捌きに加えて、セカンドボールを奪い切る強さが求められる。インサイドハーフかセントラルMF、右サイドハーフのいずれでプレーするかは不明だが、マッチアップの相手は同級生であるダイナモとなる可能性が高い。トッテナム時代にも対峙した難敵相手に後れを取ることは許されない。 ◆MFジェームズ・ミルナー(32歳/リバプール) CL出場試合:10試合(先発8)、出場時間:791分 得点数:0、アシスト数:9 ▽クロップスタイルを体現するダイナモ。DFロバートソンの台頭によって今季は本職のインサイドハーフに固定されている元イングランド代表は武骨なプレーでリバプールの中盤を攻守に支えている。さらに、ここまでCL史上最多となる9アシストを記録するなど、チャンスメーカーとしての才能まで開花させた。格上マドリーとの対戦でまず求められるのはモドリッチやMFクロースと相手のパスの供給源を断つことだが、持ち味のボール奪取能力と正確な右足のキックを武器に今季CL2桁アシストも狙いたい。 ◆ローマ時代から凄みを増したサラーを止められるかGetty Images▽今回の決勝で最も注目を集めるのが、バロンドール候補にも挙がるリバプールの絶対的エース、サラーのパフォーマンス。そして、そのサラーと対峙するのがエル・ブランコの重鎮マルセロだ。奇しくもサラーの名前が広く知られることになったのは、ローマ時代の2015-16シーズンCLラウンド16でマルセロ相手に見せた圧巻のプレーだった。当時は決定力を欠き、チームを勝利に導くことはできなかったが今回はいかに。 ◆DFマルセロ(30歳/レアル・マドリー) CL出場試合:1試合(先発10)、出場時間:868分 得点数:3、アシスト数:2 ▽エル・ブランコが誇る世界最高の左サイドバック。攻守両面で圧巻のパフォーマンスを披露した昨シーズンに比べてパフォーマンスを落とす今季のブラジル代表DFだが、シーズンが進むにつれてパフォーマンスを上げてきた。とりわけ、ビルドアップの局面や攻撃参加の質が高く、バイエルンとの準決勝2試合では1ゴール1アシストを記録し、チームの決勝進出に大きく貢献した。その一方で、守備の局面では軽さや緩さが目立ち、チームの大半の失点は自身のサイドを破られてのものだ。さらに、ローマ時代に対峙したサラーには2戦を通じてコテンパンにやられており、当時の圧倒的な突破力に強さと決定力まで身に着けた怪物相手に劣勢が予想される。そのため、セルヒオ・ラモスや味方とうまく連係を取りつつまずは守備の仕事を優先したい。また、攻撃面では持ち味のキック精度を武器に守備から攻撃に入れ替わる際のファーストパスで存在感を示したいところだ。 ◆FWモハメド・サラー(25歳/リバプール) CL出場試合:12試合(先発11)、出場時間:899分 得点数:10、アシスト数:4 ▽メッシとC・ロナウドの聖域に割って入る怪物アタッカー。今季の公式戦51試合で44ゴールと圧倒的なスタッツを残し、プレミアリーグの賞レースを席巻したエジプト代表FW。ローマ時代の圧倒的な突破力、チャンスメーク能力に加え、憎らしいほどの決定力まで手にし、完全無欠のアタッカーに成長しつつある。ただ、前述のようにメッシとC・ロナウドの独占状態だったバロンドールレースにパフォーマンス面で完全に割って入ったサラーだが、継続性と共に劣るのはチームにタイトルをもたらす勝負強さだ。今回の一戦ではマルセロという大きな壁を相手にゴールやアシストに直結する仕事をみせたい。 2018.05.26 13:45 Sat
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【CL決勝特集①・戦術分析】不動のリバプールに対して“勝負師”ジダンの策は?

▽チャンピオンズリーグ(CL)決勝、レアル・マドリーvsリバプールが、日本時間26日27:45にキエフ(ウクライナ)のオリンピスキ・スタジアムでキックオフされる。前人未到の3連覇に意気込む王者マドリーと、13年ぶり6度目の優勝を目指す躍進のリバプールによる今シーズン最後のビッグマッチだ。ここでは注目の一戦のタクティカルプレビューを紹介する。 ◆注目の主導権争い ▽共に世界屈指の破壊力を持つ前線の個の力を生かしたカウンターを武器とするチーム同士だ。その一方でMFクロース、MFモドリッチ、MFイスコという世界屈指のボールプレーヤーを擁するマドリーがポゼッションスタイルでも問題なく戦えるのに対して、MFヘンダーソン、MFワイナルドゥム(ジャン)、MFミルナーと運動量とハイインテンシティを売りとするリバプールはポゼッションを得意としておらず、通常であればマドリーがボールを保持してゲームをコントロールするはずだ。 ▽ただ、ボールを保持すれば、マンチェスター・シティをも凌駕するプレッシングの威力を持つリバプールのフィールドでの戦いを強いられるため、ジダン監督は敢えて相手にボールを持たせて自陣深くで攻撃を撥ね返してのカウンターという策を採る可能性も十分にあるはずだ。 ◆注目はジダンの選ぶ11人Getty Images▽前述の主導権争いと絡む話となるが、不動のリバプールに対してジダン監督の採用するゲームプランが試合の流れを作ることになるはずだ。 ▽前線に多士済々のタレントを抱えるマドリーは今季の戦いで[4-3-1-2]、[4-4-2]、[4-3-3]の3つのシステムを併用しており、とりわけここ最近はイスコを起用する際に[4-3-1-2]、[4-3-3]を、FWアセンシオとMFルーカス・バスケス起用時に[4-4-2]を採用する頻度が高い。そして、イスコ起用時はプレッシングの強度が高い相手に対して、完全なボールプレーヤーである同選手のキープ力、パスセンスを生かして中盤での数的優位、サイドでの局地的な数的優位を生かしてプレスの網を掻い潜る、よりゲーム試合を意識した戦いを見せている。 ▽逆に、サイドバックでも起用可能な運動量と守備力を持つバスケスと、一定の守備力とイスコに比べて推進力のあるアセンシオを起用する際には、より組織だった守備やプレッシングの強度を生かしてカウンター志向を強めている。さらに、サイドハーフのサポートを得たサイドバックの攻撃参加の頻度も高くなる特徴がある。 ▽ジダン監督が相手のプレスに対して真っ向から打ち合う場合にはイスコの起用と共に前述の[4-3-1-2]、[4-3-3]を、リバプールの遅攻の精度をウィークと考えて自陣に引き入れての戦いを想定した場合はカウンター向きの[4-4-2]を採用するはずだ。 ◆マドリーは後半勝負でリバプールは逃げ切りか?Getty Images▽一発勝負のファイナルで重要となるのが、試合途中に戦局を変えるゲームチェンジャーの存在だ。これ関してはこれまで神がかり的な采配を見せてきたジダン監督の勝負師としての才覚、選手層の厚さという意味でも明らかにマドリーに分がある。 ▽負傷離脱中のMFチェンバレンやMFララナ、MFジャンのコンディション不良によって主力と控えの実力に乖離があるリバプールは、DFクラバンやDFクラインといった守備固め要員以外に効果的な交代カードが存在せず、スタメン11人のパフォーマンスがより重要となるところだ。仮に、リードを許して試合終盤に投入できるカードは経験不足のFWソランケ、パンチ力不足のFWイングスしかおらず、リバプールが勝利するためには先行逃げ切りの形に持ち込むしかないと思われる。 ▽これに対して、一部ポジションを除き先発予想が難しいほど主力と控えの実力が拮抗しているマドリーは、3枚の交代枠を含めた“14人”での戦いが可能だ。とりわけ、先発に推す声もある絶好調のMFベイルはリバプールの運動量が落ち始めた後半に投入されれば、驚異的なスピードにシュートレンジの広さ、空中戦の強さと、相手守備陣に最も脅威を与える存在になりそうだ。さらに、中盤に活力を与えるMFコバチッチやDFナチョと緊急時にも自信を持ってピッチに送り出せる人材も揃っている。 2018.05.26 13:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】お祝いは沢山、あった方がいい…

▽「日曜夜のマドリッドは凄いことになるかも」そんな風に私がドキドキしていたのは金曜日、CL決勝の地、キエフに乗り込んだレアル・マドリーの試合後の予定を聞いた時のことでした。いやあ、先週の金曜はアトレティコのヨーロッパリーグ優勝祝賀行事でネプトゥーノの噴水を中心に通りがrojiblanco(ロヒブランコ/赤白のストライプ)に染まったんですが、お隣さんもtrigesimo(トリヘシモ/13回目のCL優勝のこと)を達成した場合、ウクライナから戻るのは5時間程の長旅。よって、恒例のシベレス広場への祝賀パレードやサンティアゴ・ベルナベウでのイベントは日を改めて、日曜午後に開催されるようなんですけどね。 ▽その脇で同じ日曜午後8時30分からはリーガ2部の41節が一斉にスタートし、ここ2試合、コルドバともう1つの2部のマドリッド勢アルコルコンに連敗。月曜にプレーしたウエスカに昇格確定1番乗りこそ、譲ってしまったものの、ラージョもバジェカスでルーゴに勝利するか、3位のスポルティングがグラナダに勝てなければ3年ぶりの1部復帰が決まることに。マドリー、アトレティコ、ヘタフェ、レガネスと肩を並べ、来季は前代未聞のマドリッド1部5チーム体制の幕開けとなれば、こちらでも大量のファンが駆けつける盛大な祝賀イベントが始まるのは容易に想像がついたから。 ▽いえ、同じマドリッド市内とはいえ、ベルナベウは北部、バジェカスは南部とメトロでも結構、離れているため、両チームのファンが混じり合うことはないと思いますけどね。ちょっと気の毒なのは大兄貴分のお祝いと被ってしまうと、その分、TVニュースで扱いが小さくなってしまうことですが、そんなの1部の大舞台に戻って来られるのに比べたら、何てことはない?万が一、予定が狂って、昨年のヘタフェのように昇格プレーオフに回ったりすると、6月中旬までシーズンが終わらないため、ラージョの選手たちも世間のCL決勝フィーバーには惑わされず、自分たちの仕事に集中してくれるといいのですが。 ▽とはいうものの、私も今週はほとんどマドリー関連のニュースしか聞いておらず、火曜には決勝前オープン・メディアデーが開催されたバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を訪問。いやあ何せ、ここ3年連続の恒例行事ですからね。世界各国から来た130のメディアで満員のプレスコンファレンスルームとか、シーズン中唯一、フルで公開される練習を見るため、かなり広いバルコニーに鈴なりになっているカメラとかはもう、見慣れた風景と言っていいかと。選手も記者会見方式のアトレティコと違って、マドリーはTVやラジオ、活字等のメディア別に選手のインタビューゾーンを設けてくれるんですが、クリスチアーノ・ロナウドやベイルといった人気選手は放映権を持つ放送局やレアル・マドリーTVにしか話さないといったところも毎年同じで、いえ、別にナチョやバジェホに偏見がある訳じゃないんですけどね。 ▽とはいえ、やっぱり決勝で主役になりそうな選手の顔を見たいと思ってしまうのが人情かと。ちなみに各紙の今週の先発予想記事を追っていくと、GKケイロル・ナバス、カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ、クロース、モドリッチ、カセミロ、ロナウドまでは確定で、残り2席をイスコ、ベイル、ベンゼマで争うという話から、ベルデベバスで「皆、準備できているよ。決めるのはジダン監督さ。それで給料もらっているんだから。Que se coma el marron/ケ・セ・コマ・エル・マロン(ババ引き役になるといい)」と笑っていたイスコがどうやら、1席を勝ち取ったような按配に。あとはベイルとベンゼマの競り合いとなりますが、リーガ最後の4試合で4ゴール挙げている前者の方が調子はいいのかもしれません。 ▽え、さすがにここ5年間で4回CLに優勝ともなると、決勝前の雰囲気にもマンネリ感が出て来るんじゃないかって?いやあ、それにはジダン監督も2005年以来、CL優勝がなく、クロップ監督も2013年の決勝でドルトムントを率いてバイエルンに敗れた経験しかないことから、リバプールの方が燃えているんじゃないかと問われ、「相手には相手の事情が、ウチにはウチの事情があるが、no me puedes decir que vamos a tener menos hambre/ノー・メ・プエデス・デシール・ケ・バモス・ア・テネール・メノス・アンブレ(我々がハングリー精神で劣っているとは言えない)」と、温厚な彼にしてはかなり語気を強めて反論していましたしね。 ▽ロナウドなども「Ganar mi quinta Champions seria la hostia/ガナール・ミ・キンタ・チャンピオンズ・セリア・ラ・オスティア(自分にとって5度目のCL優勝をゲットするのは最高だろう)」とマンチェスター・ユナイテッド時代の1回を加え、現在のチームで最多獲得選手になるのは励みになっているよう。実際、その上の6回はCL創成記の1900年代半ばにマドリーで達成したゲントだけですからね。当人が張り切るのも当然ですが、そんな中、今季はCL以外、リーガでもコパ・デル・レイでも優勝できなかったマドリーとあって、決勝ではベンチ外の可能性が高いテオが年子の兄、リュカにアトレティコのEL優勝を自慢され、「Espero que ganemos y ya se la devolvere yo/エスペロ・ケ・ガネモス・イ・ジャー・セ・ラ・デボルベレ・ジョ(ボクらも勝って、言い返してやるよ)」と息巻いていたのはまあ、気にしなくていいんですけどね。 ▽それでも「Doblete del Barcelona? La Champions lo eclipsa/ドブレテ・デル・バルセロナ?ラ・チャンピオンズ・ロ・エクリプサ(バルサの2冠?CL優勝はそれをかすませるよ)」というラモスを筆頭に、W杯のスペイン代表合宿で顔を合わせるピケ、イニエスタ、ジョルディ・アルバ、ブスケツらの前で肩身の狭い思いはしたくない選手(イスコ、カルバハル、アセンシオ、ルーカス・バスケス、ナチョ)が複数いますからね。金曜日、会場のオリンピスキー・スタジアムでの前日練習ではセッション後、ラモスやイスコらがピッチで小さい息子たちを遊ばせていた光景にはちょっと???となったものの、きっとその辺もいいモチベーションになってくれるんじゃないでしょうか。 ▽ちなみに相手のリバプールで話題になるのは1にプレミアリーグ得点王のサラ、2もサラ、3もサラといった感じだったんですが、エジプト人の彼は現在、イスラム教のラマダン(断食)中。チームに帯同しているスペイン人トレーナーからの情報では先週、マルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿していた際には日が出ている間、飲食はしないという教えを守り、母国の新聞でも「ラマダンをきっちりやって、家族もお供えに子牛3頭を捧げる予定」なんて報道もあったんですが、どうやらこの木曜からは通常の食事に戻したとか。 ▽それが怖いのはとりわけ、彼のいる右サイドでは「よく攻撃参加する選手だが、守備をしない」と英紙のインタビューでクロップ監督が名指ししたマルセロとマッチアップすることになるから(当人はその発言を前日に否定)。あまりエネルギー満々で来られたら、他にもマネやフィルミーノら、得点力のあるFWと相まって、苦労しそうな気がするんですが、試合前日記者会見に出た当人は「Sabemos lo que tenemos que hacer, yo sé exactamente cómo tengo que jugar/サベモス・ロ・ケ・テネモス・ケ・アセール、ジョ・セ・エクサクタエンテ・コモ・テンゴ・ケ・フガール(ボクらは何をしないといけないか、わかっている。自分もどういう風にプレーするか正確に知っているよ)」とまったく心配していないよう。 ▽もちろんマドリーには取られたら取り返せる攻撃力もありますしね。現地への航空運賃も宿泊費も天文学的に跳ね上がっているにも関わらず、応援に駆けつけた両チームのファンも撃ち合いの方が楽しめるのは間違いないかと。そんなCL決勝は土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)キックオフ。ちなみにアトレティコ同様、今回はチケットが完売せず、UEFAに1000枚を返したというマドリーですが、これが当日売りに回るのかは不明です。マドリッドではサンティアゴ・ベルナベウで大スクリーンを全方向に向けて設置したパブリック・ビューイングの他、市内にある映画館でも観戦イベントがあるため、滞在中の方は覗いてみるのもいいかもしれませんね。 ▽え、すでにバケーションに入っているアトレティコも今週はシーズン最後の親善試合があったんだろうって?そうなんですよ、実はW杯出場の各国代表に招集されているメンバーを除いて、月曜にナイジェリアに向かった彼らは同国代表Bチームと対戦。GKオブラクが出た前半に31分にはヌワクリにエリア前から撃ち込まれ、先制されてしまったものの、それから2分もしないうちにトマスの奪ったボールをもらい、コレアが敵GKとの1対1で同点ゴールをゲットしてくれます。後半には、これが本当に最後にアトレティコのユニを着てプレーする機会となったフェルナンド・トーレスが19分、コレアからのCKをヘッドで決めてリードを奪ったんですが…まさか34分、カンテラーノ(アトレティコBの選手)2人がゴール前で敵にあっさりかわされ、追いつかれてしまうとは、まったく情けない。 ▽でも大丈夫、40分にはビトロのラストパスをもらったフベニル(Bチームの1つ下のカテゴリー)所属のボルハ・ガルセスがエリア内からシュートを決めて、最後は2-3と勝ったアトレティコでしたが、何せこの日参加していたトップチームのメンバーはまだ移籍先を決めていないトーレスはともかく、7月初旬まで長いオフを楽しめますからね。W杯に行かないスロベニア代表の招集を免除されたオブラクなど、特に今季の疲れを癒してほしいかと。ちなみにモンテネグロ代表のサビッチはこの遠征に行かなかったんですが、水曜にはドイツで恥骨炎とヘルニアの手術をしたそうで、プレシーズンキャンプには回復が間に合うというのは朗報でしょう。 ▽その横でファンが一番、気になっているグリーズマンはリュカと一緒にフランス代表の合宿に入り、クレールフォンテーヌで毎日、汗を流しているんですが、今のところ、先行きに関するコメントはまったくなし。コケ、サウール、ジエゴ・コスタのスペイン代表組は来週月曜、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設でマドリーメンバーだけ除いたトレーニングが始まるまでの短い1週間、バケーションに精を出しているようです。まあ、W杯に参加する選手たちに関してはCL決勝が終わったら、また情報も増えてくると思いますけどね。もう弟分チームなどはせいぜい、レガネスを退団したガリターノ監督がレアル・ソシエダと3年契約を結んだぐらいで、あとは移籍関連記事ぐらい。ヘタフェもレガネスもW杯に行く選手は数人止まりですし、クラブのファンには寂しい時期になってしまったといったところでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.26 13:00 Sat
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【2017-18リーガエスパニョーラベストイレブン】バルセロナから最多4選手を選出

▽2017-18シーズンのリーガエスパニョーラが終了しました。そこで本稿では今季のリーガエスパニョーラベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆リーガエスパニョーラベストイレブン GK:オブラク DF:ジェネ、ゴディン、ユムティティ MF:ゴンサロ・ゲデス、ファビアン・ルイス、パレホ、イニエスタ、ジョルディ・アルバ FW:メッシ、ストゥアーニ GK ヤン・オブラク(25歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:37(先発:37)/出場時間:3330分 失点数:22Getty Images▽今季も抜群の安定感を示して3年連続のサモラ賞(最優秀GK)を獲得した。今季チームは昨季から11点も少ない58得点と深刻な得点力不足に悩まされた。その中で2位フィニッシュできた最大の要因こそ昨季の26失点を上回る堅守を築いた守備陣。とりわけ、相手の決定的な枠内シュートを驚異的な反応で防ぎ続けたスロベニア人守護神の躍動ぶりは見事だった。前半戦のインパクトではバルセロナGKテア・シュテーゲンに劣るも文句なしの今季最優秀GKだ。 DF ジェネ・ダコナム(26歳/ヘタフェ) 出場試合数:36(先発:36)/出場時間:3240分 得点数:1Getty Images▽リーグ3位の堅守を支えた遅咲きの万能型DF。今季、ベルギーのシント=トロイデンから加入した26歳のトーゴ代表DFはセグンダのアルコルコンでのプレー経験はあったもののプリメーラは初挑戦だった。しかし、180cmに満たないサイズながらも圧倒的な身体能力やスピードを武器に世界屈指のアタッカー陣との一対一をことごとく制すなど対人守備は無敵。さらに、フィジカル能力に長けた選手にありがちな集中力や無謀なプレーも少なく、チームの組織的な守備にも順応していた。今夏の移籍市場では間違いなくビッグクラブが触手を伸ばすはずだ。 DF ディエゴ・ゴディン(32歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:30(先発:28)/出場時間:2553分 得点数:0Getty Images▽堅守アトレティコの頼れるディフェンスリーダーは今季も健在。対戦相手による徹底対策の影響か、チーム全体でセットプレーが機能せず珍しく無得点でシーズンを終えた。ただ、本職の守備ではリュカ、サビッチ、ホセ・ヒメネスと相棒が入れ替わる中で見事な統率力を発揮して昨季以上の堅守構築に大きく貢献した。 DF サミュエル・ユムティティ(24歳/バルセロナ) 出場試合数:25(先発:24)/出場時間:2189分 得点数:1Getty Images▽前半戦の堅守を支えた若きディフェンスリーダー。加入2年目で凄みを増した今季は組織的な守備の構築に長けた新指揮官の下で守護神テア・シュテーゲンと共に躍動。卓越した身体能力とプレーリードを武器に相手のエースストライカーをことごとく封殺。また、ビルドアップの局面では昨季以上に安定したパス捌きを見せていた。 MF ゴンサロ・ゲデス(21歳/バレンシア) 出場試合数:33(先発:27)/出場時間:2437分 得点数:5Getty Images▽クリスティアーノ・ロナウド2世が完全ブレイク。昨季、途中加入したパリ・サンジェルマンでは思うように出場機会を得られず、昨夏にレンタル移籍でバレンシアに加入すると、下馬評が低かったチームと同様に序盤から快進撃を見せた。若かりし頃のC・ロナウドを彷彿とさせる驚異的な加速力と足元のテクニックを武器に左サイドを蹂躙し高速カウンターの担い手になると共に、ハイスピードでも落ちないプレー精度と判断力で5ゴール11アシストとフィニッシュの場面の存在感も抜群。両足から繰り出されるパンチのあるシュートに磨きがかかれば、さらなる飛躍も期待できる。 MF ファビアン・ルイス(22歳/ベティス) 出場試合数:34(先発:30)/出場時間:2642分 得点数:3Getty Images▽今季のリーガ最大のサプライズ。直近の2シーズンはリーグ戦16試合の出場にとどまり、同い年で同じレフティのダニ・セバージョス(現レアル・マドリー)の陰に隠れていた。しかし、セティエン新監督の下ポゼッションスタイルに変貌を遂げたチームでポジションを勝ち取ると、優れたパスセンスと球際の強さ、運動量を生かして瞬く間に若きリーダーに成長した。アトレティコMFサウールを彷彿とさせる189cmの大型MFはすでに国内外のビッグクラブの関心を集めるも、移籍のタイミングを見誤った親友セバージョスを教訓に残留が濃厚だ。来季はEL出場権を手にしたベティスで更なる飛躍が期待される。 MF ダニエル・パレホ(29歳/バレンシア) 出場試合数:34(先発:34)/出場時間:3005分 得点数:7(PK6)Getty Images▽バレンシア復活の立役者。近年、迷走を続けていたクラブと共に自身もナイトクラブでのチーム批判や移籍騒動など、ピッチ内外で問題を抱えていた悩めるカピタン。だが、今季はマルセリーノ新監督の下で堅守速攻にスタイル変更したチームの絶対的司令塔として、かつて天才MFと評された頃のパフォーマンスを取り戻した。卓越した戦術眼とパスセンスを生かして縦への意識が強いチームの攻撃に抜群の間を与えると共に、課題の守備でも大きな改善を見せて攻守に戦えるピボーテという新境地を開いた。惜しくもロシアW杯行きを逃すも今年3月には28歳でスペイン代表デビューを飾るなど、充実のシーズンを過ごした。 MF アンドレス・イニエスタ(34歳/バルセロナ) 出場試合数:30(先発:25)/出場時間:1842分 得点数:1Getty Images▽22年を過ごしたブラウ・グラナを去る偉大なるMF。加齢によるパフォーマンス低下もあってルイス・エンリケ前体制下では存在感を失いつつあったイニエスタだが、今季は[4-4-2]と[4-3-3]を併用したバルベルデ率いるチームで左サイドハーフとインテリオールで持ち味の超絶技巧を遺憾なく発揮。とりわけ、同サイドのジョルディ・アルバと盟友メッシとのコンビネーションは圧巻の一言。Jリーグのヴィッセル神戸移籍が決定し、日本のフットボールファンにとってはそのプレーをスタジアムで拝める特権を味わえることになる。 MF ジョルディ・アルバ(29歳/バルセロナ) 出場試合数:33(先発:30)/出場時間:2744分 得点数:2Getty Images▽ネイマール移籍の恩恵を最も享受した男。ここ数年は一列前のネイマールを後方から支援する黒子の役割を求め続けられたアルバだが、今季は左ウイングとしてバルセロナの攻撃をけん引した。爆発的なスピードと職人芸の飛び出しを武器に、メッシからの対角線のスルーパス、イニエスタの抜群のタメからの短いスルーパスに抜け出しては正確なマイナスのクロスやシュートでフィニッシュに絡み、2ゴール9アシストを記録。また、守備の局面でもネイマールが居なくなったことで前線からのサポートも強まり、余裕を持った対応が目立った。 FW リオネル・メッシ(30歳/バルセロナ) 出場試合数:36(先発:32)/出場時間:2996分 得点数:34(PK2)Getty Images▽今季のリーガ最優秀プレーヤー。30歳になって初めてのシーズンに臨んだアルゼンチン代表FWは、今季更なる進化を見せた。バルベルデ新監督の下でトップ下や2トップの一角という新たな役割を与えられた中、34ゴール12アシストとフィニッシャーとチャンスメーカーの2つの役割を異次元のレベルでこなした。 FW クリスティアン・ストゥアーニ(31歳/ジローナ) 出場試合数:33(先発:32)/出場時間:2724分 得点数:21(PK5)Getty Images▽3年ぶり復帰のリーガでキャリアハイの21ゴール。ミドルズブラでの2シーズンを経て2015年のエスパニョール時代以来のリーガ復帰を果たした31歳のウルグアイ代表FW。マチン監督の下で昨季セグンダ2位のジローナのエースストライカーに収まると、攻守にインテンシティの高いチームをけん引した。屈強なフィジカルを生かしたポストワーク、ベテランストライカーらしいペナルティエリア内の嗅覚、決定力を武器に小兵ポルトゥとの名コンビでゴールを量産。とりわけ、プレースキックの場面では正確なキックを誇るグラネルとのホットラインがチームの強力なストロングポイントとなっていた。 2018.05.25 19:31 Fri
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【リーガエスパニョーラ・シーズン総括】最優秀選手はメッシ!

