コラム

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【倉井史也のJリーグ】今週はJリーグのレベルの高さがわかる出来事がありましたね!? の巻

▽このひねくれ者のコラムを読んでる人って、きっとみんな思ってるはずなんですけど、ワールドカップ出場が決まったけど、本当にこの予選ってこんなんでよかったんですかね? しかも最後負けてしまうなんて、やっぱりちょっと心配なわけですよ。 ▽それなのに、世間一般、ちょっとホッっとしすぎてません? いろんな問題点あったと思うんですよ、この予選でもサウジアラビア戦でも。コンディション悪そうな本田圭佑をなんで出したんだとか、疲労の色が濃い海外組ばっかり使ったんじゃないかとか。だいたい、Jリーガーをこれだけ使わないってのがよくわからない。井手口陽介が大活躍するんだから、リーグのレベルが低すぎるってこと、ないでしょ? ▽いや、むしろJリーグのレベルは無茶高いと思いますよ。だって7日の発表見ました? G大阪の長谷川健太監督と契約を更新しないんですって。去年大切にしてた両翼の選手がいなくなり、近くのクラブたちに比べると補強も全然しないで、それでも勝てなんて命題を与えられて、挙句の果ては契約更新せずですからね。しかも長谷川監督はまだリーグ戦もルヴァンカップも天皇杯も残ってるのに、今発表されちゃって選手大丈夫って心配もしなきゃいけない。監督にはそんなタフなメンタリティまで要求される、シビアなリーグなんです。 ▽次の監督はどんだけ難しいミッションになるんだろうって心配になりますし、そんなのをこなさなきゃいけない監督が率いるってのがJクラブなわけですよ。 ▽だいたい森保一監督がまだ余ってるってのもすごくないですか? 監督生活が5年と半分で3回リーグ優勝ですよ。しかも選手をどんどん他のクラブに持って行かれるってのに。そんな中で高成績を出せる監督まで、まだどこも手を着けてないんです。 ▽これだけ見ても、どんなにJリーグのクオリティが高いかわかるはず。実感したいのなら、9日(土)の19時、吹田スタジアムのG大阪vs神戸に行きましょう。大補強したクラブよりも上にいるのに、シーズン途中でこんな目に遭わなければいけない、なかなか考えられないシチュエーションで迎える関西ダービーでも、きっと長谷川監督は死力を尽くして策を練るはずなのです。 ▽にしても、ポスト・ハリルホジッチ監督と言われた2人が、フリーだなんて窶披€狽「やいや、ワールドカップ決まったばっかりですからね。も、もしかしてみんながホッとしすぎているこのスキに……?!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.09.09 12:00 Sat
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【編集部コラム】長谷川ガンバの5年間に及ぶサクセスストーリー完結へ

▽突然の一報。ガンバ大阪は7日、長谷川健太監督と来シーズンの契約を更新しないことを発表した。クラブは「長谷川監督からの卒業はこのタイミングだと判断」と説明。近年の戦いぶりを振り返ると、長期政権による“手詰まり感”が散見されていただけに、フロントの決断は理解できるが、このタイミングでの発表に違和感を覚えたのが正直なところ。ただ、クラブ上層部は後日、このタイミングで発表した理由に関して、「J2降格の苦渋を味わった2012年の失敗を繰り返さないため」と異例の速さで決断した内幕を明かしている。 ▽今シーズンのG大阪は、明治安田生命J1リーグ残り10試合の時点で、首位の鹿島アントラーズに13ポイント差の7位。3年ぶりの王座奪還は厳しい情勢であり、クラブも無冠に終わった昨シーズンから鑑みてシーズン終了後の監督交代という決断に至ったのだろう。どんな形でクラブから去ることになったとしても、名将は名将。長谷川監督が5シーズンで積み上げてきた功績は多大なものであり、チームに1つ目の黄金期をもたらした西野朗元監督と共に、名監督として語り継がれていくに間違いない。 ◆絵に描いたような成功の数々(c)J.LEAGUE PHOTOS▽長谷川監督がG大阪の指揮官の座に就いたのは、2013年だった。当時のG大阪は、J2初参戦のシーズンということもあり、クラブ史上最悪の状況。立て直しは容易ではなかったはずだ。しかし、就任1年目の2013年は、J2優勝で1年でのJ1復帰に貢献。翌2014年には、前人未到の昇格初年度での国内三冠(Jリーグ、Jリーグカップ、天皇杯)に導いた。その結果、個人としてもJリーグ最優秀監督賞を初受賞。これ以上ない、絵に描いたようなサクセスストーリーとなった。 ▽長谷川体制3年目以降も進撃は続く。2015年には天皇杯を連覇を達成。その他、AFCチャンピオンズリーグでの4強入りや、Jリーグ チャンピオンシップの決勝進出、Jリーグカップ3年連続決勝進出など、“タイトルに手が届く位置”までチームを導く凄腕を発揮してきた。そして、リーグ戦こそ優勝争いから遅れをとっている今シーズンにおいても、9月時点でYBCルヴァンカップ4強に進出。天皇杯もベスト16まで勝ち上がっており、長谷川監督のG大阪でのラストイヤーも十分にタイトル獲得の可能性を残している。 ◆派手さ 2017.09.08 22:25 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ハリルジャパンのストロングポイントは格上チームとの対戦で発揮

▽ロシアW杯アジア最終予選、日本は敵地ジェッダでサウジアラビアに0-1で敗れて全日程を終えた。高温多湿な環境と、すでに予選突破を決めていたこと、大迫を外して岡崎や本田などコンディションに不安を抱えていた選手を起用したことなど、敗因は様々だろう。 ▽この結果、サウジは同勝点ながら得失点差でオーストラリアを上回り、W杯出場を決めた。そして3位となったオーストラリアは、グループAで得失点差からウズベキスタンをかわしたシリアとのプレーオフに回ることになった。 ▽サウジは06年ドイツ大会以来のW杯出場だが、06年のオーストラリアはオセアニア枠での出場で、その後オーストラリアがアジア枠に入ったことで、サウジは日韓とオーストラリアに弾き出される形でW杯の出場権を逃してきた。彼らにしてみれば、やっとリベンジを果たせたというところだろう。 ▽さて日本である。サウジ戦は警戒していたジョーカーのF・ムワラドに決勝点を奪われた。彼のスピードについていけないなど、敗因は前述したように多々あるだろう。前半の昌子のヘッドや山口のミドルが決まっていれば、違った結果になったかもしれない。そこから見えてくるハリルホジッチ監督のサッカーの弱点が気になるところだ。 ▽今回のアジア最終予選でベストマッチはアウェイのUAE戦とホームのオーストラリア戦だと思う。前者は、UAEのストロングポイントであるオマル・アブドゥルラフマンを原口、今野、長友とフィジカルの強い左サイドのトライアングルで封じた。試合途中からオマルは窮屈な右サイドから左サイドにプレーエリアを変えたものの、そこでも酒井宏と久保が攻撃参加することでオマルの攻撃力を半減した。 ▽オーストラリア戦ではパスサッカーに対し、山口と井手口という守備能力に長けた2人を高い位置に置くことでオーストラリアのWボランチに圧力をかけつつ、3バックのサイドのスペースを浅野と乾のスピードと個人技で崩しにかかった。 ▽対戦相手のストロングポイントやウィークポイントが明白な時に、ハリルホジッチ監督は明快な戦略でそれらを攻めて結果を出した。しかしながら、アウェイのサウジ戦やイラク戦など、体力的なハンデもあるが、攻守にこれといった特徴のないチームには苦戦を強いられた。例外は、明らかに格下のタイ戦くらいだろう。 ▽このことからも、ハリルホジッチ監督の真骨頂は「ジャイアントキリング」にあることは疑う余地がないし、彼を招ヘいした前技術委員長の霜田氏の狙い通りと言える。その一方で、チーム戦術ではなく個人技で攻めてくる同等の相手には苦戦を強いられたのも事実である。 ▽ロシアW杯では日本より格上のチームとの対戦が予想されるだけに、こうした不安は杞憂に終わるだろうが、過去対戦で苦手とする南米勢やアフリカ勢との苦手意識をどう払拭するか。10月の親善試合はニュージーランドとハイチが相手とあって、日本の現在地を確認できる相手とは思えない。11月に予定されている海外遠征が、ハリルジャパンの最終章の始まりと言えるのかもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.09.07 16:42 Thu
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【編集部コラム】アーセナルは直ちに3バックをやめるべき

▽今のガナーズのムードはアーセン・ヴェンゲルが就任した1996年以降で最悪と言っていいかもしれない。開幕節のレスター・シティ戦こそ4-3で競り勝ったが、続く第2節のストーク・シティ戦(0-1)、第3節のリバプール戦(0-4)を落とした。とりわけ、枠内シュート0にとどまったリバプール戦のパフォーマンスを見れば、サポーターは優勝どころか来季のチャンピオンズリーグ(CL)復帰も不安になったはずだ。 ▽CL出場権を19シーズンぶりに逸しただけでなく、開幕から3戦で既に2敗。パフォーマンスだけでなく、チーム内の雰囲気も悪いようだ。今季限りの契約となっているFWアレクシス・サンチェスとMFメスト・エジルの契約延長交渉は進展しておらず、このままでは来夏フリーで手放すことになる情勢。さらに、DFシュコドラン・ムスタフィやDFエクトル・ベジェリンといった主力も今夏に退団を望んでいたと報道されるなど、慰留に向けて不安がある主力選手も少なくない。 ▽そんな中で、今季もCL権を逸するようであれば、今後、2003-04シーズン以来となる優勝を目指すチームどころか、欧州カップ戦出場も簡単ではないクラブに成り下がってしまう可能性すらあるだろう。もちろん、20年にわたってアーセナルをトップクラブにとどめてきたヴェンゲルも、その点は危惧しているはずだ。主力を可能な限りとどめること、そして一流選手を獲得し続けるためにも、アーセナルは今季、何としても再びCL権を手にしなければならない。 ◆チェンバレンの放出 Getty Images▽移籍市場が閉鎖してプレミアリーグが再開する今、CL権獲得のためにヴェンゲルがまずやらなければならないことは、3バックからの脱却だ。その1つ目の理由は、MFアレックス・オックスレイド=チェンバレンの放出。昨季終盤から今季のここまで3バックを採用してきたのにもかかわらず、ウイングバックとして最も重要な選手であるチェンバレンを放出せざるを得なかったのは、契約が今季限りだったため。クラブとしては、来夏にフリーで流出する前に現金化したかったのだろう。 ▽しかし、3バックを採用し続けると仮定すれば、労を惜しまないアップダウンと抜群の推進力を誇るチェンバレンは、エジルやサンチェスと同様にチームにおける最重要選手だった。そして、その代役を補強できていないことは致命的。本人がウイングバックを望んでおらず契約が今季限りだったとしても、代役を確保できていなかった以上、3バックを採用し続ける腹積もりならば、彼の移籍は実現させるべきではなかった。それも、CL権を争うライバルに対してのものだから、言い訳できない。 ▽ユース出身のDFキーラン・ギブスも放出した今、主なウイングバックはDFエクトル・ベジェリン、DFセアド・コラシナツ、DFナチョ・モンレアルのみ。右サイドで言えばベジェリンのみで、左にしてもモンレアルでは攻撃力に不安がある。優勝クラブに来季CL出場権が与えられるヨーロッパリーグも手が抜けない現状、3バックを継続していくためにはウイングバックの選手層も足りない。 ◆エジルの存在 Getty Images▽2つ目の理由はエジルだ。インターナショナルマッチウィークの代表戦、[4-2-3-1]のトップ下で輝きを放つエジルを見てヴェンゲルは何を思っただろうか。一般的に、[3-4-2-1]の[2]の選手は、[4-2-3-1]のトップ下とは違って守備時にサイドのケアが必要になる。エジルが[2]に入る場合は右であることが多いが、守備時のポジショニングから、カウンター時は必然的にそちらのサイドからのスタートとなることが多い。 ▽エジルの魅力は相手の虚をつくポジショニングと巧みなボールタッチ、広い視野を生かしたスルーパスであり、ベストポジションで言えばもちろんトップ下だ。[3-4-2-1]の[2]でエジルに継続的なハイパフォーマンスを求めるのは難しいだろう。クロス精度も非凡ではあるが、システマティックにサイドに流れさせては彼のプレーに制限をかけてしまう。エジルの笑顔なくしてアーセナルの復権は考えにくい。この世界屈指のタレントを生かすことを考えた場合、やはり[3-4-2-1]は得策ではない。 ◆センターバックの質 Getty Images▽3つ目の理由はセンターバック陣だ。現在のアーセナルのセンターバック陣では、とてもシーズンを通して持ち堪えられるとは考えられない。ヴェンゲルは、リバプール戦で21歳のDFロブ・ホールディングを右ストッパーとして起用したが、彼が対面のFWサディオ・マネを止めることができると考えたのだろうか。だとすれば、あまりにも楽観的だ。 ▽現状のメンバーでベストの3バックの構成を考えた場合、その人選は右からムスタフィ、コシエルニー、モンレアルとなるだろう。コシエルニーはもちろん、ムスタフィもプレミア2年目でパフォーマンス向上が期待できる。モンレアルは持ち前のポジショニングセンスと読みの鋭さでここまで何とかセンターバックをこなしているものの、シーズンを通して見た場合、フィジカル面での不安は拭いきれない。彼らのうち1人でも負傷すれば大幅な戦力ダウンは否めない。コラシナツも左センターバックをこなせるが、それでは今度は左ウイングバックが足りない。 ▽やはり、センターバックの質と選手層を考慮した場合、4バックとして右からベジェリン、ムスタフィ、コシエルニー、コラシナツ(モンレアル)とするのがベターだ。仮に3バックを継続するならば、中盤の底に入るMFグラニト・ジャカの相棒をMFアーロン・ラムジーとするのではなく、より守備力のあるMFフランシス・コクランかMFモハメド・エルネニーを起用してフォルターを厚くし、センターバックの負担を減らすことが最低条件だ。 ◆タイミングは今 ▽もちろん、現在のアーセナルの問題はシステムを変更すれば解決するものではない。事実、リバプール戦でもハーフタイム明けに[4-2-3-1]に変更している。それでも、まずは現状の選手の特性に合致していないシステムを変更しなければ、サポーターだけでなく選手たちも指揮官への懐疑心が高まり、雰囲気は悪くなる一方だ。今回のブレーク明けは、切り替える好機でもある。3バックから脱却するタイミングは今だ。 《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》 2017.09.06 20:30 Wed
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サウジ戦を控える日本…累積リーチは5人、ファウルトラブルを避けるためのスタメンとは!?

▽6大会連続6度目のワールドカップ(W杯)出場を決めた日本代表。5日の深夜には、長く厳しい戦いが続いたロシアW杯アジア最終予選の最終節、サウジアラビア代表戦が行われる。 ▽既に本大会出場を決めている日本代表にとっては、勝敗はW杯出場には関係ないものの、サウジアラビアにとっては死活問題。オーストラリア代表が最終節でタイ代表に2-1で勝利しため、日本に勝利しない限りは3位に転落し、グループA3位とのプレーオフに回ることとなる。 ▽日本にとって最も避けたいのは選手の負傷だ。サウジアラビアが激しく来ることを考えれば、負傷というリスクが伴う可能性がある。そして次に気をつけたいのが、選手の警告だ。 ▽ロシアW杯アジア最終予選では、2度の警告で1試合の出場停止となる。日本では、DF酒井宏樹(マルセイユ)が2度の警告を受けて、第4節のオーストラリア戦で出場停止処分となっていた。 ◆前回大会は予選の出場停止は持ち越し ▽サウジアラビア戦で日本のW杯予選は終了となるため、最終節が終わった段階で警告が累積した場合は、2014年のブラジルW杯と同じルールであれば、本大会の初戦でプレーできないこととなる。実際に、ブラジルW杯ではクロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチやコロンビア代表MFフレディ・グアリンは、予選最終節で退場処分となり、初戦を欠場している。 ▽現時点で、日本代表選手で警告を受けているのは7名。今回招集されているメンバーでは5名が警告を受けており、サウジアラビア戦では2枚目のイエローカードをもらわないことが重要となる。警告を受けている選手は以下のとおり。 DF吉田麻也(第1戦:UAE) DF酒井宏樹(第5戦:サウジアラビア) DF槙野智章(第4戦:オーストラリア) FW久保裕也(第6戦:UAE) FW大迫勇也(第9戦:オーストラリア) ▽この他に、GK西川周作(浦和レッズ)とDF森重真人(FC東京)が警告を受けているもの、今回のメンバーには招集されていないためリセット。また、FW大迫勇也(ケルン)もメンバー外になるとみられるため、リセットとなる。ちなみに、予選での警告は本大会に持ち越されないため、その他の選手がサウジアラビア戦で警告を受けても、リセットされる。もちろん、2度の警告や退場処分となれば、その出場停止は持ち越される。 ▽そうなると、吉田、酒井宏、槙野、久保が警告を受けた場合、出場停止となってしまう。本大会の初戦を考えると、不動のセンターバックである吉田、右サイドバックのレギュラーである酒井宏が警告を受けることは避けたい。また、右ウイングでポジション争い中の久保、センターバック、サイドバックをこなせる貴重なバックアッパーとなっている槙野も警告は避けたいところだ。 ▽チームの成熟度アップと、底上げを図っていきたい日本にとって、吉田と酒井宏を先発で起用する可能性は高いだろう。しかし、この件を踏まえると、リスクを回避するために出場させないことも考えられる。そうなった場合のスターティングメンバーは、以下のメンバーになる可能性が高いのではないだろうか。 ◆日本代表予想スタメン (C)CWS Brains,LTD.GK:川島永嗣 DF:酒井高徳、植田直通、昌子源、長友佑都 MF:柴崎岳、山口蛍、井手口陽介 FW:本田圭佑、岡崎慎司、原口元気 ▽DF三浦弦太(ガンバ大阪)もメンバーから外れるとみられており、鹿島アントラーズを支えるセンターバックコンビが日本代表で実現する可能性がある。また、右サイドには酒井宏に代わって酒井高徳(ハンブルガーSV)を起用できるだろう。 ▽センターバックを植田と昌子の鹿島コンビにする場合は、GKは川島永嗣(メス)となるだろう。GK東口順昭(ガンバ大阪)やGK中村航輔(柏レイソル)のプレーも観たいが、大幅な変更は経験値の積み上げにもなりにくい。左サイドバックも槙野を起用しないと考えるならDF長友佑都(インテル)になるだろう。 ▽中盤はMF長谷部誠(フランクフルト)、MF香川真司(ドルトムント)が離脱したため、選択肢は減る。連携面と経験を考えるとMF山口蛍(セレッソ大阪)、MF井手口陽介(ガンバ大阪)の2人は継続して起用したい。残る1枚はMF柴崎岳(ヘタフェ)を使いたいところだ。MF小林祐希(ヘーレンフェーン)、MF高萩洋次郎(FC東京)は展開によって起用か。 ▽前線は総入れ替えとなると予想。大迫がメンバー外になるとみられ、久保は累積が心配だ。オーストラリア戦で先発したFW乾貴士(エイバル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト)を起用しないとなれば、選択肢は限られる。右はMF本田圭佑(パチューカ)、センターはFW岡崎慎司(レスター・シティ)と予想。FW杉本健勇(セレッソ大阪)は戦術の落とし込みが十分ではなく、先発は考えにくい。 ▽いずれにしても、本大会を見据えた戦いをスタートさせる日本。チームとしての成熟度アップ、新たな戦力の発掘、スタイルの浸透など課題は多い。それでも、本大会へのリスク回避という点では、激しい戦いになると予想されるサウジアラビア戦での累積警告だけは避けたいところだ。26時30分と深い時間のキックオフとなるが、そのあたりに注目するのもいいのではないだろうか。 2017.09.05 21:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】まだW杯は遠い先だけど…

▽「帰っちゃうんだ」そんな風に私が残念に思っていたのは月曜日。お昼のニュースにバラハス空港ターミナル4のカウンターで搭乗手続きをするダビド・ビジャ(ニューヨーク・シティ)の姿が映った時のことでした。いやあ、前日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設の非公開練習のビデオでは彼も機嫌が良く、グラウンドに向かっていたため、リヒテンシュタイン代表戦では待望の代表復帰ゴールが観られるかもと楽しみしていたんですけどね。当人曰く、「セッション最後のプレーでintento llegar a un balon y estiro demasiado el cuadriceps/インテントー・ジェガール・ア・ウン・バロン・イ・エスティロ・デマシアドー・エル・クアドリセプス(ボールに届かせようとして大腿四頭筋を伸ばしすぎた)」そう。同日、チューリッヒ経由で現地入りするチームメートに別れを告げ、家族と共にニューヨークに戻ることにしたのだとか。 ▽それでもケガの程度は軽いようなので、10月初旬の代表ウィークに行われるロシア・ワールドカップ(W杯)欧州予選最後の2試合には間に合うはず。それに世の中はとっくにシーズンが開幕していながら、チェルシーに戻らず母国ブラジルで個人トレーニングを始め、プレミアリーグには選手登録されながら、チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグには登録外。まだアトレティコ・マドリーへの移籍も決まらないジエゴ・コスタが次の招集リストに入れるとは思えませんからね。となれば、この土曜日に代表98試合出場を達成し、大台まであと2つに迫ったビジャに再びお鉢が回ってくることもありうる? ▽まあ、そんなことはともかく、そのイタリア代表戦がどうだったかお話すると、当日午後、キックオフまでに時間があったため、私は会場のサンティアゴ・ベルナベウ近くの高層ビル街の中に設けられたファンゾーンを訪問。これまでスペインの獲得したユーロやW杯のトロフィーと写真を撮れるというは本当でしたけどね。予想外にこじんまりとしていて、列に並ぶファンの数もそう多くはなかった辺りに以前、メジャートロフィー獲得が3回続いていた代表黄金期との温度差を感じたものでしたが、試合の方は大丈夫。先週の水曜日にチケットが完売となっただけあって、camiseta(カミセタ/ユニフォーム)やbufanda(ブファンダ/マフラー)、ウィッグや帽子で完全装備したサポーターが赤と黄色のスペインのbandera(バンデラ/旗)を振って大いに雰囲気を盛り上げてくれました。 ▽え、試合前からCFを使うのか、それともfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/偽9番)でいくのか、スペインのスタメンでは疑問点になっていましたが…。まさかダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)、イスコ(レアル・マドリー)、マルコ・アシンシオ(同)を前線に並べ、1人もFWがいないというのはショックじゃなかったかって? そうですね、これがイアゴ・アスパス(セルタ)やデウロフェウ(バルセロナ)、ルーカス・バスケス(レアル・マドリー)ら、今回招集された他のFWたちの奮起につながると良いのですが、作戦的には大成功。そう、12分にはイスコが放ったFKにGKブッフォン(ユベントス)の手が届かず、スペインが早い段階で先制点を奪うことに。 ▽うーん、実はこれより前にもコケ(アトレティコ)がエリア前で敵DFに突き飛ばされ、彼らは近い距離でFKをゲットしていたんですけどね。その時は先日、バレンシア戦で見事なFKゴールを挙げたアセンシオも蹴りたそうにしていたんですが、蹴らせてもらえず。代表でもクラブでもキャプテンのセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)はイスコに対しても「次に蹴らせてあげるから」と丸めこみ、結果、セルヒオ・ラモスのシュートは枠外へ。似たような位置でボヌッチ(ミラン)がアセンシオを潰し、イエローカードをもらったため、すぐに次のFKのチャンスが来てくれたのは本当にツイていましたっけ。 ▽とはいえ、相手は去年のユーロで、ベスト16で敗退させられたイタリア。昨年のトリノでの試合でも1-0とリードした後、スペインは追いつかれて引き分けていましたから、油断はまだまだできなかったんですが、何なんでしょうかね。3バックではなく、4-2-4という超攻撃的なフォーメーションを採用しながら、この日の敵には怖さがほとんど感じられず。もちろん、ヒマでも決して集中力を途切らせていなかったGKダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が新鋭アンドレア・ベロッティ(トリノ)のヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたなんてこともあったんですが、やはり中盤の人数が全然違うことが致命的だったんでしょう。ええ、39分には再びイスコがエリア前からシュートを決め、2-0になったとなればもう、大船に乗った気でいて良い? ▽ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)の至近距離シュートをデ・ヘアが弾いて始まった後半もそれ以降、危険な場面はほとんどなく、さすがにこれぐらいの時間になれば、相手も疲れて、マークも甘くなるだろうと踏んだんですかね。フレン・ロペテギ監督は72分にアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)からアルバロ・モラタ(チェルシー)に代え、スペインはいよいよ文字通りの9番を投入。それでも最初はせっかくこの夏までの同僚、イスコからスルーパスをもらいながら、ユベントス時代にお世話になったボヌッチに止められてしまった彼でしたが、76分には自陣でボールを奪い返したセルヒオ・ラモスが上がるのに合わせ、ベルナベウを根城にするチームのお家芸を披露してくれます。もちろんそれは超高速カウンターで、最後はセルヒオ・ラモスのキラーパスをゴール前から押し込んで、とうとう3点目。同等ランクの代表相手にこんなに強いスペインを見るのは私もかなり久々だったかと。 ▽まさに「Hemos jugado sin 9 muy bien y luego, con 9, hemos cerrado el partido/エモス・フガードー・シン・ヌエベ・ムイ・ビエン・イ・ルエゴ、コン・ヌエベ・エモス・セラードー・エル・パルティードー(ウチは9番なしで凄く良いプレーをして、それから9番を入れて試合を終わらせた)」(モラタ)ということですが、その直後にはアセンシオもこの夏、U21ユーロで決勝まで共に戦い、トロフィーはドイツに奪われてしまったものの、ピチチ(得点王)となったサウール・ニゲス(アトレティコ・マドリー)に交代。まあこれはコケ同様、しっかり守るお隣さんの特性を期待しての起用でしょうが、おかげでロペテギ監督もスタンドのコールに応えて、ビジャをピッチに入れる余裕が持てることに。 ▽ええ、残り時間は少なかったんですが、後半もマルコ・ヴェッラッティ(パリ・サンジェルマン)へのcano(カーニョ/股抜き)やsombrero(ソンブレロ/敵の頭上にパスを上げて抜く技)など、マドリーのロッカールームでmagia(マヒア/マジック)と呼ばれている所以を十二分に証明したイスコ。試合前はアセンシオ・フィーバー一色だった世間に元々、ベルナベウのお気に入りナンバーワンは自分だったと思い出させた同選手が大喝采を浴びてベンチに戻ります。それと同時に、スペイン黄金期を支えた7番がいよいよ登場したんです! いえ、実際、プレーした5分間でボールに触ったのは2、3回だったため、モラタの「David ha estado increible, como siempre. Ha sido un partidazo/ダビド・ア・エスタードー・インクレイブレ、コモ・シエンプレ。ア・シードー・ウン・パルティダソ(いつも通り、ビジャは信じられない程だった。最高のナイスゲームだったよ)」という言葉にはちょっと??? なんですけどね。 ▽それでも当人は「Estoy feliz de que la gente me haya recibido asi/エストイ・フェリス・デ・ケ・ラ・ヘンテ・メ・アジャ・レシビードー・アシー(観客があんな風に自分を迎えてくれてボクは幸せだよ)」と大満足していましたし、バレンシア時代にカンテラ(ユースチーム)から呼ばれてトップチームと一緒に練習していた頃から知っていたというイスコのことも絶賛。「La esta rompiendo/ラ・エスタ・ロンピエンドー(ブレイクしている)。スペイン人だから、みんなが彼のプレーを代表で楽しめる」と言っていましたが、スペインではバルセロナ、アトレティコとライバルチームにいたビジャだけにあまり、マドリーでの活躍は見たくはない? ▽実際、そのイスコに関してはロペテギ監督のみならず、イタリアのジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督からも称賛しか聞こえなかったんですが、あまりに時間が遅くて、私がスタジアムから出てしまった午前0時過ぎ、ミックスゾーンに出てきたセルヒオ・ラモスなどからは、ビジャとは逆に「Estoy contento por mis cachorritos del Madrid/エストイ・コンテントー・ポル・ミス・カチョリートス・デル・マドリッド(ボクのマドリーの子犬ちゃんたちのおかげで満足だよ)」なんてコメントも。いえ、モラタは今、スタンフォード・ブリッジでプレーしていますけどね。もしかしてチャビ・エルナンデス(今はカタールのアル・サッドでプレー)、イニエスタらの全盛期で迎えたスペイン黄金期を今度はイスコ、アセンシオのマドリーコンビで再現できたらという野望でもあるんでしょうか。 ▽え、それで今回、ベルナベウではジェラール・ピケ(バルセロナ)へのpito(ピト/ブーイング)はあったのかって? いやあ、同僚のセルヒオ・ブスケッツなどは「La aficion estuvo de 9,5, porque hubo algun pito al inicio/ラ・アフィシオン・デ・ヌエベ・コンマ・シンコ、ポルケ・ウボ・アルグン・ピト・アル・イニシオ(ファンの態度は9.5点。序盤はブーイングがあったから)」なんて言っていましたが、私にはまったく聞こえず。ピケがボールを持つたび、大きな拍手が始まるため、最後はうっとおしいぐらいに感じた程で、さらにコケのCKを当人がヘッドで外した時など、ピケコールまでありましたからね。そのおかげもあって、選手全員がピッチで輪になって3-0の勝利を喜んだ後、当人も安心して自分の子供たちとピッチで遊ぶことができたのではないかと。 ▽まあ、次はアウェイですから、そんな心配はしないでいいんですが、月曜日の夕方にはビジャ以外、25人の代表選手たちはファドゥーツのラインパーク・シュタディオンで練習。グループ2位のイタリアに勝ったことで勝ち点差3がつきましたし、相手のリヒテンシュタインには昨年の試合で0-8と大勝しているため、この2戦目はあまり心配することはないんですけどね。前日会見に出たロペテギ監督は「El futbol es como es y lo vimos en el Francia Luxemburgo/エル・フトボル・エス・コモ・エス・イ・ロ・ビモス・エン・エル・フランシア・ルクセンブルゴ(サッカーはサッカー、フランスvsルクセンブルクでそれを見たよ)」と慎重な姿勢を決して崩さず。これは多分、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリー)が悪いんですが、好機を2度とも決められず、フランスが小国と日曜日の試合でスコアレスドローに終わった例を出して、自信過剰になるのを戒めています。 ▽それでもローテーションは大いにありそうで、今度はファンも次のリーグ戦が視野に入ってきますからね。半分ぐらいスタメンを変えて、あとは様子を見ながらでもいいかと思いますが、スペインのW杯出場がまだ決まっていないのも事実は事実。この火曜日午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリヒテンシュタイン戦、そして10月のアルバニア代表、イスラエル代表戦と上手くやって、プレーオフなどで気を揉むことなく、来年のロシアでグループリーグ敗退した2014年ブラジル大会のリベンジをじっくり計画できたらいいですよね。 ▽そして最後にマドリッドの4クラブの様子も少々、お伝えしておくと、土曜日にレバンテ戦を控えるマドリーでは各国代表選手の先陣を切ってマルセロが帰還、月曜日から再開されたバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習に加わっています。これは先週のエクアドル代表戦でイエローカードをもらい、火曜日のコロンビア代表戦に出場停止となったからですが、え、ということは同じ土曜にバレンシアに乗り込むアトレティコのフィリペ・ルイスが代わりにブラジルの左SBとして出場? ちょっと不公平な感じはしますが、どちらにせよ彼らはすでにW杯出場権を得ているため、そんなに気にすることはないかと。ちなみに日曜日にポルトガル代表の予選2試合目、ハンガリー代表戦を終えたクリスティアーノ・ロナウドはまだリーガでの出場停止処分が続いているため、合流が遅れるようです。 ▽同様にあと1試合、出場停止があるグリーズマンの姿も月曜日のマハダオンダ(マドリッド近郊)では見られませんでしたが、気の毒なのは、アトレティコではシメ・ヴルサリコ、マドリーではルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチといるクロアチア勢。土曜日のコソボ代表戦が豪雨で途中中断、日曜日の午前中に試合の残りをやって1-0で勝ったものの、火曜日にはもうアウェイでトルコ代表戦に挑まないとならないなんて、あまりにハードでは? 大西洋を渡っている選手に関してもディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネスのアトレティコ・ウルグアイ勢、ケイロル・ナバス(コスタリカ)、カゼミロ(ブラジル)らは帰還が木曜日になりますが、何せジネディーヌ・ジダン監督にはお得意のローテーションがありますからね。代表選手の総数は17対13でマドリーの方が多いものの、未だに工事中でスタジアムに近づけもしないワンダ・メトロポリターノのせいで今節までリーガはずっとアウェイ、来週火曜日のCLローマ戦も遠征というアトレティコはかなり大変そうですね。 ▽一方、今週も移籍市場のクローズ寸前に獲得した選手たちのプレゼンに余念がないのがマドリッドの弟分2チームで、両者は奇しくもこの金曜日、2004年に2部で対戦して以来、1部ではクラブ史上初となるダービーで激突。こちらも代表選手がまったくいないレガネスと柴崎岳選手、ジェネ・ダコナム(トーゴ)、ファイサル・ファイル(モロッコ)と、3人の主力が出向しているヘタフェでは準備に差が出るかと思いますが、2連勝で現在、3位につける前者とまだ開幕から1勝も挙げられていない後者では心理的な余裕も違う? うーん、今回は満員が予想されるブタルケ開催とあって、レガネスファンの応援に押されてしまうことも考えられますが、こればっかりはねえ。今週はまた日を見て、私も両チームの練習を偵察してこようかと思います。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.05 13:13 Tue
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【六川亨の日本サッカー見聞録】W杯予選で脅威を感じたポゼッションサッカーの未来

