コラム

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【日本代表コラム】敗戦の中にも見られた新戦力の活躍

▽右サイドに展開されたボールを受けたDF遠藤航が早いタイミングでゴール前へクロスを送る。すると、ニアサイドに走り込んだMF武藤雄樹が左足のインサイドにボールを当ててゴールに流し込む。この試合がA代表デビューとなった二人のプレーから、幸先の良い先取点がもたらされた。 ▽その後も、遠藤は一対一で抜群の強さと安定感を見せてアピール。一方、代表デビューから3分で初ゴールを挙げた武藤も持ち味を発揮し、3トップと良い連係を見せて得点機を演出しつつ、自らも積極的に追加点を狙った。二人とも自身の特長を活かして存在感を示したと言える。 ▽結局、何度かあった得点機を生かせなかった日本は、高さ勝負に出た北朝鮮の放り込みに対処しきれず、終盤に2失点。あえなく逆転負けを喫したが、北朝鮮のパワープレーに屈したという側面よりも、ボールを奪ったあとのつなぎで簡単にロストしてしまったことを問題にすべきだろう。セカンドボールを拾ってマイボールにしようとするが、近い位置の選手に預けては前方に蹴って奪われるという形が、あまりにも多すぎた。 ▽ハリルホジッチ監督も「ボールを奪ったときに前にいくべきなのか、キープすべきなのかを迷っていた。周りの動きも少なかったため、簡単にボールを失ってしまった」、「フィジカル的な問題が決定的な違いを生んだ」と試合を振り返ったように、選手のコンディション面が影響したことは間違いない。選手の組み合わせを含め、もう少しやり方はあったと思うが、ケガ人やコンディション面など、想定を下回る部分が多かったことも否めない。 ▽ただ、今大会の目的の1つである「新たなオプションとなり得る選手の発掘」という意味では、興味深いものがあったのではないだろうか。課題が残る試合ではあったが、武藤や遠藤の活躍を含め、収穫もあった。おそらく、5日に行われる韓国戦では、数名のメンバーが入れ替わる。出場機会を得た選手には、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮し、先の2人のように自身の力を存分にアピールしてもらいたい。 ▽次の対戦相手である韓国にも、FWキム・シンウクというターゲットタイプの長身FWがいる。ハイボールの対応で弱さを露呈した守備面に関しては、問題点をしっかりと修正し、東アジア最大のライバルとの闘いに臨めるかという点にも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.03 12:45 Mon
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【コラム】「らしさ」を貫いたなでしこジャパン

▽5-2という衝撃的なスコアで幕を閉じた女子ワールドカップ(W杯)。敗戦から一夜明け、7日になでしこジャパンのメンバーが帰国した。優勝まであと一歩のところでの大敗は、多くの人に衝撃を与えたはずだ。しかし、帰国後の取材で選手たちは決勝での敗戦を冷静に受け止めていた。 「対策はしていましたが、それを上回ってくることを相手がしてきた」(大儀見優季) 「その時の選択できる判断、プレーは全てを懸けてやった」(宮間あや) 「持っている力を全て出し切った結果だと思う」(澤穂希) 「全力で戦ったので悔いもない」(大野忍) ▽その他の選手も含め、多くの選手が自分たちの力を出し切ったと話してくれた。そして、ロンドン五輪に続きなでしこの前に立ちはだかったアメリカとの実力差があることも、しっかりと冷静に受け止めていた。連覇に多くの期待が集まる中、準優勝という成績に終わったものの、この結果はなでしこにとって大きな意味があったように思う。 ▽大会前から、チームを率いる佐々木則夫監督は常々“チャレンジ”という言葉を使ってきた。王者でありながら“チャレンジ”という言葉に疑問符がついた人もいたかもしれない。しかし、これは何も弱気になった発言ではなく、実際の本大会でもなでしこ「らしさ」を貫く“チャレンジ”をしながら、2大会連続の決勝進出を勝ち取った。 ▽思い起こせば1年前、「自分たちらしい」という言葉が大きくクローズアップされた。 ▽ブラジルW杯に臨んだ日本代表は、1分け2敗でグループステージ敗退に終わった。W杯敗退後、選手たちの口から出た「自分たちらしいサッカーができなかった」という言葉が大きく取り上げられていたが、一体「自分たちらしさ」とは何なのだろうか。佐々木監督、そして選手たちの話を聞いて一つの結論に辿り着いた。 ▽ショートパスを繋ぐ、サイドから崩す、ロングボールで裏を狙う…このような個々のプレーを「自分たちらしさ」と捉えることもできるだろう。