【J1クラブ通信簿】J1での再出発、浮き沈みの中で掴んだ残留《名古屋グランパス》2018.12.13 18:00 Thu

twitterfacebookhatenalinegplus
photo
(c) J.LEAGUE PHOTOS
▽優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2018シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第4弾は15位の名古屋グランパスを総括!◆シーズン振り返り
(C)CWS Brains,LTD
▽風間体制2年目の成熟、超大物ストライカーのジョー(コリンチャンス)加入などによって開幕前は一桁順位フィニッシュ、ACL出場権争いも期待されたが、昨季J1昇格プレーオフを制してJ1“18番目”のチームとして参戦した再出発のシーズンは非常に厳しいものとなった。

▽ジョーの評判通りの活躍などによって開幕3試合を2勝1分けと最高のスタートを切ったが、そこからまさかの8連敗を含む13戦未勝利(11敗2分け)の最下位でロシア・ワールドカップ(W杯)開催に伴う中断期間を迎えることになった。同期間では風間スタイルのアキレス腱である守備力の問題に加え、指揮官が志向する攻撃的なパスサッカーも鳴りを潜め浮上のキッカケが全く見えなかった。

▽それでも、中断期間にJリーグ屈指の資金力を生かして最終ラインにDF中谷進之介(柏レイソル)、DF丸山祐市(FC東京)、DF金井貢史(横浜F・マリノス)とJ1チームの主力クラスを獲得し大幅なテコ入れを敢行。再開明けの2試合で未勝利も、第19節のベガルタ仙台戦で16戦ぶりの勝利を挙げると、ここから自慢の攻撃スタイルを武器に破竹の7連勝。一気に降格圏から11位までステップアップを果たした。しかし、この爆発力を維持することはできず、最後の10試合では3勝6敗1分けと大幅に黒星が先行する形となり、J1参入プレーオフ決定戦圏内の16位で湘南ベルマーレとの最終節を迎えるも同試合を2点ビハインドからジョーのPKによる2ゴールで辛くもドローに持ち込んだ結果、他会場の結果によって15位に浮上しギリギリでのJ1残留を成し遂げた。

◆チームMVP
FWジョー(31)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発30試合)/24得点
(C)J.LEAGUE PHOTO
▽今季の名古屋がギリギリでJ1残留を果たせた最大の要因は、加入1年目でリーグ得点王に輝いた元セレソンの活躍に尽きる。マンチェスター・シティ、エバートン、ガラタサライなど欧州の強豪クラブを渡り歩き、昨季は母国のコリンチャンスでリーグ得点王、MVPを受賞した大物ストライカーはシーズンを通してその実力を発揮した。

▽開幕戦のガンバ大阪戦でJデビュー弾を記録して以降、今季最長の5試合連続無得点というプチスランプを経験も、判定基準を含めたJリーグへの順応、周囲との連係構築によって着実にゴールを重ねた。とりわけ、中断期間を経て臨んだ後半戦では新戦力補強による最終ラインの安定、MF前田直輝(松本山雅FC)らの加入によってようやくストライカーの仕事に専念できるようになると、第19節のベガルタ仙台戦から第26節のサガン鳥栖戦まで出場試合7戦連続ゴールを含む14ゴールを記録。逆転での残留において重要過ぎる7連勝に貢献。

▽さらに、降格圏で迎えたシーズン最終盤の2試合でも3ゴールを記録するなど、エースストライカーに相応しい活躍を見せつけた。また、24ゴールの内訳を見ると、利き足の左足で10ゴール、右足で9ゴール、頭で5ゴールとどんな形からもゴールを奪えていたことがわかる。加えて、アシスト数こそ「4」にとどまったが、確度の高い絶妙なポストプレーで周囲のアタッカー陣を生かすなど、その貢献度は絶大だった。

◆補強成功度《A》※最低E~最高S
(C)J.LEAGUE PHOTO
▽今季終盤戦の主力を担った昨季からの所属選手がMF和泉竜司、MF小林裕紀、FWガブリエル・シャビエル、FW玉田圭司だったことを考えれば、今夏の途中加入組を含めて新戦力の稼働率が非常に高かったことがわかる。DFホーシャ、DF畑尾大翔(大宮アルディージャに期限付き移籍)を除き新加入選手のほとんどが主力としてプレーしており、形振り構わず資金を投下したシーズン途中の補強が残留の大きな要因だったと言える。もちろん、守護神ミッチェル・ランゲラック、主砲FWジョーを除き開幕前に目立った補強がなかったことが最下位に沈んだ前半戦の一因となっており、大いに反省すべきポイントではあるだろう。