★無敗逃すも新生バルサが圧倒的強さで覇権奪還 ▽昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)連覇と共に5年ぶりのリーガ制覇を成し遂げたレアル・マドリーに対して、バルセロナがFWネイマールの退団、アトレティコ・マドリーがFIFAからの補強禁止処分という不安材料を抱えたことで、昨季王者優勢と思われた今季のリーガ。しかし、最終的には開幕から36試合無敗を継続したバルセロナが2位以下に14ポイント差を付ける圧勝劇で2年ぶりの優勝を果たした。 ▽昨夏、ネイマールのパリ・サンジェルマン電撃移籍、スーペル・コパでのレアル・マドリー相手の屈辱的な連敗で厳しいシーズンのスタートを切ったバルセロナだが、バルベルデ監督仕込みの組織的な守備と“戦術メッシ”で序盤戦を乗り切ると、そこからは攻守に安定したパフォーマンスをみせ、12月に行われた敵地でのエル・クラシコに圧勝するなど、圧倒的な強さで前半戦を首位で終えた。後半戦に入ると苦手の1月と2月に取りこぼしが目立ったものの、幾度となく訪れた敗戦のピンチを凌ぐと、勝ち点5差に迫られた2位アトレティコとの直接対決をメッシの直接FK弾で勝ち切って優勝に大きく前進。そして、第35節のデポルティボ戦をきっちり勝ち切って2年ぶりのリーガ制覇を成し遂げた。 ▽そのバルセロナに14ポイント差を付けられるも、宿敵レアル・マドリーより上の2位フィニッシュを決めたアトレティコは、3度目のヨーロッパリーグ(EL)制覇まで成し遂げワンダ・メトロポリターノでの最初のシーズンを終えた。前述の補強禁止処分や主力の負傷離脱に悩まされた前半戦はエースFWグリーズマンのスランプもあり、厳しい戦いを強いられた。それでも、GKオブラクやDFゴディンを中心とした堅守で勝ち点を積み重ねると、FWジエゴ・コスタとMFビトロの登録が可能となった今年1月以降は攻守に安定感を取り戻してバルセロナを猛追。直接対決での敗戦が響いて逆転優勝はならなかったものの様々な逆風を考えれば、まずまずのシーズンだったと言える。 ▽一方、シーズンを通して大苦戦を強いられた昨季王者レアル・マドリーは、エースFWクリスティアーノ・ロナウドら主力の不振が響いた序盤戦の戦いが痛恨となり、前半戦終了を待たずして優勝争いから脱落。そのため、後半戦はCL3連覇に向けた調整の場としての意味合いが強まった。バレンシアの失速もあり、最低限の3位でシーズンを終えることに成功したが、今月26日に行われるCL決勝でリバプールに敗れることになれば、ジダン監督の更迭や大幅な選手の入れ替えなど、変革の夏を過ごすことになるかもしれない。 ▽CL出場権争いとEL出場権争いではマルセリーノ新監督の下で復活を印象付けた4位バレンシア、シーズン序盤のカジェハ新体制移行が実った5位ビジャレアルのバレンシア勢、セティエン新監督の下で結果と内容が伴った6位ベティス、2度の監督交代に踏み切りながらも粘った7位セビージャのアンダルシア勢が来季ヨーロッパへの切符を手にした。とりわけ、粘り強い守備と縦への攻撃意識が顕著だったバレンシア、質の高いポゼッションスタイルを見せたベティスの2チームは今季リーグ戦を大いに盛り上げた好チームだった。 ▽一方、例年熾烈を極める残留争いに関しては序盤戦から低迷した最下位マラガ、19位ラス・パルマスが早々に降格を強いられると、セードルフ新監督の下で巻き返しを図った18位デポルティボも第35節で優勝を決めたバルセロナを前に敗れ、3節を残して前述の2チームに続きセグンダ行きが決定した。 ▽最後にエイバルのMF乾貴士、ヘタフェのMF柴崎岳という2人の日本人選手では、エイバル3年目で完全にリーガの水に馴染んた乾が34試合出場で5ゴール2アシストときっちり結果を残した。一方、シーズン序盤のバルセロナ戦で鮮烈なリーガ初ゴールを記録した柴崎だが、負傷による長期離脱以降は守備的なチームスタイルに順応できず、リーグ戦22試合(先発12試合)で1ゴール0アシストと控えに甘んじる厳しい1年となった。なお、乾は今季限りでエイバルを去り、来季はベティス行きの可能性が伝えられている。また、柴崎も今季限りでクラブを去る可能性が伝えられている。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆FWリオネル・メッシ(バルセロナ)Getty Images▽成長し続けるフットボール界最高のメガクラックが文句なしで今季のリーガMVPだ。今季はトップ下と2トップの一角として新境地を開くと、圧巻の仕掛けと決定力でフィニッシャーとして機能したうえ、MFパウリーニョやDFジョルディ・アルバを巧みに生かす司令塔の二役を担い、34ゴール12アシストという圧倒的な数字で2年連続のゴールデンシュー&ピチーチ賞にリーガアシスト王を獲得。また、覇権を争うマドリードの2強との直接対決では4試合で3ゴールを挙げる勝負強さも発揮し、チームを2シーズンぶりの国内2冠に導いた。さらに、今季は直接FKからキャリアハイの6本のゴールを記録しており、世界最高のフットボーラーの進化は続く。 ★最優秀監督 ◆エルネスト・バルベルデ(バルセロナ)Getty Images▽自身初のビッグクラブ挑戦でシーズン2冠に導いた智将が文句なしの最優秀監督だ。第37節のレバンテ戦でのよもやの敗戦によって38試合制で初となる無敗優勝を逃したものの、28勝9分け1敗、99得点29失点という圧倒的なスタッツで2位以下に14ポイント差を付けての優勝は見事の一言だ。ネイマールの電撃移籍に昨夏の補強失敗とクラブから十分なサポートを得られなかった中、多くの中小クラブを率いた経験を武器に現有戦力を巧みに生かし切った。とりわけ、ネイマール移籍を逆手に取った[4-3-1-2]、[4-4-2]へのシステム変更によって守備の安定を図ると共に、メッシを再びゴールに近い位置に配置したことでゾーン3の攻略に専念させることに成功した。また、ルイス・エンリケ体制での課題だったメッシやFWルイス・スアレス、MFブスケッツといった主力のコンディション調整に関しても積極的なターンオーバーを採用することで、一部の時期を除いて良好なコンディションをキープさせた。よりサポートが見込める来季に向けてはスペクタクルなスタイルへの変貌も期待されるところだ。 【期待以上】 ★チーム ◆ベティスGetty Images▽昨季の15位から6位に大きく躍進を遂げて悲願のEL出場権を獲得した。ラス・パルマスで魅力的なアタッキングフットボールを展開したキケ・セティエン新監督を招へいしたベティスはシーズン序盤こそ後方から丁寧にショートパスを繋ぐ新スタイルへの適応に苦戦し大量得点、大量失点という出入りの激しい大味な試合が目立った。それでも、敵地でレアル・マドリーを撃破するなど、時にビッグクラブを凌駕する痛快な戦いも見せていた。その後、今年3月に入って[4-3-3]から[3-5-2]へとシステムを変更すると、6戦連続クリーンシートを含む7勝1分けの8戦無敗と圧巻のパフォーマンスを見せ、宿敵セビージャより上の6位でフィニッシュした。最優秀監督との声も挙がるセティエン監督の見事な手腕に加え、MFブデブス、DFバルトラといった新戦力の活躍、MFファビアン・ルイスやFWロレンら若手のブレイクとクラブ全体の機能性も素晴らしかった。 ★選手 ◆MFホアキン・サンチェス(ベティス)Getty Images▽完全復活のベティスをけん引した百戦錬磨のベテランMF。2015年にキャリアの終焉の地として古巣に復帰したホアキンだが、今年7月に37歳となるベテランMFは今季も健在ぶりを見せた。自身の代名詞である右サイドでの痛快なドリブル突破を見せる機会は稀になったものの、豊富なキャリアの中で獲得した戦術眼とテクニックを生かしリーグ戦35試合で4ゴール8アシストという素晴らしい数字を残した。とりわけ、シーズン後半戦に入ってからは[3-5-2]のインサイドハーフや2シャドーの一角としてプレーし、前線と中盤のリンクマンとして圧巻の存在感を放った。 【期待外れ】 ★チーム ◆セビージャGetty Images▽CLで初のベスト8進出にコパ・デル・レイ決勝進出、来季EL予備予選出場の7位フィニッシュと結果だけを見れば、悪いシーズンと断定できないが、1年を通して迷走ぶりが目立った。サンパオリ前監督、伝説的なSDモンチ氏の退団によってベリッソ監督、アリアスSDの下で新たなシーズンをスタートしたセビージャはクラブ最高額で獲得したFWムリエルやFWノリート、MFバネガ、DFケアー、MFヘスス・ナバスなど積極的な補強を敢行。シーズン序盤こそまずまずの滑り出しを見せたものの、消耗が激しいベリッソ監督の戦術に選手たちが耐え切れず調子が下降すると、健康問題とMFエンゾンジら主力との確執が伝えられたアルゼンチン人指揮官が昨年末に電撃解任。その後任にモンテッラ監督を招へいも就任後16試合で5勝7敗4分けと更なる低迷を招き、アリアスSDと共にシーズン終盤に更迭が決定。その後、ホアキン・カパロス暫定監督の下で何とか7位フィニッシュを果たしたものの、クラブの将来に不安を残す1年となった。 ★選手 ◆FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)Getty Images▽深刻な得点力不足に陥り、マドリディスタの怒りを買う。今シーズン、リーグ戦32試合出場と定期的に出場機会を与えられたベンゼマだが、マドリー加入後最低の5ゴール(PK2)に終わった。もちろん、2桁アシストを記録するなど利他的なプレーでチャンスメークに奮闘していた点は評価に値するが、世界屈指の名門のセンターフォワードとしては完全に期待外れだ。チャンスの数自体が少なければまだ弁解の余地はあるが、再三のカウンターチャンスやゴール前の決定機で目を覆いたくなるばかりのシュートミスが目立った。シーズンを通してサンティアゴ・ベルナベウでブーイングに晒されており、今季限りでの退団が濃厚か…。 2018.05.25 19:30 Fri
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【2017-18セリエAベストイレブン】ユーベとラツィオから3選手を選出

▽2017-18シーズンのセリエAが終了しました。そこで本稿では今季のセリエAベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆セリエAベストイレブン GK:アリソン DF:シュクリニアル、ベナティア、クリバリ MF:ディバラ、ルーカス・レイバ、ミリンコビッチ=サビッチ、ドグラス・コスタ FW:インモービレ、イカルディ、インシーニェ GKアリソン・ベッカー(25歳/ローマ)Getty Images出場試合数:37(先発回数:37)/失点数:28/出場時間:3330分 ▽消化試合の最終節を除いてフルタイム出場を果たした。今季より正GKを任されたセレソンの守護神は、ユベントスに次ぐリーグ2位の28失点に抑えた。卓越したセービング能力でピンチを切り抜け、得点力にやや欠けた今季のローマを最後方から支え、勝利に導いた。 DFミラン・シュクリニアル(23歳/インテル)Getty Images出場試合数:38(先発回数:38)/得点数:4/出場時間:3420分 ▽フルタイム出場。スパレッティ監督の信頼を即座に勝ち取ったスロバキア代表DFは自身の能力をビッグクラブのインテルでも臆することなく発揮。今やセリエA屈指のセンターバックと評してもいいレベルの選手に進化を遂げた。 DFメディ・ベナティア(31歳/ユベントス)Getty Images出場試合数: 20(先発回数: 19)/得点数:2/出場時間:1754分 ▽ボヌッチの穴を見事に埋める活躍を見せた。昨季はケガで思うようにプレーできなかったベナティアだったが、移籍2年目の今季は真価を発揮。抜群の戦術眼と対人の強さで相手のエースFWをことごとく潰して見せた。安定感に関しても群を抜いており、ユベントスの堅守が復活したのは彼の能力に拠るところが大きかった。 DFカリドゥ・クリバリ(26歳/ナポリ)Getty Images出場試合数:35(先発回数:35)/得点数:5/出場時間:3066分 ▽今季も怪物級と称されるフィジカルを武器に抜群の存在感を放った。また、足下の技術も非凡で後方から繋ぐサッカーを展開していたサッリ監督の戦術にマッチするセンターバックだった。攻撃時のセットプレーでも脅威となり、キャリアハイの5ゴールをマーク。メガクラブがこぞって欲しがる世界屈指のセンターバックだ。 FWパウロ・ディバラ(24歳/ユベントス)Getty Images出場試合数:33(先発回数:26)/得点数:22/出場時間:2356分 ▽開幕から6試合で9ゴールとチームをロケットスタートに導いた。その後失速してスタメンを外れるなど波のあるシーズンを送ったが、最終的にキャリアハイの22ゴールに到達。ユベントスの7連覇に大きく貢献した存在に変わりはない。この活躍が認められ、激戦のアルゼンチン代表入りも果たし、初のワールドカップ行きが確定した。 MFルーカス・レイバ(31歳/ラツィオ)Getty Images出場試合数:36(先発回数:35)/得点数:2/出場時間:2893分 ▽リバプールで出番を失っていたベテランの元ブラジル代表MFだったが、その実力は確かだった。ビリアを失ってチームの心臓を欠いた今季のラツィオだったが、その穴をルーカス・レイバが見事に埋めた。攻守正面で前任者に匹敵する質の高いプレーを見せ、リーグ最高の得点力を誇ったチームを中盤から支えた。 MFミリンコビッチ=サビッチ(23歳/ラツィオ)Getty Images出場試合数:35(先発回数:33)/得点数:12/出場時間:2850分 ▽彼にとって飛躍のシーズンとなった。昨季まではゴールに絡むプレーができずにいたが、今季は12ゴールを記録。タイミング良くゴール前に顔を出して得点する形ができ上がり、得点力が開花した。191cmの長身ながら足元は柔らかく、ゴール前で危険な存在となった。この活躍を受けてマンチェスター・ユナイテッドが獲得に興味を持つまでに至った。 FWドグラス・コスタ(27歳/ユベントス)Getty Images出場試合数:31(先発回数:18)/得点数:4/出場時間:1790分 ▽シーズン前半はチームとリーグに馴染む時間が与えられ、本領を発揮するには至っていなかったが、シーズン半ば以降に持ち前の爆発的なスピードを駆使した圧巻の突破力で多くの好機を生み出した。高速ドリブルからの高速クロスやパワーシュートで4ゴール13アシストを記録。試合の勝敗を左右するようなゴールに直結するプレーを幾度も見せ、違いを生んだ。 FWチーロ・インモービレ(28歳/ラツィオ)Getty Images出場試合数:33(先発回数:33)/得点数:29/出場時間:2696分 ▽29ゴール10アシストと圧巻の結果を残し、ラツィオの攻撃を牽引した。今季はL・アルベルトと2トップでコンビを組み、絶妙な関係性を構築。ラストパスを出せるL・アルベルトとホットラインを築き、多くのゴールを生み出した。 FWマウロ・イカルディ(25歳/インテル)Getty Images出場試合数:34(先発回数:34)/得点数:29/出場時間:2970分 ▽インモービレと共に得点王を獲得。質の高い両ウインガーから送られてくるクロスボールをゴールに押し込む最後の仕上げを確実にこなした。フィニッシャーとしての役割を遂行し、インテルにCL出場権をもたらした。 FWロレンツォ・インシーニェ(26歳/ナポリ)Getty Images出場試合数:37(先発回数:36)/得点数:8/出場時間:3102分 ▽8ゴール11アシストを記録し、ゴールに直結するプレーを続けた。多彩な攻撃を誇るナポリだが、その大半は彼のいる左サイドから生まれる。左斜め45度の位置はインシーニェ・ゾーンと命名しても良いくらいの高いシュート決定率を誇った。 2018.05.25 18:01 Fri
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【セリエAシーズン総括】最優秀選手はブッフォン!

★ナポリとのスクデット争いを制したユーベが7連覇 ▽ナポリとのハイレベルなスクデット争いを制した絶対王者ユベントスが7連覇を達成した。守備の要ボヌッチがミランに電撃移籍した中、知将アッレグリ監督が見事な手綱捌きを見せた。シーズンが深まるにつれてチームの骨格が定まっていくと、ボヌッチの穴はDFベナティアが埋め、新戦力のFWドグラス・コスタとMFマテュイディがみるみるチームにフィットし、チーム力を押し上げた。シーズン終盤、ナポリとの直接対決に敗れ、1ポイント差まで詰め寄られたが、王者の底力を発揮して最終節を前に優勝を決めた。 ▽28年ぶりのスクデット獲得が現実味を増しながらもあと一歩届かなかったナポリだが、例年であれば十分スクデットに手が届く好成績を収めた。サッリ体制3季目のチームは欧州でも屈指のパスワークを駆使し、観るものを魅了するサッカーで勝利を積み重ねた。惜しむらくはサッリ監督の選手固定によりシーズン終盤、主力選手に勤続疲労が溜まってしまったことか。サッリ体制からアンチェロッティ体制に刷新される新シーズンはバックアッパーの底上げが課題となる。 ▽ディ・フランチェスコ体制1季目のローマは、優勝争いこそ絡めなかったもののチャンピオンズリーグ(CL)でベスト4に進出するなど、充実のシーズンを過ごした。とりわけバルセロナ戦はクラブ史に残る奇跡の大逆転劇を演じ、世界に衝撃を与えた。立役者のディ・フランチェスコ監督はサッスオーロで披露していた攻撃サッカーではなく堅実なサッカーで勝ち点を積み上げ、ノルマのCL出場権獲得を果たした。 ▽4位に滑り込んだのは最終節でラツィオとの直接対決を劇的に制したインテルとなった。シーズン前半、スパレッティ監督の手腕によって順調に勝利を積み重ねたが、牽引者のペリシッチとカンドレーバの両翼が疲労によりパフォーマンスを落としたシーズン半ば以降は8試合勝利から見放されるなど大いに苦しんだ。それでもラツィオの自滅に近い形で最後にCL出場権を7年ぶりに手にし、有終の美を飾った。 ▽惜しくもCL出場権を手にできなかったものの、ラツィオは大健闘のシーズンを送った。シーズン前にMFビリアとFWケイタの両主力が抜けたものの、MFルーカス・レイバとFWルイス・アルベルトが見事に穴を埋める活躍を見せ、S・インザーギ監督の手腕で意外な攻撃力を爆発させたチームは、リーグ最多の89ゴールをマーク。CL出場権争いを大いにかき回す存在となった。 ▽一方で期待に応えられなかったのがミラン。大型補強を敢行しながらもFWカリニッチとFWアンドレ・シウバが全く機能せず、モンテッラ監督が11月に首を切られた。後任のガットゥーゾ監督によってディフェンスが整備されたことで復調したものの、根本の得点力不足に大幅な改善は見られず、ヨーロッパリーグ出場権獲得がやっとの状況だった。 ▽残留争いではセリエAに定着しているウディネーゼとキエーボが最終節まで降格の危機に瀕したが、終わってみればベネヴェントとヴェローナが1年で、クロトーネが2年での降格と順当な結果に落ち着いている。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆GKジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)Getty Images▽ディバラやベナティア、ドグラス・コスタらも最優秀選手に匹敵する活躍を見せたが、いずれの選手もシーズンを通した活躍ができていたとは言えず、17年在籍したユベントスを今季限りで退団することになった守護神のブッフォンを特別に選出した。40歳となった今なお衰えない身体能力と豊富な経験を武器に安定感あるゴールキーピングを今季も披露し、ユベントスの7連覇に大きく貢献した。 ★最優秀監督 ◆マッシミリアーノ・アッレグリ(ユベントス)Getty Images▽ボヌッチと袖を分かった中、自身の哲学が間違っていなかったことを示した。主力であっても容赦のない采配で選手と衝突することも度々あるアッレグリ監督だが、すべてはチームの勝利のためであり、シーズンが終わってみれば監督が正しかったことが頷ける結果となっている。これでユベントスはアッレグリ監督就任後、セリエAとコッパ・イタリアでいずれも4連覇を達成。ユベントスのクラブ史に残る名将として名を刻んでいる。 【期待以上】 ★チーム ◆アタランタGetty Images▽MFケシエとDFコンティの両主力を失った中、フロントの的確な補強によって選手層の厚みを増し、ELを戦いながら7位で終えたのは、このクラスのチーム力を考えれば大成功のシーズンだったと言える。知将ガスペリーニ監督に率いられたチームは、無名に近い選手たちをセリエAで戦えるレベルにまで引き上げ、ELを戦うことによって過密となったシーズンをうまく乗り切ることに成功した。ELでは惜しくもドルトムントに敗れたが、セリエAではミランと競り合っての7位と十分な結果を残し、2年連続でのEL出場権を手にした。 ★選手 ◆DFアレクサンドル・コラロフGetty Images▽マンチェスター・シティの余剰人員的な立場でローマにやってきたセルビア代表左サイドバックだったが、依然として世界最高レベルの左足を持っていることを見せ付けた。元々ラツィオで台頭したコラロフにとっては、ライバルクラブの加入ということもあってロマニスタからは厳しい目で見られていたが、プレッシャーに感じることなくひょうひょうとプレー。課題の守備もそつなくこなし、攻守に質の高いプレーを披露し続けた。 【期待外れ】 ★チーム ◆ミランGetty Images▽昨夏、総額2億ユーロ(約265億円)以上をつぎ込んで好選手を多数補強したものの、多くの選手がフィットしないままシーズンを終えた。11月終盤、モンテッラ監督を解任したチームは、クラブのレジェンドでもあるガットゥーゾ監督の手腕によって最低限のEL出場を決めたが、到底満足できるようなシーズンではなかった。 ★選手 ◆FWニコラ・カリニッチ(ミラン)Getty Images▽エースストライカーとしての役割が期待されながらもセリエAで6ゴールに終わったクロアチア代表FWを選出。2ゴールに終わったFWアンドレ・シウバも大きく期待を裏切ったが、フィオレンティーナでエースとして活躍していたカリニッチの低調なプレーも誤算だった。ビッグクラブの重圧に押し潰されたのか、決定力をことごとく欠いた。 2018.05.25 18:00 Fri
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【2017-18プレミアリーグベストイレブン】王者シティから大半を占める6選手が選出

▽2017-18シーズンのプレミアリーグが終了しました。そこで本稿では今季のプレミアリーグベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆プレミアリーグベストイレブン GK:デ・ヘア DF:ウォーカー、オタメンディ、ヴェルトンゲン、マルコス・アロンソ MF:デ・ブライネ、フェルナンジーニョ、シルバ FW:サラー、ケイン、スターリング GK ダビド・デ・ヘア(27歳/マンチェスター・ユナイテッド) 出場試合数:37(先発:37)/出場時間:3330分 失点数:28Getty Images▽ユナイテッドのリーグ2位の失点数を支えたのはこの男。驚異的な反射神経と身体能力でビッグセーブを連発し何度もピンチを救った。18度のクリーンシートはリーグ最多の数字だ。 DF カイル・ウォーカー(27歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:32 (先発:32)/出場時間:2787分 得点数:0Getty Images ▽移籍金5000万ポンドでトッテナムから加入したウォーカーはすぐさまグアルディオラ監督のスタイルに順応。効果的な上下運動を繰り返し驚異的な支配率を誇るシティのフットボールを支えた。 DF ニコラス・オタメンディ(30歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:34試合(先発:33)/出場時間:2968分 得点数:4 Getty Images ▽ペップの下で足元の技術が洗練されたオタメンディは元々の守備力に加えビルドアップ能力も身に着けた。183cmという比較的低身長にもかかわらず空中戦でも強さを見せ、セットプレー時では相手の脅威となった。 DF ヤン・ヴェルトンゲン(31歳/トッテナム) 出場試合数:37(先発:37)/出場時間:3296分 得点数:0Getty Images▽1試合あたりの失点数を「1」以下に抑えたこの男の貢献度は計り知れない。シーズン途中に長期離脱を強いられたアルデルヴァイレルトに代わって抜擢されたダビンソン・サンチェスと鉄壁の“元アヤックスコンビ"を築き、持ち前のキック精度の高さで攻撃陣を後方から支援する姿も見受けられた。 DF マルコス・アロンソ(チェルシー) 出場試合数:33(先発:33)/出場時間:2860分 得点数:7Getty Images ▽昨季王者から唯一の選出。昨シーズン、ヴィオラ時代にもプレーしたウイングバックに主戦場を見出したマルコス・アロンソは今季もその攻撃力を遺憾なく発揮。第2節のトッテナム戦での2ゴールや第18節のセインツ戦での決勝点など大事な場面での得点が光った。卓越した左足のプレースキックを武器に低空飛行を続けたチェルシーで一定のパフォーマンスを披露し、今季はスペイン代表デビューも飾った。 MF フェルナンジーニョ(33歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:34(先発:33)/出場時間:2885分 得点数:5Getty Images ▽今季で5シーズン目を迎えた33歳のベテランはこのチームのキーマンとなった。守備からボールを繋ぐ前線への橋渡し役としての重要な役割を完遂。抜群のボール回収能力でシティの怒涛の攻撃を陰からアシストした。 MF ケビン・デ・ブライネ(26歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:37(先発:37)/出場時間:3085分 得点数:8 Getty Images▽新設された“アシスト王"の初代受賞者が文句なしの選出。今季のシティはデ・ブライネなしでは語れない。指揮官も「プレミアに彼以上の選手はいない」と舌を巻くほど、今シーズンのデ・ブライネはシュート、パス、ドリブル、いずれをとってもパーフェクトだった。 MF ダビド・シルバ(32歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:29(先発:28)/出場時間:2437分 得点数:9Getty Images ▽目まぐるしく入れ替わるチームの中で、今季で8シーズン目を迎えたシルバはシーズンを通してハイパフォーマンスを披露。ザネやジェズス、スターリングら若手をまとめ上げた司令塔には同胞の指揮官グアルディオラからの信頼も絶大だった。 FW モハメド・サラー(25歳/リバプール) 出場試合数:36(先発:34)/出場時間:2920分 得点数:32(PK1) Getty Images ▽序盤から驚異的なペースで得点を重ね、得点王と共に、今季のプレミア最優秀選手賞を獲得したサラー。抜群のスピードと得点感覚で簡単に得点を奪ってしまう姿は “ファラオ(王)”と呼ぶにふさわしかった。ゴール数だけでなくアシスト数も「11」と、合わせて43ゴールを創出。守備でも献身的に走り、今季のサラーは欠点が見当たらなかった。 FW ハリー・ケイン(24歳/トッテナム) 出場試合数:37(先発:34)/出場時間:3083分 得点数:30(PK2) Getty Images▽2017年はケインの年になった。プレミア年間36得点&2017年56得点でメッシや、イングランドのレジェンド、シアラーを凌駕。3年連続プレミア得点王とはならなかったものの、キャリアハイの30得点の大台に乗せてきたところはさすがの一言。キャプテンにも任命されたワールドカップでも活躍が期待される。 FW ラヒーム・スターリング(23歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:33(先発:30)/出場時間:2593分 得点数:18(PK1)Getty Images▽1シーズン18ゴール11アシストは当然のようにキャリアハイの数字で、ゴールに直接絡んだ回数では、チーム内得点王のアグエロを上回る。とりわけ、第3節のボーンマス戦や、第14節のセインツ戦の後半アディショナルタイムでの劇的決勝弾は特筆もの。この勝利がシティの快進撃を支えたのは言うまでもない。 2018.05.25 01:01 Fri
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【プレミアリーグ・シーズン総括】最優秀選手はサラー!

