コラム

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【日本代表コラム】ポジティブな試合

▽新しいユニフォームに袖を通した選手たちがナショナル・スタジアムのピッチに姿を見せる。しかし、そこにはブンデスリーガで好調を維持する香川真司の姿はなく、プレミアの地で奮闘する岡崎慎司や、J2でプレーしながら、その能力を高く評価されている山口蛍の姿もなかった。その替わりに、センターフォワード、トップ下、ボランチのセンターラインには、金崎夢生、清武弘嗣、柏木陽介の3選手が起用され、ハリルホジッチ体制下での初スタメンを飾った。 ▽金崎はボックス内で存在感を示し、チームにとって貴重な先制点を記録。その金崎と良い距離感を保っていた清武も、ボックス近辺に顔を出して攻撃のアクセントとなり、2点目に絡んだ。そして柏木は期待されたビルドアップでチームに息吹を与え、守備の部分でも奮闘した。疲れの残るメンバーを休ませながら、替わりに起用された選手たちが結果を残しての勝利。チームとしての幅を広げつつ、そこに競争意識も生まれる。そういった意味では、理想的な試合だった。 ▽もちろん、チャンスの数や試合の流れを考えれば、もっと得点を奪うこともできたはずだ。イージーなミスも多かったが、ピッチコンディションや暑さといった点を考慮すれば、致し方のない部分もある。ただ、レベルの上がる3次(最終)予選などを考えれば、諸手を挙げて喜べるような内容ではなかったことも事実だ。 ▽それでも個人的には、この試合の課題だと考えていた攻撃のバリエーション、早い時間帯の得点、初先発組のアピールといった部分をポジティブに評価したい。クオリティの部分はまだまだ改善の余地はあるが、攻撃のバリエーションはこれまでの試合と比べても格段に増えていたし、その引き出しを開けたのは、清武や柏木といった初先発組だった。その結果、20分という比較的早い時間帯にゴールを挙げ、畳み掛けるように加点。ゴールレスドローに終わったホームゲームに比べると、余裕を持って試合を進めることができた。 ▽しかし、このまま3次(最終)予選に進出となれば、より厳しい戦いが待ち受けている。そこを見据えつつ、ハリルホジッチ監督には今後も状態の良い選手を起用しながらチームに刺激を与え、メンバー選考や戦い方の幅を広げていってもらいたい。17日のカンボジア代表戦は、おそらく数名のメンバーが入れ替わることだろう。出場機会の少ない選手はもちろんのこと、今回はベンチスタートとなった香川や岡崎の奮起にも期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.11.13 12:10 Fri
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【日本代表コラム】気になった2つのこと

▽残念ながら、試合の入り方、試合運びという面で、シリア代表戦の反省を生かすことはできなかった。キックオフ直後からバタバタしたプレーが多く、球際で強さを見せるイラン代表に苦戦を強いられる。そして、両サイドの推進力を駆使してボールを持ち上がる相手に押し込まれていった。 ▽その後、ピッチをワイドに使いながらイランの守備を広げてスペースを作り、流れを自分たちに引き寄せた時間帯もあったが、DF米倉の不用意なバックパスからDF吉田がイエローカードをもらったプレーを機に再び流れは変わった。そして前半のアディショナルタイム、足がもつれてしまったとはいえ、相手がゴールに背を向けて2対1という状況を作っていたなかでPKを献上し、先取点を与えてしまった。 ▽試合が落ち着かなかった要因の1つは、プレッシャーのかかる中でも足元でつなごうとしすぎることだと思う。正確には、何の狙いも持たずに足元へパスを出しすぎているということ。出せるところに出しているだけの状態が続いた。その結果、パスの出し手と受け手という2者間でのパス交換となり、相手にとって狙いやすい状況が生まれてしまう。そのような状況を打開するには、3人目、4人目が連動し、ワンタッチプレーなどでマークを外していくことが必要だ。要するに、意図のあるパス回しが大事になってくる。 ▽さらに気になったことがもう1つ。それは、サイドバックの使い方だ。特に後半は、ボランチのMF長谷部やMF柴崎がボールを持った際に、サイドバックがスピードに乗って裏に走り込む形が何度かあった。しかし、蹴れるタイミングでも裏のスペースにパスが送られることは少なく、相手の守備ブロックの前でパスコースを探し、横パスで逃げるシーンが多く見られた。あのような場面では、積極的にチャレンジしてもらいたい。カットされたり、ボールが長くなったりしても守備からやり直すことができ、パスが通れば相手守備陣はゴールに向かいながらの守備を強いられる。 ▽サイドバックはスペースに走り込んでパスを受けた場合にこそ、効果的なプレーが可能となるポジションだ。しかし、ここ最近の試合では相手の守備ブロックの手前でパスを受け、プレッシャーを受けてセンターバックに戻すか、ボランチにボールを預けてやり直す形が多く見られる。その選択が悪いわけではないが、時にはシンプルな裏への走り込みやワンツーを狙うべきだと思う。チャレンジしなければ何も起こらない。プレーの変化が選択肢を増やすことにもつながり、様々な状況に対応するための礎となるに違いない。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.10.14 11:00 Wed
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【日本代表コラム】前後半の変化

▽蒸し暑い気候、長めの芝生といった環境の中、シリア代表との首位攻防戦を制して得た勝ち点3と、グループ首位の座。中立地での試合ということを差し引いても、悪くない結果だったと言えるだろう。特に前半は予想以上にアグレッシブなシリアの出足を受け、思うように試合を進めることができなかったが、ゴールレスのまま迎えた後半に戦い方を変えて3ゴールを奪うことに成功した。 ▽内容の良くなかった前半で気になったのは、最終ラインから中盤に入るパス。比較的プレッシャーの少ない状況でボールを持つことが多かった最終ラインだったが、そこからマークを受けている中盤に縦パスを入れて、パスの出し手が再びバックパス(リターンパス)を受ける。といったプレーの繰り返しが散見された。そして、そのパスを相手に狙われてカウンターを受けそうになる場面も何度かあった。 ▽前述したように、ピンチになりかけた場面は、基本的には自分たちのミス絡みから。相手のレベルが高くないからこそ、ボールをつなぐ意識が高まった部分もあったとは思うが、レベルの高い相手であれば、致命的なプレーになっていた可能性も十分に考えられる。もちろん、これはパスの出し手の問題だけではない。暑さという考慮すべき問題もあったが、受け手の動き出しといった部分も関係してくるため、チーム全体の問題とも言える。 ▽しかし、迎えた後半に相手の出方を逆手にとって先手を奪った。54分、自陣内でボールを回収すると、素早く前を向いた長谷部が右サイドのスペースに走り込む岡崎へロングパスをフィード。相手の裏を突いてパスを受けた岡崎がボックス内で倒されて得たPKを本田が冷静に決めた。シリアは、縦パスを入れた相手には強く当たりにくるが、逆に裏を狙うボールへの対応には前半から曖昧な部分があり、そこをうまく突くことができたと言える。給水タイムなどの時間もあっただけに、前半から狙いを修正することができればベストだったかもしれないが、良くない中でも戦い方を修正して結果を残せたことは大きい。 ▽その後は、シリアの運動量が落ちたこともあり、中盤の両サイドを中央寄りでプレーさせて選手間の距離を修正した日本が主導権を握る展開が続く。そして、セットプレーの流れから香川の個人技と岡崎の動き出しによって加点。終盤には、途中出場の清武と宇佐美が本田と絡み、そこから生まれた宇佐美のゴールで勝利を決定づけた。 ▽特に攻撃面に関しては、まだまだ改善の余地はあるものの、最も重要だった“結果”を手にすることはできた。次は親善試合ながらアウェイでのイラン戦だ。最終予選を見据えた場合、ベストメンバーで試合に臨み、現時点の力を図ることもできるが、指揮官は出場機会の少ない選手を起用する可能性も示唆している。果たして、どのようなメンバーで臨むのか――。ベストメンバーであっても、そうでなくても、それぞれにとって今後に向けた試金石となることは間違いないだろう。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.10.09 13:00 Fri
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【日本代表コラム】改善した左と生まれた幅