▽選手個々に目を向けると、前述のランゲラック、ジョーの貢献度は絶大でいずれも途中加入で最終ラインの問題を改善した中谷、丸山のセンターバックコンビ、7連勝をけん引した前田、金井の活躍も見事だった。さらにFW相馬勇紀(早稲田大学)、MF児玉駿斗(東海学園大学)ら特別指定選手の活躍も素晴らしかった。

◆総合評価《D》※最低E~最高S
Getty Images
▽“18番目”のチームとしてJ1での再出発を切った中、最終的に15位で残留を決めたことは最低限のノルマを果たせたと言っていいだろう。その一方でジョー加入などによって一桁順位フィニッシュ、ACL出場権争いに絡むことが期待されていただけに、ある意味で失敗のシーズンと捉える向きもあるだろう。

▽シーズン全体の評価としては昨季J2時代から課題に挙げられていた最終ラインの補強に踏み切らず、新守護神ランゲラックを除きJ2仕様でシーズン前半戦に臨んだことが痛恨だった。J2では圧倒的だったポゼッションスタイルは球際の強さや個人戦術で勝るJ1の相手チームに対して機能せず、前半は脆弱な守備陣が相手の鋭いカウンターやセットプレーから再三ゴールを奪われる場面が目立った。

▽それでも、後半戦に向けて最終ラインのてこ入れを図ると、以降は後方からのビルドアップの安定、被カウンター時のリスク管理など課題の守備に目に見える改善が見られると、チームとして後ろを気にせず、前向きなプレーが増え始め、チーム最大のストロングポイントである攻撃陣の躍動に繋がった。とりわけ、後半戦の7連勝時の魅力的なアタッキングフットボールは間違いなくJ1屈指の破壊力だった。シーズン終盤はやや尻すぼみの形で終わったものの、J1仕様となった後半戦のスカッドを維持できれば、風間体制3年目はタイトル争いに絡めるはずだ。

