【六川亨の日本サッカーの歩み】羽中田さんと鈴井コーチの巡り合わせ
2018.02.12 18:45 Mon
▽今週は、ちょっと地味だが2016年にJFL(ジャパン・フットボールリーグ)に昇格したものの、2017年は年間15位で再び関東リーグに降格したブリオベッカ浦安について取り上げたい。元日本代表DF都並敏史さんの長男がプレーしていたクラブで、2014年には都並さんもテクニカルダイレクターに就任し、チームはJ3昇格を目指していた。
▽監督の齋藤芳行さんは、都並さんが仙台やC大阪、横浜FCの監督を務めていた時のヘッドコーチで、都並さんの右腕とも言える参謀だった。しかし2017年は成績不振によりシーズン途中で解任される。後任には、都立石神井高校初のJリーガーで、松本山雅ユースのアドバイザーを務めていた柴田峡を招へいしたが、浮上のきっかけをつかめないまま契約満了で退任した。
▽再び関東リーグでJFL昇格を狙うチームの監督を任されたのが、讃岐などの監督を歴任した羽中田昌(はちゅうだ まさし)さんだった。羽中田さんのプレーを初めて見たのは彼が韮崎高校1年の時の選手権だった。大宮サッカー場で行われた試合では、泥田のようなピッチコンディションでも足に吸い付くようなドリブルに度肝を抜かれた。羽中田さんと同学年の保坂孝さんもドリブルを得意とする大型ストライカーで、2人は将来を多いに嘱望されたものだ。
▽残念ながら高校選手権ではベスト4が1回、準優勝が2回と頂点に立つことはできなかった。そして羽中田さんはバイクを運転中に転倒し、脊髄損傷で車椅子での生活を余儀なくされた。一度は山梨県庁に勤めたものの、1993年のJリーグ開幕に刺激を受けて指導者の道を志す。選んだのは憧れの選手ヨハン・クライフが指揮を執るバルセロナだった。
▽1995年に行われたスペイン留学の送別会にはセルジオ越後氏も出席し、羽中田さんのことを「彼は僕のチェアー(椅子=車椅子)マンです」と、川淵チェアマンにひっかけて紹介したことを今でも覚えている。
▽帰国後はたゆまぬ努力でS級ライセンスを取得。身体障害者としては史上初の快挙だった。その後は讃岐の監督や、関西1部リーグの奈良クラブ(現JFL)、東京23FC(関東リーグ)の監督を歴任し、東京23FCでは関東リーグで優勝したが(2016年)、地域CLは1次ラウンドで敗退してJFLの昇格はかなわなかった。
▽捲土重来がなるか。彼とは出会ってから40年近くが経ち、毎年交換している年賀状には近況報告と同時にいつも抱負が添えられている。思い返せば高校選手権から彼のサッカー人生は挫折の連続だった。高校選手権では、破れた試合後のロッカールームで悔し泣きしていている羽中田さんと保坂さんを3年間取材した(当時はロッカールームでの取材はフリーだった)。
▽それでも何度となく立ち直り、新たな試練に挑んでいる。地域リーグやJFLの苦労を熟知しているだけに、ブリオベッカ浦安での成功を願わずにはいられない。
▽そして羽中田監督を補佐するコーチに、鈴井智彦氏が就任したのにも驚かされた。彼は東海大学を卒業後、サッカーダイジェストへの入社を希望したため面接をし、編集部員として採用した。その後は紆余曲折を経ながらもサッカー界で仕事を続けたが、まさかブリオベッカ浦安のコーチとして羽中田監督をサポートするとは予想外の出来事だった。
▽そんな鈴井氏についての話は長くなるので、来週のコラムで紹介したい。
▽監督の齋藤芳行さんは、都並さんが仙台やC大阪、横浜FCの監督を務めていた時のヘッドコーチで、都並さんの右腕とも言える参謀だった。しかし2017年は成績不振によりシーズン途中で解任される。後任には、都立石神井高校初のJリーガーで、松本山雅ユースのアドバイザーを務めていた柴田峡を招へいしたが、浮上のきっかけをつかめないまま契約満了で退任した。
▽再び関東リーグでJFL昇格を狙うチームの監督を任されたのが、讃岐などの監督を歴任した羽中田昌(はちゅうだ まさし)さんだった。羽中田さんのプレーを初めて見たのは彼が韮崎高校1年の時の選手権だった。大宮サッカー場で行われた試合では、泥田のようなピッチコンディションでも足に吸い付くようなドリブルに度肝を抜かれた。羽中田さんと同学年の保坂孝さんもドリブルを得意とする大型ストライカーで、2人は将来を多いに嘱望されたものだ。
▽残念ながら高校選手権ではベスト4が1回、準優勝が2回と頂点に立つことはできなかった。そして羽中田さんはバイクを運転中に転倒し、脊髄損傷で車椅子での生活を余儀なくされた。一度は山梨県庁に勤めたものの、1993年のJリーグ開幕に刺激を受けて指導者の道を志す。選んだのは憧れの選手ヨハン・クライフが指揮を執るバルセロナだった。
▽帰国後はたゆまぬ努力でS級ライセンスを取得。身体障害者としては史上初の快挙だった。その後は讃岐の監督や、関西1部リーグの奈良クラブ(現JFL)、東京23FC(関東リーグ)の監督を歴任し、東京23FCでは関東リーグで優勝したが(2016年)、地域CLは1次ラウンドで敗退してJFLの昇格はかなわなかった。
▽そんな羽中田さんが、再び指導者として関東リーグのブリオベッカ浦安を率いてJFL昇格に挑戦する。讃岐時代は四国リーグで優勝し、奈良クラブでは関西1部リーグで2位までチームを躍進させた。東京23FCでも関東リーグで優勝したものの、いつもその先の“壁”を破れずにいるのは、羽中田さん自身が一番歯がゆく感じていることだろう。