★ペップ・シティが完全優勝 ▽今季はマンチェスター・シティの完全優勝と言っていいだろう。第5節で今季初めて首位に立つと、第3節からリーグ記録の18連勝を収め、他の追随を許さずトップを独走。その後も調子を落とすことなく首位を保ち、4月15日、第34節を終えた時点で4シーズンぶり5度目のプレミア優勝が決定した。稀に見る強さを見せた最大の要因はグアルディオラ体制2年目を迎えたチームの成熟度と、昨夏に2億ポンドをかけて行った守備陣の補強が成功したこと。名将の下、若手とベテランが融合しより洗練されたチームは、失点「27」、得点は「106」というリーグ記録を叩き出し、最終的に獲得した勝ち点は前人未到の大台「100」に到達。得失点差「79」、2位との勝ち点差「19」など数々のリーグ新記録も打ち立てた正真正銘の“完全制覇”となった。 ▽2位のマンチェスター・ユナイテッドも近年の結果を鑑みると一定の満足感を得られるシーズンとなったのではないだろうか。FWルカクやMFマティッチら即戦力の補強を成功させた赤い悪魔はスタートダッシュに成功し、同じ街のライバルチームに食らいついた。チャンピオンズリーグ(CL)などのカップ戦による疲労が中盤戦以降響いたものの、勝ち点「81」は立派な数字だ。 ▽混戦を制して3位に入ったのはトッテナムだ。一昨年は3位、昨年は2位と好成績を残し、今季も14戦無敗というクラブ記録を達成した。シーズン半ばに守備の要アルデルヴァイレルトが長期離脱を強いられるアクシデントがあったものの、新加入のD・サンチェスが台頭し、クラブ史上最高額の移籍金に見合う活躍を披露。シーズン終盤に激戦となったトップ4争いを制し堂々の3位フィニッシュとなった。 ▽トッテナムと最後まで争ったリバプールは4位でシーズンを終えた。クロップ体制として3シーズン目を迎えた今季は、FWサラーやDFロバートソンを補強。ロバートソンは左サイドバックでリーグ戦22試合に出場し、サラーは言わずもがなの活躍を披露した。第23節では今シーズン初めてシティに土をつけ、CLでも決勝に進むなど、シーズンが進んでいくと共にチームの完成度を高めていった。クロップ監督4年目となる来季、王者シティを止めるのはリバプールかもしれない。 ▽昨季の王者チェルシーは苦いシーズンとなった。初戦で黒星スタートを切った今季は、格下相手の取りこぼしが目立ち、トップ6との対戦でも勝ったのは3試合のみ。最終的に5位で終え、来季はヨーロッパリーグ(EL)に参加することになった。それでも、2年連続決勝進出となったFAカップでは、ユナイテッド相手に今季のチェルシーらしさをいい意味で存分に発揮し、1-0で完封勝利。不遇のシーズンを最終的にタイトルで締めくくった。 ▽6位に終わったアーセナルは、格下相手に取りこぼすことも多くシーズンを通して不安定な試合が続いた。そんな中、シーズン終盤に差し掛かった4月20日、指揮官アーセン・ヴェンゲルの突然の退任発表がイギリス国内に轟いた。1996年から続いた22年もの長い旅路にフランス人指揮官は終止符を打つことを決意。最終的にリーグ6位、ヨーロッパリーグでも準決勝敗退と有終の美を飾ることは叶わなかったが、その雄姿は誰しもの目に焼き付いている。そして来シーズン、ガナーズがその未来を託したのは前パリ・サンジェルマンのウナイ・エメリ監督だ。 ▽一方、残留争いではニューカッスル、ブライトン、ハダースフィールドと昇格組が久々に全チーム残留を果たし、スウォンジー、ストーク、WBAが降格。2度の監督交代を行ったWBAだったが、結局チームを浮上させることはできなかった。 ▽また、レスター・シティFW岡崎慎司とサウサンプトンDF吉田麻也の2人の日本人選手では、岡崎が27試合出場で6ゴール3アシストを記録も、シーズン序盤以降は思うように出場機会を得られず、尻すぼみのシーズンとなった。一方、シーズンを通してチームが残留争いを強いられた吉田は今年1月から3月にかけて厳しい時期を過ごしたものの、最終的にポジションを奪い返して24試合出場で2ゴール1アシストという記録を残している。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆FWモハメド・サラー(リバプール) Getty Images ▽リーグ最多得点記録(38試合制)を更新したサラーが最優秀選手に。デ・ブライネと最後まで争ったが、加入1年目、アシスト数も「11」であることを加味しての結果となった。昨夏にローマから加入し、チェルシーでプレーした2015年以来のプレミア復帰を果たしたエジプト代表アタッカーは、シーズン序盤からゴールを量産。5試合連続ゴールに加え、第31節のワトフォード戦では圧巻の4ゴールを記録。新記録の「32」得点をマークし、文句なしの最優秀選手となった。 ★最優秀監督 ◆ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ) Getty Images ▽就任2年目となった今シーズン、グアルディオラスタイルが浸透したシチズンズはまさに最強だった。開幕前に昨季の課題だった守備面の補強を成功させ、攻守とも万全の状態で臨んだ今シーズン、ガブリエウ・ジェズス、レロイ・ザネ、スターリングのような若手を育成しつつ、フェルナンジーニョやオタメンディといったベテランたちにも真価を見出した。自身のスタイルをイングランドの地でも通用させた手腕はさすがの一言に尽きる。 【期待以上】 ★チーム ◆バーンリーGetty Images ▽昨季命からがら残留を果たしたチームとは思えないほどの躍進を果たした。今季で6シーズン目を迎えたショーン・ダイチェ監督の下、開幕戦で王者チェルシーに打ち勝ったバーンリーは、シーズンを通して下位相手からしっかり勝ち点を奪った。特筆すべきは失点の少なさ。上位チームに次いで少ない失点数「39」は統率の取れた守備があってこそ。GKニック・ポープは、ワールドカップのイングランド代表メンバーにも選ばれている。 ★選手 ◆MFトレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール) Getty Images ▽まだ20歳にも満たないこの青年の躍進を誰が想像しただろうか。昨シーズン、下部組織からトップチームに昇格した19歳の逸材は、今季はリーグ戦19試合に出場。本職はセントラルMFながらも高精度のキックやスピードを武器に、DFクラインの長期離脱によって主力不在の右サイドバックで存在感を発揮し、最終節ではトップ4入りを手繰り寄せる1点目をアシストした。そして今回、ワールドカップに臨むイングランド代表に大抜擢。初招集にして初のワールドカップ、このティーンエイジャーがどんな輝きを見せてくれるのか注目したい。 【期待外れ】 ★チーム ◆チェルシーGetty Images ▽昨季王者とは思えない体たらくぶりが目立った。開幕で格下と思われていたバーンリーに敗れたチェルシーは上位陣に勝てないどころか、下位相手にも勝ち点を取りこぼす始末。今年に入ってからは格下相手の連敗、マンチェスター勢との連敗が重なり一気にトーンダウン。チームには覇気が感じられず、結局、トップ4入りも逃す結果となってしまった。 ★選手 ◆FWアルバロ・モラタ(チェルシー) Getty Images ▽チェルシーの不調はモラタが調子を上げられなかったことに起因すると言っても過言ではない。クラブ史上最高額の7000万ポンド(約101億円)の移籍金で加入したスペイン人ストライカーは、最終的に11ゴールをマーク。昨季20ゴールを奪ったジエゴ・コスタの代役としての期待値を遙かに下回る結果だった。シーズン半ばからは自身も語る「謎のケガ」によって序盤の調子を落とし、後半戦はたったの2ゴールだった。 2018.05.25 01:00 Fri
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【2017-18リーグ・アンベストイレブン】PSGから最多4選手を選出

▽2017-18シーズンのリーグ・アンが終了しました。そこで本稿では今季のリーグ・アンベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆リーグ・アンベストイレブン GK:ルコント DF:チアゴ・シウバ、グスタボ、F・メンディ MF:デュボワ、ラビオ、フェキル、デパイ FW:トヴァン、カバーニ、ネイマール GK バンジャマン・ルコント(27歳/モンペリエ) 出場試合数:38(先発:38)/出場時間:3420分 失点数:33Getty Images▽リーグ3位の堅守を支えた驚異のショットストッパー。今季ディジョンから加入すると、卓越したショットストップ、的確なポジショニング、コーチングで守備陣を見事に統率した。デル=ザカリアン新監督の下、守備的な[5-3-2]の機能性も高かったが、昨季66失点のチームが失点数を半減させた最大の要因は間違いなくルコントの存在だった。 DF チアゴ・シウバ(33歳/パリ・サンジェルマン) 出場試合数:25(先発:24)/出場時間:2115分 得点数:1Getty Images▽抜群の安定感で覇権奪還の立役者に。今季、ネイマールとムバッペの加入で破壊力を増した攻撃陣の躍動ぶりが印象的だったPSGだが、唯一の20失点代をキープした守備陣の奮闘も見逃せない。とりわけ、安定感を欠く守護神、両サイドバックまで攻撃的なアンバランスな布陣の中でセンターバックにかかる負担は大きく、マルキーニョス、キンペンベとの3人体制の中で見事に守備を統率し続けたキャプテンの働きぶりは称賛に値する。 DF ルイス・グスタボ(30歳/マルセイユ) 出場試合数:34(先発:34)/出場時間:3018分 得点数:5Getty Images▽マルセイユ陰のMVP。今季ヴォルフスブルクから加入したブラジル人MFはシーズン序盤に守備的MF、後半戦はセンターバックの負傷者続出に伴い、センターバックの主軸として獅子奮迅の活躍を見せた。強靭なフィジカルに加え、豊富な経験に裏打ちされた巧みな守備で再三のピンチを凌げば、攻撃では左足の正確なパスや局面を変える持ち出し、強烈なミドルシュートで存在感を放った。 DF フェルラン・メンディ(22歳/リヨン) 出場試合数:27(先発:24)/出場時間:2121分 得点数:0Getty Images▽リヨンのアタッキングフットボールをけん引した攻撃的左サイドバック。昨季、リーグ・ドゥのル・アーヴルでの活躍をキッカケに名門リヨンに加入したメンディはリーグ・アン初挑戦とは思えない活躍を披露。守備面では時折集中を欠くなど課題は少なくないが、圧巻のスピードとドリブルテクニックを生かした突破力と5アシストを記録した攻撃性能はその欠点を補って余りあるものだった。稀少価値の高い左利きのサイドバックだけに今後のフランス代表入りと、ビッグクラブ移籍が予想される。 MF レオ・デュボワ(23歳/ナント) 出場試合数:34(先発:34)/出場時間:3020分 得点数:3 ▽新進気鋭の右サイドバックの大器。現在、ナント生え抜きの23歳はトップデビュー2年目からポジションを獲得すると、今季は智将ラニエリ監督の下でキャプテンとしてチームをけん引した。堅実な守備と豊富な運動量に加え、果敢なオーバーラップと正確なクロスと総合力の高い右サイドバックは今季3ゴール4アシストを記録。すでに来シーズンのリヨン加入が決定しており、モナコDFシディベ以外に有力な選手のいないフランス代表の右サイドバックのポジション争いにも割って入るはずだ。 MF アドリアン・ラビオ(23歳/パリ・サンジェルマン) 出場試合数:33(先発:27)/出場時間:2364分 得点数:1Getty Images▽優勝チームの中盤を支えた若き司令塔。今季はヴェッラッティとモッタという2人の相棒たちがやや調子を落とした中、シーズンを通して波が少ない安定したプレーで中盤の主軸を担い続けた。球際や前線への飛び出しといった持ち味に加え、球離れの良いシンプルなパスワークで強力な攻撃陣を見事に操った。 MF ナビル・フェキル(24歳/リヨン) 出場試合数:30(先発:28)/出場時間:2477分 得点数:18(PK3)Getty Images▽CL出場権を置き土産に更なるステップアップへ。ラカゼット(現アーセナル)、トリッソ(現バイエルン)と下部組織で共に育った主力がクラブを去った今季は両選手に代わる新たなリーダーとしてチームをけん引。2列目を主戦場に魔法の左足を駆使したチャンスメークで個性派の助っ人アタッカー3人を見事に生かし、自身もキャリアハイの18ゴールとエースに相応しい活躍を見せた。なお、今季限りでの退団が決定的となっており、来季は前述の2選手に倣うように国外のビッグクラブ入りが濃厚だ。 MF メンフィス・デパイ(24歳/リヨン) 出場試合数:36(先発:28)/出場時間:2555分 得点数:19(PK2)Getty Images▽不遇をかこったマンチェスター・ユナイテッド時代を払拭する完全復活のシーズンに。ユナイテッドで失格の烙印を押されて昨冬失意の中でリヨンに加入した24歳のオランダ代表FWだが、半年間の順応期間を経た今季は序盤から爆発。マリアーノ、トラオレ、フェキルという同世代の新進気鋭のアタッカーと共に欧州屈指のアタッキングユニットを結成。左ウイングと2トップの一角で持ち味の鋭い仕掛けやパワフルなミドルシュート、正確なプレースキックで抜群の存在感を発揮し、19ゴール9アシストを記録。さらに、マルセイユとの直接対決での劇的決勝点や最終節でのハットトリックとチームのCL出場権獲得に貢献した勝負強さも見事だった。 FW フロリアン・トヴァン(25歳/マルセイユ) 出場試合数:35(先発:35)/出場時間:2949分 得点数:22(PK3)Getty Images▽完全覚醒したマルセイユの絶対的エース。今季22ゴール11アシストと圧巻のスタッツを叩き出した25歳のフランス代表FWは押しも押されもしないベロドロームのアイドルだ。傑出した左足の技術と相手の逆を突く巧みな仕掛けを武器に右サイドから相手の守備を切り裂けば、オフ・ザ・ボールの局面でも質の高い動き出しをみせゴール前に飛び出してのワンタッチシュートなど、掴みどころのない万能アタッカーに成長した。上位陣相手のパフォーマンスに課題を残すものの、間違いなくワールドクラスに手が届く位置にいるはずだ。 FW エディンソン・カバーニ(31歳/パリ・サンジェルマン) 出場試合数:32(先発:30)/出場時間:2581分 得点数:28(PK3)Getty Images▽今季リーグ・アンの最優秀選手。ムバッペ、ネイマールと共に超強力トリデンテの“MCN"を形成し、2年連続得点王を獲得した。今季も豊富な運動量や質の高いオフ・ザ・ボールの動き、決定力を武器にゴールを量産。後半戦はネイマール不在の中でマークが厳しくなるも、要所できっちり仕事を果たした。 FW ネイマール(26歳/パリ・サンジェルマン) 出場試合数:20(先発:20)/出場時間:1796分 得点数:19(PK4)Getty Images▽後半戦欠場も新天地フランスで格の違いを見せつけた。今夏、バルセロナから移籍市場最高額で電撃移籍を果たしたメガクラックは、序盤からゴールとアシストを量産し、その高額な移籍金に相応しい活躍を披露。2月末に負った負傷の影響で後半戦を棒に振ったものの、リーグ3位タイの19得点、リーグトップタイの13アシストの圧倒的な数字でフランス・プロサッカー選手協会(UNFP)の年間MVPを受賞した。ただ、今夏にはレアル・マドリー移籍の噂が盛んに伝えられており、来季の去就に注目が集まるところだ。 2018.05.24 21:31 Thu
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【リーグ・アン・シーズン総括】最優秀選手はカバーニ!

★名門3チーム奮闘もスーパースター軍団PSGが2年ぶりの戴冠 ▽近年、混戦模様となることが多いリーグ・アンだが、今季はFWネイマールやFWムバッペの加入で大きな話題を集めたスーパースター軍団のパリ・サンジェルマン(PSG)が、2シーズンぶりの覇権奪還を果たした。 ▽昨シーズン、モナコに5連覇を阻まれたPSGは、今夏の移籍市場でネイマール、ムバッペ、DFダニエウ・アウベスら世界屈指の名手を札束攻勢で獲得し、勝負のシーズンに臨んだ。すると、ムバッペ、FWカバーニ、ネイマールの超強力トリデンテ“MCN”が早々に機能すると、圧倒的な攻撃力を武器に開幕6連勝。その後、チャンピオンズリーグ(CL)との並行から格下相手に勝ち点を取りこぼすも前半戦を余裕の戦いぶりで首位フィニッシュ。後半戦はネイマールの負傷離脱など幾つかのアクシデントに見舞われたものの、ライバルたちの取りこぼしを生かして首位を独走。そして、第33節のモナコ戦では昨季王者相手に衝撃的な7-1の圧勝劇をみせ、5節を残して2年ぶりの覇権奪還を果たした。なお、今季国内3冠を成し遂げたPSGだが、今季限りでエメリ監督の退任が決定し来季は智将トゥヘル監督の下で新たな黄金時代構築を目指す。 ▽圧倒的な戦力を持つPSGの一人旅を許したものの、シーズンを通じて奮闘が目立ったモナコ、リヨン、マルセイユの名門3チームは最終節までもつれ込む来季CL出場を懸けたトップ3争いを展開。その三つ巴の争いを制したのは昨季王者モナコとリヨンの2チームだった。前述のムバッペを筆頭に優勝に貢献した主力を引き抜かれたモナコは若手主体の新戦力補強が機能せず、序盤戦は苦しい戦いを強いられた。それでも、CLグループステージ4位敗退に伴い、国内の戦いに集中できたことで徐々にチームの熟成も進み、主砲ファルカオやMFロニー・ロペスらを軸とする強力な攻撃陣を生かして最終的に2位フィニッシュを決めた。 ▽一方、FWラカゼットやMFトリッソなど例年通り、主力を引き抜かれたリヨンだが、育成能力に長けたジェネシオ監督の下で世界屈指の育成組織から昇格してきた逸材たちが躍動。さらに、昨冬加入のFWデパイを含めFWトラオレ、FWマリアーノが新エースFWフェキルと2桁ゴールカルテットを形成し、リーグ屈指の破壊力で最終的に3位の座を死守した。 ▽その2強との争いに敗れて来季のCL出場権を逃したマルセイユだが、就任2年目を迎えたガルシア監督の下でエースFWトヴァンやMFアンギッサ、MFマキシム・ロペス、DFブバカル・カマラなど期待の若手が急成長。さらにアメリカ人オーナーの下で獲得したMFグスタボやDFラミといったベテランが若いチームをしっかりとリードし、ヨーロッパリーグ(EL)準優勝など今後の飛躍を予感させるシーズンに。また、日本代表DF酒井宏樹も本職の右サイドバックに加え、左サイドバック、3バックの右ストッパーと新境地を開き絶対的な主力としてチームを支えた。 ▽PSGの国内カップ2冠によって6位まで広がったEL出場権争いでは前述のマルセイユに加えて、レンヌとボルドーが熾烈な争いを制した。レンヌはクリスティアン・グルキュフからサブリ・ラムシ監督、ボルドーはジョスリン・グーヴェネックからグスタボ・ポジェ監督と共にシーズン途中の監督交代に踏み切るも、この選択が奏功して後半戦に勝ち点を積み重ねて逆転でのEL出場を手にした。さらに、レンヌではMFブリゴーとFWサール、ボルドーではFWマウコムと若手逸材の活躍も光った。 ▽例年、熾烈を極める残留争いではアミアン、ストラスブールという昇格組がいずれも残留を果たすも、昇格・降格プレーオフを制して昇格したトロワが19位で1年での2部降格に。また、日本代表GK川島永嗣が正GKを務めたメスも最下位に終わり、2年での2部降格となった。なお、今季18位のトゥールーズはACアジャクシオとの昇格・降格プレーオフ初戦を3-0で快勝しており、残留が濃厚な状況だ。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆FWエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)Getty Images▽前半戦で主役を担ったネイマールの活躍も見事だったが、シーズンを通した貢献度で勝ったカバーニがMVPに相応しい。昨シーズン、イブラヒモビッチが去ったチームでようやく主役の座についたものの、今季は新たにネイマールというスーパースターが加入したことで、再び脇役に回ることに。シーズン序盤にはPKキッカーを巡って衝突するなど精神的に難しい時期も過ごした。それでも、自身のエゴを封じて再びチームプレーヤーに戻ったカバーニはネイマールの負傷離脱で迫力不足となった後半戦の攻撃陣を見事にけん引し、28ゴールで2年連続の得点王に輝いた。 ★最優秀監督 ◆ブルーノ・ジェネシオ(リヨン)Getty Images▽卓越した育成力と調整力で主力が大きく入れ替わったリヨンを見事にまとめ上げた。昨夏、主砲ラカゼット、中盤の要トリッソなど多くの主力選手が引き抜かれたリヨンは厳しいシーズンが予想された。しかし、若手育成に定評があるフランス人指揮官はMFアワールやMFエンドンベレ、MFトゥザールといった若手逸材を一人前に育て上げると、移籍市場で獲得したFWトラオレやFWマリアーノ、DFメンディら粗削りな逸材たちを見事に組織に組み込み、PSGやマルセイユ、モナコに勝るとも劣らない好チームに仕上げ、最終的にCL出場圏内の3位フィニッシュに成功した。今夏もフェキルを中心に主力の引き抜きが予想されるが、ヨーロッパ屈指の育成組織とジェネシオ監督の手腕を持ってすれば問題なく乗り切れるはずだ。 【期待以上】 ★チーム ◆モンペリエGetty Images▽リーグ屈指の堅守を武器に最後までEL出場権を争う躍進のシーズンに。昨季、降格圏内とわずかのポイント差の15位と低迷を強いられたモンペリエだが、今季は堅実なチーム作りに定評があるデル=ザカリアン新監督の下で飛躍の1年となった。昨季チーム得点王のFWムニエ(現ハダースフィールド)とリーグ屈指の司令塔MFブデブス(現ベティス)の2大エースの流出によって降格候補の一角にも予想されたが、[5-3-2]の守備的な布陣を武器に序盤戦は勝ち切れなかったものの負けないチームに変貌。GKルコント、DFペドロ・メンデス、DFアギラールといった無名ながらも質の高い新加入選手に加え、来年41歳を迎えるレジェンドDFイウトン、今夏のビッグクラブ行き濃厚な若手DFムキエレ、DFルシヨンといった現有戦力がソリッドな守備を形成。さらに、後半戦に入ると、FWムベンザやFWジョバンニ・シオ、FWイコネといった攻撃陣の成長によりカウンターの精度も高まり、得点力に課題こそあるものの好チームに仕上がった。ラスト2試合の取りこぼしでEL出場圏内とは勝ち点4差の10位フィニッシュも、トップ4相手に1敗7分け、昨季66失点から33失点に半減させた、その変貌ぶりは今季のトピックの1つだった。 ★選手 ◆MFロニー・ロペス(モナコ)Getty Images▽今季モナコの2位フィニッシュに貢献した成長株。FWムバッペ(現PSG)やMFベルナルド・シウバ(現マンチェスター・シティ)、FWジェルマン(現マルセイユ)と昨季優勝に貢献したアタッカー陣が相次いで流出したモナコはFWケイタ・バルデ、FWヨベティッチ、MFゲザルといった新戦力を補強したが、いずれの選手もケガの影響やチーム戦術への適応に苦戦し思うような活躍ができなかった。その中で主砲FWファルカオと共にチームを救ったのが、リールからレンタルバックした22歳のポルトガル代表MF。ベンフィカ、マンチェスター・シティの下部組織育ちの俊英はプレシーズンからアピールに成功すると、最終的にリーグ戦全試合に出場し15ゴール5アシストを記録。同胞で同じレフティのベルナルド・シウバの後釜として右サイドを主戦場に攻撃の起点となり、より優れた得点能力を生かしてチーム2位のゴール数も記録した。 【期待外れ】 ★チーム ◆リールGetty Images▽ルクセンブルク人実業家のジェラール・ロペス新オーナーの下で鬼才ビエルサを招へいしモナコのような育成型クラブを目指したリールだが、昨季に続き残留争いに巻き込まれる厳しい1年となった。今夏の移籍市場でMFチアゴ・マイアやFWポンセ、FWニコラス・ペペなど国内外の若手逸材をかき集めたリール。しかし、指揮官の難解すぎる戦術に若手選手が順応できなかったうえ、リーグ・アン初挑戦となった多くの選手がフィジカル的なスタイルに苦戦し、惨敗を重ねた。そして、昨年11月末には予てよりフロントとの確執が噂された指揮官が、ある意味予想通りに退任。その後、前サンテチェンヌ指揮官ガルティエ監督の下で再スタートを切ることになったが、後半戦に入ってもチームは安定することなく昇格・降格プレーオフ圏内の18位トゥールーズを勝ち点1差で振り切っての17位フィニッシュとなった。 ★選手 ◆FWコンスタンティノス・ミトログル(マルセイユ)Getty Images▽新エースストライカー候補として加入もトップ3を逃す戦犯に。昨夏、ガラタサライに旅立ったFWゴミスの後釜としてFWジルーらの獲得を逃したクラブが最後に白羽の矢を立てて獲得したミトログルだが、19試合出場で9ゴールと期待外れの1年目となった。加入当初からコンディションに問題を抱えて出遅れると、ギアが上がり切らないままシーズンを終えることになった。最後までCL出場権を争ったモナコとリヨンとの間に大きな差はなかったものの、両チームがFWファルカオ、FWマリアーノとエースストライカーが決定的な仕事を果たした一方、マルセイユではミトログルとジェルマンが期待外れに終わり、それが最終的な順位に影響した印象だ。来季はコンディションを整えて捲土重来のシーズンとしたい。 2018.05.24 21:30 Thu
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【2017-18ブンデスリーガ・ベストイレブン】6連覇のバイエルンから6選手を選出

▽2017-18シーズンのブンデスリーガが終了しました。そこで本稿では今季のブンデスリーガのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ブンデスリーガベストイレブン GK:ウルライヒ DF:パパスタソプーロス、ナウド、フンメルス MF:キミッヒ、ミュラー、フォクト、ハメス・ロドリゲス FW:ウート、レヴァンドフスキ、ベイリー GKスベン・ウルライヒ(29歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:29(先発回数:29)/失点数:26 /出場時間:2610分 ▽CLレアル・マドリー戦では敗退につながる凡ミスを犯して悪い印象を残してしまったが、リーグ戦では守護神ノイアーの代役を見事に全うしていた。決して少なくないピンチをウルライヒのセーブで救われたシーンは幾度もあった。バイエルンの優勝に間違いなく貢献した一人だった。 DFソクラティス・パパスタソプーロス(29歳/ドルトムント)Getty Images出場試合数:30(先発回数:28)/得点数:2/出場時間:2374分 ▽ドルトムントから唯一の選出とした。大半の選手が水準以下のパフォーマンスに終わっていた中、ディフェンスリーダーであるパパスタソプーロスは、経験値の乏しいDFアカンジやDFザガドゥらを携えて奮闘していた印象だ。ただ、そのパパスタソプーロスも契約延長を固辞してアーセナル行きが濃厚と見られており、ドルトムントとしては頭の痛い問題が続く。 DFナウド(35歳/シャルケ)Getty Images出場試合数:34(先発回数:34)/得点数:7/出場時間:3060分 ▽大ベテランの域に達したが、フルタイム出場で大車輪の活躍を見せた。テデスコ監督の下、3バックの中央を任されたナウドは、本職でないスタンブリらをうまく統率するとともに攻撃時のセットプレーで存在感を発揮。7ゴールを挙げ、チームを攻守両面で支えた。 DFマッツ・フンメルス(29歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:26(先発回数:25)/得点数:1/出場時間:2213分 ▽バイエルンの守備の要として十分なパフォーマンスを発揮。例年泣かされる負傷もなくコンスタントにプレーし、チームを後方から支えた。相棒では新たにジューレと組む機会が増えたが、問題なくディフェンスラインを統率した。 MFヨシュア・キミッヒ(23歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:29(先発回数:26)/得点数:1/出場時間:2331分 ▽重鎮ラームが引退した中、右サイドバックの穴を埋める以上の活躍を見せた。本職でないながら持ち前の器用さを活かして攻守にそつなくこなし、1ゴール12アシストと攻撃の起点としても十二分に機能した。 MFケビン・フォクト(26歳/ホッフェンハイム)Getty Images出場試合数:31(先発回数:31)/得点数:1/出場時間:2790分 ▽ホッフェンハイムの守備の要。もともとはボランチが本職だが、3バックの中央を任され、期待に応えている。194cmの長身で空中戦に強いうえ、フィードも正確でナーゲルスマン監督の戦術を忠実に体現している存在だ。 MFハメス・ロドリゲス(26歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:23(先発回数:19)/得点数:7/出場時間:1623分 ▽レアル・マドリーからレンタルで加入したコロンビア代表MFは、7ゴール11アシストと多くのゴールシーンに絡んだ。その創造性は王者バイエルンにおいても群を抜いており、違いを生み出せる存在だ。日本と対戦するワールドカップを前に非常に厄介な存在となっている。 MFトーマス・ミュラー(28歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:29(先発回数:22)/得点数:8/出場時間:1962分 ▽アンチェロッティ体制下とは別人ではないかと思われるパフォーマンスを見せ付けた。ハインケス監督就任によって本来のゴールへの嗅覚を取り戻したミュラーは、8ゴール16アシストと大暴れ。昨季から続いていた不振が嘘のような活躍を見せた。 FWマルク・ウート(26歳/ホッフェンハイム)Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:31(先発回数:24)/得点数:14/出場時間:2176 ▽ホッフェンハイムのダイナミックな攻撃を支えた立役者。推進力が売りのアタッカーはブンデスでキャリアハイとなる14ゴールをマーク。アシストも8つ決め、飛躍のシーズンとなった。ホッフェンハイムにCL出場権をもたらし、来季はシャルケでプレーする。 FWロベルト・レヴァンドフスキ(29歳/バイエルン)Getty Images出場試合数:30(先発回数:24)/得点数:29/出場時間:2169分 ▽好不調の波が非常に少ないゴールゲッター。コンスタントにゴールを積み重ね、バイエルンを6連覇に導いた。ハメス・ロドリゲス同様、ワールドカップでは日本の前に立ちはだかる。 MFレオン・ベイリー(20歳/レバークーゼン)Getty Images出場試合数:30(先発回数:25)/得点数:9/出場時間:2219分 ▽本来はFWだが、ヘルリッヒ監督の下で左ウイングバックを任された。ゴールから遠ざかったはずだが、持ち前の爆発的なスピードを生かしたドリブルを駆使し、9ゴール6アシストと目に見える結果を残した。 2018.05.24 21:01 Thu
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【ブンデスリーガ・シーズン総括】最優秀選手はレヴァンドフスキ!

