運も実力のうち…だよね/原ゆみこのマドリッド
2023.12.01 20:00 Fri
「ツキがあり過ぎたツケが来たのかしら」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、恐怖だったCLアウェイ戦を見事な勝利で乗り切り、アトレティコが2年ぶりのグループリーグ突破をしたのに胸を撫で下ろしていた矢先、バリオスがフェイエノールト戦でヒザの半月板を損傷。金曜に手術を受けることになり、全治1カ月から、最悪の場合、3カ月もありうると知った時のことでした。いやあ、カンテラーノ(アトレティコBの選手)の彼は昨季、まだ19才ながらトップチームに昇格。プレシーズンからシメオネ監督の下で始めた今季は9月にもスペインU21代表から帰って来た後、CL1節ラツィオ戦でゴールを挙げながら、負傷してしまい、11月初めにようやく戻ったんですけどね。
そう、その2分後、グリーズマンの蹴ったCKがクリアされ、エリア外に出たボールをコケがヘッドでジョレンテに送ると、そのクロスはゴール前に落ちたんですが、ビッツェルが触れなかったボールがヘールトライダのお腹に当たって、オウンゴールになったから、ビックリしたの何のって。これでまんまと1点リードしたアトレティコでしたが、前半の残りは再びモラタがヘッドを外したぐらいで、大したこともなく、0-1で折り返すことに。負けると敗退が決まってしまうフェイノールトは後半頭から、パイシャオンに代え、上田選手を投入し、2節の対戦では出場停止でいなかったエースのサンティ・ヒメネスがシュートするスペースを前線に作ろうとしたんですが…。
いやあ、それが、ビッツェルが自陣エリア近くで敵に奪われたボールから、サンティ・ヒメネスのシュートをホセマ・ヒメネスが防いだ後、再開12分にはこの試合、唯一のアトレティコの選手のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれたんですよ。ジョレンテと交代で出場したバリオスがエリア内に入れたバスをエルモーソが受けたところ、何と当人は1度もゴールの方角を見ずにvolea(ボレア/ボレーシュート)。それがすっぽりゴールに入ってしまったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は後で「自分の位置がよくわかってなかったけど、sí que la intención es de tirar a portería/シー・ケ・ラ・インテンシオン・エス・デ・ティーラル・ア・ポルテリア(そう、自分の意図はゴールに向けて撃つことだった)」と言っていたんですけどね。
いやあ、あるんですね、世の中にはこんな運のいい試合も。というのも36分、モリーナが蹴ったFKが3点目のゴールになったと思いきや、え?正確無比なヘッドを放ったのがサンティ・ヒメネスだったなんてあっていい?大事な場面でオウンゴールを贈ってしまうのがアトレティコであれば、全然、驚きには値しないんですが、これでスコアは1-3。おかげで「Sabíamos que necesitábamos una victoria visitante/サビアモス・ケ・ネセシタバモス・ウナ・ビクトリア・ビシタンテ(ボクらはアウェイ勝利が必要なことを知っていた)。これまでのいい流れを維持するためにもね」とヒメネスも言っていたように、とうとう内弁慶から脱皮する勝利を挙げ、来年もCLでプレーする権利を手に入れただけでなく、ラツィオ戦で勝ち点1をゲットすれば、1位突破もできるとなれば、もう最高の結果じゃないですか。
ちなみにこの試合でMVPをもらったのはリケルメで、ええ、当人も最初は本気にしていなかったんですが、実際、リーガの前節マジョルカ戦ではサムエル・リノがいいプレーをしていたため、誰もが彼のリピートを疑っていませんでしたからね。シメオネ監督によると、「リケルメがプレーしなければならなかった。Las características de Roro entendía que le iban mejor al equipo/ラス・カラクテリスティカス・デ・ロロ・エンテンディア・ケ・レ・イバン・メホール・アル・エキポ(チームにはロロの特性の方がいいと思った)」そうで、確かに左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として、サンティ・ヒメネスより脅威だったミンテとしっかりマッチアップ。11月にスペインA代表に初招集されたのも励みになったか、攻守両面における当人の成長ぶりには目を瞠らんばかりだったかと。
