U-21代表率いる森保一監督、就任後初の公式戦へ 「頂点を目指す」《AFC U-23選手権》

2017.12.26 18:20 Tue
©超ワールドサッカー
▽日本サッカー協会は(JFA)は26日、来月9日から中国で行われるAFC U-23選手権に臨むU-21同国代表メンバー23名を発表した。

▽同代表監督就任後初の公式戦となる森保一監督は、「良いベースができるように」と述べ、その先に待つ“大舞台"東京オリンピックに向けた下地作りの大会と位置づけつつ、選手の成長と見極めと共に「優勝を目指したい」と意気込んだ。
◆森保一監督(U-21日本代表)
「来年に行われるアジア選手権に向けて、どんな大会でも1試合1試合の勝利にこだわっていく。成果にこだわっていくということで、この大会でも頂点を目指してやっていきたい。また、このアジア選手権は私が監督としてこの12月にタイで行われたM-50カップに続いての大会参加になるが、初の公式戦ということで、AFCでのレギュレーションで、チームとしてもその中でやって成長できればと思っている。2回目の大会活動だが、タイでの大会と違って大幅に選手を変えて参加するということで、この年代の選手を幅広く見ながら、大会でも良い成果を挙げるられるようにできればと考えている」

――今大会における強化方針について。また、FW久保建英(FC東京)の選外理由について
「内山(篤)監督が率いたU-20ワールドカップのメンバーを多く招集させてもらえることになった。タイの選手と違ったメンバー、この年代では世界大会を経験した選手が多く来てくれるということで、その選手たちがどういうパフォーマンスを見せてくれるのか、そして、これからのポテンシャルをどう見せてくれるか、というところをチーム全体で見ていきたい」

「私がやろうとするコンセプトという意味でも、チームとして浸透させていく、少しでも多くの選手に分かってもらうという意味で、多くのメンバーを変えてこの大会に臨んでいる。練習やミーティングで落とし込みができるように、コミュニケーションを取りながら言葉で伝えていくということを1人でも多くの選手にわかってもらえるように、また次のステップに向かって良いベースができるようにしていきたい」
「選手の招集についてだが、私と西野(朗技術委員長)さん、日本サッカー協会と各クラブの話の中で、まず『プレーヤーズ・ファースト』という観点から(決めた)。どの選手もハードワークをしているが、1年間の出場時間が長かったり、色々なカテゴリーでプレーして心身共に疲労しているだろうと思われる選手は、来てもらって見たいというのはもちろんあるが、『プレーヤーズ・ファースト』ということで、少し休んでもらって、また新たな機会で見させてもらう、ということをした方が良いだろうということでクラブとも調整して招集していない。そこは久保だけではなく、何人かの選手はそういった観点から招集をしないということはある」

――タイ遠征に続き招集された選手について
「まずはパフォーマンスが良かったということ。他にもポテンシャルを見せてくれた選手、まだまだ伸びるだろうなという選手はいるので、もっと連れていってあげたいとは思う。中国でのアジア選手権では違う選手も見ながらチーム作りをしていこうということで、今回は6人の選手に、パフォーマンスとポジション的なバランスも見ながら、継続して来てもらうことになった」

――最初の公式戦ということで、戦い方として変化は。また、MF登録の選手が多い理由について
「公式戦での戦い方にタイとの違いがあるかとのことですが、違いはない。公式戦であろうと、違う大会だろうと、色々な試し方とかポイントが違うことはあると思うが、全て勝負にこだわっていくことは練習試合でも公式戦でも常に考えていきたいし、選手やスタッフにも勝ちにこだわることは求めていきたい。今回のアジア選手権だからという特別なことはなく、ベストを尽くしてやっていくことに変わりはない」

「もう1つの質問ですが、MFが確かに多い。選手には複数のポジションをやってもらおうと思っていて、FWの選手の中盤をやってもらったり、中盤の選手は守備に回ってもらうなど、複数のポジションをやってもらいたいと思っている。ポジションは中盤の選手を多く集めたわけではない」