▽日本代表が昨夜、オーストラリアからW杯予選で初勝利を奪い、6大会連続のW杯出場を決めた。埼玉スタジアムで試合を取材していたため、渋谷のスクランブル交差点などでサポーターが喜びを爆発させたのを深夜のテレビや今朝の新聞で知り、改めて“日本代表(サッカーではなく)”の影響力の大きさを知った。 ▽試合はハリルホジッチ監督のプラン通り、俊足の浅野を起用して3BKの左サイドを狙った攻撃と、オーストラリアのポゼッションサッカーによるビルドアップを封じるため井手口と山口の起用がズバリ的中。浅野と井手口というリオ五輪代表だった若い2のゴールでオーストラリアを撃破した。 ▽オーストラリアは昨年10月の対戦時も、ポステゴグルー監督はハイクロスによる攻撃からポゼッションサッカーにスタイルを変えていることを強調した。そのためハリルホジッチ監督はリトリートしてパスコースを消しつつ、インターセプトからのカウンターを狙い、原口が先制点を奪った。 ▽そしてホームでの試合は、デュエルとインテンシティで勝負できる選手を起用し、さらにカウンター狙いを徹底。ミドルサードからボールを奪いに行くアグレッシブな姿勢を貫いた。恐らく今後もハリルホジッチ監督が日本代表の指揮を執るなら、W杯で目指すのは、かつてボルシア・ドルトムント時代にユルゲン・クロップ監督が採用した「ゲーゲンプレス」ということになるだろう。 ▽といったところで、昨夜の試合で感服したのは、オーストラリアが徹底してポゼッションサッカーにこだわったことだ。それまでのオーストラリアは4-2-3-1や4-4-2からのポゼッションサッカーだったが、コンフェデ杯では3-4-3にシステムを変更し、より攻撃的なサッカーを目指している。 ▽これは余談だが、試合後のポステゴグルー監督は「ピッチ中央がスリッピーで、中央のエリアを支配することができなかった」と振り返った。昨日はピッチ全体を機械で散水した後に、さらにセンターサークル付近を中心に、ボンベを背負った係員が入念に散水していた。これもオーストラリアのビルドアップを想定して、よりスリッピーにすることでパスサッカーを封じにかかるハリルホジッチ監督の作戦だったのだろう。 ▽そうした障害がありながらも、オーストラリアは自分たちのスタイルを貫徹した。日本のゴール前に攻め込んでも簡単にクロスは上げず、ポジションチェンジしながらワンツーによるリターンパスで突破を図った。迂闊に対応するとPKを取られるリスクもある攻撃だ。 ▽そしてリードを許した後半は、サイドからのクロスで日本ゴールを脅かしたものの、クロスは日本が弱点とする空中戦ではなく、低くて速いクロスが多かった。それはエースのユリッチやケーヒルが交代出場しても変わらなかった。 ▽試合後に空中戦に強い2人を投入しながら「パワープレーではなくポゼッションサッカーにこだわった理由」を質問されると、ポステゴグルー監督は「そういうサッカー(ポゼッション)をしたいからだ。このフィロソフィー(哲学)で結果を出したい」と胸を張って答えていた。 ▽ポステゴグルー監督が言うとおり、ポゼッションサッカーにこだわるのはわかる。おそらく1点差なら、終盤はパワープレーに出たかもしれない。しかし2点差だったためポゼッションサッカーを貫いたのだろう。 ▽日本にとっては、ドイツW杯でパワープレーの連続から3DFが体力を消耗してケーヒルにゴールを許した苦い経験がある。にもかかわらず、ここ数年のオーストラリアは、ポステコグルー監督はポゼッションサッカーに強いこだわりを見せ、大一番の日本戦でもその姿勢は変えなかった。 ▽オーストラリアは、オセアニアやアジアではフィジカル勝負で圧倒できる。しかしW杯でヨーロッパや南米、アフリカ勢と対戦したら、アジアではアドバンテージであるフィジカルは通用しない。そのためのポゼッションサッカーだが、ポステゴグルー監督の目指すところは、まだ“道半ば”といったところだろう。 ▽そういった意味では、ザッケローニ元監督でポゼッションサッカーにより一つの形を作り、ハリルホジッチ監督でショートカウンターのスタイルを目指している日本は、オーストラリアより半歩先を歩いているかもしれない。 ▽しかし今回、ポステコグルー監督が勝敗にかかわらずポゼッションサッカーを追求したことで、彼らがW杯に出場できるかどうかは別にして不安も感じた。このままポゼッションサッカーを追求して、日本と同レベルに達したら、空中戦やフィジカルでのアドバンテージがあるだけに、アジアで最強のチームになる可能性があるからだ。 ▽レーハーゲルからポステゴグルーと自国リーグで結果を出した監督に指揮官を代え、独自のスタイルを構築しつつあるオーストラリア。今後もアジアでは韓国やイランと並び日本のライバルとなることは間違いないだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.09.02 10:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】どちらが強いのだろう…

▽「意外と弱気なものね」そんな風に私がいぶかっていたのは金曜日、サンティアゴ・ベルナベウのプレスコンファレンスルームでベントゥーラ監督が着くのを待っている間、イタリアから来たラジオ記者が「ウチは11月まで大変だ」と愚痴っているのを聞いた時のことでした。いやあ、木曜にW杯進出を決めた日本と違い、スペインのいるヨーロッパ予選グループGは首位の彼らと2位のイタリアが同勝ち点で並走。得失点差4で順位が決まっているため、今回の対戦でどんな結果が出ても10月まで勝負は続くんですけどね。「イタリア人はリアリストなんだ。2位になる自信ならあるよ」という彼は更にその先、プレーオフまで戦うことを覚悟していたから。 ▽まあ、昨年の両者は直接対決もトリノで1-1と引き分けていますし、実際、圧倒的にロペテギ監督率いるチームが優勢という訳じゃないんですけどね。ちなみに月曜の夜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合したスペイン代表は翌日からトレーニングを開始。そこで結局、正確な開始時間はわからなかったものの、8月中はモンクロア(マドリッド市内にあるバスステーション)からの便が少なくなることもあり、午前11時ぐらいには着けるかなあという感じで私も向かうことに。運良く、それがドンピシャだったのはラッキーだったんですが、アップが終わった時点で取材陣全員にプレスルーム行きの命令が出るなんて、やられたとしか言いようがない? ▽そこでようやく顔なじみの代表番記者にスケジュール表を見せてもらい、わかったのは今回の合宿では水曜午前のセッションと前日のサンティアゴ・ベルナベウでの練習以外、一般公開はなし。マスコミでも昨今のレアル・マドリーやアトレティコ同様、午前中は開始から15分間しか見られない上、午後は完全非公開、しかも施設外の丘から丸見えのグラウンドをなるたけ隠すため、ネットにシートをかける作業まで始めている念の入りよう。ええ、これってもう、マドリッドで気楽に最初から最後まで練習見学できるチームは弟分のレガネスとヘタフェしかないってことじゃないですか。 ▽おかげで翌日、私が1本遅めのバスで施設に着いた時にはもう、唯一の公開日を狙って駆けつけたファンたちでスタンドに席がない程の混雑状態。何せ、世間はまだ夏休みですからね。私も人垣の間から、選手たちがグラウンド半分で11人対11人のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)に興じるのを覗き見るしかなかったんですが、組分けの方はまだロペテギ監督も試している段階だったのか、例えば前線など、片やビジャ(ニューヨーク・シティ)とデウロフェウ(バルサ)、アセンシオ(マドリー)が並んでいるかと思えば、もう一方はモラタ(チェルシー)、ペドロ(同)、シルバ(マンチェスター・シテイ)のプレミア勢の3人。 ▽今回は総勢26人呼んでいるため、途中から負傷離脱したビトロ(ラス・パルマス)の代わりに追加招集されたルーカス・バスケス(マドリー)、イアゴ・アスパス(セルタ)、A代表初体験のスソ(ミラン)が入り、アセンシオ、デウロフェウ、ペドロが抜け、最後はまたピッチに戻ったアセンシオのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/CFの位置に入る仮のMF)なんてパターンもありましたが…うーん、ちょっと心配だったのは前日、グループリーグで敗退した2014年のW杯ブラジル大会以来となった、35歳での再招集を受けたビジャなど、「リストにいる選手の質の高さにはビックリだよ。Por qué no va a volver otra época gloriosa como la que tuvimos?/ポル・ケ・ノー・バ・ア・ボルベル・オトラ・エポカ・グロリオーサ・コモ・ラ・ケ・トゥビモス(どうして以前の栄光に満ちた時代に戻れない訳がある?)」と非常に楽観的だったんですけどね。 ▽というのも、このミニゲームでゴールを入れたのはたった1人、それも先週末、ラス・パルマス戦でキャリア初のdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成して勢いづいているコケ(アトレティコ)だけだったから。もちろん今年、MSLで19得点も挙げているビジャが戻って来たのは、前日記者会見でイタリアのGKブッフォンも「リーグが開幕したばかりで、ウチはまだ100%じゃない。スペインはシーズン真っ最中のリーグにいる選手を呼んだ。彼は以前、随分痛手を与えてくれたけど、明日はそうじゃないことを祈るよ」と警戒はしていましたけどね。やはり移籍騒動が長引き、母国ブラジルでバケーション3ケ月目という状態のジエゴ・コスタが来られなかったのは大きなマイナスだったかと。 ▽その上、チェルシーで当人の後釜になり、代表でも同じ期待が懸かるモラタなど、「自分はビジャやトーレスがA代表でゴールを入れているのを見て育った」と、24歳という自身の若さを強調しつつも、2年間のユベントス経験は未だに強烈な記憶として残っているんでしょうかね。元同僚のボヌッチ(この夏ミランに移籍)、バルザーリ、キエッリニーリら、イタリアのBBCに正面から挑むのは気が進まないのか、「Aunque me fastidie decirlo, jugar con falso nueve es una buena idea/アウンケ・メ・ファスティディ・デシールロ、フガール・コン・ファルソ・ヌエベ・エス・ウナ・ブエナ・イデア(こう言うのは嫌気が差すけど、偽の9番を使うのはいいアイデアだね)。イタリアのDFはCFがいるとやり易いかもしれない」なんて言い出す始末。 ▽さすがにこれにはロペテギ監督も「Morata tiene que estar preparado para jugar./モラタ・ティエネ・ケ・エスタル・プレパラードー・パラ・フガール(モラタはプレーするため、準備ができていないといけない)」と苦笑していましたが、確かにコケも「Ellos intentarán que sea un partido muy físico/エジョス・インテンタラン・ケ・セア・ウン・パルティードー・ムイ・フィシコ(彼らは試合を肉弾戦に持ち込むようにしてくるはず)」と言っていたように、ガチンコの勝負になる可能性はかなり高いかと。ええ、金曜にあったU21のイタリアとの親善試合でもスペインが3-0と勧奨したしたものの、セバジョス(マドリー)が頸椎を痛めて担架で病院に搬送されたなんてこともありましたしね。ただ、大人の代表からは金曜には練習中に負傷したキエッリーニが代表を離脱したため、これで少しはモラタも気が楽になったかもしれませんね。 ▽そして前日から入場券を配って、1万人のファンを集めて開催された金曜夕方のサンティアゴ・ベルナベウでの公開練習はどうだったのかというと。こちらでのミニゲームではサウル(アトレティコ)やイアゴ・アスパス、更にはバルトラ(ドルトムント)のオウンゴールなどもあって、そこそこ点は入ったんですが、やはりそのチーム分けではスタメン予測はできず。慣例通り、アウェイのスタジアム練習はせず、選手たちが芝生の状態をチェックするため、スーツ姿で散歩していたイタリア同様、グループ予選中、一番難しい試合とあって、ロペテギ監督も最後の最後までカードをさらすのは避けたかったのか、何度も前線の選手を変えていましたっけ。 ▽そんな中での朗報は、さすがお膝元だけあって、アセンシオやイスコ(マドリー)へのコールが多かったのはともかく、この日はスタンドのファンからピケ(バルサ)へのpito(ピト/ブーイング)がまったく聞こえなかったこと。何せ、ことあるごとに永遠のライバルへの物議を醸す言動やSNSメッセージで反感を買うという自業自得的な面はあるものの、この件に関しては代表戦があるたび、マスコミが蒸し返すため、ファンが面白がってピーピーやっているようなところもありましたからね。今回はキャプテンのセルヒオ・ラモスが合宿初日から率先して当人を擁護、折しもスペイン・スーパーカップ優勝で溜飲を下げたばかりのカルバハルやナチョもそれに続いたため、ファンも控えることにしたのかもしません。 ▽ちなみにイニエスタ(バルサ)など、「El España-Italia se ha convertido en un auténtico clásico/エル・エスパーニャ・イタリア・セ・ア・コンベルティードー・エン・ウン・アウテンティコ・クラシコ(スペイン対イタリアは真のクラシコになった)」と言っていたこの大一番は土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)キックオフ。木曜にはクリスチアーノ・ロナウドがchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でのゴールを含めハットトリック、ポルトガルがフェロー諸島に5-1で勝っていたり、ベルギーなど、先発したカラスコは得点しなかったものの、ジブラルタルに9-0で大勝。こういう非現実的なスコアが出ると、本当に見るに足る予選は少ないのかと思われますが、それだけにグリースマンが先制点を挙げ、最後は4-0でフランスがオランダに勝った一戦のように、これはネームバリューのある代表同士の対戦ですからね。チケットも水曜には完売していますし、スペインには期待に背かないいいプレーを披露してもらいたものです。 ▽え、その間、マドリッドのクラブチームの方は何をやっていたんだって?いやあ、そのロナウド以下、総勢17名が各国代表に出向中のマドリーなど、水曜はジダン監督もニヨンで行われる恒例のUEFAエリート監督会議に出席するために不在。シメオネ監督はずっといたものの、選手13人が欠けているアトレティコ同様、細々と練習を続けていたんですが、どちらもこの週末はオフに。リーガ再開の準備が本格的に始まるのは来週水曜以降、少しずつメンバーが増えていってからになるはずです。まあ、前者ではバジャホ、後者ではガイタンのケガ治り、チームに合流したなんていいニュースもありましたしね。ジダン監督は現在のメンバー維持を希望していましたし、ジエゴ・コスタがアトレティコでプレーできるのは来年1月からとあって、土壇場移籍とも今年は縁がない両者なので、何とも静かなものでしたよ。 ▽一方、マドリッド勢で駆け込み補強を続けていたのはレガネスで今週はFWボービュー(セルタ)とMFブラサナツ(ベティス)がレンタルで加入。リーガ3位という現在の実力を証明するように、水曜のグアダラハラ(3部)との親善試合にも1-3で快勝しているんですが、やはり誰も代表に招集されていないというのは丸々2週間、トレーニングに励めるということで、paron(パロン/リーガの停止期間)明けも彼らには結構、期待できるかと。 ▽それとは対照的に柴崎岳選手を始め、4人が留守にしているヘタフェは同じ水曜、レクレアティボ(2部B)とのトロフェオ・コロンビーノ(夏の親善大会)に0-1で敗戦。リーガ開幕から3試合も無得点が続いたため、さすがにフロントも焦ったんでしょうね。ヨーロッパの5大リーグで唯一、1日遅れでスペインは登録期限が9月1日に終わるのを利用して、ジェファーソン・モンテロをスワンジーシティからレンタルで獲得しています。ウィングもできる攻撃的MFのエクアドル人選手ですが、柴崎選手も長距離移動で次戦の弟分ダービー、レガネス戦はまだ疲れているはずですしね。果たしてヘタフェが早期に1部復帰初ゴールを挙げるのに貢献してくれる即戦力になってくれるのでしょうか。 ▽その脇で奥さんがインスタグラムにボルダラス監督の悪口を書いたことが発覚して以来、チームから隔離されていたカタ・ディアスは木曜に契約を解除、翌日にはマドリッドの2部Bの弟分、フエンラブラダに入団したなんてこともあったんですが、何せ市場は丁度今、閉まったばかり。今のところ、ネイマール(PSGに移籍)の穴埋めに奔走していたバルサにデンベレ(ドルトムント)以降、誰が入ったなんて話も聞かないんですが、朝が明けて発覚するビックリの人事異動があること珍しくないため、その辺はまた改めてお伝えすることにしますね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.02 09:45 Sat
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【倉井史也のJリーグ】マジにこれでいいのかと1000回ぐらい聞きたい!? の巻

▽久しぶりに波瀾万丈の予選になったけど、何とかぎりぎりワールドカップ出場決定! めでたい! あー、ほっとしたって感じですね。でも、そんなときだから、ちょっと苦めに言っておきたいのがこのひねくれ者のコラムじゃないですか。 ▽今回の予選で驚いたのはカメラマンの数。朝から並んでいるカメラマンが4年前に比べると少ないんです。これって、もうみんなワールドカップに出て当たり前って思ってるから? だったら今回の予選でもしかしたらダメかもって気づきましたよね。 ▽いやいや、もしかしたらサッカーの人気が落ちてるから? それが一番怖いんじゃないですかね。競技人口が伸びてたりとか、Jリーグの観客動員数が伸びていたとしても、報道の熱が落ちたりするので、次の世代に響くと思うんですよ。これは日本サッカー界が、今一度、しっかりサッカーへの関心を呼び起こさないとダメだと思うんですけど。 ▽その二本柱となるべき、日本サッカー協会とJリーグの関係ってどうなの? とちょっと思ってしまうのが、今回のルヴァンカップ準々決勝じゃないですか。 ▽もともと、日本代表の活動期間に開催が当てられていたけれど、今回はさすがにモロかぶりっぽくないですか? オーストラリア戦の前に第1戦って、これ、カップ戦盛り上げるってことは、そのぶん代表の露出を減らしてませんか? ってか、このカップ戦で代表選手、いないんだって強烈な印象残しちゃいましたよね。 ▽ワールドカップ出場が決まって、やっと落ち着いて第2戦が見られるけど、もしこれでサウジアラビア戦に出場がかかってたら、もうルヴァンカップに注目が集まらなかったの間違いないと思うし。この時期は、やっぱり日本代表を日本サッカー界全体で盛り上げましょうよって思うんですけど。 ▽ま、とにかく今週末、日曜日に開催されるルヴァンカップ準々決勝第2戦は落ち着いて見られるってもんです。一番の注目は、初戦を1-3で落とした鹿島が果たして盛り返せるかってコトでしょうか。だいたい、ベンチ外にするんだったら植田直通を招集するなよって。こういうところも、すごいチグハグなんですよね〜。 ▽あ、そう言えば今は海外組重視で代表を組むから、代表戦があってもホントは戦力に影響ないチームが多かったりして……。 【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.09.01 18:37 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールを入れるのは易しい?それとも難しい?

