コラム

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【東本貢司のFCUK!】エヴァートンから始まるドラマ

▽「デイヴィッド・モイーズ」に「デイヴィッド・アンズワース」、「ウェイン・ルーニー」に「サム・アラダイス」・・・・よくもまあこれだけ“役者”が揃ったものだと思う。新監督に就任して間もないモイーズの“栄光の古巣”グディソン帰還と、ケアテイカー(暫定監督)アンズワースの“お疲れ様”采配ラストマッチに、新監督就任が内定したアラダイスの“お披露目観戦”が重なった11月29日のエヴァートン-ハマーズ戦でのことである。そこで「この場の主役はオレだ」とばかりに、見せ場尽くしのハットトリックを決めたのがルーニーだ。ちなみに、つい最近「ウンスワース」なる奇怪な読みも散見されたアンズワースだが、1995年にイングランド代表として唯一の出場を果たしている。筆者の記憶が正しければ、当時日本代表キャプテンを務めていた井原正巳が歴史的な対イングランド初ゴールを記録した試合である。目前に控えたユーロ96・強化試合の一環での“事件”だった。 ▽大柄で屈強な左SB/CBとして最も輝いていたアンズワースが三十路を過ぎてポーツマスに放出されたときのエヴァートン監督が、当時“国産指導者”としてトップクラスの評価を得て飛ぶ鳥を落とす勢いだったモイーズだ。そして、そのモイーズが不成績でマンチェスター・ユナイテッドの将の座を追われてからしばらくして、アンズワースはエヴァートン・ユースのコーチ陣に迎えられている(2004年初夏)。さらに、その直前までの彼の肩書をひもとくや、これが「プレストン・ノース・エンド」の“ケアテイカー監督”。プレストンは、モイーズが指導者としての経験を積み上げ、名門エヴァートンに“昇格”する土台となったクラブだ。あくまで推測に過ぎないが、その過程で“交流”なり“推薦の労”などがあったのは十分に考えられる。翻ってアンズワースはクラブ生え抜きにして通算出場歴300試合超の、文字通りのエヴァトニアン。現にアンズワースの下でトム・デイヴィーズやカルヴァート=ルーウィンら新世代の逸材が続々と育っている。ならば・・・・。 ▽そう、筆者にもピンとくるものがあった。クーマン解任とアンズワースの“必然”のケアテイカー抜擢は、エヴァートンにとってもはや取るべき「道は一つ」を予感させた。実際、それを推奨する識者(主に元プレーヤー筋)も少なくなかった。それなのに、メディアが最終的に嗅ぎ付けた第一候補は、現ワトフォードのマルコ・シルヴァ。ダメだと直感した。よしんば、仮にプラス効果が出たところで長持ちする保証もない。そもそもワトフォードがウンと言うわけがない。それに誰かがどん底状態に近いエヴァートンを引き受けるにしても、“現役”のヘッドハンティングには時期が悪い。「しばらくアンズワースのまま」ではダメなのか・・・・。そこではたと思い当たった。アンズワースは「とっておきの将来」なのだ。今、彼に託すにしても壁が高すぎる。おそらく、良くて残留がせいいっぱい、よもや降格したりすれば、立て直しにとんでもない労力を強いられるのは必定。そして、アンズワース自身に取り返しのつかない傷がつく恐れもある。唯一名乗りを上げたと言われる(モイーズのユナイテッドでの後任の)ファン・ハール? 今更「論外」だろうに・・・・。 ▽そして落ち着いた先が「アラダイス」だった。イングランド代表では想定外のアヤがついて“排除”されたが、クラブレベルに限ればアラダイスの履歴は“ピカいち”だ。降格の危機から救い出すことにかけてならビッグ・サムの右に出る者はいない。ボルトンに始まり、ニューカッスル、ブラックバーン、ウェスト・ハム、サンダランド、そして“直近”のクリスタル・パレス・・・・。落ち目の名門に活を入れて一息入れさせる歴代の第一人者。それに、エヴァートン首脳陣が“考慮の一端”に数えたかどうかはいざ知らず、アラダイスは実質的に「ルーニーにとっての最後の(代表)監督」である。相性という点でいいかもしれない。事実、その次期エヴァートン監督の目の前でルーニーは水を得た魚のごとく、全盛期を彷彿とさせる大活躍で門出を祝した(それを遠まわしに認めさせられたモイーズというおまけつきで)。しかも、これでアンズワースへの禅譲にも無理なく道筋がつく。 ▽なあに、たったの一試合。たまたま“こじつけの符号”がいくつか思い当たるだけ。懐疑論者はそううそぶくだろう。ビッグ5~6にしか関心を惹かれない、結果本位の野次馬ファンにとっては、エヴァートンなんぞ端から目じゃないんだし・・・・? だが、ひとまずはドカンと花火を打ち上げてみせた。エヴァートンにとって、いわばこれからが開幕に等しい、えも言えぬ手ごたえと“主役”登場(ルーニーとアラダイス)。遅ればせながらの大暴れの期待はぐんと膨らむ。そしてその“火花”がまた、モイーズとそのチームにも“伝染”するとなお嬉しい。忘れまじ、サンダランド。アラダイスで持ちこたえ、モイーズで屈したノースイーストの大古豪を。今、2部の底辺で足掻いているサンダランドをあえて引き受けた「前ウェールズ代表監督」の勇気、そのハートを。優勝して何ら不思議じゃないチームにしかなびかない、どこかの誰かさんは、この雄々しき心意気にぞ何思う?!【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.12.01 12:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】今度こそ川崎の逆転優勝を示すデータが揃ってるぞ?! の巻

▽やっぱ予想どおり最終節までもつれ込んでるわけでしょ。となると、1シーズン制で最終節まで優勝がもつれ込んだときってどうだったか調べたくなっちゃいますよね。 ▽じゃあまずJリーグが1シーズン制を採用していたシーズンはいつかというと、1996年、2005年から2014年、そして今年なのです。 ▽1996年は残り1節の時点で鹿島が名古屋に逆転勝利し、横浜フリューゲルスも負けたために鹿島が優勝。逆転ならずでした。逆転じゃないけど懐かしいから載っけときます。 ▽では2005年以降、最終節まで優勝がもつれたのは、まずその2005年。33節を終わった時点で、首位C大阪(58)+8、2位G大阪(57)+22、3位浦和(56)+24、4位鹿島(56)+18、5位千葉(56)+13と5チームに優勝の目がある大混戦。最終節では勝点56で並ぶ浦和が新潟を4点差で下し、鹿島も柏に4-0と快勝。千葉は名古屋に2-1と辛勝して、C大阪とG大阪がこけたら、一気に浦和が抜いちゃうぞって状態になったのでした。 ▽で、2位のG大阪はアウェイで川崎を4-2と撃破し、首位のC大阪はFC東京に引き分けてしまったため、G大阪が逆転で初優勝を決めたのでした。 ▽その2年後の2007年、一時は独走しかけていた浦和は最後に来て調子を落とし、33節では2位の鹿島に敗れて、両者の勝点差は1に。ところが浦和の最終節は降格が決まっていた横浜FCで、鹿島は4位の清水との戦い。そう言えば、このときの鹿島の記者の数は少なかった。 ▽ところが何と浦和が敗れ、鹿島が清水を3-0で下して大逆転。これで勢いに乗った鹿島はこの年からリーグ3連覇を果たしちゃったわけです。 ▽続いて2013年、最終節を前に優勝は3チームに絞られて、首位横浜FM(62)+19、2位広島(60)+20、3位鹿島(59)+10。得失点差を考えると実質上位2チームに絞られておりました。 ▽んでもって最終節で広島が鹿島をアウェイで2-0と破ったにもかかわらず、横浜FMはアウェイで川崎に0-1と敗れ、広島が逆転。等々力スタジアムでは中村俊輔がガックリ膝をつくシーンが痛々しくてね~。 ▽もちろん混戦になったシーズンはこれまで山のようにありました。だけど逆転優勝が起きたのは、過去11シーズン中で3回だけ。 ▽それでもね、これまで散々運に見放されていた川崎ですから、ここで一発劇的な初優勝を飾れば、今後は華々しい王道を突き進む気がしませんか。2007年鹿島が優勝したことで、その後3連覇するきっかけをつかんだように。 ▽あ、でもね、こんなときサッカーファンって悪い方ばっかり考えちゃうんですよね。「こんなとき負けてきたのが我が愛するフロンターレだ」とか。いやいや、いつもは強気な鹿島のファンも、もしかしたらかつてのナショナルダービーの相手、磐田とはチャンピオンシップで3勝1分2敗9得点8失点と、なかなかの互角ってことを思いだしてるかも。ちなみに磐田ホームだと、1勝1分1敗6得点6失点なんだよなぁ。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.11.30 20:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】国内組で選手層に不安を抱えるポジションとは

▽今週末はJリーグが熱い! まずJ1は、12月2日に首位の鹿島が磐田に引き分けるか負けて、2位の川崎Fが大宮に勝ったら、川崎Fの初優勝がきまる。そして15位の清水が神戸に引き分けるか敗れ、16位の甲府が仙台に勝ったら、清水のJ2降格と甲府のJ1残留が決まる。鹿島、清水とも引き分けた場合は川崎F、甲府と同勝点ながら、得失点差で後者がリードしているという痺れるようなシチュエーションだ。 ▽翌3日にはJ1昇格プレーオフで名古屋と福岡が激突する。こちらは年間勝点で名古屋が1点上回っているので、名古屋は勝てばもちろん引き分けでも昇格できる。さらに3日はJ3リーグの最終戦が行われ、首位の栃木は2位の沼津と直接対決。3位の秋田にも優勝の可能性があるものの、沼津と秋田はJ2昇格のライセンスを保持していないため、この2チームが1位と2位になったら、J2の22位・草津と21位・熊本は残留が決まる。栃木が優勝した場合のみ、草津がJ3へ降格となる状況だ。 ▽そして翌週からはE-1選手権に向けた代表キャンプがスタートする。ハリルホジッチ監督いわく「最終ストレートに入る前の最後のテスト」と語った大会のメンバーが11月29日に発表された。今回は国内組の選手で、5人が初招集となった。23人の顔ぶれを見た正直な感想は、「サイドバックがいないな」というものだった。 ▽今回招集されたサイドバックで、右SBの西(鹿島)は「攻撃面で面白い選手」、初瀬(G大阪)は「いいキックを持っていて、守備よりも攻撃で面白い選手」、左SBの車屋(川崎F)は「試合のたびに成長が感じられ、代表には左利きの選手があまりいない」、山本(鹿島)は「特徴は守備にあり、空中戦も強い」と指揮官は招集理由を述べたものの、いまひとつ説得力に欠ける。 ▽日本代表のSBは、長らく長友と酒井宏が務め、彼らのバックアッパーとして酒井高と槙野が選出されてきた。10月と11月のテストマッチでは、槙野はCB(センターバック)としても起用されるなどプレーの幅が拡がったのは歓迎すべき事態だ。しかしながら、SBの層の薄さは依然として解消されていない。 ▽それは元技術委員長の霜田氏も懸念を示していた。リオ五輪のチームに招集した右SBファン・ウェルメスケルケン際は代表レベルではないことがわかり、室屋(FC東京)に落ち着いた。左はOA枠の藤春(G大阪)が務めたように、1つ下の年代でもSBは日本のネックだった。霜田氏は「室屋あたりが代表に入ってきて欲しい」と話していたが、FC東京の不振が響いたのか、ハリルホジッチ監督からは一度も声がかかっていない。 ▽長身GKとCBの育成に加え。攻守にアップダウンできるSBの育成と発掘も日本代表の急務と言えるだろう。 ▽今回招集されたメンバーで、最終選考に残りそうなのは、GK東口(G大阪)、DF車屋、昌子(鹿島)、MF井手口(G大阪、倉田(G大阪)あたりの“常連組"で、今大会が“追試"となる清武(C大阪)、金崎(鹿島)、杉本(C大阪)は活躍次第といったところだろう。今野(G大阪)はアウェーのUAE戦での評価が高いだけに、ブラジルW杯の大久保(FC東京)のようなサプライズ選手があるかもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.11.30 19:30 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】同じ5ゴールでも違う…

▽「そろそろヒートテックの出番かな」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜。ここ数日前から一気に真冬モードに入ったマドリッドの夜間気温を調べていた時のことでした。いえ、最初はこのブラック・フライデー期間中、あまりにお手頃価格だったため、つい衝動買いしてしまったジーンズとセーターで行くつもりだったんですけどね。マドリッドの両雄がホームゲームとなるコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグは平日だからなのか、どちらもキックオフが午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)と遅い時間。気温は5度ぐらいが予想されるんですが、暖房のあるサンティアゴ・ベルナベウはともかく、荒野の真ん中に立つワンダ・メトロポリターノで風でも吹いた日には相当、覚悟を決めておかないと辛そうに思えたから。 ▽ただ、このラウンドのコパにもいいことがあって、何せ相手が2部Bと格下ですからね。チケットがまだ大分、残っているため、火曜はマドリーvsフエンラブラダ戦を15~40ユーロ(約2000~5300円)、VIP席150~350ユーロ(約2万~4万7000円)、水曜はアトレティコvsエルチェ戦を5~10ユーロ(約700~1400円)、VIP席も50ユーロ(約7000円)からという、格安値段で見られてしまうとなれば、たまたまマドリッド観光に来ているサッカーファンも行ってみない手はない? ちなみに1カ月前に行われた1stレグでレアル・マドリーはエスタディオ・フェルナンド・トーレス(マドリッド近郊にあるフエンラブラダのホーム)で0-2と勝利。相手は2部Bグループ1首位とはいえ、先週末の土曜にはRMカスティージャ(マドリーのBチーム)ともゴールレスドローだったそうですからね。 ▽普通なら、ジダン監督も控え選手プラス、カンテラーノ(ユースチームの選手)で迎えるところですが、今回は丁度、GKケイロル・ナバスとコバチッチが負傷明けの足慣らしをするのと同時に、9月のCLドルトムント戦以来、ミステリアスな左足のケガに苦しんでいたベイルもいよいよ招集リスト入り。「La idea es que juegue ya mañana, pero veremos cuánto/ラ・イデア・エス・ケ・フエゲ・ジャー・マニャーナ、ペロ・ベレモス・クアントー(明日はプレーさせるという考えだが、どのぐらいかは様子を見ながら)」(ジダン監督)だそうですし、1stレグで退場したバジェホが出場停止のため、CBコンビもヴァバランとナチョになるかも。鼻骨を骨折したセルヒオ・ラモスのマスク姿はまだ見られませんが、U-21スペイン代表で大活躍ながら、なからなか使ってもらえないセバージョスやW杯行きが確実視されているアセンシオなど、ファンが楽しめる要素はいっぱいあるような。▽一方、初戦をエルチェと1-1で引き分けているアトレティコは試合が水曜なこともあり、どんな陣容で挑むかはまだ不明。月曜には背筋痛だったヴルサリコがマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場グラウンドでチームに合流したため、本職右SB不在問題は解決しそうですけどね。何せ今季、彼らが大得意の0-0でも勝ち抜けできるとなれば、最初はシメオネ監督も控え選手中心でいくかもしれません。 ▽え、でも先週末のリーガ戦を見れば、そんないかにもアトレティコが景気悪そうな物言いはもうしなくてもいいんじゃないかって? そうですね、この13節、マドリッドの兄貴分たちの試合ではどちらもゴールを5本ずつ見ることができたんですが、その内容は大違い。まずはベルナベウにマラガ戦を見に行った私だったんですが、とりあえず9分にマルセロのクロスをクリスティアーノ・ロナウドがヘッド、枠に当たって跳ね返ったボールをベンゼマが押し込んで先制したところまでは良かったんですけどね。それがまさか、17分にはあの精密機械のようなクロースがパスミス、ボールをケコに奪われて、そのクロスをロランに決められ、同点にされてしまうんですから、誰もが呆気に取られたの何のって。 ▽この時は幸い、3分後にCKでカゼミロのヘッドをアシストして、クロースも面目を保てたんですが、どうもここ最近のマドリーはダービーでもスコアレスドローでしたし、いつの間にか、お隣さんの悪癖が伝染ってしまったんでしょうかね。ロナウドがGKロベルトに2度もパラドン(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったのはともかく、後でジダン監督も「Lo inhabitual son las perdidas de balon que tuvimos/ロ・インアビトゥアル・ソン・ラス・ペルディーダス・デ・バロン・ケ・トゥビモス(ボールの失い方が普通じゃなかった)」と言っていたように、さっぱりパスが続かないのは一体、どうして?▽まさか、アトレティコを見ている時と同じイライラを感じるようになるとは想像だにしませんでしたが、少なくともツキはあったようですね。ええ、前半最後のプレーでマラガのバイセにFKから見事なヘッドを決められたものの、「voy a saltar, me pone los brazos y creo que es falta/ボイ・ア・サルタル、メ・ポネ・ロス・ブラソス・イ・クレオ・ケ・エス・ファルタ(ジャンプするつもりだったところに腕をかけられた。ファールだと思う)」というカルバハルの主張通り、得点を認められなかったため、マドリーは何とかリードを保って折り返すことに。 ▽うーん、これにはマラガの選手たちも「クリスティアーノだって先制点の時には体を支えていたし、バイセは身長の差でカルバハルにジャンプで勝っただけだ」(チョリ)と抗議していましたが、それも57分、当人のエリア外からのシュートが直前でバウンド、GKカシージャが止められず、アウェイでの今季2得点目が入ったとなれば、その悔しさも半端じゃなかったかと。おまけに彼らにとって悪いことはさらに続き、最後は75分、またしても引き分けで首位バルサとの差が拡大するんじゃないかという恐れにベルナベウのスタンドが包まれていた頃、ルイス・エルナンデスが途中出場のモドリッチを倒してペナルティを献上。ロナウドのPKは一旦、ロベルトが弾いたものの、その跳ね返りを押し込まれ、マドリーに3-2で屈することになりましたっけ。 ▽え、その日のfondo sur(フォンド・スール)では12節までPKを1本ももらえず、審判に逆ひいきされていると感じていたマドリーサポーターたちがレッドカードを掲げる抗議行動などもあったけど、試合後のミチェル監督は「前半の2-2となるゴールは有効に見えたが、結果は変えられない。Arbitrar es complicado/アルビトラール・エス・コンプリカードー(ジャッジするのは難しいからね)」とそれ程、根に持っていなかったみたいじゃないかって? そうですね、マドリーは当人の古巣ですし、降格圏でもがいているチームにしては、前半にはフアンカルがヒザの靭帯断裂で早期交代、後半もキャプテンのレシオが足を引き摺ってプレーしていたにも関わらず、拮抗した試合ができたことに満足していたのかも。 ▽まあ、そんなミチェル監督ですから、丁度、プレスルームに降りるエレベーターで一緒になった、今はレアル・マドリーTVで解説者として働いている元同僚のロベルト・カルロスなども「マラガは1部に残らないといけないよ。あそこにはいいビーチもあるし、監督も好きだからね」と言っていたんでしょうが、そんなことはともかく。年内のリーガはアスレティック戦、セビージャ戦と強敵が続き、最後はクラシコ(伝統の一戦)で締めないといけないマドリーなんですから、あまり不安定な試合が続くと、先行きが思いやられますよね。 ▽そして一旦、家に戻った後、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にアトレティコを見に行った私でしたが、いやあ、もしやあのダービーが厄払いに役立ったんでしょうか。先週のCLでローマに2-0で快勝していた彼らですが、この日は5分から、幸運の女神が微笑むことに。だってえ、ガビのロングボールに抜け出したガメイロのラストパスをレバンテのロベルがクリアしようとして、オウンゴールで先制ですよ。その後、GKオイエルとの1対1を2度共失敗したガメイロだったんですが、28分にはコレアのシュートをチェマがゴール前で止めながら、自分は勢いでピッチの外に出てしまうという大失態。完璧ガラ空きのゴール50センチ前であれば、彼だって失敗しようがありませんって。 ▽おかげで2点リードという滅多にない好スコアで後半に入ったアトレティコでしたが、意外なことにそれでもチームは後退せず、ハーフタイム後も攻撃精神を維持したのが効を奏します。ええ、58分にはグリーズマンのスルーパスをガメイロが3度目の正直でGKの脇を通すシュートを成功させ、3点目をゲット。「Con Antoine tengo una buena relacion dentro y fuera del campo/コン・アントワン・テンゴ・ウナ・ブエナ・レラシオン・デントロ・イ・フエラ・デル・カンポ(アントワーヌとはピッチの中でも外でもいい関係だよ)」(ガメイロ)というフランス人FWコンビは64分にも連携し、この時はガメイロのアシストでグリーズマンがゴール、67分にもガメイロはGKに弾かれたものの、跳ね返りに突っ込んだグリーズマンのおかげで5点目が入るなんて…これまでとは打って代わった効率のいいgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を目の辺りにして、逆にこの先、反動で途方もなく悪いことが起きそうで心配になるって、もしや不幸体質が染みついているのは私だった? ▽結局、その後、ピッチに入ったフェルナンド・トーレスは「チームはゴールまでの数メートル、より落ち着いてプレーできるようになったし、no se sabe por que, pero nos entusiasma/ノー・セ・サベ・ポル・ケ、ペロ・ノス・エントゥシアスマ(何故かはわからないが、ウチはスピリッツが高揚している)」(シメオネ監督)というムードには乗れず、今季初得点を挙げることはできなかったんですが、0-5にもなれば、もういいですよ。自分など、ケチ臭い考えで次の試合にゴールを取っておくべきだなんて思ってしまったぐらいですが、運のいい日ってそういうものなんですかね。これまでは必ず敵に渡っていたリバウンドのボールなどもこの日は味方に行くというラッキーな面もあり、これまで2分け3敗と1度もシュタット・デ・バレンシアで勝ったことのなかったシメオネ監督が初勝利、チームとしても10年ぶりの白星を挙げてくれたとなれば、何の文句がありましょう。 ▽いえ、レバンテのムニス監督に「Nos hemos enfrentado a un rival de mucho nivel. Nos hemos encontrado un gran Atletico de Madrid/ノス・エモス・エンフレンタードー・ア・ウン・リバル・デ・ムーチョ・ニベル。ノス・エモス・エンコントラードー・ウン・グラン・アトレティコ・デ・マドリッド(ウチは高いレベルの相手に当たった。偉大なアトレティコ・デ・マドリーに出会った)」なんて褒められてしまうと、私もちょっとくすぐったいんですけどね。実際、この日は「彼らの全てのカウンターが凄い打撃だった」とモラレスも言っていたように、今季は不発が多かったクラブの伝統芸が大きな武器に。実際、こういう試合がもっと早くからできていれば、11月末にCLほぼ敗退、リーガ首位との差もこれ程、開いていなかったとはずなんですが…。 ▽そして翌日曜にはバルサがメスタジャでメッシのゴールがラインを割りながら、スコアボードに挙がらなかったせいもあり、ジョルディ・アルバの1点でロドリゴの先制点を帳消しにしただけに。1-1の引き分けで終わったため、得失点差で3位になったアトレティコと4位マドリーの差は2位バレンシアと勝ち点4、首位とは8に縮まったんですが、まあこれだけあると、そう簡単には近づけませんからね。12月のバルサの相手はセルタ、ビジャレアル、デポルティボと、あまりポイントを落とすこともなさそうですし、やっぱり年内最終戦のクラシコに期待するしかないでしょうかね。 ▽え、それで月曜にエスパニョールに挑んだマドリッドの弟分、ヘタフェはどうなったんだって? いやあ、土曜には私も練習を偵察に行って来たんですが、相変わらず柴崎岳選手は1人でリハビリトレーニングと、フットバレーを楽しんでいるチームメートの輪には加わらず。サッカーシューズも履いておらず、ボルダラス監督も「ガクはまだ馴らしているところ。Hay que esperar días para que entrene con el grupo/アイ・ケ・エスペラール・ディアス・パラ・ケ・エントレネ・コン・エル・グルッポ(グループ練習に加わるには何日か、待たないといけない)」と言っていたため、バルセロナ遠征に行かないのはわかっていたんですけどね。 ▽それでも9月から試合に出ていない彼を練習見学に来たヘタフェファンが忘れておらず、グラウンドを引き揚げる際に囲まれていたのは喜ばしい限りでしたが、残念ながら、RCDEスタジアムでの一戦は後半、ジュラール・モレノに決められた1点を返せず、4節ぶりにヘタフェは敗戦。お隣さんのレガネスと勝ち点1差の12位のままで、次は木曜、アラベス戦のコパ2ndレグに挑みます。何せ、彼らはマドリッド勢で唯一、1stレグで0-1と負けており、しかもアウェイでの逆転が必要ですからね。丁度、相手はその試合でデビューしたデ・ビアージ監督が月曜に解任され、今季3番目の指揮官を探している最中とはいえ、ここはかなり頑張って逆転突破してくれないと、年明けに柴崎選手が試運転できる試合がなくなってしまうかも。 ▽そして水曜午後7時30分から、2部のバジャドリッドをブタルケに迎えるレガネスは、1stレグでの1-2勝利を突破につなげたいというのがガイターノ監督の考えですが、いや、今の彼らはリーガ4連敗中。しかもシオバス、エセキエル・ムニョス、マントバーニとCBが3人も当分、負傷で出場できないとなれば、あまりコパ勝ち上がりはお勧めしないんですが、さて。ちなみにこの次のラウンド、16強対決は年明け早々の3日から予定されているため、お正月休みにマドリッド訪問を予定されている方などはこまめに日程をチェエクしておくといいかもしれませんね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.28 18:16 Tue
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【クラッキーの実況席の裏側】“他とは違うオリジナリティ”人気アナウンサー・倉敷さんの人物像に迫る:後編