「今後の招集に当たっても、前回のタイでの大会のときにも、選手には複数のポジションをやってもらうと伝えている。今回もそうだが、フィールド20人、GK3人で最大6試合をやっていく。五輪を見据えても、中2日で18名でMAX6試合を戦わなければいけない。その中で、GKは別だが、1人が1つのポジションしかできないと、ケガや疲労などコンディションの部分でチームとして機能しなくなる」

「機能不全をなくすためにも、選手には複数のポジションをこなしてもらい、ケガ人やコンディション不良の選手がいてもチームとしての力、機能は落とさずに、様々なオプションを持ってやってもらえるようにしていきたい。私自身はあまり深くポジションは気にしていない。今後、練習を見て、ある程度ポジションは分けていくとは思う」

――年齢的に年上の相手との大会になる。今大会の目標について
「前回(大会)よりも高いところにということはやっていきたいとは思うけど、全部の試合をこなして決勝までいって、優勝を目指したい。相手は2歳年上のメンバーを中心に編成してくるチームが大半だが、そこのチームとマッチアップしたときに、同等の試合をしてもらえると思って招集しているので、年はあまり気にしていない」

「この12月のタイでの大会でも、対戦相手はU-22のチームがほとんどだったが、その中でも選手には相手はカテゴリーが上だとかは一切言わずにやってきた。世界を見据えて彼らの成長を考えたときに、この年代では2つ上の選手と対等に戦えなければいけないと思ってやっている。年上のメンバーにも勝ってやるという強い気持ちで臨んでほしい」

――ステップアップのイメージについて
「まずは、個の力を上げてもらえるように選手には働き掛けていきたい。そこに向けて、私を含めてスタッフもサポートしていくということ。プラスして、組織で戦うんだということは練習でもミーティングなどで言葉で伝えるという部分でも選手に働きかけていきたい。大枠はみんなで力を合わせていくという部分。個の強さも求めるが、組織としてやっていくということを同時に練習で伝えていきたい」

「サッカーの攻撃には、速攻も遅効もある。守備もボールを奪いにいく守備と相手にやらせない守備、そういうところも含めて全員でバランスを持って攻撃し、全員で守備をしていくことを練習でもやっていきたい」

――メンバーを見ると、天皇杯決勝に残っているメンバーもいる。そのあたりについて
「選手の招集についてはリストアップをさせていただいて、後は協会の方と西野さんにクラブの方とコミュニケーションを取っていただいて招集させていただいた。天皇杯決勝まで行って休む機会もないと思うが、それも含めて上の方にお任せしているので、今回来てくれるということで、本人の意思とクラブが派遣してくださるということなので感謝したい」

――所属クラブだと1つのポジションで練習する選手も多い。この期間でどのような練習を求め、またクラブにそのような話はしているのか
「複数のポジションと言ったが、そこは言葉の1人歩きをしてほしくないなと思う。まずは選手は日常クラブで練習して、代表に来てプレーしてもらうということ。代表でも短い活動期間の中で成長していくし、働きかけていきたい。クラブに戻ったときに、選手をクラブの財産として、少しでも価値を高めようと働きかけていると思うで、それを代表でも生かして、クラブに戻ってもらいたい」

「代表とは違うポジションと言われたが、そういうケースもあるかと思う。複数のポジションをやることについては、“何でも屋"になるわけではなくて、まずは選手のスペシャルな部分、特長を生かして伸ばしていくというのはクラブの皆さんが考えていることと同じ。まずはスペシャルなものを磨いてもらう。プラス、違うことができれば本人のさらなる成長に繋がるのではないかと。最初からFWもできて、DFもできてではなく、攻撃に特長がある選手であればそこをしっかりと見て伸ばしていってあげたい。そこにプラスアルファのことができるように、選手を見て伝えていきたい」