▽その一方、物議を醸した功労者・玉田の退団を含め、GK楢崎正剛、FW佐藤寿人と苦しい時期に精神的な支柱を担ってきたベテランの退団が決定的となっており、小林や和泉といった中堅選手たちのリーダーシップが重要となるはずだ。
コメント
関連ニュース
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑦~ソラーリ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆サンティアゴ・ソラーリ体制/2018-19</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190315_20_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>現役時代にもレアル・マドリーで活躍したソラーリ監督は、同クラブの下部組織で指導者としてのキャリアをスタート。2014-15シーズンにU-16年代の指揮官に就任すると、2015-16シーズンからU-19、2016-17シーズンからカスティージャ(Bチーム)と順調にステップアップを果たしていた。 フレン・ロペテギ前監督の下でスタートした2018-19シーズンのマドリーは、近年稀な程の低迷に苦しんでいた。とりわけ得点力不足に苦しみ、公式戦496分間無得点というクラブワーストの記録も。そして、リーガエスパニョーラ第10節でバルセロナに1-5の大敗を喫し、順位も9位に沈む中、ロペテギ前監督の解任が発表。下部組織から引き上げられたソラーリ監督には、得点力不足の改善などチームの立て直しが求められた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190315_20_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>シーズン途中の就任だったため、これといった新戦力は加えず。冬の移籍市場でMFブラヒム・ディアスを獲得したが、将来への投資という意味合いが強い。それでも、FWヴィニシウス・ジュニオールとDFレギロン、MFマルコス・ジョレンテ、MFフェデリコ・バルベルデら若手にチャンスを与えることで、チームに刺激を与えた。 基本フォーメーションは[4-3-3]。ロペテギ前監督時代との大きな違いは、MFイスコ、MFベイル、DFマルセロら安定感を欠ていたスター選手をベンチに置き、FWヴィニシウスとDFレギロンを重用した部分だ。特にFWヴィニシウスは攻撃の核とも言えるパフォーマンスを披露。また、守護神の起用法にも変更を加え、リーガだけでなくチャンピオンズリーグ(CL)でもGKケイロル・ナバスではなくGKティボー・クルトワを起用した。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~絶望の1週間~</span> 就任から2週間の暫定指揮期間が与えられていたソラーリ監督は、その期間中に公式戦4連勝を達成。特に最初の3試合は連続で完封勝利を果たし、発足直後の成績としては61年ぶりの快挙を成し遂げ、正式にトップチームの監督に就任した。 その後、ロペテギ前監督時代同様に得点力不足こそ指摘されていたソラーリ・マドリーだったが、守備を重視したプランで着々と勝ち星を積み重ね、一時期にはリーガ2位に浮上。コパ・デル・レイ、CLでも順調に勝ち上がり、復活の兆しを垣間見せていた。 しかし、2月末から3月初めのリーガ第26節、コパ・デル・レイ準決勝2ndレグで宿敵バルセロナとの連戦に連敗すると、続くCLラウンド16・2ndレグのアヤックス戦でも1-4と大敗。わずか1週間で全てのタイトルを実質的に失い、ソラーリ監督は解任されることとなった。<hr>▽サンティアゴ・ソラーリ 【在任期間】 0.5シーズン(2018/10/29~2019/3/11) 【戦績】 公式戦32試合22勝2分け8敗 チャンピオンズリーグ:ベスト16 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点51)※第27節終了時点 コパ・デル・レイ:ベスト4 【主な獲得選手】 MFブラヒム・ディアス 【主な放出選手】 GKキコ・カシージャ 2019.03.15 18:00 Fri
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑥~ロペテギ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆フレン・ロペテギ体制/2018</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_29_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>2003年にラージョ・バジェカーノでスタートしたロペテギ監督の指導者としてのキャリアは、2010年のU-19スペイン代表監督就任から急速に花を咲かせる。育成年代でU-19EUROやU-21EUROを制すると、2016年からはA代表の指揮官に就任し、MFイスコやMFコケなど多くの若手を引き上げてベテラン世代との融合に成功。ロシア・ワールドカップ(W杯)前には20試合14勝6分け無敗、61得点13失点という圧倒的な成績を収め、ナショナルレベルでは最高の評価を得ていた。 一方、2017-18シーズン終了直後のマドリーは大きな混乱に包まれていた。チャンピオンズリーグ(CL)3連覇を成し遂げた偉大な前任者、ジネディーヌ・ジダン前監督が電撃辞任を発表し、エースFWクリスティアーノ・ロナウドにも退団の噂(その後実際に退団)が囁かれていたためだ。そして、大きな注目が集まっている中、マドリーはロシアW杯直前にスペイン代表を指揮していたロペテギ監督の招へいを発表。大会後の就任と伝えられていたが、この発表がスペインサッカー連盟の逆鱗に触れ、同監督はロシアの地で試合に臨むことなく代表指揮官の任を解かれた。 