▽「やってくれるわね」そんな風に私が呟いていたのは月曜。1節に続いて2節でもレガネスが3位と、CL出場圏内に留まっているのに気づいた時のことでした。いやあ、まだ2試合しかリーガ戦は消化していませんから…。日曜のエスパニョール戦でマントバーニのゴールにより0-1で勝利し、レアル・ソシエダ、バルサと一緒に2連勝とした彼らがマドリッドの兄貴分チームたちを差し置いて、上位にいるのは当たり前なんですけどね。ここで気になるのは、来週はインターナショナルマッチウィークとなるため、レアル・マドリーからは総勢16人、アトレティコも11人、もう1つの弟分、ヘタフェからも柴崎岳選手、ファジル(モロッコ)、ジェネ(トーゴ)の3人がそれぞれの代表戦に駆り出される中、レガネスに招集された選手がいるという話は一向に聞かず。 ▽つまり彼らはこの2週間、ほぼ全員揃って、ブタルケ(レガネスのホーム)から高速道路を挟んだところにあるインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケでじっくり練習に励み、代表戦週間明けのヘタフェとの弟分ダービーを迎えられることに。その後も対戦相手はエイバル、ジローナ、ラス・パルマスと続き、いわゆる強豪と当たるのはアトレティコを迎える7節が初めてとなると、もしやこの快進撃、しばらく止まらない? いえ、開幕のアラベス戦同様、2節も0-1で勝利したアシエル・ガリターノ監督は「Es fundamental no olvidar quién eres/エス・フンダメンタル・ノー・オルビダール・キエン・エレス(自分たちが何者なのか、忘れないことが大事)。それ以上のことを信じれば、1部にいるのも束の間だ」と、決して大風呂敷を広げたりはしませんけどね。 ▽昨季からメンバーも半分近く変わってしまったものの、監督が1部2年目ということで、要領を覚えたんでしょうか。守備も堅くなりましたし、相変わらず、得点を量産するFWには恵まれていないものの、1点ぐらいはチーム皆の力を合わせて取れるようになったため、私もちょっと期待してしまうんですが、こればっかりはねえ。というのも、この2節のマドリッド勢の戦いぶりを見て、ゴールはまさに水ものというのがよくわかったから。 ▽え、それは私が土曜に信じられないアトレティコのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を目撃したから、言っているんじゃないのかって? そうですね、マドリッド勢の先陣を切って、ラス・パルマス(カナリア諸島)での2節に挑んだ彼らですが、1週間前のジローナでは後半、猛反撃して、何とか辻褄は合わせたものの(2-2ドロー)、序盤の寝ぼけぶりをシメオネ監督も反省。グリーズマンが2試合の出場停止処分になっているのもあって、スタメンに手を加えたことが大成功したんです。ええ、開始3分にはツートップに抜擢されたビエットとコレアが繋がり、後者のシュートで先制点を挙げたかと思えば、その2分後にはカラスコも敵DFをエリア内で切り返してゴールをゲット。 ▽あれよあれよという間に2点もリードしてしまったため、これにはFIFA処分が解け、新規選手の登録ができるようになる来年1月までラス・パルマスにレンタルでお世話になっていて、その日は相手側の「cortesia(コルテシア/礼儀)」により、パルコ(貴賓席)見学をしていたビトロも少し安心したかと思いますが、すぐに待機モードに入ってしまうのもアトレティコの悪い癖。そこから後半序盤まで攻撃を怠け、相手にボールを持たせて専守防衛していたんですが、58分にはジローナ戦でストゥアニに後れを取ったサビッチのように、モモのクロスをゴディンがカレリに先を越され、ヘッドで1点差にされてしまったから、さあ大変! ▽でも大丈夫だったんです。というのも、この日は325試合に1回という奇跡が起こり、64分にはコケがエリア外右から狙い澄ましたシュートがゴールネットへ。更に74分にはカラスコの撃ったボールがDFに当たり、ゴール前に跳ねたところをchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)で決め、キャリア初のdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成してしまったから、驚いたの何って。いえ、その少し後にはビエットの代わりに入っていたガビがエリア内でビエラを倒し、PKを与えるなんて余計なことしてくれましたけどね。そこはGKオブラクが見事に弾き、失点を免れた上、88分にはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の後輩、トーマスがカラスコの折り返しをコケがスルーしたボールを弾丸シュートで決めて、とうとう1-5の大勝 になっていましたっけ。 ▽え、こんな試合ができるなら、この夏、戦力補強ができなかったのをファンが心配していたのは杞憂だったんじゃないかって? うーん、そうも言えますけどね。試合後、コケが「先週のことは教訓になった。相手の出方を待つんではなく、勝利を求めて向かっていかないといけない。Es importantísimo salir así todos los partidos/エス・インポルタンティシモ・サリール・アシー・トードス・ロス・パルティードス(全ての試合でこんな風にスタートするのがとても大切だ)」と言っていましたが、いや、それって大昔からのお約束じゃない? ▽そんなことすら、たまにすっかり忘れてしまうのが、いかにもアトレティコらしいところなんですが、多分、それもあったんでしょうね。シメオネ監督がガビ、フェルナンド・トーレス、ファンフラン、フィリペ・ルイスら、30歳以上の選手をベンチスタートにし、平均年齢24.4歳という若いチームを組んだのは。最後はヴルサリコに代わってサビッチが入ったため、4CB、4ボランチという異様に守備的なチームになっていたものの、おかげで勝ち点4でparon(パロン/リーガの停止期間)を迎えられることになり、順位も4位に上がったのは良かったかと。ただし、次のバレンシア戦でもそう上手くいくかは保証の限りではありませんが。 ▽その理由はまた後で話しますけど、翌日曜はコリセウム・アルフォンソ・ペレスに行った私はセビージャ戦キックオフ直前にレガネス勝利の朗報を知ることに。同じ弟分に先を越されてはヘタフェだって悔しいでしょうし、丁度、相手はバネガが出場停止、エンゾンジも負傷欠場だった上、先週の彼らは火曜にCLプレーオフ2ndレグのパナシナイコス戦があったため、疲労が見込まれましたからね。1節をアスレティックとゴールレスドローに終わった彼らにとって、1部復帰初勝利を飾る絶好の機会になると思ったんですが…何せ、シュートが入らなくてはねえ。 ▽そう、前節に続き、柴崎選手も前線で先発したこの試合では、後でカラも「ウチは攻撃でも守備でも優勢で、ボールをコントロールした」と言っていた通り、多くのチャンスを作ったヘタフェだったものの、頼りのエース、ホルヘ・モリーナもGKセルヒオ・リコを破ることができず。出場停止のアルバロ・ヒメネスに代わって、サイドに入ったアマトに至っては、テネリフェの一員だった6月の昇格プレーオフ決勝2ndレグ同様、絶好機にも枠をとらえることがまったくできないって、ボルダラス監督は「Tiene muchas cosas buenas/ティエネ・ムーチャス・コーサス・ブエナス(いいところも沢山ある)」とフォローしていましたけどね。いくら守備では献身的で足も速いと言っても、ああまでフィニッシュが下手となると、プレシーズンを過ごしたアトレティコに残れなかったのも無理はなかったかと。 ▽一方、ノリートやヘスス・ナバスがスタメンにいたセビージャも点が入る雰囲気ではなかったんですが、「Una falta de coordinación y una genialidad de Ganso nos priva de los tres puntos/ウナ・ファルタ・デ・コオルディナシオン・イ・ウナ・ヘニアリダッド・デ・ガンソ・ノス・プリバ・デ・ロス・トレス・プントス(コーディネーションの欠如とガンソの才能がウチから勝ち点3を奪った)」(カラ)という事態が起こったのは、すでに柴崎選手もポルティージョに交代していた83分。ええ、メルカドが右から入れたパスにカラの足は届かず、ジェネの前でガンソがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でボールの軌道を変え、1点を奪われてしまうことに。 ▽これが決勝点になって、結局、ヘタフェは0-1で負けてしまったんですが、ボルダラス監督が昨季、エスナイデル監督を引き継いで以来、コリセウムでは1度も黒星がなかっただけに、せっかく新設されたfondo azulon(フォンド・アスロン/南側ゴール裏にできた応援団席、ここの年間指定席購入者は80%以上の試合に来て、20分前には入場することになっている)のファンたちもこれにはアテが外れたかと。ただそれでも彼らは選手たちが一生懸命、やっているのをわかっているだけに何度、ガッカリさせられてもpito(ピト/ブーイング)が飛ぶなんてことはなかったのですが…。 ▽その次の時間帯でプレーした大先輩チームはそうはいかないんです。いえ、私は柴崎選手が通るかもしれないとミックスゾーンで待つつもりだったのと、ヘタフェ(マドリッド近郊)からサンティアゴ・ベルナベウまでは1時間以上かかるため、バレンシア戦には行っていないんですけどね。日本代表合流のため、当人が急いでいたんでしょうか。柴崎選手は姿も見せず、一番手で帰ってしまった上、珍しくマドリーが勝たなかった試合を見逃してしまうという結末になったんですが、何より悔しかったのはイスコに続く、新たな若きスター誕生の瞬間に立ち会えなかったこと。 ▽もちろんそれはアセンシオのことで、この日は開始10分にコンドグビアの逃したボールを敵陣で拾うとエリア前からのシュートで先制点をゲット。18分にはガヤ、ラトの連携から、20歳のカルロス・ソレルがゴール前で流し込み、バレンシアのカンテラーノトリオの活躍で同点にされてしまったものの、まさか77分に2列目から突っ込んできたコンドグビアに勝ち越し点を奪われた後、おそらくクリスチアーノ・ロナウドがまだ出場停止処分3試合目で、ベイルもルーカス・バスケスに代わっていたせいでしょうか。FKのキッカーをアセンシオが務めたところ、敵の壁の横を抜けるボールにGKネトは一歩も動けず。となれば、場内がアセンンシオコールで埋め尽くされたのも想像に難くありませんって。 ▽残りは7分プラス、アディショナルタイム。丁度、私はメトロの駅を出たところだったんですが、道沿いのバル(スペインの喫茶店兼バー)のテラスにTVがあり、通行人が足を止めて見ていたとなれば、何せ奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質のマドリーですからね。自分も立ち見で成り行きを追ったんですが、でも残念。その日のマドリーはキックオフ前の昨季のリーガ優勝杯授与式では主役を務めていたものの、先週のデポルティボ戦で退場していた93分の男、セルヒオ・ラモスがいなかったんですよ。最後にネトに弾かれ、ポストに当たって外に出たシュートを含め、再三のベンゼマのシュート失敗も響き、そのまま彼らは2-2で引き分けてしまいましたっけ。 ▽え、それでもジダン監督は「何より難しいのはチャンスを作ることだからね。ゴールを入れなかったけど、沢山働いたし、no se puede reprochar a un jugador que falla goles/ノー・セ・プエデ・レプロチャール・ア・ウン・フガドール・ケ・ファジャ・ゴーレス(シュートに失敗する選手を批判することはできない)」とベンゼマを庇っていなかったかって? まあ、そうなんですが、マドリーのCFとなると、期待値の高さはアマトどころじゃないですからね。その分、お給料も多いはずで、ロナウドが出られない今、ゴールを担う役目はベイルとベンゼマに懸かっているとなれば、サンティアゴ・ベルナベウの観客が両者にブーイングを浴びせたのも仕方ないかと。 ▽マドリーと引き分けて満足していたバレンシアのマルセリーノ監督も「ロナウドなら、マドリーがウチのエリアに入れた全てのボールのうち、幾つかは絶対、決めていただろう」と言っていましたしね。ちなみにアセンシオについては、「Puede marcar una época en el Real Madrid y en el fútbol español/プエデ・マルカル・ウナ・エポカ・エン・エル・レアル・マドリッド・イ・エン・エル・フトボル・エスパニョル(マドリーとスペインサッカーで一時代を築くことができるかもしれない)」と絶賛していましたが、9日のレバンテ戦までもう彼のプレーが見られないとお嘆きのマドリーファンには朗報が。 ▽というのもサウール同様、アセンシオも6月のU21ユーロ大会を境に完全にスペインA代表に移行したようで、月曜にはジエゴ・コスタ(チェルシー)が未だにブラジルから戻って来ないため、3年ぶりに招集されたビジャ(ニューヨーク・シティ)らと共にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿に入っているから。最初のW杯予選、土曜のイタリア戦はサンティアゴ・ベルナベウ開催ですし、そこでも雄姿を拝む機会があるかと。 ▽加えて来週火曜にはアウェイのリヒテンシュタイン戦もありますしね。今回、マドリーからの他の参加組はラモス、カルバハル、イスコ、ナチョ、そして月曜にビトロが膝の負傷で来られなくなったため、追加招集を受けたルーカス・バスケス、アトレティコはコケとサウールの2人です。うーん、私も練習を見学に行きたくて、代表のウェブなどをチェックしているんですが、火曜、水曜、木曜とダブルセッションとだけあって、時間も公開非公開も言ってくれないって、ちょっと不親切ですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.29 12:55 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】長距離移動は大変…

▽「予感が当たったわね」そんな風に私が呟いていたのは木曜。CLグループリーグの抽選が終わった時のことでした。いやあ、チェルシー、ローマと同じ組になり、アトレティコは難しいグループに入ったと世間的に言われてはいるものの、前者はUEFAスーパーカップや2013-14シーズンの準決勝でも破ったことがありますし、3年前にはここずっとセリエA連覇を続けているユベントスにグループリーグで1勝1分けしている彼らなんですから、後者にも別に怯えなくてもいいと思うんですけどね。当然のように4番目のチームとして入ったのが、参加クラブの中で一番遠いアゼルバイジャンのカラバフだったとはこれ如何に。 ▽そう、アトレティコは昨季もカザフスタンのアスタナまで8時間のフライトを強いられて、その前もロシアとはいえ、モスクワなどよりはるかに遠いロストフと同じ組に。カラバフもかなり長く飛行機に乗らないといけないはずで、熱心なファンには、ほとんどのスペイン人とって未踏の地であるCLデビューチームのホームに遠征することに喜びを覚える向きもあるかもしれませんが…。予算や移動の手間を考えると、比較的近場のユベントス、スポルティング、オリンピアコスと当たったバルサなどが羨ましいような。その上、今季はアトレティコとバルサが同日程になるため、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで流してくれるのかも心配って…。あ、もしかして私、一番大事なことから目をそらしている? ▽もちろんそれは現在のチームにFIFA処分の明ける1月までリーガでは2強に離されず、CL出場圏内に留まって、CLでは最低ラインのグループリーグ突破を果たせるだけの力があるかということなんですけどね。ちなみに今週の私は火曜の夕方、モンクロア(マドリッドのバスターミナル駅)からバスに乗って、マハダオンダ(マドリッド近郊)の彼らの練習場を偵察。顔なじみのラジオ記者らがマスコミ向け公開時間の後、金網の向こう側から見学しているファンに混じっても大丈夫だと言うので、その日はフィジカルメニュー以外の練習も観察してみたところ、何より目を引いたのはシメオネ監督のエキサイトぶりでした。 ▽ええ、ピッチ3分の2を使ってのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などでは、何度も「Balon rapido!/バロン・ラピドー(ボールをもっと速く)」という声が聞こえてきて、よっぽど開幕のジローナ戦でのもたつきがトラウマになっているんだろうなと思えてしまった程だったんですが、正面から照りつける西日にもめげず、ファンの子供たちはグリーズマンやサウールがミニゴールにシュートを決めるたび、「Goool!」と大歓声。まあ、そんなに沢山入った訳ではないんですが、この土曜のラス・パルマス戦ではグリーズマンがジローナ戦での退場による出場停止処分2試合の1つ目で出られませんしね。 ▽そのせいもあってか、今週はずっとコレアとビエットがツートップで仮想スタメン組に入っていたんですが…。今季こそ安定したパフォーマンスを挙げられるように期待されている前者はともかく、後者なんて、この夏はずっと放出要員と言われていたんですけどね。それがとうとう、金曜の試合前会見では、「補強ができないとわかってから、Bチームも含めて、全員が戦力。Los que tengo son todos titulares, del que pueda sacar algo, lo hare/ロス・ケ・テンゴ・ソン・トードス・ティトゥラレス、デル・ケ・プエダ・サカール・アルゴ、ロ・アレ(今いる選手は皆がレギュラーで、何かを引き出せるなら、私はそうする)」とシメオネ監督が言っているため、どうやら現在のアトレティコは立っている者は親でも使えの状態になっているよう。 ▽まあ、それで土曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からのラス・パルマス戦に勝って、昇格組のジローナと引き分けてしまった1節の穴埋めができるのなら、全然、文句はありませんが、カナリア諸島遠征に先だって、発表された招集リストにはふくらはぎを痛めていたフィリペ・ルイスと6月に恥骨炎の手術をしたガメイロが復帰という朗報も。初戦は出場停止だったゴディンとトーマスが戻るのもありがたいんですが、水曜にBチームとの練習試合で打撲を負ったガイタンはお留守番となりました。一方、バレンシアに1-0で負け、まだ勝ち点のないラス・パルマスは1月からアトレティコに来ることになっているビトロを契約条項に制限はないものの、レンタルしてくれた恩義を返そうと自主的に出場させない予定。レッドカードを受けたハリロビッチも出られないため、マノロ・マルケス新監督もスタメン編成に苦労するかもしれませんね。 ▽そして水曜の午前中の私はヘタフェに赴き、またしてもボルダラス監督のチームが計2時間半というハードなセションに汗を流しているのを見学。グラウンドから出て、隣接する丘を駆け上がるなど、やはり昇格プレーオフのせいで、プレシーズン開始が遅れたため、まだ体力強化が必要なのかなといった感じでしたが…。さらに夕方練習までやるんですから、柴崎岳選手も含めて皆、大変ですよね。そんなチームもある中、同日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でセッションをやる代わりにサンティアゴ・ベルナベウ杯を開催したのはマドリッドの大先輩で、午後10時45分という遅い時間からフィオレンティーナと対戦。 ▽相手チームではこの夏、ジェノバから加入したシメオネ監督の長男、ジョバンニが9番をつけて先発、開始3分にはGKカシージャの意表を突いて、ベレトゥがゴールも入れてリードしたんですが、その日は若手メンバー中心だったとはいえ、やはり今のレアル・マドリーの快進撃を阻むことはできません。ええ、6分には現在、5試合の出場停止処分を2試合消化したところのクリスチアーノ・ロナウドがマジョラルにキラーパスを出し、すぐに追いつくと、32分にはその当人がエリア内から斜めにネットに突き刺さる見事なゴールを決め、あっさり逆転に成功します。 ▽うーん、ジョバンニにも数回、敵エリアに侵入するチャンスはあったんですけどね。開幕デポルティボ戦で退場して、2節は出場停止になるセルヒオ・ラモスとナチョの壁は破れず、得点には至りません。フィオレンティーナはハーフタイムでメンバーを総取り替えしたため、後半からゴールを守ったジダン監督の次男、ルカとの対決も見られなかったのは残念でしたが、数人ずつ、選手を入れ替えたマドリーも追加点はなく、結局、2-1で試合は終了。最後はラモスがこの夏、3つ目となるトロフィーを掲げ、日曜のバレンシア戦に向けて勢いをつけていましたっけ。 ▽そして、翌日はモナコでのUEFAグループリーグ抽選会のセレモニーにロナウド、ラモス、モドリッチの3人が出張。前2人は今週末出られないため、別にいいんですけどね。メッシを抑えて最優秀選手と最優秀FWのダブル受賞をしたロナウドなど、司会者に一番お気に入りのCLゴールを訊かれ、「The last one I scored against this old man(この年寄り相手に奪った最後のゴールだよ)」と、隣に座っていたもう1人の最優秀選手の候補、ユベントスのベテランGKブッフォンにジョークを言うぐらいノリノリで、「世界一のクラブであるマドリーで最高のレベルで常にプレーする機会を持てているんだから、me siento afortunado y feliz de estar aquí un año más/メ・シエントー・アフォルトゥナードー・イ・フェリス・デ・エスタル・アキー・ウン・アーニョ・マス(もう1年、ここにいられて、自分はラッキーで幸せと感じている)」と、コンフェデレーションズカップ前に騒がれた移籍希望発言が完全に否定されたのにはホッとしたファンも多かったかと。 ▽CLグループリーグの組み合わせもドルトムント、トッテナム、アポエルと決まり、2位以上は大丈夫そうな感じになったため、同僚のマルセロを抑えて最優秀DFに選ばれたラモスも同様にご機嫌でしたが、日曜の試合に出ないといけない最優秀MFとなったモドリッチはちょっとこの日帰り旅行は負担になったかも。いえ、ローテーションが定番のジダン監督ですから、残念ながら同賞に落選したクロースとカゼミロに、イスコやセバージョスを並べてもいいんでしょうけどね。 ▽ただ、まだ補強の終わっていないバレンシアもエース、ザザのゴールで開幕戦に勝利。マルセリーノ新監督も「mentiría si no dijera que son dos preocupaciones menos/メンティリア・シー・ノー・ディヘラ・ケ・ソン・ドス・プレオクパシオネス・メノス(心配事が2つ減ったと言わなかったらウソにある)」と主力2人の不在を歓迎しているため、日曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からの今季リーカ、ホームデビュー戦ではケチをつけないよう、用心するに越したことはないかと。そうそう、また来週は代表選週間でロナウドもラモスもそれぞれ、ポルトガル、スペインのW杯予選でプレーするはずですから、運動不足になる心配はしなくていいですよ。 ▽え、代表と言えば、ヘタフェの柴崎選手も日本代表に招集されたんだろうって? そうですね、今週はパナシナイコスとのCLプレーオフ2ndレグで2-2と引き分け、総合スコア4-3でグループリーグ進出が決定。そこではリバプール、スパルタク・モスクワ、マリボルと戦うことになったセビージャをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎える試合も迫ってきたため、私も金曜の午前中にまた練習を見に行ってきたんですけどね。スタジアムの右側の道を下りて、ようやく練習場に辿りつけたのが11時過ぎと遅かったものの、クラブのオフィシャルウェブの練習予定表には10時開始とありながら、彼らが1時間程、ジムをしていてくれたのはラッキー。 ▽兄貴分のアトレティコもそうなんですが、そんな感じでスタートが遅れることもあるため、見学に行くつもりがある人は、開始時間ピッタリに行ったのにグラウンドに誰もいなくてもガッカリせず、ちょっと待ってみるのがいいかと。夏休みが終わったのか、最近は練習場内にあるバルも開いていますし、ここはトイレもあるため、心強いんですが、ただ予定表で「Lugar: Coliseum Alfonso Pérez/ルガール:コリセウム・アルフォンソ・ペレス」となっている日はスタジアムでの非公開練習なので注意を。そうなると選手に会えるのは練習後、彼らが着替えて、正面ゲートすぐ右にある駐車場から出て来る時しかありません。 ▽ちなみに30分程、フットボレー(足と頭を使ったバレー)をした後、攻撃陣がシュート練習をしたぐらいで軽めに終わったこの日、私も初めて柴崎選手を見に来た日本人ファン2人に遭遇。練習後、グラウンドから出て来たところで選手と一緒に写真を撮ってもらえた、留学を終えてこれから帰国するという女子はメトロ10番線とメトロスールを乗り継いで来たそうで、まあソルやアトーチャ駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)を通るC4線、Las Margaritas(ラス・マルガリータス)駅から歩いても来られるんですけどね。15分程かかりますし、メトロのLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅からなら、2ブロックも歩けばスタジアムですから、道に迷う不安がないという利点が。 ▽ただチームに関しては、ヘタフェにしては珍しいんですが、丁度前日、昨季までキャプテンを務めてきたカタ・ディアスが開幕のアスレティック戦に招集されず、いきなり員数外とされたせいで、奥さんがSNSで「Falso, traidor, cobarde, técnico mediocre y persona nefasta/ファルソ、トライドール、コバルデ、テクニコ・メディオクレ・イ・ペルソナ・ネファスタ(偽善者、裏切り者、臆病者、月並みな監督で有害な人物)」とボルダラス監督を罵倒していたことが発覚。当人もその日の練習には顔を見せず、移籍市場クローズが刻々と迫ってくる中、余計なゴタゴタが始まったようなんですが、このことについて監督自身は「結論はクラブが出す」と詳細については話してくれませんでしたっけ。 ▽実際、他にもアトレティコからのレンタルがこの夏、決まったばかりだったベラスケスがこの木曜に部のマドリッドの弟分、ラージョに行ってしまったり、もう1人のCBゴロシートも放出の見込みだったりと、どうも守備陣の方はまだ顔ぶれが固まっていない感も。うーん、先週のアスレティック戦ではウィリアムスに危ういシュートを何本も撃たれていたため、マンチェスター・シティから古巣に復帰したヘスス・ナバスや同じく、スペインに戻ってきたノリトのいるセビージャ相手にはもっとしっかり守らないといけないと思うんですけどね。まあ、それには日曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)からの試合を見てみないと。 ▽ちなみに金曜の記者会見でボルダラス監督は日本代表復帰が決まった柴崎選手にも触れていて、曰く「監督にとって日本行はポジティブじゃないけどね。選手にとってはいいことだし、自信もつく。Lo más importante es que lo haga bien y que no tenga ningún percance/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ケ・ロ・アガ・ビエン・イ・ケ・ノー・テンガ・ニングン・ペルカンセ(一番大事なのは上手くやって、災難に逢わないこと)」だそう。ヘタフェは代表戦週間中の来週の水曜、トロフェオ・コロンビーノ(2部Bのレクレアティボが主催する夏の親善大会)に参加するそうなので、その間に他の選手が活躍してポジションを取られてしまわないよう、柴崎選手にはセビージャ戦と代表戦でしっかり実力の程を見せてもらいたいところです。 ▽そして最後にもう1つの弟分チーム、レガネスも日曜にエスパニョールとのアウェイ戦に挑むんですが、こちらもあとFW、ボランチ、ウイングに人が必要なようで、どうやら市場の閉まるまでの1週間、慌ただしい状態が続く見込み。それでも開幕のアラベス戦ではいいプレーを披露して勝利していますし、ギリギリで人を獲っても代表戦週間で調整して、リーガ再開3節、9月8日のヘタフェとの1部で初となる弟分ダービーには十分、準備が間に合うかと。ちなみにこの試合、マドリッドからセルカニアスで行けるブタルケ(レガネスのホーム)開催で金曜日なんですが、翌日にはサンティアゴ・ベルナベウでマドリーvsレバンテ戦もあるため、マドリッド滞在中にリーガ観戦を満喫したい向きにはお勧めの日程ですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.26 13:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】代表メンバー発表で見られた指揮官の悩み