しかし、なでしこの選手たちが口にする「自分たちらしさ」はプレーの話ではなく、「諦めないで戦う」というメンタル面の話だった。 Getty Images▽それは大敗に終わった決勝戦を見ても分かる。試合開始わずか3分に先制を許したなでしこだったが、選手たちはキャプテンの宮間の下に集まり声を掛けあった。さらに、クリアミスをホリデーに叩きこまれ3失点目を喫した直後、なでしこはピッチ上で円陣を組んだ。しかし、その直後にロイドのロングシュートが決まり、気持ちが切れてしまう可能性は大いにあった。1年前のブラジルW杯準決勝ブラジルvsドイツの結果が頭をよぎった人も多かったのではないか。しかし、なでしこは下を向かずに走り続け、前半に大儀見のゴールで1点を返した。 ▽後半も得点直後に失点し、さすがに気持ちが折れるかと思われたが、その後も前からボールを追いかけ、ゴールを目指して攻め続けた。結局、その後はスコアを動かすことができなかったが、なでしこは最後まで戦う姿勢を見せてくれた。 ▽結果だけを見れば、決勝で5-2と大量失点を喫して敗れ、連覇にあと一歩及ばずというところだろう。しかし、「自分たちらしさ」を貫いて真っ向勝負を仕掛けた結果であれば、悔しさは残るものの自信を持っていられるはずだ。戦い方ではなく心の「らしさ」を貫いたなでしこたちは、この先も自信を持って世界に挑戦できることだろう。 Getty Images▽当然ながら、メンタルだけで勝てるほど甘い世界ではない。フィジカル、戦術、技術など、様々な国と比較すれば、なでしこがアメリカやドイツなど強豪国に劣っている部分はまだまだある。それでも、「諦めない」という姿勢を見せ続け、日本中を沸かせ、連覇にあと一歩まで迫ったなでしこジャパン。来年に控えるリオ五輪の出場権を獲得し、「らしさ」を見せ続けて頂点に立ってもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.10 14:15 Fri
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【コラム】なでしこを混乱させたセットプレーに集約されたアメリカの意地

▽悪夢の16分間──こんな展開を誰が予想していただろうか。日本人はおろか、アメリカ人でさえ、ここまでの展開は予測していなかったと思う。連覇を目指したなでしこジャパンにとって、立ち上がりの16分間で喫した失点は最後まで重くのしかかってしまった。 ▽4大会ぶりのワールドカップ(W杯)優勝、そして日本へのリベンジに意気込むアメリカは立ち上がりから圧力をかける。キックオフから3分、右サイドで得たCKから、ロイドが決めてアメリカが先制点を奪った。さらに5分には右サイドでFKを得ると、ルーズボールを再びロイドが押し込んだ。 ▽立ち上がりに同じような形から立て続けに失点を喫したなでしこ。時間帯だけを見れば、試合の入り方を間違ったと思われても仕方がない。ただ、この2失点に関しては、サインプレーを仕掛けたアメリカが一枚も二枚も上手だったように思える。Getty Images▽当然の如く、なでしこはアメリカのセットプレーには警戒していた。しかし、それは得点に繋がったグラウンダーのボールではなく、ハイボール──フィジカルで勝るアメリカを相手にどのように守るのかを用意していたはずだ。もちろん、頭の中に低いボールが無かった訳ではないだろう。しかし、意識の端にあったサインプレーに一瞬足が止まり、ゴール前に入ったグラウンダーのボールを後方から猛然と走り込んだロイドに合わされてしまった。 ▽なでしこは、5分に訪れたFKの場面でも同様の形から失点を喫する。ボックス右にホリデーが低いボールを入れると、壁の横を抜けたボールをニアでジョンストンがヒールで流し、最後はフリーになっていたロイドが押し込んだ。Getty Images▽このFKも、位置を考えると単純なクロスボールを想定したように思える。しかし、ニアにグラウンダーのボールが入ったことで虚を突かれ、空いたスペースをロイドに狙われてしまった。アメリカの選手の動きは、最初からグラウンダーのボールを想定したものであり、上手く抜けたボールを簡単に押し込めたのも準備の賜物だと言える。味方を信じて走り込んだロイドの動きは、全て想定されていたものだった。 ▽キックオフからの猛然と圧力をかけ、最初のチャンスで意表をついたサインプレーを仕掛けゴールを奪い切り、その後も立て続けに3得点を奪ったアメリカ。4年前のW杯決勝でなでしこに敗れた悔しさが、なでしこにとって悪夢のような、アメリカにとって夢のような16分間を生み出したのかもしれない。しかし、その裏には緻密に計画された準備があり、それを選手たちが体現した。 ▽今大会を通じて格の違いを見せ付けていた最大のライバル・アメリカは、最後まで一枚も二枚も上手だったと認めざるを得ない。16年ぶりに頂点に立ったアメリカ…なでしこは4年後のフランス大会でリベンジを果たすべく、新たなスタートを切る。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.07 00:22 Tue