▽インターネットでのスポーツ中継が広まり、サッカー観戦がより身近なものになってきた。そんなサッカー中継で欠かせないものの1つが実況ではないだろうか。 ▽今回超WSでは、20年以上もアナウンサーとして活躍し、ワールドカップ決勝でも実況として活躍されているクラッキーこと倉敷保雄さんにインタビューを実施した。前編ではアナウンサーを志した学生時代、スポーツ中継がなく趣味の音楽にのめり込んだ福島での活動。さらに文化放送の記者として国会、警視庁、裁判所での取材など、サッカーとは大きくかけ離れた世界の話を伺った。 ▽後編では倉敷さんの人生の転機となった1992年について語ってもらい、いよいよサッカー中継と関わっていく。さらに2002年の日韓ワールドカップ決勝から得た充実感やアナウンサーとしての失敗談。さらに休日の過ごし方など多岐にわたって語ってもらった。 ◆人生の転機となった92年 ――文化放送での貴重な体験を受けて、次はどのような仕事に就かれたのですか 「スポーツの勉強をし直そうとまた野球場に通っていました。それが92年。Jリーグが誕生すると聞いて、もしかしたらという漠然たる気持ちもありましたが、ただ、サッカーの勉強はそれほどしていませんでした。局アナ時代にサッカー中継には参加できないと早くから諦めていたからです」 「その理由は当時のサッカー中継は日本テレビ系列の高校サッカーと、NHKの天皇杯くらいしかなかったからです。日テレ系列に入るか、NHKに入るか、どちらも出来なかった時点でサッカー中継は諦めていたんです。ただ92年にはJリーグ開幕に先駆けて衛星放送の黎明期が始まっていました。先駆けがスポーツ・アイです。僕はちょっとしたきっかけでそこと仕事ができるようになるんです」 「大学の同級生で、アナウンス研究会の同期だった女性がいて、彼女は一般商社に勤めていました。その職場に英語の先生が来ていました。その先生の本職はスポーツの番組を作る事で彼女がアナウンス研究会にいたと話すと実況のできる人はいないか?と尋ねてきたそうです。『倉敷くん、やれる?』と聞かれて『紹介して』、と。スポーツ・アイは海外スポーツを中心とした放送を始めようと準備している段階でした。その英語を教えていた先生は芸能界で活動されていたキャロライン洋子さんのお兄さんの倉地 ウィリアム 浩さんという方で、彼もNHKの『レッツゴーヤング』などに出ていた元芸能人でした。倉地さんとお会いして『海外サッカーを中心に番組を作ります。放送を手伝っていただきたいのですが、サンプルはお持ちですか?』と言われ、困ったなと思いました。サッカーの中継をしたサンプルは1つもなかったからです」 「それが93年でした。Jリーグが開幕した年ですが、僕はアルバイトなど他の仕事をしながら憧れとしてJリーグ中継を観ていた頃でした。時を合わせるかのように、『ライオンズナイター』を手伝っていた制作会社の方から電話がかかってきました。Jリーグ中継を制作することになったけど人手が足りない。君、サッカー中継もできるよね?という願ってもいない誘いでした。『できます。もちろんです』と即答しました。嘘だったんですけど(笑)。チャンスを逃したくないのでにわかにサッカーの勉強を始めます。依頼された試合はいきなり生放送でした(笑)。しかも当時のJリーグは放送したものをセルビデオにして売っていました。自分が初めて実況したものが売られている。いいのかな?大丈夫かな?なんて思いながらも、振り返ることはせず、ダビングを分けてもらい、それを倉地さんに持っていったのですが、見もしないで『ではお願いします』と言われて拍子抜けしました(笑)」 ◆初めての海外取材、オランダで掴んたオリジナリティの創出 ――いよいよサッカーのアナウンサーとしての倉敷さんが登場するわけですね 「そこからが僕のサッカー実況のキャリアです。当時はJリーグ中継を担当することは殆どなく、メインは海外サッカーでした。最初に担当したのがブラジルリーグとオランダリーグでこの2つが僕の基本です。南米と欧州ですね。ブラジルサッカーは向笠直さんというブラジルサッカーが大好きな大家がいて、その方にポルトガル語のサッカー用語も教えてもらい、こういう表現をしない?と唆すようにリクエストも頂きました。もう一人の師匠筋にあたるのが日産などで活躍された元サッカー選手のマリーニョさん。お二人に何を教わったかというと、まず『これくらいのレベルのシュートやゴールで絶叫するな』でした。そしたら僕は非絶叫系になっていってしまったのですが(笑)。つまり感心すべきレベルで初めて心からの声を出せ、大したことのないプレーでガタガタ騒ぐな。本物はこんなものじゃないよと教わりました」 「ラテンのサッカーは技術も文化もツッコミどころ満載で、どんどん南米サッカーに惹かれていきました。もう1つのオランダサッカーは、当時の欧州を代表するベーシックな文化でした。海外に初めて取材に行ったのもオランダでした。自分が担当するオランダサッカーを観てみたい、取材したい。現地を見ないと説得力もないと思い、取材申請をしてオランダ代表戦をアムステルダムで観ました。印象的だったのは試合より記者会見です。記者は大した質問をしません。つまらない質問だけです。どこで他社との差別化をするのかな、と思っていたらぶら下がり取材でした。自分だけのネタが欲しいから個別に捕まえて話を聞く。今では当たり前のことだと思っていますが、日本のスポーツ新聞は未だに同じ様な一面になりますね。僕は日本の取材現場も知っていますが個別の取材をせずに口裏を合わせて誰かが聞いてきたことだけを書く記者もいる。無難も良いけど、取材する権利を与えられているメディアは競争すべきだと思っています」 「そう考えるから、僕は外れていくんですかね(笑)。コンプレックスと経験、人との出会いからいろいろなものをつまみ食いしてきたことが僕のこれまでです」 倉敷さんの実況が聞けるスポナビライブはこちら ◆「日韓国W杯の決勝戦で喋れたことが自分の中でのステータス」(C)CWS Brains,LTD.――前途多難な道のりでしたが、晴れてスポーツアナウンサーの職業に就かれて20年以上が経ちました。これまでに達成感や充実感はありますか 「達成感とは違うのですが、Jリーグの会場に行くたびに、現場でサッカーの実況ができる喜びはありますね。遠回りをしましたが、この放送席には自分のための場所がある。実況って他のスタッフよりちょっとだけ大事にしてもらえるんです。一応、出演者ってことで。その分僕はスタッフの方々に感謝の気持ちを忘れないようにしています。音声さんやカメラさん。みんなで作り上げるのは一人でラジオを作っていた頃とは違った充実感があります。そういう自分の居場所があるのは楽しくて。コメントの内容には賛否両論あるでしょうけど、意見を言い切らないなら話題にさえのぼらない。それはパーソナリティの覚悟だと思うんです。テレビのサッカー中継はテレビなんだけどラジオ的な、モニターの向こうにいる人を意識しながらやっています」 「僕は相当な方向音痴なので、現場に出かけるまでは嫌で、かなりの出不精ですが、着いて準備さえできてしまえば、こんなに楽しい時間はないと思っています。毎回の放送が楽しみで仕方ないです。遠足もそうでした。子供の頃は行きたくないと駄々をこねていても、行くと一番はしゃぐタイプでした(笑)」 「もし、スポーツアナウンサーにとっての達成感という話であればステータスを感じられるラインがあると思います。例えば大会の決勝戦をしゃべった、五輪でしゃべったとかですね。僕の場合は2002年ワールドカップの決勝戦をスカパー!のライブ中継で原博実さんとご一緒しましたが、この時は一つの達成感を感じました。スポーツの実況者にはなれないと思っていた自分が、日本と韓国で開催されたワールドカップの決勝戦をスタジアムで喋っている。ワールドカップに於ける日本代表の初勝ち点、初勝利も自分の口で伝えられました。この仕事を引き受けてよかった、誘っていただいてありがたかったと、後からしみじみ感じましたね」 「達成感や充実感と引き換えにその時は虚脱感も凄かったですね。日本各地の会場を回って、家に着替えを取りに帰って、またすぐに出かける。その繰り返し。しかも現在のように資料映像を手軽に持ち運べる時代ではないですから大変でした。まだビデオテープの時代です。担当するチームの直前の試合を行く先々のホテルでどうやって見るか?ビデオデッキを持ち歩いて、テープは届けてもらって、ホテルに着くたびに『端子はありますか』とフロントに聞く。端子がないとなるとスカパー!の方にテレビまで届けてもらったりして。それが2002年です。そこからの15年間ってすごい進化ですね(笑)。今なら全く問題ない。タブレットやスマホで見られる時代ですもん。そこは楽になりましたね」 ◆失敗体験の中で見つけたアナウンサーとしての幅 ――逆に失敗体験はありますか 「資料を忘れたことがありました。全部。生中継なのに。カバンを開けると何も入っていない。どうしようかと青ざめました。気付いたのが放送30分前。本当にパニックでしたね。今のようにメールでもらうわけにもいかない時代でした。あの時はどうやって乗り切ったのかな?(笑)。とりあえず解説を最大限に活かしました」 「ただ、普段自分が5段階あるうちの「4」でやっているとしたら、「4」から下に落とすことは簡単です。どうあがいても「3」にしかならない状態になったわけですから「3」の中継をしようと切り替えるテクニックがあります。ギリギリセーフの「可」を目指すずるいテクニックを実況者は誰も持っているはずです。困った時に使えるテクニックの一つが『これはどうですか』と解説者に振るというNHKの山本浩アナから教わったメソッドです。もっともトラさん(山本浩アナのあだ名)ほど効果的には使えません。トラさんのことも勝手に師匠筋と慕っていますが、遥か雲の上の存在ですからね。」 ◆休日に見る倉敷さんの“良いものを作る”思い ――ここまではアナウンサーとしての倉敷さんのお話をお伺いしましたが、普段の倉敷さんを知らない方が多いと思います。実際に休日などは何をなされていますか 「できるだけ文化的欲求不満を解消しようとしています。中継に臨むに当たってはサッカーにかけるのと同じだけの時間を別のことにかけた方が良いものを作れると考えるからです。アルバム一枚分だけ音楽を聴いたり、本を一冊読んだり、ドラマを一本見たり、どこかに出かけたり、誰かと話したり。そんな程度のアプローチですけどね」 「スタジアムに着くまでに一曲聴いておく。すると中継に使えるかもしれないフレーズが心に残ることがあります。音楽とサッカーをつなぐアプローチですけど、前挨拶でワンフレーズを差し込んで使うことも多いんです」 「サッカーはインターナショナルスポーツです。どこの国にも競技者がいて、身近な話題になっている。その国の文化と密接に結びついています。『人類の文明は川ができると人が集まる。するとまず教会ができて、次に人々はボールを蹴り始める』。海外のサッカー好きがよく話すたとえ話ですが、確かにサッカーほど地域に根差していて、歴史のある娯楽はそうはありません」 「そう考えると歴史、音楽、食文化、建築などいろいろな切り口からサッカーが語れます。『ダヴィンチ・コード』という映画を観ることで舞台となったイタリアの街とクラブチームの話題をシンクロさせられる。ローマやフィレンツェに出かけたくなったサッカーファンがいるかもしれない。サッカーには興味のなかった旅行好きがサッカーを見てみようと思うことだってあるでしょう」 「サッカーの制作現場にはサッカーだけが好きというスタッフも少なくないんです。だから僕は若いスタッフに『サッカーだけ見ているとサッカーの面白い番組はできない。サッカーと同じだけ違うことで遊んでこそサッカーの面白さが伝えられるよ』と口癖のように繰り返しています。もはや老害です(笑)」 ◆現場とテレビではそれぞれの良さがある ――最後に実況者として、一人の人として倉敷さんが考えるそれぞれのサッカーの良さはどこにありますか 「サッカーの良さはいくつかの異なる見方で楽しむことで広がることを伝えたいですね。例えばオフチューブで見るサッカーとスタジアムで観戦するサッカーはまるで違います。オフチューブ、つまり映像を現場からスタジオに送ってもらってコメンタリーをつける中継ではスローVTRが入って細かいテクニックを楽しめます。ボールコントロールのテクニックなどですね。メッシは、ダブルタッチを行う時にスパイクのどこにボールを当て、どう筋肉の緊張を強めたり、緩めたりしているのか?高画質の番組ならきれいな画面で繰り返し見られる、大きな画面なら尚更です。視聴者の方は知識が増えるのが好きなんです。技術解説や戦術解説、それが、オフチューブが進むべきひとつの方向性です。サッカーのリテラシーをあげるのに海外サッカーなどのオフチューブ放送を楽しんで欲しいと思います」 「一方で、テレビでは伝えられない致命的なものがスピード感です。一流チームのパス回しのスピードはテレビでは伝えられません。例えばカンプノウでバルセロナのサッカーを観戦すればパスレンジの長さとスピードに感嘆すると思います。足元から足元へ、30m級のパスが、パスを送る味方の利き足に正確に渡っていく。ため息が出ますよ。あれをスタジアムで見てしまうとテレビでは物足りない。その凄さをスタジアムで確認してからまたテレビで見て欲しいんです。贅沢ですけどサッカー観が変わりますよ、きっと」 「スタジアムで見て、ピッチで起こっている多くの意図や戦術に気付ける監督並みのスペシャルな観戦者が海外にはたくさんいる。僕ら日本のファンもいずれそうなるために、まずはテレビ観戦でリテラシーを上げるお手伝いがしたい。でも、自分も含めて、僕らスタッフはディレクターもカメラマンも海外と比較すれば競技の理解度がまだまだ足りないと思います。全員が揃ってその競技の理解度をあげれば、もっと違った映像、違った角度、違ったスイッチング、違ったコメント、違った解説ができるはずです。まだまだスポーツ中継は進歩できる余地が大いにあると思っています。テレビで見る面白さと、現場で見る面白さの両方を楽しんでもらえるために頑張りたいです」 ▽数々の苦難を乗り越えながらも、その先々で人との出会いやあらゆる経験からオリジナリティである“人と違うこと”を行ってきた倉敷さん。最後にはテレビで観るサッカーと現場で観るサッカーの違いに関する今後の課題を口にしてくれた。次回は、百戦錬磨の倉敷さんに、実況者として観る“サッカーの視点”について語ってもらいます。 ◆倉敷保雄さん『スポナビライブ』出演情報 ▽11月29日(水) 25:54〜 [LIVE]ストーク・シティ vs. リバプール 解説:ベン・メイブリー 実況:倉敷保雄 倉敷さんの実況が聞けるスポナビライブはこちら 2017.11.26 12:00 Sun
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【日本代表コラム】今見たい! EAFF E-1サッカー選手権に呼んで欲しい国内組日本代表23名を選出

▽日本代表にとって、2017年の最終戦となるEAFF E-1サッカー選手権2017。ロシア・ワールドカップに出場する日本代表にとっては、貴重なテストの場であり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては新戦力発掘の場となる。 ▽今大会は、中国、韓国、北朝鮮と東アジアの3カ国と対戦するが、日程の関係により海外組を招集することはできない。国内組で編成される今回の日本代表。29日にそのメンバーが発表されるが、その前にJリーグでのプレーを参考に23名をポジション別に選出してみた。 ▽なお、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグで優勝した場合、同時期にUAEで開催されるクラブ・ワールドカップに出場するため、浦和の選手は選外としている。 GK 東口順昭(ガンバ大阪/31) 権田修一(サガン鳥栖/28) 中村航輔(柏レイソル/22) Getty Images▽まずは守護神だ。東口順昭、権田修一、中村航輔の3名を選出した。日本代表にも招集され続けている東口、11月の欧州遠征からは外れたがそれまで呼ばれていた中村は順当だろう。中村に関しては、日本代表でもプレーを見たいところだ。 ▽そして本来であれば、西川周作(浦和レッズ)が入ると考えられるが、前述の通り選外とし、アルベルト・ザッケローニ監督の下では日本代表に選出され続けていた権田を呼んでもらいたい。鳥栖に復帰した今シーズンは、幾度となくチームを救うプレーを見せ、ショットストップは衰えていないはずだ。 DF 松原健(横浜F・マリノス/24) 小池龍太(柏レイソル/22) 車屋紳太郎(川崎フロンターレ/25) 吉田豊(サガン鳥栖/27) 昌子源(鹿島アントラーズ/24) 植田直通(鹿島アントラーズ/23) 三浦弦太(ガンバ大阪/22) 中谷進之介(柏レイソル/21) Getty Images▽続いてDF陣。サイドバックは左右で2名ずつを呼んでもらいたい。右サイドバックには松原健、小池龍太、左サイドバックには車屋紳太郎、そして吉田豊を推薦したい。 ▽松原は今シーズンから横浜FMでプレーし、リーグ戦25試合に出場。シーズンが進むにつれて守備面での改善も見られ、スプリントも問題ない。また、今シーズンから柏でプレーする小池も気になる存在だ。ポジション取り、オーバーラップのタイミング、そしてクロスと攻撃センスは抜群。守備面でも対峙するサイドアタッカーを封じる試合も多く、初のJ1挑戦にして結果を残している。 ▽また、左サイドバックには10月、11月と日本代表に招集されている車屋、そして豊富な運動量と不屈のメンタルを持つ吉田を推したい。車屋は長友佑都(インテル)の控えとして計算されており、このタイミングで国際舞台での経験値を積みたいところだ。そして吉田は、長友と同タイプのサイドバックとして計算が立つ。攻撃センスも申し分なく、鳥栖で見せているプレーを代表で見せて欲しい。 ▽その他、サイドバックの候補としてはリオ五輪代表の室屋成(FC東京/23)、U-20W杯に出場した20歳の初瀬亮(ガンバ大阪)といった両サイドができる若手もいる。初瀬は両足で蹴ることができ、G大阪ではキッカーも務めるほどの精度を誇っている。室屋も一列前での起用が可能で、スプリント力とスタミナは示している。代表入りの可能性もゼロではないだろう。 Getty Images▽センターバックは、日本代表に招集されている昌子源、植田直通、三浦弦太の3枚に加え、新戦力として中谷進之介を推したい。昌子、植田、三浦の3選手は、本大会のメンバー入りをかけた大事な大会となるだろう。槙野智章(浦和レッズ)が2番手に浮上してきた中、ここでアピールをしっかりしたいところだ。 ▽これまで招集歴がないところでは、中谷を推薦したい。柏で最終ラインを統率し、20歳の中山雄太をリードしている。吉田麻也(サウサンプトン)という絶対的な存在がいる現状、相棒として組めば、中谷のコントロール能力とカバー能力は日本代表でも生かされるはずだ。中山は左利きという利点もあったが、個人的に中谷を推したい。 ▽その他、左足の高精度キックを持つ福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌/24)、右サイドバックとしても計算が立ち、“デュエル”の強さを持つ高橋祥平(ジュビロ磐田/26)、そして高橋と同じ磐田で出色のパフォーマンスを見せている大井健太郎(33)も気になる存在だ。 MF 山口蛍(セレッソ大阪/27) 三竿健斗(鹿島アントラーズ/21) 井手口陽介(ガンバ大阪/21) 倉田秋(ガンバ大阪/28) 原川力(サガン鳥栖/24) 清武弘嗣(セレッソ大阪/28) Getty Images▽続いて中盤。現状の日本代表のシステムを考え、アンカーとインサイドハーフ2枚という観点で選出した。アンカーとしては山口蛍と三竿健斗の2名を選出した。 ▽山口はすでにその能力も計られており、あえて招集しないという選択肢もあるかもしれない。しかし、チームを作ることを考えれば、長谷部誠(フランクフルト)の代わりにアンカーを務める可能性もある山口は外せないだろう。チームの軸として、今大会を過ごして欲しい。 ▽そして、もう1人が昨シーズンから鹿島でプレーする三竿だ。東京ヴェルディユース出身の三竿は、今シーズン途中からダブルボランチの一角としてプレー。大岩剛監督は、三竿を軸にレオ・シルバ、小笠原満男、永木亮太を使い分けている状況だ。まだ21歳と将来性も高く、“デュエル”の強さはある。攻撃面での迫力不足はあるが、アンカーとしての働きはU-23日本代表でも見せていただけに、このタイミングで招集してみるのもプラスと考えた。 ▽その他、アンカー候補には堀孝史監督就任後に本領を発揮し始めている青木拓矢(浦和レッズ)なども挙げたいところ。クラブ・ワールドカップに出場しないとなれば、ぜひ呼んでもらいたい選手の1人だ。 Getty Images▽インサイドハーフには井手口陽介、倉田秋のガンバコンビに、清武弘嗣、原川力を選出した。井手口、倉田は言うまでもなく、日本代表としての経験を積ませたいところ。よりチームの中心となってプレーすることで、1ランクアップを目指したい。 ▽そして、ケガで長らく日本代表から遠ざかっていた清武の復帰を希望したい。ゲームを作れ、流れを変えられる清武。C大阪での最近のプレーを見ると、本来のパフォーマンスを取り戻していることが見て取れる。元海外組として、今大会の中心となる活躍を期待したい。 ▽さらに、リオ五輪代表では主力だった原川を呼んでもらいたい。今シーズンは鳥栖でプレーする原川だが、走力がついただけでなく、攻撃センス、流れの中での組み立ての参加など、試合を積むことで伸びている印象だ。さらに、プレースキックの精度も抜群。直接FKで3ゴールを挙げており、ハリルホジッチ監督が苦言を呈する「FKからのゴール」も久々に誕生する可能性は高い。 ▽その他には、左利きのゲームメーカーである天野純(横浜F・マリノス)や運動量、カバーリング、攻撃参加と持ち味はハリルホジッチ監督好みの福田晃斗(サガン鳥栖)、福田よりもより攻撃面での違いが出せ、ボック・トゥ・ボックスのプレーが可能な川辺駿(ジュビロ磐田)も見てみたい選手だ。 FW 杉本健勇(セレッソ大阪/25) 都倉賢(北海道コンサドーレ札幌/31) 伊東純也(柏レイソル/24) 遠藤康(鹿島アントラーズ/29) 金崎夢生(鹿島アントラーズ/28) 江坂任(大宮アルディージャ/25) Getty Images ▽最後は前線だ。センターフォワードには杉本健勇と都倉賢を推したい。センターフォワードには強さ、高さ、ゴールに向かう意識を考え2人を選出した。 ▽杉本は今シーズンのJ1で得点王を争っており、日本代表としても経験を積んでいる。今大会でよりその得点力に磨きをかけてもらいたい。そして都倉も同様だ。身体の強さはもちろんのこと、想像を超えたシュートを放つことはチームでも見せているもの。日本人離れしたスケールを感じる。同じ左利きという点では川又堅碁(ジュビロ磐田/28)も考えられるが、よりチームに入り込めそうな都倉を推したい。 Getty Images ▽そして右ウイングには、快足で相手DFを翻弄する伊東純也、そして日本人らしからぬプレーが持ち味の遠藤康を推したい。伊東のスピードは言わずもがな。シュート精度も悪くなく、仕掛けのタイミングも良いものを持っている。そして遠藤。まるで南米の選手かと思わせるようなテクニック、そしてアイデアはJリーグの中でも随一。左利きという点もあり、日本代表に入ることでどのような化学反応を見せてくれるのかが気になる。南米やアフリカに弱い日本だが、遠藤のイマジネーションがあれば相手を翻弄することも可能だろう。 Getty Images ▽左ウイングに推したい金崎夢生は、ゴールへの執着心、そして前線でタメを作ることができるタフさだ。センターフォワードとしても計算が可能で、泥臭くボールを追いかけ、ゴールを奪う姿勢はこのタイミングでもう1度見たいところだ。もう1人の江坂任は、卓越した運動能力の高さに期待したい。175cmと上背はないものの、跳躍力に秀でており、ヘディングで合わせる能力が高い。ラインの裏に抜ける動きもでき、サイドハーフながらもゴールが狙え、ゲームメイクも大宮では見せている。より得点を獲ることに集中できれば、大化けする可能性も秘めており、似たタイプとしては小林悠(川崎フロンターレ)か。今シーズンゴールを量産している小林も候補には入るだろう。 ▽今回は23名に絞り、さらに浦和の選手は除いた中でメンバーを選考した。現時点ですでに日本代表のベースは作られており、より上の相手と対戦した時に戦える、通用する可能性がある選手を見出したいはずだ。Jリーグで気になった選手を実際に手元に置くことで、直接判断が下される今大会。選出される選手は、最後のチャンスだと考え、持っているものを全て出して欲しい。日本代表のメンバー発表は、29日に行われる。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.25 20:00 Sat
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【クラッキーの実況席の裏側】“他とは違うオリジナリティ”人気アナウンサー・倉敷さんの人物像に迫る:前編

▽インターネットでのスポーツ中継が広まり、サッカー観戦がより身近なものになってきた。試合を見に行けなくてもスマートフォンで簡単に観戦できる。まさにいつでもどこでもサッカーに触れられる時代となった。 ▽そんなサッカー中継で欠かせないものの1つが実況ではないだろうか。言葉巧みに目の前で繰り広げられている白熱した試合を伝え、視聴者たちをその場にいるような雰囲気にしてくれる。そんな実況者たちはどんな思いを持って、それを伝えているのだろうか。 ▽今回、20年以上もアナウンサーとして活躍し、ワールドカップ決勝でも実況としてその熱量を伝えてきたクラッキーこと倉敷保雄さんにインタビューを実施。第1回はいろいろな人との出会いやあらゆる経験、そして何よりも“他との差別化”を考えて突き進んできた倉敷さんの人物像に迫る。 ◆少年期に抱いたラジオへの憧れ ――アナウンサーとして20年以上活躍されている倉敷さんですが、この仕事に興味を持った理由は何だったのでしょうか 「ラジオ局に対する憧れが子供の頃からとても強かったんです。良く言えば控えめな少年。違う言い方なら内向的な少年でした。そんな少年にとってラジオは身近な友達でラジオの中のパーソナリティに強いシンパシーを感じていました。今でもラジオの仕事に就きたい、いきなり仕事は変えられないでしょうが、原点回帰していつかはラジオに戻りたいと思っています」 「学生時代からラジオ放送が好きだったので、しゃべる仕事というよりは放送を作る仕事、制作チームに入りたいという漠然とした思いから、放送局に対する憧れがありました。ラジオ局の職種の中で一番身近に感じている職種は何かな? と考えた時にアナウンサーかな、と感じていました。薄く、ですけれど。これがそもそものスタートでしょうね」 ◆スポーツ中継を志すもまさかの留年…さらに入社した福島では… ――幼少から興味を持っていたラジオですが、実際に人前で話す仕事に就くまでには苦労されたことも多いのではないでしょうか 「大学生の頃に大きな時代の変化がありました。フジテレビの黄金期でアナウンサーに対しての考え方、ニュアンス、イメージが大きく変わってきた時でした。それ以前の僕は『ニュース読みはアナウンサーの聖域だ』と思っていました。しかし、ニュースはタレントでも読める時代になり、80年代の時点で、もはやアナウンサーの聖域ではなくなっていました。専門職でありたいと思ってアナウンサー職を志望したのにどうしようか?と悩んでスポーツ中継に行き着くんです。これこそ専門職だろうと思いましたね。そこを目指そうとして方向転換したことですごく遠回りをするんです」 「僕は四年間で大学を卒業できませんでした。でも、もし普通に卒業して、専門学校の恩師の推薦で入社が決まりそうだったラジオ局に行っていたら……。そこはあるFM局でした。自分は音楽も好きなので、そこに入社していたら今とは違った道を歩いていたと思います。しかし、遠回り。追試を受けようとした科目の担当教授が海外に旅立ってしまい……そのまま試験は受けられず、留年となりました(笑)。学生課に出かけて事情を話しましたが『留年しかない、いうことでしょうか?』と尋ねたら、あっさり『そうです』と返されてしまい、『就職できるんですけど』と言っても、『お気の毒ですが…』、『あっそうですか』で、終わり(笑)。しかし、そのお陰でもう少し人生経験を積めたというか、多少ボコボコにされてまともな人間になってきたかなと思います」 「まず一年間、遠回りをするわけですが、当時の専門学校には自分よりもうまい人たちばかりがいました。スポーツの専門職になりたい人達と自分とはすでにこれほどまでに差がついているんだなと感じて勉強するようになりました」 「アプローチとしては、東都大学や六大学野球で野球中継の練習をしようと神宮球場に通いました。これはスポーツアナを目指す者にとってはとてもオーソドックスな練習法です。僕はその年の東都大学の試合は全試合を口に出して実況練習しました。一日2試合、火曜日と水曜日です。400円の一番安いチケットを買って、ネット裏の2階席に行き、小型のテープレーコーダーを持って一試合すべてをしゃべる。自分で聞いていて、ダメなところをチェックする。それから恩師に聞いてもらい、『ここがダメだ』とお小言を貰って、次の週にまたそれを繰り返す。“継続は力なり”ではないですが、自分の中で、人より余計に努力してきたと思えることが、試験の時に自分を支えてくれるものになりました。絶対に野球中継をするぞ、と意気込んでいたんです」 「翌年、ようやく(大学)卒業とアナウンサー試験の合格を手にすることができて、福島のラジオ局に行きました。ところが、入社した局には野球中継がなかった(笑)『神様はたくさんの試練を与えるな』と思いましたね」 倉敷さんの実況が聞けるスポナビライブはこちら ◆スポーツから大きく離れるも培われた他と違うことをやる姿勢(C)CWS Brains,LTD.――福島ではスポーツ中継ではなくどのようなことをやられていましたか 「スポーツ中継は競馬だけでした。でも視力が悪かったこともあって、中継を楽しむまでには成長できませんでした。年間に数週間しか開催期間はありませんでしたしね。そして代わりに音楽番組の制作にはまっていったんです。入社して半年もすると、このラジオ局は自主制作番組が多かったので君も番組を作って良いよと。これは楽しかった。どんどんのめり込んで、代わりにスポーツ中継からは大きく離れた時代でした」 「入社時からとても生意気な新人と評価されていまして(笑)。当時は確かに機会があれば一刻も早く東京に戻って仕事をしたいと思っていましたし、それを上司にも知られていました。『あいつはどうせすぐにやめる』という雰囲気の中でとても可愛がられました(笑)。音楽はとても好きだし、得意なジャンルだったので、入社してすぐに番組を担当させてもらえたのはいいんですけど、『いくらでもやりたいよな』という先輩たちの好意でどんどん仕事が増えて……勤務時間を過ぎてもなかなか家に帰れないほどの量の番組をもらっていました。いや、すごく勉強になりました。感謝、感謝です」 「で、生意気な新人はさらに先輩を怒らせます。レコード会社のディレクターに会いに東京へ出掛けたんです。もともと休みの日には東京の演劇や舞台を観に上京していました。常に文化を吸収し続けないと良いアナウンサーになれないと思っていたからです。東京へ出掛けた折には主に洋楽のアーチストを抱えているレコード会社の担当ディレクターに名刺を渡しに、就職活動のように会社を回りました。名刺を手に『音楽番組を担当しています』と話すと、『直接、プロモーションのための宣材やレコードを送りましょうか。担当番組のタイトルも入れたアーチストの肉声メッセージも必要ですか?』という仕事の話になり『ぜひお願いします』と。それを重ねていくうちに、僕の机には東京から直々に届くノベルティなどの宣材やレコードが先輩たちのそれの何倍も届くようになっちゃったんですね」すると『おまえは何をやっているんだ』とまた怒られる。こっちは怒られると思っていないので、『何がですか』と言い返すと『先輩は誰もそんなことやっていないだろう』『え? なんでやらないんですか』とまた火に油を注いで……。でも、福島では楽しい思い出ばっかりです。確かに生意気な新人だったけど、結局、すくすくと育てて頂きました。福島はいい人ばかりだったんです。」 ◆まだまだ多難なスポーツ中継への道 ――福島で音楽番組制作を行われた後はどのように進まれたのですか 「ものを作る楽しさを満喫していましたが、スポーツからは遠く離れた状況です。やがて趣味だった音楽にも番組作りに自身のマンネリを感じて来て……しばらく何か別なことをやりたいなと思っていた時に、母が病気になりました。僕は『死んでしまうならせめて最後は一緒にいよう』といきなり会社を辞める事にしました。ボーナスももらわずに慌ただしく辞めて、仕事もなかったので半年間プー太郎です」 「ただ、母はすぐに回復して、結局なんだよと(笑)。やがて文化放送の報道部が記者を探していると聞き、面接を経て、採用してもらえる事になりました。それから二年間、首都東京の報道記者としてまったく知らない道の世界を経験しました。現在スポーツの実況者で国会、警視庁、裁判所の記者クラブに入って事件現場や法廷での取材経験があるのは僕ぐらいかもしれませんね」 「わずか2年間ですが、とても勉強になりました。日本の報道の中心部の仕組みがどういうものかがよくわかりました。記者クラブの良し悪しもまたよくわかりました(笑)。今の仕事に役立っているのは、記事に関してここまでは取材していて、ここからは取材していないな、と文脈と行間からわかるようになったことです。海外の記事でも同様にこれは取材して書いている、してないというのがわかります。放送で使用するならここまでは割り引かないでコメントして良くて、ここはぼかそうと区別します。ぼかすにしても自分なりのぼかし方をしようと考えます。文化放送時代に覚えたことは今の仕事への汎用性が高くて、地方と東京、日本と海外の違いについて考えるアプローチを学んだ時間でした。みんな優秀で親切で大人が多いのが文化放送報道部だったんです。」 「別の伝手でNHKの仕事もしました。ニュース&スポーツ番組のいわゆる影読み。番組で使うVTR部分で顔出しなしで原稿読みやナレーションを入れるものなのですが、最初に『一回ミスすると二度と呼ばれないからね』なんてプレッシャーをかけられました。で、たまたま間違えなかったので(笑)その仕事は10年以上続けさせてもらえました。日本の報道機関で一番大きなNHKの報道&スポーツの現場を10年にわたって見させてもらえたことも原稿づくりやVTR編集を考える際に、かけがえのない経験になりました。」 「ただ、報道も自分には向いていないと悩み始めるんです(笑)。文化放送では2年間の報道を経て半年間だけスポーツ部に行かせてもらいました。記者ではなくタレントとして『ライオンズナイター』の仕事を手伝ったんです。たが、半年間の契約でその後は延長してもらえないとわかっていました。それでもスポーツの現場に行きたいという思いが再び高まっていたんですね。Jリーグの誕生も近づいていましたからスポーツの制作現場に飛び込むならこのチャンスだと思い、パートタイムでNHKの仕事を手伝いながらも基本はスポーツ中継の勉強に明け暮れるプー太郎になりました」 ▽学生時代の留年、福島での音楽番組の作成、国会、警視庁、裁判所での取材経験など、ここまで全くサッカーと関りがない倉敷さんですが、どのようにしてサッカーの実況者となっていくのだろうか? 後編では倉敷さんの転機となった1992年の話、2002年の日韓ワールドカップでの充実感、そしてアナウンサーから離れた倉敷さんに迫る。 ◆倉敷保雄さん『スポナビライブ』出演情報 ▽11月29日(水) 25:54〜 [LIVE]ストーク・シティ vs. リバプール 解説:ベン・メイブリー 実況:倉敷保雄 倉敷さんの実況が聞けるスポナビライブはこちら 2017.11.25 12:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】勝利に浮かれはしても現実は厳しい…