▽ロシアW杯アジア最終予選のオーストラリア戦(8月31日)と、サウジアラビア戦(9月5日)に臨む日本代表の27人が8月24日に発表された。ハリルホジッチ監督が「さまざまな困難な状況があり、いままでで一番リストを作るのが難しかった。いくつか心配な点があり、リスクを冒したくないため、手元に呼んで何人かの選手の状態や可能性を確認したい」と語ったように、戸惑いを隠せない代表発表となった。 ▽というのも、これまでハリルホジッチ監督は、レギュラー候補の順に選手の氏名を読み上げてきた。昨日を例にあげれば、まずGKのスタメンは川島(FCメス)で決まりだろう。SB(サイドバック)も右は酒井宏(マルセイル)、左は長友(インテル)で、2人のバックアップは酒井高(ハンブルガーSV)が一番手で、その控えが槙野(浦和)となる。 ▽CB(センターバック)は吉田(サウサンプトン)と昌子(鹿島)がスタメンで、植田(鹿島)と三浦(G大阪)バックアップとなり、どちらか1人は最終的にメンバーから外れる可能性が高いのではないだろうか。 ▽ボランチは長谷部(フランクフルト)と山口(C大阪)のコンビは不動。長谷部については「コンディションもトップレベルに戻ってきている。プレーしすぎるくらいなので、少し休ませたい」と言うほど、信頼を置いている。 ▽問題はここからで、トップ下の選手を発表する時に、まず小林祐希(ヘーレンフェーン)と柴崎(ヘタフェ)の名前を上げ、香川(ドルトムント)は3番目だったことだ。小林祐に関しては「レギュラーとして出続けている。性格も強い。プレッシャーにも順応できる」と高く評価した。そして香川は「心配があったがコンディションを取り戻しているところ。徐々に良くなっているので手元で見たい」と起用に含みを持たせた。 ▽同じことは右FWにも当てはまり、ハリルホジッチ監督は浅野(シュツットガルト)、久保(ヘント)、本田(パチューカ)と、これまでスタメンだった久保や本田ではなく、浅野を一番手にあげた。その理由として久保には「試合に出続けているが、得点をあげて欲しい」と注文し、本田には「香川と同じ状況。リーグ戦でゴールを決めたが、手元でチェックしてからどういう役割か考えたい」と起用に明言を避けた。 ▽左FWも、これまでスタメンだった原口は3番手で、「ポジションとコンディションを取り戻すのに苦労している」と語り、乾(エイバル)を一番手にあげ、武藤嘉紀(マインツ)を2番手にあげた。 ▽CFは好調な岡崎から杉本、大迫の順。これは大迫がケガから復帰したばかりなのと、岡崎が開幕から2試合連続ゴールを決めているだけに、順当なチョイスでもあるだろう。 ▽で、ハリルホジッチ監督にとって悩ましいのがトップ下と左右のFWということになる。ハリルホジッチ監督は常々「コンディションの良い選手を使う」と明言してきた。過去にはホームのUAE戦で大島(川崎F)をスタメンに抜擢し、アウェイのオーストラリア戦では丸山(FC東京)をスタメンで起用しようとした(これはスタッフの忠告により断念)。 ▽W杯出場のかかる大一番で、トップ下を2試合しか出場経験のない小林祐に任せるのか。あるいは手元に置いてコンディションの確認状況により香川を使うのか。同じことは右FWにも当てはまり、浅野がスタメンを飾るのか。コンディション重視とはいえ、コンビネーションという問題もあるだけに、その判断は難しい。 ▽とはいえ、これは矛盾するかもしれないが、いつまでもベテラン起用の“安全策"ばかりでは、チームの若返りは図れない。問題はどこで“思い切った"選手起用をするか。普通に考えれば、W杯出場を決めたならサウジアラビア戦は消化試合になるだけに、ここでの起用がリスクも低い。しかし、オーストラリア戦という勝負のかかる痺れるような試合になればなるほど、それは選手をとって経験値を高める可能性も高くなる。ここらあたりも悩ましいところだろう。 ▽果たしてハリルホジッチ監督はギャンブルに出るのか、それとも安全策を採るのかどうか。これまでの選手起用と言動を考慮すると、前者を選択する可能性の方が高い気がしてならない。いずれにせよ、海外組の選手が合流する来週月曜以降の練習がカギを握っている。冒頭15分以外は非公開のため、選手のコンディションをチェックできないのは残念でならない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.08.25 13:05 Fri
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【倉井史也のJリーグ】マジでこれでいいのかと100回ぐらい聞きたい気持ち!? の巻

▽あー、やっちまったな! ハリル! …ホジッチ監督! えーやっぱ、サッカーでご飯食べてる身としては、省略形の呼び捨てはできなかったよ! 気、弱っ! ▽ま、そんなことはどうでもいいけど、選手選考はどうでもよくないでしょ。オーストラリア戦に臨む選手選考、もう一回やり直したほうがよくない? 記者会見でもみんなツッコんでたじゃないですか。 ▽そりゃ植田直通を推薦しましたし、三浦弦太もいい選手ですよ。でも吉田麻也や昌子源がケガをしたとき、いきなり初出場の選手にセンターバック、委ねるんですか? 「どうなってもオレが責任取る」って言うのかもしれないですけど、大島僚太っていきなり使われて、その後呼ばれてないですよね。 ▽今野泰幸は調子が上がってないから呼ばなかったって、6月はケガからほぼ復帰してない状態で呼んでませんでしたっけ? それで今野の動きはよかったんじゃ? ▽攻撃陣なんてさらにわかんなくて、攻撃的MFとFWの3つのポジションにはそれぞれ3人ずつ呼んでるんだけど、その合計12名のうち11人が海外組。え? 監督はACLの川崎vs浦和を視察したんじゃなかったの? その試合で2ゴールを決めて獅子奮迅の働きをしてた小林悠を呼ばないで、3失点したチームから槙野智章を招集するわけ? もう何見てるかよくわからないんですけど。 ▽そう言えば監督って鹿島vs清水も見に行ってましたよね。そこで1ゴール1アシストを決めた金崎夢生も選ばれてないし。あ、もしかして御前試合でゴールを決めた選手は呼ばないとかそんな感じですか? 視察してない磐田vsC大阪から杉本健勇を呼んだわけだし。 ▽こんなに理屈の通った文句を言ったとしても、頑固なハリルホジッチ監督は、きっと見直しなんかしないんだろうなぁ。となると、代表での経験の浅い選手に今週末の試合で調子を上げてもらうしかない! となると、祈るような気持ちで見なきゃいけないのは、鳥栖vsG大阪、C大阪vs鹿島じゃないですか。三浦が鳥栖の体のがっしりしたFW陣を抑えれば自信になるだろうし、杉本が鹿島のDFをぶち破れば……って、昌子と植田かよ! つーことはこの試合の結果ってどっちに転んでもダメってことじゃないですか! ▽そんなことまで含めて代表監督のせいに思えちゃうわけですわ。どうか来週のこのコラムは「ゴメンね、監督! テヘペロ」ぐらい書かせてほしいものです。ホント、サプライズいらないので、よろしくお願いします、ハリル! …ホジッチ監督! 【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.08.24 23:02 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】どこも負けてはいない…

▽「一晩だけの夢だったか」そんな風に私が呟いていたのは月曜。リーガ1節8試合が終わった時点での順位表を見たときのことでした。いやあ、金曜の2017-18シーズン幕開け試合に勝てば、レガネスがその時点で首位になるのは自明の理だったんですけどね。残念ながら、土曜、日曜と消化試合が増えるにつれ、勝ち点3は同じでありながら、得失点差等で4位まで後退してしまうことに。結局、首位は0-3で勝利したレアル・マドリーとなったんですが、もしや順位決定条件がフェアプレー優先だったら、レガネスがマドリッドの大先輩の上に立てていたかも。 ▽というのもこの週末、退場者を出していないマドリッドのクラブは彼らだけで、まあ、アトレティコやヘタフェは引き分け発進でしたから、勝ち点も1しかないんですけどね。実際、開幕から5節ぐらいまで、順位なんてものは意外なチームが首位になったりして、それも面白かったりするんですが…。今季は初っ端から2強が上位2位を占めるという、毎シーズン大半の時期と同じパターンでスタート。バルサもPSGに行ってしまったネイマールに加え、ルイス・スアレスもケガで欠きながら、ベティスに2-0で勝利しているとなれば、スペイン・スーパーカップで永遠のライバルに総合スコア5-1という大敗を喫したショックから立ち直った、もしくは元々、普通のチーム≺≺≺バルサで今はちょっと、バルサ≺マドリーという図式にすぎないだけ? ▽どちらにしろ、現在のマドリーの強さには手がつけられないことが証明されたような開幕戦でしたが、4位だって堂々たるCL出場圏内ですからね。1部初体験だった昨季はギリギリ17位で残留を決めたレガネスにしてみれば、目覚ましい快挙と言えますが、とりあえず、そのブタルケにアラベスを迎えたその試合から、週末のマドリッド勢を振り返ってみることにすると。 ▽先週木曜に起きたバルセロナでのテロ事件を受け、1分間の黙祷から始まったこのゲームでは14分、ディエゴ・リコがブルギをエリア内で倒し、いきなりホームチームがピンチに。そこでアラベスのキャプテン、マヌ・ガルシアのPKをスポルティング(今季から2部)から移籍してきたGKクェジェルが正面キャッチしてくれたことから、流れが大きく変わります。24分にはゲレロのFKが敵の壁に当たり、ボールはGKパチェコが弾いたものの、詰めていたガブリエウがタイミング良く蹴り込んで先制点を挙げてくれから、まだまだ暑さの残るスタンドから熱心に応援していたファンたちもどんなに喜んだことでしょう。 ▽え、このゴール、もしリーガにもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)システムが導入されていたら、オフサイドでスコアボードには挙がらなかったんじゃないかって? まあ、それは意見の分かれるところではありますが…。 ▽アシエル・ガリターノ監督率いるチームは得点こそ、それ以上増えなかったものの、時折、個人技の光るプレーを披露して優勢を維持。マドリッドの他のチームがプレシーズン、猛暑の首都を抜け出してキャンプに励む中、あまり見学者も訪れない地元の練習場で黙々とトレーニングを続けた成果が実り、1-0の白星スタートとなりました。 ▽そして翌土曜、新しいホーム、ワンダ・メトロポリターノの最後の仕上げに時間がかかっているため、開幕3試合をアウェイにしてもらったアトレティコがジローナとモンテリビで対戦したんですが、とにかく開いた口がふさがらなかったのは、後で選手たちも「En la primera parte el Girona ha sido muy superior a nosotros/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・エル・ジローナ・ア・シードー・ムイ・スペリオル・ア・ノソトロス(前半のジローナはウチよりかなり上だった)」(サウール)と認めていたピッチ上での差。ええ、別に相手がマドリーやバルサなら気になりませんが、昇格組にボールを独占されているなんて、これじゃ、どちらが格上のチームか、わからないじゃないですか。 ▽おまけにゴディンが出場停止でいないのが悪かったんですかね。23分にグラネルがクロスを上げると、サビッチの先を越してストゥアニがヘッドでジローナの先制点をゲット。ええ、以前、エスパニョールにいて、ここ2年程、リーガで見かけなかったと思えば、ミドルスブラにいたというウルグアイ人FWはその2分後にも、今度はグラネルのFKから、同郷のヒメネスのクリアを受け、再び頭で決めてしまったから、一体どうしたらいいものやら。 ▽2-0で迎えた後半はシメオネ監督の檄が効いたか、心を入れ替えたかに見えたアトレティコだったんですが、67分にはさらに大逆境に見舞われます。フェルナンド・トーレスの流したボールを追って敵エリア内に入ったグリースマンがGKイライソスと交錯。当人がボールを触っていることから、ペナルティと見る専門家もいたものの、その日の主審はこれをpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)と判断し、イエローカードを提示したから、当人がキレてしまったんですよ。起き上るやいなや、主審に「Eres un cagón!/エレス・ウン・カゴン(あんたはビビリだ)」と悪態をつき、即座に2枚目のイエローカードが出てしまったから、もう目も当てられません。 ▽でもそこからの執念がその日は違いました。すでにファンフランをコレアに代え、3人DF体制でプレーしていた彼らなんですが、グリースマン退場直後、シメオネ監督はガビをガイタンに代え、さらに攻撃的なチームを編成。放出予定のはずのビエットまで投入して、反撃に出たのには相手もビビッたんですかね。その甲斐あって、78分にはコレアが敵DF3人をかわしてエリア前からシュート。これがネットに突き刺さった時には我が目を疑ってしまった私ですが、まさか残り5分、コケのFKをヒメネスがイライソスに競り勝って、とうとう同点にしてしまうとは! ▽最後はGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)もあり、お隣さんの専売特許、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)までは望むべくなく、2-2で引き分けられただけでラッキーと言うしかないんですけどね。それもそのはず、シメオネ監督が指揮を執った212試合で2点差を追いついたのはこれが初めてのことだったとか。うーん、試合後は彼も「前半に2点差つけられたら、もう試合は終わったと思う者も多いだろう。10人に減ったら尚更だ。しかしウチはel esfuerzo, las ganas de no rendirse, de insistir hasta el final/エル・エスフエルソ、ラス・ガナス・デ・ノー・レンディールセ、デ・インシスティル・アスタ・エル・フィナル(努力、負けない、最後まで戦い続ける気力)という、ここ数年の信念を維持している」と言っていたように、いい面を見るようにすることは大切なんですけどね。 ▽サウールが「estaba dolido por haber dejado al equipo con diez, pero él no tiene mala fe/エスタバ・ドリードー・ポル・アベール・デハドー・アル・エキポ・コン・ディエス、ペロ・ノー・ティエネ・マラ・フェ(チームを10人にして心を痛めていたけど、彼に悪気はなかったんだよ)」と口が災いして、プロ253試合目で初めて退場処分を受けた同僚を庇っていたのも好感が持てましたが、あの前半の惨状はねえ。もしかしたら、「ウチはCL決勝に出慣れているチーム相手に完璧な試合をしていた」にも関わらず、追いつかれてしまったことを大いに悔しがっていたマチン監督を始め、ジローナの選手にも、これなら自分たちだってと、壮大な野望を抱かせることになったかもしれませんよ。 ▽まあ、過ぎたことは忘れるしかありませんが、クラブはグリースマンに2試合以上の出場停止処分が科されないよう、月曜には協議委員会に申し立てを送付。それが叶うかどうかはまだわかりませんが、マドリッド勢の試合はまだ続くんです。ええ、日曜にはまずヘタフェがアスレティックと対戦したんですが、どうやら近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)も今季は弟分チームも応援することにしたんですかね。中継を見られたのはラッキーだったんですが、残念ながら、ゴールを見ることは最後までできませんでしたっけ。 ▽「No puedo decir si va a jugar/ノー・プエド・デシール・シー・バ・ア・フガール(出るかどうかは言えない)」と試合前会見でボルダラス監督は言っていたものの、柴崎岳選手もツートップの一角として先発したんですけどね。最大のチャンスだった8分、ファイサルのFKをマルク・ベルガラがヘッドしたボールがGKケパのお手玉により、ゴールラインを割ったかのように見えたんですが、審判は入らずの判定。前日、セビージャvsエスパニョールで似たようなプレーが前者の先制点になっていたため、これには監督も「Es un gol claro y nos ha perjudicado esa acción/エス・ウン・ゴル・クラーロ・イ・ノス・ア・ペルフディカードー・エスタ・アクシオン(あれは明白にゴール。ウチに不利な判定だ)。ああいうプレーのため、テクノロジーがあるというのに」と文句を言っていましたが、何せVARどころか、ホークアイすらリーガは導入していませんからね。 ▽よって、ゴールが認められなかったのはツキがなかったとしか言いようがありませんが、ヘタフェが無失点で済んだのはパナシナイコスとのヨーロッパリーグ・プレーオフの谷間にあるアスレティックが36歳のベテランFWアドゥリスを温存。代わって先発したウイリアムスが再三、シュートを外してくれたおかげもかなりあったかと。その上、彼らは後半21分にアルバロ・ヒメネスが2枚目のイエローカードをもらい、10人になってしまいましたからね。これで「Teníamos que defender el resultado/テニアモス・ケ・デフェンデール・エル・レスルタードー(結果を守らないといけなくなった)」(ボルダラス監督)ため、柴崎選手もボランチのセルヒオ・モラに交代。結局、スコアレスドローで終わりましたが、1部復帰の初陣、しかも難所指定のサン・マメスでの勝ち点1ですから、まあ上出来と言えるんじゃないでしょうか。 ▽そして日曜最後の試合となったマドリーなんですが、その日はまたジダン監督のローテーションがかかって、ベイル、イスコ、カセミロが先発に復帰。CBにはヴァランに代えてナチョが入ったんですが、まったく強さが変わらないんですから、手がつけらないとはまさにこのこと? いえ、序盤はデポルのFWアンドネが絶好機を2度も迎え、どちらもGKケイロル・ナバスにセーブされたなんてこともあったんですけどね。 ▽来るべくして来た彼らの先制点は20分、モドリッチのシュートはGKルベンに弾かれたものの、ベンゼマが撃ち直したボールがDFに当たってゴール前に転がると、フリーのベイルがフィニッシュ。さらに26分にはGKケイロル・ナバスから始まったプレーから延々とパスを繋ぎ、44本目となったマルセロのラストパスをカセミロが決めて2点目をゲットなんて、まるで全盛期のスペイン代表みたいなことまでしているんですよ。まったくスペイン・スーパーカップ1stレグで見せた伝家の宝刀、超速カウンターに加え、「Es lo que queremos hacer, tenemos jugadores para eso/エス・ロ・ケ・ケレモス・アセール、テネモス・フガドーレス・パラ・エソ(こういうサッカーがしたかった。ウチにはそれができる選手がいる)」(ジダン監督)なんて、どちらも至らないばかりのどこぞのチームなど、羨ましくてたまらなくなるのでは? ▽そんな調子で後半も53分にはベイルの折り返しから、クロースが3点目を入れたマドリーでしたが、全てがメデタシメデタシで終わらなかったのは、またセルヒオ・ラモスがやってしまったから。そう、後半序盤にピッチに倒れている選手がいるのにボールを外に出した出さなかったで両チームが揉めた際、「me dan un cabezazo en el pómulo y le aparto/メ・ダン・ウン・カベサソ・エン・エル・ポヌロ・イ・レ・アパルト(自分の頬に頭突きされたから、押しのけた)」と、シェルの顔を押しただけでもレッドカードの危険があったにも関わらず、アディショナルタイムにはボルハ・バジェとの空中戦で相手の首に腕を当て倒してしまう始末。 ▽当人は「91分に敵選手を傷つけるなんて思いもしないよ。Salto y me apoyo en el hombre/サルト・イ・メ・アポジョ・エン・エル・オンブロ(跳んで相手の肩で自分を支えただけ)」と言っていましたが、何せこれで、マドリーでの526試合で23回目の退場ですからね。リーガだけでも18回と、尊敬する元セビージャの大先輩のCB、アルファロと並んで最多記録になってしまいましたが、どうやら先日、審判を押して計5試合もの処分になったクリスチアーノ・ロナウドに学んだか、口が滑るといったヘマはやらなかったよう。順当に行けば、日曜のバレンシア戦に出られなくなるだけですが、もう誰がプレーしてもこのチームは力が落ちないみたいですからね。あまり気にしなくてもいいんじゃないかと。 ▽ちなみにCLプレーオフ2ndレグのセビージャ、同ELのアスレティクを除いて、今週ミッドウィークは試合のないチームが大半のスペインですが、マドリーは水曜にサンティアゴ・ベルナベウ杯を開催。これも先週のスペイン・スーパーカップ2ndレグ同様、CL戦を配慮して午後10時45分(日本時間翌午前5時45分)という遅い設定なんですが、相手のフィオレンティーナにシメオネ監督の長男、ジョバンニがジェノバから加入したというのは朗報でしょう。当人のプレーはもちろん、それどころか、お父さんがパルコ(貴賓席)で応援している姿が見られるかもしれません。マドリーサイドではあと3試合、リーガには出られないロナウドが足慣らしするかもしれないといったことぐらいですが、今度は私もメトロの終電を逃さないよう、気をつけないといけませんね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.22 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】強すぎてちょっと怖い…

▽「何だか現実味があるわよね」そんな風に私が羨んでいたのは木曜日、レアル・マドリーでUEFAスーパーカップに続き、スペイン・スーパーカップ優勝も果たしたテオのコメントを見つけた時のことでした。いやあ、アトレティコのカンテラ(ユース組織)で育ち、昨季はアラベスで修業。ワンダ・メトロポリターノでのトップチームデビューを待たず、この夏、お隣さんへと河岸を変えた彼はサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ終盤でとうとう、初出場できたんですけどね。古巣だったら、滅多に掲げる機会もなかっただろうトロフィーに感激したんでしょうか、当人が「quiero seguir ganando muchos mas titulos/キエロ・セギール・ガナンドー・ムーチョス・マス・ティトゥロス(もっと沢山、タイトルを獲得し続けたいね)」と話していたから。 ▽実際、2014年のスペイン・スーパーカップ以来、優勝から遠ざかっているアトレティコは当然ながら、この夏もスーパーのつく大会などはなし。プレシーズン、トレーニングだけに集中できたおかげか、私がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場まで見学に行った火曜の夕方セッションなども、プロフェ・オルテガの説明を聞いているだけでややこしくて皆、ちゃんとできるのかと心配してしまったフィジカルサーキットを一糸乱れずこなす姿に結構、感心したものですけどね。 ▽ただ、それ以降のエクササイズは見学時間終了と外へ出されてしまったため、彼らがボール扱いでも少しは上達したのか、検証することはできず。その辺は日を改めて、フェンスで仕切られた敷地外から、ファンに混ざって偵察するしかないと思っているんですが、アウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)でふくらはぎを痛めたフィリペ・ルイスがまだ戻っていないことは確認できたため、この週末に迫ったリーガ開幕戦もテオの年子の兄、本職CBのルカスが左SBを務める可能性がかなり高いかと。 ▽となると、スコピエでもカンプ・ノウでもベンチ待機だったテオも移籍していなければ、トップチームに昇格する予定だった今季、開幕からスタメン入りが狙えたのにと思ってしまうんですが、アトレティコの場合、優勝云々はシーズン終盤までわかりませんからね。それでも木曜の開幕前キャプテン合同会見でガビなどは、「クラブは選手の引き留めに尽力を注いだ。Aunque no hemos podido fichar, internamente el equipo se ha reforzado bien/アウンケ・ノー・エモス・ポディードー・フィチャール、インテルナメンテ・エル・エキポ・セ・ア・レフォルサードー・ビエン(新戦力の補強はできなかったけど、チーム内部は強力になった)」と、FIFA処分のせいで選手登録ができず、代わりにグリースマン、コケ、サウル、ルカスらの契約延長や年棒アップに5000万ユーロ(約64億円)もの大枚を費やしたのを評価。 ▽とはいえ、彼らがその信頼に報いるだけの成長を見せてくれるかどうかは不確定となれば、やっぱり昨季、リーガとCLのdoblete(ドブレテ/二冠優勝)を達成したメンバーがほぼ残っているマドリーに行く方がずっとタイトル獲得に近いと、テオが判断するのは当然なんですけどね。こうも早くも結果が表れてしまうと、ちょっと私も複雑な気分になってしまうんですよ。 ▽まあ、そんなことはともかく、水曜のスペイン・スーパーカップ2ndレグの様子をお伝えしておかないといけません。その日はキックオフがCL予選プレーオフ終了後となる午後11時という、超遅い時刻に設定。そこで私もヘタフェの夕方セッションを覗いてから、ベルナベウに向かうことにしたんですが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスの右脇の道を下りていく、彼らの練習場には手前にカンテラが使うピッチがあって、どうやら丁度、プレシーズンの試合が開催中。え、でも何でプレーの指示が日本語で聞こえてくるの? ▽その正体はセレッソ大阪のU18チームで、練習試合ツアーの一環でヘタフェB(3部)と対戦していたんですが、まったく不思議な偶然もあること。いえ、目当てのトップチームのセッションがもう始まっていたため、私もずっと見ていることはできなかったんですけどね。奥のピッチの方では午前中とは違い、フィジカルメニューはなく、ゴール力を高める演習を繰り返していたボルダラス監督や柴崎岳選手などもルッカールームへの帰り道、ゲームをチラ見していましたが、意外とこういうところでスカウトされ、スペインのチームに誘われる選手もそのうち増えていくのかもしれませんね。 ▽おっと、ちょっと脱線してしまいましたが、その後、メトロ・スールと10番線を乗り継いで、1時間ほど車内で涼みながら、私が見に行ったこの夏、3度目のクラシコ(伝統の一戦)はどうだったかというと。いやあ、日曜の1stレグで1-2と負けていたバルサはバルベルデ監督がピケ、ウムティティ、マスチェラーノで3バックを構成、3-5-2の新機軸で巻き返しを図ったんですが、クリスチアーノ・ロナウドがカンプ・ノウで退場し、更に審判を押したせいで計5試合の出場停止処分。上訴委員会にも減刑を認められず、彼女のジョウルジーナさんとパルコ(貴賓席)で観戦していた上、ベイル、イスコ、カセミロをローテーションでベンチに置いたマドリーに一泡吹かせることはできませんでした。 ▽いえ、それどころか、「またFW2人でくると思っていたら、3人出てきた」(ピケ)というショックも相手にはあったんでしょうか。開始4分にはカルバハルのスローインをウムティティが落としたところ、ゴールから25メートルの地点にこぼれたボールを先発に抜擢されたアセンシオがシュート。1stレグに続くgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、驚いたの何のって。当人的には「El otro fue mas dificil por la carrera/エル・オトロ・フエ・マス・ディフィシル・ポル・ラ・カレラ(もう1つの方が走ってからだったから、難しかった)」そうですが、序盤からそんな才能のほとばしりを見せつけられたら、大抵のチームの選手たちは神様の不公平さに歯ぎしりするしかないかと。 ▽でもそこはメッシに代表されるサッカー力の高いバルサですから、反撃されることを私も覚悟していたんですけどね。この日はマドリーファンの観光客が多数を占めたカンプ・ノウとは真逆で、バルサファンの姿を見つけるも難しかったスタンドから、彼らがボールを持つたび、pito(ピト/ブーイング)が響き渡ったり、「Suares tirate!/スアレス・ティラテ(スアレス、ダイブしろ)」といったような、1stレグのペナルティ判定のせいでの新手のカンティコ(節のついたシュプレヒコール)などの影響もあったんでしょうか。その後もマドリーは「En los primeros 20 minutos les pasamos por encima/エン・ロス・プリメーロス・ベインテ・ミヌートス・レス・パサモス・ポル・エンシーマ(ウチは最初の20分間、相手の上を行った)」(カルバハル)という状態を維持。 ▽おかげでルーカス・バスケスのシュートはゴールポストに跳ね返されたのものの、39分にはマルセロからのクロスをウムティティの先を越してベンゼマがゲットすると、そのシュートが決まって2点目となったんですが、ジダン監督も「La primera parte fue espectacular/ ラ・プリメーラ・パルテ・フエ・エスペクタクラル(前半はスペクタクルだった)。プレーの強度、敵前線へのプレス、そしてボール支配もね」と言っていた通り、バルサに対してこんなに優勢なマドリーは私もほとんど記憶になかったような。これなら後半、やはり公式戦初出場となったセバジョス(ベティスから移籍)が、「前半はバルサにウチは全てを見せつけたね。ボクはファンのように大いに楽しんだよ」と言っていたのも納得かと。 ▽まあ、後半はマドリーファンの敵ナンバーワン、ピケが足の付け根の痛みに耐えかねて4分でセメドに交代、メッシやルイス・スアレスの普段なら、絶対外さないシュートがゴール枠に嫌われるツキなどもあったんですが、もう総合スコアは5-1ですからね。昨季は6-1の大逆転を可能にしたネイマールも今はその時のCLベスト16の相手、PSGに行ってしまっていないとなれば、そのまま2-0で試合は終了。ロナウドも加わって、マドリーがピッチで優勝杯と共にお祝いする結果になったのはともかく、あの口の減らないピケが、「自分がバルサにいる9年間でes la primera vez que hemos sentido que el Madrid es superior a nosotros/エス・ラ・プリメーラ・ベス・ケ・エモス・センティードー・ケ・エル・マドリッド・エス・スペリオール・ア・ノソトロス(マドリーがウチより上だと感じたのはこれが初めてだ)」と認めていただけに、かなりバルサも重症のよう。 ▽ええ、バルベルデ監督も「Tenemos que recuperar mecanismos/テネモス・ケ・レクペラール・メカニスモ(ウチはメカニズムを取り戻さないといけない)」と言っていましたけどね。翌目木曜にはパウリーニョ(広州恒大から移籍)の入団プレゼンがあったとはいえ、本当に必要なネイマールの代理、果たしてデンベレ(ドルトムント)やコウチーニョ(リバプール)がそのレベルなのかはわかりませんが、その獲得が遅れているのは困ったもの。正直、リーガ開幕となる日曜のベティス戦までに何とかなるとは思えないんですが、どうやらその試合はバルサがどこまで弱体化したのか、それとも宿命のライバルが強くなりすぎたのかを測るいい機会になりそうですね。 ▽そしてマドリーも同じ日曜、午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からのデポルティボ戦でリーガをスタートするんですが、ラッキーなことにこれはラ・コルーニャ(スペイン北東部の避暑地)でのアウェイゲーム。おかげで私も午前1時に終わり、それから記者会見などがあったため、午前2時まで延長運転していたメトロの終電を逃し、タクシーも捕まらずに大勢のマドリーファン共々、自宅まで45分かけて歩いて帰るなんて目に逢うことは心配せず、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でペペ・メル監督率いるチームがどこまで善戦してくれるのか、ジダン監督のローテーションが今度も当たるのか、楽しんで見ていればいいんですが、心もとないのは同日午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からのアスレティックvsヘタフェ戦。 ▽いえ、もちろん昨季、1部昇格プレーオフ決勝まで戦ったため、プレシーズン開始が20チーム中、最も遅かったヘタフェと今季はヨーロッパリーグ予選3回戦から参加。7月27日に公式戦を開始し、ディナモ・ブカレストを総合スコア4-1で破った後、木曜にはプレーオフ1stレグでパナシナイコスに36歳のベテランFW、アドゥリスの2ゴールを含め、敵の応援熱いギリシャの地で2-3と逆転勝ちしたジガンダ新監督の率いるチームのコンディション差が気懸りというのもありますけどね。サン・マメスで柴崎選手が念願の1部デビューを果たす可能性も大いにあるんですが、マドリッドの郊外がホームの彼らはレガネス同様、セントロ(市内中心部)では試合を放送してくれるバルが少ないんですよ。 ▽9月16日午後4時15分キックオフが決まった4節のヘタフェvsバルサ戦ぐらいになると、大丈夫なんですけどね。1年ぶりのビッグマッチとあって、おそらくコリセウム・アルフォンソ・ペレスのチケットを買うのも難しくなるのはともかく、まずは初戦で新生チームの実力を披露できるといいのですが、さて。幸いアスレティックがELプレーオフの谷間とあって、メンバーを落としてきてくれるかもしれないのは好材料になりますかね。 ▽一方、1部2年目となるレガネスは金曜にそれこそ、2017-18シーズン・リーガ最初の試合をブタルケで開催するんですが、相手は9日にも親善試合で対戦し、1-1の引き分け。PK戦4-2でやっと勝ったアラベスとあって、気を許せないものの、今週はチームが練習をするインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケに建設中だったロッカールームがオープンといういいニュースも。ええ、先日、私が初めて訪れた時にはあまりにボロボロの建物を使っていて、気の毒になってしまったぐらいでしたが、今度は最新ジム設備やプレスルームも完備しているそうで、間もなく新しいピッチもお目見えする予定となれば、選手たちも他のお金持ちチームに気が引けることなく、立ち向かうことができる? ▽そして最後にアトレティコなんですが、彼らは土曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)から、火曜にはあのグアルディオラ監督が指揮するマンチェスター・シティとの親善試合に1-0で勝利して、意気上がるジローナに立ち向かうことに。うーん、コケも「El ano pasado costo mucho empezar/エル・アーニョ・パサードー・コストー・ムーチョ・エンペサール(昨季はシーズンスタートがとても大変だった)。いい結果で始められなくて、イレギュラーだったから、それを直すのが最初の目標」と言っていましたが、去年は1節アラベス戦、2節レガネス戦と昇格組との連続ドローで躓きましたからね。 ▽このところ、度々、「Mi destino ya esta definitivo/ミ・デスティーノ・ジャー・エスタ・デフェニティボ(自分の運命はもう決まっている)。今季はアトレティコに戻らないといけない」といったような、古巣移籍を熱望する台詞をマスコミに流し、今か今かと到着が待たれているジエゴ・コスタも罰金が33万ユーロ(約4200万円)まで溜まってもチェルシーの帰還命令を無視。母国ブラジルでのバケーションが長すぎ、かなりお腹がダブついてきたにも関わらず、まだクラブ間の交渉が始まっていないようですし、どちらにしろ、来年1月まではプレーできませんからね。となれば、ない袖を無理してでも振ってもらうしかありませんが、果たしてどうなることやら。何はともあれ、マドリッドの4チームが揃って好スタートしてくれると、私もいい週末を過ごせるんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.18 11:30 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】永井氏引退試合に超豪華メンバー集結。小学生時代の永井少年の悩みとは…

