リバプール退任のクロップ氏、新監督を探すアメリカが接触も監督就任を拒否…

2024.07.12 08:00 Fri
Getty Images
アメリカ合衆国サッカー連盟(USSF)が、昨季限りでリバプールの指揮官を退任したユルゲン・クロップ氏(57)の招へいに動いたが失敗に終わったようだ。

先月から開催されたコパ・アメリカ2024は開催国でありながらグループステージを1勝2敗で終えたアメリカ代表は、11日に2018年から指揮を執ってきたグレッグ・バーホルター監督(50)の解任を発表していた。
アメリカ『ニューヨーク・タイムズ』が報じたところによると、後任を探すUSSFは現在フリーとなっているクロップ氏に正式なオファー提示。しかし、同氏は一旦休養したいと考えており、このオファーを断ったという。

なお、同紙によれば、USSFはクロップ氏の招へいを最優先事項と考えており、今回の失敗にも動じておらず、粘り強く交渉を続けるつもりのようだ。

マインツ、ドルトムントを指揮したクロップ監督は、2015年10月にリバプールの監督に就任。9シーズンにわたって率いたリバプールでは、これまでチャンピオンズリーグ(CL)やプレミアリーグ、クラブ・ワールドカップ(CWC)など多くのタイトルを獲得。
2023-24シーズンにもEFLカップ(カラバオカップ)を制しており、プレミアリーグでも終盤までタイトル争いに加わるなど順調なシーズンを送った。

しかし、クロップ監督は1月にエネルギーの枯渇を理由として、今シーズン限りでの退任を発表。リバプール退任後は休養する意向を表明していた。

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アメリカ代表がマウリシオ・ポチェッティーノ氏(52)を新指揮官の最有力候補に挙げるようだ。『The Athletic』が報じた。 アメリカは自国開催となる先のコパ・アメリカ2024でグループステージ敗退。カナダ、メキシコとの共同開催で2年後に迫る北中米ワールドカップを睨んでの大会だったが、失意の結果に終わり、2018年から指揮を執るグレッグ・バーホルター監督を解任した。 アメリカは先週時点で複数の後任候補から選定を進める状況だが、昨季限りでチェルシーを離れてフリーの身となるその一角のポチェッティーノ氏を最有力と見る向きがあり、相手側陣営と話し合いを続けるという。 アメリカと縁がなさそうなポチェッティーノ氏だが、アメリカサッカー連盟(USSF)のスポーツディレクター(SD)を務めるマット・クロッカー氏とはサウサンプトンを率いた当時の仕事仲間。当時のクロッカー氏はアカデミーを率い、2013年11月からUSSFに加わった。 欧州でも実績十分のポチェッティーノ氏を招へいする上で高額な給与面が焦点となるが、クロッカーSDは「私が思うレベルのコーチを招へいする上で競争力が必要。それが優先事項で、投資する準備もできている。投資するつもりだ」と話している。 2024.08.09 11:00 Fri
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3連勝のウルグアイが決勝T進出!開催国アメリカはまさかのグループステージ敗退…【コパ・アメリカ2024】

コパ・アメリカ2024グループC第3節のアメリカ代表vsウルグアイ代表が1日に行われ、ウルグアイが1-0で勝利した。 前節パナマ代表に敗れ、グループ突破に向けて崖っぷちな状況の開催国アメリカ。勝利が必須の一戦は、クリスチャン・プリシック、フォラリン・バログン、ジョバンニ・レイナの強力3トップを武器とする[4-3-3]を敷いている、 一方、ここまでグループ2連勝で決勝トーナメント進出に王手のウルグアイ。こちらも絶好調のダルウィン・ヌニェスをトップに据えた[4-3-3]のシステムを採用し、試合に臨んだ。 両者とも負けられない一戦は、序盤から激しいぶつかり合いが続く。アメリカは6分、12分とセットプレーからゴールに迫るが、いずれも絶好機にまでは結び付かない。 そんな中、24分にはセットプレーでの激しい接触から、ウルグアイのマクシミリアーノ・アラウホが昏倒。そのまま起き上がることができず担架で運ばれ、途中交代を余儀なくされた。 その後も、ホームの大声援に押される形で強烈なプレッシングを続けるアメリカ。ウルグアイも怯むことなく応戦したことで、数分おきに小競り合いが発生するような試合展開が続く。 しかし、アメリカも3トップの中央を務めるバログンが41分に負傷交代。両チームとも前半のうちに負傷者を出した試合はさらなる荒れ模様となり、ハーフタイムを迎えた。 後半、勝利が必要なアメリカはハイプレスを続ける中で他会場の試合に動きがあり、引き分けでも決勝トーナメント進出ができる状況に。しかし、そこで一瞬の緩みが発生する。 66分、ウルグアイは右サイドで得たFKからアラウホがヘディングシュートを放つと、一度はGKターナーがセーブするもこぼれ球をマティアス・オリベラが詰めて先制。これはオフサイドかにも思われたが、VARの結果ゴールが認められた。 攻めるしかなくなったアメリカは74分に決定機も、プリシックのシュートはウガルテのブロックに防がれ得点ならず。一方のウルグアイは守りを固めながらも、ヌニェスを中心としたカウンターで追加点を狙う。 86分には途中交代のライトがボックス内からシュートを狙うも、ディフレクションしたボールはGKロチェがキャッチ。ベテランのスアレスを終盤に投入したウルグアイは巧みに時間を使い、そのままタイムアップとなった。 グループ3連勝のウルグアイは、首位で決勝トーナメント進出が決定。一方の開催国アメリカは2連敗となり、まさかのグループ敗退が決定した。 アメリカ 0-1 ウルグアイ 【ウルグアイ】 マティアス・オリベラ(後21) ■最終順位(勝ち点/得失点) 1.ウルグアイ代表 9/+8 2.パナマ代表 6/+1 3.アメリカ代表 3/0 4.ボリビア代表 0/-9 2024.07.02 12:15 Tue

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