▽前日会見で「2つのポジションで先発が決まっていない」と語っていたハリルホジッチ監督のコメントを受け、多くの人が宇佐美の先発を予想しただろう。そういった意味で原口の起用は驚きだったが、その意図は明白だった。そして、原口も期待に応えるパフォーマンスを披露し、結果と内容を両立させることに成功した。 ▽先日のカンボジア代表戦と今回のアフガニスタン代表戦で変わったことと言えば、まずは左サイドに原口が入ったこと。その原口は序盤からワイドに開いてボールを受け、そこからの仕掛けで攻撃の起点となった。そこが、カンボジア戦では早いタイミングでボックス内に入っていた武藤と異なるところ。件のカンボジア戦では、相手が5バックだったこともあるが、武藤や長友が早いタイミングで中に入りすぎたためにボックス内が渋滞し、クロスを簡単に跳ね返される要因の1つになっていた。 ▽しかし、今回は原口がサイドに開いてボールを受けることで相手の守備ブロックも広がり、そこからスペースの空いたバイタルエリアに侵入することで効果的な攻撃を仕掛けることができた。実際、カットインから香川とのワンツーを狙ったことで結果的にDFのマークを引きつけることになり、その原口の動きを生かした香川が素早い反転からミドルシュートを突き刺して先制した。また、原口は中にスペースがないと判断すれば逆サイドにボールを展開し、カットインばかりでなく縦にも仕掛けるなど、攻撃の幅を広げることに一役買っていた。そして2点目も、原口の縦への仕掛けによって得たCKの流れから生まれた。 ▽その他にも、カンボジア戦ではやや控えめだった森重が、積極的に持ち上がってミスを恐れずに両サイドの裏に長いボールを入れていた。精度を欠く部分もあったが、こういったボールを多用したことでアフガニスタンの守備ブロックは広がり、中央をより生かしやすい状況が生まれたように思う。もちろん、前述の2人だけでなく、2得点の香川も動きに躍動感があったし、出足の早さと球際の強さ、そして真骨頂でもある機を見た攻撃参加で得点にも絡んだ山口も存在感を示していた。 ▽また、攻撃のバリエーションという意味では、セットプレーの形にも意図が感じられた。ニアでボールをすらし、中央とファーサイドに配した選手がタイミングをずらして入っていく形や、ボックス中央にスペースを作り、その空いたスペースを生かすサインプレーなど、いくつかの形を試していた。また、試したと言えば、練習でもやったことのない原口の右サイドバック起用もあった。ただ、彼に求められている役割を考えれば、もっと高い位置をとり続けても良かったように思う。 ▽最終的に6-0という大差で勝利を収めたが、対戦国のレベルを考えれば大勝して当然の相手であり、当然の結果とも言える。やはり、問題は次のシリア代表戦。シリアはここまで3連勝で、勝ち点でも得失点差でも日本を上回っている。すでに引き分けが1つある日本としては、直接対決で優位に立たなければいけない。シリアとの過去の対戦を振り返っても楽な試合にはならないだろう。それでも、今回の一戦のようにピッチをワイドに使ってコンビネーションを交える形や、素早い攻守の切り替えを見せることができれば、結果はついてくるはずだ。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.09.09 11:50 Wed
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【日本代表コラム】起点になった右とちぐはぐな左

▽このところの練習で取り組んでいたというサイド攻撃で何度も形は作ったが、特に前半はそのほとんどが右サイドからだった。最後のクロスが少し単調ではあったが、本田と酒井宏、そこに長谷部や香川が絡んだコンビネーションや動きからゴールに迫る場面を何度か作りだした。ただ、前述したように、ボックス中央に放り込まれるクロスが合うことはほぼなかった。ボックス内には多くの選手がひしめき、そこに淡々と送られるクロスは、ことごとくクリアされた。 ▽それでも、ワンツーなどのコンビネーションで攻撃の起点となっていた右サイドに対し、より深刻だったのが、マインツでの活躍を受けて先発に抜擢されたFW武藤と、ハリルホジッチ監督の下では初出場となるDF長友の左サイドだ。並々ならぬ意気込みを見せていた2人だったが、その意気込みが逆効果となった印象を受けた。武藤と長友の2人はゴールに向かう意識が強く、右サイドで攻撃に詰まったときにやり直そうとボランチまでボールを下げても、ボックス内に武藤と長友の姿があり、揃ってクロスを待ち構えているという場面が散見された。 ▽もちろん、その全てを否定するわけではないが、特にヘディングが強いわけでもない長友がボックス内に居続ければ、もれなくマーカーも付いてくるため、ボックス内のスペースは埋まり、渋滞の原因となる。流れの中で中央に入ることもあるだろうが、すぐにサイドに開き、幅を取った方が攻撃の幅も生まれただろう。ボックス内に留まる長友に、正直怖さは感じなかった。 ▽武藤にしても、ゴール前に入っていくタイミングが早すぎた印象だ。サイドで呼び込んでから中に入っていく動きを見せた方が、相手DFにとっては対処が難しかったと思う。実際、代わって入ったFW宇佐美は、サイドから仕掛けつつワンツーなどでボックス内に侵入してチャンスを作り出していた。武藤には、所属クラブと代表で異なる役割を担う難しさもあるだろうが、サイドのポジションは彼が好んでいる場所であり、畑違いの仕事というわけでもないはずだ。 ▽また、本田にボールが入ると大外を酒井宏が上がる右サイドに比べ、左サイドは長友にボールが渡る頃には武藤が中に入っているため、長友が独力で仕掛ける場面が多かった。2人の距離感は悪く、コンビネーションで局面を打開する場面はあまり見られなかった。個人的に、長友は個人で打開するほどの突破力やシュート力を持っているは思っていない。武藤がある程度の距離を保ってパスを引き出し、長友を使う形を増やした方が効果的な攻撃を仕掛けられたのではないかと感じている。 ▽それは指揮官も感じていたようで、香川を左サイドに出して岡崎と武藤の2トップにしてからの方がよりスムーズな攻撃が展開できていたと思うし、宇佐美が入ってからも同様の展開がみられた。6月のシンガポール代表戦からの流れもあったとは思うが、カンボジア代表戦は少し攻撃を急ぎすぎていた印象が強い。8日のアフガニスタン代表戦も、おそらくは日本が主導権を握る時間が多くなるだろう。試合を見る限り海外組のコンディションにはバラつきが見られたため、数人の入れ替えが行われる可能性もあるが、武藤、長友の2人が起用された際には、左サイドの動きに注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.09.04 13:36 Fri
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【日本代表コラム】東アジアカップで得たもの