こうなると、モンジュイックでポルトに2-1と逆転勝ちし、こちらは3年越しとなるCL決勝トーナメント進出を勝ち取ったバルサと対戦する日曜午後9時(日本時間翌午前5時)から試合でも、リケルメとリノのどちらがスタメンになるのか気になるところ。何せ、相手の方はまだGKテア・シュテーゲンが背筋痛から復帰できるか不明とはいえ、ポルト戦で決勝点を挙げたジョン・フェリックスもレンタル元への恩返しに燃えているはずですしね。いくらシメオネ監督が「Tiene nuestra confianza. Con más frialdad y tranquilidad volverá a marcar/ティエネ・ヌエストラ・コンフィアンサ。コン・マス・フリアリダッド・イ・トランキリダッド・ボルベラ・ア・マルカル(彼を信頼している。冷静さと落ち着きをもう少し持てば、またゴールは入るはずだ)」と庇っていたとて、スペイン代表戦を含めて、ここ3試合、モラタがまたゴール入らない病にかかってしまったようなのは心配ではありますが、前節、弟分のラージョが引分けて、アトレティコに贈ってくれた3位の座をこの週末も維持できたらいいですよね。
そして翌水曜はレアル・マドリーの番だったんですが、まあ、こちらはすでにグループ突破済みでしたからね。負傷者が大量発生していても、それ程、切迫感はなかったんですが、それが油断に繋がったんでしょうか。サンティアゴ・ベルナベウにナポリを迎えた彼らは10分、クワラツヘリアのクロスをゴール右脇からディ・ロレンツォがゴール前に送り、負傷明けのオシムヘンに代わって、スタメンCFに抜擢されたジョバンニ・シメオネがシュート。GKルーニンが弾いたものの、すでにボールはラインを越えていたため、先制点を奪われてしまったんですが、となれば、わざわざその日の午前中、ナポリの滞在ホテルまでシメオネ監督が長男を励ましに行った甲斐があったというもの?
ところがマドリーもさるもので、その1分後、リーガ前節のカディス戦では試合前に腹痛を起こし、ビニシウスが負傷でいない間の貴重な先発の機会を失ったブライムがリベンジとばかりに敵陣でボールを取り戻し、ロドリコにパス。彼がまた、ヌエボ・ミランディージャでのデジャブのような動きでナポリのDFをかわし、あっという間に同点ゴールを決めているんですから、息つく暇もないとはまさにこのことですって。更にマドリーは22分にもアラバが送ったロングパスをベリンガムがヘッドで決め、さくさくと逆転したんですが、2節で対戦したルディ・ガルシア監督から、マッサーリ監督に代わったナポリはそのぐらいでは決して諦めず。
ジョバンニをオシムヘンに代えてスタートした後半2分には再び、マドリーの隙を突いて、アンギサがエリア内左側に切り込むと、いえ、彼がゴール前に送ったパスはセバージョスがクリアしたんですけどね。まさかそのボールが再びアンギサに渡り、今度はそのシュートで同点ゴールを奪われてしまうとは!いえまあ、グループ首位確定には勝ち点1が必要なだけのマドリーでしたから、2-2で引分けても全然、問題はなかったんですが、それではベルナベウに駆けつけたファンが満足しませんって。
そこでアンチェロッティ監督も早々に、せっかくチュアメニ、カマビンガ、モドリッチと中盤に欠場者多発で先発のお鉢が回ってきながら、あまりいいところを見せられなかったセバージョスをCFのホセルに代え、ふくらはぎにこむら返しを起こしたブライムもニコ・パスに代えたんですが、先に喝采を浴びたのは19才のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)の方でした。そう、時間は39分とちょっと遅かったんですが、エリア外からのシュートを決め、勝ち越しゴールを挙げてくれたから、スタンドもどんなに沸いたことか。
え、それよりカディス戦でロドリゴのラストパスを誰にもわからない理由でスルー。ゴールを入れる絶好の機会を逃していたホセルがこの日も何度も簡単なシュートを失敗していた方が気にならないかって?いやあ、その通りで、MFの身でありながら、ここまでCL4試合出場で4得点、リーガと合わせてもう15得点も挙げているベリンガムもそれには同情を禁じえなかったんでしょうかね。「チームメートがツイていない時は支えてあげることが大事だから」と、後半ロスタイム4分にはエリア内右側からキラーパスを送り、ホセルがゴール運を取り戻す手伝いをしていたんですが、何かもう、この20才、あまりに人間ができすぎていない?