★ハインケス緊急登板でV時回復のバイエルンが敵なしの6連覇 ▽圧倒的な戦力を誇るバイエルンが順当に6連覇を成し遂げた。2季目を迎えたアンチェロッティ体制下で出だしに躓いたバイエルンだったが、9月に見切りを付け、2012-13シーズンに3冠に導いた老将ハインケス監督を招へい。ここからV時回復した王者はリーグを無双し、第10節で首位に立って以降、1度も首位の座を明け渡すことなく5試合を残して6連覇を成し遂げた。 ▽バイエルンの対抗馬が今季も現れなかった中、混戦のチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いを制したのはシャルケ、ホッフェンハイム、ドルトムントとなった。シャルケは32歳のテデスコ新監督が手腕を発揮。1部初挑戦だった上、多くの主力を入れ替えた中、DFナウドを軸としたチーム編成が見事にハマり、4シーズンぶりのCL出場権を手にした。 ▽3位に滑り込んだのも若手指揮官率いるホッフェンハイムとなった。2年半前に監督に就任した現在30歳のナーゲルスマン監督率いるホッフェンハイムはヨーロッパリーグ(EL)を戦いつつの難しいシーズン前半を送ったが、シーズン後半に怒涛の追い上げを見せ、昨季の4位を上回る3位でフィニッシュ。昨季は予備予選で涙を呑んだクラブ史上初のCL出場を決めている。 ▽最終節で辛くも4位に踏み留まったのはドルトムント。ボス新監督の下、スタートダッシュに成功したものの10月に入って急失速。守備の脆さを突かれ、失点がかさんだ。その後、12月にケルンを解任されていたシュティーガー監督によって守備が幾分か改善され、のらりくらりの戦いぶりだったが、最低限の4位フィニッシュでCL出場権を手にすることに成功した。 ▽逆にあと一歩でCL出場に手が届かなったのがレバークーゼン。クラブOBのヘルリッヒ新監督の下で攻撃サッカーを標榜したが取りこぼしが多く、リーグ戦一本に集中できるアドバンテージを生かしきれなかった。レバークーゼン同様、ELに回ることになったライプツィヒはCLとの兼ね合いに苦しんだシーズンとなった。 ▽残留争いではDF酒井高徳とFW伊藤達哉のハンブルガーSVがついにクラブ史上初の降格を喫し、FW大迫勇也のケルンが5シーズンぶりの降格となった。一方でFW武藤嘉紀のマインツは武藤のシーズン終盤の活躍もあって残留を勝ち取っている。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆FWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)Getty Images▽3年連続30ゴールには惜しくも届かなかったものの、29ゴールを奪って3度目のブンデス得点王に輝いた。ライバルのオーバメヤンが移籍したことで張り合いのない得点王争いとなったが、さすがの決定力で他の追随を許さなかった。シーズン後半戦はワグナーの加入もあって良好なコンディションを保ってプレーできたことも大きかった。 ★最優秀監督 ◆ユップ・ハインケス(バイエルン)Getty Images▽アンチェロッティ監督の解任を受けて急遽バイエルンの監督に就任した73歳の名将を選出。4年前にバイエルンを3冠に導いた後に監督業を引退していたハインケス監督だが、そのブランクを感じさせず、不協和音が生じていたチームを見事に立て直して見せた。ハインケス監督就任後、ミュラーとハメス・ロドリゲスが見違えるようなパフォーマンスを発揮したこともバイエルンの独走に拍車がかかった。 【期待以上】 ★チーム ◆シャルケGetty Images▽昨季は不振に陥り、6シーズンぶりに欧州カップ戦出場を逃したシャルケだったが、新進気鋭の指揮官であるテデスコ監督を招へいしたことが吉と出た。3バック採用やMFマックス・マイヤーの中盤アンカー起用など、柔軟な采配でチーム力を上げたチームは、混戦のCL出場権争いを制すに至った。 ★選手 ◆FWミッチー・バチュアイ(ドルトムント)Getty Images▽冬にチェルシーからレンタルで加入したストライカーは、イングランドでくすぶっていた才能を見事に発揮した。リーグ戦10試合で7ゴールを奪い、ドルトムントの復調を後押しする存在となった。シーズン終盤、負傷で戦列を離れたが、自身の価値を取り戻す移籍となった。 【期待外れ】 ★チーム ◆ケルン&ハンブルガーSVGetty Images▽昨季5位と躍進し、25年ぶりに欧州カップ戦出場を果たしたケルンが5季ぶりに降格となった。昨季チーム内得点王のモデストが移籍したチームは深刻な得点力不足に陥り、未勝利が続いた。シュティーガー監督解任後、ようやく前半戦最終戦で勝利を手にしたが、後半戦に入ってもエンジンがかからなかった。また、近年残留争いを常に強いられていた名門のHSVもついにクラブ史上初の降格となった。3度の監督交代も実らず、キャプテンを務めた酒井高は、不名誉なクラブの歴史に名を刻んでしまった。 ★選手 ◆MFマハムド・ダフード(ドルトムント)Getty Images▽ボルシアMGで台頭した22歳のMFは、最後までドルトムントに馴染むことができなかった。ギュンドアンを彷彿とさせるプレースタイルで攻撃面でアクセントを付けられるタイプのプレーメーカーだが、その持ち味を発揮することはできなかった。ブンデスリーガでの先発は11試合に留まった。 2018.05.24 21:00 Thu
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【欧州4大リーグ日本人選手総括&評価】乾、長谷部、伊藤が奮闘も軒並み厳しいシーズンに

▽欧州4大リーグの2017-18シーズンが終了しました。そこで本稿では4大リーグに所属する日本人12選手のパフォーマンスを5段階で独自に評価してみました。総括とともにご覧ください。 ※★★★★★が最高、☆が最低 ★岡崎慎司[レスター・シティ]Getty Imagesプレミアリーグ出場試合数:27(先発:17)ゴール数:6 FAカップ出場試合数:3(先発:0)ゴール数:0 EFLカップ出場試合数:2(先発:1)ゴール数:1 評価: ★★☆☆☆ ◆前半戦でキャリアハイも後半戦ノーゴール ▽レスターでの3シーズン目を終えた岡崎。前半戦では監督交代があった中、キャリアハイとなる6ゴールをマークした。2桁ゴールを目指せるペースだったが、後半戦はピュエル監督の信頼を掴めず徐々に出場機会を減らし、まさかのノーゴールに終わってしまった。4月には足首を負傷し、そのまま復帰できずにシーズンが終了。チームは残留争いに巻き込まれることはなかったが、岡崎にとっては尻すぼみの消化不良なシーズンとなってしまった。なお、今季限りでのレスター退団が濃厚との報道で活躍の場をスペインに移す模様だ。 ★吉田麻也[サウサンプトン]Getty Imagesプレミアリーグ出場試合数:24(先発:23)ゴール数:2 FAカップ出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0 EFLカップ出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0 評価: ★★☆☆☆ ◆ディフェンスリーダー移籍で初の残留争い ▽サウサンプトンでの6シーズン目はチーム共々苦しいシーズンとなった。ディフェンスリーダーのファン・ダイクを欠いたチームは低空飛行を続け、吉田加入後では初となる残留争いに巻き込まれた。3月には監督交代もあった中、シーズン終盤にレギュラーの座を取り戻した吉田だが、残り3試合となったエバートン戦で退場するなどチームの力になりきることはできなかった。 ★乾貴士[エイバル]Getty Imagesリーガエスパニョーラ出場試合数:34(先発:31)ゴール数:5 コパ・デル・レイ出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0 評価: ★★★☆☆ ◆絶対的レギュラーの座を確立 ▽エイバルでの3シーズン目を迎えた乾は、絶対的レギュラーの座を確立した。不動の左サイドとして君臨した乾は、守備のタスクをこなしつつ、ゴールに絡むプレーを続けた。乾の活躍もあってエイバルはシーズン序盤の躓きをものともせず、楽々と残留。目標を果たした乾は来季、ヨーロッパリーグに出場するベティスへの移籍が濃厚となっている。 ★柴崎岳[ヘタフェ]Getty Imagesリーガエスパニョーラ出場試合数:22(先発:12)ゴール数:1 コパ・デル・レイ出場試合数:0 評価: ★☆☆☆☆ ◆バルサ戦でゴラッソも悔しい長期離脱 ▽昇格プレーオフを戦った相手のヘタフェに加入してプリメーラ初挑戦となった柴崎は、トップ下の位置で開幕スタメンの座をつかむと、第4節バルセロナ戦で強烈な左足ボレーによるゴラッソを叩き込んだ。華々しいスタートを切った柴崎だったが、そのバルセロナ戦で左足中足骨を骨折し、約2カ月半戦列を離れることになってしまった。この負傷が響き、シーズンを通してコンスタントに出場機会を得ることができなかった。チームはヨーロッパリーグ出場権争いに絡む良いシーズンを過ごしたが、柴崎にとっては悔しいシーズンとなった。 ★香川真司[ドルトムント]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:19(先発:12)ゴール数:5 チャンピオンズリーグ出場試合数:5(先発:5)ゴール数:0 DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:1 評価: ★★☆☆☆ ◆負傷でシーズン終盤を棒に ▽12月に就任したシュティーガー監督によってゴールにつながるプレーが増え、復調した感のあった香川。だが、2月に左足首を負傷すると、そこから復帰までにかなりの時間を要してしまった。結局、復帰できたのが最終節と、チャンピオンズリーグ出場権争いをしていたチームを助ける働きはできなかった。ワールドカップに向けて大きな不安の残るシーズンとなっている。 ★大迫勇也[ケルン]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:25(先発:23)ゴール数:4 ヨーロッパリーグ出場試合数:6(先発:3)ゴール数:2 DFBポカール出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0 評価: ★☆☆☆☆ ◆ストライカーの役割果たせず ▽ケルンでの4シーズン目を終えた大迫は、チームを降格の危機から救うことができなかった。昨季までの点取り屋であったモデストを失ったチームの中で大迫がエースストライカーとしての役割を果たして欲しかったところだが、わずか4ゴールと失望の結果に終わってしまった。シーズン終了後、ブレーメンへの移籍が発表された。 ★長谷部誠[フランクフルト]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:24(先発:23)ゴール数:0 DFBポカール出場試合数:5(先発:5)ゴール数:0 評価: ★★★☆☆ ◆DFBポカール優勝 ▽フランクフルトでの4シーズン目となった今季も、昨季同様にリベロでハイレベルなプレーを見せた。長谷部の安定感あるプレーによって押し上げられたチームはシーズン終盤までCL出場権争いを繰り広げ、DFBポカールでは30年ぶりの優勝を果たした。34歳と円熟味を増した長谷部に対して、クラブが1年の契約延長オファーを打診したことが、長谷部の価値を物語っている。 ★鎌田大地[フランクフルト]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0 DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0 評価:☆☆☆☆☆ ◆何もできず ▽ここまで出場機会を得られないとは予想していなかった。鎌田の攻撃センスを持ってすればブンデスで十分に通用するかと思われたが、壁は高かったようだ。シーズン序盤にチャンスをもらったのみで、その後は見切られてしまった。来季、新監督のもとで挽回のチャンスを得られるか。 ★武藤嘉紀[マインツ]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:27(先発:20)ゴール数:8 DFBポカール出場試合数:3(先発:1)ゴール数:2 評価: ★★★☆☆ ◆キャリアハイの8ゴールで残留に導く ▽マインツでの3シーズン目を迎えた今季、武藤はエースストライカーの役割を果たしたと言えるだろう。ブンデス初挑戦のシーズンに記録した7ゴールを越える8ゴールを記録した武藤は、シーズン終盤の痺れる残留争いの試合でゴールに直結するプレーを連発し、チームを残留に導いた。この活躍が認められ、ワールドカップの候補メンバーにも滑り込んでいる。 ★酒井高徳[ハンブルガーSV]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:28(先発:26)ゴール数:0 DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0 評価: ★★☆☆☆ ◆2年連続キャプテンもチームは史上初の降格 ▽ハンブルガーSVでの3シーズン目を迎えた酒井高は、今季もキャプテンの重責を任された。しかし、チームは低空飛行を続け、泥沼の状態が続いた。今季3人目の指揮官となったティッツ監督によって最終節まで残留の可能性を残したが、55年守った1部の舞台からついに姿を消した。そのチームのキャプテンという不名誉な称号を負った酒井高だが、降格直後に残留宣言をし、クラブへの忠誠を誓っている。 ★伊藤達哉[ハンブルガーSV]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:20(先発:12)ゴール数:0 評価: ★★★☆☆ ◆降格チームの希望に ▽2015年夏に柏レイソルのユースからハンブルガーSVのユースに加入した伊藤は、ギズドル監督の下、第6節レバークーゼン戦でトップチームデビュー。2人目のホラーバッハ監督には評価されなかった伊藤だが、U-21チームで指導を受けていたティッツ監督の就任によって風向きが変わる。シーズン終盤、ティッツ監督の存在によってスタメンのチャンスを得た伊藤はゴールに直結するアシストを記録し、期待に応えていった。伊藤の活躍がなければもっと早く降格が決まっていたことだろう。 ★浅野拓磨[シュツットガルト]Getty Imagesブンデスリーガ出場試合数:15(先発:7)ゴール数:1 DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0 評価: ★☆☆☆☆ ◆シーズン後半は戦力外に ▽アーセナルからのレンタル期間が延長となって1部に復帰したシュツットガルトに残留した浅野。シーズン前半戦は出場機会をコンスタントにもらい、ブンデス1部初ゴールも記録したが、FWゴメスが加わった後半戦は全く出場機会を得られなかった。実質戦力外の扱いを受けた浅野はハノーファーへの加入を決断した。 2018.05.24 19:00 Thu
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【倉井史也のJリーグ】中断期間に入ったところで優勝と降格をデータで振り返ると!? の巻

▽J1リーグはワールドカップでお休み! ってことで、この期間に立て直しを図りたいクラブってあるでしょ? だから18チームで1シーズン制だった2005年から2014年、そして2017年で優勝したチームと、降格したチームが15試合を終えた時点で何位だったか、勝点はどうだったかを振り返っておくよ!! ACLの関係なんかで1試合少ないチームがいろいろあるけどゴメンね! あと2011年は東日本大震災でなかなか試合数が揃わなかったけど、第3節を取り上げておいたよ! ▽ちなみに現在は 1位 広 島(37) 2位 FC東京(28) 3位 川 崎(27) 16位 G大阪(15) 17位 鳥 栖(13) 18位 名古屋(9) だけど……。 ▽2005年 優勝 G大阪(2位・28) 降格 柏(17位・12)、東京V(15位・15)、神戸(18位・10) ▽2006年 優勝 浦和(2位・32) 降格 福岡(17位・10)、C大阪(18位・6)、京都(16位・11) ▽2007年 優勝 鹿島(4位・24) 降格 広島(11位・21)、甲府(16位・14)、横浜C(18位・10) ▽2008年 優勝 鹿島(2位・28) 降格 千葉(18位・9)、磐田(16位・17)、東京V(11位・20) ▽2009年 優勝 鹿島(1位・35) 降格 柏(17位・12)、大分(18位・4)、千葉(16位・15) ▽2010年 優勝 名古屋(3位・29) 降格 FC東京(11位・19)、京都(18位・10)、湘南(16位・12) ▽2011年 優勝 柏(1位・31) 降格 甲府(16試合・16位・14)、福岡(18位・4)、山形(17位・9) ▽2012年 優勝 広島(2位・29) 降格 神戸(12位・21)、G大阪(16位・12)、札幌(18位・4) ▽2013年 優勝 広島(3位・30) 降格 湘南(17位・10)、磐田(16位・11)、大分(18位・8) ▽2014年 優勝 G大阪(13位・18) 降格 大宮(17位・14)、C大阪(14位・17)、徳島(18位・5) ▽2017年 優勝 川崎(6位・25) 降格 甲府(14位・15)、新潟(18位・8)、大宮(16位・11) ▽ってどうですか! 2014年優勝のG大阪の夢があること! んで、2007年広島や2012年神戸が勝点21を取ってたのに降格してたって驚愕の事実! 今年で言うと、現在12位の湘南が優勝したり、8位の磐田に降格の危機があるってことですよ。ま、過去15節で勝点37奪ってるチームってないから、広島が独走するかもしれないんですけどね。 ▽注目は2010年と2014年のワールドカップイヤー。どっちも優勝は波瀾万丈って気がしませんか。この中断期間中の補強、気になりますね~。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.24 15:10 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】別メニュー乾の代役に中島を推薦

▽21日から始まった日本代表のキャンプだが、岡崎慎司が別メニューで調整中なのは月曜のコラムで紹介した。さらに乾も2日間は足首痛のためホテルで調整し、23日からピッチに姿を現したものの、岡崎と同様に別メニューでの調整となった。 ▽18日のメンバー発表の際に西野監督は、期待いていた今野泰幸が手術を受けるため、小林悠が当日の朝に全治2週間の負傷のため招集を断念したことを明かした。さらに2人のケガ人が別メニューと、船出から不運が続いている。 ▽会見ではポルティモネンセで29試合に出場して10ゴールを上げている中島翔哉に対し、「ポルトガルリーグで結果を出したが、ポリバレントではなかった」と招集外にした理由を語った。しかし、21日の囲み取材では改めて中島を収集しなかった理由を次のように説明した。 ▽「先日話したポリバレントとは複数のポジションをこなせることが本大会では必要だが、全員がポリバレントである必要はなく、スペシャリストもいる」として上で、「ポリバレントがないから外した訳ではなく、選択肢として入らなかっただけ。いろんな対応力、システムに対しての対応力も必要になる」からだそうだ。 ▽「選択肢として入らなかった」のは、中島が得意とする左MFには攻守に戦闘能力の高い原口元気がいて、ドリブラーの乾貴士が今回はチョイスされた。さらにF・デュッセルドルフでは右MFの宇佐美貴史も本来は左MFでのプレーを得意とする。日本代表で“最激戦区”のポジションと言ってもいい。 ▽中島も、ポルティモネンセではトップ下や2トップを務めるなど複数のポジションでプレーしたものの、日本代表で結果を残せるかどうか疑問のため招集外は仕方なかったかもしれない。 ▽しかし、乾のケガである。現状では30日のガーナ戦の出場はかなり厳しいだけに、すぐにでも中島を追加招集して“保険”をかけるべきではないだろうか。 ▽西野監督はG大阪時代の教え子である宇佐美について「ブンデスリーガ2部で優勝するということは、いろいろと厳しい競争をしていること。彼の魅力はフィニッシャーとしていろんなバリエーションを持っているのが特長ですので、ゲームを作るだけでなく、フィニッシュに絡んで欲しい。意外性のあるプレーに期待したい」と高く評価する。 ▽確かにG大阪でブレイクした時は意外性に富んだプレーからゴールを量産した。しかし日本代表では2017年が1試合、2018年も2試合の出場にとどまりノーゴールに終わっている。かつての輝きを日本代表では発揮できていないのが現状だ。それに対し中島は初出場となったマリ戦でゴールを決め、ウクライナ戦でもFKから惜しいシュートを放つなど結果を残した。 ▽西野監督はコンディション重視であることを再三口にする。それなら乾の代役に是非とも中島を呼んで欲しかった。果たして乾がNGの場合、どのような選択をするのか。指揮官の最終判断に注目したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.24 15:05 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】リーガが終わった…

▽「吉兆明暗分けたわね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、スペイン代表W杯向け最終メンバーを聞いた時のことでした。というのもロペテギ監督が最後に告げた名前はジエゴ・コスタで、モラタが選に漏れたからですが、実は去年の夏、コンテ監督に見限られ、前者がアトレティコに復帰したのと入れ替わりにレアル・マドリーからチェルシーに移籍したのが後者。まさか、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドの頭文字)の控えでいるより、プレーする可能性があるだろうと踏んで河岸を変えた彼が48試合15得点でも呼んでもらえないとは! ▽いえ、シーズン中は背中を痛めていた時期もあったとかで、チェルシーで主力になれなかったのは当人の責任ばかりではないんですけどね。プレミアリーグで5位に終わり、来季はCLではなく、ヨーロッパリーグに参加する彼らが唯一、今季獲得したタイトルは土曜にマンチェスター・ユナイテッドを1-0で破ったFAカップだけだったんですが、その決勝ですら、残り1分に時間稼ぎとしての出場に留まったのが致命的だった? ▽一方、コスタにはクラブに課されたFIFA処分のせいで今年になるまでプレーできなかったというハンディキャップがありながら、シーズン後半戦で挽回。ゴール数は7本と思ったより伸びなかったものの、「nos aporta ese punto de competitividad, de agresividad/ノス・アポルタ・エセ・プント・デ・コンペティティビダッド、デ・アグレシビダッド(競争力とアグレッシブさという点でチームに貢献してくれる)」(ロペテギ監督)と期待され、何とかロドリゴ(バレンシア)とイアゴ・アスパス(セルタ)と並んでリストに滑り込めたのはラッキーだったかと。 ▽その他、条件はコスタと同じながら、アトレティコに適応するのに時間がかかってしまったビトロ、ドルトムントからベティスに移籍して出場機会を増やしたものの、遅きに失したバルトラ、オドリオソラ(レアル・ソシエダ)の成長と元々、中盤は人材豊富なせいで空きがなかったセルジ・ロベルト(バルセロナ)らが落選の主だったところですが、レアル・マドリーからは最多の6人(セルヒオ・ラモス、カルバハル、ナチョ、イスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケス)、アトレティコからは3人(コケ、サウール、コスタ)がリスト入り(https://twitter.Com/sefutbol/status/998520371547602944)。となれば、今回のロシア大会もマドリッド勢を応援する私にとって、かなり見応えがありそうですが、まあスペイン代表については来週月曜、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設での合宿が始まってから、イロイロお伝えしていくことにしますね。 ▽とりあえず、先週末のリーガ最終節はどうだったかというと、何せすでに優勝はバルサ、CL、EL出場権も降格チームも決まっていましたからね。勝敗的にはほとんど意味がないものだったんですが、土曜のブタルケでは弟分のレガネスが予想外の根性を見せてくれることに。ええ、前半19分にはキャンベルのゴールでベティスに先制された上、23分にディエゴ・リコをイエローカード2枚で失ったんですが、やっぱり選手たちもこれまで5年間、2部Bから1部の高みまで引き上げたチームを去るガリターノ監督とキャプテンのマントバーニの花道を飾ってあげたかったんですかね。 ▽27分にはCKから、相手のミスを突いてシオバスが同点ゴールを奪うと、後半18分にはゲレロのアシストでナランホが勝ち越し点をゲット。30分にはサナブリアのヘッドで並ばれてしまったものの、その3分後にはアムラバトのシュートが敵DFに当たって入るラッキーなゴールでとうとう、3-2のremontada(レモンターダ/逆転劇)を果たしてしまったから、功労者2人のお別れ試合を見ようとスタンドを満員にしたファンがどんなに喜んだことか。おかげでまだ負傷の癒えていないマントバーニも43分にピッチに入ることができましたしね。試合後はチーム全員でガリターノ監督と彼を胴上げ、昨季の初1部残留祝い程の派手さはなかったものの、心温まるセレモニーを見ることができましたっけ。 ▽ちなみにクラブから契約延長のオファーはあったものの、「今が退団する時だと感じた。Buscaremos algo diferente(ブルカレモス・アルゴ・ディフェレンテ(何か違うことを探すつもりだ))」と断ったガリターノ監督にはソシエダやセルタなどから、ラブコールを送られているようですが、現時点ではまだ決まっておらず。うーん、確かに2年連続、降格圏ギリギリ17位ながら、余裕のある1部残留を達成したとはいえ、予算の限られているレガネスでもっと上を目指すのは難しいですからね。当人もすでに55歳とあって、新しいことにチャレンジする時間は限られているのに気がついたのかもしれません。 ▽そしてレガネス(マドリッド近郊)から、私がバスとメトロ(地下鉄)を乗り継いで帰宅する間にもう1つの弟分、ヘタフェのマラガ戦は終わってしまったんですが、何よりの朗報は、いえ、柴崎岳選手が先発して後半37分までプレー、チームの勝利に貢献できたのも喜ばしかったんですけどね。相手のマラガはすでに最下位での降格済みとはいえ、なかなか点を取れなかった彼らがチャンスを得たのは後半29分。それもPKだったため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナウンサーも「これは喜んでいいものやら」と複雑な心中を吐露していたんですが、この日はレミが蹴ってついに成功したんですよ! ▽だって、今季は7回もPKを決められず、おかげでセビージャと争った7位のEL出場権を逃してしまったヘタフェですからね。これで悪い流れに歯止めをかけて、来季は自信をもってPKに立ち向かえるかと。ちなみにこの0-1の勝利で8位を確定して、翌日からチームはバケーションに入ったんですが、例外はモロッコ代表W杯メンバーに招集されているファジルと日本代表のプレリストに入っている柴崎選手。ボルダラス監督を始め、去年は昇格プレーオフを戦い抜き、20チームで一番夏休みが短かったヘタフェとあって、きっと今頃は皆、ビーチなどを満喫しているんじゃないでしょうか。 ▽そして自宅に荷物を置く暇もあらば、土曜最後の試合となったビジャレアルvsマドリー戦を見るため、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に向かった私でしたが、さすがCL決勝まであと1週間となると、ジダン監督も総合リハーサルをしない訳にはいきません。いえ、ケイロル・ナバスはお留守番、カシージャをベンチに置いて、息子のルカを先発GKで使ったのは「Faltaba él por jugar/ファルタバ・エル・ポル・フガール(彼だけが出場していなかった)」(ジダン監督)と、今季まだスタメンデビューしていなかった選手だったからで、別にキエフでプレーすることを想定してではないんですけどね。他は捻挫の治ったクリスティアーノ・ロナウドを筆頭にベイル、イスコ、クロース、モドリッチ、カゼミロ、カルバハル、ヴァラン、ラモス、マルセロと、リバプールとの決勝スタメンと言ってもまったくおかしくなかったかと。 ▽その甲斐あって、前半11分にはモドリッチからパスをもらい、敵をかわしながらシュートに持ち込んだベイルが先制点、32分にもマルセロのクロスをC・ロナウドがヘッドで決めて2点をリードしたマドリーなんですが、まずかったのは、「en la segunda gestionamos pensando en la final/エン・ラ・セグンダ・パルテ・ヘスティオナモス・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(後半、ウチは決勝を考えて調整してしまった)」(ジダン監督)こと。ええ、選手たちだって今更ながら、負傷するのはイヤですからね。リズムが落ちたところを敵に突かれ、C・ロナウドとモドリッチが温存された後、26分にはロジェールに見事なリーガ初ゴールを撃ち込まれると、40分にはカスティジェホにGKルカがかわされて、とうとう、同点にされてしまうとは締まりのない今季の彼らのリーガそのものだったかと。 ▽え、最後は2-2の引き分けで終わり、マドリーは3位が確定、翌日にエイバルを迎えるアトレティコが2位となったため、結果を気にせず、フェルナンド・トーレス送別イベントに専念できるようになったのはラッキーだったんじゃないかって?そうですね、折しも彼らは先週水曜にELで優勝。4年ぶりのタイトル獲得だったため、天気の良い日曜午後のワンダ・メトロポリターノは試合前から、お祭り気分のファンたちで大賑わいに。とりわけトーレスのサッカー人生を写真50枚でつづった展示やお別れセレモニーで贈呈される巨大ユニフォームにメッセージを書くのに長蛇の列ができていましたが、いやあ、そこはアトレティコ。ヘマをするのは選手たちだけじゃないんです! ▽いえ、試合の方はエイバルの選手たちが作ってくれたpasillo(パシージョ/チャンピオンを迎える花道)を通ってチームが入場。キャプテンマークを託されたトーレスが、34分にキケ・ガルシアに奪われた先制点を42分、ガビが自陣から出したパスをコレアが追い、エリア内でもらって同点ゴールを決めたり、後半15分にもコスタのアシストで勝ち越しゴールという夢に描いたような展開だったんですけどね。その2点目が丁度、応援団の陣取る側だったため、コスタが復帰して最初のヘタフェ戦でゴールを挙げた時同様、スタンドまで行って、ファンにもみくちゃにされたため、トーレスも同じくイエローカードをもらってしまうなんてこともあったんですが、それは2枚目ではなかったため、まあいいです。 ▽もちろん後半18分にリュカが2枚目のイエローカードで退場になってしまったことも、おかげで次の試合でバルサ最後のプレーをしたイニエスタのように拍手の中、トーレスが途中交代できなくなってしまったという点では間が悪かったんですけどね。何が最悪だったかというと、コレアとコケに代え、コスタと一緒にピッチに入った時、グリーズマンがスタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びせられてしまったんですよ。だってえ、いくら年がら年中、移籍の噂が絶えないとはいえ、彼は数日前、リヨンでEL優勝を果たしたオリンピック・マルセイユ戦で2ゴールを挙げた大殊勲者ですよ。 ▽さすがにこれには私も呆れてしまったんですが、この時、すぐ機転を利かせてくれたのはシメオネ監督。ベンチにいたゴディンを応援団のいるスタンドまで走らせ、「Animadle, que se queda/アニマッドレ、ケ・セ・ケダ(残留するように励ましてやってくれ)」と要請したとか、その試合前にグリーズマンがチームメートに残留意志を表明したことを打ち明けたとか、諸説ありますけどね。幸いそれにスタンドも反応。グリーズマンの応援歌が最大ボリュームで合唱されたため、アトレティコの甘いも酸いも経験しているトーレスに「Aquí no te vamos a reprochar nada. Aquí te vamos a necesitar de verdad/アキー・ノー・テ・バモス・ア・レプロチャール・ナーダ。アキー・テ・バモス・ア・ネセシタール・デ・ベルダッド(ここじゃ何についても君を批判しない。このチームは本当に君が必要なんだ)」と慰められ(https://twitter.Com/eldiadespues/status/998664177102327808)、一時は涙ぐみかけていた当人も無事に試合を終えることができましたっけ。 ▽まあ、この件がグリーズマンの将来にどう影響するかはまだ不明なんですが、ひとまず試合の話を終わらすことにすると、24分にペーニャにエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められた後、弟分のように10人で逆転できなかったアトレティコは2-2で引き分け。タイムアップの笛が鳴った後は即、お別れセレモニーに突入です。 ▽ええ、チーム全員がサインした額入りのユニフォーム、スタジアム前の地面に埋め込まれている100試合以上出場した選手のプレートのレプリカなど、様々な記念品をもらい、ファンのメッセージが入った巨大ユニフォームの前でスピーチしたトーレスの「Nunca he necesitado ganar títulos para sentirme el jugador más querido del mundo/ヌンカ・エ・ネセシタードー・ガナール・ティトゥロス・パラ・センティールメ・エル・フガドール・マス・ケリードー・デル・ムンド(世界一、愛されている選手と感じるのにタイトルが必要だったことは1度もなかった)」という言葉には私もうるっとしかけた1人だったんですけどね。 ▽2007年にリバプールに移籍してから8年、2015年1月に彼が戻って来た時、ビセンテ・カルデロンに4万5000人が詰めかけたり、この日も長いセレモニーの間、6万人の観衆は1人も帰らず。おかげで私など、エイバルのメンディリバル監督がベンチ入りしなかった乾貴士選手について、「水曜の練習で打撲を受け、翌日のセッションは最後までできなかった。太ももに大きな内出血がある。何のケガがわからないのだから、W杯参加にも影響があるかもしれない」と発言した記者会見を見逃した程だったんですが、これだけトーレスがファンに変わらず好かれているのは何より、自分を育ててくれたクラブに対して不誠実なことを1度も言わなかったから。 ▽そこはグリーズマンも見習っていいかと思いますが、ええ、スペインのサポーターはお隣さんにしろ、すぐに不満をブーイングで表現してしまうため、当人が火曜からフランス代表合宿に合流する際、軽薄な言動には要注意。結論が残留にしろ、移籍にしろ、慎んだ方が後あと、イヤな気分を味あわなくて済むんじゃないでしょうか。ちなみに試合後、ワンダ内で慰労会を開いたアトレティコにはまだ1つ、お勤めが残っていて、それは火曜にナイジェリアで行われる親善試合。同国代表と手合わせするため、サモラ(リーガ1失点率が低いGKに与えられる賞)を3年連続獲得したオブラクを始め、W杯に行かないフアンフラン、トーマス、ガビ、ビトロ、コレア、ガメイロ、そしてトーレスが多数のカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちと機上の人になっていますが…こちらもバケーション入りは秒読みですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.22 12:50 Tue
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【日本代表コラム】疑問が生じ、疑念を抱かされた日本代表発表