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白クマが繋ぐなでしこのチームワーク、連覇に向けた決勝Tへ《カナダ女子ワールドカップ2015》

▽日本時間17日にカナダ女子ワールドカップ2015グループC第3節が行われ、エクアドル女子代表に1-0と辛勝したなでしこジャパンは、グループ首位での決勝トーナメント進出を決めた。試合内容はともあれ、まずは目標だったグループステージ首位通過を達成したことを評価したい。 ▽さらにこの3試合では、登録メンバー23名全員を起用するなど、決勝トーナメントに向けてうまく調整ができた。その中で、残念なニュースがFW安藤の負傷離脱だった。 ◆痛かった安藤の離脱 ▽連覇に向けた開幕戦となった9日のスイス女子代表戦では、相手GKと交錯した安藤が左足ひ骨を骨折してチームから離脱することになった。豊富な運動量を誇る安藤は、前線からのプレスを継続的に仕掛けることができる上、相手の裏を取る動きの質が高い。さらに、中盤に下がってゲームを動かすことができるため、前線のターゲットとなる大儀見の相棒として適任だった。それだけに安藤の離脱は、なでしこジャパンにとって大打撃だった。 ◆安藤の代役は岩渕が適任!? ▽離脱した安藤の代役として、FW菅澤がカメルーン女子代表戦とエクアドル女子代表戦で先発起用された。菅澤の特徴は体の強さを活かしたポストプレーと打点の高いヘディング。カメルーン戦ではそのヘディングからW杯初ゴールを奪った。しかし、タイプが似ている大儀見と2トップを組んだ際には、やや下がり目の位置でプレーする役割もこなさなければならない。そのため、ボックス内で真価を発揮する菅澤の良さが十分に活かされていない印象だ。 ▽一方で、エクアドル戦に途中出場したFW岩渕のプレーには、希望の光が見えた。ヒザの負傷により出遅れていた岩渕だったが、この試合で約10分間出場し、順調な回復ぶりをアピール。ドリブルから相手の守備網を突破するなど、コンディションも上がってきている。安藤ほどの守備力はないものの、なでしこジャパンに推進力をもたらしてくれる存在だけに、決勝トーナメント1回戦では、思い切ってスタートから使うのも手だろう。 ◆安藤のためにも連覇を ▽負傷した安藤は、すでにチームを離れて帰国した。なでしこの選手たちは、白クマのぬいぐるみに安藤のユニフォームを着せてベンチに置いている。国際サッカー連盟(FIFA)は「安藤は足首のケガで大会を去りました。しかし、彼女の仲間たちはそんな彼女に敬意を表しました」と公式ツイッターで取り上げており、なでしこジャパンのチームワークを称えた。 ▽無念の途中離脱となった安藤に報いるためにも、再び世界女王の称号を勝ち得たい。その思いは彼女たちが一番強いだろう。トロフィーとともに彼女たちが白クマを掲げる日を楽しみに、ディフェンディングチャンピオンの決勝トーナメントが、いよいよ始まる。 《超ワールドサッカー編集部・川嶋正隆》 2015.06.17 22:48 Wed
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【日本代表コラム】準備不足

▽キックオフ直後、MF柴崎からの大きな展開が右サイドのFW本田へ。本田のカットインからこぼれたボールを拾ったFW宇佐美が、ゴール正面の位置からやや強引にシュートを放っていく――。キックオフからここまでに要した時間は約9秒。キックオフ直後に受けに回ってしまった11日のイラク代表戦の反省を生かし、上々の滑り出しを見せた。 ▽ところが、シンガポール代表はベルント・シュタンゲ監督が警戒していた「試合開始直後」を乗り切ると、時間の経過とともに手応えと自信を深め、粘り強い守備を披露。日本は23本のシュートを放ちながら、得点を奪うことができなかった。それはなぜか――。私は、いろいろな意味での“準備”がやや不足していたのではないかと思っている。 ▽試合前に0-0という結果を想像していた人はほとんどいなかったはずだ。私も想像できなかった。監督や選手たちは、試合前のコメントで「集中しなければいけない」、「簡単な試合などない」といった言葉を繰り返していたし、油断していたとは思わない。ただ、心のどこかに「大丈夫だろう」、「なんとかなる」といった意識が“少なからず”あったと思っている。そして、それがプレーや心理面に、良くない意味での“余裕”を生じさせてしまったようにも感じている。 ▽得点の可能性を高めるには、まず単純に、より多くのチャンスを作らなければいけない。そういった意味では、もっとやれることがあったのではないだろうか。確かに23本のシュートを打ち、決まっていてもおかしくない場面は何度かあった。ただ、監督が試合後会見で語っていたほど多くの決定機があったとも思わないし、ボックス付近のFKは少なく、シンガポールの選手は守勢に回りながらイエローカードを1枚ももらわなかった。これが何を意味するのか。 ▽シンガポールの守備ブロックはしっかりとオーガナイズされ、特に中央をしっかりケアしていた。日本は攻めあぐねてはいたが、前半に柴崎と本田がボックス付近でみせた、ポストプレーからリターンパスを受けてボックス内に侵入していく連係などは、相手の守備陣に混乱を生じさせていた。ただ、試合を通してそのような機会は少なく、ボックス近辺でのワンツーや素早いパス交換に三人目の動きが絡めば、より多くの好機を作り出せていたと思う。 ▽また、今回のような展開では、負傷離脱したFW川又が悔やまれる。もともとMF清武もいたため、登録メンバーに入らない可能性もあったが、ハリルホジッチ監督は、彼のような選手も必要不可欠であることを痛感したのではないだろうか。シンガポール相手であれば、パワープレー要員はいなくても“大丈夫”と考えたのかもしれないが、サイドからクロスを上げる今日のような展開では、彼のようにボックス内で闘える選手は貴重だ。今後の戦いでは、メンバー構成を含めた準備も万全にしておきたい。 ▽とはいえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任からまだ3カ月。やるべきことは多いが、アジアを知らない監督やW杯予選の経験が少ない選手にとっては、この一戦は良い経験になったのかもしれない。次のW杯予選は9月。そして、その前の8月には東アジアカップがある。ここでは、ハリルイズムの浸透と共に、新たなオプションとなり得る選手の発掘にも期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.17 12:00 Wed
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【日本代表コラム】新たな世代の胎動

▽素早い攻守の切り替えを見せ、少ないタッチでパスを回し、距離感を保ちながらタテへの速さを意識する。ヴァイッド・ハリルホッチ監督の就任後、3度の合宿(国内組合宿含む)の中で意識づけし、行ってきた練習の成果がしっかりと落とし込まれた試合だった。 ◆4と0 ▽4-0という結果だと「4」の方に注目が集まりがちだが、個人的には「0」の内容が良かったと思っている。親善試合であること、ホームであること、対戦相手のパフォーマンスといった要素もあるが、ほとんどチャンスを作らせなかった。特に前半はバイタルエリアに入られることなく、ほぼ完ぺきな内容。危ない場面がなかったわけではないが、前半の被シュートは1本で、試合を通した被シュートもわずか3本だった。 ▽指揮官が試合後に語ったように、1試合を通してこの強度を保つことは難しいし、選手交代の枠も限られている。そのあたりのマネジメントは大事だが、この試合の序盤に見せた強度のまま、シンガポール戦に臨んでも大きな問題にはならないだろう。海外組のコンディションを見る限り、千葉で行った直前合宿は成果を収めたと言えそうだ。 ▽また、ゴールに向かう意識の高さも「0」の要因の1つだったと思う。序盤から積極的にミドルシュートを狙う場面が多く、しっかりとフィニッシュで終わることでカウンターを受ける機会を減らしたし、消極的なパスが少なかったことで不用意な横パスやバックパスを狙われることも少なかった。 ◆二人の23歳 ▽まず「0」の内容が良かったという話をしたが、「4」の方にも触れないわけにもいかない。そして、その攻撃をけん引したのが、7番と11番を背負う二人の23歳、MF柴崎岳とFW宇佐美貴史だ。もちろん、その陰には本田や岡崎のウラへの意識、長谷部の切り替えやタテへの意識といったものもある。 ▽しかし先制点は、柴崎の視野の広さと準備、パスの精度があってこそ。それ以外の局面でも、流れるようなタイミングで出されるタテパス、素早い戻りやセカンドボールへの反応など、攻守に存在感を示した。その中でも印象に残っているのは26分の場面、後方からフリーで縦パスを受けようとすると、そのタイミングと同時に前線の4選手がウラを狙う動き出しを見せた。この場面に、新たな7番に対する攻撃陣の信頼度の高さがうかがえた。 ▽さらに、32分に生まれた岡崎のゴールは、柴崎のタテパスを受けた宇佐美の中央突破から生まれた。半分は宇佐美のゴールと言っても差し支えはないだろう。あの狭い局面でのボールコントロールはさすが。またG大阪でのプレーのように、左サイドからのクロスやシュート、サイドバックとの連係で攻撃の起点となり、コンパクトな振りから繰り出されるミドルシュートでゴールを脅かした。この位置には、同世代の武藤や原口も控えているだけに、彼らとともに切磋琢磨し、確固たる存在として代表をけん引してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.12 14:00 Fri