▽今回の東アジアカップは、国内組の選手たちにとって代表定着に向けて自身の力をアピールする格好の舞台だった。今大会に向けたメンバー発表の席で、「一番試したいことは?」と問われたヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「次の合宿に向けて選手を発見したい」と主張。その後、別の記者から「選手の発掘と結果を両立できるのか」との質問を受けると、「まず大事なのは結果。その中で新しい選手が力を示さなければいけない」と語った。 ▽要するに今大会は、優勝を目指しつつ、A代表の新たなオプションに成り得る選手を探すことが目的だった。結果は知ってのとおり、2分け1敗の勝ち点2で最下位。連覇どころか勝利を収めることすらできなかった。だが、中国戦後の会見で「真のA代表に入れる選手を何人か見つけた」と語っており、そういった意味では、当初の目的の1つを果たすことはできたと言えそうだ。 ▽その中国戦では、武藤が出場した北朝鮮戦に続き2戦連発となるゴールを記録。スコアラーを欲している指揮官の期待に応えた。そして、3試合すべてに先発して攻守に奮闘した山口や遠藤も「真のA代表」に入る有力候補と言えそうだ。攻守にわたる精力的なアップダウンを繰り返した米倉や、前線でタメをつくるポストプレーをみせた興梠は、“オプションに成り得る”活躍を見せたと言える。 ▽一方、精彩を欠いていた印象のある永井や宇佐美、川又といったFW陣は、現在の4-3-3よりも、2トップの一角として起用した方が機能しそうだ。永井は、高い位置で裏を狙うことに専念させた方が相手の脅威となるはず。宇佐美も、サイドで守備に追われるよりは、G大阪のようにパートナーを置いて中央で自由にやらせた方が持ち味は発揮できると思う。それは川又にも言えることだ。彼はポストプレーヤーではない。 ▽大会前に語っていた「異なる3つのオーガナイズ」を見ることはできなかったが、今後は選手の特徴や相手の特徴に合わせた起用法なども見せてもらいたい。そういった引き出しを増やしていくことが、アジアと世界で異なる戦い方を求められる日本に必要な要素であり、それをもたらせる監督だと思っている。 ▽そんな指揮官が今大会を通して“アピール”していたのが、“スケジュールの問題”だ。他の3カ国に1週間ほどの準備期間があったのに対し、日本は大会の4日前まで国内リーグを戦う過密日程。そのため指揮官は、準備期間を「もう2~3日与えて欲しかった」と繰り返した。これを、結果を残せないことへの“エクスキューズ”と捉える向きもあるが、個人的には違うと思っている。 ▽ハリルホジッチ監督が語るように、「どの監督も準備をしたいと思うのは当然」の主張だ。そして何より、今大会は候補選手50人のうち約20%にあたる選手が、何らかの負傷を抱えていた。代表の強化はもちろん、選手のことを考えれば、ハリルホジッチ監督の要求を“言い訳”と捉えるのではなく、来年以降のスケジュールについて考えるための好機だと捉えるべきではないだろうか。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.10 12:30 Mon
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【日本代表コラム】積極果敢なチャレンジを

▽過密日程、疲労、選手の発掘、といった要素から、全選手の入れ替えも予想された韓国戦だったが、日本代表はGK西川、DF遠藤、森重、槙野、MF山口、FW永井の6選手が北朝鮮戦に引き続き先発した。チームのバランスを大きく崩したくなかったこともあるとは思うが、北朝鮮戦でやられた形を“復習”しておきたいとの考えもあったのではないだろうか。 ▽対する韓国は、初戦の中国戦から8選手が入れ替わるなか、長身(196㎝)のFWキム・シンウクが先発。これ以上ない復習の場になるかと思われた。しかし、攻撃はキム・シンウクに当てるというより、ピッチをワイドに使いながら両サイドから崩そうとする形が多く、日本としては逆に助けられた部分もあったように思う。ただ、その中でもキム・シンウクは存在感があり、マッチアップする機会の多かった槙野は終始苦戦を強いられた。 ▽しかし、槙野は苦しみながらも身体をしっかりと寄せ、ゴールから遠い位置ではよりアグレッシブにタイトなマークを見せるなど、簡単にはプレーをさせなかった。それは森重も同様で、PKを与えたあとも気持ちを切り替え、最後まで集中力を切らせることはなかった。もちろん、ファウルで止めるしかない状況も多く、よりシンプルにキム・シンウクの高さを使われていたら厳しかったかもしれない。それでも良いチャレンジであり、及第点を与えてもいい内容だったと思う。 ▽その一方で、攻撃の形をつくることは“ほぼ”できなかった。山口のチャレンジが実を結んだが、あの内容で「よく得点を奪えたな」というのが率直な感想だ。「まず韓国のオフェンスをしっかりとブロックしてから前に出るよう伝えた」という指揮官の言葉も影響したのか、北朝鮮戦の悪夢が脳裏をよぎったのか、最終ラインの位置が低く、それにつられて中盤も下がるため、ボールを回収する位置が必然的に低くなった。そして、クリアしたボールや繋ごうとしたボールがことごとく拾われる。特に序盤はその繰り返しだった。 ▽結果、なかなかハーフウェイラインを越えられず、最前線にボールを収められる興梠を起用しながら、ボールが入らない時間が続いた。当然、守勢となり、フィニッシュまで持ち込むことなどできない。シュート自体が数えるほどだったが、その厳しい状況の中でも、興梠の足元にボールが入れば収まって起点となったし、倉田の献身性と確かな技術や、藤田の危機察知能力と球際など、新たな戦力候補の光る部分も見られた。 ▽とはいえ、倉田は攻撃面で違いとなる“プラスアルファ”を見せてほしかったし、藤田はボールを受ける動きや縦への意識がもう少しほしかった。また、興梠もシュートまで持ち込む場面を作れず、海外組を脅かすようなパフォーマンスだったとは言えないだろう。それは、指揮官から大きな期待を寄せられているMF柴崎やDF太田にも言えることだ。彼らにはもっとチャレンジしてほしかった。 ▽残すは、開催国である中国との対戦のみ。今度は中3日と、コンディションを整える時間が多少ながら与えられる。過去2戦に比べれば、より良い状態で試合に臨めるだろう。ここまで出場機会がない選手も起用されるはずだ。韓国戦では、相手の力量に加え、初戦の負け方が良くなかったことも影響してか、消極的なプレーが散見された。しかし、自身の価値をアピールするまたとない機会でもある。ミスを恐れない積極果敢なチャレンジで、海外組を脅かすようなプレーを見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.06 14:00 Thu
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【日本代表コラム】敗戦の中にも見られた新戦力の活躍

