超ワールドサッカー

【コラム】なでしこを混乱させたセットプレーに集約されたアメリカの意地2015.07.07 00:22 Tue

twitterfacebookhatenalinegplus
▽悪夢の16分間──こんな展開を誰が予想していただろうか。日本人はおろか、アメリカ人でさえ、ここまでの展開は予測していなかったと思う。連覇を目指したなでしこジャパンにとって、立ち上がりの16分間で喫した失点は最後まで重くのしかかってしまった。

▽4大会ぶりのワールドカップ(W杯)優勝、そして日本へのリベンジに意気込むアメリカは立ち上がりから圧力をかける。キックオフから3分、右サイドで得たCKから、ロイドが決めてアメリカが先制点を奪った。さらに5分には右サイドでFKを得ると、ルーズボールを再びロイドが押し込んだ。

▽立ち上がりに同じような形から立て続けに失点を喫したなでしこ。時間帯だけを見れば、試合の入り方を間違ったと思われても仕方がない。ただ、この2失点に関しては、サインプレーを仕掛けたアメリカが一枚も二枚も上手だったように思える。
Getty Images
▽当然の如く、なでしこはアメリカのセットプレーには警戒していた。しかし、それは得点に繋がったグラウンダーのボールではなく、ハイボール──フィジカルで勝るアメリカを相手にどのように守るのかを用意していたはずだ。もちろん、頭の中に低いボールが無かった訳ではないだろう。しかし、意識の端にあったサインプレーに一瞬足が止まり、ゴール前に入ったグラウンダーのボールを後方から猛然と走り込んだロイドに合わされてしまった。

▽なでしこは、5分に訪れたFKの場面でも同様の形から失点を喫する。ボックス右にホリデーが低いボールを入れると、壁の横を抜けたボールをニアでジョンストンがヒールで流し、最後はフリーになっていたロイドが押し込んだ。
Getty Images
▽このFKも、位置を考えると単純なクロスボールを想定したように思える。しかし、ニアにグラウンダーのボールが入ったことで虚を突かれ、空いたスペースをロイドに狙われてしまった。アメリカの選手の動きは、最初からグラウンダーのボールを想定したものであり、上手く抜けたボールを簡単に押し込めたのも準備の賜物だと言える。味方を信じて走り込んだロイドの動きは、全て想定されていたものだった。

▽キックオフからの猛然と圧力をかけ、最初のチャンスで意表をついたサインプレーを仕掛けゴールを奪い切り、その後も立て続けに3得点を奪ったアメリカ。4年前のW杯決勝でなでしこに敗れた悔しさが、なでしこにとって悪夢のような、アメリカにとって夢のような16分間を生み出したのかもしれない。しかし、その裏には緻密に計画された準備があり、それを選手たちが体現した。

▽今大会を通じて格の違いを見せ付けていた最大のライバル・アメリカは、最後まで一枚も二枚も上手だったと認めざるを得ない。16年ぶりに頂点に立ったアメリカ…なでしこは4年後のフランス大会でリベンジを果たすべく、新たなスタートを切る。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