――昨年のU-20ワールドカップを取材に行き、日本の選手はプレーもうまく、指導者の言うことを聞く良い選手が多かった。ただ、リーダーシップを取れる選手がいなかった。現時点でキャプテンは
「キャプテンを誰にするかは、現時点で考えていない。練習を見て決めたい。リーダーシップを取れる選手は、決めて出てくるものではない。自然とグループの中にいて、リーダーシップを取っている選手が見えてくる。元々持っているもので、性格的にリーダーとしてずっとやってきたという選手は自然に見えてくると思うので、見極めていきたい」

「U-20ワールドカップでリーダーシップのある選手が見えなかったということだが、そこは選手のキャラクターも色々ある。ただ、どの選手も世界の高みを目指すという胸に期する思いは間違いなくある。その思いを見ていきたい」
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2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック。日本でも緊急事態宣言が出されて外出ができなくなったほか、世界中でロックダウンとして街が静まりかえる現象が発生した。 あれから4年。すっかり世の中は元に戻っているが、その影響を諸に受けたのがパリ五輪世代。世代別のワールドカップを含む国際大会がなくなり、その経験値の低さは、大きな不安材料として彼らにのしかかった。 そんな中迎えたAFC U23アジアカップ。パリ・オリンピックの最終予選を兼ねた大会だったが、これもコロナの影響を受けて開催時期が変更となり、1月から4月へズレ込むことに。そして、海外組の招集が非常に困難な事態となった。 もちろん、日本だけが受けた影響ではない。難しい世代だったが、日本は見事に優勝という結果を残し、パリ・オリンピックにアジア王者として乗り込むこととなった。 そのU-23日本代表は4日に帰国。国内組の選手のみが帰ってきたが、今大会で評価を大きく上げた選手は複数いる。その中の1人がFW平河悠(FC町田ゼルビア)だろう。 佐賀東高校出身の平河は、高校時代はほとんど知られない存在。3年次のインターハイで注目されて山梨学院大学へと進学したが、東京都大学1部リーグと、大学サッカーでは3階層目のリーグでプレーしていた。 「あの時から考えたら本当に想像もできなかったことが起きていますけど、やり続ける努力とか、若さ特有の伸びだったりというのは、自分が思っているよりも上にいくんだなと思うことがありました」 「その自信を過信にすることなく、これから地に足つけて、一歩一歩あげていければ、自分の最終的な目標にも辿り着けると思います」 それまで世代別の代表経験もなかった平河だが、町田が目をつけ3年次に加入内定。特別指定選手としてJリーグデビューを果たし、2023年にはプロ1年目でチームのJ1昇格に貢献した。その2023年6月には、この世代で初の代表招集となった平河だが、今大会では全6試合に出場。両サイドで攻撃のアクセントをつける存在感を見せた。 「6試合の中で3試合先発で3試合途中出場で、全ての試合に関わらせてもらいましたけど、波なく全ての試合で自分のパフォーマンスは出せていたと思いますし、通用する部分もたくさんあった中で、数字をつけるところの重要性も感じています」 「そこが今の自分の一番の課題だと思うので、自チームに持ち帰って、すぐにJリーグ始まりますけど、そこでスタメン争いをして、チームで勝って、課題を克服できればと思います」 細かいステップと緩急をつけた仕掛けは、相手のサイドバックを翻弄。ゴールやアシストこそ記録できなかったが、間違いなく攻撃の流れを変えた存在だった。 パリ・オリンピック世代ではサイドは激戦区。