▽右サイドに展開されたボールを受けたDF遠藤航が早いタイミングでゴール前へクロスを送る。すると、ニアサイドに走り込んだMF武藤雄樹が左足のインサイドにボールを当ててゴールに流し込む。この試合がA代表デビューとなった二人のプレーから、幸先の良い先取点がもたらされた。 ▽その後も、遠藤は一対一で抜群の強さと安定感を見せてアピール。一方、代表デビューから3分で初ゴールを挙げた武藤も持ち味を発揮し、3トップと良い連係を見せて得点機を演出しつつ、自らも積極的に追加点を狙った。二人とも自身の特長を活かして存在感を示したと言える。 ▽結局、何度かあった得点機を生かせなかった日本は、高さ勝負に出た北朝鮮の放り込みに対処しきれず、終盤に2失点。あえなく逆転負けを喫したが、北朝鮮のパワープレーに屈したという側面よりも、ボールを奪ったあとのつなぎで簡単にロストしてしまったことを問題にすべきだろう。セカンドボールを拾ってマイボールにしようとするが、近い位置の選手に預けては前方に蹴って奪われるという形が、あまりにも多すぎた。 ▽ハリルホジッチ監督も「ボールを奪ったときに前にいくべきなのか、キープすべきなのかを迷っていた。周りの動きも少なかったため、簡単にボールを失ってしまった」、「フィジカル的な問題が決定的な違いを生んだ」と試合を振り返ったように、選手のコンディション面が影響したことは間違いない。選手の組み合わせを含め、もう少しやり方はあったと思うが、ケガ人やコンディション面など、想定を下回る部分が多かったことも否めない。 ▽ただ、今大会の目的の1つである「新たなオプションとなり得る選手の発掘」という意味では、興味深いものがあったのではないだろうか。課題が残る試合ではあったが、武藤や遠藤の活躍を含め、収穫もあった。おそらく、5日に行われる韓国戦では、数名のメンバーが入れ替わる。出場機会を得た選手には、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮し、先の2人のように自身の力を存分にアピールしてもらいたい。 ▽次の対戦相手である韓国にも、FWキム・シンウクというターゲットタイプの長身FWがいる。ハイボールの対応で弱さを露呈した守備面に関しては、問題点をしっかりと修正し、東アジア最大のライバルとの闘いに臨めるかという点にも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.03 12:45 Mon
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【コラム】「らしさ」を貫いたなでしこジャパン

▽5-2という衝撃的なスコアで幕を閉じた女子ワールドカップ(W杯)。敗戦から一夜明け、7日になでしこジャパンのメンバーが帰国した。優勝まであと一歩のところでの大敗は、多くの人に衝撃を与えたはずだ。しかし、帰国後の取材で選手たちは決勝での敗戦を冷静に受け止めていた。 「対策はしていましたが、それを上回ってくることを相手がしてきた」(大儀見優季) 「その時の選択できる判断、プレーは全てを懸けてやった」(宮間あや) 「持っている力を全て出し切った結果だと思う」(澤穂希) 「全力で戦ったので悔いもない」(大野忍) ▽その他の選手も含め、多くの選手が自分たちの力を出し切ったと話してくれた。そして、ロンドン五輪に続きなでしこの前に立ちはだかったアメリカとの実力差があることも、しっかりと冷静に受け止めていた。連覇に多くの期待が集まる中、準優勝という成績に終わったものの、この結果はなでしこにとって大きな意味があったように思う。 ▽大会前から、チームを率いる佐々木則夫監督は常々“チャレンジ”という言葉を使ってきた。王者でありながら“チャレンジ”という言葉に疑問符がついた人もいたかもしれない。しかし、これは何も弱気になった発言ではなく、実際の本大会でもなでしこ「らしさ」を貫く“チャレンジ”をしながら、2大会連続の決勝進出を勝ち取った。 ▽思い起こせば1年前、「自分たちらしい」という言葉が大きくクローズアップされた。 ▽ブラジルW杯に臨んだ日本代表は、1分け2敗でグループステージ敗退に終わった。W杯敗退後、選手たちの口から出た「自分たちらしいサッカーができなかった」という言葉が大きく取り上げられていたが、一体「自分たちらしさ」とは何なのだろうか。佐々木監督、そして選手たちの話を聞いて一つの結論に辿り着いた。 ▽ショートパスを繋ぐ、サイドから崩す、ロングボールで裏を狙う…このような個々のプレーを「自分たちらしさ」と捉えることもできるだろう。しかし、なでしこの選手たちが口にする「自分たちらしさ」はプレーの話ではなく、「諦めないで戦う」というメンタル面の話だった。 Getty Images▽それは大敗に終わった決勝戦を見ても分かる。試合開始わずか3分に先制を許したなでしこだったが、選手たちはキャプテンの宮間の下に集まり声を掛けあった。さらに、クリアミスをホリデーに叩きこまれ3失点目を喫した直後、なでしこはピッチ上で円陣を組んだ。しかし、その直後にロイドのロングシュートが決まり、気持ちが切れてしまう可能性は大いにあった。1年前のブラジルW杯準決勝ブラジルvsドイツの結果が頭をよぎった人も多かったのではないか。しかし、なでしこは下を向かずに走り続け、前半に大儀見のゴールで1点を返した。 ▽後半も得点直後に失点し、さすがに気持ちが折れるかと思われたが、その後も前からボールを追いかけ、ゴールを目指して攻め続けた。結局、その後はスコアを動かすことができなかったが、なでしこは最後まで戦う姿勢を見せてくれた。 ▽結果だけを見れば、決勝で5-2と大量失点を喫して敗れ、連覇にあと一歩及ばずというところだろう。しかし、「自分たちらしさ」を貫いて真っ向勝負を仕掛けた結果であれば、悔しさは残るものの自信を持っていられるはずだ。戦い方ではなく心の「らしさ」を貫いたなでしこたちは、この先も自信を持って世界に挑戦できることだろう。 Getty Images▽当然ながら、メンタルだけで勝てるほど甘い世界ではない。フィジカル、戦術、技術など、様々な国と比較すれば、なでしこがアメリカやドイツなど強豪国に劣っている部分はまだまだある。それでも、「諦めない」という姿勢を見せ続け、日本中を沸かせ、連覇にあと一歩まで迫ったなでしこジャパン。来年に控えるリオ五輪の出場権を獲得し、「らしさ」を見せ続けて頂点に立ってもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.10 14:15 Fri
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【コラム】なでしこを混乱させたセットプレーに集約されたアメリカの意地