▽「ホントにここって何もないよね」そんな風に私が嘆きながら、IFEMA(イフェマ/マドリッドにある大型展示場施設)の横を歩いていたのは木曜日、バルデベバス(バラハス空港の近く)にあるレアル・マドリーの練習場に向かっている時のことでした。いえ、選手たちの出入りを見たいのであれば、セルカニアス(国鉄近郊路線)C1線のValdebebas(バルデベバス)駅で降りて徒歩1分、関係者用ゲート前で待てばいいだけなんですけどね。練習見学などで内部に入る場合、そちらからだと、広大な施設の敷地外周をグルリと回らないと入り口がないため、メトロ(地下鉄)8号線のFeria de Madrid(フェリア・デ・マドリッド)駅から徒歩30分の方が、乗り継ぎの関係で楽という面も。 ▽実際、まだ今のマドリッドは天気の良い昼間は寒さも厳しくなく、そこここで黄色に色づいた街路樹や高速道路を超えた後、野っぱらに生えているススキのような雑草に秋の情緒を感じながら歩くのも悪くないんですが、難点は猛暑の時に水が買える売店や、極寒に耐えかねた時に熱いコーヒーが飲めるバル(スペインの喫茶店兼バー)などが、練習場の付近一帯にまったくないこと。おかげで思い出してしまったのは、いえ、アトレティコのマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダのように、お隣に飲食店の並んだブロックがあるなんて環境は珍しいんですけどね。弟分のヘタフェもそういう意味ではかなり恵まれているかと。 ▽というのもコリセウム・アルフォンソ・ペレス右脇の道を下って行くと着く練習場では、トップチームのグラウンドの少し手前にバルがあるため、まだ誰もいない時はここでお茶をして待っていればいいし、毎回、2時間以上ある長いセッションをずっと見ているのに飽きてもテラスに座っていれば、柴崎岳選手を含め、引き揚げてくる選手たちを見逃す心配はゼロ。更にチームが朝食を取るスタジアム内のバルは試合のない日も開いており、Menu del dia(メヌー・デル・ディア/本日の定食)もあるため、セントロ(市内中心部)に戻る前に腹ごしらえしていくこともできます。 ▽他にも最寄のメトロ・スールの駅、Los Espartales(ロス・エスパルタレス)の出口前ある、カーニャ(グラスビール)やコーラなど、コールドドリンクを頼むとtapita(タピータ/おつまみ)をつけてくれる(ただし試合前は混雑しているためか、出ない)バルも重宝しますし、セルカニアスC4線のLas Margaritas(ラス・マルガリータス)駅へ向かう途中、大通りより1本外側のEmilia Prado Bazan(エミリオ・プラド・バサン)通りにも数軒、テラスで食事のできるレストランバルが並んでいるため、ランチをする場所に事欠かないのがいいところ。その辺は一番近いお店がショッピングセンターながら、そこまでスタジアムからも練習場からも10分以上歩かないといけない同じ弟分のレガネスより、立地がいいと言えますね。 ▽まあ、そんなことはともかく、木曜の私はスポンサーのアウディが恒例の選手への車の貸与式をやると聞いてバルデベバスへ向かったんですが、なかなか面白かったのはプレイベントのカーレースゲーム。バスケチームが練習に使うバビリオン内に作られた舞台で、F1レーサーのようなつなぎを着た選手たちがオンラインで繋がれた運転席に座り、8人ずつの予選を戦った後、決勝レースという運びでしたが、贅沢なカーコレクションが自慢のクリスチアーノ・ロナウドが最下位で予選落ちしてしまったのはかなり意外だったかと。もちろん普段、どんなに高性能の車に乗っていようが、自宅と練習場の往復では超高速を出す機会などある訳ないということでしょうが、この日、チーム一の器用さを発揮したのはカルバハル、以下、セルヒオ・ラモス、アセンシオと続いて表彰台に立つことに。 ▽その後、パビリオンの外に移動して1人ずつ、車を受け取ったんですが、ジダンの息子さん、第3GKのリュカを始め、セバジョス、アクラフ、マジョラル、コバチッチら、一番安い物でも7万5000ユーロ(約1000万円)、最高額はケイロル・ナバス、ロナウドのRS7の15万ユーロ(約2000万円)を超える、ラモスの選んだスポーツカー、R8スパイダーで21万ユーロ(約2800万円)だったそうですが、どれにしても一般人にしてみれば、何とも羨ましい限り。ええ、このイベントにはレースはベンゼマ、マルセロと共に欠場したものの、久方、ピッチでご無沙汰しているベイルもしっかり出席しています。 ▽え、彼らが呑気に新しい車をもらって喜んでいられるのも火曜のCLアポエル戦で今季初めて、トレードマークのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を達成したからじゃないのかって?そうですね、その試合、イスコやカセミロをベンチに置き、アセンシオとルーカス・バスケスでローテーションしたマドリーでしたが、前半23分に敵がエリア内からクリアしたボールをモドリッチが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で決め、口火を切るともう止まらず。39分にはクロースのスルーパスからベンゼマが2点目を挙げると、その1分後にはCKからナチョが3点目、ロスタイムにもロナウドがベンゼマにアシストして、前半だけで0-4になるなんて一体、いつ以来のことでしょう。 ▽後半も序盤にロナウドの2ゴールで、とうとう0-6としたマドリーは勝ち点3を積み上げて、グループリーグ突破を決めたんですが、同日、トッテナムもドルトムントのホームで2-1と勝ったため、最終節に何をしても2位で変わらないことも確定。いえ、昨季もトップ通過できずにCL2連覇を果たしたジダン監督のチームですしね。12月6日にサンティアゴ・ベルナベウを訪れるドルトムントにはアポエルと3位を争って、ヨーロッパリーグ出場権を得るという目標があるため、香川真司選手も出場すれば、真剣に向かってきてくれると思いますが、実はキプロスでの試合の後、大勝にも関わらず、不機嫌だった選手が約1名。それは今季のCL5試合で8得点として、ランキングトップを走るロナウドでした。 ▽というのも前節、ウェンブリーでトッテナムに3-0と負けた際、「ペペ(ベシクタシュ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン)、モラタ(チェルシー)のいた昨季程、経験の足りない選手の多い今季のウチは強くない」と発言したせいで揚げ足を取られ、キャプテンのラモスに「今、そういうことを言うのはご都合主義」と批判されたことを根に持ったんでしょうかね。「Digo una cosa y poneis otra... ?como quereis que hable con la prensa?/ディゴ・ウナ・コーサ・イ・ポネイス・オトラ…コモ・ケレイス・ケ・アブレ・エン・ラ・プレンサ(自分が何か言うと、他のことを書かれる。何で自分がプレスにコメントしないといけない)」とインタビューなしで行ってしまうから、まったくもって気難しい。 ▽ただ、後でマルセロなども「Paz no vamos a tener nunca, la gente no esta acostumbrada a eso/パス・ノー・バモス・ア・テネール・ヌンカ、ラ・ヘンテ・ノー・エスタ・アコストゥンブラダ・ア・エソ(ウチが平穏になることはない。皆、そういうのには慣れていないからね)」と言っていたように、この決勝トーナメント進出決定で来年2月まで、CLのことは考えなくて良くなったからとて、心配事がなくなった訳じゃないのがマドリーの辛いところ。ええ、すぐに週末にリーガ戦が来てしまうため、再び首位バルサとの勝ち点差10という、ジダン監督もシーズン前には「No me lo imaginaba, para nada/ノー・メ・イマヒナバ、パラ・ナーダ(まったく想像もしなかった)」逆境に立ち向かわないといけないんですよ。 ▽うーん、相手は前節、ようやくデポルティボに勝って最下位を脱出したマラガですが、リーガでのロナウドはベンゼマと共にまだ1ゴールで全然、調子が出ていませんからね。ベイルはもちろん、アセンシオも全治10日のケガを左足に負ってしまったそうで、マドリーダービーで鼻骨を骨折したラモスも木曜には1個300ユーロ(約4万円)相当のカーボンファイバー製フェイスマスクが完成し、インスタグラム(https://www.instagram.com/p/Bb33pdVjhzL/?taken-by=sergioramos)で披露していたものの、招集リストには入らず。この試合ではナチョが累積警告で出場停止になっているため、CBにバランとバジェホしかいないというのはちょっと心配かと。 ▽朗報はとうとう、GKナバスとコバチッチが復帰したことですが、今季はホームでベティスに負け、レバンテとバレンシアに引き分けるという失態をすでに犯している彼らですからね。日曜の頂上決戦、バレンシアvsバルサ戦がどういう結果になるにしても、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのマラガ戦では絶対、勝ち星を落とすことは許されないかと。そうそう、その永遠のライバル、バルサは水曜のCLユベントス戦で前節オリンピアコス戦に続いてスコアレスドロー。それでもメッシを後半まで温存しつつ、グループ首位通過が決まっているんですから、今季はヨーロッパの大会に参加していないバレンシア同様、ここ当分、リーガに集中できるのが怖いですよね。 ▽え、それで火曜には後半に劇的な追い上げを見せ、リバプールと3-3で引き分けたセビージャが最終節にマリボルと引き分け以上なら、グループ突破ができることになっていたけど、カラバフとの2連戦を両方共ドローで終えた時点で勝ち点がたったの3。CLスペイン勢4チーム目、今季最後のCLホームゲームになる可能性が限りなく高かったアトレティコはどうだったのかって?いやあ、アゼルバイジャンで当日、先に試合をしたチェルシーが0-4とカラバブに大勝、もうこれじゃ、選手もやる気にならないんじゃないかと放心して、ワンダ・メトロポリターノのスタンドに座っていた私でしたけどね。その上、ローマ戦のキックオフ前にフアンフランの負傷離脱が発覚、元々、ベルサイコも背筋痛で欠場が決まっていたため、右SBがトマスになると聞いた日にはもう一体、何を期待していいのやら。 ▽代わりに招集リスト外だったアウグストが中盤に入ったものの、トマス共々、序盤は何度も自陣でボールを失う始末。アポエル戦で面目躍如をしたベンゼマが、「No tengo derecho a fallar cuatro pases, uno ya puede ser un problema/ノー・テンゴ・デレッチョー・ア・ファジャール・クアトロ・パセス、(ボクにはパスを4回失敗する権利はない。1度でも問題にされかねないからね)」なんて言っていたのに比べ、何て寛容なチームだろうと苦い思いもしたものでしたが、幸い相手も鋭い攻撃を繰り出すことはできず、今季恒例の0-0でハーフタイムに入ります。でも…後半はいつもとちょっと違ったんです! ▽いえ、シメオネ監督がアウグストをコレアに、ダービーで引き分けた翌日、落ち込みもせずに彼女のベアトリスさんにプロポーズなんてしていたせいでしょうかね(https://www.instagram.com/p/BbwmNQXg_rr/?taken-by=beatrizespejel)。珍しくコケもガビにと、早々に交代カードを切ったのもグッジョブだったんですが、24分、ピッチにいたFWたちが久々に完璧な連携を見せてくれたから、ビックリしたの何のって。 ▽そう、フェルナンド・トーレスの浮き球のパスを追ったコレアがゴールラインぎりぎりからクロスを上げると、反対側にいたグリーズマンがchile(チレナ/オーバーヘッドシュート)で先制点が決まるって、我が目を疑ってしまったのはきっと、私だけではないはず。だってえ、「En los entrenamientos y en la seleccion si que entraba, pero con el Atletico no/エン・ロス・エントレナミエントス・イ・エン・ラ・セレクシオン・シー・ケ・エントラバ、ペロ・コン・エル・アトレティコ・ノー(練習や代表では入るんだけど、アトレティコではゴールにならない)」と本人も言っていた、ここ8試合無得点だったグリーズマンですよ。 ▽いくら試合前、先日のダービーではpito(ピト/ブーイング)を浴びせながら、かといって、他に頼る者のないファンが当人の応援歌を歌って励ましていてくれたとはいえ、話が出来過ぎではないかと思ったんですが、その日のアトレティコはリードした後もいつもように後退せず。それどころか、ローマのブルーノ・ペレスが2枚目のイエローカードをもらって退場した後の40分、カラスコの代わりに入っていたガメイロがグリーズマンのスルーパスを受け、GKアリソンをかわすと、角度のないところから2点目のゴールを決めるという嬉しいおまけまでつくことに。うーん、確かにフランチェスコ監督も「アトレティコの方が試合に勝ちたいというハングリー精神があった」と言っていた通りだったんですが、はあ。その気概、カラバフ戦の時に見せてくれていたらなんて、今更言っても仕方ありません。 ▽結局、そのまま2-0で勝ったアトレティコは紙一重で数字上、グループ勝ち抜けの可能性を残したんですが、何せ、その日、1位通過を決めたチェルシーにスタンフォード・ブリッジでの最終節で勝ったとしても、木曜にアディダスのイベントに出演したコケも「necesitamos que el Qarabag haga algo/ネセシタモス・ケ・エル・カラバフ・アガ・アルゴ(カラバフが何かしてくれることが必要)」と口にした後、苦笑を抑えられず。ローマがホームで最下位の決定したチームに遅れを取るとは思えませんからね。ここは腹を決めて、もう年明けは5年ぶりのEL優勝に懸けるしかない? ▽まあ、シメオネ監督も「最後の90分が終わるまで、ネガティブなことは考えない。La vida esta para pensar positivamente/ラ・ビダ・エスタ・パラ・ペンサル・ポシティバメンテ(人生はポジティブに考えるためにある)」と言っていたように、世の中にはたまに奇跡もあるため,その辺は12月5日の試合が終わるまで私も気に病まないようにしようと思いますが、やっぱり心配しない訳にはいかないのは土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのレバンテ戦。何せ、彼らの条件はお隣さんとまったく同じ、首位と勝ち点10差ですからね。ハムストリングを痛めたフアンフランはもちろん出られず、今度の右SBはヒメネスになりそうですが、さて。 ▽とにかく1度、ゴールが入り始めたら、調子の波に乗るはずという定説を今は信じたいところですが、一足早く、金曜夜にセルタ戦に挑んだレガネスはここ3連敗という流れを変えられず、イアゴ・アスパスに決められたPKゴールで1-0とまた敗戦。ヘタフェの方は月曜にエスパニョール戦となるため、その前に私も柴崎選手のリハビリがどのくらい進んだのか、偵察してこようと思いますが、来週はコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグもありますし、どこのチームも忙しくなりますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.25 11:01 Sat
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【東本貢司のFCUK!】エヴァートン“ブランド”の迷走

▽胸騒ぎがした。そのために一日“間”を取った。まさかと思ったが悪い予感は当たった。この負けはこたえる。ホーム、相手はアタランタ、むごい大敗・・・・しかも、セカンドキーパーのロブレスが早々にPKを止めたのに? 期待外れの新ストライカー、ラミレスの初ゴールが生まれたのに? そもそも、現状ではほぼベストの布陣を組んで臨んだのに? クラブをよく知る識者やファンの反応ももはや自虐の域。「かのシェイクスピアでもこんな悲劇は書く気にもなるまい。“ウィリアム”のことだ、クレイグ(前レスター監督)じゃない。いや、彼ならまだましな結果に導いていたかもな」「実に深刻な事態。溺れかけている」「正監督がいないならいないで、この際つなぎの監督を新調しないとね」・・・・つまり、怒りを通り越して苦笑も出ないといった惨状。エヴァートンは立ち直れるだろうか。 ▽近年のプレミアファンにとって「エヴァートン“ブランド”」とはいかほどの重みをもつのだろうか。ジェラール・ウリエ時代に史上めったにない「カップ・トレブル」を果たした当時のリヴァプールを指して、ある知人は「リヴァプールって結構やるじゃないですか!」とニヤつきながら驚いていたくらいである。少し遡ってみれば、リヴァプールが我が物顔にヨーロッパを席捲した時代にすぐ気が付きそうなものなのだが。いや、今の若いファンにエヴァートンの低迷を嘆いたところで、“響く”はずもないか。フットボール(サッカー)というスポーツがポピュラー化した頃からの長い歴史において、エヴァートンは5傑に列する実績を誇り、そもそもその“5強(マン・ユナイテッド、リヴァプール、アーセナル、スパーズそして“トフィーズ”ことエヴァートン)”の中では古豪度でダントツ、それに、昔からこのクラブはどこよりも国産の主力率が常にトップクラスなんですが・・・・。 ▽それでも“方向”は間違っていないはずだった。実績重視の著名外国人監督招聘の轍を踏んで、冷徹で実利主義のロナルト・クーマンに託してから何もかもが上昇気運に乗りかけているように見えた。しかも、この夏の補強では手堅さと質量でプレミア随一の成果を手にしたように・・・・見えた。が、その中身といえば・・・・絶対的得点源たるルカクを失った穴埋めに失敗した。新ミスター・エヴァートンだったはずのバークリーを全力で引き留めるかわりに曖昧な態度に終始して結局腐らせるだけのままで“放置”している。加えて、そのポスト・バークリー対策が無計画もいいところで、ルーニーの筆頭にクラーセンとシグルドソンまで獲って、ファンや識者から「ナンバー10を新規で3人も?」と首を傾げさせた。おまけに、そのせいでせっかく大成の兆しをみせていた期待の生え抜きトム・デイヴィーズを準レギュラーに格下げするもったいなさ。さて、これすべてクーマンのプラン通りだったのか。ひょっとしてインド人オーナー筋のごり押し・横槍などがなかったか? ▽例えば、アンリが抜けたあとのアーセナル、クリスティアーノが去ったあとのユナイテッドと比較してみると何かが見えてくるかもしれない。あえて言うなら、誰(と誰)が主導したにせよ、エヴァートンは“目先を焦りすぎた”ようにも見える。これは穿ちすぎかもしれないが、2、3年先の“ビッグクラブ転身”を目指すクーマンの“功の焦りすぎ”という線も。ビッグクラブ? ほう、また誰かさんみたいに「優勝候補筆頭を渡り歩いて名を残す」のが狙いだったのかな? どうやら「ビッグ」という表現の価値基準というやつが違っているのかも。ごく普通に公平に考えれば、世界最古のリーグの“チャーターメンバー”であり、以後もほぼトップリーグの地位を維持し続け、現在も(仮に低迷することが何度もあったとしても)そのステイタスを堅持しているクラブこそが、最も「ビッグ」の形容にふさわしいと思うのである。少なくとも、そういう優勝するにはまだまだ足りないものが多いチームを率いる方にこそ、指導者たる矜持と喜びを見いだせるのでは、と。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.11.25 11:00 Sat
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【倉井史也のJリーグ】優勝争いにばっかり目がいってるけど!? の巻

▽J1も残り2試合ってことで、やっぱり鹿島強いですよねってとこばっかり目がいってると思うんだけど! ここでは入れ替え戦がなくなった2009年から、どんな残留争いがあったかを調べてみましたよ。するとこんなことが! 括弧の中は勝点で、2シーズン制のところは通算の節数です。 【2009年】 32節 15位大宮(37)16位 柏 (33)17位千葉(27)18位大分(26) 33節 15位山形(38)16位 柏 (34)17位大分(29)18位千葉(27) 34節 15位山形(39)16位 柏 (34)17位大分(30)18位千葉(27) 【2010年】 32節 15位F東(35)16位神戸(32)17位京都(16)18位湘南(16) 33節 15位F東(36)16位神戸(35)17位京都(16)18位湘南(16) 34節 15位神戸(38)16位F東(36)17位京都(19)18位湘南(16) 【2011年】 32節 15位浦和(33)16位甲府(30)17位福岡(22)18位山形(21) 33節 15位浦和(36)16位甲府(33)17位福岡(22)18位山形(21) 34節 15位浦和(36)16位甲府(33)17位福岡(22)18位山形(21) 【2012年】 32節 15位神戸(39)16位G大(37)17位新潟(34)18位札幌(14) 33節 15位神戸(39)16位G大(38)17位新潟(37)18位札幌(14) 34節 15位新潟(40)16位神戸(39)17位G大(38)18位札幌(14) 【2013年】 32節 15位甲府(35)16位湘南(25)17位磐田(20)18位大分(14) 33節 15位甲府(36)16位湘南(25)17位磐田(20)18位大分(14) 34節 15位甲府(37)16位湘南(25)17位磐田(23)18位大分(14) 【2014年】 32節 15位清水(35)16位大宮(32)17位C大(31)18位徳島(13) 33節 15位清水(35)16位大宮(32)17位C大(31)18位徳島(13) 34節 15位清水(36)16位大宮(35)17位C大(31)18位徳島(14) 【2015年】 32節 15位新潟(33)16位松本(27)17位山形(24)18位清水(21) 33節 15位新潟(33)16位松本(27)17位山形(24)18位清水(24) 34節 15位新潟(34)16位松本(28)17位清水(25)18位山形(24) 【2016年】 32節 15位新潟(30)16位名古屋(30)17位湘南(21)18位福岡(19) 33節 15位新潟(30)16位名古屋(30)17位湘南(24)18位福岡(19) 34節 15位新潟(30)16位名古屋(30)17位湘南(27)18位福岡(19) ▽で、今年がどうなってるかっていうと、 【2017年】 32節 15位広島(30)16位甲府(28)17位大宮(24)18位新潟(22) ▽つまり今年は過去に比べると2009年、2011年、2015年的な激烈な残留争いがあってるわけです。特に似ている2015年は、残留ラインが勝点34。あれ? 残り2試合に甲府が勝つとピッタリ。つうことで、まだまだ広島も安心できないってデータが出たのでした。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.11.23 14:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ブラジル戦の後半とベルギー戦で指揮官が日本を褒めた理由とは

▽今週は先週に引き続き、日本代表の欧州遠征について気になったことを指摘したい。まずハリルホジッチ監督だ。これまでは、負けた試合や引き分けた試合はもちろんのこと、勝った試合であっても苦言を呈すことが多かった。 ▽ところがリールで行われたブラジル戦は、「純粋な気持ち、改善点もあるし、満足できる部分もあった。後半は1-0で、2点目、3点目のチャンスもあった。前半は残念だが、後半は満足できる部分もある試合だった」と、彼にしては珍しく褒めていた。 ▽後半のブラジルはマルセロやネイマール、ウィリアン、ジェズスといった主力を下げたため、ベストメンバーとは言い難い。それも当然で、3-0とリードしたら、W杯では次の試合に備えて体力の温存を図る。そうした“格落ち"のブラジルだからこそ、後半は日本も善戦したように見えたという報道にも、ベルギー戦の前日会見で改めて否定した。 ▽指揮官いわく、ブラジル戦の後半は「杉本、浅野の決定機もあった。それはブラジルが力を落としたからだという人もいるようだが、私は日本の後半を評価している。ブラジルの試合を何ゲームも見たが、日本のようなチャンスはアルゼンチンも作れなかった。日本を過小評価しているようだが、私には満足できるものがあった」そうだ。 ▽ここまで日本を褒めるのは、監督就任以来、初めてのことだ。そしてベルギー戦後も「ブラジルよりいい試合をした。ゲームをコントロールできたし、チャンスがありながら得点できないのは残念。いい結果を求めて戦ったので残念だった。このような結果でも、ロッカールームでは『君たちは大きなライオンを倒しそうになったのだよ』と話した」と選手を称えた。 ▽その真意はどこにあるのか。当初は、監督自身の自宅がある、いわばホームの試合で、ヒステリックな姿ではなく、寛大な姿勢を見せたかったのではないかと推測した。ブリュージュもリールからはクルマで1時間弱と、ほとんどホームと変わらない。アジアの弱小国をここまで善戦(と言えるかどうかは別にして)させたことを、アピールしたかったのかと邪推したものだ。 ▽そして、もう1つの理由もあるのではないかと考えてみた。それは、今回は選手のテストだったため、このメンバーなら「この程度が限界だろう」というものだ。今回の遠征では本田、岡崎、香川の3人はコンディションに問題があるとして招集が見送られた。これまで所属チームで出場機会を失っていながら3人を招集することに、メディアから批判の声があがっていた。 ▽それなら「彼らを外したらどんなチームになるのか、どんなサッカーができるのか」を、ハリルホジッチ監督は証明したかったのではないだろうか。3人がいれば結果が変わったとまでは言えないものの、もう少し締まった試合になったような気がする。 ▽例えば右FWの浅野は決定機を外しても笑っていたし、久保もほとんど見せ場を作れなかった。杉本も惜しいヘディングシュートがあったものの、前線で機能していたとは言い難い。もしもタメを作れる本田がいたら、あるいはガムシャラに飛び込んでいく岡崎がいたら、もう少し攻撃の形ができていたのではと思ってしまう。原口も守備では健闘したし、乾も得意のドリブル突破を披露したが、香川なら違う選択肢で攻撃の幅を広げられたのではないだろうか。 ▽キャプテンの長谷部が万全のコンディションではないため、チームリーダーとしても本田の必要性を改めて感じた欧州遠征の2試合だった。 ▽これは余談だが、元日本代表で現在はテレビ解説者を務める川勝氏は、日本の不甲斐ない戦いぶりにベルギー戦は途中で見るのを止めたという。「決定機を外しながら浅野は笑っているし、久保もミスをすると照れ笑いをしていた。杉本は試合中、髪の毛が気になるのか何度も触っていた」と憤慨する。 ▽自身が読売クラブ時代、試合前のロッカーは殺気だっていたそうだ。白い歯を見せようものなら、「カリオカ(ラモス瑠偉)や哲二さん(柱谷)に殴られた。それだけ試合に集中していた」と振り返る。そんな川勝氏にとって、試合中にヘラヘラ笑っているのは許せないのだろう。 ▽杉本はかつての教え子でもあり、「サッカーをやめてしまえ」とまで言って厳しく指導した。そんな教え子には「髪の毛が気になってプレーに集中できないなら、剃るかワックスで固めてプレーに集中しろ」と指摘する。せっかくブラジルやベルギーという列強と対戦できる機会なのに、国内で行うテストマッチと同じモチベーションで臨んでいることが許せなかったようだ。 ▽それは、もしかしたらハリルホジッチ監督も同じなのではないだろうか。怒りを通り越して呆れている。「まだまだ日本の選手は子供だな」――それが、試合後に選手を褒めた一番の理由かもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.11.23 14:00 Thu
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【Jリーグが伝えたい事】第1回:Jリーグが育んだ“忘れない”の精神とサポーターと紡いだ復興支援への想い

「笑顔、感動の涙など人の感情に寄り添えることがこの仕事のやりがいに繋がっています」──Jリーグのアジア戦略では先頭に立ち、現在は株式会社Jリーグ マーケティング専務執行役員として多忙な日々を送る山下修作氏が、仕事のやりがいを語った。Jリーグが掲げる『百年構想』を体現するキーマンである山下氏に、Jリーグが目指すもの、Jリーグが生み出してきたものについて、インタビューを進めたい。 第1回目のテーマに選んだのは、Jリーグが後援する映画『MARCH』。2011年3月11日に発生した東日本大震災による震災被害を乗り越え活躍するマーチングバンドとJリーグクラブの関わりを題材とした作品を通じてのリーグの取り組みを中心に伺った。 『MARCH』は、被災地の一つである南相馬で活動を続ける小中学生で構成される南相馬市立原町第一小学校のマーチングバンド部を中心に誕生した“Seeds+”というマーチングバンドが、震災から3年半が経過した2014年9月14日、J2の愛媛FCvsモンテディオ山形の試合に招待され、試合前のピッチで演奏を披露。この様子を中心にJクラブと“Seeds+”の関わりやクラブの復興支援のあり方、その関係性に生まれたサッカーの新たなる魅力やマーチングバンド“Seeds+”の魅力を描いたドキュメンタリー映画である。 Jリーグクラブが関わる取り組みに対し、震災当日仕事で神奈川県内にいた山下氏自身もその衝撃に驚き、そして仙台をはじめとしたJリーグ各クラブが被災したことを踏まえ、甚大な被害を与えた東日本大震災を“忘れない”ために、リーグとして後援を決定したと明かしてくれた。 「私自身も関東ではありましたがあの地震を体感し、その後何度も仙台の試合や陸前高田にも行かせていただく中で、未だ復興は道半ばと感じています」 「Jリーグとしては“忘れない”ことをキーワードに、しっかりと被災地に寄り添って募金活動など、お手伝いできることをしていこうと決めていました。この映画の後援をさせていただいたのも、“忘れない”ことの一環なのかなと思います」 山下氏は、震災当時Jリーグからの出向先で業務に従事していた。そんな中発生した東日本大震災。山下氏は、「何かできることはないか」という想いから、1枚の写真を『J’s GOAL』にアップした。 「正直、何もできないなと。しかも仙台があのような状況になっていた。唯一できたのは、その年の(ベガルタ)仙台のチームの集合写真に『頑張ろう!』というメッセージを入れ、『J's GOAL』に掲載しました。『サポーターもみんなで頑張っていきましょう』というようなことしか、写真で掲載できませんでした」[山下氏が震災当日にJ’s GOALに掲載した一枚]前代未聞の地震を体感したあの日。山下氏はすぐに被災地のJクラブであるベガルタ仙台のことを想い、チーム、サポーターのために行動を起こした。そして、その想いはしっかりと伝わっていた。 「その写真に対して全国のサポーターから『頑張ってください』などたくさんのコメントが寄せられました。それくらいしか、あの週末はできませんでした」 震災の影響で仕事のあり方や自身の生き方、日常をいかに取り戻せばいいのかという葛藤と混乱に誰もが苛まれたあの時。Jリーグで働く山下氏も、その想いは同じだった。 「(3月)15日、16日にACLがあって、セレッソ大阪とガンバ大阪がアウェイの中国で試合がありました。元々行く予定でしたが、すごく迷っていて…」 震災直後に日本で開催予定だった、名古屋グランパスvsアル・アイン、被災地の1つである鹿島アントラーズとシドニーFCのアウェイゲームは順延に。しかし、中国での2試合は予定通り開催された。中国行きを迷っていた山下氏を、ある1つの考えが現地に向かわせた。 「迷っていたのですが、こんな中でも試合が行われていて、そこで日本のJリーグのクラブが戦う。そこから伝えられることはあるんじゃないか? そう思い中国に向かいました」 山下氏の「何かできることはないか」という想いが決断させた中国行き。その想いは、再び人々の感情を動かすことになる。[中国人サポーターからの激励のメッセージ]「中国のサポーターが大弾幕で『日本と我々は常に一緒だ。がんばれニッポン』と。今まで中国の方からはACLで時として厳しいブーイングを頂いてきました。スポーツとはいえ戦う以上は敵同士。色々なことがありました。そんな中で、『大丈夫か!?』、『日本から来たのか!?』、『家族や友達は大丈夫か!?』と心配されたことは、あらゆる理屈や事情を超えてスポーツを通しての繋がりというか、応援をいただいたんだと思います」中国行きを決断したことで、得がたい体験をした山下氏。 自身の感動体験は、再び被災者へ伝えられることとなる。 「その様子を写真に撮って、『J's GOAL』に載せて、中国のサポーターも仙台のこと、日本のことを心配しているということを発信しました。それが震災から1週間くらいのことです」多くの葛藤が胸の中にありながらも、自身の想いを行動に移し、それを多くの人々に広げていくことを続けていた山下氏。その背景には、Jリーグの「自分たちが何かお役に立てるようなことがないか」という視点があった。 「自分には何ができるのだろうか。こういう時にサッカーをやっていて良いのだろうか。とすごく悩みながらも、サッカーを通じてだからこそできること、小さくても良いので何かできないかなと思っていました」 Jリーグは、復興支援の一環として『TEAM AS ONE』を結成。日本代表との復興支援試合を開催した。その裏で山下氏は、サポーターからの相談を受け、再び動き出す。 「私はそこ(『TEAM AS ONE』)には関わっていなかったので、当時関わっていた『J’s GOAL』で何かできることはあればと思っていました。サポーターから電話がかかってきて、「復興支援物資を持ち寄って仕分けして送りたいけど、どこか仕分けできる場所ありませんか」と相談があり、JFAに掛け合ってJFAハウスの一階を開放して、3月26日の土曜日にサポーター有志と集まり、一緒になって仕分けしました」[当時JFAハウス1階のバーチャルスタジアムでは支援物資の仕分け作業が行われた]Jリーグクラブのサポーターと共に、被災地への復興支援に動いた山下氏。その活動の中で、Jリーグが育み、積み重ねてきた文化の一端を感じたそうだ。 「7~800人のサポーターが何も言っていないのに応援しているチームのユニフォームを着て、支援物資を持ち寄って、段ボールにメッセージを書いていました。そこには『浦和レッズのサポーターが』ではなく『Jリーグのサポーターがあなたたちと一緒にいます』と書かれていました。みんなが『Jリーグのサポーター』という言葉を使っていて、すごく驚きというか、感動というか…。『すごいなJリーグのサポーターの人たちは』と思いました。みんなが一体となって、被災地のために役立とうという思いをリアルに体感した一日でした」「Jリーグは『百年構想』をはじめとした理念を全国に広げていく中で、明確にこの日を目指していた訳ではありません。こういう積み重ねがあったからこそ、サポーター同士が話し合って、連携して、被災地のために役立つ行動をしようとしてくれているのは、Jリーグが選手やサポーターと積み重ねてきた文化が一つの形として少し表れたのかなと思います」山下氏が体感した、Jクラブのサポーターを通じて「人の感情に寄り添えること」。それはJリーグが誕生から25年間の歳月をかけて積み重ねてきた産物だったのかもしれない。 Jリーグが後援している映画『MARCH』は、2017年5月、フランス・ニースにて開催された国際映画祭「Nice International Filmmaker Festival 2017」で外国語ドキュメンタリー最優秀監督賞を受賞した。しかし、山下氏は福島に対する被災地と世界とのギャップを感じているという。 「ギャップはすごくあるなと感じています。1つは、世界では『フクシマ』は終わったと思われている。しかし、実際には福島でJリーグの試合も行われていますし、普通に人々は生活しています。いまそこにある日常を、そこを発信していかなければいけないと思っています」 「世界に『フクシマ』を伝えていくために、映画の制作者や関わっている方が頑張って作品を出品して賞を獲っていくことはとても良いことです。そのお手伝いができればなと思っています」(C)CWS Brains,LTD.だが、山下氏がギャップを感じているのは世界とだけではなく、日本国内でも感じていると語った。 「あと、日本国内でもまだまだだなと感じています。世界で思われている『フクシマ』のギャップを埋めていくだけではなく、日本国内でもまだまだ福島の現状への理解不足と風評被害がある中で、そのギャップを埋めていくためにJリーグが何かお手伝いできないかと感じています」 山下氏が度々口にする『お手伝い』という言葉。やはり、ここにもJリーグ、そして山下氏の想いが詰まっているように感じる。「自分たちが何かお役に立てるようなことがないか」というJリーグの視点は、ファンやサポーターを含めたJリーグに関わる多くの人々へ根付いている。 「正直、あの映画があるからこそJリーグとしてもストーリー性を伝えやすいところはあります。出てくる子供たちの頑張っている姿や笑顔を見て、感じることが多く、自分も何か支援できないだろうかと感じてくれる人もいると思います」 「Jリーグとして伝えていきたいことがこの映画にも表れていたので、後援させていただいています。今Jリーグがやりたいことと、できることのギャップを埋める1つの手段として『MARCH』があるのかなと思っています」 Jリーグは、震災から5年が経とうとする2016年2月23日に『MARCH』の後援を発表。そして5年が経過した2016年3月14日に、JFAハウスにて『MARCH』の上映試写会を実施した。(C)J.LEAGUE PHOTOS[震災当時、支援物資の仕分けを行った場所で『MARCH』上映会を開催]震災当時と比べ、徐々に薄れつつある復興支援へのあり方。しかし、5年が経過して行われた試写会でも、山下氏はJリーグサポーターの行動に心を動かされた。 「後援を発表した後にJFAハウスで完成お披露目試写会をやりました。平日の夜でしたが、参加してくれたのはJの25クラブくらいのサポーターの方たちでした。ユニフォームを着て駆けつけてくれて、ソーシャルメディアでも感想を書いていただきました」 「私の中では2011年の3月にみんなで支援物資を仕分けしたのと同じ場所で試写会を実施したので、オーバーラップしたというか…。あの時もいろいろなクラブのサポーターが仕分けをして支援物資をお送りしましたが、今回は観る支援。そこから『MARCH』のグッズを購入してもらったり、募金を頂いたりもしました」 「Jリーグのサポーターは自分が応援しているクラブだけではなくて、日本全国、色々なところで役に立てることがあれば、役に立ちたいと思ってくれているんだなと感じました」(C)J.LEAGUE PHOTOS[『MARCH』に登場するSeeds+のメンバーも上映会に来場]Jリーグからサポーターに繋がる想い。山下氏は震災当時に感じた想いを、5年が経過した『MARCH』の試写会でも感じた。そんな山下氏が、『MARCH』の後援を通じて伝えたいことを改めて語ってくれた。 「1つはスポーツの素晴らしさ。あの子たちが頑張っている中で、映画の最初の方で試合を純粋な笑顔で見ているシーンがあります。応援して、ゴールが入って試合に勝って。そういうことがスポーツとしてできるという部分。また、試合前にあのように演奏できる機会があるのもスポーツの延長線上だと思います。その素晴らしさはぜひ伝えたいことです」 「もう1つは福島というところは地元の人たちが明るく暮らしているんだよと。がんばってこういう活動をしている人たちがいるんだよと伝えられればと思っています」 お伝えした『MARCH』。 このコラムをきっかけにご覧になりたい方も多いかもしれない。 しかしこの原稿執筆時点では今後の上映予定は未定とのことだ。それは、主催者側の様々な被災地への配慮や思いがあってのことだという。 「現在は、問い合わせを頂き、お話させてもらってお貸しするような制度をとっています。その都度、ご相談していただくのが『MARCH』の上映スタンスです」 多くの人々に観てもらいたい映画でありながら、広めることが難しい『MARCH』。しかし、山下氏はここでも「何かお役に立てるようなことがないか」という考えを垣間見せてくれた。 「残念ながら今は身近に観ることはできませんが、みなさんの声が集まればどこかで観られるようにしたいですね」 東北復興支援ドキュメンタリー映画『MARCH』。Jリーグサポーターには、ぜひ観ていただきたい作品であり、Jリーグの想いを感じることができる作品でもある。今後、この作品にどこかで出会うときがきっとくるはずだ。東日本大震災を“伝える”ではなく“忘れない”ためにも、その機会に出会ったときには観ていただければと思う。(了) 2017.11.22 12:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】勝って負けて引き分けた…

