【日本サッカー見聞録】次期JFA会長候補がシンポジウムで討論
2016.01.22 13:30 Fri
▽JFA(日本サッカー協会)は1月21日の理事会で、3月で任期の切れる大仁会長に代わるJFA会長の候補者として、田嶋JFA副会長と原JFA専務理事の2人を告示。これにより両氏は1月31日の評議員75名の投票による選挙まで、10日間の選挙活動を行うことが可能になった。
▽そして21日の19時からは朝日新聞社内のホールで、立候補した両氏に加え、ゲストとしてJFA特任理事の北澤氏、サッカージャーナリストの大住氏を招いてのシンポジウムが行われた。
▽サッカー界はもちろん、日本のスポーツ界にとっても初となる選挙による会長選び。田嶋、原の両氏だけでなくゲストもオープンな選挙制度の導入を賛成した。その上で田嶋、原氏は持論を展開したが、両氏とも技術委員長を経て専務理事になった経緯もあり、論点に大きな隔たりはなかった。
▽そこで両氏の意見で食い違いがあったのは、育成とJリーグのシーズン移行の2点だった。
▽原氏は「U-20の年代が負けているのはJクラブで出場機会がないから。そのために移籍のルールを緩和したり、U-22チームを作ったりしてJ3に加えた。選手の育成は所属クラブでやるべき。いま行われているU-23日本のアジア最終予選で感じるのは、日本は18歳からの伸びが他国と比べて遅いこと。やっと23歳になって伸びてくる。日本はあと2年くらい成長を早めないといけない」と指摘した。
▽選手の育成は所属クラブでという原氏は、今後に必要なこととして代表スタッフとJクラブのスタッフの交流を指摘。両者が試合だけでなく練習も視察して意見交換することが代表とクラブのレベルアップにつながると期待しつつ、「長友も武藤も長谷部もアンダーカテゴリーで代表には入っていない。クラブや大学から代表選手が出てきたのも日本の良さ。いろんな所から、いろんな選手が出て来るのが日本の良さ」とエリート教育には否定的な考えを示した。
▽ここでゲストの大住氏が田嶋氏に対し、「JFAアカデミーは創設して10年が経つが、一人も代表選手が生まれていない。これについてどう思う」と急所を突く質問をした。JFAアカデミーはJFAがサッカーエリート養成機関として2006年に福島県のJヴィレッジに創設。中校一貫教育の6年間で、学費と寮費以外のサッカーに関わる活動の費用はすべてJFAが負担している。
▽アカデミー創設者でもある田嶋氏は、「Jリーガーはいるが、代表選手がいないのは認識している。女子はともかく男子はスーパーな選手がいないので、しっかりした立て直しをしないといけない」と話すにとどめた。
▽今回はこれまでにして、シーズン移行のディスカッションは次回で紹介したい。そして両氏のマニフェストはJFAのHPの「JFA」のサイト内にある「役員の選任および会長の選定について」の項目の「会長候補者」に活動書類としてPDFで添付されている。サッカーファンが両氏の主張を読んで、会長選挙に興味を持っていただけるだけでも、今回の選挙は意味があると思う。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽そして21日の19時からは朝日新聞社内のホールで、立候補した両氏に加え、ゲストとしてJFA特任理事の北澤氏、サッカージャーナリストの大住氏を招いてのシンポジウムが行われた。
▽そこで両氏の意見で食い違いがあったのは、育成とJリーグのシーズン移行の2点だった。
▽原氏は「U-20の年代が負けているのはJクラブで出場機会がないから。そのために移籍のルールを緩和したり、U-22チームを作ったりしてJ3に加えた。選手の育成は所属クラブでやるべき。いま行われているU-23日本のアジア最終予選で感じるのは、日本は18歳からの伸びが他国と比べて遅いこと。やっと23歳になって伸びてくる。日本はあと2年くらい成長を早めないといけない」と指摘した。
▽これに対しアジア最終予選で団長を務める田嶋氏は、「U-23日本は大会で4本の指に入るチーム。選手は伸びている実感がある。今のチームは10年、15年前に蒔いた種が実っている」と話し、「本田、香川、大迫、内田は高校を出てJ1でプレーして伸び、海外に出ている。Jクラブだけではお山の大将になって頭打ちになるだろう。クラブの底上げも必要だが、エリート教育も必要」と反論した。
▽選手の育成は所属クラブでという原氏は、今後に必要なこととして代表スタッフとJクラブのスタッフの交流を指摘。両者が試合だけでなく練習も視察して意見交換することが代表とクラブのレベルアップにつながると期待しつつ、「長友も武藤も長谷部もアンダーカテゴリーで代表には入っていない。クラブや大学から代表選手が出てきたのも日本の良さ。いろんな所から、いろんな選手が出て来るのが日本の良さ」とエリート教育には否定的な考えを示した。
▽ここでゲストの大住氏が田嶋氏に対し、「JFAアカデミーは創設して10年が経つが、一人も代表選手が生まれていない。これについてどう思う」と急所を突く質問をした。JFAアカデミーはJFAがサッカーエリート養成機関として2006年に福島県のJヴィレッジに創設。中校一貫教育の6年間で、学費と寮費以外のサッカーに関わる活動の費用はすべてJFAが負担している。
▽アカデミー創設者でもある田嶋氏は、「Jリーガーはいるが、代表選手がいないのは認識している。女子はともかく男子はスーパーな選手がいないので、しっかりした立て直しをしないといけない」と話すにとどめた。
▽今回はこれまでにして、シーズン移行のディスカッションは次回で紹介したい。そして両氏のマニフェストはJFAのHPの「JFA」のサイト内にある「役員の選任および会長の選定について」の項目の「会長候補者」に活動書類としてPDFで添付されている。サッカーファンが両氏の主張を読んで、会長選挙に興味を持っていただけるだけでも、今回の選挙は意味があると思う。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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