▽悪夢の16分間──こんな展開を誰が予想していただろうか。日本人はおろか、アメリカ人でさえ、ここまでの展開は予測していなかったと思う。連覇を目指したなでしこジャパンにとって、立ち上がりの16分間で喫した失点は最後まで重くのしかかってしまった。 ▽4大会ぶりのワールドカップ(W杯)優勝、そして日本へのリベンジに意気込むアメリカは立ち上がりから圧力をかける。キックオフから3分、右サイドで得たCKから、ロイドが決めてアメリカが先制点を奪った。さらに5分には右サイドでFKを得ると、ルーズボールを再びロイドが押し込んだ。 ▽立ち上がりに同じような形から立て続けに失点を喫したなでしこ。時間帯だけを見れば、試合の入り方を間違ったと思われても仕方がない。ただ、この2失点に関しては、サインプレーを仕掛けたアメリカが一枚も二枚も上手だったように思える。Getty Images▽当然の如く、なでしこはアメリカのセットプレーには警戒していた。しかし、それは得点に繋がったグラウンダーのボールではなく、ハイボール──フィジカルで勝るアメリカを相手にどのように守るのかを用意していたはずだ。もちろん、頭の中に低いボールが無かった訳ではないだろう。しかし、意識の端にあったサインプレーに一瞬足が止まり、ゴール前に入ったグラウンダーのボールを後方から猛然と走り込んだロイドに合わされてしまった。 ▽なでしこは、5分に訪れたFKの場面でも同様の形から失点を喫する。ボックス右にホリデーが低いボールを入れると、壁の横を抜けたボールをニアでジョンストンがヒールで流し、最後はフリーになっていたロイドが押し込んだ。Getty Images▽このFKも、位置を考えると単純なクロスボールを想定したように思える。しかし、ニアにグラウンダーのボールが入ったことで虚を突かれ、空いたスペースをロイドに狙われてしまった。アメリカの選手の動きは、最初からグラウンダーのボールを想定したものであり、上手く抜けたボールを簡単に押し込めたのも準備の賜物だと言える。味方を信じて走り込んだロイドの動きは、全て想定されていたものだった。 ▽キックオフからの猛然と圧力をかけ、最初のチャンスで意表をついたサインプレーを仕掛けゴールを奪い切り、その後も立て続けに3得点を奪ったアメリカ。4年前のW杯決勝でなでしこに敗れた悔しさが、なでしこにとって悪夢のような、アメリカにとって夢のような16分間を生み出したのかもしれない。しかし、その裏には緻密に計画された準備があり、それを選手たちが体現した。 ▽今大会を通じて格の違いを見せ付けていた最大のライバル・アメリカは、最後まで一枚も二枚も上手だったと認めざるを得ない。16年ぶりに頂点に立ったアメリカ…なでしこは4年後のフランス大会でリベンジを果たすべく、新たなスタートを切る。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.07 00:22 Tue
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白クマが繋ぐなでしこのチームワーク、連覇に向けた決勝Tへ《カナダ女子ワールドカップ2015》

▽日本時間17日にカナダ女子ワールドカップ2015グループC第3節が行われ、エクアドル女子代表に1-0と辛勝したなでしこジャパンは、グループ首位での決勝トーナメント進出を決めた。試合内容はともあれ、まずは目標だったグループステージ首位通過を達成したことを評価したい。 ▽さらにこの3試合では、登録メンバー23名全員を起用するなど、決勝トーナメントに向けてうまく調整ができた。その中で、残念なニュースがFW安藤の負傷離脱だった。 ◆痛かった安藤の離脱 ▽連覇に向けた開幕戦となった9日のスイス女子代表戦では、相手GKと交錯した安藤が左足ひ骨を骨折してチームから離脱することになった。豊富な運動量を誇る安藤は、前線からのプレスを継続的に仕掛けることができる上、相手の裏を取る動きの質が高い。さらに、中盤に下がってゲームを動かすことができるため、前線のターゲットとなる大儀見の相棒として適任だった。それだけに安藤の離脱は、なでしこジャパンにとって大打撃だった。 ◆安藤の代役は岩渕が適任!? ▽離脱した安藤の代役として、FW菅澤がカメルーン女子代表戦とエクアドル女子代表戦で先発起用された。菅澤の特徴は体の強さを活かしたポストプレーと打点の高いヘディング。カメルーン戦ではそのヘディングからW杯初ゴールを奪った。しかし、タイプが似ている大儀見と2トップを組んだ際には、やや下がり目の位置でプレーする役割もこなさなければならない。そのため、ボックス内で真価を発揮する菅澤の良さが十分に活かされていない印象だ。 ▽一方で、エクアドル戦に途中出場したFW岩渕のプレーには、希望の光が見えた。ヒザの負傷により出遅れていた岩渕だったが、この試合で約10分間出場し、順調な回復ぶりをアピール。ドリブルから相手の守備網を突破するなど、コンディションも上がってきている。安藤ほどの守備力はないものの、なでしこジャパンに推進力をもたらしてくれる存在だけに、決勝トーナメント1回戦では、思い切ってスタートから使うのも手だろう。 ◆安藤のためにも連覇を ▽負傷した安藤は、すでにチームを離れて帰国した。なでしこの選手たちは、白クマのぬいぐるみに安藤のユニフォームを着せてベンチに置いている。国際サッカー連盟(FIFA)は「安藤は足首のケガで大会を去りました。しかし、彼女の仲間たちはそんな彼女に敬意を表しました」と公式ツイッターで取り上げており、なでしこジャパンのチームワークを称えた。 ▽無念の途中離脱となった安藤に報いるためにも、再び世界女王の称号を勝ち得たい。その思いは彼女たちが一番強いだろう。トロフィーとともに彼女たちが白クマを掲げる日を楽しみに、ディフェンディングチャンピオンの決勝トーナメントが、いよいよ始まる。 《超ワールドサッカー編集部・川嶋正隆》 2015.06.17 22:48 Wed
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【日本代表コラム】準備不足

▽キックオフ直後、MF柴崎からの大きな展開が右サイドのFW本田へ。本田のカットインからこぼれたボールを拾ったFW宇佐美が、ゴール正面の位置からやや強引にシュートを放っていく――。キックオフからここまでに要した時間は約9秒。キックオフ直後に受けに回ってしまった11日のイラク代表戦の反省を生かし、上々の滑り出しを見せた。 ▽ところが、シンガポール代表はベルント・シュタンゲ監督が警戒していた「試合開始直後」を乗り切ると、時間の経過とともに手応えと自信を深め、粘り強い守備を披露。日本は23本のシュートを放ちながら、得点を奪うことができなかった。それはなぜか――。私は、いろいろな意味での“準備”がやや不足していたのではないかと思っている。 ▽試合前に0-0という結果を想像していた人はほとんどいなかったはずだ。私も想像できなかった。監督や選手たちは、試合前のコメントで「集中しなければいけない」、「簡単な試合などない」といった言葉を繰り返していたし、油断していたとは思わない。ただ、心のどこかに「大丈夫だろう」、「なんとかなる」といった意識が“少なからず”あったと思っている。そして、それがプレーや心理面に、良くない意味での“余裕”を生じさせてしまったようにも感じている。 ▽得点の可能性を高めるには、まず単純に、より多くのチャンスを作らなければいけない。そういった意味では、もっとやれることがあったのではないだろうか。確かに23本のシュートを打ち、決まっていてもおかしくない場面は何度かあった。ただ、監督が試合後会見で語っていたほど多くの決定機があったとも思わないし、ボックス付近のFKは少なく、シンガポールの選手は守勢に回りながらイエローカードを1枚ももらわなかった。これが何を意味するのか。 ▽シンガポールの守備ブロックはしっかりとオーガナイズされ、特に中央をしっかりケアしていた。日本は攻めあぐねてはいたが、前半に柴崎と本田がボックス付近でみせた、ポストプレーからリターンパスを受けてボックス内に侵入していく連係などは、相手の守備陣に混乱を生じさせていた。ただ、試合を通してそのような機会は少なく、ボックス近辺でのワンツーや素早いパス交換に三人目の動きが絡めば、より多くの好機を作り出せていたと思う。 ▽また、今回のような展開では、負傷離脱したFW川又が悔やまれる。もともとMF清武もいたため、登録メンバーに入らない可能性もあったが、ハリルホジッチ監督は、彼のような選手も必要不可欠であることを痛感したのではないだろうか。シンガポール相手であれば、パワープレー要員はいなくても“大丈夫”と考えたのかもしれないが、サイドからクロスを上げる今日のような展開では、彼のようにボックス内で闘える選手は貴重だ。今後の戦いでは、メンバー構成を含めた準備も万全にしておきたい。 ▽とはいえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任からまだ3カ月。やるべきことは多いが、アジアを知らない監督やW杯予選の経験が少ない選手にとっては、この一戦は良い経験になったのかもしれない。次のW杯予選は9月。そして、その前の8月には東アジアカップがある。ここでは、ハリルイズムの浸透と共に、新たなオプションとなり得る選手の発掘にも期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.17 12:00 Wed
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【日本代表コラム】新たな世代の胎動

▽素早い攻守の切り替えを見せ、少ないタッチでパスを回し、距離感を保ちながらタテへの速さを意識する。ヴァイッド・ハリルホッチ監督の就任後、3度の合宿(国内組合宿含む)の中で意識づけし、行ってきた練習の成果がしっかりと落とし込まれた試合だった。 ◆4と0 ▽4-0という結果だと「4」の方に注目が集まりがちだが、個人的には「0」の内容が良かったと思っている。親善試合であること、ホームであること、対戦相手のパフォーマンスといった要素もあるが、ほとんどチャンスを作らせなかった。特に前半はバイタルエリアに入られることなく、ほぼ完ぺきな内容。危ない場面がなかったわけではないが、前半の被シュートは1本で、試合を通した被シュートもわずか3本だった。 ▽指揮官が試合後に語ったように、1試合を通してこの強度を保つことは難しいし、選手交代の枠も限られている。そのあたりのマネジメントは大事だが、この試合の序盤に見せた強度のまま、シンガポール戦に臨んでも大きな問題にはならないだろう。海外組のコンディションを見る限り、千葉で行った直前合宿は成果を収めたと言えそうだ。 ▽また、ゴールに向かう意識の高さも「0」の要因の1つだったと思う。序盤から積極的にミドルシュートを狙う場面が多く、しっかりとフィニッシュで終わることでカウンターを受ける機会を減らしたし、消極的なパスが少なかったことで不用意な横パスやバックパスを狙われることも少なかった。 ◆二人の23歳 ▽まず「0」の内容が良かったという話をしたが、「4」の方にも触れないわけにもいかない。そして、その攻撃をけん引したのが、7番と11番を背負う二人の23歳、MF柴崎岳とFW宇佐美貴史だ。もちろん、その陰には本田や岡崎のウラへの意識、長谷部の切り替えやタテへの意識といったものもある。 ▽しかし先制点は、柴崎の視野の広さと準備、パスの精度があってこそ。それ以外の局面でも、流れるようなタイミングで出されるタテパス、素早い戻りやセカンドボールへの反応など、攻守に存在感を示した。その中でも印象に残っているのは26分の場面、後方からフリーで縦パスを受けようとすると、そのタイミングと同時に前線の4選手がウラを狙う動き出しを見せた。この場面に、新たな7番に対する攻撃陣の信頼度の高さがうかがえた。 ▽さらに、32分に生まれた岡崎のゴールは、柴崎のタテパスを受けた宇佐美の中央突破から生まれた。半分は宇佐美のゴールと言っても差し支えはないだろう。あの狭い局面でのボールコントロールはさすが。またG大阪でのプレーのように、左サイドからのクロスやシュート、サイドバックとの連係で攻撃の起点となり、コンパクトな振りから繰り出されるミドルシュートでゴールを脅かした。この位置には、同世代の武藤や原口も控えているだけに、彼らとともに切磋琢磨し、確固たる存在として代表をけん引してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.12 14:00 Fri
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初招集選手プロファイル No.2~谷口彰悟~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽この2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿ではプロ2年目にして早くも日本代表としてプレーするチャンスを得た谷口の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆選手紹介 【生年月日】 1991年7月15日(23歳) 【身長/体重】 182cm/70kg 【所属クラブ】 川崎F 【ポジション】 セントラルMF、センターバック、サイドバック 【今季公式戦出場記録】 J1:15試合(1ゴール)/ナビスコ杯:6試合 ▽2014年に筑波大学時代の恩師である風間八宏監督率いる川崎Fに加入した谷口。ルーキーイヤーの昨年は、公式戦35試合に出場するなど、充実の1年を過ごした。主力として臨む2年目は、昨季まで守備の要としてプレーしたDFジェシの背番号“5”を継承。リーグ開幕からこれまで公式戦全試合に出場している。 ▽谷口は、視野が広く、戦術眼に長けたクレバーな選手。足元の技術も高く、センターバックとしてプレーしている川崎Fでは、ポゼッションサッカーを真髄とするチームを後方から支えている。また、高いボール奪取能力と当たり負けしないフィジカルを兼ね備えており、守備の面でも大きくチームに貢献している。 ▽上記の特徴から考えると、、谷口にとって代表でのライバルは、今回招集外となっているG大阪MF今野泰幸だろう。その高いボール奪取能力と様々なポジションをこなすユーティリティ性から日本代表で重宝されてきた今野だが、35歳で迎えるロシア・ワールドカップ開催時まで、現在と同レベルのパフォーマンスを維持できているとは限らない。。川崎Fでユーティリティ性を発揮している谷口にとって、今野の後継者としての役割を果たせることを証明できれば、代表定着も大いにありうるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・相澤滋貴》 2015.06.11 11:52 Thu
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初招集選手プロファイル No.1~丹羽大輝~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽今回の2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿では29歳にして初めてサムライブルーのユニフォームに袖を通した丹羽の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆DF丹羽大輝 【生年月日】 1986年1月16日(29歳) 【身長/体重】 180cm/76kg 【所属クラブ】 G大阪 【ポジション】 センターバック、両サイドバック、守備的MF 【今季公式戦出場記録】 J1:14試合 / ゼロックス杯:1試合 / ACL:8試合 ◆苦労の連続から出世街道へ ▽今やG大阪で最終ラインのレギュラーとして活躍する丹羽だが、これまでのキャリアに目を通すと、苦労人という言葉が思い浮かぶ。G大阪ユース出身の丹羽は2004年にトップチーム昇格を果たしたが、昇格後の3年間はプロ初出場を果たすどころか、ベンチ入りもままならない日々が続くなど、当初はプロの厚い壁に苦しんだ。そのため、2007年から2011年にかけては徳島、大宮、福岡へのレンタル移籍を決断。この武者修行の間に、チームキャプテンを務めた福岡時代の2010年に5年ぶりとなるチームのJ1昇格に貢献するなど、徐々に頭角を現した。 ▽5年間にもわたるレンタル生活で着実に成長の一途を辿った丹羽は、2012年にG大阪へ6シーズンぶりに復帰した。以降は、DF岩下敬輔やDF西野貴治との熾烈なポジション争いに身を置いたが、2014年の途中からは不動のセンターバックとして25試合に出場。失点数リーグ2位タイの31失点を記録したディフェンス陣を支え、G大阪の国内3冠(J1、ナビスコカップ、天皇杯)達成に大きく貢献した。今季はここまで公式戦23試合に出場。リーグ戦では全試合にフル出場を続けており、G大阪の最終ラインにおいて、なくてはならない選手として地位を確立している。 ◆ライン統率、クレバーさ、堅実さ ▽G大阪の最終ラインに欠かせない存在となった丹羽は、決してポテンシャルの高い選手ではないが、ライン統率やクレバーなディフェンスを堅実にこなすことのできるセンターバックだ。持ち味の1つであるライン統率で、岩下やDF米倉恒貴、DF藤春廣輝といったアグレッシブさを売りとするDF陣を1列にまとめ上げている。実際、今季のリーグ戦における失点数でもここまで試合数(14試合)を下回る10失点と、丹羽を中心としたディフェンスラインの堅さは数字にも表れている。 ▽また、丹羽の守備にはラインコントロールと同時に、クレバーかつ堅実な対応が際立つ。どのようなシチュエーションでも冷静沈着な状況判断が可能で、G大阪でもボールホルダーに対する無謀な食い付きや軽率なディフェンスは少ない。また、センターバックに加え、必要であればサイドバックや守備的MFでも卒なくプレーできるユーティリティー性は、代表への生き残りを考えても好材料となるはずだ。 ◆最大のライバルは槙野 ▽先の日本代表候補合宿ではサイドバックとして招集された丹羽だが、今回はセンターバックとしてノミネートされた。したがって、センターバックタイプの4選手が招集された今回に関しては、DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF森重真人(FC東京)、DF槙野智章(浦和)と、熾烈な生き残りをかけたポジション争いを演じることになるだろう。そのなかで、丹羽にとって最大のライバルとなり得るのが、彼と同様にサイドバックでもプレー可能な槙野だ。 ▽そして、明るいキャラクターを生かしたオフ・ザ・ピッチの部分での貢献度も、槙野と類似する点の1つだ。丹羽のムードメーカーぶりは、G大阪でチームメートのMF遠藤保仁が「笑いを提供してくれる」との理由で、昨シーズンのリーグ優勝の懸かる苦しい終盤戦のキーマンに挙げたほど。この点に関しては、チームの雰囲気を大事にする傾向のあるハリルホジッチ監督下の日本代表にとっても、欠かせないピースになり得る可能性を秘めている。 ▽あとは、宮本恒靖氏以来となるG大阪ユース出身のDFとして代表定着を狙う丹羽が、「ここに入る資格があることを証明してほしい」と招集メンバー発表会見で語ったハリルホジッチ監督の期待にピッチ上で応えられるかどうか。もちろん、今回の代表戦2試合だけが査定の全てではないが、複数のポジションでプレー可能なユーティリティー性や、クレバーかつ堅実なディフェンスで存在感を示すことができれば、キャプテンマークを巻いて71キャップを記録した宮本氏のように、代表でも確固たる地位を確立できるはずだ。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2015.06.11 11:51 Thu
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【日本代表コラム】上々の船出