▽「こうも首位決戦が縁遠いものになるとは」そんな風に私が嘆いたのは月曜日。今週末の日曜にあるバレンシアvsバルサの話題でTVのスポーツニュースが盛り上がっているのを見た時のことでした。確かにこの日曜、エスパニョールに0-2と快勝したリーガ2位の前者が勝てば、1位との差はたったの勝ち点1に。退場したマルセリーノ監督はメスタジャのベンチに入れないものの、ピッチでの影響が大きいのはピケが累積警告で出場停止になる相手の方でしょうし、大体、その前にバルサは水曜のCLでユベントスとのアウェイ戦に挑まないといけませんからね。今季はヨーロッパの大会に参加していないバレンシアにとって、願ってもないチャンスかと思いますが、それにしても寂しいのは両者があまりに高みにいすぎるため、マドリッド勢にしてみれば、どっちが勝とうが、どうでもいいような状態になっていること。 ▽だって、レアル・マドリーもアトレティコも首位とは勝ち点10、2位とも6ポイントも差があるんですよ。こうなるともう、直接ライバルとも言えなくて、そりゃあ、ジダン監督もリーガは長いと言っていた通り、先々を考えると、シーズン後半戦での息切れがありそうなバレンシアより、バルサとの差が縮まった方がいいのかもしれませんけどね。ただ、現在のマドリッドの両雄の調子が続くなら、10差が7差になったって焼け石に水。この先はCLグループリーグ直接出場権のある3位争いとなるのか、後ろにつけているセビージャやビジャレアルといったチームに追いつかれないようにするのが先決なのか、何にしろ、はなはだパッとしない未来が待っていそうにない気がするのは私だけではない? ▽いえ、まずはその原因となった先週末のリーガについて、話さないといけませんね。珍しく、マドリッドの4チームが揃って試合となった土曜日は私も忙しいスケジュールをこなすことに。ええ、まず午後1時から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにアラベスを迎えるヘタフェを見に行ったんですが、こちらはメトロ(地下鉄)10番線終点Puerta de Sur(プエルタ・デ・スール)でメトロ・スールに乗り換え、Los Espartales(ロス・エスパルタレル)下車、徒歩1分と、セントロ(市内中心部)から1時間ぐらいかかるのを別にすれば、慣れた道ですから、まったく大したことはありません。 ▽実際、試合も先日のコパ・デル・レイベスト32 1stレグでは同じ相手に終盤、サントスのヘッドでゴールを奪われ、0-1で負けていたヘタフェでしたが、この日はベストメンバーを並べたのが奏功。5分から、アランバリのクロスをベルガラが頭で押し込んで先制したのを皮切りに、8分にはホルヘ・モリーナがPKを決めて追加点を挙げると、後半にはアンヘルの2ゴールで、30分を残して4点差になっていたから、デイゲームに駆けつけたファンもどんなに喜んだことか。うーん、ここまでリードすると、今季の彼らの悪い癖、ラスト10分間での失点も致命傷にはなりませんからね。その日も35分にサントスに1点を返されていたものの、4-1での勝利なら、誰も文句を言いやしませんって。 ▽え、ここリーガ4試合を2勝2分けと調子に乗ってきたヘタフェだけど、このままガンガン、行かれると、柴崎岳選手が回復してもスタメンに入るのが難しくなってしまうんじゃないかって? そうですね、ボルダラス監督も「モリーナとアンヘルは正直、上手くやっているよ。互いにわかり合っていて、チームはその成果を享受している」と言っていましたしね。アマトやポルティージョもだんだん1部の水に馴染んできたようで、おまけに11月30日のコパ2ndレグでアラベスに逆転し損ねると、年明けの試合数がめっきり減ってしまうのは辛いかと。まだ次の月曜、エスパニョール戦には間に合わなさそうな柴崎選手ですが、早く万全の状態になって、ヘタフェの更なるレベルアップに貢献できるといいのですが。 ▽そして勝利の余韻に浸ったまま、次は午後4時15分からバルサを迎えるレガネスを応援しにブタルケへ向かった私でしたが、実は同じマドリッド近郊で町同士が並んでいる弟分同士ながら、移動が便利とは言えないのが難点。いえ、車なら簡単なんですけどね。地図で事前に調べた通り、メトロ・スールで数駅引き返し、Julian Besteiro(フリアン・ベルテイロ)駅から10分程歩いてバスを捕まえたところ、運転手さんから「本当に乗るの?」と問われてしまうことに。そのオチは次の停留所で下車しても、そこから徒歩で向かっても、バスは下の道を通るため、丘の上にあるスタジアムまでは同じぐらいの道のりだったからなんですが…何でも初めてには失敗がつきものです。 ▽まあ、どちらにしても40分もあれば着くので、またヘタフェとレガネスが同じ日に試合する節があれば、マドリッド観光で訪れるサッカーファンも簡単に梯子が楽しめるということがわかったのは良かったかと。ただ、ホームのレガネスがViolencia de genero/ビオレンシア・デ・ヘネロ(異性間暴力)防止運動を後押しするため、その日は紫色のユニでプレー、対するバルサも水色の第2ユニだったため、一見、どことどこの対戦かわからず。おまけに夕日が落ちて行く時間帯だったため、逆境となる正面スタンドからは非常に見づらかったこの試合、いえ、キックオフ前のサポーターたちは大いに盛り上がっていたんですけどね。▽結果はまさに、後でガリターノ監督も「Hemos generado ocasiones, pero ahi esta la diferencia/エモス・ヘネラードー・オカシオネス、ペロ・アイー・エスタ・ラ・ディフェレンシア(ウチはチャンスを作ったが、差が出たのはそこだった)」というもので、序盤から決して首位チームに引けを取っていなかった彼らだったんですが、29分、パコ・アルカセルのシュートを弾いたGKクェジェルがこぼれたボールに反応できず。すかさずルイス・スアレスに蹴り込まれ、まさか先制点を喰らってしまうなんて一体、誰に予想できる? うーん、その日はクェジェルが大殺界だったのか、60分にもまたしてもアルカセルのシュートを弾いたところ、スアレスに決められてしまっていましたけどね。逆にアムラバトやエル・ザールが撃ってもGKテル・シュテーゲンに止められてしまうのでは、「Ellos con nada nos hicieron los goles/エジョス・コン・ナーダ・ノス・イシエロン・ロス・ゴーレス(彼らは何でもないところからゴールを挙げた)」(エル・ザール)と、レガネスの選手たちが嘆いていたのも仕方なかったかと。▽最後は90分、ゴール右脇で地面に倒れたメッシが押し出したボールをパウリーニョが決め、0-3でバルサが勝ったんですが、これにはバルベルデ監督も「このスコアはちょっと大袈裟だね。ウチは決定力が高くて相手は違った」と苦笑。それでも「Le reconozco al Leganes el esfuerzo que ha hecho/レ・レコノスコ・アル・レガネス・エル・エスフエルソ・ケ・ア・エッチョー(レガネスのやった努力は認めるよ)」と言ってくれていたため、ホームチームはかなり頑張ったんだと思いますが、「La diferencia en Primera son las areas/ラ・ディフェレンシア・エン・プリメーラ・ソン・ラス・アレアス(1部での差はエリア内での違い)」(ガリターノ監督)というのも事実ですからね。このセビージャ、バレンシアと続く強豪3連戦、全敗したのを見てもわかるように、こればっかりはお金のないレガネスにはどうしようもない? ▽でも大丈夫、上位候補チームには敵わなくても数時間前、降格圏のアラベスに快勝したヘタフェのように下位の相手から着実に勝ち点を奪っていけば、シーズン序盤は強敵続きで苦労していた弟分の同僚だって、今ではヨーロッパリーグ出場圏の6位にあと5ポイント。いきなりユーロ・ヘタ復活の期待を懸けられ、ボルダラス監督が「Europa? Eso da mucho vertigo/ヨーロッパ?エソー・ダ・ムーチョ・ベルティーゴ(そんなのは凄い眩暈を感じるよ)」と言っていたように、巡りあわせ次第ですからね。いつの間にやら、勝ち点差1で10位のヘタフェと1つ違いの9位になってしまったレガネスもこの金曜のセルタ戦から、白星を稼いでいってくれればいいですよ。 ▽そして土曜のクライマックスはもちろんマドリーダービーで、何せワンダ・メトロポリターノへはマドリッド南部から東部への大移動とあって、今度は私も速度を重視してセルカニアス(国鉄近郊路線)を選択。ええ、幾つか経路はあるんですが、まずはブタルケの最寄駅、Zaraquemada(サラケマダ)からC5線でAtocha(アトーチャ)駅へ。C2もしくはC7線に乗り換えて、Coslada(コスラダ)駅で降りた後、メトロで2駅なんですが、まさかそこまで来て券売機前に長蛇の列ができているとは! うーん、丁度今、メトロが紙の切符を廃止して、カード(金額のデポジットではなく、買った切符が記憶される)に切り替えている最中なため、マドリッド住民でさえ、勝手がよくわからず、駅員のアドバイスを受けないと切符が買えない状態なのも困ったもんなんですけどね。 ▽幸い私は手持ちのセントロとメトロ・スール乗り継ぎ回数券がここでも使えたため、並ばずに済んだんですが、この現象はワンダやサンティゴ・ベルナベウで試合が終わった後にメトロに乗る時も同じ。よって、試合観戦の際は着いた時に帰りの切符も買っておくことをつとにお勧めしますが、まあ、順調に行けばレガネスーワンダ間はヘタフェーワンダ間同様、1時間半というところでしょうか。次の時間帯に1試合が入る場合はこちらも十分、梯子が可能ということがわかりましたが、すでにバルサの勝利で勝ち点差が12に開いていたのを知っていた3位、4位で並ぶマドリッドの兄貴分、どちらが最悪の状態を回避できたかというと…。 ▽双方共倒れだったんですよ。いやあ、新スタジアムで最初のダービーを迎えたアトレティコはコケが先発に戻ったこともあり、開始から積極的にプレーしていたんですけどね。3分に誰もが「ゴール!」と叫びかけたシュートをコレアが外した後も気落ちせず、「En los 25-30 minutos se vio el equipo que somos/エン・ロス・ベインティシンコ・トレインタ・ミヌートス・セ・ビオ・エル・エキポ・ケ・ソモス(25~30分までウチがどういうチームか見せた)」(シメオネ監督)という状態を維持していたんですが、徐々に相手に主導権を奪われてしまうことに。それでもサビッチがクロースの足首を踏むようなタックルをしても、セットプレーでリュカが頭で合わせようとしてきたセルヒオ・ラモスの顔面を蹴ってしまっても、誰もレッドカードで退場させられることはなく、アトレティコはいつもの0-0でハーフタイムを迎えます。 ▽後半もラモスがナチョに交代したものの、マドリーの優位は揺るがず、もういつ点を取られるか、取られるかと、私など、生きた心地もしなかったんですが、どうやら今季は両チーム共、「falta de gol/ファルタ・デ・ゴル(ゴール不足)」に苦しんでいるせいですかね。加えて、「falta de futbol/ファルタ・デ・フトボル(サッカー力不足)」もあるアトレティコから、グリーズマンが完璧に消えていたのに歩調を合わしてくれたのか、いえ、マドリーにもチャンスはあったんですけどね。前半にはモドリッチのパスで1人抜け出しながら、何とフアンフランに先回りされてしまったクリスティーノ・ロナウドが得意のFKもGKオブラクに弾かれるわ、ゴディンやサビッチ、とりわけフィリペ・ルイスの代わりに抜擢されたリュカの奮闘に阻まれるわで、ゴールを決めることができず。 ▽75分にはシメオネ監督もグリーズマンとコレアを見限り、フェルナンド・トーレスとガメイロを投入。後者のvaselina(バセリーナ/ループシュート)がゴール前でバヴァランにクリアされてしまったのは残念でしたが、ベンゼマをアセンシオに代えた後、あちらのベンチにはルーカス・バスケスやセバジョスら、アタッカーがまだ残っていたにも関わらず、ジダン監督が3人目の選手を入れなかったのもアトレティコにはラッキーだったのでしょう。後でマルセロが「Tres o cuatro penaltis, yo que se/トレス・オ・クアトロ・ペナルティス、ジョ・ケ・セ(3つか4つのペナルティがあったかもしれないけど、ボクは知らないよ)」と言っていたように、エリア内でのハンドなども審判の注意を引くことなく、93分の奇跡の男、ラモスもピッチにいなかったため、結局、どちらもネットを揺らせないまま、試合は0-0で終了です。 ▽おかげで両者共、首位との差が絶望的に開いてしまったんですが、何せまだマドリーにはCLの希望が残っていますからね。ええ、この火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアポエル戦に勝てば、彼らはグループ突破が決定。「Volveria a sangrar una y mil veces mas por este escudo y esta camiseta/ボルベリア・ア・サングラール・ウナ・イ・ミル・ベセス・マス・ポル・エステ・エスクード・イ・エスタ・カミセタ(この紋章とユニフォームにためなら、1000回でも血を流す)」と試合後のツィッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/932253732284321798)では威勢が良かったものの、鼻骨を折ったラモス、リハビリ中のGKナバス、ベイル、コバチッチがまだ出られないとはいえ、ここまでリーガでシュートを55回撃ちながら、1得点しかしていないロナウドもCLでは4試合6得点と好調なので、ほとんど問題はないかと。▽一方、ダービー後の質問が交代の時、スタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛んだグリーズマンのことに集中していたアトレティコは、いえ、サウールやコケ、フアンフランら、チームメートたちは皆、当人を庇っていたんですけどね。この水曜のCLローマ戦で勝たないとグループ敗退してしまうんですよ。しかも最終節に希望を残すには、アゼルバイジャンのカラバフがチェルシーのホームで負けないことを祈るしかないという藁をも掴む状況となれば、誰もがCL話題を避けているのも当然だったかと。いえ、とりあえず、3位で来年ELに回るためにも自身が勝ち点を稼いでおくのにこしたことはないんですけどね。シメオネ監督は「trabajo, trabajo, trabajo y despues talento/トラバッホ・イ・デスプエス・タレント(まず努力、努力、努力、才能はその次)」と信念を失っていなかったものの、とにかくゴールが入らないと良くて引き分けにしかならないのは悲しいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.21 12:00 Tue
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【東本貢司のFCUK!】夢のハイパーヤングライオンズ

▽私事ながらゆえあってしばらく“休養”をいただくことになり、気が付けばかなり時間が経ってしまった。その間、プレミア新シーズンが始まった。ひとしきりここまでの成績や戦いぶりを振り返ってそれなりに評価の要素を引き出すのは吝かではないが、やはりまだたかだか11試合の消化、ひと波乱もふた波乱もあってしかるべきだ。例えば、とりあえず一騎抜け出した感のあるマンチェスター・シティーについて、「今後の展開有利」「独走気配」と、誰でもできそうな解説をするだけでは能がない。スポーツを「結果」のみで語るべきではない。ダイジェストのニューズ映像やポストマッチ・インタビュー、勿体付けた解説などは、あくまでも“サシミのツマ”いやそれ以下にどどめておきたい。肝心かなめは目の前のゲームそのもの。無論、ビッグチームがそこに絡む必要性などさらさらない。 ▽それに、今気になるのはどうしても「代表チーム」だ。本大会出場32チームが出そろい、来月のグループリーグ組合せ抽選の結果から吹き出す「あーだこーだ」の“井戸端会議”にこそむしろそそられる。意地悪な言い方をすれば、そこでいわゆる「事情通」の濃淡がわかってくる。有体に言うなら、参加32チームすべての「今」を熟知している御仁がこの世界にいるとはとても思えない。ならば、よく知らないなりにあえて思い切り“絵空事”を交えてストーリー(の断片でも可)を構築できる“話し上手”を見つけ出したい。知ったかぶりのオーソリティー気取りの話が一番つまらないし“残らない”。ちなみに、筆者はよく言ってヨーロッパの「半数」も語れそうにないが、それでも請われたら、前回、前々回の「印象、思い出、雑多なエピソード、体験話」をふんだんに盛り込んで、虚々実々に聞き手をけむに巻いて“楽しみたい”。ワールドカップというお祭りにはそれが一番お似合いではないか。目当ては実際の「鬼が出るか蛇が出るか」のゲームなのだから。 ▽そのうえで、少しばかり“自慢げに”ご存知スリーライオンズことイングランド代表チームについての“事前情報”を、思いつくままに並べ立ててみよう。実はこれが、かつてないほどに一味も二味を違うのである(少なくとも今回は)。世界の最新フットボール事情に知悉している方なら当然「釈迦に説法」だろうが、イングランド代表はこの夏に順次行われた「ワールドカップ・U20」および「同U17」を制した。どこかピンとこないかもしれないからもう一度言う。「20歳以下」と「17歳以下」のワールドカップで、ヤングスリーライオンズは現在世界の頂点に立って「最強を証明」したばかりなのだ。それがどうしたって? そう、確かに彼らがどんなに強かろうが、そっくりそのまま来年夏のロシアをプレーするわけでもないし、仮にそうしたところで他国代表のシニア世代に敵うわけでもあるまいに? 確かに。通常、アンダーエイジ代表はシニア代表とほとんどリンクしない。 ▽つまり、ひょっとしたら一人や二人、10代の“精鋭”がシニア代表に招集されることもある。ただし、彼らが実戦に起用されることはほとんどないし、よもや主力と見なされることもめったにない。ところが今回のイングランド代表に限ってはその「まさか」が現実になるかもしれないのだ。夏以降、監督ギャレス・サウスゲイトはワールドカップ本大会出場が確定したあとの代表戦で、U20代表のエースたちをまるで当然のように使ってそれなりの手ごたえを得たという。折しも“シンボル”のルーニーが代表引退を表明、しかもそれ以前からケイン、アリ、ダイアー、ラシュフォード、ストーンズらは事実上“レギュラーに定着”していた。そこへ、ウィンクス、ピックフォード、ロフタス=チークらをはじめ、国際的にどころかプレミア通の間でさえ無名同然のソランキー、カルヴァート=ルーウィン、クック、エイブラハム、ガンらを続々とシニアに組み入れ、実際に彼らの大半を対ブラジル、ドイツのフレンドリーに投入し、しかも本番での起用も示唆している・・・・。 ▽是非、以上の面々の年齢を資料などで確かめていただきたい。そして想定フォーメーションに当てはめたうえで「平均年齢」を出してみる。たぶん「22歳」前後に収まるはずだ。可能性は五分五分としても、ケインら現役組をベースとすると“夢”が叶う余地は十分にある。もちろん、彼らに経験を積ませるためではない、勝つためにだ。そしてそれすら、すなわち、20歳そこそこで固めた前代未聞の若い代表チームが栄冠に手が届くことも決して夢ではない、という手ごたえと自信を秘めて。先日、マンチェスター・ユナイテッドの監督ジョゼ・モウリーニョがあるインタビューでドキッとするような、こんなコメントをさりげなく述べていた。「(ロシアでの)イングランドの優勝、うん、あるかもしれない」それはほんのジョゼ流リップサービスに過ぎなかったのかもしれない。しかし、もしも彼がサウスゲイトの“野望”にそそられ、なにげなく“後押し”したくなる気になり始めているとしたら・・・・。この件はいずれ改めて突っ込んで触れよう。無性にわくわくしてきた。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.11.19 13:00 Sun
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【戸田和幸のプレミア・アナリシス】戸田氏がノースロンドン・ダービーを展望「スパーズ有利だと思う」

▽現役時代に日本代表として2002年の日韓ワールドカップに出場し、現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏。超ワールドサッカーでは11月より定期的に、戸田氏にプレミアリーグについて存分に語ってもらう。 ▽第2回の今回は、18日に行われるプレミアリーグ第12節、アーセナルvsトッテナムのノースロンドン・ダービーを展望してもらった。リーグ戦における直近3シーズンのリーグ戦ではトッテナムが2勝4分け負けなしと結果を残している状況。両者の力関係は、アーセナルが常に優位を保っていたが、昨シーズンはトッテナムが22年ぶりにライバルよりも上の順位でフィニッシュした。 ▽アーセナルにとってはエミレーツ・スタジアムで是が非でも勝利が欲しい一戦だが、現役時代の2003年にトッテナムに在籍していた戸田氏は、今回の一戦について、「スパーズが有利だと思う」との見解を示した。(※データはインタビュー実施時の10月31日現在のもの) ──ファンやクラブにとってノースロンドン・ダービーと他の試合との違いは何でしょうか? 「選手としてピッチに立つ事は叶わなかったですがノースロンドン・ダービーは特別な感じはあります。昨シーズンはスポナビライブさんのお仕事で最後のノースロンドン・ダービーを現地で観させてもらいましたが、ひときわテンションが高くこの試合だけは絶対に負けたくないという感じが特にスパーズ側にありましたね」 「両チームの歴史を振り返ってみると常にアーセナルが1歩2歩リードしてきたと思いますが、昨シーズンようやくスパーズが追いつきひっくり返す事に成功しました。力関係でいうと既にスパーズの方が若干上回りつつありますが長くライバル関係を続けてきた中ここにきてスパーズが遂に前に出る格好になりました。そういった両クラブの力関係が変わりつつある分岐点を迎えているという意味でも見ている方にとっては非常に興味深い試合ですよね」 「技術面だけでなくアスリートとしての能力が高い選手を多く揃え戦術的にも進歩を続けているのがスパーズ。対してアーセナルは1流の選手達がそれぞれの技術とアイデアを駆使した魅力的なサッカーを見せてきていますが、昨シーズンホワイトハートレーンで行われた上最後のノースロンドンダービーではその上手さを完全に消され完敗を喫しました」 ──3バックと4バックを併用しているスパーズですが、今回のアーセナル戦ではどのようなフォーメーションで臨むでしょうか?Getty Images「アーセナルの前線が3枚(おそらくはラカゼット・サンチェス・エジル)なので、スパーズは3バックで行くのではないでしょうか。1トップ2シャドーに加え両ウィングバックも攻撃に加わるアーセナルに対しマークをはっきりさせる為に3バックを採用するのではないかと思います。そのスパーズの守備に対しアーセナルは何ができるのか、という構図になっていくと思います」 「中盤のセンターに関して、アーセナルはライバルチームに比べると若干弱いという考えです。特にジャカのところは配球役としての働きを求められていると思いますがまだ物足りないと思います。前所属クラブやスイス代表ではもっと主導権を握ってプレーしてきた選手ですし特に視野の広さを生かしたミドルからロングの展開、シュートが一番の特徴ですがアーセナルに加入して以降の彼を見ているとまだ自分の能力を発揮しきれていない感じがあります。またパートナーのラムジーが積極的に前に出ていくのでその動きが前線の流動性に繋がると守る方は非常に難しくなってきますが、身体的にも非常に優れ尚且つ組織としても進化を続けている今のスパーズに対してどれだけ効果的な攻撃を見せる事が出来るかとても興味深い1戦になると思います」 ──スパーズは基本的な闘い方として採用していた組織的なハイプレスに加え今シーズンはカウンターを軸にする新たな闘い方も披露していますが、この試合ではどちらを採用すると思いますか? 「新しい闘い方を手にする事が出来たスパーズはリヴァプールや昨シーズンの欧州王者であるレアルマドリードを粉砕し新たなステージに入った感があります。今のスパーズは相手との力関係や試合状況に於いて柔軟な闘い方が出来るようになりましたが対アーセナルというところで考えると若干構える可能性はありますよね。しっかりと背後のスペースを消したところで構えて強いプレスで奪ったところからの一気のカウンターで仕留める。もちろんハイプレスもポゼッションも出来るチームなのでその全てを駆使して試合を有利に運ぼうとするのは間違いありませんがよりゴールに近いスペースを消された方がアーセナルは困るのではないかと思います」 「ただアーセナルにはジルーが出場しない限り高さがありませんし基本的に一発で背後を狙ってくるチームではないので、積極的に敵陣にてハイプレスを行っても面白いとは思います。やはりレベルが高くなればなるほど、ほんのわずかなディテールの部分で勝負は決しますしたった1回のミスが失点に繋がってしまうので相手のミスを誘発するような駆け引きも重要になってくると思います」 「スパーズはそういう意味では守備からも試合に入る事が出来るのでボールを持たなくても主導権を握る事が可能ですから技術的なミスからピンチを招くというような事が起こりにくいチームにもなっています。マンチェスター・ユナイテッド戦では守備面でのミスがあり敗れてしまいましたが、あのようなロングボールから高さを使った最終ライン裏への抜け出しといった攻撃はアーセナルはしてこないと思いますしスパーズも再び同じようなミスはしないと思います」 「怪我をしていたケインも戻ってきて前線は万全の状態に戻り、ここにローズが入ってくると更に対人の強さとスピードとパワーが加わる。右サイドのオーリエも素晴らしい強さと速さがありますね。両サイドの攻防、ベジェリン対ローズもしくはデイビス、オーリエ対コラシナツのぶつかり合いも面白そうです」 「アーセナルの3バックではコシエルニー、ムスタフィ、モンレアルが揃うと非常に安定すると思いますが、1枚欠けると途端に(脆くなる)というところはあります。選手層という視点で見てみると若干スパーズの方が上回っているというところもありますね」 ──注目選手はいますか? 「注目選手は僕の場合、基本的には常に全員です。常にフラットな視点で試合を眺め戦術・戦略面を把握しながら個々の役割とパフォーマンスを見ていきます。(ケインがノースロンドン・ダービー5戦連発中ですが)放っておいても当然ケインは注目の選手ですからね。そんな事は言うまでもないことです(笑)。アーセナルにもサンチェスもエジルもラカゼットといったインターナショナルレベルの素晴らしい選手が揃っていますがそれもまたわざわざ言わずともみんな注目しますからね」 「サッカーを見るうえで一つのポイントを挙げるとすると皆さんが注目している彼らが、『どのような局面で活躍できるか』という事が重要になります。ですので我々伝える側からするとただ注目する選手の名前を出すだけじゃなくて、彼らがプレイする為のベースとなるチーム戦術・戦略面というところをしっかりと見て伝えていくようにしてかなければいけないと思います」 「要は重要な選手達が如何にして『ゴールの近くで仕事ができるのか』という話ですから。そういう意味では入ってこられそうなスペースを埋めてしまうとか中央のエリアは使わせず狭いサイドに追い出して意図的にボールを奪うといった戦術的な集団行動はスパーズの方が得意としていると思うので、そうなるとアーセナルはその強固なスパーズの守備に対し如何にして『中に入っていけるのか』という闘いになると思います」 ──面白そうなマッチアップはありますか? 「オーリエとコラシナツのところと、ローズとベジェリンの両サイドのところですかね。ここは面白いんじゃないですか。あとはアーセナルの前線の3枚とスパーズの3バックですかね」 「中盤ではアーセナルがセントラルMFの2枚をどのように使うか。他のエリアがほぼマッチアップすることになるので中盤中央のところがある意味(勝負の)分け目にもなりそうな気がしますがスパーズは3枚いてアーセナルは2枚。そのあたりを監督がどのように考えるかというところですね」 「アーセナルはセカンドトップの2人が中盤に降りてきてゲームメークも助けると思いますが、とはいってもそのポジションの仕事は基本的にはそのポジションで起用されている選手が行う事になるのでアーセナルは中盤の底のジャカとラムジーの2人がどこまで頑張れるかが非常に重要になります。基本的に闘争心を剥き出しにしてファイトするようなチームではないはずですが、スパーズに対しては十分にファイトしつつ正確な技術とコンビネーションを発揮していかないと難しい試合になると思います」 ──スパーズではイングランド代表にも招集されているMFハリー・ウィンクスが評価を高めていますね。Getty Images「そうですね。ケガ人などが(台頭する)キッカケにはなったんでしょうが、ワニャマがいてデンベレがいて、エリック・ダイアーといったフィジカルモンスターが揃った中でのここ最近の起用ですから監督の期待の高さが良く分かります。では上に挙げた選手達とウィンクスの何が違うのかというと、彼の方がシンプルにボールを動かせますし中盤でテンポを出せますよね」 「おそらくは身体が小さい事が一つのきっかけなんだとは思いますが、ワニャマとかデンベレぐらい大きな選手だと相手が来ても気にせずボールをもつ事が出来ます。特にデンベレは独特の持ち方でボールを運ぶ事が出来る稀有な選手です。中盤で相手を剥がしてドリブルで運ぶということは実はとても重要な要素ではあるんですがそれが時に流れを遅くしてしまう事もあります。ウィンクスは体の小ささをしっかりと補えるだけの知性を兼ね備えているのでボールをシンプルに速く動かすことができます。それが最近のスパーズの中盤がスムースにテンポを出せているところに繋がっていると思います」 「代表デビューも果たしましたがその試合での評価も高くそういう意味では今1番伸びる時期だと思います。そして彼を継続して使っているのを見るとポチェッティーノ監督もウィンクスのような選手が好きなんでしょうしまた「知性」という新たな要素がチームに加わり闘い方の幅が広がったのは間違いありません」 「ソン・フンミンも加入当初からよく働いていましたが昨シーズンは明確にゴールやアシストといった結果を残せるようになりました。最近は主に2トップ気味にしていますがリヴァプール戦のようにある程度引いて構えたところからカウンターを狙っていくのであればソン・フンミンみたいな選手がいた方がいい。それは試合によって分けていくんじゃないですかね」 ──今回のノースロンドン・ダービーの試合展開を予想することは可能でしょうか?Getty Images「ダービーというものはライバル意識がむき出しになるのでそれまでのシーズンでの戦いぶりが必ずしも反映されないワンマッチ的な部分があります。ただそうは言っても今のスパーズは守ろうと思えば守れるし、エリクセンやデレ・アリがいる分柔軟性もある。中盤で色んなこともできるし、カウンターもできる。どんな局面にも適したサッカーができるようになっているのがスパーズです」 「一方アーセナルの方はやはり二人のビッグプレイヤー、エジルとサンチェスの調子次第というところでしょうか。昨シーズンの闘いに於いてもこの二人が消されてしまいアーセナルは完敗しましたから当然スパーズは今回も彼らを消すという事を考えてくると思います」 「今季加入をしたラカゼットはトータルバランスに優れたレベルの高いストライカーですが1人で全て解決できるようなスーパーな選手ではなく連係の中で人を使い自分も生かされるという事に優れているストライカーです。ですからロングボールを収めて自分でターンして強引に決めるといったタイプではないので如何にエジルとサンチェスとのコンビネーションを見せる事が出来るかがアーセナルにとっては重要になりますし機を見たラムジーの攻撃参加もスパーズ守備陣に「穴」を作る為に欠かせないと思います」 注目のノースロンドンダービーを戸田さんが解説!スポナビライブはこちら 2017.11.18 21:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】どちらも崖っぷちだった…