コメント

関連ニュース

thumb

菅澤弾で先制も逃げ切り失敗のなでしこがベルギーとドロー! 欧州遠征を1勝1分けで終える《オランダ・ベルギー遠征》

▽なでしこジャパン(日本女子代表)は13日、スタジアム・デン・ドリーフ・ルーヴェンで行われた国際親善試合でベルギー女子代表と対戦し、1-1のドローに終わった。 ▽オランダ・ベルギー遠征の初戦となったオランダ戦を1-0で勝利したなでしこは、その試合から中3日で行われるこの試合でベルギーと対戦。オランダ戦からは先発6人を変更。GKには山根が入り、高倉体制初採用となった3バックには熊谷、高木、市瀬。中盤はボランチに阪口と中里、2列目に杉田、長谷川、中島、2トップに横山と田中が並んだ。 ▽立ち上がりからボールを保持して相手を押し込むなでしこは8分、熊谷からのロングフィードをボックス左に飛び出した阪口が頭で落とす。これを中央で拾った横山が右足を振り抜くが、この強烈なシュートはクロスバーを叩く。さらに11分には右CKの流れからボックス左の阪口が胸トラップから右足のシュートを放つが、これはわずかに枠の左に外れた。 ▽その後も主導権を握るなでしこは、トップ下の長谷川を起点に田中と横山の2トップが積極的に仕掛けるが、なかなか決定機まで持ち込めない。逆に、30分にはロングボールに抜け出したケイマンにボックス内で一対一を作られるが、ここはGK山根の勇敢な飛び出しで凌ぐ。その後は横山の直接FK、中島の強烈なミドルシュートでゴールに迫ったなでしこだったが、前半はゴールレスで終了した。 ▽迎えた後半、市瀬、田中、杉田を下げて鮫島、菅澤、佐々木をハーフタイム明けに投入したなでしこは、システムを[4-4-2]に変更。この交代で鮫島が左サイドバック、中島が右サイドバックに入った。 ▽後半に入って相手の圧力に苦戦するなでしこは55分、バックパスの処理をもたついたGK山根のキックミスからボックス内のケイマンに決定機を許すが、これは相手のシュートミスに救われる。 ▽時間の経過と共に押し返すなでしこは、前線で身体を張る菅澤がチャンスに絡み出す。さらに67分に横山を下げて籾木を投入すると、この直後に相手のミスから先制点が生まれる。相手陣内左サイドで得たFKの場面でキッカーの籾木がクロスを入れると、ニアで相手DFがクリアし損ねたボールをゴール前の菅澤が冷静に蹴り込んだ。 ▽菅澤のゴールで均衡を破ったなでしこだったが、先制からわずか4分後に追いつかれる。72分、相手のロングフィードから右サイドで味方の落としを受けたケイマンに高精度のクロスを入れられると、DF中島の背後を取ったエルケ・ファン・ホルプに頭で流し込まれた。 ▽その後、大矢と猶本を投入して最後まで勝ち越しゴールを目指すなでしこだが、疲労の影響か、相手のスピードとフィジカルに苦戦。それでも、試合終了間際に迎えたボックス内でのピンチをGK山根の好守などで何とか凌ぎ、試合は1-1でタイムアップ。欧州遠征2連勝を逃したなでしこだったが、多くの収穫を得て日本に帰国することになった。 2017.06.14 05:00 Wed
twitterfacebook
thumb

なでしこジャパンからGK池田咲紀子とMF宇津木瑠美が負傷離脱《オランダ・ベルギー遠征》

▽日本サッカー協会は11日、オランダ・ベルギーに遠征しているなでしこジャパンからGK池田咲紀子(浦和レッズレディース)、MF宇津木瑠美(シアトル・レインFC/アメリカ)が負傷離脱することを発表した。 ▽オランダ・ベルギー遠征を実施中のなでしこジャパンは9日、オランダ女子代表に1-0の勝利。13日にはベルギー女子代表との国際親善試合に臨む。なお、池田と宇津木に代わる選手の招集はない。 2017.06.11 16:45 Sun
twitterfacebook
thumb

途中出場のエースFW横山の豪快弾でなでしこがオランダに勝利!《オランダ・ベルギー遠征》

▽なでしこジャパン(日本女子代表)は9日、ラト・フェルレーフ・スタディオンで行われた国際親善試合でオランダ女子代表と対戦し、1-0で勝利した。 ▽オランダ・ベルギー遠征中のなでしこは、欧州予選初戦で女子ユーロ2017開催国であるオランダと対戦した。高倉監督は、今年3月に行われたアルガルベカップで敗れたオランダ撃破に向けて、これまでの主力と新戦力を織り交ぜたメンバー構成を採用。ウォーミングアップ中に負傷したGK池田に代えてGK山下が急遽ゴール先発に入り、最終ラインは右から大矢、熊谷、市瀬、鮫島。中盤は右から籾木、阪口、猶本、中島。2トップには菅澤と田中という並びとなった。 ▽開始4分、猶本のスルーパスに抜け出した中島がボックス内でいきなり決定機を迎えるが、ここは戻った相手DFに対応され、早々の先制点とはならず。さらに、相手の背後を積極的に狙うなでしこは、14分にフィードに抜けだした籾木がボックス左でループシュートを狙うが、これはわずかにクロスバーの上を越えた。 ▽序盤の決定機を逸したなでしこは、15分に右サイドを突破したファン・デ・サンデンからパスを受けたミエデマに左足の強烈なシュートを浴びるが、枠の右隅を捉えたシュートはGK山下の好守で凌ぐ。その後は前線のスピードを活かした相手のシンプルなサイドアタックや、セットプレーに手を焼くが、粘り強い対応で決定機は許さない。 ▽前半30分を過ぎて攻勢を強めるなでしこは、鮫島のミドルシュートやボックス内での阪口、田中の立て続けのシュートでゴールに迫る。さらに背後を狙う菅澤に幾つか決定機が訪れるが、いずれもオフサイドにかかり、前半のうちにゴールを奪うことができない。それでも、前半終了間際にミエデマに許したミドルシュートをGK山下が冷静に防ぎ、無失点で前半を終えた。 ▽互いに選手交代なしで迎えた後半、最初のチャンスはなでしこに訪れる。50分、右CKの場面で中島のクロスに反応した菅澤がニアに飛び込んでヘディングシュートを放つが、これは枠の右に外れる。 ▽攻勢を強めたい高倉監督は59分、猶本と菅澤を下げて中里と切り札のエースFW横山を同時投入。すると62分、そのエースがいきなり魅せる。バイタルエリア中央で阪口から縦パスを受けた横山が鋭い反転で前を向いて右足を一閃。強烈なミドルシュートがゴール右上隅に突き刺さった。 ▽横山のゴールで先制に成功したなでしこは、直後の65分にも中島のスルーパスに抜け出した田中に決定機が生まれるなど、畳みかける攻めを見せる。その後、69分に中島を下げて長谷川を投入したチームだが、71分にこの試合最大のピンチが訪れる。右サイドをえぐったファン・デ・サンデンにグラウンダーのクロスを許すと、これをニアに飛び込んだマルテンスにフリーで合わせられる。だが、この至近距離からのシュートをGK山下が圧巻の反応で枠外に弾き出す、見事なビッグセーブで凌いだ。 ▽試合終盤にかけて籾木と負傷した市瀬に代えて、隅田、高木を投入して逃げ切りを図るなでしこは、猛攻に出るオランダに押し込まれる展開となる。だが、相手の決定機をDF大矢の決死のブロックなどで最後まで凌ぎ切って、1-0の勝利。アルガルベカップで敗れたオランダ相手にリベンジを果たしたなでしこが、オランダ・ベルギー遠征の初陣を勝利で飾った。なお、ベルギー女子代表との試合は13日に行われる。 2017.06.10 03:28 Sat
twitterfacebook
thumb