今回招集できなかったメンバーでは、MF斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)がおり、MF三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)やMF鈴木唯人(ブレンビー)らもプレーするポジション。今大会メンバーではMF佐藤恵允(ブレーメン)とポジションを争い、いずれも海外でプレーする選手たちだ。 無名の存在から、着実にステップアップを果たしている平河。今シーズンはJ1でもデビューを果たし、初ゴールも記録。そしてアジア王者にも輝く経験をした。 平河は今大会での成長を自身でも感じるとコメント。「この活動で、対戦相手ではなくチームメイトからもかなり刺激を受けましたし、試合を重ねていくごとに成長するところだったり、逆に出場機会が得られない選手もいる中で、1つの方向を向くことも難しい中でもみんなが100%の力を出して良い準備をしたことが、この結果に繋がったと思います。「23人」という言葉を大会通して監督、スタッフ、選手がよく使っていましたけど、一体感を持ってやれた結果が繋がったと思いますし、このチームメイトで受けた刺激というのも、負けていられないなという方が強く感じました」と語り、チーム一丸となりながらも、その中での競争や切磋琢磨することを肌で感じられたようだ。 その存在感は、観ている人たちも魅了。メッセージも大量に届いたと言い「一番はおめでとうとか、気をつけてとか、体を休めてねというのはたくさん来ました」と、労いのコメントや、パリ・オリンピック出場を決めた祝福のコメントが来たようだ。 ただ、ここにも実直な平河らしさが。よくある話では通知が溜まりすぎているというものがあるが「溜めるのが好きじゃないので、全部返しました」と、1つずつ対応は済ませているという。着実に目の前のことをやっていくスタンスは、ピッチ外でも変わらない。 着実に1段ずつ階段を上がっている平河。次なる階段は、18名という狭き門の本大会メンバーに残ることだ。オーバーエイジ枠も3名まで使用可能というルールの中、仮に3名とも呼ぶのであれば、枠は15名に。通常GKを2名招集するため、13名の枠を争うこととなる。 今大会に臨んだメンバーで考えても10名が落選。今大会招集されていない選手も候補になる状況を考えれば、さらに減る可能性がある中で、ポジションを掴まなければいけない。 その点で平河が考える課題は「数字」。「やっぱりゴール前の質、落ち着くところなど個人戦術になりますけど、自分の良さを出しつつ、そこで数字を残せればより怖い選手になると思いますし、より一個上のレベルに立てると思います」とコメント。「他の選手や前線の選手は数字がついてきている選手もいますし、自分もそこには負けない武器を持たないといけないなと思います」と、数字を求めつつも、より自分の武器を身につけていきたいと考えているようだ。 その武器の1つは「仕掛け」。局面を打開するプレーは、先発でもベンチからでも貴重な存在となり、今大会も6試合で起用された理由はそこにあるはずだ。 「ドリブルは1つの武器だと思いますし、今大会で言えば、ドリブルで優位性を持つ選手が少ない分、自分が違いを作れたなと考えています」 「逆に、そういう選手が絡んでくるのであれば、違う武器を違う形で出せば良いと思うので、やることは変わらないと思います」 自分の武器を1つに絞らず、複数持つことでより価値を高めていきたい平河。成り上がりの選手がどこまで上り詰めていくのか、まずは町田でさらに磨きのかかった仕掛けでJリーグでの活躍を見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2024.05.05 22:25 Sun