実際、最後は4-2で勝った後、アンチェロッティ監督も「若いのに真面目でプロ意識がある。勤勉で他の選手たちともよく理解し合っているが、tiene que mejorar su español. Nadie es perfecto/ティエネ・ケ・メホラル・ス・エスパニョール。ナディエ・エス・ペルフェクトー(もっとスペイン語が上手くならないといけない。完璧な者はいないからね)」と、彼の欠点を探すのに困っていたぐらいですが、いやあ、この日のマドリーベンチにはジダン監督の三男、テオが初招集で入っていたせいもあったんですかね。いきなり世間がベリンガムを現役時代のジダンと重ねて見るようになったのは不思議でしたが、今のゴールペースが続く限り、クリスチアーノ・ロナウド(現アル・ナサル)と十分、タメを張れる存在になれるんじゃないでしょうか。
そんなマドリーは今週末、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)に再び、ベルナベウでリーガのグラナダ戦を迎えるんですが、折しも木曜からはGKケパがチーム練習に復帰。またルーニンは控えに戻ることになりますが、どうやら他の選手はハムストリングス筋肉痛のモドリッチも含め、誰も戻ってこないよう。ちなみに現在、降格圏の19位にいる相手は前節にアラベスに負けた後、パコ・ロペス監督を解任して、ウルグアイ人のアレクサンドル・メディーナ監督を招聘。ヨーロッパのチームを率いるのは初めてとなる指揮官ですが、果たして新監督効果が発現するのかどうか。マドリーも首位に戻ったとはいえ、まだジローナと勝ち点は同じですからね。ここはきっちり白星で締めておけるといいのですが。
そしてヨーロッパの大会とは縁がないマドリッドの弟分チームたちのリーガ15節はヘタフェが金曜試合でラス・パルマスとのアウェイ戦に挑み、ラージョは土曜にアスレティックとサン・マメスで対戦。奇しくもどちらも勝ち点19で前者は8位、後者は10位につけているんですが、コンフェレンスリーグ出場圏の7位ベティスとは勝ち点5、その上のEL圏のレアル・ソシエダとアスレティックとは6と、そんなに離れていませんからね。ここは勝って、年内残り試合への励みにしてほしいところですが、懸念となるのは、前者は今季アウェイ未勝利、後者はここ4試合を3分け1敗と白星から遠ざかっていることでしょうか。兄貴分とは逆に来週はコパ2回戦が入るため、ちょっと忙しくなる2チームですが、いい結果を出してくれることを期待しています。
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そのせいで10月は代表のお勤めがなく、ここまで元気にプレーできていたんですが、奇しくもこのCL5節も11月の代表戦週間明けからの2試合目。伝え聞くところによると、フェイエノールト戦の後半45分、上田綺世選手からボールを奪おうとして、左ヒザを捻ったようですが、いやあ。8人もの負傷者を抱えるお隣さんと違って、今はアキレス腱断裂のレマルが長期リハビリしているだけのアトレティコですが、バリオスにはコケに何か異常があった時、中盤の底を務められる唯一の選手という特殊な役割がありましたからね。年明けからはコパ・デル・レイ参戦、スペイン・スーパーカップ、そしてCL決勝トーナメントとまた過密日程が続きますし、ここはクラブも冬の移籍市場でボランチの補強を考えた方がいい?まあ、それは先の話として、まずは火曜のフェイノールト戦がどうだったか、お話ししていくことにすると。早い時間の試合でラツィオがセルティックに2-0と勝ち、首位を奪われていたアトレティコは早速、前半12分にはグリーズマンがセンターから放ったロングパスをモラタが追って、GKバイロウとの1対1のチャンスをゲット。とはいえ、最近のお決まりでそのシュートは弾かれてしまい、ええ、ここ6試合、CLアウェイゲームでは白星がない彼らですからね。今回もドローで凌いで、最終節、無敵のメトロポリターノでのラツィオ戦に懸けるしかないのだろうかと弱気になった私だったんですが、この日は最大の味方が相手チームにいたとは!いやあ、それが、ビッツェルが自陣エリア近くで敵に奪われたボールから、サンティ・ヒメネスのシュートをホセマ・ヒメネスが防いだ後、再開12分にはこの試合、唯一のアトレティコの選手のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれたんですよ。ジョレンテと交代で出場したバリオスがエリア内に入れたバスをエルモーソが受けたところ、何と当人は1度もゴールの方角を見ずにvolea(ボレア/ボレーシュート)。それがすっぽりゴールに入ってしまったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は後で「自分の位置がよくわかってなかったけど、sí que la intención es de tirar a portería/シー・ケ・ラ・インテンシオン・エス・デ・ティーラル・ア・ポルテリア(そう、自分の意図はゴールに向けて撃つことだった)」と言っていたんですけどね。
