名波氏が大胆予想 本田ボランチのメリットは「面白いアイディアがアタッキングエリアで出てくる」

2014.05.18 12:30 Sun
▽17日に東京ミッドタウンで「夢を力に2014 日本代表戦応援イベント」が開催され、98年フランス・ワールドカップ(W杯)に選手として出場した名波浩氏がトークッセションに出席。間近に控えた2014年ブラジルW杯と、決戦に臨む日本代表について自身の見解を述べた。フランスW杯で背番号10を背負って戦った名波氏は、今回の日本代表に「攻撃的な姿勢を貫いてほしい」と要求。選手起用に関しても、大久保(嘉人)のワントップや香川(真司)のトップ下、本田(圭佑)のボランチなど、自身の考える攻撃的な選手起用を明かした。また、日本の入ったCグループを「組織がまず先行している4カ国」と分析し、「1勝2分、勝ち点5で2位で通過。(決勝トーナメント1回戦で)グループD1位のイタリアと対戦する」と日本のグループリーグ突破を予想した。

▽本イベントは、六本木の東京ミッドタウンにて18日(11時~19時)まで開催。サッカー関係の著名人を招いたトークセッションや、アルベルト・ザッケローニ監督のリアルマネキンの展示など、各種イベントが行われる。名波氏のコメントは以下の通り。

──早速ですが、23名の代表メンバーに対する印象を
「サプライズというほどのサプライズはなかったと思います。(アルベルト・)ザッケローニ監督のコメントの中で、“攻撃的な選手”というフレーズが出たので、守りきって勝つつもりはないでしょう。そういった勝ち点の積み上げ方ではなく、攻めきるという、自分のスタンスを崩さないんだと、強く感じました」

──FWというくくりで8人を選出しました
「点を取れよっていう、イメージでしょうね」

──名波さんが中盤でボールを動かすとしたら、攻撃はどんなイメージでしょうか?
「センターフォワードの大迫(勇也)と柿谷(曜一朗)は、タイプも違うし、動き出すタイミングも違う。2列目の選手たちとの融合性という意味でも、違った色を出せます。2列目は、特徴的な、個性の溢れる選手が揃っている。ですから、センターフォワードがどうと言うよりも、2列目をいかに生かすか、という考えでいいんじゃないかと思います。センターフォワードが点を取らなくても、周りに点を取らせるようなプレー。動き出しであったり、おとりの動きであったり、そういったプレーがあれば、チームは機能すると思います」

──岡田武史さんは、今回の代表は過去最強だとおっしゃています
「岡田さんが言うなら、過去最強なんじゃないですか(笑) 岡田さんはたぶん、“俺が育てた”面だと思いますけど(笑) 彼らが4年間、南アフリカ大会から非常に努力した結果、それからヨーロッパのクラブに挑戦しステップアップした結果が、過去最強と呼ばれる由縁でしょう。融合性という点では、各々が自分の特徴を上手く生かしつつ、チームの11人の中の1人として、上手く機能していると感じてています。そういう意味でも最強と言っているんだと思います」

──名波さんの考える2列目の組み合わせは?
「右、岡崎(慎司)。真ん中、本田(圭祐)、左、香川(真司)。これはもう確定的だと思う。100人いたら90人、95人くらいは、そう言うと思う。試合が進んで、0-0で拮抗している、0-1でビハインドを負っている、あるいは、どうやってリズムを変えていくか。そういった状況でのチョイスが、それぞれ違ってくると思う。現状、試合の頭から出るのはその3人でしょう」

──1トップの選手はいかがでしょう?
「僕はパサー、ボールを動かす選手でした。僕から言わせてもらうと、動き出しが速い人間、それから分かりやすい人間、この二つの要素がとびきり大事です。中山(雅史)さんと僕が上手く組めたのは、中山さんがその2つの要素をパーフェクトにこなしてくれいてたから。上手く2人が、パサーと受け手という形として機能した。中山さん、とびきり下手糞だったんですけど(笑) それでもJリーグで157点も取っている。実際には250点くらい取っていてもおかしくないと思う。Jの得点記録でトップに君臨しているのは、そういった要素を持ち合わせていたからだと思う。だから僕は最初のチョイスとして大迫の名前を挙げている。今の曜一朗はちょっと、フォルランに気を使っている部分があったり、それからセレッソのスタイルも関係していると思う。大迫の方が、動き出しが分かりやすい。昨年のヨーロッパ遠征で結果を出していますし、それから周りとの連係も良かった」