▽「そっか、勝ち点は同じなんだっけ」。そんな風に私が思い出していたのは金曜日、今節はマドリッドの4チームが全て土曜にプレー、しかも最後を飾るのがワンダ・メトロポリターノで初となるマドリーダービーというビッグデーを前に順位表を確認していた時のことでした。いやあ、この代表戦週間、スペインは親善試合だけだったとはいうものの、さすがparon(パロン/リーガの停止期間)で2週間も空くと、前節の出来事も遥か記憶の彼方へ。 ▽そこでスポーツ紙の各クラブ試合結果ページをチラ見して、そういえば、アトレティコは2試合連続のトマスのゴールで辛くも引き分けを逃れ、0-1でデポルティボに勝ったんだっけとか、レアル・マドリーは3-0とラス・パルマスに快勝したものの、待望のクリスチアーノ・ロナウドの今季リーガ2得点目は出なかったんだっけとか、おさらいしていたんですが、よく見ると、首位バルサとの差はどちらも勝ち点8。つまり双方共、すでに逆転がかなり難しい状況の中、このダービーで負けて、差が11ポイントに広がった暁にはシーズン3分の1経過時点で優勝戦線脱落どころか、今季は優勝絶望という扱いをされる悲しい未来が待っているってことじゃないですか。 ▽まあ、その辺はまた後で語っていきますが、とりあえず、スペイン代表今年最後となったロシアとの親善試合がどうだったのか報告しておくことにすると。先週土曜のコスタリカ戦ではかつての黄金時代を彷彿させるポゼッションサッカーを披露して、5-0と大勝。W杯に向けて、ファンの期待を高めてくれた彼らだったんですが、サンクトペテルスブルクでのこのロシア戦はかなり異なった展開に。いえ、開始9分でアセンシオ(マドリー)のクロスをジョルディ・アルバ(バルサ)がヘッドで決め、35分にも怪しいハンドでペナルティの判定をゲット。キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)が「Hoy es cumpleanos de mi hijo/オイ・エス・クンプレアーニョス・デ・ミ・イホ(今日はボクの息子の誕生日なんだ)」という、かなり個人的な理由でPKキッカーをイニエスタ(バルサ)に譲ってもらい、それが無事に決まったため、リードも2点に広がったんですけどね。 ▽そこに加え、相手がW杯開催国として、この1年間、公式戦をしていないロシアだったせいもあって、気が緩んだんでしょうか。41分にはピケ(バルサ)を切り返してスモロフ(クラスノダール)が放ったシュートで1点差に迫られてしまいます。更に「Cuando perdemos el control no nos sentimos comodos/クアンドー・ペルデモス・エル・コントロル・ノー・ノス・センティモス・コモドス(試合のコントロールを失い、ウチは落ち着かなく感じた)」(ロペテギ監督)スペインは、前半のうちに同点にされてもおかしくない程、攻められていたんですが、それが現実になったのは後半間もなくのこと。ええ、エリア内左奥からジルコフ(ゼニト)が出したボールがナチョ(マドリー)に当たり、ゴール前からミランチュク(ロコモティフ・モスクワ)に押し込まれてしまうとは、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)もとんだ外れクジを引かされたもんですよ。 ▽ただその2分後、今度はセットプレー時にラモスを倒したとして、普通は見過ごされるペナルティをもらえたため、再び当人がPKを決めて、2-3とまたリードしたスペインだったんですけどね。イスコが打撲で代表を離脱、シルバ(マンチェスター・シティ)も後半途中に投入という事情もあり、コスタリカ戦のような優位性を見せられなかった彼らはそれ以降、追加点を奪うことができず。実際、守備の方もロペテギ監督がCB3人制とか、慣れないことを試してみたせいで、選手たちも混乱したんでしょうかね。 ▽25分にスモロフがエリア前から自身2ゴール目を入れて、ロシアに再度同点にされた後は、最後のチャンスもロスタイムにロドリゴ(バレンシア)がGKルネフ(ゼニト)と衝突して、頭を打った相手が担架退場。交代枠がもうなかったため、急遽、グローブをはめたMFグルシャコフ(スパルタク・モスクワ)が活躍する時間もなく、終了の笛が鳴ることに。何せ、せっかく盛り上がりかけていたスペイン代表ですからね。3-3の引き分けは大いに不満の残る結果。それでもロペテギ監督などは、「ウチはW杯にグループ首位として出場を決めた。イタリアやチリが出られないんだから、la nota es alta/ラ・ノタ・エス・アルタ(高成績と言っていいよ)」と就任以来、1敗もしていないこの予選の道のりを評価していましたけどね。 ▽とはいえ、彼らが3点も取られたのは、それこそ2014年W杯ブラジル大会グループ初戦のオランダ戦で1-5と負けて以来だそうですから、やっぱりかつての強さを取り戻した気になるのはまだ早い? 12月1日にはいよいよ、本大会グループリーグ組み合わせ抽選もありますし、ほぼ18~19人は決まったと言われているW杯用招集メンバーも、残りの席を懸けて争っている選手たちもこの先、しっかり精進を続けて、来年6月には最高のチームでロシアに乗り込めるといいのですが…。 ▽そして話をリーガに戻すと、実は今週は天気も良かったため、マドリッドのチームの練習見学にせっせと足を運んでいた私だったんですけどね。まずは火曜、今節はバルサをホームのブタルケに迎えるとあって、兄貴分の期待を一身に背負っているレガネスを偵察。ロッカールームやジムなどがある新しいクラブハウス前にオープンしたインスタラシオン・デポルティボ・ブタルケの新グラウンドは、以前のように四方から丸見えでは訳ではないものの、ファン見学用のスペースもちゃんと用意されていました。丁度、モロッコがW杯出場を決めた後だったのもあって、国旗を持ってアムラバットの応援に来ていた男性などもいましたが、ちょっと厄介なのはまだ施設で工事が続いているせいで、よく出入り口が変わることでしょうか。 ▽ちなみにこの土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバルサ戦、1つ嬉しいニュースがあって、昨季は1部昇格後のホーム2試合目というタイミングだったため、チケットが早くに完売していたのが今回、試合当日午前10時から600枚が売り出されるということ。値段は50~80ユーロ(約7000~1万円)だそうですが、マドリッドにいるものの、ダービーのチケットが手に入らなかったというファンにはお勧めかも。エスタディオ・ブタルケへはアトーチャ駅から、セルカニアス(国鉄近郊路線)C5でZaraquemada(サラケマダ)駅下車して徒歩20分、もしくはメトロ(地下鉄)5号線のAluche(アルーチェ)駅から、482、491、492、493番のバスに乗って、セントロ(市内中央)から1時間ぐらいで行けますよ。 ▽え、でも相手はメッシがアルゼンチン代表から早帰り、今季無敗の首位だけにマドリッドの弟分チームには難しい相手なんじゃないかって? うーん、確かにガリターノ監督も「去年は前方でプレスをかけるという思い切った策を試して、1-5で負けた。Si vamos con la intencion de disfrutar nos meteran cinco o seis/シー・バモス・コン・ラ・インテンシオン・デ・ディスフルタール・ノス・メテラン・シンコ・オ・セイス(ウチが試合を楽しもうという気持ちで挑めば、5、6点取られるだろう)」と言っていましたけどね。ここ2試合、セビージャに2-1、バレンシアに3-0と上位チームにはとても歯が立たないことも判明してしまったんですが、このバルサ戦で彼らはホームながら、Violencia de genero/ビオレンシア・デ・ヘネロ(異性間暴力)撲滅運動に賛同する紫色の第2ユニフォームを着てプレー。せっかく社会の意識改革に貢献するんですから、ここは何とか、意地を見せてくれることを祈るばかりでしょうか。 ▽そして水曜はアトレティコの夕方練習を見学にマハダオンダ(マドリッド近郊)に行った私ですが、何せあそこはお隣さん同様、ファンが入れる一般公開練習がない上、マスコミも開始から15分しか見られないという徹底ぶりですからね。運良く下のグラウンドでのセッションならば、敷地の外から覗くという手が使えるんですが、ミニスタジアムだとアップで参加選手の顔を確認するぐらいがせいぜい。それだけにモンクロア(市内のバスターミナル駅)から653、654、655番のバスに払う運賃がもったいない気もしないではないんですが、そんな日の私の楽しみは施設のすぐ横にあるカフェテリア、アトゥエルでお茶をすること。 ▽こちら、最近はあまりないんですが、以前はアグエロやコケなどにも店内で遭遇。小腹が空けばサアンドイッチやキッシェなども食べられますし、ケーキ類も充実しているのがウリです。午前11時とかの昼間のセッションであれば、テラスに陣取って、真向かいにある駐車場出口を見張りながら、練習を終えて車で出て来る選手たちを待つにもいい位置かと。ビールの方が嬉しい人には横にバル(スペインの喫茶店兼バー)、ラ・ラソンもありますし、このブロック、裏側もハンバーガーや食事の取れるレストランが鈴なり。ただし、たまにシメオネ監督も姿を見せるデ・マリア(アルゼンチン風肉料理店)も含め、スペインでは午後1時半を過ぎないとキッチンが開かないことが多いため、ランチするなら選手たちのサインをゲットした後の方がいいかもしれませんね。 ▽続いて木曜には土曜午後1時からアラベを迎えるヘタフェを覗きに行ったんですが、通常の午前10時半の開始時間、グラウンドにトップチームの姿はなし。30分程、Bチームの練習を眺めていたところ、ようやく用具係のスタッフが現れたため、訊いてみると、ビデオセッションをコリセウム・アルフォンソ・ペレスでやっていて、開始が1時間程遅れているのだとか。まあ、そんなこともありますが、ラッキーだったのはおかげで日本での治療を終え、負傷後、初めてグラウンドに降りて来る柴崎岳選手に会えたこと。うーん、その日はサッカー・バレーがメインの軽いメニューながら、まだグループには加われず、当人はコーチと2人でずっとリハビリだったんですけどね。 ▽金曜に記者会見したボルダラス監督も「練習はしているが、特別な中敷きが届くのを待っていてサッカーシューズが履けない。復帰までの時間も正確にはわからないし、todavia es pronto/トダビア・エス・プロントー(まだ早いよ)」と言っていたため、今週末の試合に出ないことは確かなんですが、練習姿だけでも見たいファンには朗報かと。こちらはレガネスと違い、メトロ・スールのLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅から徒歩1分にあるスタジアムの右脇の道を下りて行くだけで施設に着けるため、マドリッド観光ついでに訪問するハードルが低いのがいいところでしょうか。 ▽え、それでダービー直前情報はどうなっているのかって? いやあ、まず戦力から言うと、アトレティコはコケ、カラスコ、そしてフィリペ・ルイスにも全快通知が出て、ケガ人が皆無に。ただ、木曜にはシメオネ監督が11人だけを集めてビデオセッションを行ったそうで、そのメンツによると、左SBはリュカ、カラスコもベンチ待機になるよう。一方、マドリーではウィルス性の心膜炎で休んでいたカルバハルが復帰、イスコは水曜から練習に参加しており、クロアチアのW杯予選プレーオフ、ギリシャ戦でお疲れだったモドリッチも金曜には回復したようで、負傷欠場はベイル、コバチッチ、GKケイロル・ナバスの3人だけだとか。 ▽その他、トピック的にはこの代表戦週間中、フランスのTV番組に出演して、「ネイマール、ムバッペとの前線を夢見ることはある?」と訊かれ、またしれっとして「Oui/ウィ(イエス)」と返答。おかげでまた、批判が集まっていたグリーズマンをワンダ・メトロポリターノでのスポンサー契約延長発表のイベントに出席したコケが、「Yo le veo comprometido/ジョ・レ・ベオ・コンプロメティードー(ボクは彼がチームに集中していると思う)」と言いながら、「アトレティコに100%集中していない選手はそう言って、出て行くだけさ」とドライなところも示したため、同僚にクギを刺したなんて報じられていましたけどね。 ▽とはいえ、シメオネ監督も「マスコミがいじりたくなるのもわかるが、es el jugador mas desequilibrante que tenemos/エス・エル・フガドール・マス・デセキリブランテ・ケ・テネモス(彼は我々が持つ一番、均衡を崩せる選手)」というのも事実。ジエゴ・コスタがFIFA処分で来年1月からしかプレーできないため、今はとにかく「Estamos teniendo problemas/エスタモス・テニエンドー・プロブレマス(ウチには問題がある)。練習ではシュートが全部決まるのに、試合になると入らない」(グリーズマン)という逆境を打破していけるよう、当人のご機嫌を損ねないのが大事かと。 ▽その傍らでマドリーにもスペイン代表合宿中にラモスが、「ペペ(ベシクタシュ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン)、モラタ(チェルシー)らに比べて今季の新しい選手には経験がない」というロナウドの言葉を「今、そういうことを言うのはご都合主義的」と反論したなんて騒動も。ただ、ジダン監督によると「Dentro las cosas se arreglan y ya esta arreglado/デントロ・ラス・コーサス・セ・アレグラン・イ・ジャー・エスタ・アレグラードー(内部で片づけることだし、もう解決した)」そうなので、チーム内不和は期待するだけムダというものでしょう。 ▽何より、この2週間、ポルトガル代表にも行かず、バルデベバス(バラハス空港の近く)でずっとシュート精度を磨いてきたロナウドですからね。軽く見たら、痛い目に遭うのはアトレティコの選手たちもわかっているはず。フランス代表でゴールを決め、これをツキを変えるキッカケにしたいグリーズマンとの7番対決にも興味を持たれますが、そんなマドリーダービーは土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。果たしてどちらに軍配が挙がるのか、いやあ、今から私も胸がドキドキしています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.18 13:00 Sat
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【戸田和幸のプレミア・アナリシス】「今のままならシティが優勝」 優勝争うプレミア上位陣を分析&岡崎と吉田を語る