▽捲土重来がなるか。彼とは出会ってから40年近くが経ち、毎年交換している年賀状には近況報告と同時にいつも抱負が添えられている。思い返せば高校選手権から彼のサッカー人生は挫折の連続だった。高校選手権では、破れた試合後のロッカールームで悔し泣きしていている羽中田さんと保坂さんを3年間取材した(当時はロッカールームでの取材はフリーだった)。
▽それでも何度となく立ち直り、新たな試練に挑んでいる。地域リーグやJFLの苦労を熟知しているだけに、ブリオベッカ浦安での成功を願わずにはいられない。
▽そして羽中田監督を補佐するコーチに、鈴井智彦氏が就任したのにも驚かされた。彼は東海大学を卒業後、サッカーダイジェストへの入社を希望したため面接をし、編集部員として採用した。その後は紆余曲折を経ながらもサッカー界で仕事を続けたが、まさかブリオベッカ浦安のコーチとして羽中田監督をサポートするとは予想外の出来事だった。
▽そんな鈴井氏についての話は長くなるので、来週のコラムで紹介したい。
日本の関連記事
|
|
日本の人気記事ランキング
1
日本代表が離脱の南野拓実の代役にオナイウ阿道を追加招集、フランス2部で現在2試合連続ゴール中で背番号は南野の「10」に
日本サッカー協会(JFA)は4日、トゥールーズのFWオナイウ阿道を日本代表に追加招集することを発表した。背番号は「10」を付ける。 日本代表は2日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオマーン代表戦で0-1と敗戦。中国代表戦を戦うため、カタールへと移動した。 オマーン戦を負傷欠場していたMF南野拓実(リバプール)がケガのためそのまま離脱。攻撃陣が手薄となっていた。 なお、DF板倉滉(シャルケ)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)に続いて3人目の離脱となっていた。 オナイウは今シーズンの明治安田生命J1リーグで20試合に出場し12得点を記録。夏にリーグ・ドゥ(フランス2部)のトゥールーズへと完全移籍すると、6試合で2ゴールを記録。2試合連続ゴール中と好調を維持していた。 2021.09.04 22:05 Sat2
「まさに死闘ってカンジ」歴史に残るバーレーンとの4-3の激闘!2004年大会プレイバックに反響「このゴールで中澤佑二に惚れた」
31日、日本代表はアジアカップ2023のラウンド16でバーレーン代表と対戦する。 過去の対戦成績は日本の8勝2敗となっているが、アジアカップの舞台で最後に対戦したのは2004年の中国大会での準決勝。記憶に残る激闘だった。 MF小野伸二、FW高原直泰ら当時の主力選手が欠場していた当時の日本は、開催国の中国サポーターにブーイングを浴びせられながらも決勝トーナメントに進出すると、準々決勝ではPK戦途中でのサイド変更とGK川口能活の神がかり的なセーブが印象深いヨルダン代表戦に勝利し、準決勝でバーレーンと対戦した。 しかし、バーレーン戦では開始6分に先制ゴールを許すと、40分にはMF遠藤保仁が不可解な判定で一発退場。日本はビハインドの状況で数的不利を負ってしまった。 数的不利の状況でもMF中田浩二とFW玉田圭司のゴールで逆転した日本だったが、その後2失点。2-3と1点ビハインドで試合終盤を迎えた。 それでも日本は最後まで諦めず。DFも攻めあがって同点ゴールを狙うと、90分にDF中澤佑二が値千金の同点ゴール。不屈の精神で同点に追いつくと、延長前半には玉田の独走ゴールが決まり、4-3で激闘を制していた。 なんとか決勝に進出した日本は、決勝で中国代表を撃破。見事に大会連覇を成し遂げていた。 久しぶりの対戦を前に『DAZN』は当時の試合映像をプレイバック。SNS上のファンも「このゴールで中澤佑二に惚れた」、「バーレーン戦といえばこの試合よな」、「痺れたね、玉田」、「まさに「死闘」ってカンジだった!」、「2004の大会は激熱だった」と当時を思い返している。 ベスト8を懸けた一戦は、31日の20時30分にキックオフ。『DAZN』で視聴が可能だ。 <span class="paragraph-title">【動画】当時の記憶が蘇る!2004年大会でのバーレーンとの激闘ハイライト</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>「バーレーンvs日本」<br>過去対戦をプレイバック<br>\<br><br>アジアカップ2004年大会で起きた<br>奇跡の大逆転劇<br><br><a href="https://twitter.com/hashtag/AFC%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#AFCアジアカップ</a> ラウンド16<br>バーレーン×日本<br>1/31(水)20:30(19:45配信開始)<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> 独占配信<br>出演:水沼貴史/小野伸二/佐藤寿人/下田恒幸/桑原学 <a href="https://t.co/x7Sals8iKu">pic.twitter.com/x7Sals8iKu</a></p>— DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1752609401201189348?ref_src=twsrc%5Etfw">January 31, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.01.31 18:45 Wed3