そして、マドリーとロペテギ監督は、シーズン前からスペイン国内から大きな反感を買うことに。その批判を跳ね返すためにも、ロペテギ監督にはC・ロナウド不在を感じさせない様な「結果」が求められた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_29_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>FWクリスティアーノ・ロナウドが退団する衝撃的な夏を過ごしたマドリーは、これと言って大きな補強をせず。GKティボー・クルトワこそ獲得したものの、必要性が叫ばれた即戦力の新アタッカーはFWマリアーノ・ディアスのみ。FWヴィニシウス・ジュニオールが後にポテンシャルを示すが、この時点では計算されておらず、エースが抜けた穴は埋めることが出来ていない。 ロペテギ監督は指揮した全14試合で[4-3-3]を採用。強烈な左足を持つMFアセンシオが左ウィングのファーストチョイスに。また、ロシアW杯を決勝まで戦ったMFルカ・モドリッチが出遅れ、MFイスコやMFダニ・セバージョスに多くのチャンスが与えられた。特にMFイスコをインサイドハーフで起用した際には、中央の崩しを意識した試合を展開。GKに関しては、ケイロル・ナバスがCL、クルトワがリーガエスパニョーラを担当した。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~クラシコでの大敗~</span> ロペテギ監督は、スタートから棘の道を歩まされた。就任時の経緯から開幕前の時点で批判を浴び、初陣となったUEFAスーパーカップではアトレティコ・マドリーに延長戦の末2-4で敗北。初陣にしてタイトル獲得を逸している。その後に何とか建て直したかに思われたのも束の間、リーガ第6節セビージャ戦で0-3の完敗を喫した。 さらに、そこからはセビージャ戦を含め公式戦5試合1分け4敗、1得点7失点と大きく低迷。CLグループステージのプルゼニ戦で6試合ぶりの白星を手にしたものの、リーガ第10節バルセロナ戦では1-5と歴史的な大敗を喫した。 そして、クラシコの翌日、マドリーはロペテギ監督の解任を発表。クラブは、「バロンドール候補を8選手擁するというクラブ史において前例のない陣容と、ここまで手にした結果の間に、大きな不均衡がある」と、ロペテギ監督のマネジメントに全責任を押し付けるかのような声明で、ロシアW杯前から続いていた狂想曲に区切りを付けた。<hr>▽フレン・ロペテギ 【在任期間】 0.5シーズン(2018/7/1~2018/10/29) 【戦績】 公式戦14試合6勝2分け6敗 チャンピオンズリーグ:グループステージ3試合2勝1敗※解任時点 リーガエスパニョーラ:9位(勝ち点14)※第10節終了時点 コパ・デル・レイ:-※大会参加前に解任 【主な獲得選手】 FWヴィニシウス・ジュニオール、FWマリアーノ・ディアス、DFアルバロ・オドリオソラ、GKティボー・クルトワ 【主な放出選手】 FWクリスティアーノ・ロナウド、MFマテオ・コバチッチ、DFテオ・エルナンデス 2019.03.14 18:00 Thu
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑤~第一次ジダン体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ジネディーヌ・ジダン体制/2016-2018</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>現役時代に当代一の名選手としてあらゆる栄光を手にしていたジダン監督は、マドリーの下部組織から指導者生活をスタート。2013-14シーズンからのカルロ・アンチェロッティ体制下ではトップチームのアシスタントコーチも務め、経験を積んだ。しかし、当時はレアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)でしか監督経験がなく、その手腕の程は全くの未知数だった。 そして、ジダン監督就任時のマドリーは、規約違反によりコパ・デル・レイを失格となっており、リーガでも3位。チャンピオンズリーグ(CL)こそベスト16進出を決めていたものの、悲観的なムードが漂っていた。その混迷度合いは、本拠地サンティアゴ・ベルナベウで自チームにブーイングが飛び、前任者のラファエル・ベニテス前監督がわずか半年での解任を言い渡される程。このタイミングでのレジェンド登用には悲観的な意見も少なくなかった。就任当初、目指すべきものとしてはチーム再建やタイトルが掲げられていたが、周囲からのハードルはそれほど高く設定されていなかったのが実情だ。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>ジダン監督が就任してからのマドリーは、移籍市場において明確に方針を転換。FWアルバロ・モラタの復帰がビッグディールとなったが、これまでの様に世界的なスター選手に手は伸ばさず。MFダニ・セバージョスを獲得し、レンタルで経験を積んでいたMFアセンシオにトップチームでの機会を与えるなど、未来を見据えたオペレーションを目立たせた。同時に、既存のスタープレーヤーを不良債権化させることもなく、バランスの良いチーム作りを試みている。 基本となった布陣は守備的MFカゼミロをアンカーに据えた[4-3-3]だが、対戦相手によって複数のフォーメーションを使い分け。イスコをトップ下に配した[4-3-1-2]や、MFルーカス・バスケスとMFアセンシオを両サイドに置き安定感を重視した[4-4-2]など、多くのパターンを有した。特に、C・ロナウドをサイドでなく中央で起用するアイデアは、多くの得点をもたらしている。 さらに、2年目の2016-17シーズンにはAチーム、Bチームと言われる2つのチームを組み、ローテーション。