▽現役時代に日本代表として2002年の日韓ワールドカップに出場し、現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏。超ワールドサッカーでは11月より定期的に、戸田氏にプレミアリーグについて存分に語ってもらう。 ▽第1回の今回は、戸田氏に今シーズンのここまでのプレミアリーグ強豪勢の戦いぶりを分析してもらった。明瞭な口調や繊細な戦術分析が魅力の解説者・戸田氏は、プレミアリーグ優勝を争う上位陣のここまでのパフォーマンスのどのように見ているのだろうか。(※データはインタビュー実施時の10月31日現在のもの) ──現在の首位は9勝1分け無敗のマンチェスター・シティです。35得点6失点という素晴らしい成績ですねGetty Images「偉そうに聞こえてしまいますが想定内の闘いが出来ていますね。昨シーズンの序盤も負けなしが続いていたんですが、その時とはサッカーの質が明らかに違います。昨シーズン戦った中で明確になった余剰戦力を整理しグアルディオラ監督が目指すサッカーに於いて欠かせないサイドバックを補強しました。ベルナルド・シルバといった優秀な選手も前線にも加わり単純にサッカーの質が昨シーズンと比較し大きく向上しています」 「グアルディオラ監督からもコメントが出ていましたが監督が志向するサッカーに対しての選手の理解と監督の選手に対する理解、そして選手同士の理解が進みました。引き分けたエバートン戦(第2節:1-1)は3バックがボールを持たされる形になりカウンターを受ける形が多くあまりうまくはいきませんでしたがあとの試合は結果・内容共に圧倒している試合が多いです」 「ベースとなる戦術的なオーガナイズをきちんと持っている事から始まり各選手の技術的なレベルの高さに賢さ、身体的な速さと強さは際立っています。攻撃がメインになるチームですが攻守の切り替えも非常に速くボールを失った瞬間には既に守備がスタートしている、言い方を変えれば攻撃をしながら守備も行い守備をしながら攻撃の準備もしているのがシティです。ですから試合中のどんな局面においても後手を踏んでいる場面がほとんどありませんしエバートン戦の1分けが余計だったかなというぐらい素晴らしく凄まじい序盤の戦いぶりです」 ──非常に高く評価されていますが、懸念すべき点を挙げるとしたらいかがでしょうか 「基本的にはありません、それぐらい素晴らしい状態にあると思います。もちろん時にはカウンターを受ける事もありますがどんなサッカーをしたとしても長所を裏返せば短所になりますから。ですから現在のシティについてそこを懸念点だと言ってしまうと重箱の隅を無理やり突っついている感じにもなるぐらい素晴らしいです」 「前線も質も量も揃っているので試合数が多くターンオーバーを敷く中でも質が落ちる事がありませんしどの選手が出場しても高いレベルの連携を見せているあたりに監督の指導力を感じます。最前線の選手起用についてはシーズン開幕当初はガブリエウ・ジェズスとアグエロの2トップで始まりましたが現在はどちらかが1トップを務める形に変わっています。中盤にはまさに世界最高レベルのパフォーマンスを毎試合見せているデ・ブライネ、シルバがいますしそこに新たにベルナルド・シルバも入ってきてケガから復帰してきたギュンドアンとそれぞれインターナショナルレベルを超えた選手が揃っています」 「唯一の懸念点とすると、フェルナンジーニョのポジションでしょうか。昨シーズンはフェルナンジーニョが退場したり安定しなかったりした時にヤヤ・トゥーレが活躍しチームを支えましたが今シーズンはあまり使われていません。それはヤヤのパフォーマンスレベルが低いのではなくフェルナンジーニョに対するグアルディオラ監督の信頼度が絶対的に高いからなのですがそうは言っても長いシーズンを一人で務める事は不可能です」 「ですから彼の控え選手を誰にするのか、今のレベルのサッカーを継続しようとすれば正直フェルナンジーニョに代わる選手は見当たりませんがもうじき厳しいスケジュールがやってくるので上手く休ませながら、いざ勝負となる年明け以降の重要な時期に疲弊してしまわないよう上手にマネジメントする事が求まられますね」 「あとは左サイドでバックのメンディが大きなケガをしてしまいどうするのかな?と思いましたがレアルマドリードから獲得したブラジル代表のダニーロではなくイングランド代表で元々は中盤の選手であるデルフを起用しました。中盤の選手であるデルフがSBに入ったことにより、相手のプレッシングを掻い潜る為のビルドアップの形としてサイドバックが内側に入って来て中盤センターとしてゲームメークを担当させる「偽りのSB(ファルソ・ラテラル)」という戦術を時に使用していますがこれもデルフがいてこそ、昨シーズンもサニャやコラロフといった選手で同様のビルドアップを試みましたが特別な能力を持つ選手でないと務まらない役割なので上手く機能させる事は出来ていませんでした」 「内容でも圧倒したチェルシー戦やナポリ戦でもこの戦術を駆使し相手に何もさせない素晴らしいビルディングアップを見せていましたが監督からすればデルフがいてくれたのはメンディという優秀なSBを怪我で失ってしまった中で見つけた新たなオプションになったと思います」 「純粋なSB、DFであるメンディがいる時にこの戦術を使わなかったという事はメンディはその戦術に適したタイプの選手ではないのでやらなかったということでしょう。元々中盤の選手ですが左利きで技術も高く、尚且つ守備意識も献身性も兼ね備えたデルフだからグアルディオラ監督も「出来る」と思って「ファルソ・ラテラル」を採用しているのでしょうね。強いて指摘するとすればコンパニの負傷など最終ラインの選手層のところですかね。怪我人をこれ以上出さない事、シティの懸念点を突っつくとしたらそのあたりしかありませんね」 ──2位のユナイテッドも7勝2分け1敗と安定していますGetty Images「特にここ3試合(リヴァプール戦、ハダースフィールド戦、トッテナム戦)のチームパフォーマンスはあまり良くないんじゃないでしょうか。今シーズン待望のルカクが入って監督が求めているピースが埋まったというか、プレシーズンから可能性が見え大きな期待を抱かせてくれました。ただポグバが離脱して以降中盤の強度、彼がいたからこそ埋められていたスペースや中盤と前線を繋いでくれるダイナミックなプレイがなくなりまずマティッチの負担が増えました。ポグバがいたポジションにエレーラが入るとどうしても小さくまとまってしまうように見えますしそれによってムヒタリアンやルカクが孤立するようになり守備の時間が長くなってしまっています」 「同じマンチェスターでも、シティとはやっているサッカーは全然違いますね。モウリーニョ監督は基本的には攻守において個の強さを重要視しています。時にマンツーマンを局所的に使う時もありますし3ラインがきれいに保たれた中で攻守を行うというよりは多少バランスを崩しても「人」を意識させた守備、対人の強さをベースにした守備からの速い攻撃を志向しています」 「ビルドアップについて最終ラインから丁寧にボールを運ぶというような事をするわけでもなく敵陣まで力強くボールを運んでくれるポグバがいる時といない時では大きな違いが出てしまっています。マンチェスター・ユナイテッドのサッカーは基本的には個で解決するというところがベースにありますしモウリーニョ監督は多くの人数を攻撃に割くのではなくあくまでもバランス重視、“守備から”という点を大事にしています」 「その中で広いエリアをカバーしつつ質の高いプレイをしていたのがポグバでしたが、替えの利かない選手である彼がいなくなって中盤のダイナミックさはなくなりました。リヴァプール戦(第8節:0-0)もその時点での相手との力関係を冷静に分析し“これしかない”という闘い方を採用したのだと思います」 「クロップ監督から批判されたりもしましたがモウリーニョ監督は現実的な闘い方で成功してきた監督ですから批判など気にもしないでしょうしプラン通り守備的に振る舞ってうまく無失点で試合を終えたのは流石だと思いました。スパーズ戦(第10節:1-0でユナイテッドが勝利)も同じように極力リスクを排除する闘い方を採用し終盤デヘアからのロングボールを上手く繋いでマルシャルが決め見事に勝ち点3を獲得しました。今はポグバを中心とした怪我人が戻ってくるのを待ちながら勝ち点を積み上げていく時期だと考えているのではないでしょうか」 「フィジカルが強くて大きい選手も重視しているというところではフェライニの不在も戦術的な選択肢を狭めていると思います。あとはラッシュフォードですかね。良いパフォーマンスを見せている試合が多いですが、2トップの一角で出場する時のパフォーマンスがもう一つです。素晴らしい才能を持った選手なのは間違いありませんからもうひとつ突き抜ける時が来るのを(モウリーニョ監督は)待っていると思います。マルシャルに関しては今シーズン良くなったと思います。ワイドに張ってウィングの役割を果たすだけではなく内側に入っても良いプレイができるようになってきました」 「先ほど話をしましたがバランス重視、その上で中盤から前線まで幅広くカバーしていたポグバがいなくなって以降ルカクやムヒタリアンがどうしても孤立してしまう、前線の選手は基本的に孤立傾向にあります。モウリーニョ監督の考えは“少ない人数で得点を奪ってこい”っていうことだと思いますがお互いの距離も遠くサポートも少ない中で違いを見せなくてはならないので試合を観ていて『大変だな』と」 ──新加入のMFネマニャ・マティッチのプレイについてはいかがでしょうか?Getty Images「彼もまたモウリーニョ監督の求めた選手で能力の高さと実績は既に証明済みですが、ポグバとの関係はスタート時から非常に良かったと思います。マティッチがいてくれるからこそポグバも後ろ髪ひかれることなくどんどん前に出ていけますしマティッチもどんどん出ていくポグバに対して前向きな形での良いフォローが出来ていました」 「攻撃面でも自らボールを運ぶことが出来てミドルシュートも打てるマティッチですが、ポグバがいなくなって以降全体のプレイエリアが下がってしまって、“振り回されることが前提”の守備を強いられる試合が増えてきています。モウリーニョ監督がチェルシーを指揮していた後半時期に似た、ちょっとしんどい感じの仕事に変わってきていますね」 「あとは新戦力のリンデロフがまだフィット出来ていません。ひょっとするとまだと言うより、『フィットするかどうか分からないな』という感じに近いかもしれません。理由はまず(身体)能力的にはそんなに高くないという事ですが、走るスピード、ジャンプ力、カバーできるエリアの広さで考えた時に例えばバイリーのように1人で解決出来てしまうようなタイプではありません。頭が良くて、常に正しいポジションを取りながらカバーリング、攻撃面ではビルドアップができるのが特長だと思いますが、マンチェスター・ユナイテッドの持つプレイスタイルに於いてCBに求められる要素で考えるとリンデロフの持つ強みはあまり発揮できない可能性はあるかもしれません」 「そういう意味ではバイリーとフィル・ジョーンズは大きくて無理も利きますし、いざという時は体を投げ出してでもという守備が出来ますがリンデロフはよりスマートに理詰めで物事を処理する事に長けたタイプのCBだと思います。ハダースフィールド戦でも大きなミスが出てしまいましたが、まずはきちんと戦力としてフィットする事が出来るのかという事とどれくらい早くフィット出来るかが重要になりますし、イコールそれがチームの戦力が増すことに繋がります」 ──ウェンブリーを仮住まいとしている3位のスパーズは、ここまで6勝2分け2敗です。昨シーズンからの戦い方の変化などはありますか? 「昨シーズンは4バックでの闘いがベースで基本ハイプレスを軸にしたサッカー展開し素晴らしいシーズンフィニッシュを果たしました。今シーズンは最終ラインにダビンソン・サンチェスが入ったこともあると思いますが、3バックで臨む試合が多くなっています。3-5-2、もしくは3-1-4-2という布陣での闘いを選択する試合が多いですが守備時は両ウイングバックを3バックの脇まで落とし5バックを形成し前線はケインとアリ、ケインとソンといった組み合わせの2トップにして5-3-2で相手の攻撃に対峙する形が多いです」 「素晴らしい闘いを見せたリヴァプール戦やレアル・マドリー戦もそうでしたがある程度自陣まで下がり背後のスペースを消した状態で相手の攻撃を受け止め構えた状態から相手ゴール方向に向かってボールを奪いに行きます」 「そして奪いに出たスピードをそのまま生かした高速カウンターでゴールを狙いに行き上に挙げた2チームに対し素晴らしいゴールも決め勝利を手にしていますが、今季は相手の攻撃を吸収するところからの高速カウンターという新たな武器も手に入れています。今や世界トップレベルという評価を手にするところまでになったケインがいるかいないかで大きな違いは出ますが、相手の力を見極めた上でゲームプランを組める戦術的な柔軟性も出てきましたしそれが様々なタイプの相手に対しても攻守に於いて主導権を握る事が出来るという闘い方の幅が広がったというところに繋がっています」 「ウォーカーとダニー・ローズというアスリート能力にも秀でたSBがガンガン前に出ていたのが昨シーズンだったと思うんですけど、今シーズンはもう少しバランスを取った闘い方をしていますね。新加入のオーリエは身体的にも素晴らしく逞しい選手ですしトリッピアーとかベン・デイビスはそこまでアスリート的な資質はない選手ですが走るタイミングが上手でなおかつクロスが上手い選手たちです。あとはここにローズが戻って来てくれれば両サイド共に2人ずつ高いレベルのSBを揃える事が出来るのでより安定した闘いが出来る状況が整う事になります」 「また、昨シーズンまでの闘い方はあくまでもウォーカーとローズという選手が揃っていたからこそ採用した部分もあると思いますがとは言え両者ともに怪我が多かった事を振り返ってみても両SBにかかる負担は非常に大きかったとも言えます」 「ですから『昨シーズンみたいなサッカーだけでなくより戦術的に幅をもつ事』とをポチェッティーノ監督が考えた可能性もあると思います」 「ずっと強度の高いサッカーを続けた時にケガしてしまっていたのは誰だったかというとローズとウォーカー、そしてケインもそれに該当すると思います。より戦術的に幅を持った闘い方が出来るようになるとハイインテンシティーな部分に頼らなくて済むようになるのでそのようなケガが続かないという事にも繋がると思います」 「昨シーズンまでのスパーズには本当の意味での世界的な選手がいなかったと思います。そしてそのレベルにたどり着くことが出来るポテンシャルを持った選手がケインとデレ・アリだとして、ケインはいよいよそのステージに入ってきた感があります」 「リヴァプール戦(第9節:4-1でトッテナムが勝利)での終盤にハムストリングを傷め交代しましたがその結果次節のユナイテッド戦を欠場する事になってしまい敗れる事に繋がってしまったと個人的には見ています。今更ケインの重要性について説明するまでもありませんが、攻撃の全ての局面に於いて極めてレベルの高いストライカーと言えます。ストライカーとしての高い得点力もさることながら攻守にすごく献身性もあります。チームを押し上げていく為の前線での起点作り・スペースメイク・チャンスメイクも高いレベルで行いながらのあのゴール数ですから今や世界でも数本の指に入る9番になったと思います」 「今のスパーズはチームとしての枠組みというか、明確なプレイモデルと戦術的なコンセプトを持った中で着実に強化してきている感じがあります。明確なチームコンセプトがありながら今季は闘い方にも幅が出てきました。具体的に言うと昨季までは4バックベースでの強度の高いプレッシングが基本的な戦術でしたが今季は3バックを採用する試合が増えていますし守備時は5バックとなり相手の攻撃を受け止めてからの高速カウンターも見せ始めています。昨シーズン全く上手くいかなかったチャンピオンズリーグ(CL)でもそうした幅のある闘い方も効果を発揮しここまでは素晴らしい結果を残しています」 「昨季の中でうまくいかなかった経験を糧に選手自身が経験を積みチームとしても成長を見せていますし監督も含めて伸びている感じがあります。ケインが欠場したことがアタッキングサードでの物足りなさに繋がり敗れてしまったユナイテッド戦は正直もったいないなと思いましたが3位につけているので、悪くない位置にはいると考えているのではないでしょうか」 ──CLで結果を出せているのは戦い方の幅が広がったことが影響しているのでしょうか? Getty Images「間違いなくそれはあると思います。マドリードにてあれだけの試合(CLグループH第3節、1-1の引き分け)を見せる事ができたというのは、とてつもなく大きな自信になったと思います。リヴァプール戦も相手の特徴をしっかりと把握したうえで勝つ為の明確なプランを用意し粉砕しましたね。リヴァプールは基本的にやり方が1つで前に人数を置いて積極的に(プレスに)出ていく。真っ向から勝負しても十分対抗できるものを持つスパーズですがポチェッティーノ監督は5バックを低めに設定しリヴァプールの攻撃を受け止めた上でカウンターで仕留めるというゲームプランを組み見事に形にしました」 「特に2点目のカウンターはビックリするぐらい速かったですしその速さの中での技術の高さも見逃す事の出来ない点です。守備面でも相手のストロングポイントを消すという部分でマドリーとの試合では右サイドに黒人選手を3人置いて(ダビンソン・サンチェス、ムサ・シッソコ、オーリエ)、マルセロとイスコのところを抑えましたが自分たちの強みを残しながらも相手の良さは消すという戦術的にも非常にレベルの高い闘いを見せています」 「頂点を目指すチームとしての課題として挙げられるのは昨シーズンもそうでしたがやはりケインの代わりがいないということでしょう。期待されたヤンセンは残念ながらフィットする事なく移籍してしまいましたし基本彼の変わりが務められる選手はいませんからとにかく怪我をさせないようコンディションには十分に気を付け重要な試合には必ずケインが出場出来るようなマネジメントが必要となります。今季新たに加わったジョレンテはケインとはまた別のタイプの9番ですがレアルマドリード戦のようなジョレンテとケインのコンビは良く機能していましたし今後重要なオプションになると思います」 ──4位のチェルシーは、ここまで6勝1分け3敗です。MFエンゴロ・カンテやFWアルバロ・モラタが負傷離脱したことも響いていますねGetty Images「チェルシーはまず昨シーズンと大きく違うのはスケジュール。チャンピオンズリーグに出場する事になり最重要な試合がリーグからCLに変わった事とコンテ監督がコメントしていましたが昨季のようには練習ができていないという事の二つの点が若干チームとしての戦術的な規律にゆるみが出てしまっている原因かなと見ています。どうしても週に2試合が続く中では試合と試合の間は調整だけになるので試合で出た課題を次の試合までに修正していくという時間を今季は取れていない事が守備のゆるみに繋がっていると思います」 「新加入のモラタについてはもう少し苦労するかなと予想していましたが自分が考えていたよりも随分早くフィットしたと思います。チーム内にスペイン人が多いという事も順応・適応が早かった事に影響したと思いますし実際アスピリクエタのクロスから得点したり、セスクからも彼のスピードを生かすパスが得点を取る取らないに関わらずたくさん出ています」 「昨シーズンのMVPであるカンテも今季は随分と攻撃に出ていくスタイルに変わってきていますね。また中盤の形も昨季までとは中盤の形も変わってきています。中盤センターが2枚ではなくて3枚になり前線を2トップにしてアザールとモラタがコンビを組んでいます」 「コンテ監督の狙いとしては、アザールをサイドの守備から解放しつつバカヨコが加わったので中盤の強度を増しながらより攻撃の部分を出していきたいのかなという感じは受けますね。バカヨコも能力だけでなく戦術理解度も非常に高いですし、アスピリクエタも昨季までに比べるとかなり攻撃に関与するようになりました。あと課題として上がるのは選手層。決して悪い選手ではありませんがモラタの次のストライカーとして控えるバチュアイは要所要所で得点はしていますが、ゴール近く以外のエリアにて出来る仕事が少ないというのは気になりますしサイドもザッパコスタを獲得しましたけど、モーゼスと比較するとスケールダウンしてしまうところがありますね」 「どのチームもケガのところはアクシデントのところもあるので計算がしづらいと思いますが選手層の薄さが年明け以降の闘いに於いて足を引っ張らなければと危惧しています」 「スケジュールがタイトになった事でトレーニングの時間が減って、チーム戦術の確認作業が出来ず緩さに繋がっているのかもしれませんが例えばスパーズは同じシステムでやっていても前線の選手のチェイシングやプレスバック、常に3ラインがとにかく変わらずに、強度も保てている感じがあります。同じようなスケジュールで闘っているチェルシーは試合によって大きく変わってしまったり2トップが全く守備に参加しないような試合もあり気になっています」 「あとはペドロの出場機会がここ最近減ってきていますね。昨シーズンはペドロがアザールとジエゴ・コスタが苦手な守備でも良く走りスイッチを入れ、攻撃ではオフ・ザ・ボールの動きでスペース作り背後も取ってと、目に見えない部分でもチームに大きな貢献をしつつ決定的な仕事も見せていました」 「そのあたりの人選も2トップにしたこともあり変わってきているなという印象ですが、やはりペドロが出るとゲームが動く感じがあります。もちろんボール持った時の破壊力はアザールには敵わないですし、モラタの高さもありませんがペドロのポジション取りの上手さ・飛び出し・ドリブルは間違いなく大きな武器になりますしネイマールがいなくなった今のバルセロナに最も必要な選手だと個人的には考えています」 「シティと対戦した時(第7節:チェルシーが0-1で敗戦)にデルフがフェルナンジーニョの脇に入っていって、最終ラインが左にずれて3バックになる「ファルソ・ラテラル」を使ってきた時、チェルシーは前の2枚(モラタとアザール)含め守備で何もできませんで。(プレスをハメられず)ボールを通され運ばれて、何もできずに完敗でしたが、戦術的に次の一手が出てこなかったのは気になりました」 「サッカーも日進月歩、常に変化していきますよね。昨シーズン結果を残したチームを見て他のチームは『このチームをやっつけよう』と新しい何か探すわけですけど、そういう意味ではシティは確実に陣容が豊かになり戦い方も多彩になってきています。シティを追いかける展開となっているスパーズも全ての面に於いて大きな成長を見せていますし、ユナイテッドもルカク・マティッチという強烈な個が入ってきている。ライバルチームが昨シーズンよりも戦力的・戦術的にアップする中、チェルシーはどうなのか。モラタの活躍は非常にポジティブですが、選手層の薄さや失点の多さも気になりますしなにより昨シーズンに比べ全体的な緩さが出ている試合が散見されているのが心配です」 「守備の局面にてファーストライン(前線)、セカンドライン(中盤)、サードライン(最終ライン)と3ラインそれぞれの役割に目を向けてみるとファーストラインの守備が緩くなっています」 「1トップ2シャドーでの守備に於いては2シャドーがセントラルMFの両脇まで下がる事で中盤を4枚にし5-4-1の陣形で守備を行っていましたが今季は2トップで臨む試合が多いので守備時は5-3-2と形を変えています」 「アザールの守備の負担を軽減する事が主な目的だとして、そこにフィジカル的・戦術的に優れたバカヨコの存在があり中盤を3枚にするという監督の判断に繋がったと考えていますが、とはいえ2トップからの意図的な守備が行われないと中盤には3枚しかいなくなるのでいくらカンテ・バカヨコという強い選手を抱えていたとしても負担は大きくなりますしカバーしきれない事が多くなってしまいます」 「そうなるとチーム全体が後ろに下がりなおかつ奪うためのポイント作りが難しくなりますがチームとして引いてカウンターを狙いとしてそうしているというよりは構造上・選手のパフォーマンスが原因でそうなってしまっている感じです」 「例えばCLのローマ戦(CLグループC第3節:3-3の引き分け)も常にプレッシングを行ったのはローマでチェルシーはビルドアップもままならず相手の攻撃に対しても特に前半は下がるだけとなってしまい非常に苦戦しました。チームコンセプトだけでなく採用するシステムに於けるメリットとデメリットで考えた時にここ最近のチェルシーはややデメリットの方が目立つ事が多いのでその辺りをもう少し整備が出来ると良いのではないでしょうか」 ──現時点での今シーズンの1位~4位はどのように予想されますかGetty Images「あくまで現時点での各チームの戦力と闘いを元にという前提での話になりますが優勝はシティ。2位は現時点だとスパーズかユナイテッドかなと。リヴァプールは闘い方が一つだという事とやはり後ろに不安を抱えているのは間違いないので難しいかと思います。スパーズ戦を中継した際に試合前の現地のコメンタリーの話を聞いていたら『似通ったスタイルのチーム同士の戦いですね』という質問をインタビュアーが両監督にしていたんですが、確かに挑戦的でインテンシティが高いという意味では似た部分はあるんですけどより相手チームを分析して試合に勝てる戦術的な方策を用意できるのはスパーズです」 「リヴァプールというは基本的にはより前に人数を置く形からスタートします。システムとしては[4-3-3]という言い方で良いと思いますが、下がる事はせず常に相手に対してプレッシャーをかけ奪ったらそのままのスピードで一目散にゴールを目指しますがそれが機能した時は凄まじい爆発力を見せます」 「またシティと同じシステムではありますがその中での違いとして挙がるのはインサイドハーフの人選と役割。シルバとデ・ブライネのシティに対しワイナルドゥムとチャン(ララーナ)のリヴァプールとよりフィジカル的な特徴を持ち絶え間なく走る事が出来、パスよりは自らがボールを運びボックスに飛び込んでいく事を役割として求めているのがリヴァプールだと言えます」 「タテの速さに斜めの動きや最終ラインの裏を狙う動きが複数加わり、ドリブルからのワンツーなどのコンビネーション、コウチーニョのミドルシュートといった多種多彩の攻撃を高いレベルで尚且つ凄まじいスピードで繰り出す事が出来る、それがリヴァプールの最大の魅力です」 「基本的に非常に速くまた高い強度でプレイするという意味ではどの試合でも戦い方が同じだという事が言えますが、ここで一つ心配になる事は選手の疲労です。プレミアは試合数が多くウィンターブレイクもありませんし今季はそこにCLも入って来ていますから特にリヴァプールは運動量・スプリントといったものがベースに来るチームなので疲労が選手達の頭のフレッシュさと技術的な精度を欠いた時にどうしても上手く運ばない試合が出てきます」 「そうなった時、より安定したポゼッションや時には守備で試合をコントロールする必要がありますがそこがリヴァプールに足りない部分ではないかと。実はそんなにたくさん相手にチャンスをつくられているわけでもないのですが失点場面を見てみると「どうにかできたのではないか」という印象が残るものが多いので批判されてしまう事が多いのだと思います」 「チーム全体が敵陣まで入り込んでいる状態からの一発のカウンターや、GKとCBの連携が上手く取れずに失点してしまう事が昨シーズンからなかなか改善されていないように感じます。その攻撃的なサッカーは本当にエキサイティングだと思いますがその攻撃的なスタイルを採るが故、センターバックはサポート少ない環境の中で守る場面もあるので大変そうだなとは思います。とはいってもそこで仕事ができないと、クロップ監督の志向するサッカー完成しないと思うのでいよいよより質の高いCBを獲得する必要に迫られているのではないでしょうか」 「各クラブそれぞれに好材料・懸念点がると思いますがカギを握るのはCLでしょう。CLが迫ってくるとどうしても意識がそちらに傾いていくと思うのでまずCL前の試合がメンタル的に難しくなっていると思います」 「例えばマンチェスター・シティもグループ突破を目指す上で一番のライバルとなるナポリ戦の前のWBA戦(第10節:2-3でシティが勝利)では順調に見えた試合運びの中で強度と集中力が後半に入ると落ち2失点しました。次にCL後は全てに於いて大きなエネルギーを使った後なので疲労という部分がパフォーマンスを落とす原因になります。トップレベルの選手達のモチベーションやパフォーマンスレベルが明らかに変わるくらいCLというのは舞台としても大きい。ビッグクラブとなれば2チーム分の戦力を有しているものですがとは言え重要な試合が続く場合は同じメンバーで臨む事になりますし怪我人も出てくる事を考えると基本CL前後の試合は難しくなると思いますしなっていると思います」 「シティはコンパニやメンディといった重要な選手が怪我をしているにも関わらずデルフを左SBにコンバートするといった監督のアイデア、そして選手層の厚さも他のライバルチームと比較して数歩抜け出しているので今の形で進めていけば今季は大きな成果を挙げられると思います」 「アーセナルもヨーロッパリーグ(EL)時は全く別のチームを組み若い選手を積極的に使いながら経験を積めているのでチーム全体の経験値を上げながらリーグの方にはフレッシュなレギュラー選手達で臨めるのでコンディションという視点では有利な状況にあります。ただしアーセナルは高度なチーム戦術をベースに闘うというよりはシステムはあくまでも選手が伸び伸びとプレイする為のものであり良くも悪くも選手を縛らない監督だと思います。ですから選手自身のアイデアに委ねるというか個々人が持つ技術やアイデアを大事にする監督なので当然上手く進まない試合が必ず出てきます」 「特に上位陣との試合やフィジカルを前面に押し出しロングボールを使ってくるチームには苦戦を強いられる傾向にあります。対戦相手に対した効果的なゲームプランを用意したり、自分たちの良さを消すようなことをしてきた時に試合の中で微調整を施し改善していく事が出来るのは監督しかいませんが、そこの部分については明らかにスパーズやシティの方が優れている点として挙げられます。モウリーニョ監督も守備ベースではありますが対戦相手の特徴を徹底的に消すような戦術的な策は講じてきますしチェルシーも同様です。戦力とはまた別の視点で見てアーセナルが安定感に欠けるというのはそういったところに原因があると思います」 「前線に新たにラカゼットが加わり、いよいよエジル、サンチェスもスタメンに戻ったのでここからどんな化学反応が見られるのか楽しみにしていますが、対戦相手との力関係で守勢に回らざるを得ない時に果たしてどう機能させていくのか。チェルシー戦やシティ戦では積極的なプレッシングも見せ善戦しましたが、結果は引き分けと完敗に終わりましたしリヴァプールには完膚なきまでに粉砕されています。ベンゲル監督の作るチームは確かに美しさを兼ね備えた見る人が楽しめるサッカーを披露しますが現代のサッカーに於いてはより戦術・戦略の部分にも力を入れたチームが存在する以上アーセナルの順位は下がるかなと考えています」 ──日本人選手のパフォーマンスに関してもおうかがいしたいと思います。レスター・シティのFW岡崎慎司のパフォーマンスについてどのように見ていますか。ここまで、7試合に出場して4得点ですGetty Images「立派だとしか言いようがありません。これまでも重要な試合でスタメンを外される事が多かったりと悔しい思いを彼はしてきてると思いますが出場した時には彼にしか出来ないものをきちんとピッチの上に残しますし常に虎視眈々と続けている姿勢と実際のパフォーマンスには学ぶべきものが多いです」 「彼は自分に何ができるかきちんと理解出来ています。そしてチームの中で自分が果たすべき役割とは何かについても良く考えられていますし監督が求めているものに対してきちんと取り組み確実に違いを見せてきています。一人のストライカーとして考えれば、本当にやりたいプレイとは違うかもしれませんがレスターというチームに於いて自分の特徴を残しながらどんな役割を担えば評価に繋がるのかをしっかりと頭に入れ真摯に取り組んでいる、僕はこれが彼の素晴らしいところだと思っています」 「サッカーとはあくまでチームがベースにあるスポーツです。チームとしてのプレイモデル、戦術的なコンセプトが存在してはじめて各個人の役割が明確に定まってきますが、岡崎はその事を正しく理解したうえで自分に与えられた役割を全うしつつ前線の選手として得点を挙げる事も常に狙い続けてきましたし戦術的には重要でもきちんと見ないと実は分かりにくい中盤と前線を繋ぐ仕事がイングランドメディアにも評価されるようになったのはとても素晴らしい事だと思います」 ──レスターの指揮官がクレイグ・シェイクスピア監督からクロード・ピュエル監督に代わりましたが、今後岡崎が受ける影響を予想できますか 「前チーム(サウサンプトン)のサッカーみていると、特別誰かに依存するような形にはならないとは思います」 「彼の持つメンタリティ含め、岡崎はあのチームの中で唯一無二の存在だと思います。既にその価値はメディア含め証明されていると思いますしあとは新しい監督の下どれだけの活躍が出来るかに期待しています」 ──サウサンプトンのDF吉田麻也のパフォーマンスはいかがでしょうか? ここまで8試合に出場していますGetty Images「安定感というかどっしりしてきましたよね。例えば何も考えずに試合を観ていても全く『気にならない』。これは失礼な意味ではなく、要はプレミアリーグの選手として何一つ見劣りすることなく当たり前にそこに存在しているという事です」 「ブライトン戦(第10節:1-1の引き分け)に出場していなくてビックリしましたが、結局このクラブにも代表選手がひしめいているわけでCBのポジションにもオランダ人が2人いて(ヴィルヒル・ファン・ダイクとヴェスレイ・ホード)、吉田を含めれば代表クラスのセンターバックが3人いるわけですから非常にレベルの高いポジション争いを日々繰り広げながらレギュラーポジションをものにしているという事です」 「長い故障とちょっとした移籍騒動を経て戻ってきたファン・ダイクは身体的な大きさと速さに高いテクニックも兼ね備えた化物みたいな選手でチームで1番スプリントが速いらしいという事を以前吉田から聞きました。190cmを超える選手がチームで1番スプリント力があるという、それだけでもポテンシャルは特大ですよね。リヴァプールやマンチェスター・シティが狙っているという情報が夏の移籍市場を賑やかにしましたが実際それだけの能力を持ったCBだと思いますし吉田にとっては良きチームメイトでありライバルになっていると思います」 「ファン・ダイクが復帰した時に『(吉田のポジションが)どうなるのかな?』と少し心配しましたが以降もきちんと試合には出ていますし、監督からの信頼もしっかりと得られている。肉体的にもまだ成長しているということもあると思いますしプレミアリーグというものききちんと理解した上でCBとしてチーム戦術に沿った形で必要とされている事やっていると思います」 「例えば自陣でバウンドボールを処理するとして、コントロールをしてフリーな味方にパスを繋ぎ攻撃に移行するといった選択はあまりせず、危ないと思ったらシンプルに蹴り出すといったはっきりとしたリスクになる要素を含んだ選択は極力採らなくなっています。センターバックというものは『守ってこそ評価される』というヨーロッパに於けるスタンダードな評価基準頭に叩き込んでプレイするようになったと以前話をしてくれましたが、特にボックス周辺でボールを扱う時は最新の注意を払い難しいプレイにチャレンジする事はなくなりましたし非常に繊細にマメにポジションを取るといった高いレベルの基本動作も手伝って判断を間違わなくなりました」 「相手ストライカーと『よーいドン』で走った敵わないという前提で彼は常に準備が出来るCBですし常に少しでも先手が取れるようにというところでやっていますよね。言葉をきちんと使いこなせるというところも味方との連携には大きな効果を発揮していますし着実にクラブの中で信頼を積み重ねている事が本人をすごく安定させていると思います」 ◆戸田和幸氏『スポナビライブ』出演情報 ▽11月18日(土) 21:00〜 [LIVE](無料)ノースロンドンダービー KICK OFF直前特番 解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸 21:00〜 [LIVE]アーセナル vs. トッテナム 解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸 ▽11月19日(日) 2:24〜 [LIVE]マンチェスター・U vs. ニューカッスル 解説:戸田和幸 実況:下田恒幸 戸田さんも解説出演中のスポナビライブはこちら 2017.11.17 13:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】今週はヤマ張って見に行きますよ。優勝? 残留? いやいや?! の巻

▽はっと気づくと残り3節。で、1試合少ない首位の鹿島が2位の川崎と勝点差7なので、今週末の川崎がG大阪に敗れたら、もうそれで優勝が決定。いや、それはないでしょ! だって川崎、こんなに諦めが早いはずがないよ。ルヴァンカップを獲れなかった無念さで、きっとパワーが増したはず! だから今週優勝は決定しないと読んだ! え? 先々週は川崎の優勝を予想してた? いやぁ代表戦の前のことはすっかり忘れてしまってまして。 ▽だから今週は、もしかすると決まってしまうかもしれない残留レース……はちょっと前にやったから、ACL出場争いに焦点を絞りましょ! ▽現在、ACL出場が決定しているのは鹿島だけ。あとのチームの今後は、 2位 川崎(勝点63) G大阪(H・10位)浦和(A・7位)大宮(H・17位) 3位 C大阪(勝点57) 横浜FM(A・5位)神戸(H・8位)新潟(A・18位) 4位 柏 (勝点55) 磐田(H・6位)鹿島(A・1位)広島(H・16位) 5位 横浜FM(勝点55) C大阪(H・3位)仙台(A・12位)浦和(A・7位) 6位 磐田(勝点54) 柏 (A・4位)鳥栖(A・9位)鹿島(H・1位) ▽ってことで、ホームとアウェイの試合数を考えると、川崎と柏が有利。で、対戦相手の順位を全部足しちゃうと、川崎が34、C大阪が31、柏が23、横浜FMが22、磐田が14ってなわけで、これ数字が少ないチームはそれだけ順位が上のチームと当たるってことなんですよ。で、これもやっぱり川崎が有利。まぁこれは順当に川崎がACLじゃないですかね。 ▽で、もう1チームはホーム数で柏、対戦相手の順位でC大阪が有利ってことになっちゃいません? ▽ならば、今週見に行く試合は、柏vs磐田か、C大阪vs横浜FMがベストってことにしちゃいます。順位で考えても上位対決ってことでいいでしょ? ▽とか言いつつ、やっぱり残留争いの直接対決、新潟vs甲府って見ちゃうんだよぁ……。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.11.16 19:45 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】収穫多い欧州遠征もベルギー戦には不満が残る

▽ハリル・ジャパンの欧州遠征はブラジルに1-3、ベルギーに0-1と2連敗に終わった。FIFA(国際サッカー連盟)ランクでW杯の組み分けでは第1ポッドの両国だけに、当然の結果とも言える。と同時に、日本の弱点が改めて浮き彫りになった、貴重な2試合だった。 ▽まずブラジル戦。過去1勝もできていない相手に今回も1-3と完敗した。開始直後にネイマールにドリブル突破からウィリアンに決定的なシュートを許したように、日本は1対1の勝負で劣勢に立たされるとボールホルダーに複数の選手がアタックに行くため、フリーの選手を作りやすい。加えて現ブラジルは自陣からのボールカットでカウンターを狙うなど、かつての“サンバのリズム”は過去のものになり、「守」から「攻」への切り替えの速さが最大の武器になっている。そのことを実感させられたブラジル戦だった。 ▽日本はもともと個人技で突破を図る南米勢や、加えてフィジカルの強さがあるアフリカ勢を苦手にしてきた。この差を埋めるのは簡単なことではない。だからこそ、ハリルホジッチ監督はデュエルを日本に求め続けているのだろう。攻守において1対1で負けないベースがあることで、勝負はチーム戦術に移行できる。その前提がまだ日本には欠けているだけに、1対1のデュエルで日本は成長する必要がある。 ▽このため、ロシアW杯で南米勢と同居したら、勝点1を獲得することが最大の目標と言ってもいい。そのためには、なりふり構わず守備に徹し、隙があれば、今回対戦したブラジルや、J1リーグでは磐田のように、カウンター狙いで行くべきだろう。 ▽そしてベルギー戦である。過去2勝2分けと相性は良かった。それというのもベルギーはチームとして攻めてくるからだ。日本がプレスを掛ければ無理して個人で突破を図らない。欧州らしいパス・サッカーではあるが、スペインほどの緻密さはなく、ドイツやオランダのような強引さもない。 ▽今回は初黒星を喫したが、「1人が3~4人も突破してくるのは予想外だった」とハリルホジッチ監督が指摘したように、ナセル・シャドリのドリブルに後手に回ってルカクに決勝点を許した。これも想定外のプレーに対する対応力の未熟さかもしれない。 ▽残念だったのは、その後の試合運びだ。W杯を想定するなら、第1ポッドのベルギーと初戦で対戦し、引き分けられればグループリーグ突破の可能性は残される。それでも今回のようなゲーム展開なら、1-1のドロー狙いでリスクを冒して攻めるのか、あるいは2戦目以降の得失点差を考えて0-1のまま傷口を広げずに試合を締めるのか。その点が明確ではないように感じられた。 ▽今回の欧州遠征はテストマッチに過ぎない。だからこそ、第1ポッドであるベルギー相手に勝つチャンスがあるなら、攻撃の姿勢をもっと強めて欲しかった。ハリルホジッチ監督は杉本、乾、久保、森岡と攻撃的なカードを切ったものの、機能したとは言い難い。交代選手は奮闘したかもしれないが、DFラインの押し上げやパワープレーなど、チームとして波状攻撃を仕掛ける意欲は感じられなかった。 ▽この点については指揮官に問題があったのかもしれない。そのことは、来週のこのコラムで指摘したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.11.16 19:30 Thu
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【日本代表コラム】“世界”で戦うために必要なもの

▽ブラジル代表に続き、世界トップクラスの力を持つベルギー代表を相手に善戦した日本代表。「大きなライオンを倒すところまでいった」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語ったように、ブラジル戦に比べれば前半から戦えていた。 ▽しかし、欧州遠征2試合を見れば2連敗。仮にこれがワールドカップの本大会だったとするならば、日本のグループステージでの敗退は限りなく濃厚になったと言える。運良く3チームが1勝ずつで並ぶ可能性はなくはないが、厳しい状況には変わらない。手放しでは喜べない結果だ。 ◆前半からハイプレスが機能Getty Images▽ブラジル戦は前半から押し込まれる展開となり、「蛇に睨まれた蛙」とでも表現できるパフォーマンスだった。気がつけば3失点と試合の大勢を決められてしまった。 ▽しかし、ベルギー戦は立ち上がりからプレスがハマり、決定機も作れていた。失点シーンはシュートを警戒しすぎたのか、ボックス付近で簡単に突破を許してしまったが、それ以外は水際で体を張ってブロックするなど、守備面での改善は見られた。 ▽特にメンタル面で崩れることが少なく、「選手たちはブラジル戦の後、ブラジルと対等とまではいかないが、戦えるということに気付いた」とハリルホジッチ監督が明かしたように、最後まで戦う姿勢を見せていた。 ▽1試合を通してのハイプレスは難しいが、プレス強度をベルギー戦では使い分けていた。しかし、選手の距離感はまだ怪しい部分も多い。さらに、先発したメンバーと途中出場のメンバーでは、プレスのクオリティに大きな差が出たように感じた。ハイレベルの相手との試合では、途中から試合に入る難しさはあるだろう。しかし、その力は本大会で必ず必要になるだけに、守備面での意思統一はこの先も強化しなければいけない。 ◆一瞬の隙が命取りにGetty Images▽前半を何とか無失点で終え、後半も無失点で試合を進めていたが、一瞬の隙を突いてやられた。ボックス手前でボールを持ったシャドゥリが一気にスペースを突いて4人を置き去りに。クロスに対し、ルカクが飛び込んで先制点を許した。 ▽シュートを打たれる意識があったからか、このシーンではプレスがかかっていなかった。突破されても…という考えがあったのかは分からないが、深くえぐられてのクロス。そして決め切るルカク。一瞬の判断ミスが、失点を招いた。 ▽DF槙野智章を中心に、守備面で粘り強さを見せられていただけに、もったいない失点でもあった。ただし、W杯になれば一瞬でも隙を見せると命取りになる。そのことをこの2試合で体感できたことは、少なからずプラス材料だろう。 ◆足りないのは「スピード」Getty Images▽その他にも気になったポイントは横パスだ。1点ビハインドとなってから、日本は選手交代も含めてギアチェンジ。全体的に攻撃に比重をかけていく。ベルギーは自陣に引いて守備をする場面もあったが、横パスや緩いパスを常に狙い続け、インターセプトから一気にゴール前まで持ち込むシーンも見られた。 ▽また、交代直後のFW杉本健勇が粘って独走し、シュートまで持ち込んだシーンも同様だ。抜け出しまでは良かったものの、最後のところでのスピードアップができなかった。そして、ストライカーとしてシュートの判断は悪くなかったが、より判断のスピードが上がれば、並走していた原口元気も見えたはずだ。W杯本大会ではより少なくなる可能性がある決定機。それを逸することの大きさを感じただろう。 ▽Jリーグが悪い、レベルが低いという訳ではない。しかし、ヨーロッパのトップリーグと比べれば、1つ1つのプレーのスピード、判断のスピード、局面が展開するスピードは大きく違う。「普段なら問題ないプレー」がW杯で戦うのであれば、「問題あり」になってしまう。様々な面で、日本サッカー界全体としての「スピードアップ」はこの先の大きな課題だろう。 ◆12月は世界で戦える選手の選考Getty Images▽「この12月の中で国内組から代表に入るかどうかの決断をする」とハリルホジッチ監督は試合後に語った。12月に国内で開催されるEAFF E-1サッカー大会。国内組で構成される日本代表は、本当の意味でのサバイバルになる。 ▽ハリルホジッチ監督の下で合宿を経験している選手、国内組として常に代表に招集されている選手、そして日本代表としては未知数な選手…。Jリーグでのパフォーマンスを下に、新たな顔ぶれも少なくは無いはずだ。しかし、そこで求められるのは“世界”で戦えるかどうか。国内だけで通用する選手では、本大会のメンバー入りは難しいかもしれない。 ▽今回の欧州遠征には、これまで日本代表を支えてきたMF香川真司やFW岡崎慎司、MF本田圭佑は招集されなかった。ある程度計算できる部分もありながら、満足行くパフォーマンスでないことはそれぞれの選手も理解しているだろう。 ▽しかし、ヨーロッパのトップリーグでの経験値は高い。フィジカル面、テクニック面もさることながら、メンタル面ではより“世界”で戦えるはずだ。その部分も上回れる選手が国内組から現れるならば、日本代表としては本大会に向けて明るい材料になるだろう。基準は“世界”。その点を踏まえ、12月の大会を楽しみに待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.15 21:45 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】久しぶりにゴールを沢山見た…