▽18日、30日に行われるキリンチャレンジカップのガーナ代表戦に向けた日本代表メンバー27名が発表された。ロシア・ワールドカップ(W杯)に向けたラージリスト35名の提出期限が14日であり、そこから4日、8名が落選となった。 ▽27名の名前は、既にみなさんが把握している通り。ここから4名がさらに落選となり、本大会に臨むこととなる。様々な感情が生まれかねないメンバー構成となったが、まずは選ばれた選手たちには全力でプレーし、結果を求めてもらいたいということだ。 ▽本大会のGK登録が3名ということを考えると、GK川島永嗣(メス)、GK東口順昭(ガンバ大阪)、GK中村航輔(柏レイソル)はケガがない限りは確定している。アジア最終予選で日本のゴールを守り続けたGK西川周作(浦和レッズ)は残念ながら落選となった。 ▽つまり、ここから外される4名は全てフィールドプレーヤーということ。21日から始まる合宿、そして30日のガーナ代表戦、31日に予定されているトレーニングマッチでのパフォーマンスで最終決断がされることとなる。 ▽さて、話を戻すが、今回のメンバー発表にはいささか疑問が生まれる点、そして疑念を抱かさざるを得ない点があった。大会開幕まで2カ月となった時点でヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を突如解任することも疑問ではあるが、本来であれば応援してもらうはずの人々に、最後まで大きな不信感を抱かせたまま本大会に臨むこととなってしまう結末となりそうだ。 ◆負傷者情報の不足Getty Images▽疑問の1つ目は、負傷者の情報を把握できていなかったということだ。今回のメンバー発表で2名が外されていた。それは、MF今野泰幸(ガンバ大阪)とFW小林悠(川崎フロンターレ)だ。 ▽小林に関しては、発表当日の朝(18日)に負傷の報告を受けたとのこと。14日のラージリスト提出の時点でどうであったかはわからないが、ここは致し方ない部分もあるのかもしれない。 ▽問題は今野の方だ。西野監督は「リストを上げた翌日にそういう結果が出たので、やむなくリスト外としました」と会見で語ったが、手術が必要な状況にある選手の状況をなぜ把握できていなかったのか。クラブとの連係が悪かったとしか言えないだろう。貴重な候補の1枠を自らの手で手放したということは、日本サッカー協会としていかがなものかと思う。 ▽さらに、この時点でガンバ大阪からは今野の負傷については発表されておらず、手術を受けるという事実を公表して良かったのか。小林も同様だ。リーグ戦が1試合残っていた時点での公表という判断は疑問だ。(原稿執筆時点の20日でも発表はされていない) ◆クラブチームへの不可解な配慮Getty Images▽疑問の2つ目は、海外クラブへの配慮だ。西野監督は会見でFW久保裕也(ヘント)の招集について問われ、「自クラブで27日までプレーオフというシビアなゲームを控えています」と答えた。そもそも、ベルギー・ジュピラーリーグのプレーオフは20日までであり、スケジュールの間違いもあるが、それ以前に招集外の理由が疑問だ。 ▽クラブにとっての大事な試合があることは十分理解できるが、それを理由に選出しないというのは前代未聞だ。大事な試合があるから合流が遅れるのは理解できる。しかし、W杯に向けた準備をする中で、招集ではなく追加招集を考えるというのも疑問だ。理解し難い理由を並べたことは疑念も抱かさせることとなったと言える。 ◆判断基準となった「ポリバレント」Getty Images▽疑問の3つ目は、会見で西野監督が口にした「ポリバレント」だ。かつて日本代表を率いたイビチャ・オシム監督が使った「ポリバレント」。「多くの価値を持つ」という意味もあり、サッカーにおいてはユーティリティ性を表すときに使われる。 ▽その「ポリバレント」という言葉によって選外となったのが、FW中島翔哉(ポルティモネンセ)だ。今シーズンのポルトガル・プリメイラリーグで29試合に出場し、10ゴール12アシストを記録。左ウイングでの起用がメインだったが、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックではトップ下でもプレーし、「ポリバレント」ではないとは言い切れない。 ▽一方で、招集を受けた選手が「ポリバレント」なのかと言われると、その印象がない選手も多い。例えば、FW浅野拓磨(シュツットガルト)だ。スピードが武器の浅野だが、基本的には右ウイングでプレー。2トップの一角でもプレーはできるが、「ポリバレント」とは言いがたい。 ▽そもそも、中盤や守備的なポジションの選手に対して「ポリバレント」であることを求めるのは理解できる。23名という限られたメンバーで、累積警告や負傷などで選手を欠くこともあるだろう。それを想定し、複数ポジションをこなす選手が居ることはチームにとってプラスだ。例えばMF遠藤航(浦和レッズ)はセンターバックだけでなく、ボランチ、右サイドバックでもプレーが可能だ。DF酒井高徳(ハンブルガーSV)は両サイドバックで起用可能であり、チームではボランチを務めていた時期もあった。 ▽逆に、攻撃的なポジションでプレーする選手は、「ポリバレント」というよりも、何か特長を持った選手が重要だと思う。スピード、テクニック、高さ…さらには、得点力、チャンスメイク、セットプレーと、戦い方によって必要な特長は変わるが、局面を打開する力を持った選手が必要だろう。 ◆選考基準の曖昧さGetty Images▽最後は、疑問であり、疑念を抱かせる選考基準だ。今回招集を受けた27名には、負傷明けの選手、クラブチームで出場機会に恵まれていない選手もいる。一方で、前述の中島以外にも、クラブで結果を残している選手が招集外となっている。 ▽例えば、久保。追加招集を示唆されているが、今シーズンはリーグ戦で30試合に出場し7ゴール2アシスト、プレーオフでは6試合で3ゴールを記録している。また、同じベルギーでプレーするMF森岡亮太(アンデルレヒト)は、リーグ戦で30試合に出場し10ゴール14アシスト、プレーオフでも9試合に出場し3ゴール1アシストを記録している。その他にも、MF堂安律(フローニンヘン)はエールディビジで29試合に出場し9ゴール4アシストを記録している。クラブで結果を残し、調子もコンディションも悪くない選手が選外となった。これは国内組にも言えることだ。 ▽一方で、選出された浅野はブンデスリーガで15試合1ゴール。しかし、2018年は1度も試合に出ていない。1月にガンバ大阪からクルトゥラル・レオネサへと移籍したMF井手口陽介は、5試合の出場にとどまり、2月18日を最後に試合に出場していない。 ▽浅野と同じスピードを武器とする選手ならば、FC東京のFW永井謙佑や柏レイソルのFW伊東純也の方がコンディション、試合勘はあるだろう。MF井手口陽介と同じボランチを務める選手は7名も招集されているため、ここは井手口のコンディションを考慮しているのかもしれない。 ▽出場機会や結果が有力な選考基準とはならず、コンディションさえも不確実な選手が優先される状況。選手にとっては4年に1度の大事なイベントとなるだけに、曖昧な基準が説明されたことが残念でならない。 ▽「間違いなく6月19日にワールドカップの大舞台で最高のコンディションになるであろう選手たちを自分の中でも予測した」と西野監督は口にしたが、試合に出ていない選手が1カ月を切った公式戦が少ない中で、トップコンディションに戻るものなのか。どのような勝算があるか分からないが、疑問が残る選出となった。 ◆将来性がなければ求められるのは結果Getty Images▽今回招集された27名のうち、リオ五輪世代以降の選手は7名となっており、決して若い選手が多いとはいえない。また、2014年のブラジル・ワールドカップに出場していたメンバーは12名が呼ばれている状況だ。 ▽全ての選手を一新する必要性はないが、選手の年齢を考えると、2022年のカタール・ワールドカップに繋がる選考とは言いがたい状況だ。加えて、若い世代でも活躍している選手がいる中で、招集を考慮していなかったことを考えると、これまでの3年間で多くの選手を試してきたハリルホジッチ監督を交代させた影響が出ているとも言える。 ▽結果を求めるために監督を交代したと田嶋幸三JFA会長は明言していた。経験豊富な選手を揃えたのであれば、より結果が求められることとなる。将来性を考慮しないのであれば、今大会で結果を残すことが最低条件となり、そのための時間はもう残されていない。いずれにしても、開幕2カ月前の監督交代から続く煮え切らない状況は、最後の局面を迎えても変わらなかった。求心力を失いつつある日本代表、今後の日本サッカーに与える影響は、国内にとどまらず、海外に向けても小さくはなさそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.05.20 18:45 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】相手がマドリーじゃなきゃ勝てる…

▽「男女合同どころか、全チーム出て来るって!?」そんな風に私が呆気に取られていたのは金曜日、ネプトゥーノの噴水前に組まれた祝勝イベント用舞台を眺めながら、アトレティコがヨーロッパリーグのトロフィーと共に到着するのを待っていた時のことでした。いやあ、予想通り、リーガ1部2連覇を果たした女子チームは男子と2台、オープンデッキバスを連ね、マドリッド市庁舎、大聖堂、マドリッド州庁舎を回るパレードをしていたんですけどね。どうやら今季のカンテラ(ユース組織)は非常に出来が良かったようで、全てのカテゴリーで優勝。そこで小さな子供たちから順に男女、計10チーム程が次々、舞台に上がり、すでにかなり集まっていたファンの前でお祝いって、これって完全に男子トップチームに便乗していない? 女子に続いてアトレティコ男子のバスが煙に包まれて会場入り アトレティコの選手たちがバスの上ではしゃいでいる 本当にはしゃいでいる カンテラのチームも舞台に上がる ▽まあ、祝勝イベントのことはまた後で報告しますが、そのアトレティコのEL決勝があった水曜はまず午前中、コリセウム・アルフォンソ・ペレスまで私は足を運ぶことに。いえ、練習はすでに前節、セビージャがベティスと引き分けたせいで、来季のEL予選出場権をもらえる7位になれないことが確定。今週末土曜の最終節はアウェイで降格チームのマラガとの消化試合のヘタフェだというのに何故か、puerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)のセッションだったため、練習は見ることができなかったんですけどね。おかげで数人いた日本人ファンたちもスタジアムのロビーで柴崎岳選手が着替えて出て来るのを待っているしかなかったのは気の毒だったんですが、その日の私の目的はボルダラス監督の契約延長発表記者会見。 ▽非公式にはしばらく前から確定済みになっていたものの、リーガの結末がついたため、ようやく2年間の延長が発表されたんですが、スポーツディレクターのプラナス氏と一緒に現れたボルダラス監督は1部再昇格後の初シーズンを「La temporada es de sobresaliente, le daría un 9'5/ラ・テンポラーダ・エス・デ・ソブレサリエンテ、レ・ダリア・ウン・ヌエベ・コンマ・シンコ(今季の成績は最優秀、9.5点をつけたいね)」と評価。先日、兄貴分のアトレティコとのミニダービーの後などはやはりヨーロッパの夢が消えてしまったため、ご機嫌斜めだったんでしょうね。日本人記者から出た柴崎選手に関しての質問を「今はチームのことを話したい」と一蹴していたものの、この日は「人としてのレベルではとても満足している」と答えてくれました。 ▽ただ、「Futbolísticamente nos hubiera gustado que rendimiento fuera mayor/フットボリスティカメンテ・ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・レンディミエントー・フエラ・マジョール(サッカー的にはもっと大きなパフォーマンスがあった方が良かった)」そうで、うーん、確かに最近は出番も多くありませんでしたからね。もちろん、「だが簡単ではない。彼だけでなく、世界最高のリーガ1部にデビューした皆に起こったことだ」とフォローしてくれていましたが、翌日、シーズン終了を告げるチーム全員揃っての教会への献花を終えたヘタフェのプレーを見られるのも土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのマラガ戦が最後。これで彼らもバケーション入りですから、せめてピッチで柴崎選手の雄姿を見られるといいんですが…。 ▽そして夕方にはEL決勝のパブリック・ビューイングが行われるワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、グラウンドには3方のスタンドに向けて5台の大型スクリーンが設置されていたものの、何と記者席の前にはないという逆境に遭遇。正面スタンドの両脇にある電光スコアボードで見る破目になった上、キックオフまでは場内を埋める、2万5000人のアトレティコファンが盛り上がる様子ばかり映っていたため、本当に観戦できるのか不安になったものでしたが、大丈夫。普段通り、スピーカーでラインアップが発表された後、いよいよリヨンからの中継が始まりました! ▽え、開始3分にはパイエのスルーパスからジェルマンにフリーでシュートを撃たれたり、酒井宏樹選手の負傷中、レギュラーになったサールにも狙われたりと、序盤のアトレティコは相手の勢いに押され、パスが3回も続かない恐ろしい有様じゃなかったかって?いやあ、私も開会セレモニー中にオリンピック・マルセイユのサポーターが陣取るゴール裏席がbengala(ベンガラ/発煙筒)で赤く燃え上がり、ピッチまで白く煙に覆われて、お隣さんとPSGのCL16強対戦2ndレグのパルク・デ・プランス化しているのには閉口したんですけどね。まさか、そのせいでボールが見えにくかったなんて言い訳はしなくても、彼らにはよくあることだったため、ハラハラしつつも視界が良くなるのを待っていたところ…。 ▽何と前半21分、アトレティコが先制点を取ってしまったんですよ!キッカケを作ってくれたのはマルセイユのアンギッサで、GKマンダンダから受けたパスを自陣エリアから近い場所で逃してしまったから、さあ大変。詰めていたガビが戻したボールをグリーズマンが持ち込み、どうやら相手が顔馴染みだったのが吉と出たんでしょうか。「彼はボクが右側に蹴ると予想して動いた。フランス代表の練習ではいつもそっちへ撃っているから。それで試合前、自分に言ったんだ。もし1対1になったら、反対に蹴ってやろうって。Y funcionó bien/イ・フンシオノ・ビエン(おかげで上手くいったよ)」と当人も後で言っていた通り、見事にゴールを決めてしまったとなれば、ワンダで応援していたファンたちもどんなに喜んだことか。 ▽いやあ、これにはルディ・ガルシア監督も「ウチのミスから失点した。アトレティコのようなチームにこういう失敗をすると高くつく」と嘆いていたんですが、32分には更なる不幸がマルセイユを襲うことに。いえ、チームの入場時に当人がサッカー界の迷信を無視して、勝ち取る前のトロフィーに触れてしまったせいだとは思いませんけどね。体調が100%でなかった司令塔のパイエがふくらはぎを痛め、代表チームメートのグリーズマンに慰められながら、早々にマキシム・ロペスと交代って、もしや2014年のCL決勝でジエゴ・コスタが10分ともたなかったアトレティコと似た目が敵に出ている? ▽実際、マルセイユの選手たちの士気にそれが影響を与えたのもあったか、0-1のまま後半に入った彼らは、うーん、ミス続きでイエローカードももらってしまい、エミレーツ・スタジアムの二の舞を懸念されたヴルサリコがシメオネ監督と”モノ"・ブルゴス第2監督の事前の打ち合わせ通り、フアンフランに代わったおかげもあったんですかね。いきなり「相手のレベルが上がった」(ルディ・ガルシア監督)という変身を見せ、4分にはサウールの奪ったボールを「El sábado me dio el a mí una asistencia y hoy me ha tocado a mí/エル・サバドー・メ・ディオ・エル・ア・ミー・ウナ・アシステンシア・イ・オイ・メ・ア・トカードー・ア・ミ(土曜は彼がボクにアシストしてくれて、今日は自分に回った)」というコケが繋ぐと、またしてもグリーズマンが今度はマンダンダの頭上を越えるシュートで2点目をゲット。 ▽いやあ、そのヘタフェ戦だって、0-1で勝っていたアトレティコですし、ゴールには”San/サン(聖)”オブラクもいたので、この時には「敵のミスに乗じただけ」とか、後々言われないで済むと私もホッとしたものでしたけどね。それでも35分にはミトログルのヘッドがゴールポストを直撃なんてこともあったため、助かった面もあったんですが、まさか44分にはまたコケがラストパスを送り、ガビが3点目まで取ってくれるとは一体、誰に予想できたでしょう! ▽ええ、これにはCAS(スポーツ仲裁裁判所)がベンチ入り禁止処分の一時停止措置を却下。結局、準決勝アーセナル戦2ndレグ同様、1人観戦したパルク・オリンピック・リヨンのパルコ(貴賓席)でシメオネ監督も安心できたに違いませんって。何せ、「Perdimos una faltando dos minutos, otra en penales y nos volvimos a levantar/ペルディモス・ウナ・ファルタンドー・ドス・ミヌートス、オトラ・エン・ペナレス・イ・ノス・ボルビモス・ア・レバンタール(ウチは残り2分で、もう1つはPK戦で負けたが、再び立ち上がった)」(シメオネ監督)という、2014年、2016年CL決勝でお隣さんに連敗して以来の決勝でしたからね。相手はマドリーではないとて、点は沢山取っておくにこしたことありませんって。 ▽するとこの直後、ベンチの方へ走って行ったグリーズマンがフェルナンド・トーレスを出すように”モノ”・ブルゴス第2監督に進言。ちょっと前にはコレアをトーマスに代え、守備固めに入っていたアトレティコでしたが、おかげで3人目の交代選手として、今季限りでチームを去ることを発表したエル・ニーニョ(子供/トーレスの愛称)がピッチに入ることができたのは、本当に良かったかと。彼が心から敬愛するチームもそのまま0-3で勝利して、キャプテンのガビと一緒にアトレティコで自身、初めて獲得したトロフィーを掲げられるなんて、もしや今季、CLをグループリーグで敗退。めぼしいライバルが少ないELに河岸を変えられたのはラッキーだった? ▽実際、アゼルバイジャンのカラバフに2戦連続引き分けて、決勝トーナメント進出が厳しくなった際など、「今はELなんてクソみたいなもんだ」と吐き捨てていたガビも、「Ahora me tengo que tragar mis palabras/アオラ・メ・テンゴ・ケ・トラガル・ミス・パラブラス(今は自分の言ったことを飲み込まないとね)」と苦笑いしていましたしね。ピッチでのお祝いではトーレスがスタンドのファンのところまで行ってメガフォンを握り、「Te quiero Atleticoc lo lo lo lo/テ・キエロ・アトレティ・ロ・ロ・ロ(アトレティコ、好きだよ)」と定番カンティコ(メロディーのついたシュプレヒコール)を歌っている珍しい姿なども見られましたし、何よりワンダや帰りのメトロ(地下鉄)でのファンのうかれようときたら。ええ、タイトル獲得に勝る喜びはないというのを私も心底、実感できましたっけ。 ▽え、シメオネ監督は「Hay situaciones que le acercan a querer seguir con nosotros/アイ・シトゥアシネス・ケ・レ・アセルカン・ア・ケレール・セギール・コン・ノソトロス(私たちと一緒に続ける方に近づける状況はある)。彼がアトレティコで決勝を戦うのは3度目でうち2回優勝している。もっと財力のあるチームとウチはサッカー的にそれ程、離れている訳ではない」と言っていたものの、この決勝でMVPにもなったグリーズマンが残留するのか、出るのかは明らかにならなかったんだろうって?そうですね、ネプトゥーノでの祝賀イベントでもリュカが音頭をとって、「Giezmann quedate!/グリースマン・ケダテ(グリーズマン、残って!)」と詰めかけた5万人のファンも合唱してくれたんですけどね。 ▽肝心の当人が「No es momento de hablar del future/ノー・エス・モメントーデ・アブラール・デル・フトゥロ(今は自分の未来を話す時じゃない)」とはぐらかしてばかりだったため、相変わらず、バルサへの移籍があるのかは不明。うーん、ヒル・マリン筆頭株主も「全てが彼中心に回るアトレティコで歴史を作るか、歴史の一部にはなれないクラブに行くのか、それはグリーズマンの気持ち次第」と言っていたように、あちらに行って出番もあまりなく、今は故郷のトルコでプレーしているアルダ・トゥランの例などは気に留めておいた方がいいかと。 ▽あのネイマールでさえ、メッシがいる限り、自分はナンバーワンにはなれないと悟ってPSGへ移ったのは周知の事実ですからね。あ、そうそう、同じ金曜にはバルデベバス(バラハス空港)の練習場でセッション後、決起バーベキュー大会を開催。クリスチアーノ・ロナウドやカルバハルも回復し、最後の総合リハーサルとなる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリーガ最終節、ビジャレアル戦のためではなく、来週土曜のCL決勝に向けて士気を高めていたマドリーがキエフでリバプールを破り、優勝を果たした暁には8月15日のUEFAスーパーカップでアトレティコと対戦することに。 ▽正直、すでにプレミアリーグが終わり、今週はマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿をしているリバプールと当たった方がアトレティコには勝算はあるかと思いますが、クラブもバルサを上回る年棒2500ユーロ(約33億円)のオファーをグリーズマンに出したと聞いていますしね。その結果を見て、本当に今のチームはEL優勝止まりのレベルなのか、いつかはお隣さんを破ってCL優勝できるのか、検討してみるっていうのもいい手かもしれませんよ。 トーレスにとっては初めてのアトレティコ凱旋だ ガビ、コケ、ゴディン、トーレスがマフラーを像に巻き付ける ▽そして祝賀イベントでは女子チームが舞台に立った後、待望の男子チームメンバーが1人1人名前を呼ばれて登場。ネプトゥーノ像にガビ、ゴディン、コケの3キャプテンと一緒にbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻き付けに上がり、とうとう宿願を果たしたトーレスがスピーチの際、涙に声を詰まらせていたのには私も心を動かされましたが、実は彼にはもう1つ、お別れの舞台が。それはこの日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのエイバル戦で、一応、勝ち点1を取って、マドリーより上の2位でリーガを終わるというチームの目標もありますけどね。ワンダ・メトロポリターノがこれまでずっとアトレティコのアイドルでいてくれたトーレスに感謝を示し、盛大に送り出してくれるのは間違いないかと。 祝賀イベントは最後は男女一緒にクライマックスを迎えた ▽その一方で弟分のレガネスは土曜にベティスとの最終戦なんですが、こちらは4年間、2部Bから1部の高みまでチームを引き上げてくれたガリターノ監督とキャプテン、マントバーニがブタルケのファンとお別れすることに。いやあ、日曜ラストのバルサvsレアル・ソシエダ戦でもカンプ・ノウで最後となるプレーを披露するイニエスタへの送別モザイクが予定されていますし、どうやらこの週末はそこここで感動的なラストゲームが見られそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.19 21:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】温故知新というか最終予選を振り返ると西野色が見えるかも!? の巻