主力のコンディション、若手を含む全選手の試合勘を保ち、あらゆる大会を勝ち抜く総力を培った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~ヴォルフスブルク戦の大逆転~</span> 就任時こそ悲観的な見方も多かったジダン政権だが、その声は半年後にはかき消え、2年半が経つ頃には大音量の声援へと変わっていた。言わずもがな、わずか半年でCLのタイトルを獲得し、前人未到の3連覇を達成したためだ。 さらに、初年度からリーガエスパニョーラでも凄まじいスピードで巻き返し、優勝したバルセロナとの勝ち点差はわずか「1」。ベニテス政権時のリーグ前半戦で0-4の大敗を喫していた“エル・クラシコ”でも、後半戦では2-1でリベンジを果たした。また、2年目には5年ぶりのリーガ奪還を成し遂げている。 指導者としても伝説的な成績を収めているジダン監督だが、その道程の中では2015-16シーズンのCL準々決勝ヴォルフスブルク戦がターニングポイントに挙げられる。マドリーはアウェイでの1stレグを0-2で落とし、絶体絶命となっていた。しかし、2ndレグではFWクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを記録し、3-0で終えて逆転突破。それから3年後、ユベントスに移籍したC・ロナウドが同様の偉業を成し遂げ、時を同じくしてジダン監督も再びマドリー指揮官に復帰したのは、何の因果か…。 ともあれ、ヴォルフスブルクを劇的な形で破ったマドリーは、勢いそのままに欧州制覇。その後も一切チャンピオンの座を渡すことなく、3連覇を果たした。 そして、2017-18シーズン終了と当時にジダン監督は電撃辞任。「今こそ変えなければ」、「勝てる気がしないときは何か変化が必要だ」と語り、マドリーでは稀有なことに好印象だけを残してクラブを去っていった。<hr>▽ジネディーヌ・ジダン 【在任期間】 2.5シーズン(2016/1/4~2018) 【戦績】 [2015-16シーズン]※半シーズン 公式戦27試合22勝3分け2敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点90) コパ・デル・レイ:-※規約違反により就任前に失格 [2016-17シーズン] 公式戦60試合44勝11分け5敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:優勝(勝ち点93) コパ・デル・レイ:ベスト8 [2017-18シーズン] 公式戦62試合39勝14分け9敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点76) コパ・デル・レイ:ベスト8 [合計] 公式戦149試合115勝28分け16敗 【主な獲得選手】 FWアルバロ・モラタ、DFテオ・エルナンデス、MFダニ・セバージョス 【主な放出選手】 FWアルバロ・モラタ、FWヘセ・ロドリゲス、FWデニス・チェリシェフ、MFハメス・ロドリゲス、DFアルバロ・アルベロア、DFダニーロ、DFペペ 2019.03.13 18:00 Wed
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル④~ベニテス体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ラファエル・ベニテス体制/2015</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>選手としてマドリーの下部組織で育ったベニテス監督は、指導者としてのキャリアもマドリーのコーチからスタートさせた。その後、バレンシアで2度のリーガエスパニョーラ制覇を成し遂げて頭角を現すと、リバプールではチャンピオンズリーグ(CL)も獲得。しかし、リバプール以降はなかなかファンが求めているタイトルには手が届かず、戦術家としての手腕を評価される反面、人心掌握に関しては懐疑的な目が向けられていた。 マドリーは、前年を主要無冠で終えていたものの、前任者のカルロ・アンチェロッティ前監督が選手やファンから高い評価を得ており、ベニテス監督は強い逆風の中で到着。監督交代の必要性に関してフロレンティーノ・ペレス会長への批判も聞こえる中、ベニテス監督には主要タイトルの獲得だけでなく、クラシコやダービーなど重要な試合で手腕をアピールする必要があった。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>夏の移籍市場では、MFマテオ・コバチッチ、DFダニーロが大型補強となったほか、MFカゼミロをポルトからレンタルバック。反対に、MFサミ・ケディラやレジェンドGKイケル・カシージャスが退団し、左SBのバックアップを務めていたDFファビオ・コエントランもレンタルで放出された。 シーズン当初はMFイスコやMFベイルをトップ下に置き、MFトニ・クロースとMFルカ・モドリッチがボランチを務める攻撃的な[4-2-3-1]を多用していたが、次第に[4-3-3]にシフト。MFカゼミロをアンカーに配すバランス重視の形に落ち着き、内容に応じてMFコバチッチやMFハメス・ロドリゲス、FWヘセ・ロドリゲスといったバリエーション豊かなカードの投入で変化を付けた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~国王杯での恥辱~</span> 開幕戦こそスポルティング・ヒホンと0-0で引き分けたものの、その後のベティス戦を5-0、エスパニョール戦を6-0で進むなど、ベニテス監督の船出は順調だった。しかし、11月に入ってリーガでセビージャに2-3で敗北すると、翌節で宿敵バルセロナにも0-4で完敗。アンチェロッティ前監督解任で燻っていた不満が表面化し始めた。 さらに、ベニテス・マドリーはコパ・デル・レイ4回戦のカディス戦で出場停止処分中だったMFデニス・チェリシェフを起用してしまい、屈辱の失格処分。