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初招集選手プロファイル No.2~谷口彰悟~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽この2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿ではプロ2年目にして早くも日本代表としてプレーするチャンスを得た谷口の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆選手紹介 【生年月日】 1991年7月15日(23歳) 【身長/体重】 182cm/70kg 【所属クラブ】 川崎F 【ポジション】 セントラルMF、センターバック、サイドバック 【今季公式戦出場記録】 J1:15試合(1ゴール)/ナビスコ杯:6試合 ▽2014年に筑波大学時代の恩師である風間八宏監督率いる川崎Fに加入した谷口。ルーキーイヤーの昨年は、公式戦35試合に出場するなど、充実の1年を過ごした。主力として臨む2年目は、昨季まで守備の要としてプレーしたDFジェシの背番号“5”を継承。リーグ開幕からこれまで公式戦全試合に出場している。 ▽谷口は、視野が広く、戦術眼に長けたクレバーな選手。足元の技術も高く、センターバックとしてプレーしている川崎Fでは、ポゼッションサッカーを真髄とするチームを後方から支えている。また、高いボール奪取能力と当たり負けしないフィジカルを兼ね備えており、守備の面でも大きくチームに貢献している。 ▽上記の特徴から考えると、、谷口にとって代表でのライバルは、今回招集外となっているG大阪MF今野泰幸だろう。その高いボール奪取能力と様々なポジションをこなすユーティリティ性から日本代表で重宝されてきた今野だが、35歳で迎えるロシア・ワールドカップ開催時まで、現在と同レベルのパフォーマンスを維持できているとは限らない。。川崎Fでユーティリティ性を発揮している谷口にとって、今野の後継者としての役割を果たせることを証明できれば、代表定着も大いにありうるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・相澤滋貴》 2015.06.11 11:52 Thu
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初招集選手プロファイル No.1~丹羽大輝~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽今回の2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿では29歳にして初めてサムライブルーのユニフォームに袖を通した丹羽の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆DF丹羽大輝 【生年月日】 1986年1月16日(29歳) 【身長/体重】 180cm/76kg 【所属クラブ】 G大阪 【ポジション】 センターバック、両サイドバック、守備的MF 【今季公式戦出場記録】 J1:14試合 / ゼロックス杯:1試合 / ACL:8試合 ◆苦労の連続から出世街道へ ▽今やG大阪で最終ラインのレギュラーとして活躍する丹羽だが、これまでのキャリアに目を通すと、苦労人という言葉が思い浮かぶ。G大阪ユース出身の丹羽は2004年にトップチーム昇格を果たしたが、昇格後の3年間はプロ初出場を果たすどころか、ベンチ入りもままならない日々が続くなど、当初はプロの厚い壁に苦しんだ。そのため、2007年から2011年にかけては徳島、大宮、福岡へのレンタル移籍を決断。この武者修行の間に、チームキャプテンを務めた福岡時代の2010年に5年ぶりとなるチームのJ1昇格に貢献するなど、徐々に頭角を現した。 ▽5年間にもわたるレンタル生活で着実に成長の一途を辿った丹羽は、2012年にG大阪へ6シーズンぶりに復帰した。以降は、DF岩下敬輔やDF西野貴治との熾烈なポジション争いに身を置いたが、2014年の途中からは不動のセンターバックとして25試合に出場。