▽ハリルホジッチ監督の言葉どおり「本当に素晴らしい出発になった」。青山のスーパーボレーにはじまり、最後は宇佐美と川又の“らしい”代表初ゴールで大量5得点を奪取。最高の形で新体制の2試合を終えたようにも思えるが、試合をトータルで評価すると、課題も多く見つかった。ただ、前回のコラムでも触れたように、それは当然のこと。試合後のコメントを聞く限り、新指揮官にとっても想定の範囲内だったようだ。 ▽キックオフ直後、岡崎が猛然とプレスをかけると、それに呼応するようにチーム全体でボールを奪いにかかる。チュニジア戦でも見られた姿勢であり、前半6分には、ボックス付近で前線の4選手が連動し、ワンタッチ、ツータッチでボックス内に侵入。そして、その一連の流れで得たCKのクリアボールを、青山が豪快且つ繊細なボレーでゴール右上に突き刺した。 ▽その直後にも、トップ下の香川にボールが収まると、乾のダイアゴナルランに合わせてプルアウェイした岡崎に絶好のパスが届くが、これを決めきれない。さらに乾や本田がミドルレンジから積極的にゴールを狙っていった。また、今回の合宿を通して練習していた3~4人が絡んでの《クサビ⇒落とし⇒展開》という流れからもゴールに迫っていった。 ▽しかし、“縦”と“速さ”を意識するあまりボールロストも多く、前と後ろが間延びする場面が散見。10番のラシドフを筆頭に、ウズベキスタンにも技術のある選手が揃っていたため、プレスをはがされ、マークにズレが生じてゴールを脅かされる場面も多かった。終盤のゴールラッシュに関しては、相手の集中力が切れていたことや、6人という交代枠によって前線の運動量が増えたことも影響したはずだ。 ▽ただ、ハリルホジッチ監督も、準備期間が短かったため、「仕方のない部分もある。そういったウィークポイントを修正していけばいい」と語り、改善点が出てくることは織り込み済み。現時点で大事なのは、“何ができて、何ができていないか”を把握することに他ならない。だからこそ、徹底的に“縦”と“速さ”の意識を刷り込み、自身のスタイルを示しつつ、そこまでの道のりを逆算したかったのだろう。 ▽また、新戦力の活躍にケチをつけるような言い方をしたが、彼らが結果を残したことは事実であり、大きな自信を手にしたはずだ。何より、太田や宇佐美、川又など、途中から出場した選手の多くが、自身の特徴を生かしてゴールに絡んでいる。香川もトップ下の位置で以前よりも軽快な動きを見せていた。そして青山はゴールだけでなく、自身の持ち味である展開力も発揮。特に、奪ったボールをダイレクトで前線の選手に供給するパスは、奪ってからの素早い展開を目指す現代表にもマッチするだろう。監督が「何人か気になる選手がいた」と語った「何人か」の一人は、青山のような気がしている。 ▽先のチュニジア戦に比べると悪い部分も目に付いたウズベキスタン戦だったが、ハリルホジッチ監督は「私が思っていたよりも早く、より良いチームになると思う」との見通しを語るなど、今回の代表合宿、そして2つの国際親善試合に手応えを感じていることは間違いない。見ている側にも、監督がどのようなチームを目指しているのかは伝わってきた。ここから2カ月余りは、そのチームに適した人材を発掘する時間ができる。指揮官がどのようなリストを用意するのか――約2カ月に及ぶ“視察”の中で、ハリルホジッチ監督の導き出す答えを楽しみに待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.04.01 12:30 Wed
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【日本代表コラム】選手の意識を高めた初陣