▽「もしかして産休だったんだろうか」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。クリスティアーノ・ロナウドがSNSに挙げた第4子誕生報告の投稿を見た時のことでした(https://www.instagram.com/p/BbaImIfFr0h/?hl=es&taken-by=cristiano)。いやあ、この国際代表戦週間、フェルナンド・サントス監督からポルトガル代表の招集免除をされていた彼ですけどね。確か、この夏のコンフェデレーションズカップでは準決勝でチリに負けた後、3位決定戦は出ずに、到着したばかりの双子のエバちゃんとマテオ君の顔を見るのを楽しみに帰国した当人だったかと思いますが、今度は現在の彼女、ジョルジーナさんが出産とあって、7歳になった長男のクリスティアーノ・ジュニア君と一緒にアラナ・ビクトリアちゃんに病院で面会って、何かあまりにタイミングが良すぎない? ▽まあ、それもポルトガルが先月、W杯出場をグループ1位で決めており、今回は親善試合しかないのと、当人が2008年ユーロ、2010年W杯と続けて制覇したお隣の国を見習い、2016年ユーロチャンピオンとして、国際メジャートーナメント連覇を狙うべく、来年6月にロシアの地に乗り込むチームの先頭に立つことは保証されているため、まったく問題はないんでしょうけどね。逆に2008年から2012年までの黄金期が終わり、W杯ブラジル大会、フランスでのユーロでは低迷しているスペイン代表などにとって、この11月の親善試合はチームの復権を託す本大会メンバーを選ぶための大事なテストマッチ。それだけに、この土曜の試合でいい結果が出たのは私もどんなに嬉しかったことか! ▽そう、満員のラ・ロサレダ(マラガのホーム)にコスタリカを迎えたスペインはカルバハル(レアル・マドリー)が負傷でおらず、GKこそ初出場のケパ(アスレティック)だったという点を除けば、ほぼベストメンバーを並べてスタート。早くも開始5分には今季、リーガで注目の成長株。先月のアルバニアとのW杯予選で代表デビューした右SBのオドリオソラ(レアル・ソシエダ)がエリア内のシルバ(マンチェスター・シティ)に繋ぐと、そのゴール前へのラストパスはモラタ(チェルシー)もイスコ(マドリー)も撃てなかったんですけどね。ノーマークで反対側にいたジョルディ・アルバ(バルサ)が決めて、先制点が入っているんですから、何とも幸先がいいじゃないですか。 ▽続いて22分、今度は自身で直接ゴールを狙ったシルバでしたが、そのシュートはGKが阻止。こぼれ球に素早く詰めたモラタが2点目をゲットすることになります。うーん、この夏、マドリーからロンドンのチームに行ってしまったため、リーガファンが活躍を目にする機会が減ってしまった彼ながら、CLでワンダ・メトロポリターノを訪れた時もしっかり同点ゴールを挙げていましたしね。しばらく絶対的CFの不在で悩んでいたスペインですが、その好調ぶりが続く限り、ロペテギ監督も大船に乗った気でいられる? アトレティコがFIFAの処分を受けているため、来年1月からしかプレーのできないジエゴ・コスタもしっかり、シーズン後半でゴール量産をしないと、本大会メンバーに呼んでもらえないかもしれませんね。 ▽え、それにしても2008年ユーロ優勝から始まったスペイン全盛期からのメンバーで、今年はもう31歳になるベテランながら、シルバの衰えを知らないプレーぶりには驚かされなかったかって? そうですね、前半は2点止まりで終わったスペインですが、55分にはコスタリカDFのクリアミスを拾って、彼が3点目のゴールを入れただけでなく、64分には敵陣エリア近くで果敢にタックルしてボールを奪うと、シュートも決めて自身2得点目って、いやあ、最近は私もマドリッドの両雄クラブのFWたちが次から次へと、失敗するのばかりを見慣れていたせいでしょうかね。 ▽こうもあっさりネットを揺らしているのには…。ラミレス監督が「tiene una lesion de alto riesgo y tuvo una recaida importante/ティエネ・ウナ・レシオン・デ・アルト・リエスゴー・イ・トゥボ・ウナ・レカイダ・インポルタンテ(重度の再発で、高い危険のあるケガをしている)」と言っていたケイロル・ナバス(マドリー)でなかったせいかもしれませんけどね。ゴールってこんなに簡単なものだったのかと、ちょっと目が覚めるような気分になったなんてこともなきにしもあらず。 ▽そして最後は72分、同じくベテラン、33歳のイニエスタ(バルサ)がエリア外からのミドルシュートを決め、とうとう5-0としたスペインでしたが、この大勝にもロペテギ監督は相手を立てることを忘れていません。曰く、「コスタリカはいいチーム。Si nos encontramos en el Mundial, el partido sera muy diferente/シー・ノス・エンコトラモス・エン。エル・ムンディアル、エル・パルティードー・セラ・ムイ・ディフェレンテ(W杯で当たったら、全然違う試合になるだろう)」と、ええ、確かに相手にもブライアン・ルイス(スポルティング・リスボン)やキャンベル(ベティス)といった主力アタッカーが欠けていたというハンデがありましたけどね。 ▽おかげでケパなど、アディショナルタイムにボルヘス(デポルティボ)のシュートを弾くぐらいしか、見せ場が作れなかったんですが…。それでもこの日はほぼボールを独占、スムースにパスを繋ぐ彼らのサッカーを見ていると、何だか、ティキタカ時代のスペインが戻って来たようで、これなら来年の夏に期待してもいいかと。そうそう、毎回、話題になるピケ(バルサ)へのpito(ピト/ブーイング)もこの日はそれをかき消す拍手と半々ぐらいだったそうで、当人もセルヒオ・ラモス(マドリー)と共にハーフでナチョ(マドリー)、バルトラ(ドルトムント)に代わっていますからね。これから次の代表戦がやって来る3月まで、余計なことを言わなければ、だんだんこの現象も沈静化していくんじゃないかと思います。 ▽え、それでご当地出身選手で前日練習では終了後にピッチで息子さんと遊んで、ギャラリーの視線を釘付け。今季はマドリーでもプレゼンス(価値)がどんどん上がっているイスコの活躍ぶりはどうだったのかって? うーん、cano(カーニョ/股抜き)をしたり、器用なボール扱いを披露したりして、スタンドから何度もイスココールを受けていましたが、64分にはDFワストン(バンクーバー)に強烈なタックルを見舞われてダウン。左太ももを痛めたようで、アセンシオ(マドリー)と交代することに。 ▽いえ、試合終了直後のピッチインタビューを受けた、昨季までクラブの同僚だったモラタも「Poca cosa, lo de Isco tiene un golpe /ポカ・コーサ、ロ・デ・イスコ・ティエネ・ウン・ゴルペ(大したことじゃない。イスコは打撲しただけだよ)」と言っていたように重傷ではないんですけどね。次も親善試合のため、日曜にマラガ(スペイン南部のビーチリゾート都市)からサンクトペテルスブルクに向かう飛行機には乗らず、マドリッドに帰還しています。 ▽それでもイスコは週末土曜のマドリーダービーまでに復帰できるようですが、どうやらナバスの方は間に合わないようで…。いえ、だからといって、アトレティコがスペイン同様、お隣さんをgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)できるかと言えば、そんなことはまったくないんですけどね。とはいえ、先週はふくらはぎのケガがもう治るはずだったベイルが今度は左太ももに肉離れを起こし、全治1カ月となってしまったマドリーに対し、フランス代表に行っているグリーズマンが奇しくもウェールズ戦でゴールを挙げたアトレティコ。実は彼、10月のW杯予選最終戦以来、クラブでは得点していないため、これはぬか喜びに終わる可能性もありますが、コケもカラスコも代表に行かずにケガを完治。、微妙なのはフィリペ・ルイスぐらいというのは実行戦力という面において、ちょっとシメオネ監督のチームが有利かもしれませんね。 ▽まあ、そんなダービーに関しては日曜にクロアチアがプレーオフ2ndレグでギリシャと0-0と引き分け、総合スコア4-1でW杯出場を決定。モドリッチもベルデベバス(バラハス空港の近く)でリハビリ最終段階に入った後輩のコバチッチを安心させてあげることができましたし、ヴルサリコもアトレティコではなかなか実現しない2試合連続フル出場で貢献したとか、土曜にはアフリカ予選最終節でアクラフが弟分チームのアムラバット(レガネス)、ファイル(ヘタフェ)らと協力してコートジボワールを2-0で撃破したなんてことも。こちらもロシア行きを決めていますし、とにかく代表でのお勤めを果たして帰って来る選手たちが揃わないことにはどうにも予想が立て辛いため、また次回にでもお話しますが、月曜夕方にはスペインの選手たちもサンクトベテルスブルクのペトロフスキー・スタジアム(ゼニトの旧ホーム)で練習。 ▽火曜午後7時45分(日本時間翌午前3時45分)からのロシア戦はW杯用に新築されたクレストフスキ・スタジアムで開催されるんですけどね。芝を荒らさないためのようですが、そのセッションに参加しなかったのはシルバだけで、コスタリカ戦で首を痛めたため、当日まで様子見だとか。それでも今回の代表には、ルイス・アルベルト(ラツィオ)こそ、マラガで代表デビューの夢が叶いましたが、他にもカジェホン(ナポリ)、ビトロ(ラル・パルマス)、スソ(ミラン)、ロドリゴ(バレンシア)と攻撃のオプションはかなり豊富。GKだけはデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)で決まりと言われていますが、それ以外の先発がどうなるかは見てのお楽しみになりそうな。 ▽一方、相手のロシアは先日、アルゼンチンとの親善試合でアグエロ(マンチェスター・シティ)のゴールで0-1と敗れていますが、開催国代表として気合が入っているでしょうからね。いくら現地が気温零度近くと、極寒の気候であることを言い訳にせず、ロペテギ監督下で再生したスペインの強さをこの試合でも思う存分、見せてもらいもの。12月1日にはいよいよ、本大会のグループリーグ抽選もありますしね。トップシードの組に入れなかったため、万が一、スペインがドイツ、ブラジル、アルゼンチンといった強豪国と一緒になることがあったとしても、ロシアまで追いかけるファンのため、2014年のグループリーグ敗退の悪夢の再現など、無用な心配をしないでいいぐらいのチームになってくれると嬉しいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.14 19:09 Tue
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【日本代表コラム】痛感させられた差、ブラジルが見せた日本に必要なもの

▽結果を見れば1-3と敗戦。内容を見ても、レベルの差を痛感させられた一戦となったブラジル代表戦。しかし、日本代表にとって意味のない試合だったかと言われれば、それは大きな間違いだ。 ◆流れを断ったVARだが…Getty Images▽日本は前半に流れを寸断されるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の判定により、PKが与えられ、ネイマールに先制ゴールを許した。レッドカードに相当するシーンや、得点に直接関与するシーンの判定で用いられることが通例だったが、時間をおいてのビデオ判定。そして、吉田麻也にはイエローカードが提示され、PKもブラジルに与えられた。出鼻をくじかれた感は否めない。 ▽しかし、VARは今後さらに導入され、こういった場面は増えてくるだろう。時には、理不尽な使われ方が起きる可能性もある。しかし、それでも対応していかなくてはいけない。日本代表の選手の心情に“揺らぎ”が生まれ、浮き足立ってしまったのは残念だった。 ▽それは守備面で特に見られた。この試合は、立ち上がりから相手陣内も含めて日本はプレスの強度を高めた。しかし、ブラジルの選手はそのプレスを回避。レベル差を感じさせられる場面は多かったが、日本がプレス強度をより強めれば、ファウルとなった。その結果、2度目のPKを献上。これはGK川島永嗣が見事に防いだが、その流れのCKから最後はマルセロに強烈なミドルシュートを叩き込まれ、あっという間にリードを2点に広げられた。浮き足立つことの恐ろしさを、選手たちは体感したはずだ。しかし、ここで体感できたことはプラスだと考えられる。 ◆バランス、チームとしての規律Getty Images▽日本が苦しめられた点を他にも挙げるなら、前線の強力なパワーもあるが、最も差を感じたのはバランス感覚だ。フェルナンジーニョ、カゼミロ、ジュリアーノの3枚で構成されたブラジルの中盤、マルセロ、ダニーロの両サイドバックは特にだ。攻守におけるブラジルのバランス感覚、そして規律を持ったプレーは、日本を苦しめた。 ▽カゼミロがアンカーのポジションでバイタルエリアを封鎖すれば、フェルナンジーニョとジュリアーノは機を見て前線の3枚と絡み、日本のボックス内にまで侵入した。両サイドバックも左のマルセロが攻撃に比重を置く中、ダニーロは守備を重点に。前線の3枚も流動的に動き、日本を翻弄した。 ▽ブラジルは個人技に優れている部分が目立ち、実際にペースを落とした後半は日本が主導権を握る場面も多く見られるようになった。しかし、チッチ監督によりチームが規律を持ち、ブラジルらしからぬ守り方も前半は見せていた。個に頼る部分が随所に残されているものの、規律まで身につけられてしまっては歯が立たなくなってしまう。 ◆お手本のようなサッカーGetty Images▽もう1つ挙げるとすれば、ブラジルが日本のやりたいことを体現している場面が多く見られたことだ。プレス回避の仕方、中盤のバランスの取り方、そして後方からの追い越し…攻守の切り替え、そして縦に早いサッカーが見られた。 ▽長谷部誠、山口蛍、井手口陽介とボールを奪え、攻撃に転じられる3枚で中盤を構成した。しかし、ブラジルは井手口、山口のプレスを上手くいなし、それによりできたスペースを使った。その後の攻撃は、後方の選手が前線を追い越し、数的有利を作って日本ゴールを脅かした。日本も本来であれば、中盤の高い位置でボールを奪い、後方から追い越す縦に早い攻撃を仕掛けたいはず。しかし、ブラジルに見事にやられてしまった。 ▽特に3点目のガブリエウ・ジェズスのゴールが良い例だろう。左サイドから中央にパス。そのまま右サイドに展開されると、ダイレクトのクロスをファーサイドに走りこんだガブリエウ・ジェズスに決められた。日本も似たようなシーンを作ることは多いが、枚数の不足や展開の遅さ、クロス精度の低さなど基礎能力の面での差も大きい。フィニッシュの部分は、やはり精度を上げなくてはいけない。 ▽前半は攻守の切り替えを早くすれば精度が落ち、精度を上げれようとスピードを落とせばすぐに対処されるというシーンが続いた。両方を一度に上げることは簡単ではないが、ハリルホジッチ監督が当初から掲げていたスタイルは、世界で戦う上では必要だということをまざまざと見せつけられていた。 ◆後半には収穫もGetty Images▽前半は苦戦した日本だったが、後半は手応えを感じられるシーンが増えた。ブラジルが3点リードしたことでパフォーマンスが落ちたことは大いにあるが、スペースを使い、サイドをずらし、危険なシーンを何度も作った。 ▽浅野拓磨が後半開始から起用されると、マルセロの裏のスペースを活用。右サイドから崩しにかかったが、ネイマールとの対峙に奔走していた酒井宏樹のサポートが少なかったこと、アタッキングサードでの精度が低かったことでゴールが生まれなかった。 ▽また、途中から起用された乾貴士、森岡亮太は違いを見せた。2人が入ることで中盤と前線の連動性がより高まり、ブラジルのバランスを崩すことができた。攻撃センスの高い両選手は結果こそ出せなかったものの、光るものは見せた。 ▽特に後半アディショナルタイムのワンプレーは見事。森岡が中盤でダイレクトスルーパスを送ると、高い位置を取っていた酒井宏樹に渡り、深い位置からの折り返しがフリーの浅野に。ゴールには繋がらなかったが、崩しという点ではこの試合で1番の出来だった。浅野に冷静さが加われば、後方に構えた乾がダイレクトで…というタラレバはあるが、ポジショニング、スピード、そしてイメージの共有があれば、ブラジル相手でも崩すことが可能であるという一面を見せられたことは大きい。 ◆ベルギー戦でもチャレンジをGetty Images▽日本がアジアとの対戦で見せるプレーとは異なっていた試合。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める“デュエル”の勝率こそ高くなかったが、チーム全体としてボールホルダーへのプレスの強度は悪くなかった。しかし、バランスが崩れたこと、そしてブラジルが何枚も上手だったことで、今回の結果に繋がったと思う。 ▽ワールドカップは格上の相手ばかり。日本が戦えないことはないが、戦い方を間違えれば大敗もあり得る。しかし、相手に対しての有効な策を見出すことができれば、十分に勝機はあるのも事実だ。それだけに、“デュエル”と“縦に早いサッカー”というハリルホジッチ監督が掲げるものは残りの8カ月で高めなくてはいけない。 ▽次の相手は格上であるベルギー。ホームでの開催であり、現チーム初となるブルージュでの試合となる。川島、森岡、久保裕也とベルギーとも関わりある選手が居る日本代表。これまでの対戦成績では勝ち越しているが、今のベルギーは別物だ。目標はワールドカップで勝ち上がること。そのためにも、ブラジル戦を生かし、現在地をしっかりと測る試合をしてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.11 12:57 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ブラジル戦で秘策を使うのはまだ早い

▽日本代表は11月10日にフランスのリールでブラジル代表と対戦する。日本が初めてブラジルと対戦したのは1989年、横山ジャパンのブラジル遠征だった。当時は当然ながらテレビ中継などなく、0-1という結果が報道された程度だった。 ▽その後、日本はコンフェデ杯やW杯、テストマッチなどで10回対戦したものの、通算成績は2分け9敗と、一度も“サッカー王国”の牙城を崩せていない。唯一、公式戦での勝利は1986年アタランタ五輪のグループリーグでの勝利、いわゆる「アタランタの奇跡」の1回のみだ。 ▽その点はハリルホジッチ監督も織り込み済みで、ブラジルとベルギーの強さを認めた上で、「前回の2ゲームのようではダメで、より相手に近く、それぞれのゾーンで守備を受け持たないといけない。オフェンスでは相手の背中でフリーになること。ボールのあるなしにかかわらず、しっかりスプリントすること。1人でスペースを作り、使うこともあれば、誰かがスペースを作り使用する。しっかり阿吽の呼吸でやらないといけない」とブラジル戦でのテーマを語っていた。 ▽もしも来年のロシアW杯で日本がブラジルと同じグループになったら、参考になるのが昨夏のリオ五輪でのコロンビアの戦い方だ。日本はコロンビアとグループリーグで戦い、2-2のドローに終わった。グループBの首位は初戦で日本を5-4で破ったナイジェリア。コロンビアに2位で決勝トーナメントに進出し、準々決勝で地元ブラジルと対戦した。 ▽コロンビアにはハイメ・ロドリゲスという好選手がいたものの、彼らがブラジル戦で採用したのは8人で守備を固め、前線の中央と左に2人の選手を残すという徹底した堅守速攻だった。そしてブラジルの選手がボールを持ったら、ひたすら肉弾戦を挑んだ。それは、もはやサッカーと言えるプレーではなかった。 ▽そしてクリアは左サイドのハーフライン付近にいる味方FWに蹴り、あとは2人のコンビによるドリブル突破でブラジル・ゴールに迫るという、「運を天に任せる」ような場当たり的な攻撃だった。 ▽しかし、コロンビアは知っていたのだろう。ブラジルを倒すにはこれしか方法がないことを。それでも0-2で敗れた。そして状況は日本も同じだろう。ミラクルを起こすには何かを犠牲にしなければならない ▽ただし、それは11日のブラジル戦ではない。最後の手は来年のW杯に残しておいた方がいい。11日の試合では、攻守において日本のデュエルがどこまで通じるかを試すべきだし、直近の2試合(14年の親善試合と13年のコンフェデ杯)では、ほんの一瞬の隙、マークの甘さ、ゴール前での寄せの甘さを突かれて失点しているだけに、集中力が90分間続くか、駆け引きで後手を踏まないかがブラジル戦では試される。 8日の練習後、井手口は「個人の能力も凄いですけど、組織的なサッカーもしてくるので、こっちも組織で守れるようにしたい」と抱負を語れば、原口は「攻守にパーフェクトな試合をしないといけない。90分間、苦しみますからね。でも、苦しまないと勝ちにつながらない」と決意を口にした。 ▽“ブラジル”という名前に臆することなく、ネイマールやジェズス、ウィリアンらに果敢に挑んで欲しい。現時点で失うものは何もないし、得るものの方が大きいことを選手らも理解しているだけに、11日の試合が楽しみだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.11.09 18:00 Thu
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【倉井史也のJリーグ】こっちの戦いはよりリアルに楽しめそうですぞ?! の巻

▽ブラジル戦の後ですからね、週末はちょっとみんなボーッとしてJ2の試合を見るんじゃないですか? でも、とってもぼんやり見られるような試合じゃないんですけど。 ▽現在激烈な争いをしてるのは、自動昇格の2位争い。現在2位の長崎が勝点74、3位名古屋と4位福岡は勝点72。で、得失点差で言えば、長崎がプラス13、名古屋がプラス21、福岡がプラス18と、長崎が一番不利なのです。 ▽そんな3チームの足を今週引っ張るのは、長崎が19位讃岐、名古屋が9位千葉、福岡が5位松本。ってことは長崎が一番有利かも。 ▽ではね、ここでそれぞれのカードの対戦成績を調べてみると、 長崎vs讃岐 長崎 2勝4分1敗 得点6失点5 名古屋vs千葉 名古屋 26勝3分12敗 得点80失点53 福岡vs松本 福岡 1勝2分4敗 得点8失点11 ▽で、なんと名古屋が圧倒的に有利。もし過去のデータどおりになったりしたら、名古屋が2位、長崎3位、福岡4位って可能性も。あ、ただし名古屋は今年の対戦で千葉に0-2と敗戦を喫しているし、これはなかなかわからない。 ▽で、もう1つヒートアップしてるのはプレーオフ圏争い。こちらは5位松本が65、6位徳島が64で、ここに7位東京Vの64、8位横浜FCと9位千葉が62、10位大分が61って、残り2試合なのに5チームに可能性がある大接戦。 ▽松本と千葉以外のカードは、京都vs東京V、徳島vs大分、横浜FCvs岡山で、やっぱり直接対決の徳島vs大分って、徳島の得失点差26に対して大分は8だから、たとえ勝点が並んでも不利だけど、こんな混戦なら最後に何があるかわかりませんからね。 ▽で、この徳島vs大分は、なんとJ2での対戦しかなくて、しかも徳島の2勝3分4敗、得点6失点13と、思い切り大分有利という過去の対戦データがあるのです。 ▽あー、そうなってくるともう何が何やら。つーか、たぶん今はJ1よりもJ2のほうが順位予想って難しくないですか? だってJ1って序盤は○○や××が調子よくて、中盤は△△や◎◎が上がってきて、終盤は●●や□□が粘るけど、最後は鹿島って感じですからね。 ▽そういう意味じゃ、いろんなカードが昇格に絡んでるから、今週のJ2はとってもお勧め。ゆめゆめブラジル戦でボーッとしたまま行くんじゃないですぞ。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.11.08 22:45 Wed
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【イケメンアンケート番外編】C大阪&川崎Fの美女サポーターが選ぶイケメンは?! ルヴァン杯決勝で行われた”もう1つの決戦”

▽埼玉スタジアム2002で4日に行われ、劇的な展開でセレッソ大阪が川崎フロンターレに勝利して幕を閉じた2017JリーグYBCルヴァンカップ決勝。その会場の裏では、両軍の誇る美女サポーターによる、“もう1つの決戦”が行われていた…! ▽ルヴァン杯決勝のカードとなったC大阪vs川崎F。その両クラブはイケメン揃い! ということはサポーターも美女揃いに違いない、という完全無欠な理論を組み立てた編集部のNとHが、決戦の地である埼玉スタジアムに足を運んで、美女探し&イケメンアンケートを敢行して参りました! ▽今回は、両クラブからそれぞれ5名ずつをピックアップした計10名を候補者として、サポーターの方に両クラブから1名ずつの計2名を選んでいただきました! 編集部が選定した候補者は以下の通り。 ◆セレッソ大阪(5名) MF山口蛍 27歳 MF清武弘嗣 27歳 MF山村和也 27歳 FW杉本健勇 24歳 FW柿谷曜一朗 27歳 ◆川崎フロンターレ(5名) DFエドゥアルド 24歳 MF谷口彰悟 26歳 MF家長昭博 31歳 MF大島僚太 24歳 FW小林悠 30歳 ▽それでは、突撃取材の模様をお伝えしていきます! (C)CWS Brains,LTD.[左からめいさん、かほさん]◆川崎フロンターレ めいさん:家長昭博 かほさん:エドゥアルド めいさん:「この中だと家長選手ですね!ダンディな感じ!こんなパパだったら嬉しい!」 かほさん:「顔がカッコイイ!外国人ですし!」 ──この中以外に好きな選手が? めいさん:「憲剛…。 イケメンじゃないけど(笑)」 ◆セレッソ大阪 めいさん:杉本健勇 かほさん:杉本健勇 めいさん:「川崎Fにいた時はまあまあカッコよかった(笑)」 かほさん:「今は敵対心もあってカッコよく見えない(笑)」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からさきんちょさん、あいかぴーさん]◆セレッソ大阪 さきんちょさん:山口蛍 あいかぴーさん:山口蛍 さきんちょさん:「顔がもろタイプ~!」 あいかぴーさん:「猿っぽい顔が良いです!」 ◆川崎フロンターレ さきんちょさん:家長昭博 あいかぴーさん:谷口彰悟 さきんちょさん:「もう顔ですね」 あいかぴーさん:「セレッソ大阪にいた時からカッコよすぎて好きです」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からゆきさん、ゆかさん]◆川崎フロンターレ ゆきさん:谷口彰悟 ゆかさん:家長昭博 ゆきさん:「とにかくイケメン!フロンターレのイケメン担当なので(笑)」 ゆかさん:「大人の色気があって~!大人の安心感と余裕感があるので良いです!」 ◆セレッソ大阪 ゆきさん:柿谷曜一朗 ゆかさん:清武弘嗣 ゆきさん:「カッコイイです!」 ゆかさん:「大好きなので!」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からりほさん、まこさん]◆セレッソ大阪 りほさん:山口蛍 まこさん:清武弘嗣 りほさん:「笑った時の笑顔!こんなイカつい顔してても笑った時がめっちゃ可愛いねん」 まこさん:「プレーも素敵やけど子供大事にしているとことか…」 りほさん:「そこ!?」 まこさん:「いやそこやろ~!あと雰囲気がいっちゃん優しそう!どう見ても!」 りほさん:「優しいな(笑)」 まこさん:「人の感じから滲み出てるやん」 ◆川崎フロンターレ りほさん:谷口彰悟 まこさん:エドゥアルド りほさん:「こいつめっちゃ好きやねん!」 まこさん:「うちこの人が良い!」 りほさん:「ほんま外国人好きやな(笑)」 まこさん:「普通に顔がカッコイイ!彫りも深いし」 りほさん:「そこ!?」 りほさん:(谷口選手は)「ただただカッコ良い」 (C)CWS Brains,LTD.[左からさきさん、ゆうこさん、ゆきさん]◆セレッソ大阪 さきさん:山口蛍 ゆうこさん:山口蛍 ゆきさん:山口蛍 さきさん:「男らしい!」 ゆうこさん:「クールなカッコよさ!」 ゆきさん:「同じなんだけど…(笑)」 ◆川崎フロンターレ さきさん:谷口彰悟 ゆうこさん:大島僚太 ゆきさん:家長昭博 さきさん:「世間一般的なカッコよさ!」 ゆうこさん:「可愛いタイプやな!弟みたい」 ゆきさん:「ワイルドでカッコイイ!」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からなっちゃんさん、めぐちゃんさん]◆川崎フロンターレ なっちゃん:エドゥアルド めぐちゃん:大島僚太 なっちゃん:「もう顔が本当にカッコイイと思います」 めぐちゃん:「カッコイイカッコイイって感じなんですけど、可愛らしさもあって一番タイプです」 ◆セレッソ大阪 なっちゃん:柿谷曜一朗 めぐちゃん:柿谷曜一朗 なっちゃん:「笑顔が好き!笑った顔がめちゃくちゃカッコイイ!」 めぐちゃん:「ワイルドもあって、ちょっと可愛さもあるしオールマイティな気がします!」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からまちゃみさん、あっきーさん]◆セレッソ大阪 まちゃみさん:清武弘嗣 あっきーさん:杉本健勇 まちゃみさん:「プレーも好きですし、海外から帰ってきた時のセレッソ愛がとても共感できてカッコ良いと思います」 あっきーさん:「プレースタイルも含めて好きです!普段の私服もカッコ良いですし、一度フロンターレに行って帰ってきてから人間としても一回りイケメンになったなと思います!」 ◆川崎フロンターレ まちゃみさん:谷口彰悟 あっきーさん:家長昭博 まちゃみさん:「もうただのイケメンなので(笑)」 あっきーさん:「チームに馴染むのが早くてフロンターレの顔になりつつあるのを感じます!顔も好きです」 (C)CWS Brains,LTD.[左からカルピスさん、Aさん、Kさん]◆川崎フロンターレ カルピスさん:谷口彰悟 Aさん:大島僚太 Kさん:谷口彰悟 カルピスさん:「プレーもイケメンで万能な感じが!」 Aさん:「ずっと応援しててプレーも全部かっこいいので!」 Kさん:「もう王道です!」 ◆セレッソ大阪 カルピスさん:柿谷曜一朗 Aさん:杉本健勇 Kさん:山村和也 カルピスさん:「チャラい感じが良いです」 Aさん:「今得点めっちゃ決めててカッコイイなと思います」 Kさん:「身長が高いのとちょっと可愛い感じが…お茶目な感じが見受けられるので」 (C)CWS Brains,LTD.[左からAさん、NAHさん]◆川崎フロンターレ Aさん:小林悠 NAHさん:エドゥアルド Aさん:「カッコイイです!」 NAHさん:「顔が本当にイケメン!」 ◆セレッソ大阪 Aさん:山口蛍 NAHさん:清武弘嗣 Aさん:「もうすごいイケメン!言うことないです!」 NAHさん:「キヨは可愛い!」 (C)CWS Brains,LTD.[ 左からのんさん、しいちゃんさん]◆川崎フロンターレ のんさん:大島僚太 しいちゃん:家長昭博 のんさん:「フロンターレになくてはならない存在ですし、プレーがイケメン!」 しいちゃん:「走る姿がカッコイイですし、ボールを全然奪われない!めちゃくちゃカッコイイです!」 ◆セレッソ大阪 のんさん:山村和也 しいちゃん:清武弘嗣 のんさん:「セレッソは今年山村くんの貢献があってのことだと思います!鹿島に居た時とは全然違う活躍ぶりで監督もすごいなと! あとカッコイイです」 しいちゃんさん:「顔が好きです!」 (C)CWS Brains,LTD.[左からANさん、AMさん、ARさん]◆セレッソ大阪 ANさん:清武弘嗣 AMさん:柿谷曜一朗 ARさん:柿谷曜一朗 ANさん:「清武きっかけでセレッソが好きになったので!」 AMさん:「全部が好きです」 ARさん:「同じです」 ◆川崎フロンターレ ANさん:大島僚太 AMさん:谷口彰悟 ARさん:エドゥアルド ANさん・AMさん:「この人が一番カッコイイ!」 ARさん:(エドゥアルドを指しながら)「いや!この人でしょ!絶対!!!」 ANさん:「いきなり入ってきた(笑)」 ARさん:「鼻高いしカッコよくない?」 AMさん:「なんで敵チームなのにテンション上がってんだよ!(笑)」 AMさん:(谷口彰悟を選んだ理由は)「顔です!三浦春馬っぽい!」 ANさん:(大島僚太を選んだ理由は)「結構好きなの!」 AMさん:「てか知ってんのかよ(笑)」 ANさん:「ずっと言ってたよ~!」 AMさん:「あれ?この人だっけ?でも今日出ないって言ってたよね」 ANさん:「そう!ケガしてて!」 ──先ほどスタメンが発表されて復帰しましたよ ANさん、AMさん、ARさん:「ヤバイじゃん!!(笑)」 ▽緊迫の決勝の直前にご協力いただいた皆様、ありがとうございます! 「全員好きだから悩む・・・」「今日は相手のクラブからは選べません! 」といったお声がチラホラとありつつも、ノリ良く笑顔でお応えいただけました。それでは、サポーターから選ばれたイケメン選手ベスト5を発表します! ◆5位 (得票率10.7%) Getty imagesDFエドゥアルド(川崎フロンターレ) ▽5位に入ったのは甘いマスクが魅力のエドゥアルド選手! エドゥアルド選手を選ぶ方は、脇目を振らずに即決で票を投じる傾向が高かった印象です。彫りの深さに端正な顔立ちと、もはや嫉妬をする気にもなりません! ◆同率5位 (得票率10.7%) Getty images MF清武弘嗣(セレッソ大阪) ▽続きましては、同率で日本代表に待望論も多い清武選手がランクインしました! 「優しそう」「可愛い」といった意見が多く、C大阪のみならず川崎Fサポーターの方々からも満遍ない人気を誇っております。 ◆3位 (得票率12.5%) Getty images MF家長昭博(川崎フロンターレ) ▽3位に入ったのは、潜在能力は日本人選手ナンバー1とも噂される家長選手! 特徴とする抜群のキープ力を場外まで延長し、ボール同様ファンの方々のハートもがっちりと掴んでいるようです。 ◆同率3位 (得票率12.5%) Getty images MF山口蛍(セレッソ大阪) ▽これまた同率で3位となったのは、豊富な運動量でC大阪&日本代表の中盤を支える山口選手! 今回ランクインした山口選手は、なんと獲得票のほとんどがC大阪サポーターによるもの。対戦相手に緊張を走らせる存在となっている一方で、キンチョウでは愛されております! セレ女票ナンバー1! ◆2位 (得票率14.3%) Getty images FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪) ▽同率5位、同率3位、と続いて単独2位に躍り出たのは“伝統の8番”を着用する柿谷選手です! 柿谷選手はそのプレーぶりを表すように、「可愛い」「笑顔が素敵」「かっこいい」など様々な理由で女性のハートを射抜いた、まさに万能型イケメン! 敵味方問わずそのトラップに溜息が出てしまうよう、票も両サポーターから均等に集まりました。 ◆1位 (得票率16.1%) Getty images MF谷口彰悟(川崎フロンターレ) ▽そして、栄えある1位に輝いたのは谷口選手! やはりこの男か・・・! 「とにかくイケメン」「顔が整っている」など、ぐうの音も出ない意見が多く、票の内訳は川崎Fサポが3割、C大阪サポが6割といった割合。相手サポーターですら虜にするその魔性の魅力・・・1%でいいから分けていただきたい・・・! ▽今回のイケメンアンケートは以上のような結果に。上位6名の内、5位と3位が同率でお互い譲らなかったものの、頂上決戦で谷口選手が柿谷選手を上回り、“もう1つの決戦”では川崎Fが勝利を収める形となりました。今回ランクインした選手以外では、大島選手や杉本選手が惜しくも選外に。主に一般の方を対象に行っていた10月中アンケートでは、2名とも高い人気を誇っていただけに、今回の激戦具合がうかがえました。 ▽番外編として行った今回のアンケートは、いかがでしたでしょうか? C大阪のサポーターの方、川崎Fのサポーターの方、それぞれが応援するクラブへの愛情をたっぷりに伝えていただけましたので、編集部Hなどは決勝でどちらを応援していいか分からない状態に(笑)。そして、そんな編集部Hが私見を一言。「美女サポーター対決はどちらも優勝です! 」 2017.11.08 19:45 Wed
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【編集部コラム】“勝利”を知る石井正忠監督を招へいした大宮、指揮官の熱き想いに応えられるか