「途中からリズムを変えたいときに、多くの場合トップか、2列目の選手を替える。僕はトップを変えるとしたら、やっぱり、大久保(嘉人)。彼が一番前に入る。で、大久保に合うトップ下は誰かというと、僕の考えでは本田ではない。香川。なぜなら、大久保は今、(川崎)フロンターレで、120%くらい自由を与えられている。トップ下のポジションに下りても、ボランチに下りても、一切何も言わない監督がいて、大久保の動きに伴い、飛び出す選手が周りにいる。この連動が非常にスムーズなんですよ。一方で本田は、下りてきた選手に合わせて、前へ飛び出してセンターフォーワードになれるわけではない。香川の方が、その役割をスムーズにこなすと思う。(流れを変えるための)交代が大久保であったら、香川がトップ下というイメージを持っています」
──大久保選手が入って選択肢が増えました
「香川と話す機会が会って、香川が『ザックは嘉人さんをどこで使おうと考えているんでしょうか』と聞いてきてので、『俺は一番上じゃない気がする』と言ったら、『左ですか。じゃあ僕はどうなっちゃうの』って。戦力アップに伴い、選手の置かれている立場は変わる。結果、日本のレベルは向上するので、その切瑳琢磨は必要なことだと思います。このまま良い方に流れてほしいですね」

──用意された椅子がないというのは良いことですね
「もともと競争して23名が選ばれたわけですから、チームとしてはまだまだ、初戦まで競争し続けてほしいですね」

──ヨーロッパ遠征のときに、遠藤保仁選手が途中出場だった
「長谷部(誠)のコンディションにもよると思います。長谷部がパーフェクトだったら、遠藤が頭からでも問題ないでしょう。でも、長谷部がまだどっちつかずで、ギャンブルで頭からになったら、山口蛍の方が良いのかなと。遠藤は、途中から出ても結果を出すことがわかったし、頭から出れば、常に攻守のバランスを取ることができる。そういったトライという意味で、ヨーロッパ遠征は、最初からガチの11人ではなくて、チャレンジした部分がたくさんあった。ただ、本番でどうするかまでは僕にも読めない」

──山口の成長は著しい
「ロンドン・オリンピックを経て、Jリーグで非常に伸びている選手ですね。危険察知能力が非常に高いのと、デビューしたての頃は、(ボールを)奪うだけの選手だったのが、今は奪って、叩いて、前へ出て行ける選手になった。その辺が評価されたポイントだと思います。ただ、今シーズンはそこまでよくない。フォルランに気を使っている選手の一人。(前線に)飛び出す回数が、昨シーズンより極端に少ないんで。もうちょっと、周りの選手とすり合わせて、自分の特徴を出してほしい。自分の特徴が日本代表にとって大いなるプラス要素であるということを理解してほしい」

──山口素弘さんが、98年フランスW杯のときの代表の中盤は話をしなくても考えることがお互いに分かっていたとおっしゃってます
「そうですね。山口さんも中田(英寿)も非常に寡黙な人間で、自分から話してくるタイプではなかったんで。そこをみんなが空気呼んだ感じです」

──ケガの回復具合が大事になってくる
「ポイントとなるのは5月27日のキプロス戦。内田(篤人)、吉田(麻也)、長谷部が出場した場合、プレーの選択肢が常に前を向いてプレーしようとしているか。これに注目してください。いかに敵陣ゴールに身体が向いているか。特にボールをもらう前。それに注目してください。もしも、後ろに常に選択肢を持っているようだと、相手を怖がっている。相手のプレッシャーのスピードが予測よりも速いと感じている。これがいわゆるゲーム感覚がないということにつながるので、ここに注目してほしい」

──心理的な部分も含めたコンディションが整っているかどうかということですね
「紅白戦だと、無観客だしメディアも出されてしまう。50,000人、60,000人の前でプレーするのとは違う。相手の本番ならではのスピード感というのは全く違うので」

──注目の大久保については
「ワントップに入れる。できれば香川がトップ下。本田をボランチの位置に下げて、左は清武(弘嗣)か斎藤学。相当攻撃的だと思います。本田のボランチは、ザッケローニ監督はほとんど考えていないので、ほぼあり得ないですけど。この方がチーム全体のユーティリティ性が持てるかなと。大久保、香川の縦の関係。岡崎はいつも通り、カットインして献身的にやってくれるだけで、相手にとって脅威になる」

──本田ボランチのメリットは
「ボールを捌くのはもちろん、前に運ぶこともできるし、人を自分に集めることができる。ということは、周りの選手がフリーになるということなんで、斎藤学のドリブルも生きるでしょうし、香川と大久保のポジションチェンジも生きる。面白いアイディアがアタッキングエリアで出てくるんじゃないかと」

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