失点数リーグ2位タイの31失点を記録したディフェンス陣を支え、G大阪の国内3冠(J1、ナビスコカップ、天皇杯)達成に大きく貢献した。今季はここまで公式戦23試合に出場。リーグ戦では全試合にフル出場を続けており、G大阪の最終ラインにおいて、なくてはならない選手として地位を確立している。 ◆ライン統率、クレバーさ、堅実さ ▽G大阪の最終ラインに欠かせない存在となった丹羽は、決してポテンシャルの高い選手ではないが、ライン統率やクレバーなディフェンスを堅実にこなすことのできるセンターバックだ。持ち味の1つであるライン統率で、岩下やDF米倉恒貴、DF藤春廣輝といったアグレッシブさを売りとするDF陣を1列にまとめ上げている。実際、今季のリーグ戦における失点数でもここまで試合数(14試合)を下回る10失点と、丹羽を中心としたディフェンスラインの堅さは数字にも表れている。 ▽また、丹羽の守備にはラインコントロールと同時に、クレバーかつ堅実な対応が際立つ。どのようなシチュエーションでも冷静沈着な状況判断が可能で、G大阪でもボールホルダーに対する無謀な食い付きや軽率なディフェンスは少ない。また、センターバックに加え、必要であればサイドバックや守備的MFでも卒なくプレーできるユーティリティー性は、代表への生き残りを考えても好材料となるはずだ。 ◆最大のライバルは槙野 ▽先の日本代表候補合宿ではサイドバックとして招集された丹羽だが、今回はセンターバックとしてノミネートされた。したがって、センターバックタイプの4選手が招集された今回に関しては、DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF森重真人(FC東京)、DF槙野智章(浦和)と、熾烈な生き残りをかけたポジション争いを演じることになるだろう。そのなかで、丹羽にとって最大のライバルとなり得るのが、彼と同様にサイドバックでもプレー可能な槙野だ。 ▽そして、明るいキャラクターを生かしたオフ・ザ・ピッチの部分での貢献度も、槙野と類似する点の1つだ。丹羽のムードメーカーぶりは、G大阪でチームメートのMF遠藤保仁が「笑いを提供してくれる」との理由で、昨シーズンのリーグ優勝の懸かる苦しい終盤戦のキーマンに挙げたほど。この点に関しては、チームの雰囲気を大事にする傾向のあるハリルホジッチ監督下の日本代表にとっても、欠かせないピースになり得る可能性を秘めている。 ▽あとは、宮本恒靖氏以来となるG大阪ユース出身のDFとして代表定着を狙う丹羽が、「ここに入る資格があることを証明してほしい」と招集メンバー発表会見で語ったハリルホジッチ監督の期待にピッチ上で応えられるかどうか。もちろん、今回の代表戦2試合だけが査定の全てではないが、複数のポジションでプレー可能なユーティリティー性や、クレバーかつ堅実なディフェンスで存在感を示すことができれば、キャプテンマークを巻いて71キャップを記録した宮本氏のように、代表でも確固たる地位を確立できるはずだ。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2015.06.11 11:51 Thu
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【日本代表コラム】上々の船出

▽ハリルホジッチ監督の言葉どおり「本当に素晴らしい出発になった」。青山のスーパーボレーにはじまり、最後は宇佐美と川又の“らしい”代表初ゴールで大量5得点を奪取。最高の形で新体制の2試合を終えたようにも思えるが、試合をトータルで評価すると、課題も多く見つかった。ただ、前回のコラムでも触れたように、それは当然のこと。試合後のコメントを聞く限り、新指揮官にとっても想定の範囲内だったようだ。 ▽キックオフ直後、岡崎が猛然とプレスをかけると、それに呼応するようにチーム全体でボールを奪いにかかる。チュニジア戦でも見られた姿勢であり、前半6分には、ボックス付近で前線の4選手が連動し、ワンタッチ、ツータッチでボックス内に侵入。そして、その一連の流れで得たCKのクリアボールを、青山が豪快且つ繊細なボレーでゴール右上に突き刺した。 ▽その直後にも、トップ下の香川にボールが収まると、乾のダイアゴナルランに合わせてプルアウェイした岡崎に絶好のパスが届くが、これを決めきれない。さらに乾や本田がミドルレンジから積極的にゴールを狙っていった。また、今回の合宿を通して練習していた3~4人が絡んでの《クサビ⇒落とし⇒展開》という流れからもゴールに迫っていった。 ▽しかし、“縦”と“速さ”を意識するあまりボールロストも多く、前と後ろが間延びする場面が散見。10番のラシドフを筆頭に、ウズベキスタンにも技術のある選手が揃っていたため、プレスをはがされ、マークにズレが生じてゴールを脅かされる場面も多かった。