▽失意のJ2降格、J2優勝、クラブ史上最高のJ1・5位フィニッシュ── 2004年のJ1初挑戦からほぼ毎シーズンのように残留争いを繰り広げてきた大宮アルディージャ。ここ数年は浮き沈みが激しいシーズンを過ごし、今シーズンは再びJ2降格の窮地に迫っている。 ▽そんな中、大宮はクラブをよく知り、約3年間指揮を執ってきた渋谷洋樹監督を5月に解任。後任にはコーチを務めていた伊藤彰監督を据えたが、11月5日、シーズン3試合を残して突然の解任を決断した。そして、後任に招へいしたのは、今年5月まで鹿島アントラーズを率いていた、石井正忠監督だった。 ▽突然の発表に、大宮サポーターだけでなく、鹿島サポーター、その他のJクラブサポーターも驚いた方は少なくないはずだ。事実、石井監督就任のリリースを目にした時は、私も驚きの声を挙げてしまった。 ◆窮地に立たされる“古巣”を救うために立ち上がる(C)CWS Brains,LTD.「このチームへの思い入れもあり、今回はこの状況をどうにか脱したい。リーグ戦残り3試合、勝利で終わりたい。そういった気持ちで、監督のオファーを受けました」 ▽監督就任発表から2日後、7日に石井監督は就任会見に臨んだ。午後からの初練習を終え、大宮アルディージャ仕様のネクタイ、クラブのピンバッチをつけ、報道陣の前に登場した石井監督は、冒頭に力強く語った。 ▽順天堂大学から1989年にNTT関東へ入団した石井監督は、1990年まで2年間所属。1991年に鹿島アントラーズの前身である住友金属工業へと移籍し、Jリーグ開幕からは鹿島でプレー。1998年にアビスパ福岡で現役を引退した。 ▽アマチュアでありながら新卒として2年間プレーした大宮アルディージャへの想いは、石井監督の心の中に眠っていたようだ。 ◆期待される勝者のメンタリティの伝播Getty Images▽石井監督は、現役時代に6年間、指導者として約19年間、“常勝軍団”鹿島アントラーズで“勝利”を目指すメンタリティを培ってきた。 ▽2015シーズンにはトニーニョ・セレーゾ監督の解任に伴い、監督に就任すると、同年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)を制覇。2016シーズンは明治安田生命J1リーグの1stステージを優勝。年間勝ち点で3位になったものの、チャンピオンシップを制しリーグ優勝。さらに、天皇杯も制し、2シーズンで国内3タイトルを獲得した。 ▽J1残留争いをし続けてきた大宮に足りないものは、ずばり“勝利”。そして、石井監督がサッカー人生で追い求め続けてきたものは、その“勝利”だ。残り3試合でJ1逆転残留を目指す大宮にとって、最も必要なものをもたらせてくれるかもしれない。 ▽「勝負に対する執着心を伝えていきたいと思います」。石井監督は鹿島アントラーズで培ってきたものの中で一番伝えたいことを聞かれて答えた。残り3試合で残留を掴むために必要なもの。それはまさに「勝負に対する執着心」だろう。 ◆石井監督が訴えた大きなもの(C)CWS Brains,LTD.▽就任会見で受け答えている石井監督は1つのことを何度も主張していた。それは「クラブ」のあり方だ。 「クラブが一体となって1つの方向に向いていることが一番大きな部分だと思います」 「クラブ全体が現場をサポートして行くべきだと感じています」 ▽鹿島で石井監督が培ったものは、この「クラブ」という考え方だろう。鹿島のタイトル数は、当然ながら選手、監督、コーチングスタッフの努力があったからに違いない。しかし、ファン・サポーター、フロント、その他、地元住民も含めてクラブに関わる多くの人が、同じものを求めたからこそとも言える。そして、それが大宮アルディージャには欠如しているとも感じたのかもしれない。 「今までの大宮アルディージャは、それぞれの選手が非常に頑張っていると思いますが、チームの一体感という部分が少し欠けているなと感じました」 ▽選手の能力の高さ、大宮の長所についても敵将として把握していた石井監督。そして、足りていない部分も当然ながら見えていた。だからこそ、自身がそこに変化をもたらせ、クラブの大きな目標である「J1残留」を掴むべく、厳しいミッションに挑むことを決断したのだろう。 ◆熱き想いに大宮アルディージャは応えられるかGetty Images▽残り3試合となったJ1だが、次節にも降格が決定してしまう可能性がある。そんな難解なミッションに挑むことになる石井監督は、会見中に思わず言葉に詰まり、目に光るものを浮かべながら決意を口にした。 「本当に厳しい状況で、大変な仕事だと思いますが、それを今までやってきた選手、コーチ、指導者、監督、そういった私の経験をこの短期間でもクラブに何か残すことができればという思いもあって、この状況でも引き受けることを決断しました。最大限の努力をしたいと思います」 「本当に言葉で言うのは簡単ですが、この状況を短い期間で、クラブ全体で勝ち取りたいと思います」 「そういった気持ちでやらないと、この3試合は絶対に勝ちきれないと思うので、その気持ちを全面に出して3週間、4週間を過ごしていきたいと思います」 ▽その姿から、改めて大宮を残留させるための強い決意を持ち、窮地の古巣を救うべくオファーを受けたのだと感じさせた。そして、その熱い想いを持つ指揮官に対し、残り3試合となったシーズンで選手、クラブは応えなくてはいけない。そして、ファン・サポーターもそれは同じだ。 ▽勝者のメンタリティを持つ指揮官に率いられ、残り3試合での逆転残留。それは、石井監督と親交が深い渋谷元監督、そして志半ばで解任の憂き目にあった伊藤前監督のためにも、果たさなくてはいけない使命とも言えるだろう。クラブに関わる全ての人が1つになり、勝利を求めることが必要だ。 ▽来週末から再開するJ1リーグ。残留争い百戦錬磨の大宮が、降格圏からの大逆転を果たすストーリー。石井監督の就任によって、その筋は描かれたように思う。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.07 23:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】このままダービーを迎えるのは怖い…

▽「今はあまり練習する必要もないのよね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、スペイン代表がいつもより1日遅く、火曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合することを知った時のことでした。そう、10月のW杯予選でグループ首位として、来年6月のロシア大会に参加することが決まった彼らの今回の国際代表戦週間は親善試合のみ。2位でプレーオフに回ったイタリアがスウェーデンと命運を懸けて戦うのを高みの見物と洒落込んで、土曜にマラガ(スペイン南部のビーチリゾート都市)でコスタリカと、そして来週火曜にサンクトペテルスブルクでロシアとプレーする際には、久々に呼ばれたアルベルト・モレーノ(リバプールの左SB)や初招集のルイス・アルベルト(ラツィオのMF)ら、ロペテギ監督も思う存分、選手を試すことができるっていうことです。 ▽どちらにしろ、火曜の午後7時半からあるこの合宿、唯一の一般公開練習にはモンクロア(マドリッド市内のバスターミナル)から628/629番のバスに乗って行ってみるつもりですが、今、私がちょっと気になっているのはこの月曜に発表されたW杯用の新ユニフォーム(http://www.sefutbol.com/sabes-donde-puedes-comprar-ya-nueva-camiseta)。協会によると、来週月曜まではラス・ロサスの施設内にある代表オフィシャルショップとアディダス直営ショップのみでの限定販売だそうですが、まあ練習の日に見られなくてもグラン・ビア(市内の中央大通り)にはアディダスの大型店もありますからね。コスタリカ戦では選手がそれを着てプレーしてくれるそうですし、そんなに焦ることはないんですが…1994年W杯アメリカ大会のバージョンを模した右側に黄色と紺の菱形ストライプが入ったこの新ユニ、同大会での準々決勝敗退という結果以上を出せるラッキーアイテムとなってくれるんでしょうか。 ▽まあ、代表戦のことはまた後で話すとして、先に先週末のリーガがどうだったのかをお伝えしておかないと。今節はマドリッドの弟分にはいい目が出ず、ベティスとのアウェイ戦に挑んだヘタフェが2-2と引き分けた翌日、レガネスも土曜のお昼のバレンシア戦でパレホ、ロドリゴ、サンティ・ミナにゴールを入れられて完敗。いやあ、確かにガリターノ監督も「この3-0というスコアを見れば、誰でも何がああいったチームとの差なのかわかる。Ni aun jugando bien eres capaz de sacar nada/ニ・アウン・フガンドー・ビエン・エレス・カパス・デ・サカール・ナーダ(ウチがいいプレーをしていたって、何も得ることはできない)」と、前節のセビージャ戦からの連敗にリーガ上位候補との実力の違いを痛感していたようですけどね。 ▽実際、ローコストの選手で構成されているレガネスの目標は1部残留のため、今も9位ですし、これからも同等チームとの対戦でしっかり勝ち点を稼いでいけば問題はないんですが、paron(パロン/リーガの停止期間)明けにはバルサ戦が控えていますからね。やはり3連敗ともなると選手たちの士気に良くありませんし、それこそ先日は昇格組のジローナが兄貴分のレアル・マドリーに勝つという僥倖があったばかり。となれば、月火の練習休みの後、新グラウンドもオープンしたというインスタラシオン・デポルティボ・ブタルケで水曜から再開される練習では、各国代表に出向する選手がアムラバット(モロッコ)1人しかいないという強みを生かし、気合も新たにトレーニングに励んでもらいたいものです。 ▽そして同じ土曜、やはりアウェイでデポルティボ戦となったのがアトレティコで、うーん、最近は私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に彼らの試合を見に行くたび、あんなチームを応援している自分が変な奴に思われていないかと恥ずかしくなる、何年かぶりの肩身の狭さを感じているんですけどね。その日も先週ミッドウィークのCLカラバフ戦からプレーが向上した気配がまったくなく、中盤でパスがまったく続かないわ、ロングボールは必ず敵選手のものになるわ、グリーズマンのシュートはGKにセーブされるわと、とにかく頭が痛くなる一方だったんですが、デポルティボにも決定力が欠けていたのが幸い。 ▽よって90分が0-0で終わり、またドローかと溜息をついていたところ、いやあ、たまにはツキが回ってくることもあるんですね。いえ、ロスタイムにリュカがエリアすぐ前で倒されてFKをゲットした時には、別にアトレティコにはメッシやクリスティアーノ・ロナウドのように直接狙って成功するキッカーがいる訳じゃないしと、あまり期待はしていなかったものの、何とガビが短く横に出したボールをトーマスが弾丸シュート。GKパンティリモンは一歩も動けず、土壇場で1点をもぎ取った彼らが0-1で勝利って、まったく冗談みたいじゃないですか。 ▽ただ、「ガビとボクで決めたんだ。Hemos trabajado en los entrenamientos el pegarle asi/エモス・トラバハードー・エン・ロス・エントレナミエントス・エル・ペガールレ・アシー(練習でああいう風に蹴るってね)」と後で打ち明けていたトーマスでしたが、実を言うと、先日のカラバフ戦同様、それまではミスのオンパレード。見ているのが辛くなる程の酷さでありながら、その時も彼がエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパードール)で1-1の同点に持ち込み、驚かせてくれたんですが、要はパスやボール扱いとシュート能力にはまったく関係がない? ▽というか、両方とも秀でていたなら、アトレティコなどにはおらず、それこそお隣さんの選手になっていたりするんじゃないかと思いますが、これで今季4ゴールでチームの得点王となったからって、この先もトーマスの決定力だけにチームの命運を預ける訳にはいかないですからね。その日はグリーズマンを後半35分で下げ、代わりにCBのヒメネスをボランチとして入れることで「buscaba fortalecer el medio campo, buscamos el gol con Saul, Gameiro y Gaitan/ブスカバ・フォルタレセル・エル・メディオ・カンポ、ブスカモス・エル・ゴル・コン・サウル、ガメイロ・イ・ガイタン(中盤を強化して、サウール、ガメイロ、ガイタンで得点を目指そうと思った)」とシメオネ監督は言っていましたが、このFW陣のゴール日照りぶり、いくらここまでリーガ11試合無敗、昨季の同時点より勝ち点2多いとはいえ、かなり心配ですよね。 ▽え、せっかくアトレティコが勝ったのに私が喜べないのは次の試合がマドリーダービーだからじゃないかって?そうですね、デポルティボ戦でも相変わらず、ひどいサッカーをしていた点についてはこの火曜、マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場で午前11時から始まるセッションから改善に取り組んでもらうしかないんですが、今回の各国代表戦ではすでに予選敗退の決まったオブラク(スロベニア)やサビッチ(モンテネグロ)は試合がなく、トーマス(ガーナ)も出場停止なので行く必要はなし。負傷中のコケ(スペイン)とカラスコ(ベルギー)、フィリペ・ルイス(ブラジル)もこの2週間で全快する見込みと、不在なのはグリーズマン(フランス)、ゴディンとヒメネス(ウルグアイ)、リュカ(フランスU21)、そしてギリシャとのW杯予選プレーオフに挑むクロアチアのヴルサリコと極少数に留まったこともありがたいんですが、同様にcrisis(クリシス/危機)状態と言われていたマドリーが翌日曜のラス・パルマス戦で何だか、立ち直ってしまったみたいなんですよ。 ▽いえ、ジローナ戦、CLトッテナム戦の連敗を経て、大胆なローテーションをするんじゃないかと言われていたその試合、ジダン監督はW杯出場の懸かった代表戦の待っているモドリッチ(クロアチア)を控えに、アクラフ(モロッコ)をベンチ外にしただけで、アセンシオやCBバジェホが先発に入った程度のメンバーチェンジだったんですが、前半はまるでお隣さんに憑依されたようにボールが繋がらず。40分にようやくCKからカセミロのヘッドが決まり、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドからの一斉pito(ピト/ブーイング)を避けた彼らだったんですけどね。ハーフタイムに「監督からllevaramos el balon de lado a lado con circulaciones rapidas/ジェバラモス・エル・バロン・デ・ラードー・ア・ラードー・コン・シルクラシオネス・ラピダス(素早くボールを回してサイドチェンジをするように)と言われた」(バジェホ)のが功を奏したんでしょうか。 ▽後半10分にはGKラウールがパンチングしたボールをエリア外でアセンシオが待ち受け、25メートルの距離から狙い澄ました一発を決めたため、会場の雰囲気が一変。ラス・パルマスも前半こそ、器用にパスを回していたものの、時間の経過と共に疲れが出たか、28分にはとうとうマドリーのお家芸、高速カウンターにはまってしまってはどうしようもありませんって。ええ、この日はロナウドがドリブルで右サイドを上がり、ゴール前にラストパス。ピッチ中央を一緒に全力疾走してきたイスコがこれに合わせ、3点目をゲットしたとなれば、もう勝利は安泰です(最終結果3-0)。 ▽ただ、こちらもいい話ばかりではなくて、この試合でも今季まだリーガ1得点のコンビ、ロナウドとベンゼマのゴール日照りは続行。いえ、後者などは序盤、GKとの1対1を失敗し、交代時にもブーイングを受けながら、特に表情に変わりなかったんですが、「Cris es cierto que se va a casa molesto cuando no mete/クリス・エス・シエルトー・ケ・セ・バ・ア・カサ・モレスト・クアンドー・ノー・メテ(ロナウドはゴールを入れないとムクれて家に帰る)」とセルヒオ・ラモスも言っていた通り、前者はイスコのゴールが決まった時もまったく喜ばず。ジダン監督は「アシストして彼は満足しているよ」と一応、フォローしていましたけどね。今月はフェルナンド・サントス監督からポルトガル代表参加も免除されているため、サウジアラビアとアメリカ相手の親善試合でゴールを量産する機会を逃し、逆にこの2週間、当人がフラストレーションを溜め続けることにならない? ▽加えて、10月の代表戦直前から負傷で欠場が続いているベイルも今回、ウェールズ代表には行かず、ダービーで復帰予定ですし、ベンゼマはずっとデ・シャン監督に呼ばれていませんからね。18日のワンダ・メトロポリターノにはBBCが勢揃いというのも怖いんですが、他にもカルバハル(スペイン)がそろそろ実戦に戻れそうだとか。ヴァランも元気になってフランス代表に行きましたし、唯一、コバチッチだけはまだ時間がかかりそうで、今回も先輩モドリッチが何とか母国をロシアに導いてくれるよう、マドリッドで応援。ブラジルの親善試合に参加するマルセロ、カゼミロも日本戦はリールで、イングランド戦はロンドンでと短い旅程ですし、スペイン代表もラモス、ナチョ、アセンシオ、イスコの4人だけと最近は少ないんですよ。 ▽となると、あまり代表疲れしてダービーに臨む選手もいないかと思いますが、こればっかりはねえ。ちなみにマドリーのバルデベバス(バラハス空港近く)でのセッションは水曜午後4時から再開されますが、この代表戦週間は有名選手が結構、残っているため、マドリッド観光に来ているファンなら、クラブのオフィシャルページ(http://www.realmadrid.com/)でentrenamiento(エントレナミエントー/練習)の予定をチェックして、セルカニアス(国鉄近郊路線)C-1号線Valdebebas(バルデベバス)駅から歩いてすぐの関係者用車両出入り口前で選手を待つなんてしても楽しいかも。 ▽彼らの車が止まってくれるのは帰りの方が多いんですが、目安として、セッションは1時間程。それから着替えやマッサージをして、それぞれ三々五々、出て来ることや、最近のマドリッドは急激に気温が低下している上、現地は吹きっさらしでお店も何もないため、しっかり防寒していった方がいいというのがアドバイスになりますでしょうか。そうそう、代表戦週間中は大抵、どのクラブも週末は練習休みになるのも覚えておいた方がいいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.11.07 12:21 Tue
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【編集部コラム】17年越しのリベンジを果たした尹晶煥がC大阪にもたらした変革

▽「私自身の歴史も、新しいものが始まりました」。試合後に笑顔で語ったのは、セレッソ大阪の尹晶煥監督。積年の想いを、自身が作り上げ、変革をもたらした古巣のセレッソ大阪で果たすことに成功した。 ▽現役時代に韓国代表としても活躍した尹晶煥監督は、2000年に桜色のユニフォームに袖を通した。選手として3シーズンを過ごしたセレッソ大阪の指揮官に就任した尹晶煥監督は、チームの改革に動く。 ◆J2仕様からJ1仕様へ(C)CWS Brains,LTD.▽2014年にJ2へと降格したセレッソ大阪は、2015年に昇格を争いながらもプレーオフで敗退。2016年は、バーゼルからFW柿谷曜一朗、川崎フロンターレからFW杉本健勇、シーズン途中にハノーファーからMF山口蛍が復帰し、J1昇格プレーオフを制してJ1復帰を果たした。 ▽3年ぶりのJ1挑戦となったセレッソ大阪の指揮官に就任した尹晶煥監督は、J1で戦うべく古巣に改革をもたらす。サガン鳥栖時代にも見せていた“ハードワーク”を選手たちに植え付け、各個人の守備意識に変化をもたらした。 ▽テクニックに秀でた選手が多く、攻撃で違いを生み出せる選手が揃っていただけに、シーズン当初は噛み合わない時期もあった。それでも、選手たちに意識が芽生え、チームは安定した成績を残し、ルヴァンカップの決勝でも破壊力のある川崎フロンターレ相手にその成果を見せつけた。 ◆植え付けられた守備の意識(C)CWS Brains,LTD.「まずは失点しないことが大事ですが、やっぱりどうやって守備をするかが大事です。それを今選手たちは凄く良くやっていると思います」 ▽尹晶煥監督のサッカーは、守備をベースに置きながらも、ただ守るだけではなく、相手の長所を消すスタイルを用いている。「(長所を)出せなくすることが良く当たっていた試合だと思います」。尹晶煥監督は、自身が植えつけた戦い方に満足感を見せていた。 ▽また、選手たちの口からも、守備のことが語られる。清武は「相手が明らかに僕のサイドを押し込んできていたので、そこで割り切って、守備に専念して、カウンターを狙うことにした」とコメント。攻撃面で違いを出せる清武でさえも、MF家長昭博、DFエウシーニョと対峙した左サイドでは、ピッチ内で判断し守備に奔走。最終ラインに吸収されてまで守備を遂行した。 ◆川崎フロンターレへのリベンジ(C)CWS Brains,LTD.▽尹晶煥監督は優勝決定後の会見で過去の出来事を回想した。 「川崎といえば、17年前のことを思い出します。優勝を目の前にして、優勝を逃した記憶が蘇ります。17年たって、やり返すことができたと思います」 ▽尹晶煥監督の現役時代、セレッソ大阪に加入した2000年のJ1は2ステージ制だった。セレッソ大阪は、1stステージの第14節を終えた時点で首位。最終節の川崎フロンターレ戦に勝利すれば、ステージ優勝が達成できた。 ▽J2から昇格1年目だった川崎フロンターレは、1stステージで15位と苦戦。セレッソ大阪としては勝利が濃厚と思われていたが、試合はホームで1-2と敗戦。横浜F・マリノスに首位の座を奪われ、タイトルを逃していた。 「歴史というものは、こういう風に勝って歴史を書き換えられると思います。今日の勝利で、セレッソの新しい歴史が加わると思います」 ▽現役時代にセレッソ大阪で成し遂げられなかったタイトル獲得。タイトルに近づいた当時を知る尹晶煥監督にとって、この日は待ち遠しかったに違いない。冒頭にも書いた「私自身の歴史も、新しいものが始まりました」というフレーズ。尹晶煥監督は現役時代にタイトルと縁がなく、自身にとっての初タイトルがセレッソ大阪にとっての初タイトルとなった。 ◆再びカップをピンクに染められるか(C)CWS Brains,LTD.▽晴れて無冠から脱出したセレッソ大阪。今シーズンのリーグ優勝はなくなったが、2冠の可能性は残されている。2018年の元日に行われる天皇杯決勝。再び、カップをピンクに染めるチャンスが待っている。 ▽「メンバーだけを見れば、優勝という言葉も出てくるでしょうが、全てが揃っているとは思わないです」とシーズン前の尹晶煥監督はコメントしていた。下馬評の高さに踊らされない芯の強さを感じたコメント。しかし、ルヴァンカップを制した後は「これが決して終わりではありません」と更なる結果を残す意欲を口にした。 ▽準決勝、決勝と残されているが、天皇杯は自分たちの力で掴むことができる状況に立っている。「全選手を信じて起用し、選手たちがそれに応えてくれたので、信頼感が高くなったと思います。その結果、こういったチームになったと思います」。尹晶煥監督は、自身が作り上げたチームに自信を持っている。 「大勢の方々がスタジアムに足を運んでもらって、我々に声援を送っていただければ、その力で後押しに走る姿をお見せします」 (C)CWS Brains,LTD.▽シーズン前に尹晶煥監督はこう口にしていた。そして、開幕から約8カ月が経った11月4日、その約束を果たし、ファン・サポーターの後押しを受けたチームは、悲願のタイトルを獲得した。 ▽ファン・サポーターを含め、レギュラー組、ベンチメンバー、ベンチ外のメンバー、さらにはスタッフなどクラブ一丸となって初タイトルを獲得したセレッソ大阪。チームはまだ途上にあるが、尹晶煥監督がクラブにもたらしている変革は、大きなものになるに違いない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.06 21:50 Mon
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【編集部コラム】自信に満ちた鬼木フロンターレでも乗り越えられなかった壁

▽タイトルに手が届きそうで届かない。川崎フロンターレはまたしても壁にぶち当たった。 ▽11月4日に埼玉スタジアム2002で行われた2017JリーグYBCルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦。川崎Fは0-2で負け、クラブ史上初のタイトル獲得を逃した。 「勝てなかったことは本当に悔しいですし、自分の力不足を感じています。何が何でも選手たちにタイトルを獲らせてあげたいという思いがありましたけど、なかなかそういう結果に結びつけることができず残念であります」 ▽今シーズンから川崎Fを率い、「クラブに初載冠を!」との重責を託された鬼木達監督はC大阪との決勝戦後、そう敗戦の弁を絞り出した。 ◆自信に満ちた決勝前日(C)CWS Brains,LTD.▽それもそのはずで、過小評価するわけではないが、決勝の相手は、自分たちと同じようにタイトルに無縁だったC大阪。Jリーグ最多タイトル数を誇る鹿島アントラーズでなければ、次点のガンバ大阪でも、浦和レッズが相手でもなかった。それだけに、悔しさは一入だったはずだ。 ▽さらに付け加えれば、近年に経験したタイトルマッチという場数の面においても、C大阪よりも川崎Fの方に分があった。両クラブの監督と選手を交えた前日記者会見でも、鬼木監督はある程度の手応えと自信に満ちていた。 「今年、『絶対にタイトルを獲ろう』という思いの下、キャンプをスタートさせた。なので、タイトルの懸かった試合を戦えることを本当に幸せに思う。選手全員の力でここまで上がってきたので、是非ともタイトルを獲って、フロンターレの歴史を変えたい」 ◆充実感と成熟度が自信に(C)CWS Brains,LTD.▽鬼木監督は、今シーズンから前任の風間八宏監督(現名古屋グランパス監督)の後任として川崎Fの監督に就任。風間監督の下で良くも悪くも“攻撃偏重”のチームに、キャンプ時から“激しさ”と“守備意識”の植え付けに着手した。 ▽その頑張りは、シーズンが進むに連れて、選手の戦いからも見て取れるようになっていった。さらに、新加入のMF阿部浩之、MF家長昭博もフィットの兆しを見せ、鬼木監督自身も試合を追うごとに采配の部分で指揮官らしさに磨きがかかっていった。 ▽充実感と成熟度が増した中で、チームとして掴み取ったC大阪とのタイトルマッチ。内容を追うばかりに2007年と2009年の決勝で涙を呑んできた川崎F一筋15年のMF中村憲剛の前日コメントからも、“鬼木イズム”の浸透度具合が感じ取れた。 「ここで勝つために1年間やってきたので、良い試合というよりも勝つ試合をしたい」 ◆改めて痛感させられた力不足(C)CWS Brains,LTD.▽しかしながら、夢はまたしても儚く散った。結果は0-2で、チームにとって通算4度目の準優勝。試合後のミックスゾーンで取材陣のインタビューに応じた中村自身も、「正直、自分の中でもわからない」と何が足りなかったのか首をかしげるほどだ。 ▽記者席から試合を見ていると、川崎Fの面々は動きが硬かった。その中で、DFエドゥアルドの処理ミスから大会史上最速となる47秒での失点。前日の取材対応で「一発勝負なので、立ち上がりはすごく大事になる。気合が入りすぎてもダメだし、テンションが高すぎてもダメ」と話していた中村の言葉が悪い形で的中した。 ▽早々の失点は、リード後のベタ引きで守備に徹してきたC大阪の対応にも乗じて、川崎F陣営に焦りの気持ちを助長させた。ボールポゼッションを高めて相手の狭いスペースに鋭くパスを入れるが、一向にゴールをこじ開けられない。シュートチャンスが巡ってきたかと思えば、ボールは枠の外か、甘いコースにしか飛ばなかった。 ▽その中で、鬼木監督は、3つの交代カードで流れを変えようと知恵を振り絞った。だが、MF阿部浩之を投入する際には、MF大島僚太を下げるのか、MFエドゥアルド・ネットを下げるのか、テクニカルエリアでやや迷う姿も。チーム全体で迷いが生じていた感が否めなかった。 ▽そして、後半アディショナルには前がかりに出た隙を突かれ、カウンターからMFソウザにトドメを刺される一発を被弾。川崎Fのタイトルを懸けた戦いは、終戦を告げられてしまった。 ▽改めて痛感させられた力の足りなさ。鬼木監督は試合後、「力不足」の具体性を求められると、「やはり1つは交代の部分も含めて、もっともっとパワーを出せたのではないかという思いがあります」と考えられる範囲で敗戦理由をそう導き出した。 ◆真価が問われる今季残り3試合(C)CWS Brains,LTD.▽川崎Fには、明治安田生命J1リーグ優勝というタイトルの可能性が残されており、戦いを終えるにはまだ早い。首位に立つ鹿島との勝ち点差は「7」。残り3節ということを踏まえると、厳しい状況に変わりはないが、まだ逆転優勝の可能性がないわけではない。 ▽代表ウィーク明けにホームで行われる第32節では、ガンバ大阪と対戦する。あとは、選手たちがこの敗戦を受けて、どう立ち直り、どう糧にして真の強豪へとのし上がっていくかが大事になる。鹿島だって、G大阪だって、浦和だって、あらゆるタイトルを簡単に手にしてきたわけではない。強豪にのし上がる背景には必ずタイトルマッチでの敗戦がある。 ▽「今日の負けで全てが終わったわけじゃない。自分たちがやってきたことがなくなるわけでもない」と、自身に言い聞かせるように語気を強めた中村の言葉は正しく、C大阪とのタイトルマッチに敗れたからといって、チームとして築き上げてきたものが一瞬にしてリセットされるわけではない。 ▽継続は力なり――シルバーコレクターという汚名を返上する時はまた必ずやってくるはず。このチームは既に他クラブのファンをも魅了する攻撃的なサッカーを体現している。足りないのは、壁にぶち当たった後のリアクション。今シーズンの残されたリーグ戦3試合の戦いぶりでチームとしての真価が問われそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2017.11.06 21:00 Mon
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新コラム『現地発! スペインの今』がスタート! カタルーニャ問題に揺れるスペインについて、現地報道と独自の取材で切り込む!!

▽チャンピオンズリーグは折り返し、各グループで決勝トーナメント進出チームが決まり始めています。また、欧州リーグも序盤が終わり、各リーグともに今シーズンの様相が見え隠れしてきました。ワールドカップイヤーを迎えるにあたり、「超ワールドサッカー」ではより充実したサッカー情報をお届けすべく、新アプリを今冬に配信します。 ▽新アプリでは、色々な切り口でサッカー情報をお届けする新コラムが配信! 新コラム第2弾として5日に、『現地発! スペインの今』がスタートします。 ▽カタルーニャの独立問題に揺れるスペイン。その背景や、その後の進展について現地で取材活動を行う、超ワールドサッカー初登場のコラムニストが政治的な側面からスペインサッカーに切り込みます。 ▽その他、連載開始から大人気となった元川悦子氏による『日本代表にこの選手を呼べ!』の最新版を11月中旬に配信。さらに、Jリーグマーケティング部 山下修作専務が語る『Jリーグが今伝えたいこと』、試合のターニングポイントとなったゴールが生まれるまでの解説など、多くの新コラムが誕生します。 ▽また、これまでのコラムニストも新たな切り口でサッカー情報を配信。「超ワールドサッカー」の“ご意見番”六川亨氏による『日本サッカー界の歩み』、おちゃらけたコラムでしっかりと試合の見所を伝えてきた倉井史也氏には、“少し真面目に”今見るべき国内選手の紹介。スペイン在住の原ゆみこ氏は、一押しスポットを教えて頂きます。今後の超ワールドサッカーにご期待ください!! ◆新コラム初稿配信スケジュール(一部紹介) 《11月上旬》 『スペイン情勢』 ▽スペインで巻き起こるカタルーニャ独立問題。現地で取材活動を行うフットボールライターが、政治的な側面からサッカーの本質に切り込む。 《11月中旬》 『元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!』 ▽連載開始から大人気コラムとなった元川氏の最新コラムを掲載予定!! Jリーグで結果を残しながらもハリルジャパンに縁がない選手をピックアップ!! 《11月下旬》 『ターニングポイント』 ▽ゴールシーンばかりが注目されるサッカー。一体なぜそのゴールが生まれたのか?ターニングポイントとなったプレーを紹介。 『Jリーグが今伝えたいこと』 ▽Jリーグマーケティング部の山下修作専務に、Jリーグの社会貢献活動についてインタビューを実施。 ◆超ワールドサッカー定期コラム 毎週月曜日 『六川亨の日本サッカー界の歩み』 ▽ワールドカップ出場が当たり前となった日本のサッカー界。これまで歩んできた道のりや歴史を、日本サッカー界の暗黒時代から知る六川亨氏が紐解いていく。 毎週火曜日 『原ゆみこのマドリッド』 ▽現地在住の原ゆみこ氏が、取材活動から得た情報、監督、選手の声をおとどけ。独自目線の試合レビューも紹介。 毎週木曜日 『六川亨の日本サッカー見聞録』 ▽日本サッカー界を見続けてきた六川亨氏が、国内サッカー界の今を伝える。そこから日本が本当に世界と戦っていく上で足りないものや改善すべき点を提言。 毎週金曜日 『倉井史也のJリーグ』 ▽試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。そんなJリーグマニアの倉井氏が、自身が得意とするデータ分析から今見るべき国内の注目選手を紹介。 ▽毎週土曜日 『原ゆみこのマドリッド』 ▽火曜日にも連載を持つ原氏が、週末のおすすめ試合を元に、スタジアム近郊のおすすめスポットや地元民が愛するおすすめのバルなどを紹介。スペイン旅行を助ける、ちょい足し情報を提供。 2017.11.05 08:00 Sun
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