▽あー、日本代表メンバー発表前が締め切りっていうこの原稿のタイミングの悪いこと! いや、もしかしたらこれ幸いかも!! 何書いても許される! ですよね。まぁ、データを原稿に入れるってのが今のシバリなもんで、ここで最終予選を振り返っておきましょ。これで誰が唐突に選ばれた、つまり西野朗監督の色が出たかよく分かるってもんでしょ? (C)CWS Brains,LTD. ▽あれ? 今こうやって振り返ってみると、香川真司や本田圭佑を外すなんて、なんか「予選突破だけお願い! あとはやるから!!」ってことだったんですかね。それにしても、こうやって振り返ってみると、ずいぶん昔のことって気もしますし、いろいろ入れ代わっちゃってるのかもしれないんですけど、たとえば井手口陽介なんてどうすんですかね? あのポテンシャルだったら入れてもおかしくないと思うんですけど、さて本日の発表ではどうなりますか。 ▽西野監督、よく考えたら今回引き受けなかったら、この大会が終わった後に同じポジションに就任できたかもしれないなって。ちょっと貧乏くじに見えるのは私だけ? ともあれいよいよ臨戦態勢。ぜひ頑張ってほしいものです。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.18 10:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】本田と西野監督のイベント出席で思い出される4年前のお祭り騒ぎ

▽昨日16日は、都内の商業施設で高級時計ブランド「ウブロ」のイベントが開催され、第1部には本田圭佑、第2部には西野日本代表監督と元日本代表の前園真聖氏、女優で浦和DF槙野智章の夫人である高梨臨さんがトークショーを開催した。 ▽ウブロは2010年の南アW杯からFIFA(国際サッカー連盟)のオフィシャルタイムキーパーを務め、2015年には日本代表にオフィシャルウォッチを提供してきた。ハリルホジッチ元監督は、代表メンバーを発表する際に、立ち上がって紙を持ちつつ必ずスーツの袖を引いてウブロの腕時計が露出するよう配慮していたのは、今となっては懐かしい思い出だ。 ▽さてトークショーでは、本田がサッカーを始めたきっかけがペレだったことを明かした。「サッカーを始めたきっかけはペレ。物心つき始めた頃に、白黒のペレのW杯のビデオを父親に見せられた。どのプレーが凄いか子供なので分からなかったが、何か凄いことが感覚で分かった」そうだ。 ▽ペレがW杯に出たのは58年スウェーデン大会から70年メキシコ大会までの4度。このうちメキシコと66年イングランド大会はカラー化になっていたため、もしかしたらデビューしたスウェーデン大会のビデオかもしれない。よくも、そんな古いビデオを持っていたと感心してしまった。 ▽そして本田はロシアW杯について「本音で話すと、予選敗退が普通かもしれない。確率論ではそう。でも、それをOKとはできない。サッカーはチームスポーツ。100mを9秒台で走れなくてもサッカーでは勝つことはできる。(大会に)出る以上は優勝としか言えない。僕はこれまでも、出る以上は常に優勝としか言ってこなかった。可能性は1%以下かもしれないけど、可能性はある」と力説した上で、「日本はブランドに抵抗感がある。海外のことを美化しすぎる。試合前から名前負けしている。日本が優勝するためには、まず勝つことを信じる」と豊富な海外経験から持論を展開した。 ▽第2部に登場した西野監督は、18日にキリンチャレンジ杯に臨む28人のメンバー発表を控えているせいか、ちょっと歯切れが悪かった。「各国に欧州で活躍するスーパースターがいるが、弱点はある。しっかり選手に伝えれば日本らしいサッカーができる自信はある」と話しながらも、イベント中に本田とは会わなかったこと、欧州視察後は代表候補選手とは誰ともコンタクトしていないことを明言。代表選考について質問されると「デリケートな問題なので」と言葉を濁した。 ▽このイベントは日本代表のオフィシャルウォッチだからこそ実現できたイベントで、主催はあくまでJFA(日本サッカー協会)だ。本田自身はウブロと契約しているわけではなく、ゲストとしての参加だそうだ。そしてW杯が近づくにつれ、前回も様々なイベントがあったことが思い出される。 ▽ザッケローニ監督は就任会見で、「コマーシャルなどには出るつもりはない。十分すぎるギャランティーをもらっているため出る必要がない」と話していた。ところが2014年の3月頃だったと記憶している。西が丘で行われた練習前、オフィシャルスポンサーのキリンビバレッジが、おにぎり&日本代表公式飲料「キリン午後の紅茶おいしい無糖」と、サポーターの応援メッセージをのりに刻んだ「勝ちにぎり」の贈呈を行ったのだ。 ▽おにぎり公式飲料公式キャラクター・ごごのこーちゃんが出席し、ザッケローニ監督と香川が笑顔で受け取った。正直、ザッケローニ監督がおにぎりを片手に笑顔を振りまく姿に違和感を覚えた。さらに日本代表のサポーティングカンパニーであるファミリーマートは、同社 のテレビ CM に出演しているザッケローニ監督をモチーフにした応援スタンプを、「LINE」の公式アカウントで無料配信した。 ▽W杯で結果を残したのならともかく、これから大事な決戦に向かう前に「浮かれすぎていないか」と思わずにはいられなかった。キリンもファミマも代表のスポンサーだけに、JFAもオファーを断りきれなかったのだろうと想像したが、協会関係者に確認したところ、「ザッケローニの代理人が大手広告代理店に売り込んだため、協会としても把握していなかった」そうだ。 ▽さすがにW杯まで1ヶ月を切っているし、監督に就任したばかりの西野監督が滑稽なイベントに借り出されることはないだろう。JFAも前回の「お祭り騒ぎ」を教訓に、慎んだ行動を望みたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.17 13:30 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】お祝いが見たい…

▽「一緒にネプトゥーノに行くべきね」そんな風に私が思っていたのは月曜日、アトレティコの女子チームがリーガ2連覇をピッチで祝う姿をTVで見た時のことでした。いやあ、前日の最終節で勝てば、2位のバルサを抑えて優勝というのは知っていたんですけどね。見事、アウェイでサラゴサに1-6のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で戴冠とは、うーん、これが男子なら文句なしにネプトゥーノ(アトレティコが優勝を祝う恒例の広場)にファンも直行なんですが、昨季の例を見ても女子のために祝賀パレードをする習慣はないよう。となれば、この水曜のヨーロッパリーグ決勝で男子が優勝した暁には合同祝賀イベントとして、広場に設けられる舞台に女子選手たちも上げてあげたら喜ぶかも。 ▽ただ、リーガでは男子に爪のアカでも煎じて飲ませてあげたくなるようなアトレティコ・フェメニーノなんですが、課題は女子CLで、初出場だった昨年は強豪ボルフスブルクとの32強対決に2試合で15点も奪われて速攻敗退。その後、相手はこの24日、熊谷紗希選手のいるオリンピック・リヨンとの決勝まで進んでいるため、もちろんクジ運もなかったんですが、ヨーロッパでは2014年と2016年にはCL決勝に進出している男子の方が1日の長があるかと。でもねえ、折しも同じ10月にはシメオネ監督のチームもグループリーグでアゼルバイジャンのカラバフと2試合連続で引き分け。グループ3位でCLから失意の敗退をする原因を作っていましたからね。となるとやっぱり、EL優勝ぐらいはしておかないと、男子としてのメンツが保てないような気がしないでもないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガがどうだったか、お伝えしておかないと。EL出場権の順位が懸かったカードだけが集められた午後6時30分の時間帯を外れ、一足先にアノエタでレアル・ソシエダと対戦した弟分のレガネスは、いえ、前半25分までにオジャルサバルとカナレスのゴールで2点リードを許したものの、ディエゴ・リコとゲレロが返して、一旦は同点にしたんですけどね。最後は後半33分にウィリアム・ホセにPKを決められて、終盤の出場となった今季限りで引退するキャプテンのシャビ・プリエト、ソシエダでの18年間のキャリアにピリオドを打つカルロス・マルティネスへのお別れセレモニーに華を添える白星をプレゼントしてしまうことに。 ▽どうやらこれで来週土曜のベティス戦を待つことなく、レガネスは降格圏すぐ上の17位で終了することが決まってしまったようですが、彼らの場合、昇格から3年目もまた1部で過ごせることが何より大事。来季もブタルケに兄貴分のレアル・マドリーやアトレティコ、バルサといった人気チームを迎えられますし、週末をマドリッドで過ごす日本人サッカーファンの観戦選択肢が多いのはいいことかと。加えて、日曜はコルドバに負けてしまったものの、2部の弟分、ラージョも次節のアルコルコンとのダービーに勝って、3位のスポルティングがテネリフェ戦で引き分け以下なら、いよいよ1部昇格が決まるところまで迫っていますからね。前代未聞の1部にマドリッド勢5チームともなると、来季は私も梯子する日が増えそうですよ。 ▽土曜はその後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで兄弟分ダービーが始まったんですが、うーん、ヘタフェのサポーターはあまりモザイクとか、作り慣れていないせいでしょうかね。7位のセビージャがベティスとのアンダルシア・ダービーで負けることに一縷の望みを懸けて、勝利が必須なチームを奮い立たせようと、青の中に白でクラブ名を浮かび上がらせる計画のようでしたが、席に着くのが遅い観客もいたため、あまり成功したとは言えず。 ▽この辺はもう少々、先輩チームのペーニャ(ファンクラブ)から教えを受けた方がいいかと思いましたが、キックオフ後間もなく、ボルダラス監督が3日間、スタジアムで非公開練習をして練った秘策が炸裂するのを待たず、先手を取ったのは「sorprendimos al principio con la posicion de Koke para desordenar a su defensa/ソルプレンディモス・アル・プリンシピオ・コン・ラ・ポシシオン・デ・コケ・パラ・デスオルデナール・ア・ス・デフェンサ(敵の守備陣を崩すため、序盤にコケのポジションで驚かせた)」(シメオネ監督)アトレティコの方。 ▽いえ、水曜にEL決勝を控えているにも関わらず、ローテーションを避け、スタメンに並んだアトレティコのMFはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)のcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチ)、コケ、サウール、トマス、ガビだったんですけどね。この日はジエゴ・コスタとグリーズマンの後ろにコケがつき、トップ下を務めていたところ、前半8分、ワンタッチでボールを右サイドのフアンフランに流してチャンスを作ったんですよ。するとエリア付近でボールを受けたグリーズマンが2列目から入ってきたコケに繋ぎ、そのシュートがGKグアイタを破ってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげで早々にリードを奪ったアトレティコでしたが、やはり1週間休みがあると、選手たちの動きも軽快なんですね。前節エスパニョール戦のダメダメ感がまったくなく、36分にグアイタと1対1になったコスタはシュートを弾かれてしまったものの、珍しいぐらいキレいにパスを回しているんですから、アトレティコだって疲れてなければいいサッカーができる?そうこうするうちに相手に焦りが出て来たか、後半早々にはフィリペ・ルイスやガビが乱暴なプレーで倒されたりしたため、15分にはシメオネ監督もコスタとグリーズマンをガメイロとフェルナンド・トーレスに、23分にはコケもコレアと交代させて温存することに。 ▽え、それより一番、ヒヤリとさせられたのは31分、ゴディンがアンヘルを倒してPKを献上。この日はファジルがキッカーに立ったものの、「Es una situacion totalmente anomala/エス・ウナ・シトゥアシオン・トータルメンテ・アノマラ(これはまったく異常な状態だ)」と、すでに今季3回PKを失敗しているキャプテンのホルヘ・モリーナも嘆いていたように、GKオブラクが見事に弾いてしまったのはともかく、こぼれ球を追ったブルーノに当人が頭を蹴られてしまった時じゃないかって?そうですね、実際、その後もガメイロやトーレスが絶好機に追加点を奪えなかったアトレティコですが、それでも不安がまったくなかったのは幸いオブラクがすぐ回復し、ずっとゴールにいてくれたから。 ▽おかげで0-1のまま勝利し、3位のお隣さんとの勝ち点3差を守った彼らでしたが、「el Barca no ha perdido ningun partido.../エル・バルサ・ノー・ア・ペルディードー・ンングン・パルティードー(バルサは1つも試合を落とさなかった)。2つ3つ負けていれば、ウチもリーガ優勝を争っていたのに」(フアンフラン)というのにはちょっと負け惜しみもあったかと。ええ、翌日曜にはメッシをお留守番にしたバルサが今更ながらレバンテに5-4で負け、今季初黒星を喫したんですけどね。それでもアトレティコとの差は勝ち点12もあるため、やっぱり1位になるのは絵に描いた餅だったでしょうが、決勝を前にしているだけに、「Ganar trae ganar/ガナール・トラエ・ガナール(勝利は勝利を呼ぶ)」と勢いがついたのはいいかと。 ▽反面、柴崎岳選手の出場もなく、ここまでシメオネ監督のアトレティコに13試合で1勝もできておらず、通算スコアを0-26としてしまったヘタフェは気の毒だったんですが、その日はセビージャもベティスと引き分けたため、どちらにしろ7位の座に返り咲くのはムリでしたからね。大体がして今季11回もらったPKで7回も失敗しているようではもう、自業自得としか言えないんですが、それでも彼らは再昇格からほんの1年目。残留決定祝いすら、忘れ去られる程の高みで残り1試合まで戦ってきた今季は、「estaremos todos orgullosos de lo que ha hecho el equipo/エスタレモス・トードス・オルグジョーソス・デ・ロ・ケ・ア・エッチョ・エル・エキポ(チームがやったことに皆、誇りを持てるだろう)」(ボルダラス監督)というシーズンだったのは間違いないと思いますよ。 ▽そして土曜の最後の時間帯ではサンティアゴ・ベルナベウでマドリーvsセルタ戦が始まったんですが、いえ、もちろんこの場合、両スタジアム間の移動には1時間ぐらいかかるため、私も梯子はムリだったんですけどね。コリセウムのミックスゾーンを出る前から、すでに凄いことになっていたよう。クリスチアーノ・ロナウドは26日のCL決勝を目安に足首のネンザの治療中でまだ出ていなかったんですが、キエフでのリバプール戦でスタメンに入りたいバイルが爆発。ええ、前半13分にはモドリッチのスルーパスに抜け出て先制点を決めると、30分にもスピードを見せつけて2点目をゲットしているんですから、「claro que sera un dolor de cabeza hacer el once para la final/クラーロ・ケ・セラ・ウン・ドロール・デ・カベッサ・アセール・エル・オンセ・パラ・ラ・フィナル(決勝でのスタメンを選ぶのが頭痛の種なのは明らか)」と、ジダン監督が苦笑いするのも当然だった? ▽加えて32分には、うーん、当人によると、「CL準決勝バイエルン戦2ndレグに間に合わせようとしてムリしたら、練習でまた肩を痛めてしまって、余計に時間がかかった」そうなんですけどね。ようやく4月25日以来の復帰を果たしたイスコが、エリア内入ってすぐの場所からすくい上げるように撃ったシュートがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になったとなれば、ジダン監督の悩みが倍増したのは確実だったかと。その後、私がメトロに乗って帰宅中も彼らは得点を重ね、後半7分には右SBのアクラフが、29分には途中出場のアセンシオのシュートをセルジ・ゴメスがオウンゴールに、そして36分にもマジョラルのアシストからクロースが決めて、終わってみれば6-0の大勝。ええ、これなら今季、ヘタフェ戦に次ぐ少ない観客数の5万6000人だったとはいえ、スタジアムに足を運んだファンがどんなに喜んだか、想像はつきますって。 ▽そんなマドリーは今週は火曜から練習を再開。土曜のリーガ最終節ビジャレアル戦で最終調整をして、その翌週末のCL決勝に臨むことになりますが、それまではどうやら、キエフで誰をスタメンにするべきかと、セルタ戦の後にはマルセロも「Al Madrid vienen los mejores y a mi me encantaria jugar con Neymar/アル・マドリッド・ビエネン・ロス・メホーレス・イ・ア・ミー・メ・エンカンタリア・フガール・コン・ネイマール(マドリーには最高の選手たちが来るし、自分はネイマールとプレーするのが大好きだ)」と素直に認めていたブラジル代表の同僚を含む、夏の人事異動の話題が中心になるかと。 ▽一方、もうEL決勝まで時間のないアトレティコは、日曜はマハダオンダ(マドリッドの郊外)の練習場で、月曜はワンダ・メトロポリターノでセッションを実施。火曜の現地移動を控えて発表された招集リストには、第3GKのドス・サントス以外、トップチーム全員19人が名を連ねています。ロンドンでの準決勝ア-セナル戦1stレグで退場となり、4試合のベンチ入り禁止処分を喰らったシメオネ監督については何せ、日曜に販売終了となったソシオ(協賛会員)限定チケットが1000枚売れ残ったということで、アトレティコファンも1万人程は応援に駆けつけるものの、マルセイユとリヨンが距離的に近いため、パルク・オリンピック・リヨンでは少数派になってしまうかもしれませんからね。 ▽ワンダでのアーセナル戦2ndレグのように、サポーターを煽れる位置のパルコ(貴賓席)にシメオネ監督がいられる保証もないため、クラブもCAS(国際スポーツ裁判所)から一時執行停止令をもらって、ベンチで指揮を執ってもらおうと努力しているんですが、まだこれはどうなるか不明。水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの決勝はワンダ・メトロポリターノでも大画面スクリーンを設置して、パブリックビューが行われるんですが、こちらはクラブのオフィシャルウェブで買える一般10ユーロ(約1300円)の入場券(https://entradas.atleticodemadrid.com/clubatleticodemadrideuropa/es_ES/entradas/evento/11975/session/637841/select)がかなり残り少なくなっているようです。 ▽金曜に一足早く、リーグ1のギャンガン戦を3-3で引き分けたオリンピック・マルセイユでは酒井宏樹選手が復帰していますが、やはり危険なのはトヴァンとパイエのフランス人アタッカーコンビかと。うーん、火曜にエル・ムンド(スペインの一般紙)に載ったインタビューでサウールなど、「Nos falta un poco de suerte y de calidad/ノス・ファルタ・ウン・ポコ・デ・スエルテ・イ・デ・カリダッド(ウチはツキと質がちょっと足りない)。どの大会でも明白な有力馬となれる何かがね」と言っていましたが、相手のレベルがヘタフェ程度なら、かなり自信持っていいんですけどね。これまでお隣さんに負けたCL決勝はさておいて、EL決勝ではフラム、アスレティックを寄せ付けずに優勝してきた彼らですが、果たしてアトレティコでタイトルを獲りたいというトーレスの願いを叶え、金曜にはネプトゥーノに凱旋することができるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.15 19:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】オフシーズンのことはまだ考えたくない…

▽「あちらはまだ決勝まで間があるからいいわよね」そんな風に私がうんざりしていたのは金曜日、このところグリーズマンのバルサ移籍の報道ばかりだったニュース番組が突然、ネイマールのレアル・マドリー入り一辺倒になっているのに気づいた時のことでした。いやあ、前者については、とうにリーガ優勝を決め、クラシコ(伝統の一戦)も終わったバルサにはもう今季、他にやることもなし。それでバルトメウ会長も「昨年10月に選手の関係者に会った」なんてラジオで洩らして、人事関連の噂で注目を集めたかったんだろうなんて推測していたんですけどね。 ▽問題なのは今回、筆頭株主のヒル・マリン氏が即座に「Estamos hartos de la actitud del Barcelona/エスタモス・アルトス・デ・ラ・アクティトゥッド・デル・バルセロナ(バルサの態度には飽き飽きしている)」と抗議文をオフィシャルウェブに掲載したように、アトレティコには4年ぶりのタイトル獲得が懸かったヨーロッパリーグ決勝が来週に控えているということ。おかげでこの水曜、ワンダ・メトロポリターノで華々しく開催されたオープン・メディア・デーでも記者会見の質問の大半がグリーズマン関連となり、いえ、フィリペ・ルイスなど、「Estoy seguro de que Griezmann hoy es barato: 100 millones es barato/エストイ・セグオ・デ・ケ・グリーズマン・オイ・エス・バラート:シエン・ミジョネス・エス・バラート(今のグリーズマンが安いことは確かだ。1億ユーロ(約131億円)は安いよ)」なんて、まるでお買い得品みたいに言っていましたけどね。 ▽そりゃあ昨夏、2億2000万ユーロ(約290億円)でネイマールをPSGに売却した後、デンベレ(1億5000万ユーロ/約200億円)やコウチーニョ(1億2000万ユーロ/160億円)といった高額な買い物を続けてきたバルサにしてみれば、グリーズマンには実績も十分あるだけにコストパフォーマンス的に最高というのはわかりますよ。とはいえ、そのせいで2014年のチェルシー移籍前、アトレティコで出場した最後の試合がリスボンでのCL決勝。その時はケガの再発で10分と持たず、チームもお隣さんに負けてトロフィーを掲げることができなかったため、リベンジに燃えているはずのジエゴ・コスタだというのに自身の調子や意欲について、誰にも聞かれないってことあっていい? ▽いえ、だからって、隣でフィリペ・ルイスが話している間、マイクを反対側に折り曲げたりして遊んでいたのはどうかと思いますけどね。最後は「Yo me quedo, estoy muy bien feliz, soy importante para el equipo/ジョー・メ・ケド、エストイ・ムイ・ビエン・フェリス、ソイ・インポルタンテ・パラ・エル・エキポ(ボクは残るよ。とても幸せだし、チームにとって重要な存在だから)」と、自らアピールをしなくちゃならなかったのはちょっと、気の毒だったかと。 ▽その後、ワンダのピッチで行われた公開練習にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)が10人程、参加していたため、何せ決勝の相手、オリンピック・マルセイユは1日早い、金曜にギャンガンとのリーグ戦を前倒していますからね。コケなどは「ボクらはプロだし、慣れているし、全然問題ない。Las finales se juegan con el corazon y lo demas no influye/ラス・フィナレス・セ・フエガン・コン・エル・コラソン・イ・ロ・デマス・ノー・インフルージェ(決勝はハートでプレーするもので、他のことは影響しないよ)」と言っていたものの、いよいよこれは土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーでシメオネ監督も規定ギリギリまで選手をローテーションかと予感したところ…いやあ、金曜に発表になった招集リストにあった名前は負傷のリハビリ中で、決勝まで温存されるビトロを除き、トップチームメンバーだけの18名って、もしやミッドウィークの試合でお隣さんが負けたせいで、リーガ2位死守の目標を思い出した? ▽そう、実はその水曜、私がワンダから急いで帰って近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見たセビージャ戦ではジダン監督がここぞとばかりにBチームを投入。いえ、クラシコで足首を捻挫したクリスチアーノ・ロナウドを始め、カルバハル、イスコは26日のCL決勝リバプール戦に万全で挑めるよう、ケガの完治に努めているところなんですけどね。ベイルがいなかったのは累積警告で出場停止だったせいですが、移籍金2億6000万ユーロ(約340億円)以上と言われるネイマールが来ると、完全に放出候補ナンバーワンになるというのに、マドリッドの蝋人形館で自身の人形と入れ替わり、観光客を驚かせている映像(https://www.youtube.com/watch?v=dLP59ePKFNQ)などが公開されたりしているところ見ると、あまり当人も深刻に受け取っていない? ▽加えてGKケイロル・ナバス、マルセロ、バラン、モドリッチ、クロースもお留守番で、サンチェス・ピスファンのピッチに立ったtitular/ティトゥラル(レギュラー)は、どんなにpito(ピト/ブーイング)を受けても古巣に恩返しするチャンスを逃したくないセルヒオ・ラモスとカセミロ、ベンゼマだけだったなれば、3節前、モンテッラ監督を解任。カパロス新監督の下で来季のEL出場権がもらえるリーガ7位の座を何が何でも確保しようとしているセビージャとは序盤から、気合が違うのは仕方なかったかと。 ▽ええ、前半26分にはGKダビド・ソリアからのロングフィードを、いえ当人は「Nunca es un marron jugar en el Madrid/ヌンカ・エス・ウン・マロン・フガール・エン・エル・マドリッド(マドリーでプレーするのは決してババ引くことじゃない)」と言っていたんですけどね。第4CBのバジェホがムリエルに競り負け、そのパスからベン・イェデルが先制点をゲット。44分にもエリア内のプレーでエンゾンジのシュートは一旦、テオが阻んだものの、余裕で跳ね返りをフリーのラユンに送られて、2点目を取られているのですから、いかに守備陣の気が緩んでいたか、わかろうというものです。 ▽それでも後半12分にはルーカス・バスケスがムード・バスケスに倒され、PKをもらったマドリーだったんですが、キッカーのラモスがシュートをゴールバーに当ててしまい、得点はならず。いやあ、どうやらこの日の彼は主役を張る運命だったのか、38分にはメルカードの角度のないところからのシュートを防ごうとしてオウンゴールを献上し、とうとうスコアは3-0にまでなってしまったんですが、ここからマドリーは反撃に出ます。41分にアセンシオのクロスを出場機会は限られているものの、ピッチに入った時は決して失望させないマジョラルがヘッドで1点を返すと、ロスタイムにはセットプレー中、テオがメルカードに突き飛ばされるのを目撃され、再びPKがもらえることに。 ▽いえ、このプレーについては「Me empuja, forcejea, me pega una patada, me putea y yo, logicamente, respond/メ・エンプーハ、フォルセヘア、メ・ペガ・ウナ・パタダ、メ・プテア・イ・ジョ、ロヒカメンテ、レスポンド(向こうが押してきて争って、蹴ってきた上に悪態をつかれて当然、自分も応酬した)」と、原因はテオにもあったことをメルカードも主張していたんですけどね。その一方でアトレティコなんて先日、フェルナンド・トーレスがPKを失敗した後、次のPKでは素直にガメイロにキッカーを譲っていたものですが、そこはセビージャのカンテラから彼を抜擢。育ての親であるカパロス監督も「Su ADN es muy competitive/ス・アーデーエネ・エス・ムイ・コンペティティボ(非常に競争的なDNAを持っている)。父親や家族と競っても勝ちたがる程にね」と言っていた鋼鉄の意志の持ち主、ラモスがベンゼマのオファーを断り、今度は見事に決めてくれたんですが…残念ながら、あと1点を取る時間はありませんでしたっけ。 ▽まあ、この3-2での敗戦はジダン監督によると、「Estamos decepcionados, pero no afectara nada/エスタモス・デセプシオナードス、ペロ・ノー・アフェクタラ・ナーダ(ウチは失望しているが、何の影響もない)」そうですし、大体、プレーする選手がほとんど違うんですから、CL決勝の参考にはまったくならないんですけどね。ただこの結果、2位アトレティコと3位の彼らの差は勝ち点3のままに留まったのはいいものの、信頼していた兄貴分に裏切られた気分になってしまったのはヘタフェ。だってえ、おかげでセビージャに勝ち点差2をつけられて、7位の座を奪われてしまったんですよ。 ▽おまけにこの土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、試合時間のunificacion(ウニフィカシオン/統合)でベティスvsセビージャのアンダルシアダービーと同時開催される、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのミニマドリーダービーではシメオネ監督も「jugaran los de siempre/フガラン・ロス・デ・シエンプレ(いつもの選手がプレーする)」と言っていたように、アトレティコはトップチーム総動員で乗り込んで来ますからね。いくら前節は前代未聞の負傷、出場停止者が大量11人という非常事態にありながら、柴崎岳選手の抜け目ないボール奪取もあって、ラス・パルマスに0-1の勝利という嬉しい結果を掴めたヘタフェとはいえ、今季ホーム最終戦を白星で飾れるかは微妙なところ。 ▽もちろんシーズン前半はベティスに3-5を負けたセビージャが今回、すでに来季のEL出場を確定し、ライバルとご一緒は絶対避けたい相手にリベンジを果たせるかどうかも不確かですし、何よりアトレティコも選手は、面子はともかく、頭の中は来週水曜のEL決勝でいっぱいですからね。更に土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのサンティアゴ・ベルナベウで、再びローテーションをかけてくるだろうお隣さんがセルタに勝てなければ、負けてもアトレティコの2位は安泰とか思ったりすると、どうにも私自身、もう何をどう応援したらいいのかわからなかったりするんですが…とりあえず、今週は3日連続、スタジアムでの非公開練習で秘密特訓をしていたヘタフェの方は出場停止だったファジル、モラ、ブルーノ、モリネーロが処分明けで戻ってくるため、柴崎選手のスタメンリピートは厳しいかもしれません。 ▽そしてもう1つの弟分、レガネスは17位ながら、残留は確定ということで、気楽に土曜午後4時15分からのレアル・ソシエダ戦に臨めばいいんですが、今週はここまで5年間、チームを率いて、2部Bから2部、更に1部へとダブル昇格、この2シーズン連続1度も降格圏に落ちなかったという功労者、ガリターノ監督が契約を延長しないことを発表。さすがにレガネスでは予算上、これ以上のレベルアップを目指すのは難しいと悟ったんでしょかね。まだ次のチームは決まっていないそうですが、オファーには事欠かないようなので、また来季はリーガのどこかのクラブの監督として里帰りしてくれるかと。 ▽ちなみにレガネスの後任監督に関しては今のところ、まだ情報はまったくなく、これからイロイロ名前が挙がってくるんだと思いますが、何せ2部ではラージョ・バジェカーノがあと4試合を残し、2位のウエスカと勝ち点差2の首位と、どうやら来季は1部のマドリッド勢が5チームになる気配が濃厚ですからね。それだけマドリッド第3のチームになるのが難しくなるということですが、レガネスもせっかく積み上げたこの2年間の経験を無駄にせず、弟分同士、切磋琢磨を続けていけるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.12 14:30 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ハリル解任にファンのリアクションを嘆く落語家の師匠