終盤のゴールラッシュに関しては、相手の集中力が切れていたことや、6人という交代枠によって前線の運動量が増えたことも影響したはずだ。 ▽ただ、ハリルホジッチ監督も、準備期間が短かったため、「仕方のない部分もある。そういったウィークポイントを修正していけばいい」と語り、改善点が出てくることは織り込み済み。現時点で大事なのは、“何ができて、何ができていないか”を把握することに他ならない。だからこそ、徹底的に“縦”と“速さ”の意識を刷り込み、自身のスタイルを示しつつ、そこまでの道のりを逆算したかったのだろう。 ▽また、新戦力の活躍にケチをつけるような言い方をしたが、彼らが結果を残したことは事実であり、大きな自信を手にしたはずだ。何より、太田や宇佐美、川又など、途中から出場した選手の多くが、自身の特徴を生かしてゴールに絡んでいる。香川もトップ下の位置で以前よりも軽快な動きを見せていた。そして青山はゴールだけでなく、自身の持ち味である展開力も発揮。特に、奪ったボールをダイレクトで前線の選手に供給するパスは、奪ってからの素早い展開を目指す現代表にもマッチするだろう。監督が「何人か気になる選手がいた」と語った「何人か」の一人は、青山のような気がしている。 ▽先のチュニジア戦に比べると悪い部分も目に付いたウズベキスタン戦だったが、ハリルホジッチ監督は「私が思っていたよりも早く、より良いチームになると思う」との見通しを語るなど、今回の代表合宿、そして2つの国際親善試合に手応えを感じていることは間違いない。見ている側にも、監督がどのようなチームを目指しているのかは伝わってきた。ここから2カ月余りは、そのチームに適した人材を発掘する時間ができる。指揮官がどのようなリストを用意するのか――約2カ月に及ぶ“視察”の中で、ハリルホジッチ監督の導き出す答えを楽しみに待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.04.01 12:30 Wed
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【日本代表コラム】選手の意識を高めた初陣

▽「明日は、これまでプレー機会が少なかった選手たちを起用したいと思っている」。前日会見でそう語った新指揮官の言葉どおり、大分スポーツ公園総合競技場のピッチには新鮮な顔ぶれが並んだ。結局、最後は後半途中から出場した“先輩方”がご活躍。岡崎と本田という役者のゴールにより、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣を白星で飾ることに成功した。 ▽いくら「たくさんの映像を見てきた」と言っても、監督就任から3週間ほどで、本格的な練習は3回だけ。すべてはこれからだ。今回の試合で注目していたのは、指揮官が前日会見で語っていた“球際の激しさ”と“プレースピード”の2点。数多くのミーティングや面談を経て、どれだけ意識付けされているのかを注視した。 ▽前者に関しては、キックオフ直後から川又や永井がアグレッシブにプレスをかけていき、その姿からは“何が何でも代表に残ってやる”といった気概を感じとることができた。最初は多少の“気負い”も感じられ、守から攻への切り替えがスムーズではなかったように思う。その点に関しては監督も認めており、改善の必要性を口にしていたが、その一方で「ピッチが滑りやすかった部分もある」と述べ、選手たちが見せた姿勢に満足感を示していた。 ▽一方、プレースピードに関しては課題が残った。ボールを奪ってシンプルに裏を狙うという場面は少なかったように思う。実際、監督は試合後の会見で「奪ったあとに短いパスを使いすぎている。もっと長いパスを狙ってもいい」との考えを示した。もちろん、何がなんでも縦や裏を狙う必要はないが、出せたはずの最初のタイミングで迷ってつなぎなおし、その結果、相手のプレスを受けるという場面が何度かあった。 ▽これに関しては、ミスを犯したくないという心理的な要素に加え、起用した選手の特徴や相性も関係していたと思う。前線には、永井、川又、武藤と、縦の意識が高く、裏を狙える選手が揃っていた。彼らに関しては実際にプレーを見ており、その特徴を理解したうえで起用していたはずだ。しかし、パスの出し手となる中盤の選手に関しては異なる。 ▽山口も長谷部も正確な長いボールを前線に送るというより、ボールを運びながら前に関わっていくタイプだ。どちらかと言えば、青山や柴崎の方が今日の3トップとの親和性はあるだろう。ただ、守備の強度に関しては山口や長谷部の方があるため、そのあたりの兼ね合いは難しいところではある。とはいえ、これから選手の特徴をより明確に把握し始めれば、自然と状況に応じた選手起用がなされるだろう。 ▽これまでの言動から察するに、今回の選手起用には2つの意味合いがあったと思っている。1つは、前述したような戦術的な側面。前線に裏を狙えるタイプの選手を並べ、ボールを奪ってから素早くゴールに迫ろうとしたのだろう。もう1つは、前回のコラムでも語ったように「開かれた代表」であり、「ファミリー」であるということを発信したかったのではないか。 ▽試合後の会見でも、次のJALチャレンジカップ(ウズベキスタン代表戦)には「違うメンバーで臨もうと思っている」と語り、多くの選手に出場機会を与えていくことを明言した。選手の特徴はこれから把握していけばいいし、戦術面のディティールも徐々につめていければいい。いま大事なのは、各選手のモチベーションを高く保ち、自分も一員であり、チャンスがあると感じさせること。うまくいけば自ずと競争力は高まってくる。信頼関係の構築という意味でも、公平に見ているというアクションは大事だ。 ▽もちろん、選手たちが高いモチベーションを持ってプレーし、自らをアピールするのは当然のことではある。それでも、見ていてもらえていると感じられることは選手にとって大きい。そういった土壌を整えておくことは無駄ではないだろう。チュニジア戦では、球際で戦えたことも、勝利を手にできたことも良かったが、すべての選手たちが“俺も使ってもらえる”と感じられた(であろう)ことが、“新陳代謝”も図っていきたい代表の今後に向け、何よりも意味のあることだったのではないか、と思っている。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.28 12:00 Sat
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【日本代表コラム】開かれた代表

▽先日の就任会見同様、新指揮官の並々ならぬ意欲を感じる約1時間のメンバー発表会見だった。そして、今回の会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が何度も強調していたのが、「日本代表は全員に開かれている」ということだった。 ▽今回のリストに名を連ねたのは、通常の23名ではなく、ケガ人3名を含む31名(そのほかバックアップメンバーが12名)だ。これは、より多くの選手を手元で確認し、より多くの選手に自身の考えを伝えたい指揮官の思惑を反映したもの。ワールドカップ予選まで時間がないことや、監督に就任してから1週間しか経っていないことを考えれば、当然のこととも言える。ちなみに31名のうち、19名はアジアカップのメンバーになるが、これも当然の流れだろう。しかし、枠を増やしたことで、これまでのベースを担保しつつ、新たな選手を加えることができた。 ▽その結果、初招集のDF藤春、ブラジル・ワールドカップ組のMF青山、同じワールドカップ組で現在はJ2でプレーしているMF山口、直前の視察(ナビスコカップ川崎Fvs名古屋)で見初められた(?)FW永井など、様々な立場や年齢の選手が選出された。また、監督自身、バックアップメンバーを発表した理由について「大きなグループであるということのメッセージ」と語っており、誰にでも代表入りの可能性があることを強調している。実際、バックアップメンバーには、ルーキーのDF車屋や2年目のMF谷口、頭角を現してきたMF大森といった若手、DF千葉やFW豊田といったアラサー組に、オーストラリアでプレーするMF高萩と、良いプレーを見せれば誰にでも代表入りの可能性があることは示された。 ▽なぜ、「開かれた代表」ということを強調するのか。それは、選手たちの成長を促すため、競争力のある代表を作るためだろう。実際、ハリルホジッチ監督も「期待したいのは各ポジションで競争があること。私には前もって決まっているベストメンバーはいない。時期によって調子も変わるので、そのときにベストな状態の選手を呼びたい」、「良いプレーをしていれば呼ぶ。スター選手に変わる選手にも期待しているし、そこが変わっても問題はない」と語っている。 ▽代表入りを目指す選手たちのモチベーションを高め、現在の代表メンバーには危機感を持たせる。それが相乗効果となり、全体のレベルを引き上げられれば言うことはない――。代表合宿は来週月曜からはじまり、メンバーもすでに決まっている。しかし、次のメンバー入りに向けた“競争”は、今週末のJリーグからはじまる。代表合宿も楽しみだが、今週末のJリーグも楽しみだ。まずは、代表メンバーやバックアップメンバーだけではない、代表候補選手たちのプレーにも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.20 20:00 Fri
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