何はともあれ、これでリードが2点となり、ちょっとは余裕が出て来たアトレティコだったんですが、実際、今季のグループリーグアウェイ戦では後半ロスタイムに敵GKにゴールを決められて、ラツィオと引分けたり、2-2まで追いつきながら、デ・パウルの退場でセルティックに逆転できなかったりと、予想外のドンデン返しを見せてくれていますからね。この日も24分にせっかく完璧なカウンターでモリーナが敵エリアに侵入。フリーでラストパスをもらったデ・パウルが外してしまうなんて、勿体ないことをしていたせいもあり、32分にはCKをバイファーが頭で決め、1-2と迫られて、またしても暗雲が立ち込め始めたんですが…。
いやあ、あるんですね、世の中にはこんな運のいい試合も。というのも36分、モリーナが蹴ったFKが3点目のゴールになったと思いきや、え?正確無比なヘッドを放ったのがサンティ・ヒメネスだったなんてあっていい?大事な場面でオウンゴールを贈ってしまうのがアトレティコであれば、全然、驚きには値しないんですが、これでスコアは1-3。おかげで「Sabíamos que necesitábamos una victoria visitante/サビアモス・ケ・ネセシタバモス・ウナ・ビクトリア・ビシタンテ(ボクらはアウェイ勝利が必要なことを知っていた)。これまでのいい流れを維持するためにもね」とヒメネスも言っていたように、とうとう内弁慶から脱皮する勝利を挙げ、来年もCLでプレーする権利を手に入れただけでなく、ラツィオ戦で勝ち点1をゲットすれば、1位突破もできるとなれば、もう最高の結果じゃないですか。
ちなみにこの試合でMVPをもらったのはリケルメで、ええ、当人も最初は本気にしていなかったんですが、実際、リーガの前節マジョルカ戦ではサムエル・リノがいいプレーをしていたため、誰もが彼のリピートを疑っていませんでしたからね。シメオネ監督によると、「リケルメがプレーしなければならなかった。Las características de Roro entendía que le iban mejor al equipo/ラス・カラクテリスティカス・デ・ロロ・エンテンディア・ケ・レ・イバン・メホール・アル・エキポ(チームにはロロの特性の方がいいと思った)」そうで、確かに左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として、サンティ・ヒメネスより脅威だったミンテとしっかりマッチアップ。11月にスペインA代表に初招集されたのも励みになったか、攻守両面における当人の成長ぶりには目を瞠らんばかりだったかと。
こうなると、モンジュイックでポルトに2-1と逆転勝ちし、こちらは3年越しとなるCL決勝トーナメント進出を勝ち取ったバルサと対戦する日曜午後9時(日本時間翌午前5時)から試合でも、リケルメとリノのどちらがスタメンになるのか気になるところ。何せ、相手の方はまだGKテア・シュテーゲンが背筋痛から復帰できるか不明とはいえ、ポルト戦で決勝点を挙げたジョン・フェリックスもレンタル元への恩返しに燃えているはずですしね。いくらシメオネ監督が「Tiene nuestra confianza. Con más frialdad y tranquilidad volverá a marcar/ティエネ・ヌエストラ・コンフィアンサ。コン・マス・フリアリダッド・イ・トランキリダッド・ボルベラ・ア・マルカル(彼を信頼している。冷静さと落ち着きをもう少し持てば、またゴールは入るはずだ)」と庇っていたとて、スペイン代表戦を含めて、ここ3試合、モラタがまたゴール入らない病にかかってしまったようなのは心配ではありますが、前節、弟分のラージョが引分けて、アトレティコに贈ってくれた3位の座をこの週末も維持できたらいいですよね。
そして翌水曜はレアル・マドリーの番だったんですが、まあ、こちらはすでにグループ突破済みでしたからね。負傷者が大量発生していても、それ程、切迫感はなかったんですが、それが油断に繋がったんでしょうか。サンティアゴ・ベルナベウにナポリを迎えた彼らは10分、クワラツヘリアのクロスをゴール右脇からディ・ロレンツォがゴール前に送り、負傷明けのオシムヘンに代わって、スタメンCFに抜擢されたジョバンニ・シメオネがシュート。GKルーニンが弾いたものの、すでにボールはラインを越えていたため、先制点を奪われてしまったんですが、となれば、わざわざその日の午前中、ナポリの滞在ホテルまでシメオネ監督が長男を励ましに行った甲斐があったというもの?