日本代表、南野拓実がケガで離脱…代替選手は決定次第発表
日本サッカー協会(JFA)は4日、MF南野拓実が日本代表から離脱することを発表した。 現在、カタール・ワールドカップ(W杯)に向けたアジア最終予選に臨んでいる日本代表。2日に行われた初戦のオマーン代表戦は、相手のインテンシティの高さに為す術なく敗戦を喫した。 7日にカタールのドーハで行われる中国代表戦に向けて調整中の日本だが、南野はケガのため離脱することが報告された。オマーン戦も左太ももの問題でベンチ入りも出場していなかった。 なお、JFAは追加招集選手に関しては決定次第知らせると伝えている。 今回の活動では、すでにMF板倉滉(シャルケ)とDF酒井宏樹(浦和)が離脱しており、南野で3人目となった。 2021.09.04 15:11 Sat4
「公式がこれは泣けるよ」W杯を終えた日本代表、JFA公開の映像がイナズマイレブンの楽曲含め大反響「4年後も期待」
日本サッカー協会(JFA)の公開したショートムービーに注目が集まっている。 7大会連続7回目となるワールドカップ(W杯)に臨んだサッカー日本代表。カタールではグループステージでドイツ代表、スペイン代表を逆転で下す快挙を達成し、決勝トーナメント進出を決めた。 史上初のベスト8進出を目指した5日のラウンド16では難敵・クロアチア代表と対戦。1-1で120分を終了し、PK戦までもつれ込んだが、残念ながら涙をのむこととなった。 激闘を終えた日本代表。7日にはJFAの公式TikTokアカウントが改めてラウンド16のシーンを振り返る映像を公開すると、これに大きな反響が寄せられた。 「この大会で得た自信も、この大会で流した涙も、夢の力に変える。 たくさんの応援、本当にありがとうございました」 BGMにはイナズマイレブンで使用された楽曲、T-Pistonz+KMCの『GOODキター!』が採用されており、締めくくりの折り鶴と相まって琴線に触れるとの声が相次いだ。 「公式がイナズマイレブンは泣けるのよ」、「4年後もイナズマイレブンの曲使ってくださるの期待してます」、「世代すぎて泣ける」など、選曲への賛辞が送られるとともに、「こんなに熱くなれたのは日本代表のおかげ!感動をありがとう」、「まじ公式ありがとう。日本代表もありがとう!」日本代表への労いのメッセージが多数届いている。 目標としていたベスト8進出とはならなかったが、国内のみならず世界中に大きな感動を与えた日本。4年後こそは新しい景色を期待せずにはいられない。 <span class="paragraph-title">【動画】楽曲含め大きな反響を呼んでいるJFA公開のショートムービー</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="tiktok-embed" cite="https://www.tiktok.com/@jfa_samuraiblue/video/7174331420096138498" data-video-id="7174331420096138498" style="max-width: 605px;min-width: 325px;" > <section> <a target="_blank" title="@jfa_samuraiblue" href="https://www.tiktok.com/@jfa_samuraiblue?refer=embed">@jfa_samuraiblue</a> この大会で得た自信も、この大会で流した涙も、夢の力に変える。 たくさんの応援、本当にありがとうございました。 <a title="サッカー日本代表" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8?refer=embed">#サッカー日本代表</a> <a title="worldcup2022" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/worldcup2022?refer=embed">#worldcup2022</a> <a title="fifaworldcup" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/fifaworldcup?refer=embed">#fifaworldcup</a> <a target="_blank" title="♬ オリジナル楽曲 - サッカー日本代表/JFA" href="https://www.tiktok.com/music/オリジナル楽曲-サッカー日本代表JFA-7174331431253379842?refer=embed">♬ オリジナル楽曲 - サッカー日本代表/JFA</a> </section> </blockquote> <script async src="https://www.tiktok.com/embed.js"></script> 2022.12.08 20:05 Thu5