▽昨日は久しぶりに旧知のサッカー仲間と痛飲した。彼は1964年の東京五輪でサッカーを見て虜になり、高校時代はインターハイにも出場したが、現在の職業は落語家のお師匠さんという変わり種だ。その彼から、「なぜハリルホジッチ監督を解任したのか意見を聞きたい」とメールが届き、サッカー仲間による飲み会となった。 ▽彼いわく「W杯直前での監督交代と、後任には監督交代の責任を取るべき西野さんが就任したのは納得できない。田嶋会長が解任理由に挙げたコミュニケーション不足も抽象的で理解しにくい。いっそのこと、『ハリルではW杯で勝てない』と言ってくれた方がファンとしては納得しやすい」と苦言を呈していた。 ▽その疑問は正鵠を射ていると思う。ただ、すでに決まった人事であるので、いまさら振り返っても時間の無駄でもある。そこで師匠が口にしたのは、「サッカーファンの熱量が下がっているのではないか?」という疑問だった。 ▽それというのも、かつて森ジャパンは85年に行われたメキシコW杯ではアジア最終予選まで進出した。結果は韓国にホームでもアウェーでも敗れてW杯初出場はかなわなかった。しかし、それまで夢でしかなかったW杯を身近に感じさせた日本代表だった。 ▽続く石井監督も87年のソウル五輪アジア最終予選で中国に敗れて辞任した。その後を引き継いだのが横山監督だったが、ファンの期待が膨らんだ89年のイタリアW杯予選では、あろうことか1次予選で敗退。翌年のダイナスティカップやアジア大会でも不振は続いた。 ▽すると90年11月のコニカカップで「横山を解任せよ」という横断幕が国立競技場に掲げられ、91年の天皇杯決勝では「横山辞めろ」コールまで起こった。さらに、当時「日本サッカー狂会」の一員だった青年が「横山監督交代要求」の署名をサッカーファンから集め、原宿にあった岸記念体育館内のJFA(日本サッカー協会)に提出する事態まで発展した。それだけ多くのファンが、横山監督に対して不信感と危機感を抱いていた。 ▽さらに97年のフランスW杯アジア最終予選では、加茂監督の更迭後、岡田監督はアウェーのウズベキスタン戦を1-1で引き分けたものの、ホームのUAE戦でも勝ちきれずに1-1のドローに終わる。この結果、日本は自力によるW杯出場が消滅した。 ▽試合後の国立競技場では、正面ゲートにファンが殺到し、カズに向かって卵が投げつけられ、駐車してある高級車にレンガを投石されるなど騒然とした事態になった。怒ったカズはファンに詰め寄ろうとしたものの、サッカー専門誌のカズ番の記者が羽交い締めにして混乱を押しとどめた。選手と関係者は身の危険を感じ、2時間近くも国立競技場内にとどまることになった。 ▽当時のJFAは渋谷の246号線沿いのビル内にあったが、このビルにもJFAを批判するメッセージがスプレーで書かれていた。これらの行為はけして褒められたものではない。ただ、低迷する日本代表に対してファンは「横山辞めろ」コールをし、W杯初出場という悲願達成に危機感を抱いて暴走したのだと思う。 ▽そうしたファン・サポーターの“熱い気持ち”が、アギーレやハリルの解任に対し、何のアクションも起こさなかったことに師匠は疑問を抱いていた。それは、W杯出場が「当たり前」と思っていることと、「W杯では勝てない」ことを肌感覚でファン・サポーターは知っているからではないだろうか。それはそれで、寂しいことでもある。 ▽師匠は「3戦全敗でしょうけど、1勝か2引き分けでもしたら、西野監督を田嶋会長は讃えるんでしょうね」とつぶやいた。結論として一致したのは、ロシアW杯に臨むのは西野ジャパンではなく田嶋ジャパンであること。結果については田嶋会長が責任を負うべきだということで、飲み会はお開きとなった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.11 14:05 Fri
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【倉井史也のJリーグ】どんなGWをお過ごしでしたか? いやアナタではなくて!? の巻

▽さあ、みんな! 今週はGWの決算だよ!! どのチームがすてきなGWを過ごして、どのチームがダメダメだったか数字で表してみよう! この順位表はGW突入前と終了後でどれだけ順位が動いたかって表してるよ! ちなみに、GWのカウントは4月28日から。 1位 広 島 (±0) 勝点34(+6) 2位 FC東京 (±0) 勝点26(+4) 3位 札 幌 (+1) 勝点25(+6) 4位 C大阪 (+1) 勝点23(+4) 5位 川 崎 (-2) 勝点21(±0) 6位 磐 田 (+3) 勝点21(+6) 7位 仙 台 (-1) 勝点19(+3) 8位 鹿 島 (+7) 勝点18(+6) 9位 柏 (+2) 勝点17(+3) 10位 神 戸 (-2) 勝点16(+1) 11位 清 水 (-4) 勝点15(±0) 12位 浦 和 (+2) 勝点15(+3) 13位 湘 南 (-3) 勝点15(±0) 14位 長 崎 (-2) 勝点14(±0) 15位 横浜FM (-2) 勝点13(+1) 16位 G大阪 (±0) 勝点13(+3) 17位 鳥 栖 (±0) 勝点11(+3) 18位 名古屋 (±0) 勝点9 (+2) ▽このデータで難しいのは、GW突入前に10位だったチームが15位になってたら、「プラス5」? それとも「マイナス5」? いいですか? マイナスをプラスの意味で使っていいのは「マイナスイオン」だけ!! つーことで正解は順位を落としているから「マイナス5」なのでした。 ▽で、これを見ると一見大丈夫そうなのに大丈夫じゃないクラブってのがはっきりわかる。たとえば横浜FM。順位は2つ落としたけど勝点は1積み上げた。でも湘南は、勝点を積み上げられず順位を3つ落としてるのです。 ▽つまり、勝点の積み上げがなかったクラブ、川崎、清水、湘南、長崎は要注意! 今週末はGWなんか忘れて出直しってことにしないと、ワールドカップ中断までの2節、ずるずると行っちゃいますよ。 ▽ちなみに川崎は上昇中の柏と、清水は同じくGWダメダメだった湘南と、長崎はやや上向き傾向の見える名古屋との対決なのでした。で、C大阪と鹿島のカードは7月25日開催。ここからしばらく暫定順位が続きますのでご注意を。 ▽この試合を受けて30日のガーナ戦、31日にはワールドカップメンバーが発表される予定です。奇跡の逆転メンバー入り、誰が入るか楽しみ、楽しみ!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.11 14:00 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】決勝ファーストではあるんだけど…

▽「やっぱりそうだったのね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、ムチュア・マドリード・オープン出場前にラファ・ナダルが記者会見で話すのを聞いた時のことでした。いやあ、このスペインが誇る世界ランキング1位のテニスプレーヤーは自他共に認めるレアル・マドリーファンなんですが、何故か先週の木曜にはワンダ・メトロポリターノのパルコ(貴賓席)に出現。ヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦2ndレグを観戦中、アトレティコのユニフォームを首に巻き付けていたため、応援するチームを変えたのかと騒がれていたんですけどね。翌日のイベントで当人と一緒になったヒル・マリン筆頭株主までが、「Nadal es del Atleti aunque no lo sepa/ナダル・エス・デル・アトレティ・アウンケ・ノ・ロ・セパ(自分では気づかなくてもナダルはアトレティコファンなんだよ)」とジョークを言っていた程でしたが、そのコメントは単純明快。 ▽ナダル曰く、「ハーフタイムにセレソ会長にユニをもらってね。Hacia mucho frio y me la puse de bufanda/アシア・ムーチョ・フリオ・イ・メ・ラ・プセ・デ・ブファンダ(とっても寒かったから、マフラーにしたんだ)」とのことでしたが、いや、本当にファンだったら、首に巻くならアトレティコのマフラー、ユニだったら着るはずですし、あの夜は風も吹いて冷えたからだろうと私など、最初から思っていたんですけどね。ええ、アトレティコのファンたちなんて、2014年以来の決勝進出を後押ししようと、熱い声援を途切れなく送っていたため、寒さなど感じる暇もなかったかはずなんですが、まあ世の中、そんなもの。でもねえ、ポカポカ陽気の日でも時々、アトレティコって、非常にお寒い状態になるのはどうしてなんでしょうか。 ▽それは先週末の日曜、まだ日の高い午後4時過ぎから始まったリーガのエスパニョール戦だったんですが、何せ、アーセナルとの死闘を彼らが演じたのはたったの3日前。後でシメオネ監督も「コスタとコレアは出場停止だったし、グリーズマンは前の試合で凄まじい消耗をした。ガビは34歳、ゴディンは32歳…que quieres, muchacho?/ケ・キエレス、ムチャチョ(どうしてほしいんだい、君)」と開き直っていましたが、選手をローテンションした彼らは、いえ、フィリペ・ルイスが腓骨骨折を乗り越えて復活したという朗報はあったんですけどね。ビトロが前半25分に太ももを痛め、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のサネに代わっても、その日は3CB制を敷いていたとあって、せめてスコアレスドローぐらいには持ち込めるかと期待していれば…。 ▽いやあ、DFの数が多いからって守備が良くなる訳じゃないんですね。逆に「Con El Cholo no hemos trabajado mucho esto/コン・エル・チョロ・ノー・エモス・トラバハードー・ムーチョ・エスト(シメオネ監督とこのシステムはあまり練習していないんだ)」(ヒメネス)のが仇になったか、後半8分には目が点になるような不幸なミスが連発することに。ええ、エリア内でベルサイコがクリアしたボールをメレンドに送り、そのシュートをサビッチが頭でそらしたため、GKオブラクが意表を突かれてゴールって、今は遠い昔になったダメダメ時代のアトレティコを彷彿させない? ▽おまけに31分、レオ・バプティスタンにも5シーズン前、1年だけ在籍した古巣への恩返し弾を決められ、2点差にされたとなれば、テア・シュテーゲンにサモラ(リーガで一番、失点率の低いGKに与えられる賞)レースで1点差に迫られてしまったオブラクが可哀そうじゃないですか。うーん、この日、先発ツートップを務めたフェルナンド・トーレスとガメイロが悪いということもなかったんですけどね。実際、コケとサウールは前後半半分ずつ、ようやく右SBから解放されてボランチに戻ったトマスも疲労からか、まったくゲームの組み立てを望めない中、前線にボールが届くことも稀とあって、結局、アトレティコは0-2のまま、リーガ戦ワンダ初黒星を喰らってしまいましたっけ。 ▽え、試合後、アーセナル戦1stレグでの退場で4試合のベンチ入り禁止処分中、先日の2ndレグやEL決勝、更に優勝した場合、夏のUEFAスーパーカップでもピッチで指揮が執れないせいでしょうか。この日は声を枯らして選手たちを鼓舞していたシメオネ監督も「Nos quedan cuatro días para la final/ノソウ・ケダン・クアトロ・ディアス・パラ・ラ・フィナル(ウチには決勝まで4日間しかない)」と、今週土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーをすっ飛ばし、いきなり来週水曜の話になっていたように、もうアトレティコサイドはタイトル獲得しか頭にないんだから、リーガでのヘタレっぷりは大目に見てやるしかないだろうって? ▽そうですね、月曜からはワンダの窓口でソシオ(協賛会員)歴が古い順に決勝チケット販売が始まりましたし、リーグ1の試合を金曜に前倒ししたオリンピック・マルセイユをリヨンで倒すには、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスではそれこそ、全員カンテラーノでプレーしてもいいぐらい。その方が折しも同じ日曜、私がようやく近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に辿り着き、最後の15分だけ見られたラス・パルマス戦では後半43分に決勝点。ええ、すでに降格済みの相手からレンタル中のレミこそ、アンヘル・トーレス会長が交渉して出場できたものの、10人もの負傷、出場停止者がいたせいもあって、ヘタフェB(3部)のメンバー3人と共に久々の先発となった柴崎岳選手が、こんな時間になっても集中力を失っていなかったことを証明してくれたんですよ。 ▽敵陣エリア近く、GKからパスをもらったハビ・カステジャーノの背後から、柴崎選手がボールを奪うとホルヘ・モリーナにバトンタッチ。最後はアンヘルが決め、土壇場で0-1の勝利をもぎ取ったヘタフェですからね。これで兄貴分からも勝ち点3をゲットできれば、来季のEL予選出場権がもらえる7位に喰いこめるかもしれないとなったら、相手がローテーションしてくれるのは渡りに舟かと。ただし、サッカー協会の規則で7人以上、ピッチにトップチームの選手がいないといけないという縛りがありますし、ビトロはEL決勝を目指してリハビリ中とますます、アトレティコは少数精鋭になっているため、シメオネ監督にあまり選びようはないんですけどね。 ▽そんな中、ヘタフェが再びヨーロッパの大会に返り咲いた場合、昨季、昇格プレーオフで1部に上がり、シーズンがどこより長かった彼らが来季は7月下旬、EL予選3回戦でどこより早いシーズンインになるのはちょっと気の毒なところも。とはいえ、月曜に同じ残留決定組のレバンテとブタルケで対戦、突如、降り始めた大雨にお祝い気分に水を差されたか、0-3と大敗してしまったレガネスではガリターノ監督から、火曜に今季限りで退団という発表があったのとは対照的に、ボルダラス監督の続投はほぼ決定していても選手の入れ替えはかなりあるでしょうからね。休みが短いのはスタッフ以外、あまり気にしなくていいのかもしれませんね。 ▽え、それよりヘタフェ戦終盤からバルに居座っていたのが大成功。珍しく私が席取りに苦労しなかったクラシコ(伝統の一戦)の話も聞きたいって?いやあ、これがすでにバルサの優勝が前節のデポルティボ戦で決まっていたため、戦前はdescafeinado(デスカフェイナードー/カフェインレス)なクラシコなんて言われていたんですが、始まってみればとんでもない。ええ、ワンダでの裏クラシコ(マドリーとバルサが対戦する時はいつもアトレティコとエスパニョールのカードになる)とは真逆の激しさで、それに油を注いだのがどちらも満足しなかったエルナンデス・エルナンデス主審のジャッジだったんですよ。 ▽というのも前半10分、セルジ・ロベルトのクロスをルイス・スアレスが撃ち込んでバルサが先制、15分にはクリスチアーノ・ロナウドのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をエリア内左奥に持ち込んだクロースがゴール右前のベンゼマにクロス、彼が頭で落としたボールにロナウドが駆けつけて同点をゲットした際にピケに足首を蹴られてしまったなんて辺りまではまだ、普通だったんですけどね。だんだんゲームがヒートアップしていき、前半ロスタイムにはマルセロがセルジ・ロベルトに顔を殴られ、一発レッドで退場となってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげでハーフタイムが終わり、後半のピッチに出るのを選手たちがカンプ・ノウのトンネルで待っている間、ピケが「Sabes que ganamos las ligas con muchos puntos de ventaja/サベス・ケ・ガナモス・ラス・リーガス・コン・ムーチョス・プントス・デ・ベンタハ(ウチは大差の勝ち点差でリーガ優勝したのを知ってるかい?)」とからかって、温厚なナチョを激怒させたり、映像はないものの、メッシなど、セルジ・ロベルト退場前にウムティティのふくらはぎをスパイクで蹴ったベイルにレッドカードが出なかったことを根に持って、「Te cagas, te cagas, siempre estais igual/テ・カガス、シエンプレ・エスタイス・イグアル(ビビッたな、あんたたちはいつも同じだ)。ボクらがリーガ優勝してるんだから、もう奴らに試合を贈る必要はない」と主審に噛みついていたなんて話も発覚。 ▽その件については、試合後のミックスゾーンでセルヒオ・ラモスも「Si, le ha metido un poco de presion al arbitro/シー、レ・ア・メティードー・ウン・ポコ・デ・プレシオン・アル・アルビトロ(そうだね、彼は少し、審判にプレッシャーをかけていた)」と証言していましたが、でもねえ。確かに後半7分、当人も「Es falta, porque Varane controla y le meto el pie/エス・ファルタ、ポルケ・バラン・コントロラ・イ・レ・メト・エル・ピエ(あれはファール、ボールをコントロールしているバランに自分は足をかけたから)」と言っていた通り、ルイス・スアレスが相手を倒しながら、止められることなくプレーを続行できたのはともかく、パスを受け取ったメッシにああも見事にラモスとカセミロがかわされ、シュートを決められてしまっては…。 ▽それでもこの1点は28分、後半からロナウドに代わってプレーしていたアセンシオのラストパスをベイルが豪快に打ち込んで返してくれたため、オブラクとテア・シュテーゲンの失点差がまた3に広がっただけでなく、10人になったバルサに負けるという醜態は避けられたんですけどね。30分にはジョルディ・アルバがマルセロをエリア内で倒しながら、PKを取ってもらえないという不運もありましたが、結局、「11体10になった後半、ウチは忍耐が足りなくて、先走ったプレーをしてしまった」とジダン監督も反省していたように、試合はそのまま2-2で終了です。 ▽いやあ、バルサが優勝決定してから、最初のホームゲームだったため、マドリー勢が引き揚げた後、選手たちが場内一周を始めたのは別に構わなかったんですけどね。そのシーンを中継していたGOL TVのアナウンサーが、「ピケがマイクを持っています!」とやたら興奮。そこで私もそのまま見ていると、「Como no nos han querido hacer el pasillo, le pido a nuestro staff que nos lo haga/コモ・ノー・ノス・アン・ケリードー・アセール・エル・パシージョ、レ・ピド・ア・ヌエストロ・スタッフ・ケ・ノス・ロ・アガ(ボクらに花道を作りたがらなかったから、やってくれるよう、スタッフに頼んだ)」と当人が説明、バルベルデ監督も含むチーム関係者が2列に並んで、その間を選手たちが通ってロッカールームに帰って行くって、わざわざこれみよがしにマイクで言うこと? ▽うーん、いくらジダン監督がクラブW杯優勝直後の前期クラシコでバルサが花道を作らなかったのを理由に今回、マドリーもこの慣習に従わないことにしたとはいえ、何だか子供っぽいリベンジのような気がしましたが、まあピケですからね。この日、最後のクラシコをプレー、翌日には中国の重慶当代力帆から一転、バルサのスポンサーである楽天の所有するヴィッセル神戸への移籍が浮上して、日本のファンをドキドキさせているイニエスタがラモスにメッセージ入りユニを贈っていたり(https://twitter.com/SergioRamos/status/993504736467935232)と、来週末にリーガが終わった後、スペイン代表として一緒にW杯に行く選手たちが試合後、仲良く談笑しているのを見られたのは何よりでしたっけ。 ▽そして今週はマドリッド勢でマドリーだけ、コパ・デル・レイ決勝で延期されたセビージャ戦がミッドウィークにあるんですが、こちらも頭には26日のCL決勝しかないのは言う必要もなし。試合前日記者会見でジダン監督はすでに全体練習に復帰しているイスコはもちろん、現在、負傷中のロナウド、カルバハルもキエフでのリバプール戦には間に合うと太鼓判を押していましたが、当然、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのリーガ消化試合はローテーションが大前提かと。クラシコをベストメンバーで戦ったばかりのため、おそらくマジョラル、セバージョス、ジョレンテ、テオら、Bチームの出場となると思うんですが、いやあ、この辺は私も痛し痒し。 ▽だってえ、セビージャはヘタフェの直接ライバルのため、勝って弟分に恩義を売るいいチャンスとはいえ、そうなると2位のアトレティコとマドリーの勝ち点が並んでしまいますからね。モンテッラ監督を解任、前節から就任したカパロス監督がレアル・ソシエダに勝ち、向こうもいいムードになっているため、どちらが優勢とも言えないものの、何はともあれ、マドリーにとっては負傷者を出さない試合をするのが最優先事項でしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.09 22:15 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】いよいよ決勝まで辿り着いた…