ところがマドリーもさるもので、その1分後、リーガ前節のカディス戦では試合前に腹痛を起こし、ビニシウスが負傷でいない間の貴重な先発の機会を失ったブライムがリベンジとばかりに敵陣でボールを取り戻し、ロドリコにパス。彼がまた、ヌエボ・ミランディージャでのデジャブのような動きでナポリのDFをかわし、あっという間に同点ゴールを決めているんですから、息つく暇もないとはまさにこのことですって。更にマドリーは22分にもアラバが送ったロングパスをベリンガムがヘッドで決め、さくさくと逆転したんですが、2節で対戦したルディ・ガルシア監督から、マッサーリ監督に代わったナポリはそのぐらいでは決して諦めず。
ジョバンニをオシムヘンに代えてスタートした後半2分には再び、マドリーの隙を突いて、アンギサがエリア内左側に切り込むと、いえ、彼がゴール前に送ったパスはセバージョスがクリアしたんですけどね。まさかそのボールが再びアンギサに渡り、今度はそのシュートで同点ゴールを奪われてしまうとは!いえまあ、グループ首位確定には勝ち点1が必要なだけのマドリーでしたから、2-2で引分けても全然、問題はなかったんですが、それではベルナベウに駆けつけたファンが満足しませんって。
そこでアンチェロッティ監督も早々に、せっかくチュアメニ、カマビンガ、モドリッチと中盤に欠場者多発で先発のお鉢が回ってきながら、あまりいいところを見せられなかったセバージョスをCFのホセルに代え、ふくらはぎにこむら返しを起こしたブライムもニコ・パスに代えたんですが、先に喝采を浴びたのは19才のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)の方でした。そう、時間は39分とちょっと遅かったんですが、エリア外からのシュートを決め、勝ち越しゴールを挙げてくれたから、スタンドもどんなに沸いたことか。
え、それよりカディス戦でロドリゴのラストパスを誰にもわからない理由でスルー。ゴールを入れる絶好の機会を逃していたホセルがこの日も何度も簡単なシュートを失敗していた方が気にならないかって?いやあ、その通りで、MFの身でありながら、ここまでCL4試合出場で4得点、リーガと合わせてもう15得点も挙げているベリンガムもそれには同情を禁じえなかったんでしょうかね。「チームメートがツイていない時は支えてあげることが大事だから」と、後半ロスタイム4分にはエリア内右側からキラーパスを送り、ホセルがゴール運を取り戻す手伝いをしていたんですが、何かもう、この20才、あまりに人間ができすぎていない?
実際、最後は4-2で勝った後、アンチェロッティ監督も「若いのに真面目でプロ意識がある。勤勉で他の選手たちともよく理解し合っているが、tiene que mejorar su español. Nadie es perfecto/ティエネ・ケ・メホラル・ス・エスパニョール。ナディエ・エス・ペルフェクトー(もっとスペイン語が上手くならないといけない。完璧な者はいないからね)」と、彼の欠点を探すのに困っていたぐらいですが、いやあ、この日のマドリーベンチにはジダン監督の三男、テオが初招集で入っていたせいもあったんですかね。いきなり世間がベリンガムを現役時代のジダンと重ねて見るようになったのは不思議でしたが、今のゴールペースが続く限り、クリスチアーノ・ロナウド(現アル・ナサル)と十分、タメを張れる存在になれるんじゃないでしょうか。
そんなマドリーは今週末、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)に再び、ベルナベウでリーガのグラナダ戦を迎えるんですが、折しも木曜からはGKケパがチーム練習に復帰。またルーニンは控えに戻ることになりますが、どうやら他の選手はハムストリングス筋肉痛のモドリッチも含め、誰も戻ってこないよう。ちなみに現在、降格圏の19位にいる相手は前節にアラベスに負けた後、パコ・ロペス監督を解任して、ウルグアイ人のアレクサンドル・メディーナ監督を招聘。ヨーロッパのチームを率いるのは初めてとなる指揮官ですが、果たして新監督効果が発現するのかどうか。マドリーも首位に戻ったとはいえ、まだジローナと勝ち点は同じですからね。ここはきっちり白星で締めておけるといいのですが。
そしてヨーロッパの大会とは縁がないマドリッドの弟分チームたちのリーガ15節はヘタフェが金曜試合でラス・パルマスとのアウェイ戦に挑み、ラージョは土曜にアスレティックとサン・マメスで対戦。奇しくもどちらも勝ち点19で前者は8位、後者は10位につけているんですが、コンフェレンスリーグ出場圏の7位ベティスとは勝ち点5、その上のEL圏のレアル・ソシエダとアスレティックとは6と、そんなに離れていませんからね。ここは勝って、年内残り試合への励みにしてほしいところですが、懸念となるのは、前者は今季アウェイ未勝利、後者はここ4試合を3分け1敗と白星から遠ざかっていることでしょうか。兄貴分とは逆に来週はコパ2回戦が入るため、ちょっと忙しくなる2チームですが、いい結果を出してくれることを期待しています。
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