「金髪で有言実行」。辛口のセルジオ越後氏から太鼓判を押された右SB関根大輝の可能性【新しい景色へ導く期待の選手/vol.40】

「欧州組招集が叶わない」「タレント的に小粒」「コロナ禍の影響で国際経験が少ない」といった数々の懸念材料があり、2024年パリ五輪出場が危ぶまれていた大岩剛監督率いるU-23日本代表。しかしながら、ふたを開けてみれば、8大会連続切符獲得に加え、AFC U-23アジアカップ(カタール)制覇という大きな成果を挙げたのだ。 キャプテン・藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)がMVPを受賞し、エース・細谷真大(柏レイソル)も重要な準々決勝・カタール戦と準決勝・イラク戦でゴールを挙げる中、大会通して評価をグングン上げたのが、右サイドバックの関根大輝(柏レイソル)だ。 187センチの大型サイドバック(SB)は2023年アジア大会(杭州)から頭角を現し、最終予選メンバーに滑り込んだ選手。それが韓国戦を除く5試合に先発し、定位置を奪取して不可欠な存在へと飛躍を遂げたのだから、本人も周囲も驚きを禁じ得なかっただろう。 「大会前に金髪にして、『この髪と同じメダルを取る』とメディアのみなさんの前で言ったんで、しっかり有言実行できてよかったです」と4日の帰国直後に彼は満面の笑みをのぞかせた。 とはいえ、5月3日のファイナル・ウズベキスタン戦ではヒヤリとするシーンもあった。山田楓喜(東京V)の一撃で1点をリードした後半ロスタイム。背番号4はゴール前でクロスに競った場面でボールが手に当たり、VAR判定の末にPKを献上してしまったのだ。 「映像を見られた時は『ヤバいかな』と思って。でも当たった瞬間は分からなくて、自分も大丈夫だと思ってプレーを続けていたんですけどね…。PKになった時はもう『止めてくれ』と。玲央君(小久保玲央ブライアン)に助けてもらって本当によかったなと。試合中もサッカー以外のところでもすごくコミュニケーションを取ってくれたし、最後に救ってもらって感謝です」と本人は九死に一生を得た心境だったという。 今大会の活躍で、パリ五輪参戦が確実視される立場になった関根。1年前にA代表招集された半田陸(ガンバ大阪)や欧州組の内野貴史(デュッセルドルフ)をごぼう抜きしていく様子を目の当たりにした関係者からは「A代表に入れていい」という声も高まっている。 その筆頭が辛口批評で知られるセルジオ越後氏だ。いつも苦言を呈するベテラン解説者が素直にポテンシャルを認めるのはかなり珍しい。これを受け、本人は「そう言ってもらえているのは知らなかった。本当に有難いですけど、自分としてまだまだだと思います」と謙虚な姿勢を崩さなかった。 関根がそう感じるのも、大会前のJリーグで対峙した毎熊晟矢(C大阪)の一挙手一投足を間近で体感したからだ。 「毎熊選手と対戦して、やっぱすごくうまいし、全然レベルがまだ違うなと感じた。そういう意味でも自分はまだまだ。もっと課題を克服して、ゴールアシストっていう結果を出さないとA代表には辿り着けないですよね」 「特に課題を挙げると、クロス対応の守備。攻撃で良い手応えをつかめたからこそ、守備の部分、1対1のアジリティを含めてもっと突き詰めていく必要があるんです」 「Jリーグの舞台ではこれまで何となくごまかせた部分はあったけど、緊迫した戦いになると1個のプレーで勝負が決まってしまうことを痛感したんです」 「逆に、そういうところを突き詰めれば、上に行けるという感覚は持てた。そこをレイソルで真剣に取り組んでいきたいと思います」と彼は神妙な面持ちでコメントした。 幸いにして、柏の指揮官はかつて「アジアの壁」と言われた井原正巳監督。大谷秀和・染谷悠太両コーチらも勝負の明暗を分ける守備には厳しいはずだ。関根はまだ拓殖大学在学中だが、3年でサッカー部を退部して、今年からプロの道を踏み出したことで、より大きく成長できる環境を手に入れたのは確か。そのアドバンテージを最大限生かして、高みを追い求めていくことが肝要なのだ。 そうすれば、本当に多くの関係者が求めているA代表昇格も現実になるだろう。関根のような187センチの長身の右SBというのはなかなか出てこない。酒井宏樹(浦和レッズ)が第一線から退いている状態の今、こういう人材が出てきてくれれば、パワープレー対策を考えても日本の大きな強みになる。しかも、関根はリスタートから点も取れる。数々のストロングを生かさなければもったいないのだ。 近い将来、A代表で毎熊や菅原由勢(AZ)、橋岡大樹(ルートン・タウン)ら年長者たちと堂々とポジション争いを繰り広げるためにも、まずは柏で確実な進化を遂げ、パリ五輪で存在感を示すことが重要だ。 「パリ五輪まで金髪は継続します」と彼は茶目っ気たっぷりに笑ったが、本大会でも髪色と同じメダルを取れれば最高のシナリオだ。関根にはその火付け役になってほしいものである。 <hr>【文・元川悦子】<br/><div id="cws_ad">長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2024.05.05 20:30 Sun
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