▽8月14日の月曜日、味の素フィールド西が丘で、元東京Vの永井秀樹さん(46歳)の引退試合が盛大に行われた。永井さんは「ヴェルディレジェンズ」と「Jレジェンズ」の一員として両チームでプレー。試合は30分ハーフだったが、往年の名選手に加え現役のカズ(三浦知良)もまたぎフェイントを披露するなど、スタンドのファンを多いに沸かせた。 ▽まず何が凄いかというと、メンバーが超豪華だ。ヴェルディレジェンズはカズの他に脳梗塞から復帰したラモス瑠偉氏が、カズと息のあったパス交換を何度も演じた。かつて等々力での浦和戦では、リフティングで相手をかわしてゴールを決めたこともあった。実況を務めたDJジャンボとゲストの金子達仁氏も当時のことを鮮明に覚えていて、チーム名こそ出さなかったがその話題に触れると、スタンドのファンも敏感に反応していた。 ▽彼ら以外にも北澤豪氏、前園真聖氏、武田修宏氏、三浦淳寛氏ら錚々たるメンバーが集結。一方のJレジェンズも中田浩二氏、山口素弘氏、澤登正朗氏、鈴木啓太氏、故・松田直樹氏の長男など、超豪華メンバーだった。 ▽試合は山口氏がフランスW杯予選の韓国戦を思わせるループのパスからPKを獲得したJレジェンズが永井氏のゴールで先制する。しかしヴェルディレジェンズも藤吉信次氏のボレーのこぼれを武田氏がダイビングヘッドで押し込んで同点に。さらにJレジェンズは澤登氏がFKを直接決めて逆転したが、後半はヴェルディレジェンズに入った永井氏が連続ゴールを決めて逆転に成功し、3-2の勝利を収めた。 ▽試合後の永井氏は、「正直、もう何も言うことはありません。これほどのメンバーに集まっていただいたこと、本当に幸せだと思います。最高に幸せなサッカー人生でした」と2600人ほどのファンに最後の挨拶をした。 ▽今回のJレジェンズは、国士舘大学時代のライバルや、V川崎、清水、横浜F、横浜FMなど永井氏が在籍したチームの選手が集結した。スタンドには横浜Fの永井のユニフォームを着たファンがいたのには驚かされた。永井氏の足跡を改めて振り返ると、V川崎ではJリーグ連覇に貢献し、清水ではナビスコ杯優勝、横浜Fでは消滅前の天皇杯に優勝、そして横浜FMでも2000年に第1ステージ優勝と、数々のタイトルを所属チームにもたらした。 ▽そんな永井氏にも、大分県の明野西JFCでサッカーに夢中になった小学生時代に悩みがあった。身長がなかなか伸びないのだ。そこで創刊されたばかりのサッカーダイジェストという月刊誌で、当時技術委員だった藤田一郎氏が、読者の質問に答えるコーナーがあったため、自身の悩みを投稿した。 ▽それに対して藤田氏は「サッカーは身長ではなく、技術を磨くことの方が大事ですよ」と永井少年の質問に誌面で答えた。 ▽それが励みになったのかどうかわからないが、永井少年は大分市立明野中学で全国大会優勝を果たし、国見高校に進学しても全国制覇を達成して、今日まで長きにわたり現役としてプレーし続けた。今後は指導者として第2のサッカー人生は歩んでいるが、きっと選手の悩みを理解できる指導者になることだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.08.17 20:39 Thu
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【倉井史也のJリーグ】今週は特にアピールしてほしい選手を見に行くかな!? の巻

▽行ってきたんですよ、永井秀樹引退試合。これがすごいメンバーが集まって。緑のチームなんて、最後のほうは武田修宏、三浦知良、前園真聖、ラモス瑠偉、北澤豪って、あれ? 全員代表じゃん、みたいな。そんな豪華なチームがあったんですね。あ、「超ワールドサッカー」はどなたかの趣味なのか(笑)、この試合についての詳細や、いろんな人たちのコメントがバッチリ載ってます。 ▽で、そんなメンバー見ながら思ったんですよ。当時の読売クラブっつーかヴェルディ川崎って、DFのペレイラ効いてたよなぁって。1994年のJリーグMVPですからね。ペレイラがいなかったら、ヴェルディ厳しかっただろうなって。いや、どうしてそんなこと考えたかというと、8月31日の日本vsオーストラリアが頭にあるわけです。 ▽勝てばワールドカップ出場が決まるって大事な試合なのに、メンバーに無茶不安ありません? 特にDF。だって森重真人がケガでしょ? 槙野智章って、19日リーグFC東京戦、23日ACL川崎戦、27日リーグ清水戦って、フル活動なんですよ。 ▽昌子源がいるから大丈夫! とも言えないのが今の代表で。だってケガ人どんどん出ますよね。イラク戦だって、井手口陽介の途中交代って予想外だったろうし。となると、CBは必ずもう1人見つけとかなきゃいけない。 ▽なら、私の推薦は植田直通なワケです。だって植田は強い! フィジカルコンタクトには自信を持ってるし、186センチと高さもあるし、精神的にもタフ。右足の正確なロングパスを持ってるから、速効にも便利だし。 ▽ところが鹿島って13日の試合で川崎に1-3とコテンパン。ま、業界用語でいう「チンチン」ってやつですな。となると、今週末の清水戦でどこまってやってくれるかってのは、代表戦に直結していくわけですよ。 ▽そういえば、3月18日のアウェイ清水戦では1ゴールを挙げて3-2の勝利に貢献してるし。もしも吉田麻也が負傷しても、昌子源と組めばお互いに不安は無いだろうし。 ▽ただね、今週いろんな国内の選手がアピールするでしょうけど、来週24日の日本代表発表で心配なことがあるんですよ。それは代表監督が、またも「サプライズ!」って仕掛けてこないかってこと。「我々はこの選手を長い間追跡して、実際にスタッフも見てきました」って。 ▽今回、そんな余裕ないですからね。そこのとこ、しっかり理解して選んでくれないと。で、ちゃんと使いそうな選手選びましょうね。えっと、これまで散々招集している植田って何試合出場してましたっけ?【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.08.17 17:29 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールだけで最高なのに…

▽「見せたがりも度を超えると良くないわね」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。スペイン・スーパーカップ1stレグで退場させられたクリスチアーノ・ロナウドが、競技委員会から5試合の出場停止処分を科されたと知った時のことでした。いやあ、試合数が多いのはレッドカードが提示された後、腹を立てた当人が主審を押したせいなんですけどね。さすがにこれだけの数となると、2014年のスペイン・スーパーカップ2ndレグでの退場による出場停止を今回のカンプ・ノウの一戦で消化したモドリッチとは違って、2ndレグはもちろん、残り4試合はリーガのデポルティボ、バレンシア、レバンテ、レアル・ソシエダ戦に掛かることに。 ▽ようは9月12、13日のCLグループリーグ初戦は別として、リーガでは19、20日ミッドウィーク開催予定の5節ベティス戦までロナウドが出られないということで、遅めの夏休みを取って、スペインでのマドリー戦観戦を計画している日本人ファンもいるかもしれませんしね…。クラブは上訴委員会に望みを懸けているものの、たとえ2枚目のイエローカードが取り消されたって、主審への行為は別物ですし、大体、バケーション中も含め、筋肉隆々の上半身を自身のSNSで披露することに余念のない彼だけに、まだチーム合流から日が浅いにも関わらず、ジダン監督の「フィジカル的には昨季のCL決勝時と同じ」という言葉に嘘偽りなしと証明したかったんでしょうか。永遠のライバルのホームでユニフォームを脱ぐという誘惑に負けてしまったツケはあまりに高かったとしか言いようがないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、他のマドリッド勢がプレシーズンマッチを先週土曜に終了させる中、一足先にUEFAスーパーカップを済ませたレアル・マドリーが挑んだ今季2つ目の公式戦、スペイン・スーパーカップ1stレグの様子をお伝えしないといけません。夜10時のキックオフということで、チームは当日午前11時にマドリッドを経ち、バルセロナ入り。先発の方はモドリッチの代わりを同じクロアチア人の後輩、コバチッチが務める以外、マンチェスター・ユナイテッド戦と同じだったんですが、前半はどちらも動きが鈍かったような。マドリーが初お目見えのブルーの第3ユニを着用したこともあり、ピッチが見にくかったのにも参ったんですが、ベイルの2度のシュートもゴールにはならず、試合は0-0のままでハーフタイムに入ることに。 ▽それが後半、一変したから驚いたの何のって。キッカケは59分、マルセロのシュートをクリアしようとしたピケがそれをオウンゴールにしてしまったことなんですが、実は彼、前日記者会見でネイマール移籍騒動の内幕を話して大いに注目を浴びたばかり。ええ、6月30日にブエノスアイレスであったメッシの結婚式の際にはもう当人の決意を知り、それでもファンのリアクションを見れば翻意してくれるかもと、相手を怒らせながらも「se queda/セ・ケダ(彼は残る)」と自分がツィートしたことや、「No es nuestro papel ir a comunicárselo al club/ノー・エス・ヌエストロ・パペル・イル・ア・コムニカールセロ・アル・クルブ(クラブに伝えるのはボクらの役目じゃない)。言うなら本人で、言ってないのなら、秘密にすべき」と、経営陣には8月になるまでPSG移籍の話が伝わっていなかった事情を説明したんですが、どうやらそれがマズかったよう。 ▽おかげで試合後、「el error de Gerard, ha sido determinante/エル・エロール・デ・ジェラール・ア・シードー・デテルミナンテ(ピケのミスが決定的だった)」なんて、スポーツディレクターのセグラ氏に名指しで戦犯扱いされてしまったりもしたんですが…。いや、だって、こういうのは事故のようなものですから。実際、その後、攻勢に出たバルサは77分、ゴール右横でGKケイロル・ナバスにルイス・スアレスが倒されたとされ、PKをゲット。リプレーではほとんど接触もなかったように見えながら、それまでコバチッチのマークが効いて見せ場がなかったメッシがしっかり決め、同点になったとなれば、とりあえずピケは無罪放免してあげてもいいのでは? ▽ただ、そうもいかなかったのはそれから数分もしないうちにマドリーの伝家の宝刀が発動したせい。ええ、それは高速カウンターで、後でバルベルデ監督も「Ellos son un equipo que corre bien al espacio/エジョス・ソン・ウン・エキポ・ケ・コレ・ビエン・アル・エスパシオ(彼らはスペースへと上手く走るチーム)」と認めていたように、バルサの攻撃を自陣エリアから跳ね返すと、イスコのスルーパスで58分からベンゼマに代わってピッチに入ったロナウドが前に立ちふさがるピケをものともせずにシュート。これがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)となったため、つい当人もユニフォームを脱いで自慢の肉体美を披露してしまったんでしょうけどね。ついでにマルセロの勧めでそのユニの背中をスタンドに掲げ、昨季リーガのダービーでメッシがサンティアゴ・ベルナベウで見せたパフォーマンスのリベンジまでしていましたっけ。 ▽え、でもその2分後、ユムティティに押されてロナウドがエリア内に倒れたプレーは、ジダン監督も「A lo mejor no hay penalti, pero la tarjeta es un poco fuerte/ア・ロ・メホール・ノー・アイ・ペナルティ、ペロ・ラ・タルヘタ・エス・ウン・ポコ・フエルテ(ペナルティではなかったかもしれないが、カードはちょっとキツい)」と言っていた通り、pisicinazo(ピシナソ/ダイブ)と見なされ、2枚目の警告を受けるには値しなかったんだろうって? まあ、そうですけど、決めるのは審判ですからね。世の中、そんなこともあるんですから、いくら当人がバルサのベンチに「Así ganáis con diez!/アシー・ガナイス・コン・ディエス(こうやってお前らは10人相手に勝つんだろ)」と悪態をつきながら、ロッカールームに帰ったとしても後の祭りだったかと。 ▽でも大丈夫、カウンターなら人数の減ったマドリーでも実行可能なんですよ。今度は90分、ベイルに代わって入ったルーカス・バスケスがアセンシオに繋ぎ、彼もメッシを追いすぎて太ももを痛めたコバチッチの交代で入ったフレッシュな選手だったため、一気にピッチを縦断。ピケが前を塞ぐ前に左足を振り抜き、チームの3点目を挙げてしまうんですから、私など、もう才能溢れる選手が沢山いるマドリーをただただ、羨むしかないかありません。ええ、これで1-3の勝利となったとなれば、ロナウドがいなくても、2ndレグの心配はしなくていい? ▽ちなみにその日のカンプ・ノウはバルサがこの試合をabono(アボノ/年間指定席)対象としなかったため、大量の観光客がチケットを買って入場。どうやらその内訳はマドリーファンが多かったようで、ロナウドのパフォーマンスもアセンシオのUEFAスーパーカップ、リーガ、CL、コパ・デル・レイに続く大会デビュー戦ゴールにもpito(ピト/ブーイング)より、拍手が多かったようですが、ホームサポーターをバックに戦える2ndレグは水曜午後11時(日本時間翌午前6時)からキックオフ。中2日しかないとあって、両チームとも月曜から早速、練習を再開しています。 ▽でもねえ、ロナウドはともかく、次はモドリッチも復帰するマドリーに対し、奇しくも同日、PSGでのデビュー戦でもゴールを挙げていましたが、そんなネイマールの代役はやはりデウロフェウでは肩の荷が重いことが判明。敗戦直後に「El equipo no necesita fichajes por este resultado, los necesita porque hay que renovarse/エル・エキポ・ノー・ネセシータ・フィチャヘス・ポル・エステ・レスルタードー、ロス・ネセシータ・ポルケ・アイ・ケ・レノバル(この結果のせいで補強がいるんじゃない。チームを刷新するために必要なんだ)」とブスケッツが言っていたのに呼応するがごとく、ようやくその2億2200万ユーロ(約284億円)のうち、4000万ユーロ(52億円)を使って、パウリーニョを広州恒大から獲得することができたバルサでしたが、入団は木曜らしいですしね。 ▽おまけに彼はFWではありませんし、デンベレ(ドルトムント)やコウチーニョ(リバプール)移籍が間に合うとは思えないため、サンティアゴ・ベルナベウでレモンターダ(逆転劇)を達成するには再び、クラシコ(伝統の一戦)35試合で24得点を挙げているメッシに頼るしかないのは辛いところ。とはいえ、このままあっさり勝負がついてしまうと、今季のリーガはマドリー独走状態、順位争いの醍醐味がなくなってしまうという危険性もあるため、そこそこの意地はバルサにも見せてもらいところですが…。 ▽あ、その2強の優勝争いに割って入るべく、日々努力を重ねているアトレティコは土曜にプレシーズン最後のレガネス戦で勝利した後、日曜、月曜と練習がお休み。火曜のダブルセッションから、土曜の開幕ジローナ戦に向けての準備が始まるんですが、とにかくこの夏はFIFA処分で補強ができない彼らですからね。今はビエットの移籍先を探しているぐらいで、1月から戦力になってもらいたいジエゴ・コスタ(チェルシー)もまだブラジルに滞在、チェルシーとの交渉も進んでいないようなので、とりたててニュースはなかったかと。 ▽一方、補強に最後の追い上げを見せているのがマドリッドの弟分2チームで、ヘタフェはアトレティコから譲り受けたアマトなど、移籍決定の翌日には古巣とスコアレスドローに終わった試合に途中出場。土曜に2-1と負けたアルバセテ(2部B)戦にも出ているんですが、さらに月曜にはウルグアイ人の19歳左SB、マティアス・オリベイラを獲得。レガネスもマウロ・ドス・サントス(エイバルから移籍)、エセキエル・ムニョス(同ジェノバ)ら、2人のDFのプレゼンを土曜に実施と、戦力アップに余念がありません。何せ彼らはこの金曜、2017-18シーズンのリーガの先陣を切ってアラベスと対戦しますからね。1節が日曜のアスレティック戦となるヘタフェより、時間が少ないため、新しいメンバーと練習できる日があまりないのは気の毒かと。そんな感じでマドリー以外のチームも公式戦が迫ってきただけに、今週は私も各チームの練習をイロイロ見て回れるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.15 12:51 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】選手が同じだとこうなる…

▽「あまり実のある勝利じゃなかったかも」そんな風に私が素直に喜べなかったのは早起きしてブタルケに駆けつけた土曜日、アトレティコのプレシーズン最後の親善試合、レガネス戦が終わった時のことでした。いやあ、もちろんマドリッドの弟分チームを0-1で退け、この夏にこなした5試合で無敗を貫いたのはいいことなんですけどね。その日、後半21分にゴールを挙げたのはアトレティコBのファン・モレノ。加えてフベニル(Bチームの下のカテゴリー)から、21世紀生まれのFW、16歳のビクトル・モジェホがトップチームデビューしたなんて微笑ましい出来事もあったものの、開幕後、コパ・デル・レイ初戦以外で彼らを大人の試合のピッチで見ることが一体、何回あるというのでしょう。 ▽うーん、午前10時30分からという、珍しい時間帯に試合を組まれた上、昼食後はトレド(マドリッドから1時間の世界遺産都市)に移動して、午後8時から当地の2部Bチームとの対戦。まったく意味不明の強行軍でプレシーズンマッチの最後を飾ることになったアシエル・ガリターノ監督など、「Estoy contento, se lo pusimos dificil al Atletico/エストイ・コンテントー、セ・ロ・プシモス・デフィシル・アル・アトレティコ(アトレティコを手こずらせたんだから、私は満足だ)」と言っていましたけどね。レガネス側としても、リーガ1節は出場停止となるゴディンとU21ユーロ参加で練習開始が遅れたサウル以外、控えとカンテラーノ(下部組織の選手)で構成されたアトレティコに負けてしまったのはあまり、士気が上がる理由にはならないかと。 ▽だからって、夜のトレド戦で3-0と格下チームに惨敗した言い訳にはなりませんが、彼らには今季、2年目となる1部での戦いを前に選手がかなり入れ替わっているという事情がなきにしもあらず。逆にFIFA処分でこの夏、戦力補強ができないアトレティコはレギュラーと控えの区分けもあまり変わっていないんですが、丁度、12時間前に終わったもう1つの弟分、ヘタフェとの対戦ではその主力組が昨季とまったく同じ欠点を露呈してしまったから、頭の痛いことと言ったら、もう。そう、エル・パイスのアトレティコ番記者も、「シュートパス交換を頻繁に繰り返しても選手の動きが乏しいため、それに意味が与えられない。たまに誰かがスペースに抜け出すことができた際にはパスの精度が欠けがち」と分析していたんですが、要は決定的なラストパスが出せなくて、ゴールチャンスにまでならないんですよ。 ▽え、得点力不足に悩みそうなのはヘタフェも同じじゃないかって?そうですね、今週はまず、水曜に2部のマドリッド勢アルコルコンとサント・ドミンゴで顔を合わせた彼らだったんですが、何と前半3分にはノノのヘッドで、後半7分にもアルバロ・ペーニャのエリア外からの弾丸シュートで2点をリードされ、先日のアトレティコ・バレアレス(2部B)との練習試合同様、守備での課題を浮き彫りにすることに。それでも11分にはチュリが見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返したものの、その後、アルコルコンのファンたちからも「Gaku, Gaku」としきりに呼ばれていた柴崎岳選手を始め、その他4人の選手がリフレッシュに入りながら、結局、同点に追いつくことはできなかったですけどね。 ▽ただ、その日のボルダラス監督は金曜に迎えるアトレティコとの対戦をすでに見据えていたようで、翌日はまたしてもシュダッド・デポルティバ(練習場)で2時間のハードトレーニングを実施。1部復帰に備え、シートをより鮮やかな青に塗り直し、芝も新しくなったコリセウム・アルフォンソ・ペレスでの新チーム、お目見え試合ではかなり張り切って、アスレティックの開幕戦に並んでも不思議のないメンンバーを先発させています。そう、CFはエースのホルヘ・モリーナ、2列目にアルバロ・ヒメネス、パチェコ、そしてトップ下に柴崎選手という布陣だったんですが…。 ▽アトレティコも前半、グリースマンの放ったvolea(ボレア/ボレーシュート)が惜しくも外れてしまったり、後半41分にはこのプレシーズン、チームの救世主になっていたフェルナンド・トーレスがゴール前から真上に撃ち上げてしまう始末で、どうしてもゴールを奪えず。そのせいか、シメオネ監督もせっかくアップさせていたカンテラーノたちを投入することもなく、この夏、初めて国内でプレーする彼らをその日は近場なこともあって、応援に駆けつけたアトレティコファンが「Ole, ole, ole! Ole Cholo Simeone!(オレ・チョロ・シメオネ)」とカンティコ(節のついたシュプレヒコール)を合唱する中、まるで罰ゲームのように先発した11人を最後までプレーさせることに。 ▽対するヘタフェもボールを持たれっぱなしだった前半を改め、後半は少し、上向きになったものの、得点するまでには至らず。ええ、柴崎選手もシュートを3回程、スルーパスも何度も試みていたんですけどね。後でボルダラス監督も「Quiza el ultimo pase le ha faltado que el destino fuera el correcto/キサ・エル・ウルティモ・パセ・ラ・ラルタードー・ケ・エル・デスティーノ・フエラ・エル・コレクト(方向は正しかったけど、ラストパスが欠けていたかもね)」と言っていたように、チームメートにタイミング良く受けてもらうことはできませんでしたっけ。 ▽それでも途中交代した時には観客から大きな拍手をもらっていましたし、監督も「Es muy generoso, ha trabajado bien sin balon, es un jugador que tiene futbol en las botas/エス・ムイ・ヘネローソ、ア・トラバハードー・ビエン・シン・バロン、エス・ウン・フガドール・ケ・ティエネ・フトボル・エン・ラス・ボタス(彼はとても心が広い。ボールを持たない時もよく働いた。シューズにサッカーが詰まっている選手だね)」と彼を称賛。顔なじみのAS(スペインのスポーツ紙)のヘタフェ番記者も「きっと開幕のアスレティック戦ではスタメンだよ」とお墨付きをくれたため、20日はサン・マメスのピッチでその雄姿が見られるのを期待してもいいかと。実際、昇格組のヘタフェにとって、この試合、残留が目標の今季、ヨーロッパの大会に出場するチームとスコアレスでも引き分けたというのは、リーガなら勝ち点1なのですから、十分な成果だったと言えるかもしれません。 ▽翻って心配なのはアトレティコで、試合後ミックスゾーンに出て来たヒメネスなども「Tenemos ocasiones pero nos falta muy poquito para meterlas/テネモス・オカシオネス・ペロ・ノス・ファルタ・ムイ・ポキート・パラ・メテールラス(ウチはチャンスを作ったけど、ゴールに入れまでが少し足りなかった)。来週のジローナ戦に向けて精度を上げないと」と認めていましたけどね。現実問題、決定力を上げてもらいたいのはゴディンの代わりに開幕戦先発となりそうなCBではなく、FW陣なんですが、うーん、実は土曜のレガネス戦でもビエットが最高のカウンターから、GKクェジェルとの1対1を見事に失敗。 ▽このままだと、彼もサントス・ボレ(リベル・プレートに移籍)、クラネビテル(同ゼニト)、そして前日、ヘタフェに河岸を変え、昨季のテネリフェ(2部)に引き続き、柴崎選手の同僚となったアマトらの後を追って、ワンダ・メトロポリータノのピッチを踏めないことになりそうですが…とにかく、昇格組だったアラベスと0-0で引き分けて始まった昨季の轍だけは踏んでもらいたくないところです。 ▽え、マドリッドの3チームは土曜の夜、アルバセテ(2部)に2-1で負けてしまったヘタフェを含め(柴崎選手は途中出場)、これで全ての親善試合を終え、あとはリーガ1節を指折り数えて待てばいいだけだけど、すでに公式戦モードに入っているレアル・マドリーはどうしているのかって?いやあ、スペインU21代表選手を中心にこの夏は補強したためか、お隣さん同様、昨季とほとんど変わらないメンバーでプレーしている彼らですが、あっちはCL、リーガのドブレテ(二冠優勝のこと)達成のチームですからね。火曜には、そのカーディフでのCL決勝ユベントス戦からクリスチターノ・ロナウドとベイルをスタメンで入れ替えただけのメンツで、マンチェスター・ユナイテッドをUEFAスーパーカップで圧倒。 ▽前半23分にはカルバハルのクロスをカセミロが決め、いえ、モウリーニョ監督は「Es fuera de juego. Y con el VAR no seria gol/エス・フエラ・デ・フエゴ。イ・コン・エル・バル・ノー・セリア・ゴル(あれはオフサイドだったし、VAR/ビデオ・アシスタント・レフェリーがあればゴールにならなかったろう)」と後で文句を言っていましたけどね。これで先制したマドリーは後半6分にもベイルとのワンツーで抜け出したイスコが2点目をゲット。マラガにいた4年前、「いい選手だが、そんなに素早くないし、体に対して頭が大きすぎる」という奇妙な理由で獲得を自粛したユナイテッドにきつい一発を入れることに。その後は相手もルカクのゴールで追いすがったものの、2-1でマドリーの快勝です。ええ、終盤にはまだチーム合流から2セッションしかこなしていなかったロナウドもピッチに入りましたが、あまりその必要性もなかったような。 ▽よって、同様にアメリカでのインターナショナル・チャンピオンズカップでは負けていたバルサが相手となる次のスペイン・スーパーカップもそれ程、心配することはなさそうに見えるんですが、唯一、気になるのはモウリーニョ監督も「Los centrocampistas del Madrid son unicos, no hay replica de Modric, Kroos, Casemiro o Isco/ロス・セントロカンピスタス・デル・マドリッド・ソン・ウニコス、ノー・アイ・レプリカ・デ・モドリッチ、クロース、カセミロ・オ・イスコ(マドリーのMF陣は他にないものだ。モドリッチ、クロース、カセミロ、イスコの複製はいない)」とベタ褒めしていたうちの1人、モドリッチがカンプ・ノウでの1stレグに出場停止となること。 ▽原因は3年前、今のところアトレティコ最後のタイトルとなっている2014年のスペイン・スーパーカップ2ndレグで退場したためですが、それ以来、マドリーもこの大会に出場していなかったのは結構、意外に感じる向きも多いかと。ちなみに前日記者会見で3年間の契約延長を公けにしたジダン監督は再び、「fisicamente ha trabajado muchisimo y esta listo/フィシカメンテ・ア・トラバハードー・ムチシモ・イ・エスタ・リストー(フィジカル的に沢山、トレーニングしているし、プレーする用意は整っている)」とロナウドの先発起用を示唆していましたが、世間一般ではこの試合でもベンチスタートでフル出場はなしとの見方が主流。昨季もローテーションで入るたびにいいプレーを見せたクロアチア人の後輩、コバチッチを入れ、イスコをキープした4-4-2でいくんじゃないかと言われていますが、アセンシオやセバージョスら、オプションも多いだけに、スタメンは当日のお楽しみでいいんじゃないですかね。 ▽一方、先週、ネイマールを史上最高の2億2200万ユーロ(約286億円)でPSGに売ったはいいものの、おかげで移籍市場が超インフレに突入。デンベレ(ドルトムント)やコウチーニョ(リバプール)を獲りたくても相手に足元見られ、値段が1億4000万ユーロ(約180億円)だの、1億2000万ユーロ(約155億円)だのに跳ね上がってしまい、なかなか実現できていない相手のバルサなんですが、それでもあちらにはメッシ、ルイス・スアレスという最強のゴール量産コンビがいますからね。月曜にはガンペル杯でシャペコエンセに5-0と大勝もしているせいですか、いよいよクラシコ(伝統の一戦)スペイン・スーパーカップ版が近づいてきても、あまり試合に関する話が出てこないのが不思議なところ。 ▽何せ、この対戦でネイマールの代理を務めると言われているデウロフェウですら、今季本当にチームに残るのか、確定していない状態ですからね。UEFAスーパーカップで優勝したマドリーを当日、彼らがピッチで花道を作って迎えるかどうかという議論を別にすれば、人事関係の取り沙汰ばかりが耳に入ってくるですが、それでもトロフィーはトロフィー。「No me cansare nunca de ganar y levantar trofeos/ノー・メ・カンサレ・ヌンカ・デ・ガナール・イ・レバンタール・トロフェオス(勝つこととトロフィーを掲げることには決して飽きない)」というセルヒオ・ラモスを筆頭に、どちらも本気の白熱した戦いが見られるのは間違いないかと。そんなスペイン・スーパーカップ1stレグは日曜午後10時(日本時間翌午前6時)キックオフ。まずは両者のお手並み拝見といきましょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.13 11:30 Sun
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【倉井史也のJリーグ】せっかく9日の試合を見てから書いてるんだから渋いチョイスをするぜ!? の巻

▽この原稿を読んでいらっしゃるみなさまは、「お盆休みか~。暑いけどちょっとだけノンビリしちゃおうかな。クーラーの効いたところでダラダラするか、人混みはあるけど楽しいところに行っちゃおうかな~」とか言ってる人もいるでしょう。私だって人の子。たまには休んだり、ノンビリしたいものです。特にこんな暑くてクーラーのない部屋で原稿書かなきゃいけないなんて苦行じゃん! 的なときは!! いいか! Jリーグ! ▽ホントなら、この原稿を早めに出してちょっくら休みにしようかな、連休避けたらまだ大丈夫かな? みたいなのも思ってたんですよ。ところが9日にもJリーグ、やってるし! どうしてもその話題に触れなきゃダメじゃないですか! ▽つーことで、9日の試合で面白かったのは、何と言っても柏vs鳥栖! どうしてこうなったというビックリゲーム。どっちもGKがいないゴールに向かって蹴り込まないという。何が起きてたんですかね、あれ。しかも柏は2人退場になっちゃうし。それで0-0ってのが、よけいに不可思議だったわけですな。 ▽それはさておき、こまっちゃったのが柏。だってせっかくもう一度上昇気流に乗ろうとしてたのに、勝点1しか積み上げられなかっただけじゃなくて、当然ながらディエゴ・オリヴェイラもキム・ポギョンも次の試合に出られないわけです。で、次の相手が清水。 ▽9日の試合の清水ってむちゃ強かった。C大阪との試合は0-2から大逆転。で、C大阪を首位から引きずり下ろしてしまったし。こ、これは柏、大ビンチ! しっかりと若手を作る基盤を作って作って、あとは外国籍選手で埋めてっていう、なかなか理想の形が出来上がってるだけに残念! ▽って、あれ? 9日の清水って、鄭大世もチアゴ・アウベスもいなくない? そんで勝ってるわけ? ってことなら、もしかしたら柏にもチャンスがあるかも! 前回の対戦は0-2で柏がホームなのに負けちゃったけどな! ちなみに、柏が日本平に乗り込んだ試合は18試合。成績は11勝1分6敗、35得点26失点とかなり相性がいいのです。ま、どっちが勝っても首位鹿島の座は揺るがないんですけど。 ▽さて、今週末の試合で全チームがC大阪と浦和の消化試合数に追いついて、やっと順位表がわかりやすくなるぞ! まさか浦和が9位転落の可能性があるなんて、思ってもみなかったけどな!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.08.11 20:30 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】殿堂掲額の特別表彰は意外な大先輩

▽今年もまた、日本サッカーの殿堂に掲額する功労者の選考があり、特別選考で2名の方が選出された。一人は元日本代表の監督である加茂周さん、もう一人はカメラマンの今井恭司さんだ。 ▽投票選考では、藤和不動産やフジタ工業などで活躍したFW渡辺三男さん、藤枝東高や早稲田大と名門コースを歩み、釜本二世と期待された日立のFW碓氷博行さん、古河や日本代表でキャプテンを務め、現在は東京国際大学サッカー部監督のMF前田秀樹さん、三菱と日本代表でゴールを死守したGK田口光久さん、読売クラブやヴェルディ川崎でプレーし、引退後はJFAの強化委員長も務めたDF加藤久さん、そして「ドーハの悲劇」でW杯出場を逃したMFラモス瑠偉さんの6人が候補者に選ばれた。 ▽しかしながら150人の投票の結果、75%以上の得票を得た候補者がいなかったために、投票部門の掲額者は見送られることになった。トップの加藤久さんは111票を集めて74%の得票だったものの、あと1%足りなかったのは残念なところ。しかし、得票率10%以上の候補者は次回以降3回まで候補者名簿に残るため、加藤久さんとラモス瑠偉さん、碓氷博行さん、前田秀樹さんは来年以降も掲額される可能性がある。 ▽その一方で、今回は10%に届かなかった田口光久さんと渡辺三男さんは、投票選考の対象外となり、今後は特別選考で選ばれない限り掲額される可能性はなくなった。なんとも厳しいルールでもある。 ▽加茂周さんの特別選考は、ちょっと意外だった。というのも、日産自動車の黄金時代を築き、日本人指導者として初のプロ監督になるなど、長きに渡って日本サッカーを牽引してきた功労者でもあるからだ。もっと早くに殿堂入りしてもおかしくないと思ったからだ。これまでの掲額者は、どちらかというと選手としての実績が評価の対象だったため、見落とされていたのかもしれない。 ▽もう一人の今井恭司さんも意外だった。カメラマンが掲額されるのは初めてのこと。これまでメディア関係者では新聞記者の大谷四郎さん、賀川浩さん、牛木素吉郎さん、共同通信者の奈良原武士さん、アナウンサーの金子勝彦さんの5人しかいなかった。 ▽記者なら署名原稿を書くこともあるので氏名が認知されやすいかもしれないが、カメラマンになると、作品と名前がなかなか一致せず、認知度も低いだろう。そうした対象者にもスポットライトを当てた今回の特別選考は、掲額対象者の枠を拡大する意味でも意義深いものがあると思う。 ▽今後は、例えば漫画家の故・望月三起也さん(ワイルド7などの作者で熱烈な三菱&浦和ファン)や、高橋陽一さん(言わずと知れたキャプテン翼の作者。まだ57歳のため資格はない)らも、サッカーの知名度アップに貢献しただけに、候補者にしてはいかがだろうか。 ▽サッカーは、選手が主役だ。しかし、選手だけでプロリーグは成り立たないし、それは日本代表の隆盛にも当てはまるだろう。日本サッカーの発展・熟成に貢献した功労者は数多い。少年団を創設して地域のコミュニティ発展に寄与した指導者、中学・高校サッカーで代表選手を輩出した名監督、医療や審判など裏方で尽力している方々など、例を挙げればきりがない。 ▽殿堂掲額は「ステイタス」ではなく、「感謝」を捧げる場であって欲しい。そのためには、得票率10%以上という「足切り」はなくし、候補者枠を広げるべきではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.08.10 18:15 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】真剣勝負の時間が近付いてきた…

▽「こっちになったのはラッキー」そんな風に私が喜んでいたのは月曜。その朝から、ヘタフェが施設入口から近い方のピッチで練習しているのを見つけた時のことでした。いやあ、先週まではずっと、アトレティコ・バレアレス(2部B)との親善試合ですら、奥のグラウンドを使っていたため、このまま通っていると、ビーチにも行っていないのに手足が真っ黒になってしまうと心配していた私でしたけどね。ミニスタンド付きのこちらは屋根のおかげで日影がある上、腰を下ろして見学できるため、午前9時半から始まったセッションが11時50分までと、予想外に長かったにも関わらず、まったく苦にならなかったって、まあそれは10人程、その場にいたファンの話。 ▽もちろん、フィジカルメニューがたっぷり詰まった内容は柴崎岳選手を始め、お日様のギラギラ照りつける中で練習していたメンバーとっては大変だったと思いますが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにあるロッカールームに戻る途中、ボルダラス監督と話したところ、この日はさらに夕方にもセッションがあると言うから、え、そんなに練習したら、熱中症にならない? 曰く、「リーガ開幕まであと1週間、もうあまり時間がない」そうですが、確かに昨季プレーオフで昇格を決めた彼らはプレシーズンを始めたのも最後でしたからね。今のところ、10人に上る新加入選手はリーガ1部経験者が多いものの、これから獲る予定のCFやボランチを含め、チームとしてまとまるにはやっぱりできるだけ沢山、トレーニングしておく必要があるのかも。 ▽ちなみにそのヘタフェは先週末、土曜にプエルトジャノ(マドリッドから車で南に2時間半の内陸都市)で同じ昇格組のジローナと対戦したんですが…。いえ、私はもう1つのマドリッドの弟分チーム、レガネスがいつの間にか、格下になっていたラージョ(2部)とエスタディオ・デ・バジェカスで顔を合わせた試合を見に行っていたんですけどね。丁度、こちらの試合のハーフタイムに、柴崎選手が80分に決めたゴールでヘタフェが1-0で勝利したという報を知り、驚いたの何のって!! そうボルダラス監督に言ったところ、「彼に得点力がないと思っていた?」とからかわれてしまいましたが、いやいや。 ▽というのも、後で映像を探し出して見てみたところ、そのゴールはジローナDFからボールを奪って個人技で決めるというgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったんですよ。折しもその試合の日、監督が「Le faltan conceptos de lo que es la Primera pero nos dará cosas/レ・ファルタン・コンセプトス・デ・ロ・エ・エス・ラ・プリメラ・ペロ・ノス・ダラ・コーサス(1部というもののコンセプトがまだ欠けているが、ウチにイロイロ貢献してくれるだろう)」とマルカ(スポーツ紙)のインタビューを読みましたしね。あまりにタイミングバッチリで、しかも地獄の暑さだったというピッチで先発して終盤の決勝点となれば、当人の体力アピールにも大いに役立ったかと。 ▽そんなヘタフェはこの水曜にまた、もう1つの2部の兄弟分、アルコルコンとサント・ドミンゴで午後8時から親善試合。このスタジアムはセルカニアス(近郊路線)C-5線のLas Retamas(ラス・レタマス)駅から歩いてすぐ、入場料も5ユーロ(約660円)と格安なので、たまたまマドリッド観光に来ているファンは覗いてみても面白いかと思いますが、今週金曜午後8時30分には改装されてキレいになったコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのチームプレゼン試合も開催。兄貴分の胸を借りるアトレティコ戦もありますからね。そちらの方が1部復活を遂げた彼らの現在の実力を計るにはお勧めかもしれません。 ▽え、それでラージョとレガネスのバジェカス杯はどうなったんだって? いやあ、今季も2部でプレーするにも関わらず、忠実に応援を続けていたホームサポーターには気の毒だったんですが、1部2年目のアシエル・ガリターノ監督のチームはサッカーで一番大事なところでカテゴリーの差を披露。それはずばり得点力で開始1分、ディエゴ・リコのゴールで先制すると、その後はずっと相手にボールを持たれて攻められながら、73分にはガブリエウがPKを獲得して2点差に。そのまま0-2で勝利すると、先日のアウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)程、豪華ではありませんでしたが、キャプテンのマントバーニが堂々、トロフィーを掲げています。 ▽何せ、今季も降格候補に挙げられてしまうであろうレガネスですからねえ。こういう堅実な勝利で選手たちが自信をつけるのが一番なんですが、そのいい例が兄貴分のアトレティコ。ええ、アリアンツ・アレナでナポリ、リバプールを下し、優勝杯を持ち帰った後の金曜日、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に夕方のセッションを私が見に行ったところ、これが「Cuando hay ilusión, siempre encuentras cosas para motivarnos/クアンドー・アイ・イルシオン、シエンプレ・エンクエントラス・コーサス・パラ・モティバルノス(夢がある限り、常にモチベーションを上げる何かを見つけられる)」(シメオネ監督)ということなんですかね。物凄い迫力で指導していた当人を筆頭に、ロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)時の選手たちのエキサイトぶりときたら! しかもその日は午前中にも練習していたとなれば、今季も体力的には申し分ない仕上がりになっているのは間違いない? ▽その一方でサッカー的にどれ位、上達したのか、練習で判断できないのは再び彼らのセッションが開始から15分のみ見学可に戻ってしまったためなんですが、大丈夫。その成果は日曜のブライトンとの親善試合で目にすることができました。いえ、相手がプレミアリーグ昇格組ということで、先日の今季CLプレーオフ出場チームを相手にした時はまったく違い、主導権を握っていたアトレティコでしたけどね。得点こそ、なかなか生まれなかったものの、41分にはガイタンのミドルシュートがGKライアンの手をすり抜けて先制。ただこれは61分、ブライトンのFKにガイタンが足を出し、軌道を変えてゴールにしてしまったため、すぐ追いつかれてしまったんですが、ここで大御所が登場します。 ▽ええ、67分にファンフランのクロスをノーマークだったフェルナンド・トーレスがヘッドで決め、勝ち越し点を挙げてくれたんですから、これならジエゴ・コスタ(チェルシー)が来年1月までプレーできなくても心配しなくていい? ところが予想外だったのはブライトンも意地を見せ、78分にはマーチのクロスをシドウェルが同じように頭で易々ゴールにしてしまったことで、どうやら守備の面ではまだまだ課題が残っているよう。うーん、最後は89分にグリーズマンのシュートはライアンに弾かれてしまったものの、ふくらはぎ痛でお留守場となったフィリペ・ルイスの代わりにその日、左SBを務めていたルーカスが押し込んで、2-3と勝利したアトレティコだったんですけどね。 ▽サビッチなどは「失点しようがしまいが、lo más importante es que el equipo gane y lo hizo/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ケ・エル・エキポ・ガネ・イ・ロ・イソ(一番大事なのはチームが勝つことで、それはできた)」と言っていましたが、どこぞのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質のチームと違い、彼らはいつでも2点3点と挙げられる訳ではなし。ここ3試合、国外のプレシーズンマッチではナポリ戦のremontada(レモンターダ/逆転劇)、リバプール戦のPK戦勝利、そしてこの日の土壇場の決勝点と、お隣さんのお株を奪うような勝ち方をしてきたとはいえ、油断は禁物です。 ▽そして月曜は休養、火曜の夕方から練習を再開するアトレティコは、後は金曜にヘタフェ、土曜にレガネスと、弟分との2連戦でさらに自信をつけて(?)プレシーズンマッチを終える予定なんですが、実はもうそんな悠長なことは言っていられないチームも…。もちろんそれはレアル・マドリーで、先週はアメリカツアーから帰還後、土曜、日曜、午後5時という一番暑い時間にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトレーニングすると、月曜にはUEFAスーパーカップに備え、もうマケドニアに飛ぶことに。 ▽え、あちらはタイトルが懸かった試合だから、マドリーが真剣になるのはわかるけど、コンフェデレーションズカップのポルトガル代表参加でバケーション入りが遅れ、チーム合流からたった2日しか経っていないクリスチアーノ・ロナウドを連れて行くとはかなり切羽詰まっていないかって? まあ、確かにアメリカでのインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏に行われる国際親善大会)の初戦では今回の相手、マンチェスター・ユナイテッドと1-1で引き分けた後、稀に見る悲惨なPK戦2-1で負けていますけどね。試合前日会見で話したジダン監督は、「彼はフィジカル的に2カ月前のCL決勝の時と同じ。Si está con nosotros es que está para jugar/シー・エスタ・コン・ノソトロス・エス・ケ・エスタ・パラ・フガール(我々と一緒にいるのはプレーできる状態ということ)」と言っていましたが、現実問題、そんなことってありえるんでしょうか。 ▽まあ、体質は人それぞれですし、当人はマドリッドと同じぐらいのスコピエの猛暑も平気なのかもしれませんけどね。マドリーはUEFAスーパーカップをこのところ2連覇しているものの、その時はどちらも相手がセビージャ、今回はマドリー打倒に闘志を燃やすモウリーニョ監督のチームと相まみえるとあって、ジダン監督発言には牽制の意味もあるのかもしれませんが、こうなるとますますわかりにくくなるのが試合のスタメン。 ▽そう、ロナウド参戦まではスタメンにベイルを使うのか、昨季終盤からこのプレシーズンも輝きを維持しているアセンシオを抜擢するのかが論争になっていましたが、こうなると普通にBBC(ベイル、ベンゼマ、ロウドの頭文字)先発という目も出てくるかと。ちなみにケガ人が1人もいないマドリーはルーカス・バスケス、コバチッチ、セバージョス辺りからも誰か、スタンド観戦になる可能性があります。 ▽一方、ユナイテッドはバイリーやショーといった出場停止の選手もいるものの、この夏獲得したルカクを先頭にラッシュフォード、ポグバ、ムヒタリアンといった豪華メンバーが前線に並ぶ予定。うーん、カリフォルニアでの対戦ではどこか、手札を隠していた感もあったモウリーニョ監督ですからね。AS(スポーツ紙)などでは5人DF体制もありうるなんて書かれていましたが、果たしてこの勝負、軍配はどちらに挙がるのやら。そんなUEFAスーパーカップのキックオフは火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)。ようやくまともな時間に見られるマドリーの試合ですし、パッとしなかったアメリカでのイメージを払拭するためにもいい結果に終わってくれると嬉しいです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.08 12:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】親善試合だって勝った方が嬉しい…

▽「だったら、最初からそうしてれば良かったのに」そんな風に私が呆れていたのは木曜。お昼のニュースでは午前中に契約破棄金額の2億2200万ユーロ(約290億円)の小切手をマドリッドにあるLEP(スペイン・プロリーガ協会)の本部に持ち込んだネイマールの法定代理人が受け取りを拒否されたと報じられたものの、彼らはその足でバルセロナに移動。クラブのオフィスに現金で持って行ったところ、受理してくれたため、午後にはPSGへの移籍が叶ったとの記事を見つけた時のことでした。いやあ、先日、1月からアトレティコでプレーするビトロ(現在はラス・パルマスニレンタル)がセビージャとの契約破棄金額4000万ユーロ(約52億円)をLEPに持参した時には何の問題もなかったんですけどね。 ▽ネイマールについては常識破りの額だったのがいけなかったんでしょうか。マイアミでのクラシコ(伝統の一戦)の後、中国商業ツアーに出た当人が火曜にドバイ経由でバルセロナに戻って来る前から、LEPのテバス会長は「これはdopaje financier/ドパヘ・フィナンシエロ(ファイナンシャル・ドーピング)だ。PSGの金は親会社から出ていて、フィアナンシャル・フェアプレー規則にも違反している。そんなものは受け付けられない」と息巻いていたんですが…。でもねえ、彼らはただの仲介役。違約金はそのままバルサに渡されるだけですし、それを規則の枠内かどうかを判断するのはUEFAの仕事となれば、元々、LEPに拒否する権限さえあったのかどうか。 ▽まあ、バルサではチームメートたちもネイマール騒動にもう食傷気味。フロントも後釜探しに入っていたと言いますし、その一番手に挙がったグリーズマンが実はこの夏の移籍市場オープン中だけ、移籍破棄金額が2億ユーロ(約261億円)に倍増。9月からまた1億ユーロに戻ることもあってか、さっさと候補から外れてくれたため、私もセルヒオ・ラモス同様、8月13、16日のスペイン・スーパーカップでレアル・マドリーがMS(メッシ、ルイス・スアレスの頭文字)だけを相手にすればいいのを喜んだぐらいで、金曜にはパリでネイマールのメガプレゼンが予定されているとか、別にどうでもいいんですけどね。ええ実際、今週のミッドウィークにはマドリッド勢が次々とプレシーズンマッチを戦ったため、そちらで忙しかったんです。 ▽そのトップバッターは火曜にミュンヘンでアウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)準決勝に挑んだアトレティコで、いやあ、やっぱりヨーロッパ内での試合はいいですよね。夕方からのキックオフだったため、私も家でじっくり見られたんですが、レギュラーをスタメンに並べながら、シメオネ監督のチームは序盤からナポリに押されがちに。それでも24分にはフィリペ・ルイスのクロスをグリーズマンが強烈ヘッド。続いてガイタンのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をGKレイナにダブルでparadon(パラドン/スーパーセーブ)され、その1分後にはコケのクロスを再びグリーズマンがvolea(ボレア/ボレーシュート)で惜しくも外すというチャンスも発生。そんな楽観的なムードが一転したのは32分で、ゴール前でサビッチがカジェホンを倒し、ペナルティを取られてしまったから、さあ大変! ▽でも大丈夫だったんです。というのも、2016年のCL準決勝バイエルン戦2ndレグでもミュラーのPKを止めていたGKオブラクがミリクのキックを弾いてくれたから。彼は前半終了間際にもインシーニェのシュートを決めさせず、試合は0-0のままハーフタイムに入ったんですが、やはりプレシーズンはありがちですよね。55分、アトレティコの守備ミスから、グラムの上げたクロスをカジェホンがノーマークで討ち込んで、先制点を奪われてしまったものの…この日はシメオネ監督の最初の交代策が当たりました。 ▽そう、U21ユーロに出場したため、練習開始が遅れたサウールに代わり、スタメンに入っていたガイタンをトーマスにしたところ、「nos dio recuperación y salida en la circulación de la pelota/ノス・ディオ・レクペラシオン・イ・サリーダ・エン・ラ・シルクラシオン・デ・ラ・ペロータ(ウチがボールを奪えるようになり、パス交換の起点にもなった)」(シメオネ監督)彼が71分、エリア内に向かうグリーズマンにスルーパス。その折り返しがフェルナンド・トーレスに渡り、うーん、ゴールに対面しながら、踵で蹴るというちょっと妙なシュートではあったんですが、これで同点となれば、どこに文句がありましょう。 ▽ただその後、アトレティコは6人も選手を代えたため、勝ち越し点は難しい気がしたんですが、いやあ、たまにはあるもんですね。お隣さんのお株を奪うように81分、カラスコの蹴ったCKをヒメネスが頭で繋ぎ、最後はファーポストのビエットが決めて、とうとう2-1と逆転してしまったから、驚いたの何のって。ええ、そのことは後でシメオネ監督も「Más que ganar, me quedo contento por remontar/マス・ケ・ガナール、メ・ケド・コンテントー・ポル・レモンタール(勝利より、自分は逆転したことに満足だ)」と認めていましたっけ。 ▽まあ、最後はゴディンが2枚目のイエローカードをもらって退場、「ああいうタックルは親善試合ではやらないものだと本人に言ったら、謝っていたよ」(サッリ監督)なんて出来事もあったんですけどね。8月中旬にはCLプレーオフが控えているため、自分たちより準備が進んでいる相手に挑み、見事アウディカップ決勝進出を掴んだアトレティコは、FIFA処分でこの夏、補強ができないことに不安を抱いていたファンをホッとさせてくれた? そして意外にもバイエルンが準決勝で0-2と負けたため、翌水曜はリバプールと戦うことになった彼らでしたが…。 ▽え、午後8時半からの決勝を見逃すのを覚悟で私がヘタフェのプレシーズンマッチに行ったのは、とてもsuplentes(スプレンテス/控え)とカンテラーノ(アトレティコBの選手)でクロップ監督率いるプレミアの名門に勝てるとは思わなかったからじゃないのかって? いやあ、ちょっとはそういう気持ちもあったんですが、1部Uターンしたばかりのマドリッドの弟分チームもこれがこの夏、地元で初めての試合ですからね。同じ気持ちだったファンも多かったようで、15分程前にヘタフェのシウダッド・デポルティバ(練習場)に着いたところ、強烈な日差しにも関わらず、見学スペースのあるピッチの側は隙間なく人がへばりついている状態。 ▽おかげで開始4分、いきなりペナルティを取られ、アトレティコ・バレアレス(2部B)のシスコがPKを決めて先制。その7分後、ホルヘ・モリーナが同点弾を決めたシーンなどもよく見えなかったんですが、右往左往しながら、メモをとっている私って、気の毒に思われたんですかね。家族連れのママが途中で間に入れてくれたため、残りの時間は柴崎岳選手がピッチに入った後半を含め、視界良好で観戦できることに。ただねえ、その日のヘタフェは先日、スポーツディレクターのプラネス氏が「守備的にはいい補強ができた」と言っていたものの、まだコーディネート不足なんでしょうか。 ▽30分には新入団のGKマノイロビッチ(ツベルナ・ズベズダから移籍)が敵のシュートを弾きながら、落ちてきたボールをお手玉してオウンゴールにしてしまったり、45分にも再びシスコにゴールを奪われ、1-3で折り返すと、メンバーがほとんど代わった後半は1点も返せず。そのまま負けてしまったとなれば、翌日にあったDFアントゥネス(ディナモ・キエフからレンタル)とGKマルティネス(アーセナルからレンタル)の入団プレゼンの席で、またしてもプラネス氏が「La necesidad es reforzar la zona ofensiva/ラ・ネセシダッド・エス・レフォルサル・ラ・ソーナ・オフェンシバ(必要なのは攻撃陣の補強)。誰か、創造的なプレーのできる選手を獲れればチームの助けになるだろう」と強調していたのは当然だった? ▽いえ、試合の帰り道、丁度、私の側を歩いていたヘタフェ1部初昇格時のOB、ジカ・クライオベアヌなどは、先週のアルコジャノ(2部B)戦でも引き分けた後だけに心配してチームの様子を訊いてきたファンに、「ウチは今日の午前中も練習があったからね。ボルダラス監督は要求が高いし、これからだよ」と言っていましたけどね。柴崎選手にも2度程、絶好のチャンスがあったんですが、そのシュートも敵GKに阻まれてしまい、得点はならず。それでもファンたちは「この夏、一番レベルの高い補強選手だよ。あとは慣れるだけじゃないか」、「昇格プレーオフのカディス戦、もちろんヘタフェ戦でも見たけど、その時からいいと思っていた」と、彼のことを好意的に受け入れてくれていたのは嬉しかったかと。 ▽唯一、気になったのは私がグラウンドにいるヘタフェの広報部長に監督でも選手でも誰か、試合後にコメントしてくれるのかと訊いていた時、「ガクは話さないわよ」と言われたのは想定内でしたが、昨季のテネリフェ在籍時の伝え聞きから、私が「内気ですからね」と答えたところ、すぐ横にいたCBのカラが「Si, si, sabemos que es timido/シー、サベモス・ケ・エス・ティミドー(そうそう、ボクらも彼が内気だって知ってるよ)」と茶々を入れてきたこと。もちろん、言葉の壁もありますし、南米人も沢山混じったあのスペイン乗りにそうそう、簡単に入れないのは日本人として私もわかりますが、昨季ミックスゾーンなどで見たエイバルの乾貴士選手なんて、もう2年目だったことあり、チームメートと気さくな感じで話していましたからね。この先、土曜には同じ昇格組のジローナとの試合も控えていますし、柴崎選手も少しずつ、チームに溶け込んでいけるといいのですが。 ▽そして1時間かけて家に戻った私でしたが、メトロ(地下鉄)に乗る前、33分にアトレティコが最初のチャンスで先制という嬉しいニュースが!! しかし、60分から入ったガビが82分にオリジを倒しPKを献上。この日のGK、モヤはフェルミーノを止められず、1-1の同点に変わっていたんですけどね。結局、90分終了後のPK戦を見るのに間に合ったのは運が良かったというか、余分にドキドキしてしまったというか。 ▽だって、最後にアトレティコのPK戦を見たのは昨年6月、ミラノでのCL決勝だったんですよ。あれ以来、もう一生、選手たちだってPK戦なんてしたくないに違いないと思っていたんですが、この日の彼らは立派でした。ええ、リバプールが先で1番手のフェルミーノは再びモヤを破ったんですが、グリーズマンもゴール。すると次のヘンダーソンをモヤが弾き、その後はオリジ、ケント、グルジッチが入れたものの、トーレス、ガビ、ガイタン、そして最後はフィリペ・ルイスが決めて、4-5で勝ってしまったから、感心したの何のって。いえ、シメオネ監督に言わせると、「グループの結束力のおかげでeste trofeito(エステ・トロフェイト/このミニカップ)を手にできた」そうで、たとえ豪華なセレモニーがあっても所詮、親善試合の話なんですけどね。 ▽しばらく優勝祝いからは遠ざかっている彼らだけに、これをキッカケにビッグタイトル獲得の決意を更に強めてくれればいいかと。実際、このアウディカップ参加チームは皆、今季CLでのライバルですしね。同日、先に行われた3位決定戦ではナポリがバイエルンを0-2で下して勝利という結果になりましたが、アンチェロッティ監督のチームとの対戦は本番にとっておくことになったアトレティコは木曜午前4時にマドリッドに戻ると、9時にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で早速トレーニング。金曜はダブルセッションを行い、翌日は日曜午後5時(日本時間翌午前零時)からのブライトンとの親善試合に備え、イギリス入りというハードスケジュールになっていますが、それもシーズンに備えての体慣らしの一環なんでしょうか。 ▽え、その水曜の深夜、木曜早朝3時にはお隣さんもシカゴでアメリカツアー最後の試合があったんだろうて?まあ、そうなんですが、さすがに私もそこまでは付き合いきれず、結果だけをお伝えしておくと、偶然も偶然、マドリーもMSLオールスターチームと1-1でPK戦にもつれ込み、ようやくこの夏、最初の勝利をゲット。この日はBチームの番で前半はどちらも得点がなく、59分、セバージョスのアシストでマジョラルがゴールを挙げたものの、86分にCKからドワイヤー(オーランド・シティ)のヘッドで追いつかれてしまうことに。PK戦ではケイロル・ナバス、ヤニェスに続き、最後にゴールを守っていたジダン監督の息子、ルカがドワイヤーを殊勲のセーブ。MSLは第1キッカーのジオも枠に当てていたため、途中出場したベンゼマ、ベイル、コバチッチ、マルセロ、全員が成功した彼らが2-4で勝ったんですが、どうもこのプレシーズン4試合、マドリーらしさがまだ披露できてないような気が。 ▽ええ、ジダン監督も「La sensación no es buena/ラ・センサシオン・ノー・エス・ブエナ(いい感触はしない)。ウチはもっと何かをしないと」と言っていましたしね。何より、彼らが大変なのは次がもう公式戦、来週火曜にはUEFAスーパーカップでマンチェスター・ユナイテッドと対戦しないといけないということ。木曜夕方にはマドリッドに到着したチームがバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で活動を再開する土曜にはクリスチアーノ・ロナウドも合流するんですが、さすがに3日間のトレーニングで出場は無理ではないかと。うーん、去年もロナウド抜きでセビージャを破り、UEFAスーパーカップ優勝という実績があるマドリーですが、今度の相手はモウリーニョ監督。足元をすくわれないよう、ベンゼマやベイルに早いところ、シャキっとしてもらいたいところです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.04 13:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】小平の夏、キンチョウの夏?! の巻

▽あー、こりゃ一線を越えちゃったなぁって、どっかの議員じゃなくて、浦和の監督人事じゃなくて、ネイマールでもなくて、FC東京の石川直宏なんですけどね。 ▽引退発表記者会見に集まった報道陣の多さを見ても、どんだけみんなから慕われてたかってのがよくわかりましたよ。どんなときも、決してふて腐れないで誰にでも対応してたし、こういう人として模範になる選手が今季限りでいなくなるってのは、ホントに寂しいもんです。 ▽だから記者からの質問のときに、カッサーノの例を出してた人もいたんですけど、石川は「そうならないように、燃え尽きたい」って語ってました。グスン。 ▽自分やチームの調子がいいときに、ちゃんと話が出来る選手は多いんです。だけど、自分がミスしたり勝てなかったときに、いきなり態度を変える選手もまた多くて。いつもは「いい人」キャラの選手が、報道陣に「フンっ」って感じで通り過ぎるのを見ると、それだけでもう、人間見ちゃいます。 ▽え? お前が「いい人」キャラじゃないからだろう? い、痛い。だからこそ、そんな「いい人」に憧れちゃうわけですよ。 ▽で、ホントにそんな「いい人」だと思ってるのが、札幌の都倉賢。プレーはヤンチャなんですけどね。だけど人としての魅力には溢れまくってるわけです。川崎、草津、神戸、札幌と渡り歩いてる苦労人だけど、まだまだ活躍できる31歳。ぜひ今後も活躍してほしい! と思って今週はなんとC大阪が相手じゃないですか。 ▽札幌とC大阪は去年、ともに昇格を争ったライバル。今年は暫定首位と残留争いに分かれてしまってるけど、3節で対戦したときは1対1の引き分け。で、そのとき都倉が同点ゴールを奪ってるわけですよ。 ▽C大阪にしても踏ん張りどころだし、せっかく浦和に勝ったんで札幌は勢いを持続させたいところだし。5日19時、金鳥スタジアムは熱いと思いますよ〜。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.08.04 12:31 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】FC東京のレジェンドが今季限りでの引退を表明

▽昨日8月2日、FC東京のレジェンドである“ナオ”こと石川直宏(36歳)が、今シーズン限りでの引退を発表した。たび重なるケガにもかかわらず、不死鳥のように復活してきた石川だったが、「必ずピッチに戻り、ピッチで貢献する。ファン、サポーターに喜ぶ姿を見せたかったが決断した」と語り、引退の直接の理由は「自分が皆さんの活力になるプレーをできるかというと、クエスチョンマークがついた。プレーを続けるべきではないと判断した」からだった。 ▽昨夜は第41回クラブユースの決勝戦があり、FC東京U-18は浦和U-18と対戦した(2-0で勝利)。引退会見と重なったが、その理由は石川が8月2日に会見を開きたかったからだった。2年前の8月2日、FC東京はドイツ遠征に行き、2日のフランクフルト戦で石川は前左十字靭帯を断裂。そこから長いリハビリ生活に突入したため、「こういう思いで一歩踏み出したかった」のと、この日は妻である麻依子さんの誕生日でもあったからだ。 ▽石川は神奈川県出身で、2000年に横浜F・マリノスのユースから横浜FMのトップチームに昇格したが、リーグ戦の出場は2試合にとどまり、翌2001年も13試合しか出場機会がなかった。転機となったのは2001年にアルゼンチンで開催されたワールドユース(現U-20W杯)だった。この試合を観戦していた原博実氏が石川のスピードに注目。原氏は2002年にFC東京の監督に就任すると、石川に移籍を打診。同年に期限付き移籍でFC東京に加入し、19試合で4ゴールを上げた。 ▽2003年にFC東京に完全移籍したが、後押しをしてくれたのが故・松田直樹氏だった。松田氏は「横浜FMでは時間がかかるけど、いまのプレーを続けていたらFC東京の顔になれる。チームの象徴として戦うことができる」と言われたことで完全移籍を決断したと明かした。 ▽奇しくも8月2日は、松本山雅に在籍中の松田氏が、午前中の練習中に心肺停止で倒れた日でもあった(2011年。その2日後に死亡)。 ▽印象に残るゴールを聞かれた際は、「次の50ゴール目です。300試合出(現在J1で289試合に出場し、49ゴール)を目指していたけど、それは難しそう。5分だけ完璧に動ければ、ピッチで奪い取って次の50ゴール目」と、試合出場と節目の50ゴールに意欲を燃やしていた。 ▽どんな状況でも記者の質問にはていねいに答えてきたし、その誠実な人柄はファン、サポーターもよく知るところだろう。彼に代わる選手が出てこないことも憂慮していた石川。J1リーグのホーム最終戦は12月2日のG大阪戦。元チームメイトの今野とのマッチアップがあるかもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.08.04 12:30 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】まだこれからだから…

▽「この暑い中、気の毒に」そんな風に私が同情していたのは月曜日、ポスエロ((マドリッド近郊)にある裁判所に出頭するクリスチアーノ・ロナウドが駐車場から建物に入り、脱税疑惑に対する証言後もそのまま直帰。正面玄関前にはスピーチ台まで用意されていたというのにコメントどころか、その姿も見ることができず、待ち構えていた記者200名、TVカメラ40台が無駄足を踏んだとお昼のニュースで知った時のことでした。というのも午前中はまだ、気温はそれ程ではないんですが、スペインの真夏の日差しはこの世のものとは思えない強さ。 ▽丁度、その朝はヘタフェ(マドリッド近郊)に柴崎岳選手の練習を見に出かけた私も日焼け止めと帽子で紫外線対策はしていたものの、このまま通い続けたら、土方焼けするのは時間の問題かと。それでもトレーニングを選手やコーチの声も聞こえる距離で追えるため、まだ救いはありますが、あちらは炎天下で2時間以上待機ですからね。挙句の果てに何も聞けない、撮れないんですから、いえ、「Si no me llamara Cristiano Ronaldo no estaria aqui/シー・ノ・メ・ジャマラ・クリスティアーノ・ロナウド・ノー・エスタリア・アキー(自分がクリスチアーノ・ロナウドという名でなければ、ここにいなかっただろう)」というのはマスコミが漏れ聞いた、当人の裁判官への返答の一節だそうですけどね。まさにそれって、待ちぼうけを喰らった取材陣の方が言いたかったかも。 ▽まあ、その辺はロナウドも予想通り、2011年から2014年の間の自身の肖像権収入をタックスヘーブンの会社に移し、1470万ユーロ(約19億円)の脱税を図ったと言われても、それは2004年から同じでイギリスでは合法、脱税の意図はないと嫌疑を否認していますし、とにかく裁判沙汰ですから、決着するのにかかる時間も年単位ですからね。今は置いておくとして、先にマイアミでの今季最初のクラシコ(伝統の一戦)がどうだったか、お話しすることにすると。うーん、そのロナウドと足首をネンザしたクロースを除き、ベストメンバーでスタートしたレアル・マドリーでしたが、もしかして、これまでのプレシーズンマッチ2試合を右耳の具合が良くなく、欠場していたセルヒオ・ラモスがいきなり先発したのがマズかったんですかね。 ▽前半3分、自陣近くでラモスがメッシを逃すと、相手がボールを持ち込んでシュート。これがバランに当たってGKケイロル・ナバスの頭上を越え、早速先制点を奪われているのですから、たまったもんじゃありません。そしてマドリー守備陣の不手際は7分にもリピートされ、今度はネイマールのパスをルイス・スアレスはスルーしたものの、フリーのラキティッチに決められているって、まさに「Esto significa que falto concentracion/エストー・シグニフィカ・ケ・ファルトー・コンセントラシオン(これは集中力が欠如していたことを意味している)」というジダン監督の言葉通りじゃないですか。 ▽ただ、まだ練習を開始して2週間そこそこのため、バルサの方も全てが完璧という訳ではなく、14分には伏兵、コバチッチがドリブルで数人かわしてエリア前からシュートを決め、マドリーは追い上げを開始。更に36分にはその日、イスコに代わってスタメンに入っていたアセンシオにラストパスを送り、2点目のアシストもしているんですから、実はこっそり成長を遂げていた?これでハーフタイム前に2-2とスコアをタイにした彼らでしたが、後半5分、CBがラモスとバランからナチョとバジェホに代わっていたせいもあったんでしょうかね。セットプレー時のマークが全然なっておらず、ネイマールのFKをピケに楽々シュートされ、勝ち越し点を奪われるとはこれ如何に。 ▽結局、その1点が返せずにマドリーは2-3で敗北。おかげでバルサはインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏に行われる国際親善大会)3連勝で優勝、逆に3連敗のマドリーは最下位というオチになったんですが、いえ、宿命のライバルのキャプテン、イニエスタがハード・ロック・スタジアムでトロフィーを掲げていたって、別に構わないんですけどね。実際、ラモスも「La Supercopa es un titulo y cuando hay un titulo de por medio cambia todo/ラ・スペルコパ・エス・ウン・ティトゥロ・イ・クアンドー・アイ・ウン・ティトゥロ・デ・ポル・メディオ・カンビア・トードー(スーパーカップはタイトルで、タイトルが懸かった時は全てが変わるからね)」と自信を見せていましたが、それってもしや、昨季も時々、あったように、集中力欠如で先制されても、最後はマドリーの伝統芸、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)が発現するから? ▽まあ、それは冗談ですが、公式戦なら、プレシーズンマッチ恒例の選手総取っ替えもありませんしね。この日もジダン監督はgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)だけは避けたかったか、GKナバスのみフル出場したものの、後半頭から4人、26分には6人と交代させているんですが、ただしそれは相手も同じこと。「ネイマールとユニ交換したけど、ojala sea la ultima del Barcelona, a nosotros nos quitaria un problema/オハラ・セア・ラ・ウルティマ・デル・バルセロナ、ア・ノソトロス・ノス・キタリア・ウン・プロブレマ(バルサではこれが最後だといいね。そしたらウチから問題が1つなくなる)」(ラモス)というのが近々、当人のPSG移籍が決まって、8月13、16日のスペイン・スーパーカップの時点では現実になっていることも考えられるとはいえ、マドリーも幾つか改善が必要なところがあるかと。 ▽だってえ、この3試合で8失点もしているんですよ。ペペが契約満了でベシクタシュに移った後、今季のCBはラモス、バラン、ナチョ、バジェホで賄っていかないといけないんですが、まだ誰も満足いく働きを披露していないのが気掛かりですし、それに対して得点はたったの4。しかもカセミロ、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のオスカル、コバチッチ、アセンシオと全員、MFが決めたもので、ベイルもベンゼマもゴールがないというのはどうしたものか。ただまあ、奇遇にも当人の得点と、同日にあったフランス・スーパーカップでエムバペが火を噴かず、モナコがPSGに1-2と惜敗したのが重なって、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)に続くFWは彼でいいんじゃないかという意見が出て来るぐらい、アセンシオはゴールが期待できる選手なんですけどね。 ▽それなら1億8000万ユーロ(約235億円)という超高額移籍金も節約できることですし、クラシコ翌日の日曜をオフにした後、月曜にシカゴに移動。あちらで木曜午前3時(日本時間同午前10時)キックオフとなる、アメリカ遠征最後のMSLオールスター戦を終えて帰国するチームにロナウドが合流すれば、決定力についてはまた別の話になると思いますけどね。何はともあれ、「Lo importante es estar bien el dia 8/ロ・インポルタンテ・エス・エスタル・ビエン・エル・ディア・オチョ(大事なのは8日にいい状態でいること)」とジダン監督も言っていたように、マケドニアのスコピエで開催される今季最初の公式戦、UEFAスーパーカップのマンチェスター・ユナイテッド戦までにはPK練習をよくしておくだけでなく、もっと調子全体が上がっているといいんですが。 ▽え、バルサの方では、バルベルデ監督は「数日前と彼の立場は同じ。Espero que siga asi/エスペロ・ケ・シガ・アシー(このままなのを期待している)」と言っていたものの、クラシコの後、バルセロナに戻るチームメートと別れ、中国での商業イベントに向かったネイマールの移籍話題ばかりだったけど、それが飛び火して、後釜候補にアトレティコのエースの名も上がっていなかったかって?いやあ、確かにネイマールが2億2000万ユーロ(約287億円)で売れれば、契約破棄金額1億ユーロ(約131億円)のグリースマンを獲得するぐらい全然、余裕ですけどね。当人は自身のツィッターにひょうきんなビデオ(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/891600668443762688)を残し、月曜にはシメオネ監督に招集された28人のチームメートと一緒にミュンヘン入り。 ▽ゴール日照りはそれこそ、お隣さんの比ではない彼らのため、この火曜午後5時45分(日本時間翌午前0時45分)からのアウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)準決勝ナポリ戦、バイエルンかリバプールのどちらかと戦う決勝or3位決定戦でプレーする気満々のようなのは、本当にありがたいかと。2日間の連戦になるため、カンテラーノ(アトレティコBの選手)も駆り出されての大所帯で行ったチームでは、恥骨炎の手術後のリハビリ中のガメイロとU21ユーロ参加で先週、金曜に戻って来たばかりのサウルだけがお留守番。どうやら後者は若輩ながら、チームの誰より遅くプレシーズン開始となったため、バケーション中も鍛錬は怠ってなかったアピールをしたかったんでしょうかね。上半身裸でリフティングの妙技を披露するビデオ(https://twitter.com/saulniguez/status/891747940720664577)をアップしていたので、お暇な方は見てやってください。 ▽そしてマドリッドの弟分チーム、レガネスは土曜のプレシーズンマッチ、タラベラ(2部B)戦にもルベン・ペレスとアリバスのゴールで0-2と勝って3連勝。今週は水曜にバジャドリッド、土曜に昨季はヘタフェに置いてけぼりを喰らったもう1つの弟分、ラージョとハードルを上げて、2部のチームと対戦するんですが、このプレシーズン、地元の練習場を1度も離れず、親善試合の相手も日帰りで済む近隣ばかりが選ばれている辺りを見ると、やっぱり他と比べて、かなり経費制限がかかっているような。まあ、シーズンが始まれば否応なく、アウェイ戦に行かないといけませんからね。クラブも回せるお金はできるだけ補強に充てて、1部2年目も残留をブタルケで祝いたいということでしょうか。 ▽え、そんなレガネスでさえ、先週私が練習を見に行った折にはTVカメラが1台、記者も4、5人いたというのに月曜のヘタフェのセッションにはクラブ付カメラマン以外、ファンしかいなかったというのは悲しくないかって?いやあ、これはクラブのホームページに出る予定表(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)のせいもあって、当日、私が家を出る時点でも先週分のまま。直前まで「Sin confirmacion/シン・コンフィルマシオン(未定)」の場合も多いんですが、ただ、今までの私の経験と勘で、朝7時45分からなんてけったいなことをするのは練習後、土日の休みをできるだけ長くとりたい時のアトレティコぐらい。 ▽大抵は10時とか、10時半、シーズン中などは11時ぐらいから始めるのがどこのチームでも一般的なのはわかっていましたし、別に練習全部を見る必要もありませんからね。10時半頃にメトロ(地下鉄)のLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅に着くようにしたら、この日は大当たり。コリセウム・アルフォンソ・ペレスの脇を通ってシウダッド・デポルティボ(練習場)に着くと丁度、ジムを終わって、グラウンドで選手たちが動き始めたところでしたっけ。 ▽ちなみにトレーニングの方はプレシーズンらしく、ロンド(輪になって中に入った選手がボールを奪うゲーム)、ピッチを斜めに横断するランニング10本、2グループでのミニゲーム、腰をゴムで引いてもらってからミニハードル、そしてボールを持って障害を越えてシュートといった、フィジカル中心のメニューでしたが、なかなか皆ゴールにならない中、2本も続けてゴールを入れていた柴崎選手はボルダラス監督に好印象を与えられたかも。 ▽いえ、コーチ陣には「Gaku, Gaku」とよく声をかけてもらっていたものの、まだあまりチームメートと親しく話す様子は見られなかった本人は練習後、さっさと行ってしまったため、声をかけるタイミングを逃してしまったんですけどね。監督によると、「今は選手たちに時間を配分して与える時期」とのことなので、先週あったキャンプ地オリバ(バレンシア州にあるゴルフ&ビーチリゾート)でのアルコジャノ(2部B)同様、この水曜午後7時、練習場で対戦するアトレティコ・バレアレス(2部B)との親善試合でもその雄姿が見られる可能性は高いかと。 ▽しかもその試合、入場自由でタダと言われれば、もう見に行くしかないかと思いますが、今の時期、スペインのこの時間はまだ日が高く、気温も36度とかになるため、飲料水は必須。日影があるのかも不明なので、観戦するだけで相当、体力の消耗を覚悟しないといけません。ちなみにその日は丁度、練習の後、またしてもファイサル(デポルから移籍のMF)、ジェネ(同アルコルコン、昨季はベルギーでプレーしていたDF)、そしてアトレティコから2度目のレンタルとなるCBベラスケスの集団プレゼンがあったおかげで、プレスルームで涼めた私でしたが、スポーツディレクターのラモン・プラネス氏の話ではクラブはあと2、3人、アタッカーを補強する予定だとか。 ▽マドリーのボルハ・マジョラル(昨季はボルフスブルクにレンタル移籍)なども候補に入っているようですが、柴崎選手のライバルになるトップ下系のプレーヤーも来るのかはまだ不明。まあ、どちらにしろ、チームにはパチェコやポルティージョら、昇格に大いに貢献したメンバーもいて、彼らは練習場やスタジアムの駐車場出口で待つファンたちから大人気。それと肩を並べるにはとにかく試合で実績を積み上げるしかありません。 ▽そうそう、放出予定選手について話したプラネス氏は「昨季、あまり貢献できなかった選手はもう出した。Es evidente que el hecho de estar en Primera, con el nivel mas alto, haga que salgan/エス・エビデンテ・ケ・エル・エッチョー・デ・エスタル・エン・プリメラ、コン・エル・ニベル・マス・アルトー、アガ・ケ・サルガン(レベルの高い1部に上がったのだから、そうせざるを得ない)」とコメント。要はこれって、昨季の柴崎選手は2部のテネリフェでプレーしていても、1部でやれる能力があると見なされてヘタフェに迎えられたってことですから、きっと、大きな期待が懸かっていると解釈していいんですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.08.01 10:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】夜型になってしまう…