なでしこジャパンが10月にスイス女子代表と対戦…長野Uスタジアムで開催

▽日本サッカー協会(JFA)は6日、なでしこジャパンが10月22日にスイス女子代表と対戦することを発表した。 ▽10月に開催が予定されていたMS&ADカップ2017だったが、対戦相手がスイス女子代表に決定。試合は10月22日(日)に長野県の長野Uスタジアムで行われる。 ▽スイス女子代表とは過去に1度対戦しており、2015年6月8日にFIFA女子ワールドカップカナダのグループステージで対戦しており、宮間あやのゴールで1-0と勝利していた。今回の対戦決定について、高倉麻子監督がコメントしている。 「スイスは2015年のワールドカップで対戦した際、とても良いサッカーをしていて、成長著しいチームという印象です。なでしこジャパンも今年、さまざまなチームと対戦して試合を積み上げてきている中で、お互いがベストを尽くし、全員でアグレッシブに戦って、自分たちの成長している姿を長野の皆さんにお見せできるようにしたいと思います」 2017.06.07 11:20 Wed
twitterfacebook
thumb

なでしこDF熊谷紗希が2年連続の女子CL制覇! リヨンは2年連続の3冠達成!《女子CL》

▽なでしこジャパンのDF熊谷紗希が2年連続でヨーロッパの頂点に立った。熊谷が所属するリヨンは1日、女子のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でパリ・サンジェルマンと対戦。0-0で120分間を終了し、迎えたPK戦を7-6で制し。クラブ史上4度目のヨーロッパ女王の座に輝いた。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20170602_3_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽フランス勢同士の対戦となった決勝で、熊谷は守備的MFとして先発出場。そのリヨンは12分、右サイドを仕掛けると、ル・ソマーのクロスを相手がクリアミス。ヘゲルベリが詰めるも、DFが何とかブロックする。 ▽さらにリヨンは、23分にアメリカ代表FWアレックス・モーガンが負傷交代するアクシデントに見舞われる。すると徐々にPSGが盛り返すも、GKブアディの活躍もあり、ゴールレスで前半を終える。 ▽後半に入ってもリヨンは決定機。52分、ボックス内でフリーになったヘゲルベリがシュート。GKに防がれるも、こぼれ球を再び蹴り込むが枠を外す。PSGは63分にビッグチャンス。スルーパスに反応したデリエがボックス中央でフリーに。丁寧に右隅を狙って流し込もうとするも、枠をわずかに外す。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20170602_3_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽ゴールレスのまま迎えた延長でも、互いにゴールを奪うことができずPK戦に突入。互いに1人ずつが失敗し迎えた5人目を任された熊谷はしっかりと決めて役割を果たした。結局8本目に突入しPSGはGKキエドジネクが失敗。リヨンはGKブアディがしっかりと沈め、7-6で制して4度目の女子CL制覇を達成した。リヨンはフランスリーグで11連覇、国内カップ戦を6連覇しており、2年連続での3冠を達成した。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20170602_3_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2017.06.02 13:20 Fri
twitterfacebook


コンフェデ杯
欧州移籍情報
Jリーグ移籍情報
hikari

アクセスランキング

新着ニュース