▽「明日は、これまでプレー機会が少なかった選手たちを起用したいと思っている」。前日会見でそう語った新指揮官の言葉どおり、大分スポーツ公園総合競技場のピッチには新鮮な顔ぶれが並んだ。結局、最後は後半途中から出場した“先輩方”がご活躍。岡崎と本田という役者のゴールにより、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣を白星で飾ることに成功した。 ▽いくら「たくさんの映像を見てきた」と言っても、監督就任から3週間ほどで、本格的な練習は3回だけ。すべてはこれからだ。今回の試合で注目していたのは、指揮官が前日会見で語っていた“球際の激しさ”と“プレースピード”の2点。数多くのミーティングや面談を経て、どれだけ意識付けされているのかを注視した。 ▽前者に関しては、キックオフ直後から川又や永井がアグレッシブにプレスをかけていき、その姿からは“何が何でも代表に残ってやる”といった気概を感じとることができた。最初は多少の“気負い”も感じられ、守から攻への切り替えがスムーズではなかったように思う。その点に関しては監督も認めており、改善の必要性を口にしていたが、その一方で「ピッチが滑りやすかった部分もある」と述べ、選手たちが見せた姿勢に満足感を示していた。 ▽一方、プレースピードに関しては課題が残った。ボールを奪ってシンプルに裏を狙うという場面は少なかったように思う。実際、監督は試合後の会見で「奪ったあとに短いパスを使いすぎている。もっと長いパスを狙ってもいい」との考えを示した。もちろん、何がなんでも縦や裏を狙う必要はないが、出せたはずの最初のタイミングで迷ってつなぎなおし、その結果、相手のプレスを受けるという場面が何度かあった。 ▽これに関しては、ミスを犯したくないという心理的な要素に加え、起用した選手の特徴や相性も関係していたと思う。前線には、永井、川又、武藤と、縦の意識が高く、裏を狙える選手が揃っていた。彼らに関しては実際にプレーを見ており、その特徴を理解したうえで起用していたはずだ。しかし、パスの出し手となる中盤の選手に関しては異なる。 ▽山口も長谷部も正確な長いボールを前線に送るというより、ボールを運びながら前に関わっていくタイプだ。どちらかと言えば、青山や柴崎の方が今日の3トップとの親和性はあるだろう。ただ、守備の強度に関しては山口や長谷部の方があるため、そのあたりの兼ね合いは難しいところではある。とはいえ、これから選手の特徴をより明確に把握し始めれば、自然と状況に応じた選手起用がなされるだろう。 ▽これまでの言動から察するに、今回の選手起用には2つの意味合いがあったと思っている。1つは、前述したような戦術的な側面。前線に裏を狙えるタイプの選手を並べ、ボールを奪ってから素早くゴールに迫ろうとしたのだろう。もう1つは、前回のコラムでも語ったように「開かれた代表」であり、「ファミリー」であるということを発信したかったのではないか。 ▽試合後の会見でも、次のJALチャレンジカップ(ウズベキスタン代表戦)には「違うメンバーで臨もうと思っている」と語り、多くの選手に出場機会を与えていくことを明言した。選手の特徴はこれから把握していけばいいし、戦術面のディティールも徐々につめていければいい。いま大事なのは、各選手のモチベーションを高く保ち、自分も一員であり、チャンスがあると感じさせること。うまくいけば自ずと競争力は高まってくる。信頼関係の構築という意味でも、公平に見ているというアクションは大事だ。 ▽もちろん、選手たちが高いモチベーションを持ってプレーし、自らをアピールするのは当然のことではある。それでも、見ていてもらえていると感じられることは選手にとって大きい。そういった土壌を整えておくことは無駄ではないだろう。チュニジア戦では、球際で戦えたことも、勝利を手にできたことも良かったが、すべての選手たちが“俺も使ってもらえる”と感じられた(であろう)ことが、“新陳代謝”も図っていきたい代表の今後に向け、何よりも意味のあることだったのではないか、と思っている。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.28 12:00 Sat
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【日本代表コラム】開かれた代表

▽先日の就任会見同様、新指揮官の並々ならぬ意欲を感じる約1時間のメンバー発表会見だった。そして、今回の会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が何度も強調していたのが、「日本代表は全員に開かれている」ということだった。 ▽今回のリストに名を連ねたのは、通常の23名ではなく、ケガ人3名を含む31名(そのほかバックアップメンバーが12名)だ。これは、より多くの選手を手元で確認し、より多くの選手に自身の考えを伝えたい指揮官の思惑を反映したもの。ワールドカップ予選まで時間がないことや、監督に就任してから1週間しか経っていないことを考えれば、当然のこととも言える。ちなみに31名のうち、19名はアジアカップのメンバーになるが、これも当然の流れだろう。しかし、枠を増やしたことで、これまでのベースを担保しつつ、新たな選手を加えることができた。 ▽その結果、初招集のDF藤春、ブラジル・ワールドカップ組のMF青山、同じワールドカップ組で現在はJ2でプレーしているMF山口、直前の視察(ナビスコカップ川崎Fvs名古屋)で見初められた(?)FW永井など、様々な立場や年齢の選手が選出された。また、監督自身、バックアップメンバーを発表した理由について「大きなグループであるということのメッセージ」と語っており、誰にでも代表入りの可能性があることを強調している。実際、バックアップメンバーには、ルーキーのDF車屋や2年目のMF谷口、頭角を現してきたMF大森といった若手、DF千葉やFW豊田といったアラサー組に、オーストラリアでプレーするMF高萩と、良いプレーを見せれば誰にでも代表入りの可能性があることは示された。 ▽なぜ、「開かれた代表」ということを強調するのか。それは、選手たちの成長を促すため、競争力のある代表を作るためだろう。実際、ハリルホジッチ監督も「期待したいのは各ポジションで競争があること。私には前もって決まっているベストメンバーはいない。時期によって調子も変わるので、そのときにベストな状態の選手を呼びたい」、「良いプレーをしていれば呼ぶ。スター選手に変わる選手にも期待しているし、そこが変わっても問題はない」と語っている。 ▽代表入りを目指す選手たちのモチベーションを高め、現在の代表メンバーには危機感を持たせる。それが相乗効果となり、全体のレベルを引き上げられれば言うことはない――。代表合宿は来週月曜からはじまり、メンバーもすでに決まっている。しかし、次のメンバー入りに向けた“競争”は、今週末のJリーグからはじまる。代表合宿も楽しみだが、今週末のJリーグも楽しみだ。まずは、代表メンバーやバックアップメンバーだけではない、代表候補選手たちのプレーにも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.20 20:00 Fri
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