▽「そりゃ負けるよりは勝った方がいいけど」そんな風に私が肩をすくめていたのは金曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーが日曜のクラシコ(伝統の一戦)に向けて練習をしている映像を見た時のことでした。いやあ、ご存知の通り、先週末の前節にリーガ優勝を決めたバルサはすでに月曜にはコパ・デル・レイとの2冠を祝う市内パレードを終了。もうバケーションまで秒読み態勢というか、多くの選手の関心は来たる6月のW杯に切り替わっているはずなんですが、対するマドリーも翌火曜には26日のCL決勝行きが決まったため、それまでの3週間は調整がメインに。 ▽宿敵の優勝を称え、慣例のpasollo(パシージョ/勝者の花道、優勝チームを相手チームが2列を作ってお出迎えする)をするつもりもやっぱりないようで、ここ数日は、今季限りでバルサ退団を発表したイニエスタに両チームで花道を作ったらいいんじゃないかなんて意見まで出ていますが、そんなことは単なる些事。CL優勝の可能性を残したおかげで、マドリーが引け目を感じず、カンプ・ノウのピッチに立てるのは良かったものの、この段になって、無理してケガなんかされるのも困りますからね。 ▽それでもクラシコ勝利で不甲斐なかった今季のリーガの憂さが少しでも晴らせるかと、ジダン監督は負傷のリハビリ中のイスコ、カルバハルを除き、クリスチアーノ・ロナウドを筆頭にクロースやモドリッチら、ベストメンバーを並べる予定だそうですが、果たして日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのこの一戦が盛り上がるのかどうか。ええ、マドリーの残りは1つ多い4試合でも、ロナウドとメッシのゴール数も8本差と開いているため、ピチチ(得点王)争いの楽しみすらないのはちょっと、私も残念なんですが…。 ▽まあ、カフェインレスのクラシコはともかく、今週はマドリッド勢にとって、ハラハラさせられたものの、最高の結末となったCL、EL準決勝2ndレグがどうだったか、お伝えしておかないと。まずは先週の1stレグでバイエルンに1-2と勝利したマドリーがサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグを迎えたんですが、今回はremontada(レモンターダ/逆転劇)の必要がなかったにも関わらず、火曜の午後6時30分には大勢のファンがチームバスのスタジアム入りをお出迎え。いえ、人込みが苦手な私は丁度、出掛けに寄ったバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでその様子を眺めていただけだったんですけどね。 ▽バルデベバス(バラハス空港の近く)の合宿所を出発したバスがハバナ通りを下り、ロス・サグラードス・コラソネス広場を回ってパドレ・ダミアン通りから駐車場に入るまで、物凄い数のマドリディスタたちに応援されていましたが、やっぱり駆けつけた全員が早々とソールドアウトになったチケットを手に入れられた訳じゃなかったんですね。ええ、私がメトロ(地下鉄)のサンティアゴ・ベルナベウ駅に着く頃にはお出迎えを終え、どこぞで試合を見ようと階段を下りてくるファンともかなり沢山、すれ違いましたっけ。 ▽さて、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側)に「defendamos el trono, conquistemos la gloria/デフェンダモス・エル・トローノ、コンキステモス・ラ・グロリア(王座を守ろう、栄光を掴もう)」というメッセージの入った横断幕が掲げられ、意気揚々と始まった試合の方はというと、うーん、こうもいきなりショックを与えられていいもんですかね。先日、ユベントスとの準々決勝2ndレグでも開始2分のマンジュキッチ弾を皮切りに、3-3の総合スコアで同点にされてしまったマドリーでしたが、この日も3分にセルヒオ・ラモスのクリアミスから、1stレグでも早い先制点を挙げていたキミッヒにゴールを奪われてしまうって一体、どういうこと? ▽それこそ先が思いやられましたが、幸いにも11分にはマルセロのクロスをベンゼマがヘッドで決め、同点になってくれたから、ホッとしたの何のって。おまけに後でボールを持った息子さん連れでミックスゾーンに現れたマルセロも、「Si te digo que no ha tocado mi mano, soy mentiroso/シー・テ・ディゴ・ケ・ノー・ア・トカードー・ミ・マノ、ソイ・メンティローソ(もし手に触らなかったと言ったら、ボクは嘘つきだね)」と認めていたように、ハーフタイム入り間際、エリア内でキミッヒのシュートが当たりながら、ハンドでのペナルティを取られなかった彼らは後半開始直後、途方もない幸運に恵まれたんですよ。 ▽だってえ、1分にはトリソがGKウルライヒにバックパスしたところ、それを取りに行った当人曰く、「ベンゼマが来ていたから、1対1に備えたんだけど、その一瞬、『このボールは手で掴んじゃいけない』と気づいたんだ。それで足でクリアしようとしたら…」という信じられない大ポカが生まれたから、ビックリしたの何のって。ええ、後ろに転がったボールを素早くベンゼマが蹴り込んで2点目をゲットしたとなれば、その日は右SBを本職のDFでないルーカス・バスケスがカバーしていたなんてこともありましたからね。バイエルンの破壊力を恐れていたファンたちもどんなに安心できたことか。 ▽その後、敵はハメス・ロドリゲスの1度はバランに当たって跳ね返り、撃ち直して入れたゴールで2-2に持ち込んだんですが、この準決勝ではアルトウロ・ビダル、ロッベン、ボアテング、ハビ・マルティネスと選手の負傷に泣かされたハインケス監督も「マドリーはケイロルにお礼を言うべきだろう。素晴らしかった」と褒めていたように、GKナバスがバイエルンの逆転勝ち抜けに繋がる追加点を阻止。「ウチの方がいいチームだった訳じゃないが、より効率的だった」(クロース)おかげか、総合スコア4-3で勝ち抜けることができましたっけ。 ▽え、試合後はジダン監督も「En la Champions no consigues cosas sin sufrir, y menos llegar a una final/エン・ラ・チャンピオンズ・ノー・コンシゲス・コーサス・シン・スフリル、イ・メノス・ジェガール・ア・ウナ・フィナル(CLでは苦しまずには何も得られない。ましてや決勝進出など)」と言っていたけど、この日の選手たちの喜びようは尋常じゃなかったんじゃないかって?そうですね、いきなり全員が「A por la 13(ア・ポル・ラ・トレセ(13回目へ))」とプリントしたTシャツを着用、フォンド・スールに手を繋いで駆け出して行った時には私も目を見張りましたけどね。その時、1人だけダイブしていたラモスなど、一旦、ローカールームに引っ込んだ後、また皆で出て来た時、グラダ・デ・アニマシオン(応援席)にまで上がり込む始末。 ▽マイクを渡され、ファンと一緒に「como no te voy a querer/コモ・ノー・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして君を好かずにいられようか/マドリーの定番応援ソング)」と歌ったりしていましたが、何より羨ましいのは彼らが、「Vamos a intentar defender en Kiev nuestro titulo/バモス・ア・インテンタール・デフェンデール・エン・キエフ・ヌエストロ・ティトゥロ(我々のタイトルを守るためにキエフに行くつもりだ)」(ジダン監督)と堂々、言えてしまうってこと。だってえ、これで3年連続のCL決勝進出ですよ。しかも勝てば3連勝、お隣さんが2度も貢献したおかげもあって、ここ5年間で4回目ともなれば、いかにマドリーがCL強者であるかわかるというものじゃないですか。 ▽その分、決勝を応援に行くサポーターは大変ですけどね。しかも今回は会場がウクライナとあって、これまでのリスボン、ミラノ、カーディフに比べて費用が桁違い。ええ、私も野次馬根性でキエフへのフライトを調べてみたところ、直行などなく、乗り継ぎで10何時間かかるチケットに1000ユーロ(約13万円)以上の値がついていたり、すでに現地のホテルの部屋は1泊1500ユーロ(約20万円)もすると聞くと、正直、ソシオ(協賛会員)が抽選で当たると買える1万2750枚のチケットが完売するのか、疑問に思うんですが、さて。そうそう、翌日水曜のもう1つの準決勝では1stレグで5-2の勝利をしていたリバプールがローマのホームで4-2まで追い詰められたものの、こちらも総合スコア6-7で逃げ切って決勝進出を決めています。 ▽そして1日置いた木曜、今度はアトレティコがアーセナルをワンダ・メトロポリターノに迎えたんですが、やっぱりELでも準決勝となると、ファンも奮い立つんですね。前夜の合宿入りの際にはヒルトン・エアポート・ホテルの前にサポーターたちが詰めかけ、カンティコ(メロディのついたシュプレヒコール)やベンガラ(発煙筒)でチームを鼓舞。スタジアムも満員となり、応援団の陣取るスタンドには赤白の旗や「Rumbo hacia Lyon/ルンボ・アシア・リヨン(行き先はリヨン)」という横断幕も現れたんですが、他の3面にはモザイクもなかったのはCLからELへ移ってUEFAからの報酬が減り、クラブの予算が削減されたせいだった? ▽でも大丈夫。熱いアトレティコファンたちは皆、bufanda(ブファンダ/マフラー)を掲げてhimno(イムノ/クラブ歌)を大合唱していましたが、私が比較的、気楽でいられたのは先週、1stレグで1-1と引き分けていた彼らはスコアレスドローでも勝ち抜けられるとわかっていたから。とはいえ、ロンドンでの試合はピッチ脇でアップして、アーセナル陣営を威嚇するに留まったジエゴ・コスタが先発となると、いえ、その日はベンチ入り禁止処分により、パルコ(貴賓席)で観戦。「Hoy sentí lo que siente el hincha/オイ・センティ・ロ・ケ・シエンテ・エル・インチャ(今日はファンが感じることを感じた)」と、要所要所では自分もマフラーを盛大に振り、観客席を煽っていたシメオネ監督も後で言っていたんですけどね。 ▽「Costa vino para esto, para ser determinante, para tener un delantero con rabia/コスタ・ビノ・パラ・エストー、パラ・セル・デテルミナンテ、パラ・テネール・ウン・デランテーロ・コン・ラビア(コスタはそのために来た。試合を決める、怒りを持ったFWとして)」というだけに開始6分、彼がチーム最初のシュートを惜しくも外した時には勝利への欲も感じたものですけどね。並行して、10分には自分が目を離している間にコシエルニが倒れていたせいで、「まさかコスタが何かしたのでは?」と1stレグのベルサイコ並のスピード退場を恐れたりもしたものですが、幸いそれは私の勘違い。どうやら1人でアキレス腱を痛めてしまい、下手をするとW杯に行けないぐらいの重傷のようだとか。 ▽すぐにチェンベリーと代わりましたが、おかげでアトレティコの立ち上がりの勢いも削がれてしまったか、しばらくはアーセナルがボールを独占することに。その間、22分にはグリーズマンがそのチェンベリーのcodazo(コダソ/肘打ち)を耳の後ろに受け、出血しながらプレーしていたなんてこともあったんですが、それでも前半ロスタイム、GKオブラクのゴールキックからのボールを急造右SB、トマスが彼に送ったところ、絶妙のスルーパスに合わせてコスタが敵エリアへ一直線。後日、イギリスのマスコミから、「彼はビーガン(ベジタリアンの一種)だから、パワーがないんだ」と批判を受けることになるベジェリンとの競り合いにあっさり勝つと、GKオスピナの頭の上を抜くシュートを突き刺してくれるんですから、もうさすがとしか言いようがありませんって。 ▽他にもコケやグリーズマンのシュートが枠をかすめたアトレティコは、いえ、もちろんオブラクも途中出場したムヒタリアンの一撃を止めるなど、普段よりは少ないながら、見せ場を作ったんですけどね。残り10分にはコスタが交代を頼み、ヒヤリとさせられたものの、当人も「Solo calambres/ソロ・カランブレ(足がつっただけ)」と言っていたため、逆にフェルナンド・トーレスがピッチに入り、自身ワンダで最後となるヨーロッパの大会の試合でプレーするいいキッカケになった?残念ながら、その彼のシュートはオスピナにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいましたが、アトレティコが1-0で勝つのは珍しくありませんからね。 ▽最後は総合スコア2-1でアーセナルを倒し、2014年のスペイン・スーパーカップ以来、ご無沙汰していたタイトル獲得の前段階として、EL決勝進出が決まったとなれば、こちらも一旦、ロッカールームに戻った選手たちがファンのコールに応えて再登場。まるで優勝したかのように場内一周していたって全然、構わない?いやあ、後でサウールなどは「Pienso que aún no está esa magia que tenía el Calderón/ピエンソー・ケ・アウン・ノー・エスタ・エサ・マヒア・ケ・テニア・エル・カルデロン(まだビセンテ・カルデロンにあった魔法はないと思う)」と言っていましたけどね。そういう雰囲気はチームがビッグマッチでの勝利を重ねてこそ、醸成されていくもの。ELの決勝トーナメントではこの準決勝だけだったものの、来季、CLで長く勝ち残れば、ワンダだってだんだん、カルデロンみたいになっていきますって。 ▽そして彼らは16日、同時開催の準決勝ではザルツブルクに延長戦で2-1とし、総合スコア3-2で勝ち上がったオリンピック・マルセイユと対戦するんですが、何せリヨンは相手の地元から200キロしか離れていないため、思いっきりホーム感覚でプレーできますからね。「決勝なんだから、フランスでやろうと中国でやろうと同じさ。Hay que jugar, salir a ganar y ya está/アイ・ケ・フガール、サリール・ア・ガナール・イ・ジャー・エスタ(プレーして勝つために出ていくだけだよ)」とコケのように気楽な選手もいましたが、ちょっと心配なのは有名なマルセイユのウルトラ(過激なファン)たち。16強対決でアスレティックが当たった時もビルバオ(スペイン北部の町)で騒ぎを起こしていましたし、PSGvsマドリー戦のように場内が発煙筒で白くなるのも観客にとってはたまったもんじゃないかと。 ▽まあ、その辺の状況はおいおいに伝えていきますが、とりあえずクラシコ以外の今週末、マドリッド勢の予定も告げておくと、アトレティコは日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、ホームでエスパニョール戦。弟分の方は負傷、出場停止者続出で11人、トップチームの選手が欠けるヘタフェが日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、すでに降格の決まっているラス・パルマスとのアウェイ戦で来季EL出場権のもらえる7位の座を争うことに。特に目標のないレガネスはブタルケで月曜夜、立場的に同様なレバンテ戦で残留決定のお祝いをしますが、何だか、今季のリーガは店仕舞い感が漂うのがちょっと早いですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.05 10:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】スタジアム改修による19年問題

▽昨日2日、スイスで開催されたIOC(国際オリンピック委員会)の理事会で、20年東京五輪のサッカー会場が承認されたと3日付けの新聞が伝えた。立候補した7会場についてFIFA(国際サッカー連盟)が芝の状態など技術的な要件を確認したことで、正式に承認されたとのことだった。 ▽7会場は、以下の通り。新国立競技場、札幌ドーム、宮城スタジアム、カシマスタジアム、埼玉スタジアム2002、東京スタジアム(味の素スタジアム)、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)。 ▽さてここで、「19年問題」があることを知っている読者はいるだろうか。東京都は昨年、19年のラグビーW杯や20年の東京五輪で使用する東京スタジアムの改修整備計画を明らかにした。それによると、18年度に改修工事に着工し、19年度の4~6月に完成を目指す。ラグビーW杯の開幕までに、昇降機の増設、車いす対応トイレの増設、和式トイレの洋式化、競技用照明のLED化、特別観覧席の更新、既存観客席の一部更新、受変電設備の一部更新、フリーWi-Fiの導入、インゴールの芝拡張、高さ17mのゴールポスト設置などを施工する予定だ。 ▽もしも6月まで工事がずれ込んだ場合、昨シーズンのJ1のカレンダーを参考にすると(今年はW杯のため過密&中断期間があるため)、東京スタジアムをホームとするFC東京は16試合もホームで開催できないことになる。さらに、9月にはラグビーW杯が控えていて、東京スタジアムは予選プール5試合と、準々決勝2試合に3位決定戦の計8試合が行われるため、9月20日から11月1日までの金曜から日曜までは使用できない。週末にサッカーの試合を入れられるのは10月26、27日だけである。 ▽Jリーグはホームスタジアムで80%以上の試合開催を定めているが、FC東京はこの問題をいかにしてクリアするのか、頭を痛めていることだろう。同じようなことは横浜国際総合競技場にも当てはまるが、FC東京の関係者は「マリノスには三ツ沢(ニッパツ三ツ沢球技場)がある」と羨む。 ▽FC東京U-23はJ3を味の素フィールド西が丘や夢の島競技場で開催しているものの、こちらはJ1規格ではない。駒沢競技場もあるが、病院と隣接しているためナイトゲームができない。6月までは駒沢で代替開催し、ラグビーW杯の期間中は平日開催にするか。いずれにせよ集客に影響が出るのは避けられないだろう。 ▽さらに問題はまだある。東京五輪の開催時、東京スタジアムではサッカーと7人制ラグビー、近代5種の各試合が開かれる。ラグビーW杯の終了後、五輪対応の追加工事として、車いす席から試合をより観戦しやくするための改修を別途行う計画があるからだ。こちらは部分改修になればスタジアムの使用に支障はないが、果たしてどのような結論に落ち着くのか。 ▽この問題は当該クラブだけで解決するのは難しいだけに、Jリーグや他チームの協力を仰ぎながら最善の方法を模索するべきだろう。来シーズンの日程作りは喫緊の問題でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.04 12:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】オリヴェイラ監督がJ最高を証明するための道筋は!? の巻

▽見てきましたよ。川崎vs浦和。オズワルド・オリヴェイラ監督による見事な戦略で川崎は終始苛立ちっぱなし。ま、レフェリーがかなり揺れ動いてたって感じもするけどね。滅多に抗議しない小林悠まで必死にアピールしてたくらいだし。 ▽にしても、川崎の多彩な攻撃は結局パスを出す選手のほうが脅威だって割り切って、パサーを危険なエリアに入れないし、パスの受け手との距離を縮めてパスを出させないし。となると川崎はどんどん攻撃の手が少なくなってきて、西川周作を脅かす場面が少なくなっていたのでした。あ、こんな分析記事書くと、ちょっとサッカーライターっぽい? ▽その記者会見でオリヴェイラ監督が明らかにしたのは、まだ戦術練習を3回しかしておらず、しかも川崎対策は1日だけだったということ。そりゃ昔、日韓のオールスター戦でJリーグ選抜を率いたときはわずか1時間の練習でチームの形を作り上げたんですから、本領発揮だったってことでしょう。 ▽ただし。鹿島では3連覇を果たしたオリヴェイラ監督だったけど、その実チーム作りのスタートでは苦労してたんですよ。だって、鹿島の初年度を振り返ると、 3月 3日 J1リーグ 川 崎(アウェイ)0●1 3月11日 J1リーグ G大阪(ホーム) 0●1 3月17日 J1リーグ 千 葉(アウェイ)3△3 3月21日 ナビスコ 新 潟(アウェイ)1●3 3月25日 ナビスコ 新 潟(ホーム) 2○1 3月31日 J1リーグ 神 戸(アウェイ)1△1 4月 4日 ナビスコ 甲 府(ホーム) 0●1 4月 7日 J1リーグ 大 宮(ホーム) 0△0 4月11日 ナビスコ 名古屋(ホーム) 2○1 4月14日 J1リーグ 横浜C(アウェイ)1○0 4月21日 J1リーグ 清 水(アウェイ)2○1 ▽どうですか、この最初の勝てなさっぷり!! シーズン前にはサブ組なんて一日6時間ぐらい練習してたんですけど。で、こっからだんだん盛り返していくという、この年は奇跡を見せてくれました。 ▽だから、たぶんまだまだオリヴェイラ流は浸透してないだろうけど、これからがぐっと楽しみってコト。現在、すでに首位の広島とは勝点差が16あるものの、大逆転すればそれこそオリヴェイラ監督はJ最高を証明しちゃいますね。 ▽そんな浦和の次の対戦相手は5月5日17時、運命の鹿島戦。いやー、楽しみっす。 ▽あ、でもよく考えたら2007年の鹿島と首位浦和の最大勝点差って10だった気が……。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.03 14:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】決勝への道はマドリッドにある…

▽「今頃、バルセロナは盛り上がっているだろうな」そんな風に私がここ数日、ぶり返してきた寒さに閉口しつつ、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドでバイエルンの練習を眺めながら呟いていたのは月曜日、前夜にリーガ優勝を決めたバルサのオープンデッキバスが祝賀パレードを開始する時間のことでした。いやあ、これで今季の彼らは上がり、今週日曜のクラシコ(伝統の一戦)を含め、無敗優勝やメッシのボタ・デ・オロ(ゴールデンシュー、ヨーロッパの得点王)獲得といった記録的な目標はあっても、残り3つのリーガ戦は消化試合。レアル・マドリーにはこの先もタイトル獲得の可能性があるため、ファンも退屈しないで済むんですけどね。 ▽午前中の記者会見でキャプテンのセルヒオ・ラモスも「コパ・デル・レイとリーガに優勝したのはバルサの功績だけど、ganar la Champions tiene ese plus que equivale a esos dos o incluso más/ガナール・ラ・チャンピオンズ・ティエネ・エセ・プルス・ケ・エキバレ・ア・エソス・ドス・オ・インクルソ・マス(CL優勝にはプラスアルファがあって、その二冠と同じか、それ以上の価値がある)」と言っていましたし、それこそ5月26日の決勝をリバプールかローマと戦うことになれば、6月半ばからのW杯まで時間を持て余すこともなし。とはいえ、問題はこの火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの準決勝2ndレグで先週、アリアンツ・アレナで手に入れた1-2の勝利を逆転されずに済むのかどうか。 ▽だってえ、準々決勝のユベントス戦なんてアウェイで0-3と完璧な勝利を挙げながら、ホームでの2ndレグでむざむざ追いつかれ、後半ロスタイムにルーカス・バスケスを倒したベナティアのペナルティから、クリスチアーノ・ロナウドがPKを決めてくれなかったら、延長戦に突入していたマドリーですよ。おまけに昨季の準々決勝でもミュンヘンで同じスコアで勝ちながら、2ndレグではレバンドフスキとラモスのオウンゴールで1-2にされ、延長戦で4-2にして、ようやく勝ち抜けたという苦い思い出が。まあ、直近2度の対決ではバイエルンを倒しているんですけどね。ハインケス監督も「マドリーに何回負けていても関係ない。私が監督をしていた時じゃないんだから」と言っていたように、まさに当人の指揮下にあった2012年など、延長戦を越えてPK戦に突入。 ▽ロナウド、カカが次々失敗し、それでもGKカシージャスが当時、バイエルンにいたクロースとラームを止めて五分になったかと思いきや、ラモスが天高く蹴り上げるという悲劇を私も目の当たりにしていますからね。ハインケス監督も決勝でチェルシーを破り、三冠を達成して勇退の花道を飾った年だったせいか、「最後にPKを決めたのはシュバインシュタイガーだったね」と齢72歳ながら、見事な記憶力を記者会見で披露していましたが、いやいや。今回は負傷で1stレグからいなかったアルトゥロ・ビダルに加え、その試合でケガしたロッベン、ボアテングを欠くブンデスリーガ王者ですが、現在、マドリーからレンタル移籍中ながら、ヨーロッパの試合には出場制限条項が適用できず。 ▽そのため、古巣への恩返しのチャンスを得たハメス・ロドリゲスも「No creo que tengamos que cambiar mucho porque hicimos un buen partido en la ida/ノー・クレオ・ケ・テンガモス・ケ・カンビアール・ムーチョ・ポルケ・イシモス・ウン・ブエン・パルティードー・エン・ラ・イダ(ウチはあまりプレーを変える必要はないと思う。1stレグではいい試合をしたからね)」と自信ありそうだったのは、何だか怖いですよね。 ▽え、私が不安感を煽られているのは先週末もマドリーはあまり強く見えなかったからじゃないのかって?うーん、土曜にあった弟分、レガネスとのミニダービーではロナウドを始め、先週水曜のバイエルン戦で先発を務めた選手が大勢休み、リピートしたのはカセミロのみ。その彼すら、「Solo era para dejar a Sergio y Varane descansando/ソロ・エラ・パラ・デハール・ア・セルヒオ・イ・バラン・デスカンサードー(ラモスとバランを休ませるためだけ)」(ジダン監督)に本職でないCBとしての出場でしたからね。2月にはコパ・デル・レイ準々決勝で逆転敗退した際のメンバーに最近、Bチーム扱いになってしまったんでしょうか。ベイルとベンゼマを加えたスタメンだったため、拮抗したゲームになるだろうと予想はできたんですが、この日のマドリーはツキもあって、前半のうちに2点をゲット。 ▽8分にはベンゼマのシュートがサルドゥアに当たり、それたボールをベイルがtijera(ティヘラ/シザースキック)でゴールにして先制すると、ハーフタイム入り間近にもコバチッチのクロスをブスティンサがヘッドでクリアしようとしたところ、ファーポストにいたマジョラルが撃ち込んでリードが倍増しているんですから、ラッキーじゃないですか。それでもへこたれずに後半も反撃を試みたレガネスは、ええ、21分にはアムラバットがエリア内右奥から出したクロスをゴール前でフリーだったブラサナツが押し込んで、1点を返すことができたんですけどね。 ▽ガリターノ監督も「Hemos generado muchas ocasiones, pero necesitas tambien acierto/エモス・ヘネラードー・ムーチャス・オカシオネス、ペロ・ネセシータス・タンビエン・アシエルトー(ウチは沢山、チャンスを作ったが、決定力も必要だ)」と認めていたように、ここまで35試合29得点と、1試合当たり1本以上ゴールを挙げることが滅多にできないのは、資金力不足で優秀なFWを獲得できない小規模クラブの宿命。ロスタイム、最後の攻撃もエル・ザールがいざシュート態勢に入った瞬間、タイムアップの笛を吹かれてしまったため、結局、1-2で負けてしまったんですが、大丈夫。 ▽終了後にピッチで「Eres muy malo, muy muy malo/エレス・ムイ・マーロ、ムイ、ムイ・マーロ(あんたはヘボだ、とってもとってもヘボだ)」と主審に毒づいたとして、キャプテンのガブリエル・ピレスがレッドカードをもらってしまったことはともかく、翌日曜にはバルサがメッシのハットトリックなどで2-4と勝利、必要だった勝ち点1を積んでリーガ優勝を決めると同時に負けたデポルティボの降格も決まり、来季2部でプレーする3チームが出揃ったため、レガネスも残留確定となりましたっけ。 ▽一方、マドリーの方は勝ったとはいえ、後半は押されていたこともあって、時折、pito(ピト/ブーイング)もスタンドから聞こえていたんですが、まあバイエルン戦とはプレーする選手も違いますしね。ジダン監督も「Pido a la gente que este como nunca ha hecho en su historia/ピド・ア・ラ・ヘンテ・ケ・エステ・コモ・ヌンカ・ア・エッチョー・エン・ス・イストリア(人々には今までの歴史でなかったぐらい応援してほしい)。決勝に行くにはそれが必要だからね」と次の試合でのサポートを頼んでいたんですが、ちなみにすでに90~360ユーロ(約1万2000~4万8000円)で販売されていたチケットは完売。ネットでは300~1200ユーロ(約4万~16万円)というダフ屋価格がついているそうですが、火曜のキックオフ前には午後6時30分からスタジアム周辺でチームバスお出迎えのquedada(ケダダ/ファンが集まること)予定もあるよう。 ▽人混みが平気で、試合はバル(スペインの喫茶店兼バー)観戦でもCLビッグマッチの雰囲気を味わいたいという方は行ってみてもいいかと思いますが、ドイツからのサポーターも4000人近くやって来るみたいですからね。荒っぽいことが起きないといいですが、こればっかりは…。そうそう、月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)での合宿に入った招集メンバーには1stレグでケガしたカルバハル、肩を痛めたものの、前日練習には参加して期待を持たせていたイスコが入らず、1カ月間離脱していたナチョが復帰という報があったんですが、やっぱり右SBはルーカス・バスケスがやるんでしょうか。 ▽そして翌日曜は正午から、ヨーロッパリーグ出場権のもらえる7位の座を懸けて、ジローナと対決するもう1つの弟分、ヘタフェの応援にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに出向いた私でしたが、3連勝中とあって、この日も彼らは好調。前半17分にはアンヘルがエリア内右奥から出したラストパスがフアンペに当たり、決定機に溜息をつかせてくれることの多いアマトが絶対、これなら外すことはないというゴール前から決めて先制点を奪うことに。ただねえ、その後も優勢だったヘタフェでしたが、ハーフタイムの少し前に災難に見舞われてしまったんですよ。ええ、敵のCKの時にダミアンが同じウルグアイ人のストゥアーニと骨肉の争いを繰り広げ、ペナルティを取られた挙句、レッドカードで退場してしまったから、参ったの何のって。 ▽え、ストゥアーニがPKも決めたため、同点にされながら、ヘタフェは後半早々、12分にホルヘ・モリーナがエリア内で倒されて、10人になっても勝ち越しのチャンスが舞い込んだんじゃないかって?うーん、その通りなんですが、今季の彼らにとってPKはまさに鬼門。この日もキッカーに立ったモリーナがシュートをゴールポストに当てて得点にならず、当人はこれで3回連続の失敗とは痛い。チームとしても今季、10回とどこのチームより多くPKをもらいながら、アンヘルやポルティージョ、アントゥネスらも含め、6回もゴールにできていないって、あまりに悲惨すぎなくない? ▽おかげでジローナと1-1のドローに留まり、それでも一応、セビージャを勝ち点1上回って7位に上がった彼らでしたが、何せ相手はコパ・デル・レイ決勝あったため、残り試合数が1つ多いですからね。いよいよ先週金曜にレバンテに負けた後、モンテッラ監督を解任、EL優勝5回を数える現在のチームの礎を作ったカパロス監督を後任に据え、相手もヨーロッパの大会出場最後の一席を死守する気でいるため、とりわけフラミニもケガをして、負傷欠場者が7人に増加。更に次節はダミアンに加え、ブルーノ、モラ、ファジル、モリネーロが出場停止で出られないヘタフェとしては苦しいところですが、さて。いい情報としてはここ4試合、プレー機会がなかった柴崎岳選手も日曜のラス・パルマス戦では見られそうだということと、敵はすでに降格済みのチーム。加えて、セビージャが5月9日にプレーする延期されている試合がマドリー戦だというのは大きいですかね。 ▽そしてヘタフェ(マドリッドの近郊)から、私がメトロ(地下鉄)を乗り継いで帰ってみると、もうアラベスvsアトレティコ戦のキックオフ時間が迫っていたんですが、はい、もちろん木曜にEL準決勝2dnレグを控えるこちらもローテーションしていましたよ。大黒柱のグリーズマンとGKオブラクにサウールを加えた3人はマドリッドでお留守番、それでもエミレーツ・スタジアムではピッチサイドでアップして、ア-セナル陣営にプレッシャーをかけるに留まったジエゴ・コスタが先発で復帰したため、何とか1点ぐらいは取れるんじゃないかと期待していたところ…。 ▽うーん、かなり苦労しましたね。序盤はアラベスに攻められ、リュカが自身のボールロストから招いたピンチにペナルティすれすれのタックルでムニルのシュートを防いだなんてこともあったため、シメオネ監督が最近、好きになったような3CB制にフォーメションをチェンジ。始めからSBの人出不足で右がトマス、左がベルサイコという珍しい組み合わせだったため、トマスとビトロが左右のウィングバックになった方がやりやすい面もあったんでしょうか。それからは守備も安定したんですが、肝心のコスタも前半はGKシベラにシュートを弾かれてしまい、0-0のままで折り返すことに。 ▽後半15分にはそのシベラがビトロのポストに当たったシュートに向けて飛んだ際に肩を痛め、アラベスは正GKのパチェコを投入。シメオネ監督も疲労を避けるため、コスタとコケをガビとゴディンに代え、残り時間でのカウンターを狙ったんですが、キッカケを作ってくれたのはワカソでした。ええ、25分にビトロを倒し、PKを献上した時にはフェルナンド・トーレスがパチェコに弾かれてしまい、後で彼はアトレティコで29回蹴ったPKのうち、失敗したのは10回という記事を読んで、イヤな予感には裏付けがあったんだと納得したものでしたけどね。信じる者は救われるとはまさにこのこと! ▽32分、トーレスのシュートをワカソが手に当て、またしてもPKがもらえるって、こんな都合のいい話があっていい?今度はガメイロが決めてくれたため、ロスタイムにはコレアが連続してイエローカードをもらい、退場してしまうというアクシデントはあったものの、そのまま0-1で勝利したアトレティコでしたが、やっぱりPKはねえ。ロンドンの1stレグではベルサイコが序盤に退場となった後、ラガゼットの先制点をグリーズマンの千載一遇のゴールで奇跡的に打ち消して、1-1で引き分けてきた彼らだけに、木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からの2ndレグでは延長戦、PK戦突入の恐れもなきにしろあらずとはいえ、できればその前に決着をつけてもらいたいかと。 ▽ちなみにまだフアンフランも負傷中のため、お隣さん同様、右SBの人選が一番の懸念となっているアトレティコですが、0-0でも決勝進出となると、再び5バックで右にトマスというのもありそうな。アーセナルサイドで怖いのは先週、いなかったムヒタリアンが復帰しているところでしょうか。どうやらチケットの方はまだ150ユーロ(約2万円)以上の高額なシートがVIP席以外にもポツリポツリとあるようですけどね。収容人員がビセンテ・カルデロンより増えたせいか、移転して以来、完璧な満員御礼はコパ・デル・レイ決勝しかないワンダ・メトロポリターノのため、時間に余裕のあるファンは事前にスタジアムの窓口をチェックしてみるのも吉かもしれませんよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.01 11:00 Tue
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