【原ゆみこのマドリッド】夜型になってしまう… ▽「真夏のクラシコは時間が遅くてイヤよね」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、いえ、アメリカでプレーするインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の国際親善大会)の試合が、ヨーロッパでは真夜中の時間帯に当たり、今季初のレアル・マドリーvsバルサ戦も日曜午前2時(日本時間同9時)からキックオフなのはすでにわかっていたからいいんですけどね。この日、ようやくはっきりしたクラシコ第2弾、8月のスペイン・スーパーカップもカンプ・ノウでのida(イダ/1stレグ)が13日の午後10時(日本時間翌午前5時)、サンティアゴ・ベルナベウでのvuelta(ブエルタ/2ndレグ)に至っては16日午後11時(翌午前6時)にスタート。これって、メトロ(地下鉄)の終電に間に合わず、タクシーも30分以上、歩いてスタジアムから離れないと捕まえられなかった、何年前かのスペイン・スーパーカップと同じパターンになりかねないかも。 ▽まあ、そのマドリーについてはまた後でお話ししますが、今週前半の私はアトレティコもメキシコ遠征、ヘタフェもオリバ(バレンシア州にあるゴルフ&ビーチリゾート)に行ってしまったため、もう1つのマドリッドの弟分、レガネスを偵察してくることに。いやあ、実は練習場を発見するというのは彼らが1部に上がった昨年夏からの自分の課題で、その時は施設のウェブページについていたgoogleマップに沿って着いた先が何故か、ヘタフェのセントロ(中央部)だったり、経路案内にあったバスに乗ってみたところ、降りる場所がわからず、終点のレガネス・セントラル駅まで行ってしまったりと目的を達成できず。 ▽そこで今年は昨季のブタルケ(レガネスのホーム)での試合の後、クラブの広報が「あそこに見えるカルフール(大型スーパー)の向こうだよ」と教えてくれたのを頼りに、月曜の午後6時30分からの練習を目指して、セルカニス(国鉄近郊路線)のzaraquemada(サラケマダ)駅から歩きだしたんですが、太陽に焦がされながら、広大な商業施設の敷地を外側から一周してもそんなものはまったく見当たらず。結局、ブタルケに戻ってしまい、丁度、出くわしたカンテラ(ユース組織)の用具係さんに「その先のautopista(アウトピスタ/高速道路)を超えないといけない」と聞いた時点で力尽き、その日はすごすご、撤退することに。 ▽翌朝にも9時から午前練習があったため、これは一体、何なんでしょうかね。去年はスマホのgoogleマップに施設名のInstalacion Deportiva Butarque(インスタラシオン・デポルティーバ・ブタルケ)を入れてもヒットしなかったのが、今は駅からの経路も見られるのに気づき、再びチャレンジしたところ、いや、その高速道路、歩いて渡れる気配がないんですよ。いくら、通りすがりの地元の人に「よおく周りに注意して車を避けて行くんだ」なんて言われたって、無理なものは無理。結局、高速道路とのロータリーを超えてくれるバスに乗る羽目になったんですが、ようやくたどり着いたレガネスの練習場はかなり衝撃的でしたっけ。 ▽だってえ、そこは市営のかなり古くなった総合スポーツ施設で、隣のコートではテニスサークルみたいな女子たちが準備運動中。兄貴分のマドリーやアトレティコなどは言うまでもなく、昨今ではラージョ(2部)ですら、立派なシウダッド・デポルティボ(練習場)を持っていることを考えると、驚きが止まりませんでしたが、セッション後は選手たちが施設の入り口に近くにあるロッカールームへ歩いて戻るため、アクセスの良さでは同じ1部の弟分と似ているかも。とはいえ、ヘタフェでさえ、選手が用具のあと片付けまで手伝っているのは見たことありませんでしたけどね。折しも翌日、RMカスティージャ(マドリーのBチーム、2部Bでプレー)とのプレシーズンマッチでバルデベバス(バラハス空港の近く)のエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノを訪ねたレガネスですが、もしや、あまりの環境の差に人生の不公平さを感じたりはしなかった? ▽でも大丈夫。この試合、私もいつの間にか、カンポ・デ・ラス・ナシオネスからLa Feria de Madrid(ラ・フェリア・デ・マドリッド)に名前が変わっていた駅から30分歩いて見に行ったんですが、こちらも途中で高速道路を超えないといけないものの、歩道付きの陸橋があるため、手前のロータリーを横切る時、入って来る車にさえ気をつければ十分、渡れるというはともかく、レガネスはサッカーの優劣は経済格差に比例しないということを立派に証明。ソラリ監督率いるカスティージャにはほとんどチャンスを与えず、前半37分にハビ・ゲラがヘッドで、後半38分にもコネが決め、両FWのゴールで0-2と快勝することに(http://videopdapp.realmadrid.com/2017/07/26/93b58b3b-78ac-4574-b337-cb88a4134740_1000k.mp4)。 ▽え、2つもカテゴリー差がある上、相手は7日前に練習を開始したばかり。更に8人程、トップチームのロサンジェルス・キャンプに駆り出されている事情を考えたら、もっと得点差がついても良かったんじゃないかって?そうですね、ただレガネスはその日の午前中も練習をしていますし、アシエル・ガリターノ監督も「No deja de ser un entrenamiento de calidad/ノー・デハ・デ・セル・ウン・エントレナミエントー・デ・カリダッド(質の高い練習にすぎない)」と言っていましたからね。おまけに今週も彼らはグンバウ(バルサB)、マウロ・デ・サントス(エイバル)、エラソ(アスレティック)、シャンパーニュ(オリンポ)と補強が次々と到着。チーム再構成の真っ最中となれば、フエンラブラダ(2部B)戦に続いて2連勝というのは褒めてあげていいかと。 ▽というのも実はその夜、というか、翌日早朝、アメリカでのプレシーズンマッチ第2戦に挑んだマドリーが先日のマンチェスター・ユナイテッド戦に続き、マンチェスター・シティにも負けて、連敗してしまったから。おまけに今度はPK戦で負けるなんて生ぬるいものでなく、後半7分、CKからオタメンディに決められたのを皮切りにスターリング、ストーンズ、ブラヒム・ディアスにゴールを奪われる始末で、終了間際にグティ監督率いるフベニルA(カスティージャの下のユースチーム)から、抜擢されて参加していた19歳のオスカルがミドルシュートで1点を返すに留まっただけ。 ▽そう、1-4の大敗となれば、ジダン監督も「Hemos bajado la intensidad y el partido fue como fue/エモス・バハードー・ラ・イテンシダッド・イ・エル・パルティードー・フエ・コモ・フエ(ウチはプレーの強度を落としてしまい、あんな試合になった)。結果は悪いが、悪いゲームではなかったよ」と呑気にしている場合ではないかと。 ▽うーん、このロサンジェルス・メモリアル・コリセウムでの一戦ではユナイテッドの時より少し遅れて、後半15分に選手の総取っ替えがあったんですけどね。その直前から点を取られ始めているため、カルバハル、ナチョ、バラン、マルセロの先発DF陣も後を継いだアシュラフ、テヘロ、バジェホ、テオらも同程度にミスがあったよう。幸い、試合時間が時間だっただけに、私同様、この試合を見た人が少なかったか、特にスペイン国内で批判は上がっていないものの、次の相手は宿命のライバル、バルサですからね。いくらマドーはBBCM(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウド、エムバペの頭文字)どころか、まだロナウドがバケーション中のため、BBCすら揃っていないとはいえ、シティ戦のようにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を許すようなことがあれば、それこそ何を言われることやら。 ▽いえ、一応、シティのグアルディオラ監督は「彼らからボールを奪うのは大変だし、イスコ、モドリッチ、カセミロ、コボチッチといった質の高い選手たちの前でプレーするのは凄い努力がいる」と持ち上げてくれてはいたんですけどね。これも最後は「El Madrid nunca juega mal, fuimos muy buenos nosotros/エル・マドリッド・ヌンカ・フエガ・マル、フイモス・ムイ・ブエノス・ノソトロス(マドリーは決して悪いプレーはしない。ウチがとても良かったということだ)」と自画自賛になっていたのは何ともはや。 ▽それでも金曜にマイアミに移動する前、UCLAのグラウンドで最後となったセッションでは右耳の状態が良くなく、試合に出ずにずっと個別練習だったセルヒオ・ラモスも合流し、シティ戦を右足首ネンザで欠場したクロースもバルサ戦には出られるかもしれないため、あまり悲観はしたくないんですが…ここまでユベントス、ユナイテッド戦で3得点とチーム全てのゴールを挙げ、2連勝に貢献しているネイマールが丁度、金曜の練習中に新加入のセメド(ベンフィカから移籍)に腹を立て、自主早退したなんてトラブルもあったようですし(https://www.youtube.com/watch?v=9i7Zap0TRc8)、いっそPSG電撃移籍決定なんて、土曜中にはムリですかねえ。 ▽え、ここまで無視されているようだけど、アトレティコも水曜早朝にはトルーカとこの夏、最初の親善試合があったんだろうって?いやあ、頑張って、午前3時のキックオフから、前半だけは私も見たんですが、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)でのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)からも伝わってきた通り、あまりの点の取れなさ感に後半はリタイア。起きてみると案の定、スコアレスドローだったため、正解だったことが判明したんですが、シメオネ監督は「今はプレシーズンの大事な時期で足が疲れているのがわかる。Nuestro primer objetivo es reforzar el bloque/ヌエストロ・プリメール・オブヘティボ・エス・レフォルサル・エル・ブロケ(ウチの最初の目標はチームの核を強くすること)。その先は試合に勝つという大事なことに個人個人の力で応えてくれるだろう)」と、あくまで楽観的。 ▽まあ、相手を零封できましたし、ヒザの靭帯断裂で昨季をほぼブランクで終えたアウグストが復帰するなど、収穫がなかった訳ではないですけどね。メキシコシティが海抜2600メートルと身体的に厳しい場所だったこともありますが、それにしても帰国して木曜夕方と金曜早朝7時45分から、マハダオンダ(マドリッド近郊)で行われた2セッションでは監督がゴールを入れろと選手たちを何度も叱咤。やっぱり本音はそんなところではないかと思いますが、実は1つだけ朗報もあったんです。それはサウルが3日程、予定を早めて姿を見せたことで、何せ、木曜朝のシティ戦には6月にU21ユーロを一緒に戦ったアセンシオ、セバジョス、マルコス・ジョレンテ、バジェホ、マジョラルらもマドリーのユニを着て、もうプレーしていましたからね。 ▽いくらその大会で得点王になったとて、金曜にようやくマドリッドに戻って来たロナウド並の待遇は恐れ多いと当人が気づいたか、自主的に練習を始めたようですが、もちろん来週火曜水曜にあるアウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)には間に合う訳もなし。8月11、12日にヘタフェ、レガネスと続くマドリッド兄弟チーム親善対決辺りにでもチラと顔見せができればいい方でしょうが、いやあ、MFのゴールまでアテにしないといけないとはグリースマン、フェルナンド・トーレス、コレア、ビエットら、まだ恥骨炎の手術からのリハビリをしているガメイロを除いたFWたちは一体、何をしている? ▽今更、愚痴っても仕方ありませんけどね。移籍が決まりそうでまだ決まらないジエゴ・コスタ(チェルシー)もようやく、バケーション中に太りやすい体質なのを思い出したか、この2カ月でついた贅肉を落とすために自主トレを始めたようですが、どちらにしろアトレティコでプレーできるのはFIFA処分が済んだ来年1月から。丁度、私が金曜に売店で見つけたアトレティコ専門誌、「Diario La Grada(ディアリオ・ラ・グラダ)」に載っていたインタビューで、バカンスは彼女とメキシコのリビエラ・マヤで過ごしたというコケも「1月に来る▽選手たちがチームをより強くしてくれるだろうけど、hasta entonces tenemos que dar la talla para que no se nos escape ningun objetivo/アスタ・エントンセス・テネモス・ケ・ダール・ラ・タジャ・パラ・ケ・ノー・セ・ノス・エスカペ・ニングン・オブヘティボ(それまで1つも目標を取り逃がすことないよう、ボクらが実力を示さないと)」と言っていたように、今いるメンバーで早くゴールも入るようになるといいんですが…。 ▽そして最後に現在、オリバでキャンプ中のヘタフェも金曜夜、アルコジャノ(2部B)と最初のプレシーズンマッチに挑んだんですが、結果は1-1の引き分け。昨季の昇格メンバー中心でプレーした前半は点が入らず、後半10分にはアルバロ・ヒメネスのゴールで先制したものの、その7分後に追いつかれると、勝ち越し点は奪えませんでした。ちなみに柴崎岳選手も後半頭から出場したんですが、このランクの親善試合になると、普通のTV中継はもちろんなく、マルカ(スポーツ紙)のマッチログも大雑把なんですよ。以前、AS(マルカの競合紙)のヘタフェ番記者からは現地には行かず、地元のラジオに電話してレポを書いているなんて話も聞いたこともありますしね。よって、細かなことはまだよくわかりませんが、土曜の朝ぐらいにはヘタフェのホームページ(http://www.getafecf.com)にビデオが出るかも。そんなヘタフェも来週はマドリッドに戻って練習となるため、もっと情報が増えることを期待しています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.07.29 08:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】暑いとかいってる場合じゃないぞっていう微妙なデータ?! の巻

▽よい子のみんな~、夏休みを楽しんでいるかな~? あれ~? 声が聞こえないぞ~? 監督や選手たちはJ1リーグの再開に張り切ってるから、みんなでスタジアムに行こうね~! え? 暑くてやだ? そんなこと言わないで。この暑いときのジュースだとかビールだとかかき氷だとかってバンバン出るから、売店の大きな売り上げにつながってるんだよ~! ▽え~、そんなの関係ない? じゃあさ、みんな、逆に見終わった後に背筋が寒くなるような試合って見たいかな~? 「逆に」って何の「逆」なのかよくわかんないんだけど~。 ▽やっぱ、見始める前に身の毛もよだつような思いをして、試合を見ながらハラハラするってのが夏のゲームの楽しみ方でしょ。じゃ、ここでとっておきの怖い話をするよ~。 ▽2016年、7月最後の節が終わったときの16位は名古屋、17位湘南、18位福岡。2015年は16位松本、17位清水、18位山形。2014年は16位甲府、17位大宮、18位徳島。2013年は16位甲府、17位磐田、18位大分、2012年は16位C大阪、17位G大阪、18位札幌。2011年は16位甲府、17位山形、18位札幌、2010年は16位仙台、17位湘南、18位京都。2009年は16位千葉、17位柏、18位大分、2008年は16位横浜FM、17位札幌、18位千葉、2007年は7月いっぱいアジアカップでJリーグはお休みだったのでした。あー、調べ疲れた。 ▽ってことで総括してみると、7月終わりの時点でボトム3にいて、J1に残留することができたのは、2008年が横浜FM、千葉、2009年なし、2010年は仙台、2011年札幌、2012年はC大阪、2013年甲府、2014年甲府、2015年なし、2016年なし。つまり、この9年でボトム3にいたのべ27チームのうち7チームのみ。26パーセントしか翌年のJ1にいないわけです。 ▽え? つーか、四分の一は助かってるじゃん! 結構微妙なデータ! なんて笑っていられますかね? 実は今のJ1は13位と14位で勝点5の差があるので、このままだと下位5チームによる激烈な残留争いになりそうなのです。しかも、14位甲府は2位鹿島と、15位札幌は巻き返しを図る浦和と、16位大宮は戦力充実の神戸と、17位広島は、これまでお得意様だったのに今年は負けてしまった鳥栖と、18位新潟はどうしてこの順位にいるか不思議なFC東京と試合するという、まかり間違ったらどれもブラディーなゲームになりそうなのです。 ▽おー怖い怖い。大阪ダービーも面白そうだけど、下位チームが絡む試合もおどろおどろしいですぞ。 ▽ついでに言っておくと、この順位データは調べるの大変だったのできっとどこかで使い回すと思うけど、読者の人は再利用に気付いたら祟られるからサッと忘れてしまいましょう。ではでは。ドロドロドロ~。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.07.28 14:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ドイツ人選手9人目のポドルスキと1FCケルンの関係

▽昨日行われたルヴァンカップのプレーオフ第2戦は、いずれもリーグ戦で上位にいるC大阪とFC東京が順当に札幌と広島を下してノックアウトステージ進出を決めた。興味深かったのはFC東京対広島戦で、FC東京は3-1-4-2の新システム、対する広島は新監督を迎え、ペトロヴィッチ監督や森保監督が11年採用してきた3-4-3から4-2-3-1に変更したこと。 ▽今シーズンのJ1リーグで3バックを採用している広島や浦和は苦戦を強いられているだけに、FC東京の新システムがどれだけ機能するか注目したが、サッカーはシステムでプレーするのではないことを改めて痛感した。 ▽ウイングバックの室屋と小川、インサイドハーフの橋本とユ・インスはボールを失うと前線から果敢な守備でボールを奪い返し、ショートカウンターを仕掛けた。守備では何回もスプリントして広島が得意とするカウンターを阻止。4人とも若くて運動量が豊富だからできたプレーだが、4-2-3-1のサイドバックやサイドハーフだと、プレーのスタート位置が低くなるため、より運動量が要求される。 ▽そう思うと、篠田監督の新システム採用と選手起用はうまくマッチングしたと言える。 ▽さて今週末からはJ1リーグが再開される。いよいよ神戸のルーカス・ポドルスキがデビューするかもしれないと思うと、ワクワクしてならない。 ▽神戸といえば、オールドファンは元トルコ代表のイルハンを思い出すことだろう。2002年の日韓W杯で3位に貢献したイケメン選手だが、膝の負傷から3試合に出場しただけで、無断で帰国。移籍金5億、年俸3億とも言われた巨額の投資は水に捨てたようなものだった。 ▽神戸にはそんな苦い経験があるものの、ポドルスキは確実に戦力アップにつながると期待している。なぜかというと、Jリーグにやってきたドイツ人選手はいずれもそれなりに結果を残しているからだ。生真面目な国民性と言ってもいいだろう。 ▽ドイツ人選手はポドルスキで9人目だが、第1号のFWピエール・リトバルスキーはJリーグ元年の93年にジェフ市原(現ジェフ千葉)のエースとしてチームを牽引し、多くのファンを魅了した。チームメイトのFWフランク・オルデネビッツは94年に得点王を獲得。同時期に浦和に加入したMFウーベ・ラーンとMFミヒャエル・ルンメニゲも元ドイツ代表だったが、チームが最下位争いをしていたため、献身的なプレーはあまり評価されなかった。 ▽しかし、その後浦和に加入したMFウーベ・バインはパサーとして福田正博の得点王獲得に貢献。DFギド・ブッフバルトは魂のこもった守備でチームを鼓舞し、浦和躍進のきっかけとなり、後年は監督として浦和に栄光をもたらした。 ▽彼らの後に続いたのが横浜FCに加入した(2003年)FWディルク・レーマンと、C大阪でプレーした(2014~15年)ブラジル生まれでドイツ代表のFWカカウだ。残念ながらレーマンは晩年での移籍のため12試合で1ゴールと結果を残せなかった。 ▽しかし、ポドルスキはまだ32歳と現役バリバリ。コンディションさえ整えば、“違い”を見せてくれることだろう。神戸は彼と同時にFWハーフナー・マイクを獲得し、さらに鹿島FW金崎夢生もターゲットにしているという噂もある。親会社の楽天はバルセロナの胸スポンサーになり、Jリーグのeコマースのスポンサーにもなった。いよいよサッカーに本腰を入れてきたような印象を受けるだけに、今後の展開に期待したい。 ▽これは余談だが、来日したドイツ人選手のうちリトバルスキー、ラーン、オルデネビッツ、バイン、レーマンの5人はいずれも1FCケルンに在籍経験があり、ポドルスキもケルンで頭角を現した。ケルンと言えば、日本人プロ第1号の奥寺康彦氏がデビューを飾ったチームでもある。何かしら日本とケルンは縁があるのかもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.07.27 18:00 Thu
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【J1クラブ中間評価】物議醸した指揮官交代も、連覇へ気運が高まる《鹿島アントラーズ》

▽2017シーズンの明治安田生命J1リーグは早くも折り返し地点に。DAZNマネーで増加した分配金などを巡る争いも背景に存在していることから、優勝争いのみならず、例年以上に戦いが激化している。超ワールドサッカー編集部は、このタイミングでJ1全18クラブを中間評価。最終回は鹿島アントラーズ編をお届けする。 ◆物議醸した監督解任で好転 勝ち点36 / 12勝5敗(C)CWS Brains,LTD.▽J1リーグと天皇杯の国内2冠を達成した昨シーズンの成功継続を狙う鹿島アントラーズは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を並行しながら、リーグ戦は12勝5敗の結果を残し、首位で折り返した。開幕前には、MFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)、FWペドロ・ジュニオール(ヴィッセル神戸)らJリーグで実績のある外国人選手や、FW金森健志(アビスパ福岡)、DF三竿雄斗(湘南ベルマーレ)とJ2降格クラブからも獲得。さらに、開幕直前に韓国代表GKクォン・スンテ(全北現代モータース/韓国)を獲得するなど、計9名の新戦力を迎えた。 ▽開幕節こそFC東京に敗れたものの、そこからリーグ戦4連勝を記録。しかし、5月の半ばから2連敗となると、ACLでは広州恒大を前にベスト16で大会を後にした。これを受け、クラブは石井正忠監督の解任を決断。第14節からは、コーチから昇格した鹿島OBの大岩剛監督が指揮を執り、そこから5連勝で勝ち点を積み上げ、首位ターンを実現した。 ◆ポジション別採点(C)CWS Brains,LTD.【GK&DF】90/100点満点 ▽GKは、今シーズン全北現代から加入した韓国代表GKクォン・スンテがJリーグ初挑戦ながらも上々のパフォーマンスを披露し、守護神として君臨。さらに、セカンドGKにも曽ヶ端準が控えており、盤石の態勢を維持している。センターバックに関しては、開幕当初からDFファン・ソッコが抜けて選手層が不安視されたが、伸び代十分のDF植田直通とDF昌子源のコンビがしっかり稼働し、問題とはならなかった。左サイドバックのDF山本脩斗、右サイドバックのDF西大伍とDF伊東幸敏を含め、大崩れのない最終ラインが形成できている。 【MF】70/100点満点 ▽テネリフェに移籍したMF柴崎岳に代わる形で加入したMFレオ・シルバだったが、5月に左ヒザ半月板損傷により手術を強いられて離脱となったことが大きな誤算。さらに、攻撃のバリエーションとアクセントを付けることができるMF遠藤康が1カ月ほど離脱したのも痛かった。それでも、ベテランMF小笠原満男がいまだ健在で、MF中村充孝やMF永木亮太、MF 三竿健斗ら力のある選手も控えている選手層が鹿島の強み。負傷者が復帰して調子を上げてくるとみられる後半戦は、監督にとって中盤の人選が嬉しい悩みになりそうだ。 【FW】60/100点満点 ▽軸となるべきFW金崎夢生の好調が続かず、FWペドロ・ジュニオールも大岩政権後こそ調子を上げてきたものの、序盤戦は低調なパフォーマンス。石井監督が起用し続けたFW鈴木優磨も、インパクトを残すことができず、チームとして頼りどころを欠いた。チャンスメークで貢献できるFW土居聖真も肝心のゴール数は1つと物足りない。新加入のFW金森健志とFW安部裕葵はリーグ戦でなかなかチャンスを得ることができていないが、6月21日の天皇杯でスタメン出場すると、金森が1ゴール、安部が2ゴールと結果を残した。後半戦、もう少し出場機会を与えられれば面白い存在になれるかもしれない。あとはやはり、ここにきて動きの質を上げているペドロ・ジュニオールの好調が続くかどうかに懸かっている。 ◆超WS的前半戦チーム内GOODプレーヤー DF昌司源(24歳/No.3)(c) J.LEAGUE PHOTOS明治安田生命J1リーグ:17試合(先発17回)/1ゴール ▽ここまで全試合に出場している日本代表DF昌司源が前半戦のチーム内MVPだ。前への対人対応と粘り強い守備に磨きがかかっており、相棒である植田をしっかりとリードして最終ラインを統率。日本代表としても定位置確保を狙えるところまで評価を高めた。クロス処理やクリアの精度を高めれば、より完成度の高いセンターバックとなれそうだ。 ◆超WS的前半戦チーム内BADプレーヤー FW鈴木優磨(21歳/No.9) 明治安田生命J1リーグ:12試合(先発6回)2ゴール ▽インパクトを残した昨シーズンからさらなる飛躍が期待された鈴木だが、前半戦はサポーターの期待に応えることができなかった。途中出場も多かったが、リーグ戦12試合で2ゴールは物足りない。また、ゴール数だけでなく、攻守の切り替えの面や動きの質、量も含めて好調時の出来にはなかった。まだ21歳のためパフォーマンスにムラがあるのは仕方ないものの、メンタル面を含めてさらなる成長に向けて奮起してもらいたいところだ。 ◆ホームで強さを見せることができるか ▽前半戦は、アウェイ8試合で全勝を収める偉業を達成。24ポイントを稼いだ一方で、ホームでの勝ち点は半分の12ポイントにとどまった。常勝軍団だけにサポーターを前にしてのプレッシャーもあるだろうが、この点は優勝を目指す後半戦に向けて改善したいところだ。負傷者も戻ってきており、選手の質だけでなく層も十分な状況。後半戦は、ACL敗退を受けてリーグにより集中できる環境となる点もプラス材料で、無論、狙うはJ1リーグ連覇となる。 2017.07.27 16:00 Thu
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