年末には、ベニテス監督の名前がコールされた際にホームスタンドからブーイングが飛ぶ状態となり、監督交代を行ったペレス会長の解任も叫ばれた。 そして、クラシコ大敗後にペレス会長が緊急記者会見でベニテス監督の続投を表明していたのも空しく、2016年1月4日に解任が発表されている。<hr>▽ラファエル・ベニテス 【在任期間】 0.5シーズン(2015/6/3~2016/1/4) 【戦績】 公式戦25試合17勝5分け3敗 チャンピオンズリーグ:グループステージ突破※解任時点 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点37)※第18節終了時点 コパ・デル・レイ:ベスト32※規約違反により失格 【主な獲得選手】 MFマテオ・コバチッチ、MFルーカス・バスケス、DFダニーロ 【主な放出選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFサミ・ケディラ、MFアシエル・イジャラメンディ、DFファビオ・コエントラン、GKイケル・カシージャス 2019.03.12 18:00 Tue
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル③~アンチェロッティ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆カルロ・アンチェロッティ体制/2013-15</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>ミラン長期政権時代にチャンピオンズリーグ(CL)を制し、チェルシーでも欧州の頂に立った経験を持つアンチェロッティ監督は、マドリー指揮官就任前年までパリ・サンジェルマン(PSG)を指揮。ビッグクラブで築いた輝かしい実績が評価され、ジョゼ・モウリーニョ前監督の後任としてチームの再建を託された。 前年までのマドリーでは、モウリーニョ前監督とGKイケル・カシージャスらの確執が各紙から噴出。穏やかで真摯な人柄で知られるアンチェロッティ監督には、ロッカールームの規律を取り戻すことが期待され、同時に当人が就任会見で宣言した通り“デシマ”(10度目の欧州制覇)達成が切望された。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>アンチェロッティ政権では、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲスといった強力なアタッカーのほか、退団間近となっていたMFシャビ・アロンソの穴にはMFトニ・クロースを獲得。負傷により度々欠けるDFマルセロのバックアップ問題は残されたものの、DFダニエル・カルバハルやGKケイロル・ナバスも加えたことで概ねの心配事は取り除かれた。 アーセナルに去ったMFメスト・エジルの代役は見つからなかったものの、2013-14シーズンからのマドリーはMFルカ・モドリッチを中心に据えた[4-3-3]にシフト。3トップの並びは“BBC”と呼ばれるユニットが固定されていたが、中盤の組み合わせに関しては2014-15シーズンからはMFトニ・クロースが欠かせない選手となり、MFハメス・ロドリゲス、MFイスコ、MFアシエル・イジャラメンディといった豊富な選択肢が用意されていた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~アトレティコとのダービーマッチ~</span> 見事に選手たちのポテンシャルを引き出したアンチェロッティ監督は、初年度から主要二冠を達成。コパ・デル・レイ決勝でバルセロナを破り、CL決勝でアトレティコ・マドリーを破ったとなれば、その喜びは尚更だ。リーガエスパニョーラでは両クラブの後塵を拝したものの、それをかき消すほどに、悲願の“デシマ”達成への称賛は止まなかった。 そして、2014-15シーズンの前半戦では前年の好調を引き継ぎ、公式戦22連勝を記録。しかし、そのシーズンにはスーペル・コパ、コパ・デル・レイでアトレティコに敗退に追い込まれ、リーガでの“マドリッド・ダービー”でも2敗を喫した。優勝したバルセロナ(勝ち点94)と勝ち点2差でタイトルを逃しており、ユベントスに敗れたCL以外の大会で、隣のクラブとの直接対決で失っている。 結局、2015年夏に解任されたアンチェロッティ監督に問われた責は、主要大会を無冠で終えたことだ。しかし、いずれの大会も惜しい所までは進んでおり、解任報道噴出時には選手たちがSNSを通じて慰留を呼び掛け。前年にクラブの悲願を達成した監督を追い出すにはあまりにもな状況だったが、だからこそアンチェロッティ政権からは、ペレス会長が長を務めるマドリーのシビアさが読み取れる。<hr>▽カルロ・アンチェロッティ 【在任期間】 2シーズン(2013-15) 【戦績】 [2013-14] 公式戦60試合46勝8分け6敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点87) コパ・デル・レイ:優勝 [2014-15] 公式戦59試合43勝6分け10敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点92) コパ・デル・レイ:ベスト16 [合計] 公式戦119試合89勝14分け16敗 【主な獲得選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲス、MFトニ・クロース、DFダニエル・カルバハル、GKケイロル・ナバス 【主な放出選手】 FWゴンサロ・イグアイン、FWアルバロ・モラタ、MFメスト・エジル、MFカカ、MFアンヘル・ディ・マリア、MFシャビ・アロンソ、DFラウール・アルビオル 2019.03.11 18:00 Mon
twitterfacebook


ACL

Jリーグ移籍情報

欧州移籍情報

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース