超ワールドサッカー

コラム

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【倉井史也のJリーグ】どっかの監督の代わりに見ておくべき選手を見に行こう?! の巻

▽あぁ、よくわかりましたよ。どっかの監督って、あんまりJリーグ見てないみたいですね。こんなに好調なのに代表外されちゃうって、リーグの開幕に帰ってこなかった理由は、ヨーロッパの選手たちと会ってたからかよ! 出ても出なくても関係ないのかよ! 自分でトレーニングしてても、ヨーロッパにいたらいいのかよ! なんで今回は通訳が違うんだよ! どうしてハリルホジッチ監督は質問された内容と全然違う答えを延々としゃべり続けるんだよ! 相手にうんざりさせて二の句を告げさせない作戦かよ! ▽ってもう完全にお腹が立っていらっしゃる状態なんですけど。だいたい、この発表の度にドキドキしながら待ってる名前があるんですよ。散々監督に貢献したのに、パタッと呼ぶのを止めてしまってる選手……。あ、みなさん、そう聞くと、「あれかな?」「あれだろう!」って結構思い浮かばないですか? ▽まぁ最初にかわいそうでならないと思ったのは、浦和のFW武藤雄樹なんですけどね。東アジアカップの時は唯一活躍してたのに、あれ? その後青いユニフォーム姿、あんまり見てませんよね。ちょっとかわいそうじゃないですか? で、今回も絶対呼ぶべき選手がいたと思うんですよ。 ▽そりゃもちろん、川崎のMF大島僚太。だって前回のUAE戦の時は、いきなり代表初出場で投入されて、PK取られちゃって、本人悔しかったと思うんですよ。だったら今回のアウェイはその苦い思い出をバネにできる、いいチャンスじゃないですか。でもね、名前も挙げてあげないなんて、マジちょっとかわいそうで仕方がない。 ▽ちゅうことで、今週は大島を見に行きますよ。あ、しかもすごくいいことが。だって18日、横浜FMvs三浦文丈、じゃなかった新潟が14時キックオフ、FC東京vs川崎Fが19時キックオフじゃないですか。16時に試合が終わって、バッチリ間に合う時間です。ちなみに経路は16時35分の横浜線快速に乗って橋本駅まで。そこで今度は17時18分の京王相模原線の準特急に乗って調布へ。んでもって、17時40分の京王線各停高尾山口行きに乗って飛田給着が17時43分。ま、誰かの代わりにしっかり見ておきましょうかね。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.03.17 08:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】気になるUAE戦の主審

▽3月23日から始まるロシアW杯アジア最終予選のUAE戦とタイ戦(28日)に臨む日本代表25名が16日に発表された。すでにメンバーとハリルホジッチ監督のコメントはニュースで掲載されているので割愛するが、興味深かったのは指揮官が会見の冒頭と終わりに、3回もレフェリーについて言及していたことだ。 ▽最初は「選手たちは誰も第1戦(昨年9月のUAE戦、1-2で敗戦)を忘れていないと思う。われわれにとってリベンジの機会でもある。W杯の出場権は誰もプレゼントしてくれない。もしかしたら暴力的なことや挑発もあるかもしれないし、フィジカル的な戦いもあるだろう」とした上で、「そのような中でもスポーツマンシップに則って、ルールに則って戦うことができればと思うし、適正なレフェリングを期待している」と、やんわり牽制した。 ▽そして終わりの頃には「たとえば初戦、私は思い出すと39度くらい熱が上がるのであまり思い出さないが、内容は悪くはなかった。守備でも攻撃でも興味深い点があった。少し細かいミスがあったが、それにプラスしてレフェリー影響があり、受け入れがたい試合だった。だからこそリベンジしたい」と語り、最後には「レフェリーに厳正な判定を期待したい」と締めくくった。 ▽終わりの頃の2つの発言は、記者の質問に答えているうちに、話が脱線してレフェリーに話題が及んだものだ。ハリルホジッチ監督は、よほどカタール人レフェリーのアル・ジャシム主審のジャッジに腹が据えかねているようだ。1点目につながったDF吉田麻也の反則は、相手の腕に軽く触れただけで吉田にはイエローカードが出て、FKを与えてしまった。デュエルを求めるなら流してもいいプレーだ。 ▽決勝点は3人で囲みながら、MF大島僚太が足を引っ掛けたとしてPKを取られた。このプレーについて、昨年のW杯予選サウジ戦かCSか、記憶は定かではないが、元審判委員長の上川徹とエレベーターの中でご一緒したので、PKかどうか質問したことがある。上川氏の答えは「足が掛かっていたのでPKでしょう」というものだった。 ▽しかし、すぐに我ながら愚問だと気付いた。PKというジャッジが下された以上、審判経験者が「あれは誤審です」と言うはずがない。立場上、下されたジャッジは認めざるを得ないのが上川氏でもあるからだ。さらに、FW浅野拓磨のゴールも認められなかった。これではハリルホジッチ監督に限らず、レフェリーに文句を言いたくなるものだ。 ▽昨年のACL決勝はアル・アインと全北現代が対戦した。全北現代は韓国らしいフィジカルを前面に押し出したサッカーで、アル・アインのエース、MFオマル・アブドゥルラフマンに何も仕事をさせなかった。アウェイではあるが、日本もデュエルを前面に押し出して戦えば、UAEは決して怖がらなければならないような存在ではない。ただし、問題はどの国のレフェリーが主審を務めるかだ。 ▽まだAFCの公式ホームページに試合のデータはアップされていないため確かめようがないが、できれば中東でも極東でもない第3国となるオーストラリアの審判団を期待したいものだ。23日はUAE対日本戦の3時間30分前に、タイがホームでサウジと対戦する。タイはホームでオーストラリアと引き分けただけに、こちらもサプライズを期待したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.03.16 23:30 Thu
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【東本貢司のFCUK!】クラブレジェンドの“貫目”

▽ンゴロ・カンテについて、フランク・ランパードが「現役世界最高のミッドフィールダー」だと言ったらしい。納得するファンも多かろう、少なくとも「当たらずとも遠からず」といったところだろう。しかし、ちょっと待った。カンテがもしチェルシーのプレーヤーじゃなかったら? ランパードがわざわざそこまで声を上げて褒めちぎっただろうか。素直な感想にケチをつけるつもりは毛頭ないが、ひいき目の要素は押さえておくべきではないか。なぜなら、先のFAカップ戦でスタンフォード・ブリッジのファンがジョゼ・モウリーニョに対して冷やかし/侮蔑的なやじを飛ばした事実に思い至るからだ。二度の解任の際の後味の悪さや“口の悪さ”という瑕疵(?)は確かにあるにしろ、モウリーニョはチェルシーが果たした1部優勝5回のうち3つに導いた、史上最高の指導者ではないか。どうせならランパードもそのことに触れて「哀しい」とくらいは言ってほしかったが・・・・・。 ▽実際に、その“哀しみ”を口にした人物がいる。モウリーニョ・チェルシー時代に副官を任じたこともあり、クラブ史に名を残すレジェンドの一人、レイ・ウィルキンズだ。付け加えておくと、ウィルキンズは80年代のイングランド代表でキャプテンを務めたトッププレーヤーであり、そのうえ他ならぬマンチェスター・ユナイテッドに籍を置いていたこともある。彼曰く「チェルシーを最も輝かせてくれた男にそんな仕打ちをするとは恥ずかしい。もっと敬意を示すべきだろう」。そうなのだ。例えば、ジョージ・グレアム。ヴェンゲル到来の少し前、アーセナルに「ダブル」(リーグ&FAカップ)をもたらした名将に対し、リーズおよびスパーズの監督として彼がハイベリー(当時)に帰ってきたとき、ガナーズファンは万雷の拍手で迎えたものである。アーセナルから追われた理由が、北欧のプレーヤー2名獲得の際の「収賄(疑惑)」だったにもかかわらず。それは90年代に入ったばかりのことだった。まさか、チェルシーファンは忘れっぽいなんてことはあるまい? ▽それにひきかえ、レスターのサポーターは(まだ「間もない」とはいえ)ラニエリへの恩を熱く語り「哀しんで」いる。そこには決して、後を引き取ったクレイグ・シェイクスピアを腐す意味合いはなく、シェイクスピア自身もしっかりと敬意と“慕情”を隠さない。なぜ、ラニエリ解任後のレスターに快進撃が蘇ったのか。短絡な脳は「だから、ラニエリがダメだったってことだろう」と片付けるかもしれないが、それはまったく逆だ。ラニエリを去らせてしまった責任を感じて、シュマイケル、ヴァーディー以下が奮起したのであり、何よりもシェイクスピアが昨シーズン花開いた“ラニエリ流”の原点に戻った采配に徹しているからだ。間違っても、アーセナルをねじ伏せたリヴァプールが「不調」だったとは言わせない。レッズもハルも気圧されたのだ、レスター・イレヴンのラニエリに捧ぐ“回帰”の熱気と気迫に。セヴィージャも間の悪いときに乗り込んできたものである。ひょっとしたら「ラニエリ監督のままだったらよかったのに」と嘆いているかもしれない? ▽昨シーズンとはまるで人が変わったように、凡プレーを連発していたドリンクウォーターとフークスが、なぜか“直後”のリヴァプール戦から“復活”した。カンテの抜けた穴をまったく感じさせない、全軍躍動のオールコート・ディフェンスがさく裂する。急に得点感覚を取り戻したヴァーディーには“(移籍)価格”高騰の噂すら飛び交っている。ならば、なぜそれが“息をひそめて”いたのか。そう、彼らは予想外のチャンピオンになってしまった“重荷”に、奇妙な“とってつけのプライド”を身にまとおうとしたのではなかったか。恥ずかしいゲームはできない、相手は目の敵にして立ち向かってくるだろう、そのためには何かプラスαがなければ・・・・とか何とかの強迫観念に(無意識のうちに)とらわれていたのだろう。それが証拠に、チャンピオンズでは無心に「自分たちのプレーができて」(おや? どこかで聞いたセリフ)悠々と勝ち進んできたではないか。言葉は悪いが「負けてもともと」の肩の力が抜けた彼らの本領が“初体験の土俵”で生きたのだろう。 ▽だからこそ、ブッフォンは真っ先に「一番当たりたくないチーム」とレスター警戒を口にした。少しはプレミアを知るアンチェロッティも遠からずの気持ちかもしれない。奇跡の逆転劇の直後、まさかの対デポルティーヴォ敗戦に肩を落としているはずのルイス・エンリケには、レスターの「レ」の字も関係ないか。逆に、レスターが一番避けたい相手はモナコかもしれない。モナコにもプレッシャーに(良い意味で)鈍感なあっけらかんさを感じる(のは筆者だけ?)からだ。それを言えば、嗚呼、堅調に戻ったはずのシティーの不甲斐なさよ。あんな、マークの甘さでホームのモナコを黙らせることができると思ったのだろうか。グアルディオラもさぞやため息を・・・・その一方で、内心、あの“かっ飛び”核弾頭のムバッペをマジで獲りにいこうか、などと考えているかもしれない。おっと待った、せっかく、クラブレジェンド・アンリの「再来」といわれるからにはアーセナルに行ってもらわないとね。それがヴェンゲル続投のまたとない説得力になるやもしれないし・・・・!【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.03.16 11:15 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】後ろは振り返っちゃいられない…

▽「ちゃんとカメラは戻ったのね」そんな風に私が驚いていたのは月曜。ベティス戦後のミックスゾーンでセルヒオ・ラモスが喋っている映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、前日の夜は私もサンティアゴ・ベルナベウのミックスゾーンにいたんですけどね。マルセロに続いてモドリッチが登場したため、いつも2人しか選手を出さないレアル・マドリーですし、すでに時計の針も12時過ぎ。TV各局のクルーも撤退していたとなれば、久々にちがう選手の話を聞けたと満足していた私がスタジアムを後にしてしまったとしても無理はなかった? ▽それが驚いたことに、メトロ(地下鉄)の駅に向かう途中もラジオ・マルカ(スポーツ専門放送局)をつけっぱなしにしていたところ、いきなりラモスの囲み会見が始まるんですから、やられた感の半端ないことといったら! うーん、同郷のモドリッチのコメントが取れて、嬉しそうにしていた顔馴染みのクロアチア人記者から、帰りがけに「ラモスは待たないの?」と冗談交じりに訊かれてはいたんですけどね。このところ、マドリーの成績が安定せず、敗戦や引き分けのたびに言い訳会見をしていたキャプテンですし、試合直後のピッチインタビューも受けていたため、「いくら何だって、6試合連続でミックスゾーンに出て来る訳ないじゃないの」と勝手に判断してしまった自分が悪いんですが…いや、その日の試合同様、ラモスのやることは常識で判断しちゃいけないって、本当に勉強になりましたよ。 ▽まあ、その辺はまた後からお話しますが、先週末のリーガはマドリッド勢、皆がハッピーになれる結果に。始まりは土曜、サンチェス・ピスファンでセビージャに挑んだ新弟分。相手は今週火曜にクラブ史上初のCL準々決勝進出が懸かった16強対決レスター戦2ndレグ(1stレグは2-1で勝利)が控えているため、気が散っていたんですかね。開始2分にエル・ザールのラストパスから、ガブリエウ・ピレスが器用なバックヒールでゴールを挙げ、レガネスが見事に先制。前半終了までもう少しという42分にはヨベティッチに同点弾を決められてしまったものの、後半何とか持ちこたえて、1-1の引き分けをもぎ取っているんですから、頑張ってくれたじゃないですか。 ▽そして夜は先輩格のアトレティコがセビージャ(スペイン南部、アンダルシア地方の首都)からそれ程、遠くないグラナダ(アルハンブラ宮殿で有名な町)でキックオフとなったんですが、CL戦を控えているのは同じとはいえ、こちらはフェルナンド・トーレスやガメイロ、ガビら、欠場者が多かったのが響いたんですかね。前半はカラスコやグリーズマンのゴールがfuera de jugo/フエラ・デ・フエゴ(オフサイド)で取り消されたぐらいで、どちらも得点することなしに終了。このままではスコアレスドローになりかねないと心配したか、シメオネ監督は後半頭からトーマスの代わりにコレアを入れたんですが、あまり代わり映えはしませんでしたねえ。 ▽それどころか、グラナダに決定力のあるストライカーがいないため、ゴールにこそなりませんでしたが、シュートをどんどん撃ち始めたため、ガイタンをCBヒメネスに代え、彼にボランチをやらせて敵の攻勢を止めるなんて苦労もしていましたが…。またもや私が諦めかけたころ、ようやく才能を発揮してくれた選手がいたんですよ! 38分、コケが短いCKから繋いで、再びエリア前すぐ右からクロスを上げたところ、ワンクッション置いたせいでマークが外れたのか、グリーズマンがヘッドでネットに収めてくれたから、どんなに助かったの何のって。 ▽まあ、シメオネ監督によると、「El cabezazo es por la tecnica mas que por la altura/エル・カベサソ・エス・ポル・ラ・テクニカ・マス・ケ・ポル・ラ・アルトゥーラ(ヘッディングが決まるのは身長より、テクニックのおかげ)」なんだそうですが、決して長身FWとは言えないグリーズマンが邪魔をされずにボールをミートするにはチームメートの協力が不可欠。地道なセットプレーの練習が実ったおかげで、何とか0-1で勝利をゲットと、レガネスのためにもなってあげられましたが、実際、降格圏にいる相手にここまで苦労しているのでは先が思いやられるかも。となると、シメオネ監督が「セビージャを見るのは良くない。Cinco puntos son muchos/シンコ・プントス・ソン・ムーチョス(勝ち点5差というのは大きいからね)。レアル・ソシエダもビジャレアルも強いから、4位の座を確定させるべきだ」と話していたのはもっともだった? ▽いえ、終了直後にマイクを向けられたコケなどは、まだ監督記者会見前だったせいか、「estamos felices por estar mas cerca del objetivo, que es ser terceros/エスタモス・フェリセス・ポル・エスタル・マス・セルカ・デウ・オブヘティーボ、ケ・エス・セル・テルセーロス(3位になるという目標に近づけて嬉しいよ)」と、素直に喜んでいましたけどね。実際、本当にアトレティコにここ数年、定位置の3位奪回の可能性が出て来るのは今度の日曜。直接対決でセビージャとの差を勝ち点差2まで近づけてから。その前、1stレグでは2-4でアウェイゴールをいっぱい持っているとはいえ、先週バルサがPSG相手に4-0を6-1で引っくり返したなんて例もあったことですし、0-3なら逆転敗退してしまう水曜のレバークーゼン戦2ndレグも気になりますしね。 ▽こうなるとそれこそ、「Nosotros tenemos que tratar de ganar todas las finales que nos quedan de aqui al final/ノソトロロス・テネモス・ケ・トラタル・デ。ガナーウ・トーダス・ラス・フィナレス・ケ・ノス・ケダン・デ・アキー・アル・フィナル(ウチはこれから最後まで残っている全ての決勝に勝っていかないといけない)」(ヒメネス)という姿勢でいってもらいたいものですが、さて。そんな目が離せないアトレティコvsレバークーゼン戦は水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ロジャー・シュミット監督からタイフン監督に代わった相手にはCBトプラクが負傷、GKレノやベンダーら主力の出場が微妙と戦力的に不安がありますが、アトレティコもトーレスは月曜から全体練習に復帰したものの、ガメイロはまだ個別メニューですしね。グラナダ戦で終盤に鼻を強打、オブラクがタオルを貸してあげたり、コケが顔に水をかけて鼻血をゴマかそうとしたにも関わらず、結局骨折が判明したサビッチはマスクをすればプレー可能なようです。 ▽そして翌日曜、夕方の試合でバルサがデポルティボに2-1で敗戦するという不覚を取るという朗報(17位に落ちてしまったレガネスには凶報)を手にベティス戦を迎えたマドリーでしたが、また性懲りもなく、敵に先制されてしまったんですよ。いえ、前半20分に1人、ゴールに向かって来たダルコをエリア外に飛び出て迎え撃ったGKケイロル・ナバスは、相手にぶつかって倒してしまったものの、マテオ・ラオス主審が「Él sabe que hay contacto, me lo reconoce, pero no le da lo suficiente para pitarlo/エル・サベ・ケ・アイ・コンタクトー、メロ・レコノセ、ペロ・ノ・レ・ダ・ロ・スフィシエンテ・パラ・ピタールロ(接触があったのはわかっていて、それは認めていた。でもファールを吹くには十分じゃなかったって)」(セバージョス)とのことで、スルーしてくれたため、レッドカードは出されずに済んだんですけどね。 ▽それで心が乱れたかどうかは知りませんが、その4分後、せっかくサナブリアのシュートを止めながら、「Toco con la mano derecha y es mala suerte/トコ・コン・ラ・マノ・デレッチャ・イ・エス・マラ・スエルテ(右手に当たって、運が悪かった)」(ナバス)と、逃げたボールがラインを割ってしまったから、さあ大変! うーん、最近はベルナベウのサポーターの目がとりわけナバスに対して厳しくて、ポルトに移籍する前のシーズンのカシージャスのように、何かというとすぐにpito(ピト/ブーイング)が飛んできますからね。これでは落ち着いてプレーもできないんじゃないかと心配になりましたが、幸い40分にはマルセロのクロスをクリスチアーノ・ロナウドがヘッドでゴールして、同点でハーフタイムに入れることに。 ▽後半も後半でなかなか点が奪えなかったんですが、ハメス・ロドリゲスをルーカス・バスケスに、モラタをベンゼマにと、ジダン監督も前線を変えて四苦八苦していた75分過ぎ、私もこのまま引き分けたら、バルサと同じ勝ち点になって、またリーガが面白くなるかなと思っていた頃…。ベティスのピッチーニが2枚目のイエローカードをもらって、10人になってしまったの。ただそれが彼らの命取りになってしまったのは、その直後にCKを与えてしまったからで、ええ、ビクトル・サンチェス監督も「それまでウチはマドリーのセットプレーを上手くコントロールしていたが、退場のすぐ後でマークの調整ができなかった」と言っていましたけどね。 ▽クロースがCKを蹴る間、身長168センチの左SBドゥルミシが懸命にラモスを牽制していたものの、何せ相手はヘッドのスペシャリスト。デポルティボ戦では同様に小柄なジョルディ・アルバがベルガンティーニョを抑えられず、決勝点を奪われていましたが、ボールが落ちて来る一番肝心な瞬間に逃がしてしまってはいけません。これでリーガ7点目、CLでも先週のナポリ戦での2発を含めて3点と、今季のゴールを10本にしたラモスはまた、息子さんに電話を掛けるポーズやら何やら、イロイロなパフォーマンスをしていましたが、その一部は「Se lo dedico a mi mujer/セ・オ・デディコ・ア・ミ・ムヘル(自分の妻に捧げる)」(ラモス)ものだったよう。これまで1度も捧げてくれないのを芸能人の奥さん、ピラル・ルビオさんに文句を言われたからだそうですが、なかなか家庭を平和に保つのも大変ですね。 ▽え、それでもロスタイムにナバスのparadon(パラドン/スーパーセーブ)がなかったら、マドリーは追いつかれていたんだろうって? そうですね、ジダン監督が「Keylor tiene carácter aunque cometa un error/ケイロル・ティエネ・カラクテル、アウンケ・コメタ・ウン・エロール(ナバスはミスをしても強い気概がある)」と太鼓判を押していた通り、当人が「Tenía que seguir adelante/テニア・ケ・セギール・アデランテ(前に進まななければならなかった)と、サナブリアの至近距離ヘッドを鬼のような反射神経で弾いてくれたおかげというのは本当だったかと。 ▽うーん、こういうシーンを見ると、どんなにひどいミスをしてもすぐに忘れてしまえる選手が活躍するのがサッカーなんだという気がしてきますが…。まあそんなことはお隣さんを見ていれば、とっくの昔に明らかなこと。もちろんビクトル・サンチェス監督も「前半のナバスのプレーが試合のカギだった。Era de expulsión muy clara/エラ・デ・エクスプルシオン・ムイ・クラーラ(あれは明白な退場行為だったからね)。実際、ウチはピッチーニの退場をすぐに利用された」と嘆いていたように、運にも大きく左右されますけどね。おかげで2-1の勝利を掴んだマドリーはバルサに勝ち点差2をつけて、堂々首位に復帰。ええ、堂々ですよ。だって、まだ未消化のセルタ戦だって残ってるんですから。 ▽そんな彼らは今週のミッドウィークに試合がなく、火曜夕方まで休みで、その後は土曜までみっちり練習ができるんですが、それだけに余裕があるということでしょうかね。いえ、大して時間のないアトレティコでも、日曜のお休みにグリーズマンがパリまで大好きなラッパーのドレイクのコンサートに駆けつけていたぐらいですから、一概には言えないものの、月曜のお昼にはロナウドが市内のシュダッド・リネアルにできた、自身が経営するジム、CR7クランチ・フィットネスの2号店の入会金無料、会員募集プロモーションに出現。 ▽彼女のジョルジーナ・ロドリゲスさんが見守る中、選ばれた一般客と一緒にトレーニングを楽しんでいましたが、面白かったのは今では都市伝説と化していた当人が毎日、腹筋を3000回やるという噂をマジメに否定していたことでしょうか。ええ、「Los suelo entrenar tres o cuatro veces por semana. No sé si llegaré a los mil por semana/ロス・スエロ・エントレンーアル・トレス・オ・クアトロ・ベセス・ポル・セマーナ。ノー・セ・シー・ジェガレ・ア・ロス・ミル・ポル・セマーナ(週3、4回やるけど、1週間で1000回になるかはわからないよ)」とのことですが、それでも十分に勤勉で羨ましい。最近はほとんどミックスゾーンでもお目にかかれないロナウドですが、ベティス戦でトップのメッシまで4点差まで迫ったpichichi(ピチチ/得点王)レースにもそろそろ本腰を入れないといけませんしね。ラモスにも存在感で負けないよう、また次のアスレティック戦ではガンガン、ゴールを決められるといいのですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.14 13:40 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】大物がCLに残った…

▽「来週には戻って来てくれるのかなあ」そんな風に私が心配していたのは金曜日、翌日にグラナダ戦を控え、記者会見に出たアトレティコのシメオネ監督が「今は回復の途中、esperamos que para el miércoles esté con nosotros/エスペラモス・ケ・パラ・エル・ミエルコレス・エステ・コン・ノソトロス(水曜にはいてくれることを期待している)」と、先週ミッドウィークのデポルティボ戦で頭を強打。病院に緊急搬送となって以来、いまだ全体練習に加わっていないフェルナンド・トーレスについて、そう語った時のことでした。いやあ、今週はガメイロも足の付け根を痛め、アンダルシア(スペイン南部)遠征に参加できなくて、それでもFWはグリースアンとコレアがいるんですが、木曜に22歳の誕生日を迎えたばかりの後者はどうにも先発した際のパフォーマンスに信頼が置けず。 ▽といっても今回のリーガの相手は18位のチームですし、もちろん残留を争っているマドリッドの新弟分のために叩いておいてあげたいところですが、同日、3位のセビージャと当たるレガネスが、来季のCLグループリーグ出場権獲得を目指す兄貴分のために何かできるかというと、それも心もとないところですからね。ならば、ここは来週水曜のCL16強対決レバークーゼン戦2ndレグに備えて、休養の意味でもトーレスとガメイロはお休みさせて、人手不足に招集されたカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWシアッピカッセはともかく、カラスコやガイタン辺りにゴールを担当してもらうのも悪くはないかと。 ▽え、2月の1stレグでは2-4とアウェイで勝利、おかげでガビやフィリペ・ルイスにもイエローカードを取らせ、2ndレグで累積警告を消化させることにしたアトレティコなんだから、レバークーゼン戦に向けて、そんなに身構えることはないんだろうって?いやあ、そこがサッカーとはわからないもので、いい例だったのが今週、先行してプレーしたスペイン勢の2試合。どちらも予想外の展開となったため、決して気を緩めることはできないと、私も認識を新たにしたものでしたが…。 ▽ちなみに火曜にレアル・マドリーがプレーした、サン・パオロでのCL16強対決ナポリ戦2ndレグは、いえ、お昼(スペインのランチタイムは午後2時~4時なため、ニュースもこの時間にある)に現地からのTV中継の時点で、すでに観客がスタンドに多数。キックオフ前のレポーターコメントで午後5時頃にはほぼ満員状態になっていたと聞いた時には、ナポリファンはそこまで力が入っているんだと驚かされたものですけどね。当然ながら、選手たちもこの期待に応えたため、前半のマドリーはホームチームの大攻勢にさらされることに。おまけに前半23分にはとうとう、ハムシークのスルーパスを受けたメルテンスが先制点を決め、逆転突破まであと1点にされてしまったから、こちらもドキドキしたの何のって。 ▽うーん、1-0でハーフタイムを迎え、後半のピッチに出て行く前、クリスチアーノ・ロナウドは「No sabemos defendernos/ノー・サベモス・デフェンデール(ウチは守ることを知らない)」と、チームメートを批判していたけど、それはまず自身が反省するべきことだと突っ込みたくなりましたけどね。何せ、前半のマドリーはやられっぱなしで、チャンスといってもロナウドのシュートがゴールポストに当たったぐらいしかなかったんですが、相手が1本しかゴールが決まらないのが不思議なくらい沢山、シュートを撃っていたのは別に守備陣の責任だけではなかったかと。 ▽もちろんこれにはジダン監督も休憩中のロッカールームで、「Lo que hablamos es como siempre, tienes que cambiar/ロ・ケ・アブラモス・エス・コモ・シエンプレ、ティエネス・ケ・カンビアール(話し合ったのはいつものように、状況を変えなければいけないということ)」と、選手たちに意識改革を訴えたんですけどね。その効用が発揮される前に飛び出したんですよ。苦境に立つと発現する、CKクロース+セルヒオ・ラモスのヘッド=ゴールというマドリーの黄金則が!ええ、まずは6分、元同僚のアルビオルを遥かに高く上回って同点弾を撃ち込むと、その5分後には再びヘッドを叩きつけ、ボールの軌道上にあった身長169センチのメルテンスの頭に当たって勝ち越しゴールになっているのですから、恐ろしいじゃありませんか。 ▽ただ試合後、サッリ監督が「マドリーはフィジカル的にウチよりずっと強い。一番小さい選手でも188センチある」と言ったのにはちょっと偏見があって、何せカルバハルやマルセロ、モドリッチらは175センチありませんからね。ナポリのDF陣も高さ的には遜色ないのですから、やっぱり点を取ることばかりを考えて、セットプレー守備の練習がおざなりになってしまった?これであと3ゴール必要になってしまったため、その後のナポリの勢いは緩んできたというか、ジダン監督が順々にベイルやベンゼマを下げ、働き者のルーカス・バスケスやモラタを投入。 ▽チームのバランスを取ったため、最後はロスタイム、ロナウドがGKペペ・レイナに弾かれたボールをモラタがダメ押し点にして、昨季までセリエAのライバル、ユベントスで修業していたせいで、現地入りして以来、ナポリファンのブーイングの的になっていた鬱憤を、指を唇当て、沈黙を要求するポーズを取って晴らすことまでできましたっけ。 ▽これで1stレグ同様、2ndレグでも1-3で勝利、総合スコア2-6で7年連続の準々決勝進出を決めたマドリーだったんですが、当然ながら試合後のヒーローはラモス、ラモス、ラモス。ここ4試合程、イタンビューの連続出場を続けているキャプテンですが、この日は敗戦や引き分けの言い訳をするためではなく、しかも自分の活躍で逆転敗退の危機を乗り越えたため、当人の嬉しそうなことといったらもう。ええ、ピッチではレポーターに訊かれもしないのに、「Qué mejor manera de celebrar mis 100 partidos que marcando los goles/ケ・メホール・マネラ・デ・セレブラル・ミス・シエン・パルティードス・ケ・マルカンド・ロス・ゴーレス(ゴールで100試合出場を祝えるなんて最高)」と、まずヨーロッパの大会出場数で節目に達したことを自らアピール。 ▽続いて、2度目のヘッドが自身ではなく、メルテンスのオウンゴールにされたことに「No jodas, me han quitado el doblete/ノー・ホデス、メ・アン・キタードー・エル・ドブレテ(冗談だろ、ボクの2得点を取られたなんて)」と思わず、文句が出てしまったのはまあ、後で彼もミックスゾーンで言っていた通り、先日のバレンシア戦、マンガラにシュートが当たりながら、得点者はアトレティコのガメイロになったなんて例もありますから、ツキがなかったのを嘆く気持ちもわかりますけどね。でもゴールの後、自分が電話をかけるポーズをしたことについて、「Yo lo hice antes que Leo/ジョ・ロ・イセ・アンテス・ケ・レオ(ボクはメッシより先にやっていたよ)。疑うんなら、ビデオを見てみればいい」って、もしやゴールパフォーマンスの特許権でも争っている? ▽加えて、翌日に同じ16強対決2ndレグで4-0敗戦から、PSG相手に逆転を狙う永遠のライバルに対して、「Estaré más contento si pierde el Barcelona, dormiré más tranquilo/エスタレ・マス・コンテント・シー・ピエルデ・エル・バルセロナ、ドルミレ・マス・トランキーロ(バルサが負けたら満足だよ。落ち着いて眠れるね)」とまで来たら、3月下旬にはスペイン代表の合宿が迫っているのをすっかり忘れているんじゃないだろうかと、私が疑ってしまっても無理はなかったかと。 ▽ただねえ、水曜にはマドリーの大先輩、ラウールも「Remontada del Barça? Esa es la especialidad del Real Madrid/レモンターダ・デル・バルサ?エサ・エス・ラ・エスペシアリダッド・デル・レアル・マドリッド(バルサの逆転劇?それはレアル・マドリーの専門だよ)」と言っていたように、どうにもこのクラブの人たちは奇跡のレモンターダは彼らの専売特許、他のクラブでは真似できないと信じきっているような傾向がなきにしもあらず。 ▽ところがどっこい、翌日のカンプ・ノウでは「そうなるにはバルサが物凄い試合をして、同時にPSGが最低の試合をしないといけない」(ラウール)という条件が実現してしまったから、さあ大変!いえ、一応、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で私も物見雄山的な気分で見てはいたんですけどね。3点リードと、目標まであと2点と迫っていたバルサが後半、カバーニにゴールを奪われ、3-1になった時、意外にも店内からは歓声が上がったのはおそらく、その日、逆転を期待して応援に来ていたクレ(バルサファンのこと)が少なかった?それはともかく、残り30分であと3点が必要になったとなれば、大抵のチームだったら諦めてしまうはずですって。 ▽そんな思いが私にもあり、用事もあったため、後半35分ぐらいにはバルを出たところ、まさか早めにカンプ・ノウから引き揚げた、決して少なくないファンたちと同じ憂き目に遭うことになろうとは!ええ、そこからネイマールの直接FKは決まるわ、後でPSG勢全員が憤っていた、チアゴ・シウバがエリア内でルイス・スアレスを倒したという怪しいPKで、またしてもネイマールが得点。挙句の果てにロスタイム5分、「Me tiré con todo, sin saber si estaba en línea/メ・ティレ・コン・トードー、シン・サベール・シー・エスタバ・エン・リネア(全力で突っ込んだ。オフサイドなのかどうかもわからなかったよ)」と、セルジ・ロベルトが逆転突破を確定する6点目もラジオで聴くだけしかできなかったんですから、逃がした魚は大きかった? ▽え、つまりこれって、ラモスが心安らかに眠れなくなっただけでなく、アトレティコにも準々決勝でバルサに当たる可能性が出てきたってことじゃないかって?まあ、その通りなんですが、心配してくれたファンに感謝するため、クラブのオフィシャルページにインタビューを受けたフェルナンド・トーレスなど、「バルサの試合はnos tiene que servir para ver que nada está hecho/ノス・ティエネ・ケ・セルビル・パラ・ベル・エ・ナーダ・エスタ・エッチョー(ボクらにまだ何も終わっていないと思わせるために役立てないといけない)」と折良く、レバークーゼン戦2ndレグに向けて意識が高まったよう。 ▽他の選手たちにもいい教訓になるんじゃないかと思いますが、とりあえずレバークーゼンを破っても次にバルサに当たったりしたら、彼らには先日のコパ・デル・レイ準決勝の苦い経験もありますからね。ただ、PSGのエメリ監督は「Tuvimos culpa nosotros, el Barça y el árbitro/トゥビモス・クルパ・ノソトロス、エル・バルサ・イ・エル・アルビトロ(この敗退の責任は私たち、バルサ、そして審判にある)」と言っていましたが、まずは1stレグでアトレティコが彼らに4点差もつけることなど想像できず。 ▽となると、2015年のスペイン・スーパーカップでバルサを破ったアスレティックが、ツィッターで「Pues a nosotros no nos pareció tan difícil mantener el 4-0 de la ida/プエス・ア・ノソトロス・ノー・ノス・パレシオ・タン・ディフィシル・マンテネール・エル・クアトロ・ア・セロ・デ・ラ・イダ(ウチには1stレグの4-0勝利を守ることはそんなに難しく見えなかったね)」(https://twitter.com/AthleticClub/status/839597836660584453)というような前提は心配しなくてもいいんですけどね(2nレグ1-1で優勝)。 ▽何かの間違いが起きて、そうなった場合でもPSGのようにアトレティコが消極的にプレーすることはないはずですが、ただまたしても逆転が必要になったりすると、1点を決めた後、留めの2点目をGKテア・シュテーゲンに阻まれてしまったカバーニや、撃っても撃っても枠を捉えられなかったナポリの例などはとても他人事とは思えない?そうとなれば、エースのグリースマンにも前節のバレンシア戦で彼女のエリカさんに捧げるメッセージを見せた件で後日、競技委員会から処分が通達。それに怒って、「Multa y amonestacion por felicitar a mi mujer y eso 3 dias despues... /ムルタ・イ・アモネスタシオン・ポル・フェリシタール・ア・ミ・ムヘル・イ・イソ・トレス・ディアス・デスプエス(ボクの彼女をお祝いしたら、罰金とイエローカード。しかも3日後に)」と、ツィッター(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/839471972283269121)で文句のハッシュタグ、#PreocupateDeOtrasCosas(他のことを心配したらいい)なんて作っていないで、自身の決定力を少しでも上げるよう努力をしてもらいたいものですが、さて。 ▽そんなアトレティコは土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からグラナダ戦なんですが、今週CLあったお隣さんは日曜にベティスをサンティアゴ・ベルナベウに迎えることに。うーん、マドリーはベイルが2試合目の出場停止処分で、先週末のエイバル戦に続き、またしても出られないんですが、ナポリ戦の例でもやはり、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)は揃い踏みしない方が、攻守にバランスの取れたいいチームになる感じが強まってしまいましたからね。今回はジダン監督も大手を振って、モラタやルーカス・バスケス、もしくはハメス・ロドリゲスやイスコ、アセンシオといったところを先発させられるのは嬉しいかも。 ▽ただ心配なのは、バルサの大逆転劇に感化されて終盤、本家本元、奇跡のレモンターダを見せつけてやるべく、前半は敵にリードさせてやろうなんて、選手たちがうっかり考えてしまわないかということですが、バレンシア戦やラス・パルマス戦のように完遂できない試合もありますしね。そこは中位にいるベティスとはいえ、決して油断せず、日曜にデポルティボ戦に挑むバルサに圧力をかけるためにも、しっかり勝ってもらいたいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.11 10:15 Sat
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【倉井史也のJリーグ】サッカーはボールがスタンド近くに来たら逃げましょう?!の巻

▽この原稿が掲載される10日って、もう今週のJ1がスタートしてるんですよ。鹿島vs横浜FM、川崎vs柏、浦和vs甲府の3試合は金曜のナイトゲームです。理由はもちろんACL。来週水曜日には鹿島とG大阪がホーム戦、川崎と浦和はアウェイ戦が控えてますからね。 ▽ここでちょっと疑問なのが、鹿島は金曜日に試合をして中4日でブリスベン・ロアーを迎えるのに対して、G大阪は土曜日に試合をして、中3日で江蘇蘇寧戦に臨むこと。で、その理由を探ったら、どうやらG大阪は過去の経験から、こういう場合は中3日のほうがいいと結論づけているようなのです。もちろん他のチームもアウェイ戦ということや、いろいろなノウハウがあって、中4日を選んでいるのでしょう。 ▽こういうのって、日本がマジでACL獲ろうと思ってるのならJリーグが情報やデータをいろいろ集めて管理してくれるといいと思うんですけどいかがなもんでしょ。過去にはクラブ同士が情報のやりとりをしたことがありましたし。 ▽で、そのACL組の対戦がなかなか面白い。これ、もし10日に呼んでるんだったら、勝手にプレミアム・フライデー先行取得しちゃって、今日試合に行ったほうがいいくらい。鹿島不調、マジ? 横浜FM好調、マジ? みたいな対戦カードだから、もしかすると横浜FM3連勝ってこともあるだろうし、横浜FMの勢いはここで止まるかもしれないし。 ▽開幕戦で鳥栖の本拠地に乗り込んで逆転勝利し、攻撃陣エゲツないと思わせといて、前節ホームでG大阪にコロッと負けちゃうお茶目な柏と、やっぱ大久保抜けた穴ってあるけど、負けないよ?的な川崎とが対戦ってのも楽しそうだし。 ▽しかも、このカードに今一番輝いてる2人がいるわけですよ。横浜FMの齋藤学と川崎の小林悠って、ちょっとすごくないですか? キレキレというかノリノリというか。海外組では試合に出られない選手多いし、国内組ではまだコンディション低い選手多い中、この2人の活躍は心強いわけですよ。 ▽今のままなら、UAE戦、先発の右FWが小林で、左FWが齋藤ってのを推薦しておきます。今週はこの2人のどっちか、見に行っていいんじゃないですか? あ、邪気払いのために言っておきます。小林選手、ケガに気を付けて。マジで。 ▽おっと、ってことになると今週末のJリーグのお勧めが金曜で終わりってことになるので、土曜日のACL組も、G大阪vsFC東京で、これも面白そうだって言っておきましょう。ま、世間の注目は3月11日に仙台vs神戸というカードがあることに集まるかもしれないけどね! ▽え? タイトルが内容と関係ない? それって記事を全部読ませるテクニックですから! 決してオチを思いつかなかったからじゃないからね!! 汗。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.03.10 14:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】U-20でも遜色ない久保の凄さ

▽3月8日、小平市にあるFC東京の練習場には100人を超す報道陣と600人以上のファンが集結した。お目当ては、FC東京とU-20日本代表候補のトレーニングマッチに、15歳の久保建英(たけふさ)が招集されたからだ。45分ハーフの試合で久保は後半から登場すると、51分にボールを受けて反転すると、DF2人を次々に抜き去り左足でシュート。これはバーを越えたが、53分には原輝綺(新潟)のドリブル突破から岩崎悠人(京都)がつないだボールをワントラップ後に左足で突き刺して追加点を奪った。 ▽ゴールシーンについて久保は「ただ決めるだけの簡単なゴール。あそこは決めなきゃいけなかった」と冷静沈着に振り返っていた。ピッチでは簡単にフリーになってパスを受けると、いともたやすくマーカーを抜き去る。しかし、いま目の前で話しをしているのは、黒い詰襟の(ちょっと汚れたような)学生服を着た、正真正銘の中学生だ。他の選手が所属するJクラブのスーツを着ているのと比べ、そのギャップに違和感を覚えずにはいられない。 ▽もしも今年5月に韓国で開幕するU-20W杯に出場すれば、2世代飛び級の快挙となる。なぜなら本来なら久保は、2021年に開催される同大会の資格保持者だからだ。もしも2019年と2021年のアジア予選を突破して本大会出場を決めれば、3大会連続出場という記録更新の可能性もある。過去にはメッシ(2005年に18歳で出場して得点王とMVPを受賞)や、日本なら平山相太ら2大会連続出場のケースはあるが、さすが3大会連続はない。 ▽そんな久保のプレーで何がすごいのか。当日はカメラで彼のプレーを追ったことで分かったことがある。例えばカズや香川は“またぎフェイント”、いわゆるシザースフェイントを使うが、久保にはこれといったフェイントはない。しかし、対戦相手の体重移動、つま先立ちならタックルの足を出せるが、カカトが地面に着いていると咄嗟に足を出すことができない。それを本能的に察知して、ちょっとした体の向きで相手を誘い、ひらりとかわしているように見えた。ここらあたりも和製メッシと言われるゆえんだろう。 ▽3月15日には韓国で本大会の抽選会が行われる。果たして日本はどのグループに入るのか。そして久保は最終メンバーにエントリーされるのか。久保自身はU-20W杯について、「世界トップレベルで活躍している選手もいると思うので、どのくらいの力なのか比べたいし、将来的に避けて通れない人たちだと思うので挑戦したい」と、気負うことなく抱負を語る。学生服に身を包んだ中学生が、こんなにも堂々としたコメントを発信する。驚かされるのはプレーだけではない、日本サッカー界の宝と言っていいだろう。 ▽蛇足だが、3月15日の抽選会を日本から取材に訪れようとしたあるメディアは、10日に朴槿恵大統領の弾劾訴追に関する決定を宣告することに加え、北朝鮮の金正男氏が殺害された事件の影響で、取材を拒否されたそうだ。今月28日からはアジアカップ最終予選がスタートするが、平壌での試合は安全が確保されないとして、マレーシアサッカー協会はAFCに対し中立的な第3国に変更するよう要請している。こちらの成り行きも気になるところだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.03.09 15:05 Thu
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【東本貢司のFCUK!】ヴェンゲル放逐の大いなる罪

▽数字は正直だ。確かに、アウェイのファーストレッグと寸分違わない最終スコアは屈辱的だろう。だが、その(合計)「2-10」の“字面”にとらわれすぎてはいないか? 一部の“比較的まともな”メディアは、同点ゴール(レヴァンドフスキのPK)が決まった直後から、アーセナルイレヴンの戦意がみるみる萎んでいった結果、「17分間」に立て続けに4ゴールを失ったと“分析”している。要するに、ガナーズの面々のプレーぶりは明らかに(哀しむべきことに)投げやりになってしまっていたということだ。さらに、ヴェンゲル自身「(それまでは)台頭以上に戦っていた」と述べ、敵将アンチェロッティもそれを認めている。ならば、この大敗の責任は誰でもない、プレーヤーたちにこそあるはずだ。ところが、メディアも、大半のアーセナル・フェイスフル(=忠実なサポーター)も、口を揃え、さも当然のように「ヴェンゲルのクビ」を声高に叫ぶ。批判や揚げ足取りが仕事のメディアはともかく、ファンまで即物的なシロウトよろしく“背を向ける”とは驚いた。 ▽百歩譲って、この期に及んでは「リフレッシュ」、もしくはある元プレーヤー曰く「クレンジング」つまり「洗い清める」ための、監督交代要望も一つの手ではあろう。たまたまにしろ(?)、ラニエリを切った直後のレスターが蘇ったかのように連勝を収めた事例を見たばかりでもある。嗚呼、しかし、なんと思慮の浅きことだろうか。たとえ、もしも仮にここでヴェンゲルにご退場いただき、誰が引き継ごうと(おそらく、暫定的にスティーヴ・ボウルド辺りになるのだろう)、そして残り10戦あまりのリーグ戦で“快進撃”を続け、唯一の希望となったFAカップを制してみせたところで、ではそのあとはどうする? アレグリ? まさかとは思うが、彼をコンテの“二番煎じ”と錯覚はしていまいか? 少々うんざりした気分で「探索」してみた。そしてやっと見つけた。「現実」を最も正しく理解していると思われる意見を。アーセナル・レイディーズ(アーセナル女子チーム)の前キャプテン、レイチェル・ヤンキー。「ヴェンゲルを切って、それで誰が? 誰をつれてくるというの? 彼以外にこの逆風を受けて立つことができる人がどこにいると? ▽そして、何よりの“証明”は他でもない、アーセナル・ディフェンス陣からの“叫び”、「すべては自分たちの落ち度。我々は全員、アーセンを今までと変わらず、信頼し支持している」。なぜ、彼らがそう主張するのか。これもたまたまだが、拙訳『インヴィンシブル~アーセナルの奇跡』を読めば、その意味がわかるはずだ(これ、決して本の宣伝ではありません、念のため)。アーセン・ヴェンゲルという人物が、いかに優れた異能の指導者、メンターなのかを、彼らは誰よりも肌身をもって知っているからだ。では、なぜあの2003-04シーズンを最後に、ヴェンゲルのアーセナルがリーグ優勝に届かないままでいるのか。ロマン・アブラモヴィッチの登場がリーグの地平をそっくり変えてしまったからだ。誤解のないように言っておこう。決して、ラニアリ(!)が、ジョゼ・モウリーニョが、アンチェロッティ(!)が、監督としてヴェンゲルよりも優れていたからではない。決して彼らの“戦術(論)”がヴェンゲルのそれよりも優れていたからでもない。この単純明快な事実がわからない(ふりをしている?)評論家やメディアは「ヘボ」である。 ▽と、ここまで書き進めて、ふと「どうなったかな」とニューズサイトを覗いてみると・・・・とんでもないドラマの結末が飛び込んできた。終了2分前(正規タイム)からの3得点でバルセロナ、奇跡的な逆転勝利! 大したものだが、パリSGのディフェンスも何やってんだかと思う一方で、これじゃアーセナルへの風当たりもさらに・・・・? いいや、むしろ現実がもっとあからさまに明白になったと考えたい。先制点がスアレス、崖っぷちからの起死回生の2ゴール(うち1点はPK)がネイマール。いざとなった局面で“不可能”を何とか可能にしてしまう、名前も実績も、そして何より動いたカネも桁違いのプレーヤーの(それも複数の)存在・・・・。ヴェンゲルがそのポリシーにおいて決して良しとしない、出来上がった大物プレーヤーの大挙補強が、やはり最後にモノを言う“味気ない”時代。なるほど、グアルディオラがメッシを喉から手の出るほど欲しがるはずだ、ユナイテッドがロナウドを買い戻したくなるはず、それらをチェルシーが虎視眈々横取りを狙うはず? ▽だが、そんな阿漕な“物量作戦”がいつまでもまかり通っていいはずがない。もうお忘れか。“手作りミラクル”レスターの快挙をもろ手で喧伝した大はしゃぎぶりを、アカデミー上がり主体で長く牙城を守り抜いたファーギー・ユナイテッド、そのハイライトとしてドイツ中の精鋭を揃えたバイエルン(!)を劇的にうっちゃってみせて果たしたトレブルのしびれるような快感を、0-3から大豪ミランをイスタンブールに葬ったリヴァプールの気骨を、ほぼ「未完」と「無名」で始まったヴェンゲル・アーセナルの歴史的“インヴィンシブル”をーーー。そう、チェルシー、シティーにレアル、バルサ、パリSGに倣ったカネ太りチームを作って、それでヨーロッパを制したところで何か誇れるものがあるだろうか。以前にも述べたように、名前が入れ替わってもおかしくも何ともないチームばかりがチャンピオンズの歴代覇者に名を連ねて、何が名誉か。そのためにも、アーセン・ヴェンゲルにはその信念と信義を貫いてもらいたい。願わくば引き続き・・・・エミレイツにて。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.03.09 11:30 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】ちょっといい感じになってきた…

▽「どっちもどっちよね」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、マドリッドの両雄、レアル・マドリーとアトレティコのキャプテンがニュースで取り上げられているのを見た時のことでした。いやあ、セルヒオ・ラモスが試合と試合の間の短いフリータイムを利用して、これでもかというぐらい、タトゥーのコレクションをせっせと増やしているのは、クラブW杯のため、日本への長期フライトに出る前にもあったことですし、それに比べれば、イタリアなんてご近所のようなものですから、今更驚きませんけどね(https://www.instagram.com/p/BRRQQEmD0sW/?taken-by=sr4oficial)。同じ指の話でも、まさかガビが家庭内事故で小指と薬指を骨折して、バレンシア戦ではギプスをしてプレー。火曜には手術もするって、こんなシーズンの大事な時期に一体、家で何していたんですか? ▽まあ、それは試合に差し障りはないようなので、別にいいんですけどね。というか、先週末のリーガはマドリッド勢、皆がメデタイ結果に終わったため、私も久々に気分がいいんですが、先陣を切って、今季リーガの“final(フィナル/決勝)“に勝ったのは新弟分のレガネス。ええ、ブタルケに降格圏住人のグラナダを迎え、後半39分に試合唯一のゴールを挙げたマチスは、実は対戦相手からのレンタル移籍選手だったものの、契約条項による出場制限がなかったため、ブエノやティトとは違って、ピッチにいてくれたのはラッキーだったかと。当人的には複雑な心境だったかもしれませんが、おかげで1-0の勝利をモノにしたレガネスは18位と勝ち点差を5に広げることができましたっけ。 ▽そして続いてはマドリーがイプルアでのエイバル戦に挑んだんですが、この日はジダン監督が火曜のCL16強対決ナポリ戦2ndレグを睨んで、ローテーションをかけたのがバッチリ成功。ええ、ラス・パルマス戦で退場したベイルは仕方ないとしても、クリスチアーノ・ロナウドも疲れをとるためにマドリッドでお留守番としたところ、トップを務めたベンゼマがBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)全員を合わせた分に匹敵する働きをしてくれるんですから、有難いことじゃないですか。 ▽いえ、もちろんそれには普段出場機会の少ないアセンシオやハメス・ロドリゲスが発奮したという理由もありますけどね。前半13分には、そのアセンシオからのラストパスを1度はGKジョエルに弾かれながら、2度目のトライでは先制点に。24分にはハメスの蹴ったFKをゴールに流し込んで自身2点目、29分には逆にハメスをアシストして、3点目のお膳立てをしているとなれば、ベンゼマもその日の試合がサンティアゴ・ベルナベウでなかったのは残念だったかも。 ▽後半はどちらかというと落ち着いた展開になったんですが、14分にはno habituales(ノー・アビトゥアレス/控え選手のこと)コンビが連携。というか、アセンシオがハメスに完璧なラストパスを送ったんですが、後者のシュートがゴールポストに当たって跳ね返ってきたため、結局は自分で決めたんですけどね。もうこれで0-4となれば、ここバレンシア戦、ビジャレアル戦、ラル・パルマス戦と相手にリードされ、少々、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)攻勢に食傷気味だったファンも久々にスッキリした気持ちになれたかと。 ▽え、このマドリー戦までは決して調子が悪い訳じゃなかったエイバルなのに、エンリッチやペドロ・レオン、アドリアンがいても反撃1つできなかったのかって?うーん、前節に退場させられたおかげでメンディリバル監督がベンチにいなかったのもありますし、丁度、残留確定ライン程度となる勝ち点をすでに溜めていたため、選手たちがヨーロッパリーグ出場圏の6位(コパ・デル・レイでバルサが優勝、リーガでも4位以内に入っていたら7位)まで、この先も8位からの順位アップを目指して頑張るべきか決めかねているタイミングでもありましましたしね。41分には乾貴士選手もペドロ・レオンと交代で入ったんですが、ロスタイムにルベン・ペーニャが記念のゴールを入れただけで、最後は1-4で完敗となりました。 ▽ちなみにこの試合の後、引き分けでも敗戦でもなかったため、第2キャプテンのマルセロはお役御免になったにも関わらず、ラモスがミックスゾーンに姿を現したのは先日、ラス・パルマス戦の後にあったミーティングで当人が、「ロナウドだけは年に60本ゴールを決めるんだから、試合で走らなくてもいい」と言ったという報道があったのを正したかったからのよう。曰く、「あれはでっちあげだよ。Aquí corremos todos, somos todos iguales/アキー・コレモス・トードス、ソモス・トードス・イグアレス(ウチじゃ皆が走る。皆、同等さ)」とのことですが、ただねえ。敵にリードを許してしまった最近の試合では、よくチームが上下でパッカリ分れていましたからね。 ▽月曜にはナポリに移動したマドリーの記者会見では、ジダン監督も「Lo que importa no es el dibujo, es la actitud/ロ・ケ・インポルタ・ノー・エス・エル・ディーホ、エス・ラ・アクティトゥッド(大事なのはシステムではなく、選手の態度)」と言っていましたし、ここは火曜のサン・パオロ(ナポリのホーム)での試合でロナウドやベイルのボールロスト時の走りっぷりを、エイバル戦でのアセンシオやハメスと比べてみるのも一興かと。いやあ、実はベイルについては現地での練習中、痛みを覚えて早退したなんて情報も入ってきているんですけどね。おまけに30年ぶりにナポリを訪れたマドリーには、1987年に欧州チャンピオンズカップで対戦した時、郊外に宿を取ったにも関わらず、当時は現役だったブトラゲーニョ渉外ディレクターらが熱烈なティフォシ(サポーター)が周囲で騒いで眠れなかったという辛い経験が。 ▽そこで今回は市内にありながら、内部が隔離状態になるPlazzo Caracciolo(パラッツォ・カラチオロ)ホテルを選んだものの、すでにナポリファンの騒音にシエスタ(昼寝)ができなかったというカルバハルの証言もありますしね。寝不足ではロナウドがあまり走れなくても非難はできないかと思いますが、前回の試合では、そのブトラゲーニョ氏が同点ゴールを挙げて1-1に持ち込み、マドリーは総合スコア3-1で悠々と勝ち抜けしていることも参考までにお知らせしておこうかと。 ▽実際、火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのこの一戦では、1stレグで3-1と負けているナポリは2-0にしないと逆転できない訳ですし、CLとなると、マドリーの選手たちの気合もリーガの数倍はアップしますしね。ここ2試合、スポルティングに6-1、セルタに5-0とカンプ・ノウでgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を続け、水曜のPSG戦で永遠のライバルのお株を奪うremuntada(レモンターダのカタルーニャ語)達成のリハーサルを着々としているバルサが、前者の結果では敗退となるのとはまったく事情が違うので、まあ大丈夫じゃないかと思うんですが…。 ▽そして翌日曜はビセンテ・カルデロンにバレンシア戦を見に行った私でしたが、最近では珍しいイライラの少ない試合だったから、意外だったの何のって。そう、それは開始から9分になろうかという頃、丁度、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)のサポーターたちが、木曜のデポルティボ戦で頭を打って意識を失い、病院に緊急搬送された後、異常がないことがわかって、2日間は同じガリシア地方(スペインの北西部)のサンティアゴ・コンポステーラに住む、奥さんのオラジャさんの両親のところにお世話になっていたものの、試合当日に帰京。チームの応援にパルコ(貴賓席)に来ていたフェルナンド・トーレスを励ます、「El Calderon te quiere. Fuerza Torres!/エル・カルデロン・テ・キエレ。フエルサ・トーレス(カルデロンは君を愛している。頑張れ、トーレス)」と書かれた横断幕を広げる準備をしている最中のことでした。 ▽当然、それが用意できたら、スタンドは「フェルナンド・トーレス、ロロロロー」と一斉に合唱するはずだったんですが、間が悪いというか、いや悪いことなんて絶対ないんですけどね。その寸前にコケのスルーパスをグリースマンが撃ち込んで、先制点を挙げてしまったとなれば、ファンだって、そっちを優先して喜ばない訳にいかないじゃないですか! ▽もちろん、殊勲の当人が先日、レアル・ソシエダのファンミがユニフォームを頭までめくり上げたせいで、イエローカードをもらったばかりだったのもあるんでしょうかね。アトレティコのスタッフの指導が効いていたか、聴診器を当ててもらう時のような位置までしか上げず、「Feliz cumple♡Gordita!!!/フェリス・クンプレ、ゴルディータ(誕生日おめでとう、おデブちゃん/注:スペインで親しい仲で言う場合は悪口にはならない)」という、彼女のエリカさんに捧げるメッセージを披露。その後、ちゃんとトーレス・コーレスも始まりましたが、いやいや、タイミングを見計らうのもなかなか大変です。 ▽そして前半はそれしか得点はなかったものの、アトレティコは後半開始早々にも2点目をゲット。今度はフィリペ・ルイスが送ったパスをガメイロがエリアすぐ前からシュートして、CBマンガラの足に当たったボールがGKジエゴ・アウベスを破ってくれたから、助かったの何のって。いやあ、何せ33分には再び、ガイタンのパスをトマスが受け損ない、前方に転がったボールにグリースマンが追いついて、ダメ押しの3点目が入ったというものの、その日、クラブのオフィシャルサイトの試合レポートですら、「primero Bakkali, y después Cancelo se empeñaron en ser atacantes del Atlético/プリメーロ・バッカリ、イ・デスプエス・カンセロ・セ・エンペニャロン・エン・セル・アタカンテス・デル・アトレティコ(最初はバッカリ、その後はカンセロがアトレティコのアタッカーになろうと尽力していた)」と皮肉られていた程、自陣でのミスが多かったバレンシアというのに相も変わらず、アトレティコは決定力の低さを再三露呈。 ▽ええ、ガメイロもグリースマンも絶好機にGKにそらされたり、枠を外したりしていたんですが、それでも8回の枠内シュートの3本がゴールになったのはいい方かと。ただし、相手がバルサやマドリー、その他のヨーロッパの強豪の場合を別にすればですが、グリースマン自身も「Contento con mi rendimiento/コンテントー・コン・ミ・レンディミエントー(自分のパフォーマンスには満足している)」と言っていましたしね。実際、全てのチャンスを決めていたら、それこそ彼らもメッシ、ロナウドといった、extraterrestre(エクストラテレストレ/地球外生物)という括りに入れられてしまいますって。 ▽だとしても、せめて全盛期のファルカオ(現モナコ)やジエゴ・コスタ(現チェルシー)ぐらいの確率でゴールを決めてほしいと思ってしまうのは私が欲張りなせいでしょうか。うーん、3-0で勝利と、2試合ぶりのリーガで快勝を味わったシメオネ監督は、「Salvo la derrota con el Barcelona, jugando bien, hemos mantenido una línea/サルボ・ラ・デロータ・コン・エル・バルセロナ、フガンドー・ビエン、エモス・マンテニードー・ウナ・リネア(バルサ戦の敗北を除いて、ウチはいいプレーで一定のラインを保っていた)」とちょっと、だったらあのデポルティボ戦のダメダメぶりは何だったのよと、首を傾げてしまうようなコメントをしていましたけどね。 ▽この白星のおかげで2日間、ソシエダに奪われていたCL出場権、最後の砦の4位も取り戻せましたし、「今、ウチはシーズンの最も大事な時期にある。全ての試合が決勝で、どこが一番強いかわかる時」(シメオネ監督)というのは事実。幸い、ゴディンが出場停止だったその日、元カノとの相互DV訴訟で公的奉仕21日間の判決を受けて以来、初めてマイクの前に立ったルカスも「He aprendido que hay que ser más listo y más precavido en la vida/エ・アプレンディードー・ケ・アイ・ケ・セル・マス・リストー・イ・マス・プレカビードー・エン・ラ・ビダ(人生ではもっと賢く、そしてもっと用心深くないといけないことを学んだ)」と言っていた通り、教訓を生かした好プレーでしっかり穴を埋めてくれていましたしね。 ▽デポルティボ戦では、意識を失った同僚の気道確保に緊急救命措置レッスンの成果を披露しただけに留まっていたベルサリコも右サイドを何度も上がって、いい働きをしていましたし、彼らのCL16強対決レバークーゼン戦2ndレグは来週開催で、それまでにはトーレスも復帰できる見込みですしね。何より、次戦の相手はグラナダとなれば、そう悲観することもない?その上、月曜開催リーガでは3位のセビージャがアラハベスと引き分けたなんて報もあり、選手たちも力づけられていると思いますが…ただ、アトレティコがミッドウィークに引き分けているため、勝ち点差は7ポイントに戻っただけなんですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.07 11:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】最初からちゃんとやっていれば…

▽「大したことなくて本当に良かった」そんな風に私がホッとしていたのは金曜日、お昼のニュースでフェルナンド・トーレスがデ・ラ・コルーニャ(スペイン北西部の避暑地、デポルティボのホームタウン)の病院から、歩いて出て来る映像を見た時のことでした。いやあ、すでに午前中にはアトレティコのツィターでも元気そうな本人の写真と共に退院報告があったため(https://twitter.com/Atleti/status/837601117643096066 )、前夜にリアソルでベルガンティーニョスと空中戦で争って、落下時に頭を打撲。危険な状態になりながら、後でデポルティボのチームドクターも「素早い措置で完璧だった」と褒めていましたが、毎シーズン、アトレティコの選手たちが参加している緊急救命法レッスンがブルサイコとガビによって、最大限に役立てられたのはわかっていたんですけどね。 ▽「Gabi se llevo un mordisco al intentar sacarle la lengua/ガビ・セ・ジェボ・ウン・モルディスコ・アル・インテンタール・サカールレ・ラ・レングア(ガビは喉に詰まった舌を引き出そうとして、噛まれちゃったけどね)」というのは余談としても、おかげで正直、トーレスが担架で運び出されるまで、ピッチにいる選手たちもTVの前にいたファンもどうなることかとドキドキすることに。ただ、そんな場面であまりにひどいなと思えたのは、リアソル・ブルース(デポルティボの過激なファングループ)のカンティコ(節のついたシュプレヒコール)で、折しも2014年11月にあったアトレティコのウルトラたちとの集団抗争事件の際、命を落としたデポルティボ側のメンバーの捜査が犯人不明のまま、お蔵入りになったことも影響していたのでしょうが、「Si se muere, qué se le va a hacer/シー・セ・ムエレ、ケ・セ・レ・バ・ア・アセール(死んじゃったら、何をしてやればいい)」なんて歌っているなんて、まったく縁起でもない。 ▽トーレス自身は「Recuerdo hasta justo antes del golpe/レクエルドー・アスア・フストー・アンテス・デル・ゴルペ(打撃の前までしか覚えていない)。救急車の中で意識が戻った」そうなので、そのカンティコもスタンドからの拍手もその時は耳にしていないんですけどね。幸い検査の結果もただの脳震盪で、他に異常はなかったものの、凄い重傷だったりしたら、先週末レガネスに負け、ガイスカ・ガリターノ監督が解任となった後、火曜にチームを引き継いだメル新監督の下でようやく、今季リーガ初出場の機会をもらえたせいもあって、きっと張り切っていただけですよね。転倒の原因となったベルガンティーニョスのショックもただならぬものになっていたでしょうし、彼とメル監督が病院にお見舞いに駆けつけた時には当人がもう、話せる状態まで回復していたのは何より有難いことでしたっけ。 ▽とまあ、ここまでがミッドウィーク開催の前節、ルイス・エンリケ監督がバルサとの契約を来季は延長しないと、スポルティングに6-1で大勝した後に発表したことと並んで、話題を独占した事件の顛末なんですが、肝心の試合の方もお伝えてしていかないと。マドリッド勢の先陣を切って、火曜にバレンシアに挑んだのは新弟分のレガネスだったんですが、残念ながら、デポルティボ戦に続いての連勝はならず。いえ、バレンシアも前半29分にCKからのrebote(レボテ/リハウンド)でマンガラが入れた1点しか取れなかったんですけどね。アシエル・ガリターノ監督のチームも攻撃の決め手に欠けたか、そのまま1-0でメスタジャから帰ることになりました。 ▽そして水曜はバルサがカンプ・ノウで勝利して、勝ち点差2で首位に立った直後、特等席を取り戻すためにラス・パルマス戦に挑んだレアル・マドリーだったんですが、とりあえず出だしは良かったんですよ。ええ、ジダン監督のローテーションで一緒に先発に入ったモラタは意気込みすぎたか、ゴールを決めてもオフサイドだったものの、前半7分にはイスコがGKバラスの脇を抜くシュートを決めて先制。でもねえ、その2分後にはセルヒオ・ラモスがタナに後れを取り、同点弾を撃ち込まれているのではまったく、先が思いやられます。 ▽ただ、マドリーに本当の災厄が襲い掛かったのは、そのまま1-1で迎えた後半で、2分も経たないうちにベイルがドリブルで先を行くジョナタン・ビエイラを後ろから2度も蹴ってイエローカードをもらった挙句、最後は相手を両手で突き飛ばして一発退場。うーん、当人は後で「あれはレッドカードじゃない。先にビエイラが押してきたんだから」と弁解していましたが、身長183センチ体重74キロ、筋肉隆々の彼が170センチ64キロの相手に手を出したら、審判が危険な行為と解釈してしまうのも仕方ないかと。 ▽おかげで予期しない早い時間に10人になってしまったマドリーでしたが、元々、その日はラス・パルマスにボールを握られていた上、チームが前後に分かれやすくなっていたのが災いすることに。10分にはボアテングのシュートをエリア内で弾いたセルヒオ・ラモスが続く、シモンの撃ったボールを手で防いでしまいペナルティを献上。ビエイラがPKを沈めて勝ち越し点を奪われてしまいます。更に14分にはロングボールに抜け出したボアテングにマルセロ1人では対抗できず、GKケイロル・ナバスまでかわされて、とうとうスコアが1-3になってしまったから、驚いたの何のって。 ▽え、先週末はビジャレル戦で2点差を覆して2-3で勝利したマドリーなら、人数が少なくたって、こんなのremontada(レモンターダ/逆転)可能範囲だろうって?まあ、その通りですし、実際、41分にはクリスチアーノ・ロナウドがクロスをカステジャーノの手に当てて稼いだPKで自ら1点を返すと、43分にはハメス・ロドリゲスのCKからヘッドを決めて、3-3にはしたんですけどね。これも今までサンティアゴ・ベルナベウで33試合して勝ち星なし、28敗しているラス・パルマスに「最後の10分間、ウチは経験が足りなかった」(ボアテング)おかげもなきにしろあらず。 ▽ビエイラなども「Debimos tener cabeza y retener la pelota como hicimos durante todo el partido/デビアモス・テネール・カベッサ・イ・レテネール・ラ・ペロータ・コモ・イシモス・ドゥランテ・トードー・エル・パルティードー(ボクらは頭を使って、試合の間ずっとやっていたようにボールをキープするべきだった)」と嘆いていましたしね。それでも最後は奇跡の逆転劇まではさせず、勝ち点1が手元に残っただけでもラッキーだと思っている選手も多かったようですが…3度もナバスと1対1で対峙するチャンスを迎えながら、決めることができなかったヘセが、「si hay alguien que te puede empatar o remontar perdiendo 1-3 es el Real Madrid/シー・アイ・アルギエン・ケ・テ・プエダ・エンパタール・オ・レモンタール・ペルディエンドー・ウノ・トレス・エス・エル・レアル・マドリー(1-3で負けていて追いついたり、逆転したりできるチームがあるとすれば、レアル・マドリーだけ)」と威張っていたのはどうにも解せないかと。 ▽いえ、ユースチームから過ごしたマドリーから今季は河岸を変え、PSGに移籍したものの、パリの水が合わずに生まれ故郷のチーム、ラス・パルマスにレンタルで来ることになった彼は、今でも「いつかはマドリーに戻ることを頭で描いている」ため、あまり反感を買うようなことは言えないのはわかりますけどね。あれだけはっきりしたチャンスに何度も失敗していては、お隣さんの間抜けなFWたちじゃあるまいし、キケ・ステイン監督は「Nos aporta cosas que no nos da nadie/ノス・アポルタ・コーサス・ケ・ノー・ノス・ダ・ナディエ(他の誰もできないことでチームに貢献してくれている)」と庇っていたものの、実は「あの位置まで行くと、多くの選手はゴールを入れることばかり考える。その瞬間に間を取れるのが偉大な選手だ」という方が本音だった? ▽ただ同様に試合後はマドリーサイドも後悔しきりで、勝てなかった場合はチームの内規みたいなもんなんでしょうね。キャプテンクラスが試合終了直後のピッチ上インタビューに出るんですが、それもまた序列があるのか、ここ3試合連続で狩り出されている第2キャプテンのマルセロは「こういう何が起きたか説明しないといけない試合にはいつも自分が当たる」と諦め顔。「ウチは最近、やらなきゃいけないことをしていない」と正直に認めたため、後でミックスゾーンに最後に登場した第1キャプテンのラモスが批判を避けるために、そのコメントを訂正することに。 ▽曰く、「マルセロが言いたかったのは、nos precipitamos a la hora de tomar decisiones y no salen las cosas como quremos/ノス・プレシピタモス・ア・ラ・オラ・デ・トマル・デシシオネス・イ・ノー・サレン・ラス・コーサス・コモ・ケレモス(ボクらは決断する時に早まってしまい、上手くいかない)ということ」だそうですが、彼も「マドリーを倒すには何度も殺さないといけない。Tenemos mas vidas que un gato/テネモス・マス・ビダス・ケ・ウン・ガトー(ウチは猫より沢山の命がある)」と、ちょっとマドリー十八番の根性のレモンターダに自信を持ち過ぎな感も。うーん、今までの実績は買うものの、何せこの3試合で逆転勝ちできたのはビジャレアル戦だけで、ラス・パルマスには勝ち点2を取りこぼし、バレンシア戦なんてあと1点が足りずに負けてしまっていますからね。 ▽それだけにジダン監督も「Hemos hecho un esfuerzo enorme/エモス・エッチョー・ウン・エスフエルソ・エノルメ(ウチは甚大な努力をした)だけに、あの前半は怒ってもいい。後半の力を注いだら、もっと簡単になっていた。もうこれで3、4試合、同じような傾向が続いている」と、追い込まれないと本気になれない選手たちに苦言を呈していましたが、まあこればっかりはねえ。普通なら、嵐のような終盤の攻撃に歓喜するベウナベウの観客たちもこの日はさすがに呆れていたようですし、そこは根性の逆転劇はたまに見るから感動するのであって、こう毎回毎回では食傷気味になるという私の意見と一致していたようです。 ▽そして翌日、デポルティボとアウェイ戦だったのがアトレティコなんですが、こちらはまた、前半から信じられない場面に遭遇することに。それは12分、先週末のバルサ戦からレギュラーに戻ったGKオブラクがエリア近くでアンドネに後ろを張られていたヒメネスにゴロでゴールキックを出すって一体、どういうこと?もちろん、まんまとボールを取られてしまったCBも悪いんですが、そのアンドネのシュートが決まって、先制されているんですから、お粗末もいいところじゃないですか。さすがに選手たちにもこれは相当ショックだったんでしょうね。それまではボールを支配して、そこそこいいプレーをしていたアトレティコだったのが、この失点を境にパスが3本と繋がらない、完全なダメダメチームに変貌してしまうって、ちょっとお、精神面弱すぎじゃないですか? ▽それでも後半、22分にはフィリペ・ルイスのエリア外からのシュートがゴールポストに弾かれたのを起点に、クリアされたボールを繋いだ後、グリースマンが30メートル先から撃ち込んで、もうこれは天賦の才としか言えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を披露。おかげで同点にはできたアトレティコだったんですけどね。せっかく途中出場のトーレスにもチャンスが到来、GKルックスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)を強いるシュートを撃って盛り上がったものの、例の昏倒騒ぎで試合が39分から4分間中断。もうその後は全員がチームメートの安否を気遣って、心そこにあらずの状態になってしまったため、ロスタイムが7分あった意味もまったくなく、そのまま引き分けで終了です。 ▽その結果、レアル・ソシエダはエイバルと火曜に2-2で引き分けていたものの、丁度その日は3位のセビージャがアスレティックに1-0で勝利したため、アトレティコとの差が勝ち点9に拡大。おまけに金曜夜に再び試合をしたソシエダがベティスに2-3と勝ったため、もうこの今節は2ポイント下の5位として、バレンシアに挑むことになってしまったアトレティコですけどね。頭を打ったばかりのトーレスは当然、出られませんし、ゴディンも累積警告で出場停止と、この日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのビセンテ・カルデロンには、私も一体、何を期待して行ったらいいのか。せめてCL出場圏復帰ぐらいは果たしてもらわないと、来季からの新しいホームスタジアム、鳴り物入りでオープンするワンダ・メトロポリターノが泣いてしまいますよ。 ▽一方、お隣さんは土曜にレガネスがブタルケにグラナダを迎え、残留争いの直接ライバルと対決をした後、やはり午後4時15分からアウェイで乾貴士選手のいるエイバルと試合なんですが、レッドカードをもらったベイルは2試合の出場停止処分が課されて不在。更にモラタも累積警告でお休み、軽い痛みのあるロナウドも来週火曜のCLナポリ戦2ndレグを見据え、お留守番となると、もうBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)の生き残り、ベンゼマを頼りにするしかないのは辛いところかと。 ▽いえ、それでもイスコやハメス、ルーカス・バスケスらがいるマドリーは大抵のチームが羨ましがる強豪。金曜の練習前には反省ミーティングをして、「Hay que defender todos, hay que correr todos/アイ・ケ・デフェンデール・トードス、アイ・ケ・コレール・トードス(全員で守り、全員で走らないといけない)」と周知徹底したようですしね。ただ、加えてラモスなどは、「El único que está liberado es Cristiano porque mete 60 goles/エル・ウニコ・ケ・エスタ・リベラードー・エス・クリスティアーン・ポルケ・メタ・セセンタ・ゴーレス(唯一、それをしないでいいのはクリチアーノ。年60本ゴールを入れるだから)」と言っていたようですが、今季のロナウドはリーガでまだ18得点、CLでも2得点と、ゴール数が減少しているため、その辺は現実と少々合致しないところ。 ▽もちろん、ラス・パルマス戦の2点のように、彼が未だに救世主的な働きをしてくれる日もあるのは確かですが、とにかく最近のマドリーは失点が多いですからね。何かとミスを責められがちなGKナバスだけでなく、今季はラモスがプレーしている時は68分に1失点、いない時は185分に1失点と、不安なデータもスポーツ紙には出ていましたが、とにかくこの土曜はバルサがセルタを迎える前に再び、現在の勝ち点差1を引っくり返して、一時でも首位に返り咲いていたいもの。実際、相手のエイバルもすでに残留ほぼ確定の勝ち点を溜めて余裕ですし、ペドロ・ロンやエンリッチが好調ですから、油断はせずに立ち向かった方がいいですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.04 10:15 Sat
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【倉井史也のJリーグ】今週はもういろいろ言われちゃってるあの人の守護霊的な発言かも?!の巻

▽ええ、ワタクシにはわかってましたよ。横浜FM、勝つんならここしかない! キレキレの齋藤が浦和を粉砕って感じでしたね。なのに私の周りの横浜FMファンってのが、「あんな試合運びじゃ」なんて文句言ってたんですけどね。「齋藤がケガしたらどうすんだ?」って。おっしゃりたいことはわかります。でも、それって贅沢ってもんじゃありませんか? え? どうしてワタクシが横浜FMの勝利を予想してたって? だって去年の1stステージ第1節、名古屋も勝ってたじゃないですか。“自動車”繋がりってことにしておきます!! ▽で、今週のACLでは鹿島がタイにアウェイで負けちゃうなどと、日本勢は1勝1分2敗! あ! なんかACL始まったって感じがしたのはワタクシだけじゃないですよね。むしろ第1節の3勝1分はビックリで。 ▽その中で特に心配なのはホームで済州に1-4と大敗しちゃったG大阪なのです。今年はタイトルを狙わなきゃいけないと長谷川健太監督は言ってたんですけど、何なのコレ? みたいに思っちゃったんですけどね。でもよく考えたら、あまり破れかぶれなことやる監督じゃないし。 ▽だいたい今回の補強にしても、ちょっと他の関西チームに比べるとシブチンな気がするのはワタクシだけ? もしかすると、この戦力の中でどこかしらタイトルを獲るなら、的を絞って行かなきゃダメってこと? うーん、なんかそんな感じがするんですよ。監督が現役のとき、清水で3バックやってたから「3バックの裏も表も知ってる」と言ってたの聞いたことがありますし。 ▽これってもの1シーズン制に戻ったからできるチャレンジって感じですな。あとは完成するまで厳しい試合が続くだろうけど、それをみんなが我慢できるかって感じじゃないでしょうかね。ま、この世界でよく我慢できないのはサポーターよりもクラブだったりするんですけど。 ▽そんなG大阪は今週末も苦戦必至! 去年は尻上がりに調子を上げて、今年は出だしからアウェイで鳥栖を破るなど絶好調の柏じゃないですか。しかも柏は休養十分! いやいや、まさか2節で風前の灯ってことはないでしょ? ちゅうか、お隣のクラブにビッグネームが来たんですから、それに負けてちゃ名前が廃るってもんですよ。 ▽あ、もしかして今年はこの陣容でタイトルを獲って、来年の強化費は自分たちで稼いでこいってこと? ってことなら、さすが関西の商売は厳しいっ!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.03.03 11:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ACLで勝負弱いFCソウルに失望

▽AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の第2節が2月28日と3月1日に行われ、浦和はFCソウルを5-2で葬って2連勝と首位をキープしたものの、鹿島は後半アディショナルタイムの失点でムアントンに1-2と敗れ2位に後退。そして川崎Fは香港のイースタンSCに1-1のドローで3位、G大阪も済州ユナイテッドに1-4と大敗して3位と明暗を分ける形になった。 ▽グループEではダークホースと見られるタイのムアントンだが、代表選手を数多く揃え、ホームでは圧倒的な強さを発揮し首位に躍り出た。鹿島の次の相手はブリスベン・ロアーで、蔚山現代は6-0で勝っているだけに、鹿島としては大量点での勝利が期待される。グループGの川崎Fは、アウェイとはいえ広州恒大が7-0と圧勝したイースタンSCから勝点3を奪えなかったのは痛い。次節はアウェイで首位の広州恒大との対戦だけに、グループステージ突破を左右する一戦になる。そしてグループHのG大阪はホームでまさかの1-4。次節はホームに2連勝中の江蘇蘇寧を迎えるため、首位に一泡吹かせたいところだ。 ▽といったところで、2月28日は埼スタでの浦和vsFCソウル戦を取材したが、結果は浦和が5-2で圧勝したものの、これほど“勝負弱い”FCソウルを見たのは初めてだった。予想スタメンのCBキム・ドンウが負傷ためかメンバー外となり、代わりにCBに起用されたのが、FC東京が獲得を狙っていた巧ボランチのスペイン出身のオスマール。しかし彼は、李忠成や興梠が下がってボールを受けるとマン・マークにつかずフリーにしてしまい、簡単にポストプレーを許して攻撃の起点を作らせてしまった。 ▽“緩い”のは彼だけではない。FCソウルといえば、チェ・ヨンス前監督の激しい気性を受け継ぎ、ロングボールとフィジカルコンタクトを前面に押し出したタフなスタイルが特徴だった。2月に宮崎で行われたFC東京とのプレマッチでも、あわや乱闘寸前の肉弾戦を展開した。しかし浦和戦では、ボールロスト後の“攻から守”への切り替えが遅いため、李忠成や関根、興梠、武藤に簡単にドリブル突破を許し、カウンターから失点を重ねた。 ▽昨年6月から指揮を執るファン・ソンホン監督は、前任のチェ・ヨンス監督同様Jリーグでのプレー経験があり、C大阪時代は得点王にも輝いた。チェ・ヨンス監督が激情派とするなら、ファン・ソンホン監督は知的派のため、チーム作りにも方向転換があったのかもしれない。試合後の会見では「連敗によりグループステージの通過は難しくなったが、来シーズンに向けて2試合を分析したい。リーグ開幕に向けよい準備をしたい」と語っていた。 ▽FCソウルはACL初戦で上海上港に0-1で敗れているため、ファン・ソンホン監督は目標を3月4日に開幕するKリーグに切り替えたのか。そのためにデヤン・ダムヤノビッチやマウリーニョといったストライカーをベンチに温存したのか。真相は不明だが、これだけ覇気の感じられない韓国勢を目の当たりにすると、逆に気がかりになってしまう。唯一の救いは、元代表のパク・チュヨンがFKから鮮やかな一撃を決めて健在をアピールしたことだった。 ▽浦和の次節の相手は勝点6で並び、得失点差で2位につける上海上港だ。ブラジル代表MFオスカルとFWフッキを擁する難敵だ。3月15日と4月11日に行われる頂上対決が楽しみだが、グループFはこの2強が飛び抜けているため、2試合ともドローに終わる可能性も否定できない。それともペトロヴィッチ監督は、攻撃的なサッカーで勝利を目指すのか。指揮官の采配にも注目が集まる一戦だ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.03.02 17:50 Thu
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【東本貢司のFCUK!】ミラクル・レスター“異聞”

▽ロンドン在住の友人に聞いてみた。「ラニエリは“プレーヤーたちの造反”でクビになった」という一部報道についてどう思う? 信憑性はあるのか? 返事は「・・・・に違いない、ってところだろうな」。つまり、メディアは昨今の“症例”に照らし合わせて「その可能性が大だと決めつけている」ということらしい。真相は今も藪の中だ。が、友人の印象はほぼ的を射ていると思う。彼はさらに言い及ぶ。「(ジェイミー)カラガーは歩く(フットボールの)辞書かもしれないが、真実を見通す感性はスッカスカだ」。カラガーはあまりにもフェアな、言い換えれば、ありきたりで平均的な考え方しかできない、と彼は言う。友人はとりたててレスターの内情に詳しいわけでも何でもないが、ラニエリ解任直後のリヴァプール戦勝利だけを取り上げても、カラガーの「不器用な見立て」は成立しないと言う。「(信用できなくなった)監督がいなくなっただけで、人が変わったように強いチームに変身するはずがない。ヤツらは怒ったんだ、捨て身でね。それがあの快勝だったのさ」 ▽なぜかほっとした。その通りだと思う。そして、遠い異国にいながらも、友人の見解を後押しする“証拠”を並べることだってできる。リヴァプール戦で昨シーズンのフォームを取り戻したかに見えるヴァーディーは言った。「間違いだらけの風評にすごく傷ついた」シュマイケルも「(ヴァーディーと一緒にラニエリ追放を直訴したと囁かれて)冗談じゃないと思った」と反論した。何よりも、暫定で指揮を執ることになったクレイグ・シェイクスピアが「ドレッシングルームにもどこにもそんな(ラニアリを嫌う)雰囲気は一切なかった」と証言している。今更、彼らが嘘をつく理由などあるだろうか。すべては“自分たち”のせいだ、“自分たち”の不甲斐なさがラニエリをスケープゴートにしてしまった、このままおめおめと降格してしまおうものなら、それこそラニエリの業績と名誉を汚すことになる・・・・だから「捨て身」で怒りをプレーにぶつけた、それ以外に世間の「間違った悪意」を雪ぐすべはない。クロップ自身が嘆いたように、リヴァプールはそれこそ不甲斐ない試合ぶりだったが、おそらくそれもヴァーディー以下の怒りに気圧されたからだろう。 ▽出る杭は打たれる。それも“ミラクル”の看板付きの“ぽっと出”なら“打つ”勢いも半端じゃなくなる。今シーズンが始まった頃から、それは感じられた。“まぐれ”のチャンピオンならばこそ、さあて、どんな“化けのはがれ方”を見せてくれるんだろうか、どうせなら・・・・そう、筆者は密に心配していた。メディアの意地悪な“目論見”を、おいしい(かつ、ウキウキするような)ヘッドラインと特集記事の青写真を。プレミア始まって以来の「チャンピオン、一転して降格へ」。困ったものだ。およそあり得ない(はずの)成功を、羨み、嫉妬し、足の引っ張りどころばかりを探しつつ、目の敵にする人の世の習い。もし、優勝ではなく、準優勝もしくはチャンピオンズ参戦程度で収まっていたら、天晴あっぱれ、たとえ翌シーズンに失速しようとも、ずっとこの先も好意の目で包み込んであげたのに? リヴァプール戦快勝の直後、元アーセナルのマーティン・キーオンは、そんな虚しさを込めてか、逆説的な笑えないジョークをもらした。「これをクラウディオ(ラニエリ)がイタリアで見ていたら、テレビに飛び蹴りを食らわしたい気分になったかも」 ▽あえて、あえて前向きなとらえ方をしてみようか。ラニエリ解任は、あわよくばこうなることを願ってのショック療法だった。プレーヤーたちの憤りと反発を引き出そうと、ラニエリには悪いが、禁断の最後の手段に出た。それが裏目に出たなら、つまり、何も起こらなければ、降格もやむを得まい、それだけのチームだというだけのことだ、と。ならば、プレーヤーたちは、非情なクラブ上層部を見返すためにも、それ以上の結果を目指さねばなるまい。その最大の標的はもちろん、3月14日の対セヴィージャ・リーターンマッチ。彼らは心に誓っているに違いない。“その先”までもを。そして無言の直訴をつきつける。ホジソンだろうとマンチーニだろうとごめん被る、ラニエリの分身シェイクスピアとともに突き進むのみ。そして、あわよくば・・・・新たな“ミラクル”を歴史に刻むこまんことを。「ラニエリ、逆転の復帰」! しがない物書きの笑ってしまうような「夢」である。だが、考えれば考えるほど、どこも真似のできっこない、ミラクル・レスターにはお似合いの道筋ではないか。ギャリー・リネカーなら必ずや「よくぞ言った」と喝采してくれるだろう。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.03.02 13:34 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】ただ差が開いただけだった…

▽「8月にプレーオフがあるのもイヤだけど、今更ヨーロッパリーグもねえ」そんな風に私が嘆いていたのは月曜。前夜は怖くて見られなかったリーガの順位表をスポーツ紙で確認した時のことでした。いやあ、一足早くセビージャがベティスとのダービーに1-2で勝ち、首位のレアル・マドリーと勝ち点で並んだ時は、TVでサンパオリ監督の満足顔を見てもまだ、アトレティコとの差が広がったって一晩だけのことと、あまり気にしていなかったんですけどね。日曜の試合が終わってみれば、上位3チームは勝ち点3差内と変わらないのに、彼らはお隣さんと10差、CLグループステージ出場圏内までは7ポイント。それどころか、5位のレアル・ソシエダと1差しかないとなれば、バルサ戦の後、キャプテンのガビが「Lo importante es mantener el cuarto/ロ・インポルタンテ・エス・マンエネール・エルクアルト(大事なのは4位の座を維持すること)」と話していたのは当然だったから。 ▽いえ、シメオネ監督の「A mí no me cambia el objetivo desde que llegué al club/ア・ミー・ノ・メ・カンビア・エル・オブヘティボ・デスデ・ケ・ジェゲ・アル・クルブ(このクラブに来てからの目標は自分にとって変わらない)」という言葉を伝え聞いたか、チームがダメダメだった時代をあまり覚えていない後輩のカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、コケなどは、「ボクらは常に上を見ていて、el objetivo es alcanzar la tercera plaza/エル・オブヘティボ・エス・アルカサール・ラ・テルセラ・プラサ(目標は3位の座につくことだよ)」と言っていましたけどね。今季、ここまでリーガ上位5チームとの対戦でたった勝ち点1しか取れていない現実を踏まえれば、直接対決で差を縮めればいいとか、そんな上手い話はとても考えられず。 ▽となると、精一杯楽観したとして、私のできるのは夏のバケーションを早めに切り上げて、8月15、16日には絶対マドリッドにいるようにすることぐらいですが、来季は新規にオープンするワンダ・メトロポリターノがホームとなるアトレティコ。ただ、それもリーガ開幕から2試合はLEP(スペイン・プロリーグ協会)にアウェイ戦にしてくれるように頼んでいるぐらい、少々遅れ気味なため、すでにビセンテ・カルデロンお別れイベントのOB試合やコンサートの予定も組まれていながら、またCLプレーオフの1試合のために芝を貼らないといけないというのはやっぱり、間が抜けて見えますよね。 ▽まあ、何でそんな破目になったかはまた後で話すとして、先週末のリーガ戦のマドリッド勢は土曜のレガネスからスタートすることに。ブタルケにデポルティボを迎えたんですが、前節にカンプ・ノウで善戦したのがよっぽど自信になったんでしょうかね。これまでゴール不足に悩んでいたチームとは思えない勢いで、前半はシマノフスキとマントバーニが、後半もウナイ・ロペスとブエノがゴールを決め、4-0と大勝してしまったから、驚いたの何のって。おかげでアシエルとガイスカのガリターノ監督対決は前者に軍配が挙がり、レガネスの順位も16位に上昇。降格圏とも勝ち点差4がついたため、今週ミッドウィーク開催の火曜のバレンシア戦でも浮かれず、その勢いを維持してほしいものです。 ▽そして翌日の夕方、私はビセンテ・カルデロンに向かったんですが、バルサを迎えたその一戦の前半はまるでコパ・デル・レイ準決勝の続きを見ているかのごとし。ええ、もちろん1stレグ前半でまったく覇気がなかったのを反省していたアトレティコは、あわや逆転勝ち抜けも夢ではないと思わせた2ndレグのような勢いでスタートし、実際、先制するチャンスもあったんですけどね。GKがシレッセンからテア・シュテーゲンに代わっても結果は同じ。グリーズマンの強烈な一撃はparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいます。ただ、彼らも肩の脱臼から回復し、モヤから先発を引き継いだオブラクがメッシのFKを弾き飛ばし、ルイス・スアレスに蹴られてもゴールを死守したため、0-0のまま、ハーフタイムに入ったんですが…。 ▽うーん、基本的にバルサ来襲時のアトレティコは、どうせ自分たちはそんなに完璧なパスサッカーはできないからという諦めもあるんでしょうかね。ピッチの芝を長めにし、水も撒かないでおくため、現在はカタールでプレーしているチャビを筆頭に、試合後はいつもブーブー文句を言われていたんですが、この日は「Nos benefició para conseguir los dos goles y a ellos en una contra de Griezmann/ノス・ベネフィシオ・パラ・コンセギール・ロス・ドス・ゴーレス・イ・ア・エジョス・エン・ウナ・コントラ・デ・グリースマン(ウチが2点を取る助けになり、グリーズマンのカウンターを邪魔した)」(ルイス・エンリケ監督)という現象が発生。いえ、もちろんシメオネ監督は認めていませんし、「No logramos despejar una jugada de muchos rebotes/ノー・ログラモス・デスペハール・ウナ・フガダ・デ・ムーチョス・レボテス(何度も跳ね返ったボールをクリアすることができなかっただけ)」という意見はもっともなんですけどね。 ▽まずは63分、エリア内で行ったり来たりするボールを最後はルイス・スアレスが撃ちに行ったところ、この試合で復帰したゴディンが同じウルグアイ代表のチームメートの前をふさいだものの、ボールは通ってしまい、その辺りにいた誰より素早かったラフィーニャにゴールにされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか! ▽でもこの時はまだ良かったんです。ええ、70分にはコケのFKをゴディンが名誉挽回とばかりにヘッドで同点弾を決め、勝負は一旦、振り出しに。折しも前回のリーガのホームゲームではセルタ相手に奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を披露、お隣さんのようなこともできるんだとわかっただけでなく、火曜のCLレバークーゼン戦1stレグで4点も取っていたことあって、これですっかりスタンドのファンも行けると思ったところ…。 ▽それが諸刃の剣だったとは! 実際、「前半での頑張りとミッドウィークのCL戦で、les pasó facture/レス・パソ・ファクトゥーラ(彼らはツケを払うことになった)」(イニエスタ)だったんでしょうかね。フェルナンド・トーレスとコレアが交代でピッチに立ったものの、いつまで経ってもアトレティコは追加点を奪えず。いえ、それどころか86分には再び、エリア内で混乱状態に陥ってしまいます。ええ、メッシの蹴ったFKが弾かれて、ラキティッチによって戻って来ると、ウムティティ、ルイス・スアレスと繋がれ、最後はまたメッシがシュートなんて一体、あっていい? 挙句の果てに前をふさいだサビッチの脚に当たったボールをもう1度メッシに蹴り込まれ、バルサに勝ち越し点を取られてしまったなんて日には、もう「今日みたいに好ゲームを演じたって、こういう試合では常に幸運が必要なんだ。No la hemos tenido/ノーラ・エモス・テニードー(それがボクらにはなかった)」とコケが嘆く気もわからなくはない? ▽いえまあ、サッカー選手として正しい姿勢は「上手いことプレーしても結果が出ないのをウチは見てきたから、habrá que apretar más el culo/アブラ・ケ・アプレタール・マス・エル・クーロ(もっと尻を引き締めていかないといけない)」と、できた後輩のサウールの言う通りなんでしょうけどね。こうもバルサに勝てない試合ばかりを見せられると以前、14年間、マドリーダービーで白星がなかった時代を思い出してしまうばかり。就任以来、リーガ戦でバルサに勝ったことのないシメオネ監督もこの日は珍しく、「おそらく今日は値しない勝利を持ち帰られた」と不満を漏らしていましたが、大事なのは「Ellos demostraron su categoría en el lugar más importante, el área/エジョス・デモストラロン・ス・カテゴリア・エン・エル・ルガール・マス・インポルタンテ、エウ・アレア(彼らは一番重要な場所、エリア内でクラスを見せた)」(シメオネ監督)なんですから、もう仕方ないですよね(最終結果1-2)。 ▽そして夜になって、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でマドリーの試合を見た私でしたが、さすがこちらは根性のレモンターダの本家本元。昨年12月、クラブW杯参加のため延期され、先週、ミッドウィークにあったバレンシア戦同様、前半は0-0という違いはあったものの、後半序盤にトリゲロスとバカンブのゴールで2点を先行されながら、きっちり逆転勝利しているのですから、伝統芸とは何とも恐ろしいものです。いえ、今回は起爆剤としてカゼミロに代えてイスコが入った後、60分にカルバハルのクロスをベイルがヘッドで決めてしばらく、同じバレンシア地方(スペイン南東部)のお隣さんですし、そのままビジャレアルに逃げ切られるんじゃないかと思われた時間帯もあったんですけどね。 ▽70分にクロースがエリア内に入れたクロスをビクトル・ルイスが弾いたところ、ボールがブルーノ・ソリアーノの腕に当たり、何と審判がペナルティを宣告。どうもこれは当人も後で「el balón me viene rebotado al brazo y no puedo cortarmelo/エル・バロン・メ・ビエネ・レボタンドー・アル・ブアソ・イ・ノー・プエド・コルタルメロ(ボールは弾かれて腕に当たったし、自分の腕を切り落とす訳にもいかないし)」と言っていましたし、この時の抗議で退場処分になったエスクリバ監督も「審判とのミーティングではリバウンドのボールが腕に当たってもペナルティにはならないと言われていた」と主張。スポーツ紙などでも概ね、PKを与えるのはおかしいという意見だったんですけどね。 ▽判定が覆る訳もなく、実際に蹴るまで3分程、中断されていたにも関わらず、ここはクリスチアーノ・ロナウドが落ち着いて同点をゲット。うーん、大体がして、どこそのチームの当てにならないPKキッカーたちとは違い、前節のレガネス戦ではメッシも土壇場で勝利のPKゴールを決めていましたしね。やはり一流の選手は、ここ一番の大事な場面では失敗しないのが普通です。木曜にはバチカンで教皇に福音を授けてもらったビジャレアルの選手たちもこれには落胆してしまったか、その後、83分にはイスコが取り戻したボールを起点となり、マルセロのクロスを同じ途中出場のモラタが頭で撃ち込んで、とうとうマドリーの逆転劇が完成となりました(最終結果2-3)。 ▽うーん、ジダン監督も後で「Isco y Morata cambiaron el partido, seguro que merecen más minutos/イスコ・イ・モラタ・カンビアロン・エル・パルティードー、セグロ・ケ・メレセン・マス・ミヌートス(イスコとモラタは試合を変えた。もっと多くのプレー時間を与えるに値するよ)」と、この日お手柄だった2人について言っていましたけどね。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が勢揃いしたからには、大事な試合は彼らが先発となるのがマドリーのマスト。となると、この日はモラタが3点目を挙げた後、痛みを訴えてルーカス・バスケスと交代したベイルも「Tiene un golpe, no parece que sea nada más/ガレス・ティエネ・ウン・ゴルペ、ノー・パレセ・ケ・セア・ナーダ・マス(ただの打撲で、それ以上には見えない)」(ジダン監督)ため、他のアタッカーたちにまだ辛抱の時期が続きそうなのはちょっと、気の毒かもしれませんね。 ▽え、ビジャレアルではそれどころではないケガ人が前半に出て、大変だったんだろうって? その通りで、実は24分にベンゼマのヘッドを弾いた拍子にGKアセンホが左ヒザの靭帯を断裂。実は彼、アトレティコにいた時代の2010年、マラガにレンタル移籍していた2011年、そして2015年にも今のチームで右ヒザの靭帯断裂を経験しており、今回は反対の脚だったからでしょうか。その直後は当人も気づかず、しばらくプレーを続けたものの、34分には控えのアンドレス・フェルナンデスに交代。すぐに病院に行って検査したところ、4度目の重傷発覚となりました。 ▽いやあ、今季のアセンホは絶好調で、チームはリーガでどこより失点が少なく、当人はサモラ(失点率の一番低いGKに与えられる賞)街道まっしぐら。昨年11月のスペイン代表戦でもデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、レイナ(ナポリ)に次ぐ第3GKとして招集を受けていた程だったんですが、本当にこういう話を聞くと、人生だけでなく、サッカーでも一番大事なのは運じゃないかと私も思うことしきりなんですけどね。27歳のアセンホはまた手術を受け、6カ月のリハビリに耐えての復帰を誓っていますが、何はともあれ、来季には元気になった姿を再びピッチで見せてくれるのを願っています。 ▽一方、マドリーはその夜、カステジョン(ビジャレアルのある州)の飛行場が霧に覆われ、帰京できなかったんですが、翌朝にはマドリッドに無事到着。そのままバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に直行すると、水曜のラス・パルマス戦に備えて練習を開始しています。何せ、このミッドウィーク開催リーガでも2位のバルサは同じ水曜ながら、午後7時30分からスポルティング戦と、9時30分(日本時間翌午前5時30分)キックオフのマドリーの前にプレーしますからね。まだ日程が決まっていないセルタ戦(バライドスの屋根が壊れて延期)が行われるまで、消化試合が1つ少ないというのりしろはありますが、バレンシア戦の例もあることですし、ここは相手が先に勝って順位表の上に立ち、プレッシャーをかけてきても決して慌てず、自分たちのノルマをこなすしかないかと。 ▽ラス・パルマスも前節、レアル・ソシエダに0-1で負け、いえ、これが、アトレティコが5位に勝ち点1差に迫られてしまった原因というのはともかく、4連敗中と決して調子が良くないのも有難いかもしれませんしね。お楽しみは今季、PSGに移籍しながら、パリの水が合わず、1月から生まれ故郷のチームにレンタルで加入したヘセがサンティアゴ・ベルナベウに戻って来ることですが、果たして古巣への恩返しができるかどうか。 ▽そうそう、アトレティコは木曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からアウェイのデポルティボ戦なんですが、折しもレガネス戦で大敗したガイスカ・ガリターノ監督はラ・コルーニャ(スペイン北西部のリゾート都市)に戻るやいなや、解任の憂き目に。試合までにはペペ・メル監督が就任すると聞いていますが、こちらもソシエダが火曜にエイバル戦、セビージャも同じ木曜の早い時間帯にアスレティック戦となるため、自分の試合が終わるまで、選手たちには順位表を見ていてほしくないですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.28 10:59 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】上位戦線に異変が起こるかも…

▽「最終節前の平日にいきなり差をつけられてもねえ」そんな風に私が憂いていたのは金曜日、前夜のヨーロッパリーグ32強戦2ndレグはTVでこそ見られなかったものの、当日の午前中はチーム全員でバチカンに赴き、フランシスコ教皇に拝謁。1stレグで4-0と大敗した後、恥ずかしくない試合ができることを祈願してもらったのが効いたか、ローマに0-1で勝って、心安らかに敗退したビジャレアルはともかく、同じ早い時間のうちにアスレティックまでアポエルにキプロス島で2-0と負け、衝撃の逆転敗退という大番狂わせを演じてくれることに。そのせいもあって、スペイン勢最後の砦となったセルタがウクライナでのシャフタール戦、後半ロスタイムにPKで1点を取って延長に持ち込み、最後はカブラルのゴールで総合スコア2-1と逆転突破するのをドキドキしながら、スポーツ紙のテキスト中継で見守っていたんですけどね。 ▽おかげでEL16強戦でロシアのクラスノダールと当たることが決まり、それだったら、準々決勝進出も夢ではないと思わせてくれたセルタでしたが、問題は彼らには暴風雨でバライドス(セルタのホーム)の屋根が壊れ、延期になったレアル・マドリーとのリーガ戦があること。セルタがELのこのラウンドで負けていれば、3月にマドリーのCL16強戦2ndレグのない週の平日に設定できたんですが、まずこの可能性が消滅して、実はお隣さんも先週はCL16強戦1sレグでナポリに3-1と勝利と、準々決勝進出にかなり近づいているんですよ。となれば、最短で双方がベスト8で負けた場合には4月、片方でもそれ以上進んだら、やっぱり対戦すうのは5月17日頃となってしまう?現在のように2位との勝ち点差が1、未消化分を含んでも4しかないとなると、あまりリーガ終了が押し迫っての開催は、マドリーにとってもプレッシャーがかかるような気がするんですが…。 ▽まあ、余裕の首位だった彼らが何で急にそんなことまで心配しなければならなくなったのかはまた後でお話しすることにして、今週CL16強戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。これがまた、相手のレバークーゼンは2年前の同じステージで当たり、その時は互いにホームで1-0勝利の末のPK戦決着だったため、あまり得点が期待できない試合なるかと思いきや、まったく真逆なゴール祭り的展開に。ええ、前回のバイアレナ訪問時は相手選手との接触プレーで腎臓を痛めて途中交代。ロッカールームに着くまでに何度も吐いて、病院に緊急搬送となった上、4日間も入院しなければならなかったサウルが今度は絶対、いい思い出を作ってやると決心していたんでしょうかね。 ▽前半16分には1人、スルスルと右サイドを上がり、エリア内に入ってから、狙い澄ましたvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKレノを破っているんですから、こちらもビックリしたの何のって。おまけにそれから10分もしないうちにドラゴビッチが失ったボールを拾ってガメイロが敵陣をドリブル。最後はタイミングを見計らってグリースマンにパスを出すと、そのシュートが決まり、前半から2点もリードしているって、あまりに簡単じゃありません? ▽でも、そこはしなくてもいい苦労をするのが大好きなアトレティコ。後半開始早々、ベララビに1点を返されてしまったのは守備陣のちょっとした油断からだったんでしょうけどね。13分にはその日、大殺界だったようなドラゴビッチがガメイロをエリア内で倒し、アトレティコがPKを獲得。その際には同時進行のマンチェスター・シティ戦で、かつてのエース、今はモナコにいるファルカオがPKをGKカバジェーロに弾かれたという報も入っていたため、喜ぶよりもこのチームに奥深く根付いたPK失敗率の高さにむしろ頭が痛くなったものの、ようやく練習の成果が実ったようです。ガメイロが落ち着いて決めて、再び2点差となったんですが、まさか22分、フォラントのシュートをGKモヤが弾いたところ、サビッチに当たってオウンゴールになってしまうなんて、やっぱりアトレティコの不幸体質はまだ改善されていない? ▽おかげでそれまではサッカー的には上回るとこがなかったレバークーゼンがスタンドの後押しもあって勢いづき、私も気が気ではなかったんですけどね。2-3になって幾らもしないうちに、シメオネ監督は「mi intención era poner gente fresca/ミ・インテンシオン・エラ・ポネール・ヘンテ・フレスカ(自分の意図はフレッシュな選手をいれることだった)」と交代策を発動。フランス人の同僚の背番号が第4審判の掲げる電光ボードに現れたのを見た途端、グリースマンが「No, no! ¡Es el mejor, es el mejor!/!エス・エル・メホール(ダメ、ダメだよ。彼が一番いいんだから)」と抗議するのも無視して、ガメイロをトマスに代えると、その6分後には当人もカラスコと共にベンチへの道を辿ることになります。 ▽え、ガメイロも交代時には怒っていたようだったけど、結果的にはフェルナンド・トーレスとコレアが入って吉と出たんだろうって?そうですね、後でグリースマンも「彼は斜めに切り込んで、ボクらを凄く助けていてくれていたけど、el míster tuvo razón porque marcamos el cuarto/エル・ミステル・トゥボ・ラソン・ポルケ・マルカモス・エル・クアルト(ウチは4点目を取ったんだから、監督の考えが正しかった)」と認めていたように41分、トーレスがベルサリコのクロスを頭でゴールに流し込んでくれたんです!最後は2-4のスコアで終わり、つまりこれはレバークーゼンがビセンテ・カルデロンでの2ndレグを0-3で勝たないと逆転突破できないってことですからね。 ▽そんな余裕もあってか、その後はガビとフィリペ・ルイスがイエローカードをゲットし、累積警告で次戦出場停止となるローテーション計画も実行できたとなれば、試合後のシメオネ監督が「Fue tácticamente perfecto/フエ・タクティカメンテ・ペルフェクト(戦術的に完璧だった)」とほくそ笑んでいたのも当然だったかと。まあ、このところはグリースマン、ガメイロ、トーレスと、FWたちにゴールが戻っても来ましたしね。彼らにはその夜、軍配は5-3でシティに挙がったものの、それぞれ別のサイドで2ゴールを決めて大活躍。超一流のストライカーを持つという、アトレティコのいい方の伝統を作ってくれたアグエロやファルカオに負けない働きをこのシーズン残りに期待しています。 ▽そして翌日、CL戦でセビージャがラモン・サンチェス・ピスファンでレスター・シティを2-1と下す前、これもクラブW杯参加のため、延期されていたバレンシア戦にメスタジャで挑んだマドリーなんですが、まさかの伏兵に足元をすくわれることに。だってえ、本来の日程だった12月に試合をしていれば、開始早々、4分にムニルのクロスを胸で受け、エリア内で体を捻って先制弾を決めたザザ(ユーベからレンタル移籍、シーズン前半はウェストハムでプレー)も、その4分後、ザザ、ナニと繋いだカウンダーから2点目を挙げたオレジャナ(セルタから移籍)だって、バレンシアにはいなかったんですよ。 ▽もちろん、「Esos 10 minutos nos ha faltado concentración sin balón/エソス・ディエス・ミヌートス・ノス・ア・ファルタードー・コンセントラシオン・シン・バロン(この10分間、ウチはボールを持っていない時の集中力が欠けていた)」(ジダン監督)というのは自業自得ではありますが、まあそれは、かつて「眠ったままピッチに出る」という悪癖を性懲りもなく繰り返していた、どこぞのチームの例もありますからね。そんな時があるのはわかるんですが、予想外だったのはそれから80分も時間があったにも関わらず、ゴールには不自由していないはずのマドリーが同点にもできなかったことでしょうか。 ▽いえ、ハーフタイムに入るちょっと前にはマルセロのクロスをクリスチアーノ・ロナウドが見事なヘッドで決めて、1点は返したんですけどね。バレンシアは前半にナニを負傷で、後半には早々にオレジャナを引っ込め、専守防衛になっていたものの、ハメス・ロドリゲスに代えてベイル、その日は間の悪さでドラゴビッチと双璧を成していたバランがケガでナチョに代わったのはともかく、最後はモドリッチを下げて、ルーカス・バスケスまで投入したのも実らず、結局、2-1で負けてしまうことに。要は「Jugamos ochenta minutos concentrados, pero diez no/フガモス・オチェンタ・ミヌートス・コンセントラードス、ペオ・ディエス・ノー(ボクらは80分間集中して戦ったけど、10分間は違った)」(カセミロ)ということで、まさに覆水盆に返らずの典型だった? ▽おかげでこの日曜、保険分だった勝ち点3を増やせず、2位と1差のままとなった彼らは首位防衛を懸けてリーガ戦に挑まないといけなくなってしまったんですが、相手はローマ戦で主力を10人温存、しかも霊験あらたかなビジャレアルですからね。ELを敗退したことで、優勝ご褒美のCL出場権獲得の夢も消えてしまった今、彼らとしても来季もヨーロッパの大会でプレーできる6位の座は死守したいところでしょうし、果たしてマドリーが名誉挽回のプレーを見せられるのかどうか。 ▽そんなビジャレアルvsマドリー戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そろそろBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)のスタメン復活が期待されますが、モラタやイスコらもあまり出られないと不満が溜まりそうですし、その辺はジダン監督の心づもり次第。負傷欠場者は肉離れで全治3、4週間となってしまったバランぐらいになりそうです。 ▽え、それならマドリッドの両雄として、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、2位のバルサをビセンテ・カルデロンに向かい撃つアトレティコが一肌脱いでやるべきだろうって?いやあ、ライバル意識とは恐ろしいもので、こういう機会ではお隣さんを首位から引きずり下ろすために負けた方がいいなんて声がファンから聞こえてくるのも珍しくないんですが、今回は状況が状況ですからね。というのも、ここでアトレティコが勝って、マドリーが負ければ、両者の勝ち点差は7から4に縮小。2位との差も3になって、CLグループステージ出場権のある3位以内フィニッシュが近付くだけでなく、一旦は諦めた優勝戦線に復帰するのも夢じゃなくなるってことなんですよ。 ▽その上、バルサ相手には2月上旬のコパ・デル・レイ準決勝であと一歩のところまで相手を追い詰めながら、逆転勝ち抜けを逃したという苦い記憶がまだ新しいですからね。向こうがCL16強戦1stレグでPSGに4-0の大敗を喰らったため、この先、今季は対戦の機会がないかもしれないとすれば、もうここでリベンジしておくしかない?うーん、シメオネ監督がこれまでバルサ戦で2勝しかしていないというのは気になりますけどね。そろそろゴディンもケガが治って戻って来られそうなため、今度こそはウルグアイ代表の同僚、ルイス・スアレスを抑えてくれることを期待。マドリッドで彼女との相互DV裁判で証言した後、レバークーゼンにプライベートジェットで当日移動してベンチ観戦していたルカスも体調は万全ですし、この試合ではいよいよGKがモヤからオブラクになるかもしれませんね。 ▽そして前節はそのバルサにカンプ・ノウで引き分け寸前まで行きながら、終了間間際のPKで2-1と涙を呑んだマドリッドの新弟分、レガネスは土曜にデポルティボ戦なんですが、今週末は兄貴分たちも上位チーム対戦なので、助けてあげられませんからね。勝ち点2まで迫ってしまった降格圏に落ちしないためには、何とか自力で勝つしかないかと。まあ、1つ上にいるデポルティボも今年になって白星がないという点ではレガネスと同じですし、ここで勝てば16位になれるというのもいいモチベーションになると思うので、選手たちが頑張ってくれることを私も祈っています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.25 08:50 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】今シーズンの判定基準で難しいのはホールディングの判断

▽日本サッカー協会(JFA)は、毎年恒例となっているレフェリング・カンファレンスを2月22日にJFAハウスで開催した。これは、新シーズンのレフェリング基準をJ1からJ3までの54クラブとJFL16クラブに伝えた後にメディアへも公開してきた。 ▽昨シーズンの傾向として、ラフプレーによるイエローカードが増えたこと、昨年夏に導入されたPKの際に、守備側がボールへのアタックから反則を犯した場合は、これまではレッドカードだったのがイエローカードに変更されたものの、GKは認識していたがフィールドプレーヤーは認識が不十分な選手がいたこと、ヘディングの際に手を使う選手が増えたので今シーズンは注意した、とのことだった。ヘディングの際は両手を上げてジャンプしがちだが、フリーの時は手を上げてもいいが、競り合いなどで手を上げて相手の顔と接触した場合は反則を取るということだった。 ▽ジャッジで難しいのが、CKやFK時のホールディングだ。守備側がホールディングで攻撃側の選手を倒せばPKで、ボールのないところでのプレーならカードは出さず、ボールのあるところでの反則にはイエローカードというのがこれまでの解釈だった。ところが昨シーズンは、反則を受けた攻撃側の選手が、守備側の選手のホールディングを利用して、相手の手をつかんだまま倒れてPKをもらうといったプレーが増えたこと。上川副委員長は「大事なのはどちらが先にホールドしたか」と判定基準を話していたが、密集地帯での瞬時の判断はかなり難しいだろう。 ▽そして新シーズンの新たな取り組みとして、試合後にクラブ関係者(実行委員か強化担当者)と審判アセッサー(審判のレフェリングを評価する人)で意見交換をする。クラブによるレフェリングに関するフィードバック・レポート(クラブから見た評価)の提出。メディア関係者へのレフェリング説明会の頻度を上げ、定期的に開催しオープンに伝えて相互理解を図る、ことなどを実施することになった。 ▽クラブ関係者と審判アセッサーではなく、主審と両チームの監督が直接話し合った方が、より具体的な話ができるのではと上川副委員長に質問したところ、「それでは生々しすぎて話し合いにはならないかも」と危惧していた。残念ながらこの話し合いはメディアには公表しないとのこと。 ▽カンファレンスでは昨シーズンの試合中のプレーをピックアップし、イエローカードかレッドカードかの判断基準なども解説していた。こちらは「激しいプレーを続けて行こう。Jリーグを変えて行こう。メディア、サポーターも含めて変えて行こう。基準を共有したい(原Jリーグ副チェアマン)」ということで、JリーグのHPでも『2017シーズン競技規則スタンダード映像』として公開されている。興味のある方はHPでチェックして下さい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.02.24 11:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】ここまで当たりそうな予想原稿をアナタは見たことがないはず?! の巻

▽はい! 行ってきました! メディアのためのレフェリングの説明会。これがあるといよいよシーズン到来って感じがしますな。まぁ、去年大きく変わったので今年はあんまり変化がなくて、去年の説明をもう一回おさらいって感じだったんですけど。 ▽それで去年の実例をいろいろ見ていったら、フィジカルコンタクトが激しすぎてファウルになっている例が増えてるんですって。これって、もしかして「デュエル」大好きな某代表監督のせい? とか思って審判の偉い人に聞いてみたんですけど、現代表監督の前からの傾向なんだそうで。あーぁ、一本原稿書けると思ったのに。 ▽そんなときは昔のネタをこっそりもう一回使って……なんて探してたら、なんと前回の前振りがあるじゃないですか。スタートダッシュで勝点をがばがば稼いで、途中でアクセル吹かしそうなチームがあるって。えーっと、どこでしたっけ? ▽まぁ普通に考えると、指揮官しっかりしてて、バンバン補強して、夏には大物がやって来そうなのって、神戸? いや、もしかして香川真司が夏の放出が噂されてるのを受けてC大阪? あ、清武弘嗣のコンディションが悪いってことだから回復までスタートダッシュは厳しいかも。 ▽もしかして、今や金満クラブになった鳥栖がいきなりやってくれるのかも。苦しくなったら豊富な資金力で海外のビッグネーム取ったりしちゃいそうな勢いだし。 ▽それか、補強と言えば大久保嘉人、永井謙佑、林彰洋、高萩洋次郎、太田宏介ってな実績のある選手をガパガバ加入させて、まるで今年やるっきゃないってくらい気合いを見せているFC東京? 外国籍選手取ってないのは枠を空けてるから? ▽とかいいながら、その実、堅実な移籍でやりくりしてる広島がまた来たりして。なんて見せかけて大量13人の新戦力に6人の復帰組を確保した新潟だって当たれば来そうだし。当たればね。てか、補強の少ない清水と合わせてオレンジの中で安泰そうなのは大宮だけじゃね? と予想してみたりする。 ▽来たらおもしろそうなのは、札幌だったりして。どちらかというとノーマークだし、札幌とか仙台とか甲府が優勝したら、そりゃもう大騒ぎになるでしょ? ▽えーっと、ここまで書くと、柏と川崎と横浜FMと磐田とG大阪って名前を挙げてないのが申し訳ない。だけどみんな過去に優勝経験もあるし、今年はレギュレーションも放送権料も代わったから、ここは一発去年のレスターみたいな存在のチームが活躍してもおもしろいんじゃないかと。あ、そういえばレスター苦しんでるから、岡崎慎司が帰ってきてくれると、ますます盛り上がるんだけどね。今年の混沌としたJリーグ。 ▽さぁ、ここまで書けばどこかが当たる! シーズン終了時には、「やっぱオレの言ったとおり」って書きますので、よろしくオナイシャース。 【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.02.23 21:30 Thu
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【東本貢司のFCUK!】FCUKの夢、全開 ?!

▽苦境にあってもクラウディオ・ラニエリの頭は澄んでいる。むしろ、こうなることを予期して、あえて泥をかぶる心意気が透けて見える。セヴィージャの地に旅立つ直前、“ティンカーマン”はずっと胸の奥底に秘めてきた本音を告白した。「昨シーズン終了をもって辞任する道もあった」。その、ミラクルな“名声”を人々の記憶に押し付ける身勝手を良しとせず、必ずやってくる茨の道を選んだ“男気”を。だからこそ、チャンピオン転じて降格の危機に直面している最中にあっても、レスターは迷うことなくラニエリ支持を公言し、プレーヤーたちも望外の夢を見させてくれた恩義に報いて愚痴の一つも漏らさなかった。ここには、昨今の“目先の損得勘定”でやっつけの措置に走る(もしくは、それが当然とばかりにうるさく暴言をまき散らすファンやメディアに惑わされる)愚挙など、一切跳ね返す、クラブの意地、いや、本来の姿、ステイタスがある。ヴェンゲルのクビをしどけなく叫ぶファンの皮をかぶった似非ファンには爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものだ。 ▽その意気に(「この対セヴィージャ・ファーストレッグが我々のターニングポイントになるかもしれない」と述べたラニエリの決意とメッセージに)、プレーヤーたちは応えてみせた。スコアは2-1、ゲーム単体では敗れたが、貴重な、この上なく値千金のアウェイゴールをもぎとってみせた。それも、今シーズンここまですっかり冴えを失っていたドリンクウォーターのスルーパスから、シンボルエースのヴァーディーが蘇ったようにシャープな身のこなしから決めた。あとは、どこぞの国で“ホワイトデイ”とか称する奇妙な習慣が男たちを戸惑わせる「3月14日」(のホーム、セカンドレッグ)まで、“彼ら”が何をどうして“身を証明する”かにかかっている。それで、レスターの明日も見えてくる。ひとまず、ラニエリの言う「ターニングポイント」は良き方向へと舵を切った。そもそも、はらはらドキドキ胸を騒がせるのが“ミラクル・レスター”の魅力、真骨頂ならば、これはもう筋書通り。大敵セヴィージャを少しなりともがっかりさせた意義は相当にデカい。 ▽その前日、苦闘の末にホーム・ファーストレッグを勝ちで収めたマンチェスター・シティーの方はどうか。反発しての5得点は褒めてしかるべき。だが、3失点のツケは小さくない。グアルディオラの表情も「次にこちらが得点できなければ、多分終わる」と冴えない、心細い。数字以上に、レスターのアウェイゴール1は、モナコのアウェイゴール3は、天と地の差ほどに見える。なかでも、蘇ったファルカオの2ゴール以上に、ムバッペの(その時点での)勝ち越しゴールは鮮烈なメッセージだった。キリアン・ムバッペ、18歳。そう、アーセン・ヴェンゲルが「ティエリー・アンリに似たところがある」と言い切った新星。モナコがヴェンゲルの“縄張り”だったからには、その将来性に注目しないではいられない。すなわち、ムバッペの将来は、アーセナルの今後の巻き返し(プレミアおよびチャンピオンズ)にも大きく左右されるはず。アンリを大成させたヴェンゲルか、それとも、パリSG、シティー、チェルシーの“カネ”か。ムバッペという青年の気質はいかほどなのだろうか。“それでも”ユナイテッドにこだわるマーシァルほどの気骨の持ち主なのか。 ▽そのマン・ユナイテッドはめっきり安定感を増してきた。負けない手応えは現状、おそらくチェルシーをも上回る。サンテティエンヌだろうと何だろうと、隙も抜け目もなく、さも当たり前のように退ける。ひとえに勝利の質と中身にこだわるモウリーニョに、悠々落ち着いたポストマッチコメントをものさせる。おまけに、このサンテティエンヌ撃退では、ファンにとってちょっとした希望をももたらす“瑕疵”をも引き連れてきた。ミヒタリアン(とキャリック)の故障だ。目前に控えたえEFLカップ決勝(対サウサンプトン)に、ルーニー起用の目が現実的になったこと。どこかひねくれたところのあるジョゼ君のことだ、先発で使うかどうかは少々怪しまねばならないが、ちょうど中国のCSL行きが取りざたされていた最中で、ルーニーを“引き留める”(といっても本人にその気はさらさらないが)恰好の口実にはなる。レスター同様、ルーニーにとっても、これは何かが変わるきっかけになりそうだ。チャンスは誰も文句がつけようのない形で生かさねばなるまい。スタンドで観戦していたサー・アレックスもひそかに「その証明」を望んでいるだろう。 ▽ここまでをまとめてみるならば、レスターは俄然昨シーズンの光を再び取り戻して残留を確保し、少なくともセヴィージャを撃退してみせる。ルーニーはウェンブリー(のEFL決勝)で、モウリーニョの信頼を取り戻し、ユナイテッドのキャプテンたる真のステイタス奪回に力強く再生する。“アンリの再来”ムバッペはアーセナル入団の夢を語り、いずれガナーズの一人としてプレミアにお目見えする。そういえば、FAカップ準々決勝でチェルシー-ユナイテッドの大一番があるんだっけ。これは大変な(いずれの優勝云々は関係なく)ゲームになる。願わくば、それまでに(時間はあまりないが)ルーニーが掛け替えのない存在として復活していますように。“何か”をさらに実り多きものにするためにも。いやはや、希望的観測ばかりで恐縮ながら、FCUKはすべてが“叶う”ことを祈らずにはいられない。あともう一つ、アーセナルの怒涛の追い込みとヴェンゲルの契約更新。まさかと苦笑する向きもあろうが、ここからあっと驚く(?)チャンピオンズ決勝へとひた走るガナーズの“快挙”にも夢を馳せたい。いや、できないはずはないと思うのだが?【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.02.23 12:54 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールを決めれば問題ない…

▽「まだPK戦がないだけいいわね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、夜のニュースでバイアレナで練習するアトレティコの選手たちを見た時のことでした。いやあ、もちろん1stレグとはいえ、プレー中にPKが発生する可能性はあるんですけどね。データを見たところ、今季9本中6本を失敗しているアトレティコに負けず劣らず、このCLベスト16で当たるレバークーゼンもPKが苦手。ここまで6本中成功したのがたったの1本しかなく、その時のキッカーだったチャノハノールはFIFA処分で4カ月の出場停止中と聞きますし、2年前のCL準々決勝の時にはレアル・マドリーにいて、2ndレグでアトレティコの敗退を決める2試合中唯一のゴールを挙げたチチャリートもすでに2度失敗しているとか。 ▽更に振り返ってみれば、そのシーズンもアトレティコは同じラウンドでレバークーゼンと対戦。それぞれホームで1-0と勝った後、もつれ込んだPK戦を制して、かろうじて勝ち抜けたんですが、そのスコアが3-2って、どちらのチームもかなり低水準じゃない?いえ、昨季のアトレティコはPSVとのベスト16でまたしてもPK戦に突入し、その時はサドンデスまで行ったものの、8人全員が成功したという実績は作りましたけどね。結局、決勝では5人目のファンフランがシュートをポストに当て、再びお隣さんの前に涙を呑んでいることを考えれば、火曜は肩の脱臼がようやく治ったオブラクになるか、継続路線でモヤとなるか、先発GKはまだわからないものの、やっぱりPK絡みで勝つのは計算に入れない方がいいかと。 ▽え、先週末の彼らの試合を見る限り、1stレグからPK戦突入を心配するような景気の悪い展開にはならないんじゃないかって?うーん、それはちょっと微妙なところで、土曜のスポルティング戦は最終スコアこそ、1-4と大勝ですが、正直、前半など、何もなかったんですよ。それどころか、ハーフタイム直前にはこの冬の移籍市場で加わった、2メートル3センチの長身FWラシナ・トラオレの一撃がゴールポストに当たったりと、さすが2000年代に入ってからの7試合でアトレティコが1勝しかしていないのは理由があるのかと納得させられたんですが、この日はロッカールームで”モノ”・ブルゴス第2監督がjugada de estrategia/フガダ・デ・エストラテヒア(戦術プレー)の復習をしてくれたんでしょうかね。 ▽それは後半開始直後のことでした。グリースマンが1人キックオフで自陣に蹴ったボールをガビが狙いを定めてロングパス。フェルナンド・トーレスの頭を経由してボールが落ち、カラスコが敵エリア内に持ち込んでシュートしたところ、GKクエジェルも一応、止めようとはしたんですけどね。手に当たったボールが彼の背後に転がって、それをすかさず回り込んだカラスコがダメ押ししてゴールラインを割ってくれたから、ビックリしたの何のって!うーん、最近はリーガ優勝した2年前など、面白いように入ったCKからのセットプレーもあまり成功していませんでしたからね。折しもヘッドに強いゴディンが負傷で休場中ということあり、レパートリーを少し広げてみたのが成功した? ▽でも、その後がダメだったんです。というのも3分には守備陣の隙を突かれ、ブルギのクロスをセルヒオ・アルバレスにフリーでエリア内から決められ、あっという間にスコアは同点に。これでまたしても停滞状態に陥ってしまったため、シメオネ監督も考えたんでしょうね。15分にはトーレスとコレアをガメイロとサウルに、続いてカラスコをトマスに代えて、「podiamos lastimar con menos gente arriba y ganando el medio/ポディアモス・ラスティマール・コン・メノス・ヘンテ・アリバ・イ・ガナンドー・エル・メディオ(前線の人数を減らして、中盤を支配することで打撃を与えられる)」(シメオネ監督)体制にシフトしたところ…。 ▽「Los espacios iban a estar/ロス・エスパシオス・イバン・ア・エスタル(スペースは生まれるはずだった)。スポルティングは勝つために上がる必要があったからね」という監督の読みが当たり、ガメイロの1人舞台が始まったのは、もう私など、「またムダなところで勝ち点落として、本当にワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグをプレーすることになっても知らないから」とプンプンしていた34分のことでした。そう、まずはグリースマンがエリア前から繋いだスルーパスから、GKをかわして勝ち越し点を決めると、その1分後にはCBメレが自陣エリア近くにいたトマスに誤ってぶつけてしまったボールを拾って再びゴール。更に39分にも今度はセンターライン前からグリースマンが放ったロングパスを追って抜群の決定力を披露と、おやおや、この人、5分もしないうちにハットトリックじゃないですか! ▽いやあ、リーガ2番目に短い時間での3得点のおかげで、無事に勝ち点3を獲得した後、「Estos goles son para mi abuela, que ha fallecido esta semana/エストス・ゴーレス・ソン・パラ・ミ・アブエラ、ケ・ア・ファジェシードー・エスタ・セマーナ(このゴールは今週、帰らぬ人となったボクの祖母に捧げる)」とガメイロが言っていたため、翌朝、私がいつも新聞を買う売店のアトレティコファンのお兄さんが、「それなら毎週、誰か親戚に死んでもらわないと」と言っていたのは、あくまでブラックジョークのつもりだったと思いますけどね。先日のコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦2ndレグでは痛恨のPK失敗、その後ゴールを入れたものの、アトレティコが逆転突破できなかったため、翌日は1人、PK練習に励むぐらい、ガメイロも頑張っていますからね。 ▽丁度CL決勝トーナメントという、今季まだ優勝の可能性がある大事な試合も始まりますし、このハットトリックが、2014年夏にレアル・ソシエダから加入して、12月までは泣かず飛ばずだったグリースマンがアスレティック戦で決めた3ゴールをキッカケに、チームの中心アタッカーに成長したような効果をガメイロにもたらしてくれることを今は祈るばかり。ちなみに火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのレバークーゼン戦でシメオネ監督は先発CFをトーレスにするか、ガメイロにするか明言せず。あとは当日、午前11時に彼女との相互DV訴訟で出廷するCBルカスがプライベートジェットを使い、恙なくキックオフ前にバイアレナに着いてくれるといいんですが、さて。 ▽何にしろ、前日記者会見でシメオネ監督も「Muchas veces el talento es importante, pero el corazón y la ilusión a veces tienen más lugar en el fútbol/ムーチャス・ベセス・エル・タレントー・エス・インポルタンテ、ペロ・エル・コラソン・イ・ラ・イルシオン・ア・エセス・ティエネン・マス・ルガール・エン・エル・フトボル(サッカーでは多くの機会で才能が重要だか、時にハートと夢見る気持ちがより大きく影響することがある)」と言っていましたしね。2年前のリベンジに燃えている相手に憶することなく立ち向かい、とにかくアウェイゴールを決められるといいですね。 ▽そしてまたリーガに戻ると、土曜はアトレティコ戦の後、サンティアゴ・ベルナベウへ向かった私でしたが、マドリーvsエスパニョール戦の見せ場も後半まで待たされることに。いえ、先週ミッドウィークのCLナポリ戦から先発を6人変更したジダン監督だったものの、ベンゼマの代わりにCFとして先発したモラタが気を吐いて、前半33分にはイスコのクロスからヘッドで先制点を挙げていたんですけどね。リードされてもエスパニョールがgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)さえ、避けられれば御の字という戦術を貫いていたため、どうにも盛り上がりに欠けてしまった感は否めません。 ▽そんな中、何がクライマックスになったかというと、昨年11月のCLスポルティングCP戦で足首を痛め、戦列を離れていたベイルが88日ぶりに復帰。しかも後半25分にピッチに入ったと思いきや、38分にはカウンターからイスコのスルーパス目掛けて全力疾走、あれよあれよという間にGKディエゴ・ロペスに迫り、ゴールを決めているのですから、ジダン監督が「No hay otro como Bale, es especial/ノー・アイ・オトロ・コモ・ベイル、エス・エスペシアル(ベイルのような選手は他にいない。特別だ)」と褒めていたのも当然だった? ▽それでも本人よると、「100%に回復するにはあと2、3週間必要」らしいんですけどね。近頃ではクリスチアーノ・ロナウドがアシスト役に目覚めたせいか、数年前のような驚くばかりのスピードを見せてくれる機会も減ってきていますしね。脚力自慢のベイルが戻ってきてくれたことで、マドリーのプレーが速くなるのは私も大歓迎。ただ、一方のエスパニョールも本来なら、決してカウンターで負けているチームじゃなかったんですが、まだ1点差だった時、交代となったアトレティコ時代からキケ・サンチェス・フローレス監督の下にいたフラードーなど、テレテレ歩いてピッチを出て行ったりと、不可思議な行動が散見。よって、最後は2-0でマドリーの勝利と、「El equipo fue conformista y el resultado es logico/エル・エキポ・フエ・コンフォルミスタ・イ・エル・エル・レスルタードー・エス・ロヒコ(チームは現状に安穏としてしまったのだから、この結果は論理的)」(ディエゴ・ロペス)というのも仕方なかったでしょうね。 ▽そんなマドリーはこの試合で珍しく途中交代したナチョもただ、横っ腹が痛くなっただけとわかり、月曜にはナポリ戦での打撲でお休みしていたセルヒオ・ラモスも全体練習に戻ったため、ジダン監督はチーム24人全員をこの水曜のバレンシア戦で使えることに。ええ、これは昨年12月、彼らがクラブW杯参加のため延期されていた分の試合なんですけどね。CL開催週に割り込ませたため、セビージャがレスターシテイを迎える午後8時45分前に終わるよう、平日にも関わらず、午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)という早い時間にキックオフというのは、メスタジャ(バレンシアのホーム)の客の入りに関係するかも。 ▽加えてバレンシアは今週末、木曜に迫るアポエルとのEL32強戦2ndレグに備え、36歳のエース、アドゥリスを先発に使わず、途中出場してもらった途端、ケガで退場となったアスレティックに2-0と勝利して、自信を高めていますしね。ただ本職、チーム付き役員のボロ氏が正式に監督になってからも成績は安定していないチームのため、マドリー優位は揺るがないかと思いますが、この冬、セルタから加入したオレジャナには要注意。早くも頼りになる戦力になっているため、折り合いが悪くて放出を決めたベリッソ監督も、0-1でシャフタールに負けた1stレグを逆転しないといけない木曜のウクライナ遠征を前にちょっと後悔しているかも。 ▽そしてマドリッド勢のリーガ戦、最後は日曜に新弟分のレガネスがカンプ・ノウでバルサに挑んだんですが、ええ、一応私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って観戦していたんですよ。それでも前半3分にはルイス・スアレスのラストパスからメッシに先制点を決められて、早くも家に帰りたくなったのも事実ですけどね。その先はミッドウィークの試合がないにも関わらず、もしやこの日曜にリーガでアトレティコと当たるのを警戒したんでしょうか。ルイス・エンリケ監督が先週、ベストメンバーで挑んで4-0で大敗したCL、PSG戦から4人スタメンを変えたところ、どうやらマドリーの控え選手とバルサのそれは少々レベルが違うよう。 ▽実際、序盤は大舞台に足がすくんだか、目も当てられなかったレガネスですが、時間が経つにつれ、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)の消極性も手伝ってか、むしろより多く攻撃している側に。それでも前半、新戦力のエル・ザール(この冬、ラス・パルマスから移籍)が2回連続で放ったシュートがGKテア・シュテーゲンにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまうなど、なかなか得点はできなかったものの、とうとう後半25分には敵陣エリア付近でセルジ・ロベルトからボールを奪い、マチスのアシストでウナイ・ロペスが同点ゴールをゲット!その瞬間、お店にいたお客さんたちから歓声が沸き上がったため、1部の新参者でもやっぱりマドリッド市民はレガネスを応援しているんだと、私も嬉しくなったんですが…。 ▽44分、マントバーニがエリア内でネイマールを倒し、PK献上はないですよね。いえ、当人は後で「No veo lo que hace el/ノー・ベオ・ロ・ケ・アセン・エル(彼が何をしたのか、自分は見てない)けど、チームメートはまるで殺されでもしたかのように宙を舞ったと言っていた」と、相手のオーバーリアクションを非難していましたけどね。そのキャプテン自身、AS(スポーツ紙)などには「イエローカード2枚で退場になる危険があった。もし退場になっていれば、ペナルティは犯さなかっただろうに」なんて翌日、評価されていたため、こればっかりはねえ。おまけにこの日はメッシがPKをしっかり決めてしまい、あと数分だったレガネスの勝ち点1は雲散霧消してしまいましたっけ(最終スコア2-1)。 ▽でもまだ大丈夫。兄貴分がスポルティングに勝ってくれたおかげで、今週も彼らは降格圏から勝ち点2上の17位をキープしています。ただし、だんだん残り試合は減ってきていますけどね。PSG戦以来、イタリアの元名監督で一時、マドリーのスポーツディレクターも務めたサッキ氏などにも「王は死んだ。バルサはしばらく前から、昔の彼らではなくなっている」と言われ、低空飛行状態にあるとはいえ、強豪相手にあれだけ善戦したんですから、とりあえず土曜のデポルティボ戦で心機一転、残留確定への戦いを再開できるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.21 21:08 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決勝トーナメントは厳しい…

▽「こっちは諦めちゃったみたいね」そんな風に私が頷いていたのは金曜。ヨーロッパリーグ32強1stレグでローマに0-4と叩きのめされたビジャレルのエスクリバ監督のコメントを読んだ時のことでした。ヨーロッパの大会が再開した今週、一足先の火曜には同じスコアで大敗したスペイン勢もいるんですけどね。それでもバルサからは、「Creer y creer, siempre/クレエル・イ・クレエル、シエンプレ(常に信じて信じまくる)」なんて、CL16強2ndレグで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を目指す言葉が、イニエスタのツイッターから聞こえてきたりしたものの、エスクリバ監督はもう週末のレアル・ソシエダ戦で立ち直るとしか言っていなかったから。 ▽まあ、ELは来週木曜に早くも2ndレグがあるため、ちょっと事情が違いますけどね。PSGとの再戦が3月8日と、バルサには作戦を練る時間がたっぷりあるとはいえ、彼らの特技が永遠のライバル、レアル・マドリーと同じだという話はあまり聞かず。実際、お隣さんと違って、DNAにレモンターダ精神が刷り込まれていないアトレティコなど、バルサとのコパ・アメリア準決勝で1-2の負けを引っくり返そうとして、やっぱり叶わなかったことを鑑みれば、点差も遥かにあるため、難しいんじゃないかと思いますが、どうなることやら。 ▽ただ、そのおかげでここしばらく、彼らがPSGのことばかりを考えてくれれば、この週末の日曜、リーガでカンプ・ノウに乗り込むマドリッドの新弟分のレガネスや、その次週、ビセンテ・カルデロンにバルサを迎えるアトレティコが助かるんじゃないかと…。その辺は私も都合良く、考えてしまうのも否めず。レアル・マドリーのセルヒオ・ラモスだって、「No me gusta ver sufrir a amigos, pero obviamente no me gusta que gane el Barca/ノー・メ・グスタ・ベル・スフリル・ア・アミーゴス、ペロ・オビアメンテ・ノー・メ・グスタ・ケ・ガネ・エル・バルサ(友達が苦しむのを見るのはイヤだけど、バルサが勝つのがイヤなのも当り前さ)」と言っていましたしね。バルサがCL早期敗退してくれることで助かるのはマドリッドの両雄、どちらも同じってことでしょうか。 ▽それより今週はマドリーもCLナポリ戦に挑んだんだろうって? その通りで、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでは試合前、スコアボードに前日のPSGvsバルサのハイライトを流して、アップする選手たちを景気づけをしていましたが、「マラドーナがロッカールームで30秒話してくれた」(サッリ監督)というようにどうやらチームのレジェンドが訪問したナポリの方が序盤の士気は高かったよう。だって、フォンド・スール(南側ゴール裏席)には巨大なモザイクも出現して、前人未到のCL2連覇への後押しをファンがしてくれたにも関わらず、開始7分にはインシーニェが放ったミドルシュートがあっさり決まってしまったんですよ。さすがにこれには先が思いやられてしまったものの…。 ▽全然、大丈夫です! その10分後にはカルバハルのクロスをベンゼマがヘッドでゴールにして、マドリーはあっさり同点に追いつくことに。それから余裕を持って攻めることのできた彼らは前半こそ、その1点に留まりましたが、後半は49分にクリスチアーノ・ロナウドがエリア内右奥から入れたパスをクロースが決めて2点目をゲット。更に54分には、カゼミロが「Es una cosa que vengo entrenando mucho/エス・ウナ・コーサ・ケ・ベンゴ・エントレナンドー・ムーチョ(自分が沢山、練習してきていること)」を披露。ええ、ナポリの守備陣がエリア内からクリアしたボールを拾った彼が弾丸volea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込み、とうとう3点目を挙げてくれたのですから、もう安心ですって。 ▽いえ、パルコ(貴賓席)でマラドーナが26歳の彼女と応援する中、ナポリも2ndレグに繋がる2点目のアウェイゴールを奪おうと懸命に戦ったんですけどね。Falso nueve(ファルソ・ヌエベ/仮のCF)を務めるメルテンスが絶好のシュート機会で外してしまい、里帰りとなったカジェホンも久々のベウナベウで勝手が違ったんでしょうかね。サッリ監督も最後は、今季からユベントスに行ってしまったイグアインの代わりに獲得しながら、負傷で長期離脱。この試合で復帰したミリクまで投入と、手は尽くしてみたんですが、「マドリーはここ3カ月で最高の試合をして、ウチは最低の試合をした」(サッリ監督)のが響いたか、追加点が入ることはありませんでしたっけ。 ▽ただ、ジダン監督も「El 3-1 es un buen resultado pero no definitivo/エル・トレス・ウノ・エス・ウン・ブエン・レスルタードー・ペロ・ノー・デフェニテティボ(3-1というのはいい結果だが、決定的ではない)。勝負はまだ五分五分」と言っていたように、これでマドリーが準々決勝への切符を手に入れたと喜ぶのは時期尚早。何せ、3月7日の2ndレグでは「サン・パオロ(ナポリのホーム)は地獄と化すだろう」とサッリ監督も予告していましたしね。今回、半数以上はチケットを持っていないながら、計1万人がマドリッドに駆け付けたナポリファンの情熱を目の当たりにすると、きっとそうなんだろうと推測するのは難しくなし。 ▽それだけにマドリーもしっかり準備しないといけませんが、そうそう、人口に比例してか、EL32強のアポエルを応援しに、キプロスからビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)にやって来た300人程の過激グループが、チームが3-2で負ける前に警官隊と衝突していたのとは違い、イタリア人サポーターが騒ぎを起こすことはなかったんですが、ダフ屋に偽造チケットをつかまされ、ゲートでのチェックで入れなかったファンが結構いたとか。 ▽うーん、クラブが発売したナポリ戦のチケットはもうかなり前に売り切れていたんですけどね。せっかく来たのに見られないのは悔しく思ったイタリア人以外の観光客も騙されていたようで、どうすれば引っかからずに済むのか、私もアドバイスはできないんですが、被害者の証言によると、偽造チケットは70~100ユーロ(約8400~1万2000円)と相場より安め。あ、でも東洋人には160ユーロ(約2万円)で売り付けられていたので、あまり参考になりませんかね。 ▽そしてもう土曜には次のエスパニョール戦が迫っているですが、マドリーにはとっておきの朗報があって、今週からずっと全体練習に参加していたベイルがとうとう招集リストに復帰したんですよ! ただ彼らには来週、水曜にクラブW杯参加のため、延期していたバレンシア戦も控えているため、ジダン監督はゼンゼマ、モドリッチ、そしてGKケイロル・ナバスを温存しますけどね。そのため、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)勢揃いとはならないんですが、木曜に屋根の修理もすっかり終わったバライドスでセルタがシャフタールに0-1で敗戦。EL32強で敗退する可能性も出てきただけに下手したら、2月初旬に延期された試合もミッドウィークに入る可能性もあり、そうなると3月の代表戦週間までマドリーはハードシュケジュールが続くかもしれませんからね。 ▽おかげで、ナポリ戦で途中交代したラモスも腰の打撲だけで重症ではないものの、用心のため、お休みすることになり、代わりにアセンシオやマリアーノがベンチ入りすることに。加えて、ジダン監督は「Contra el Espanyol él va a jugar de inicio/コントラ・エスパニョール・エル・ヴァ・ア・フダール・デ・イニシオ(エスパニョール戦では彼が先発する)」と、このところ出番が減っていたモラタの起用を宣言。うーん、ベンゼマは得意のCL戦で面目躍如を果たしたものの、モラタもこのままベンチ生活が続くと、また別のチームに行ってしまうかもしれませんしね。とりあえず、2位のバルサとは勝ち点1差とはいえ、消化試合が2つ少ない状態で首位を維持している今は比較的、余裕があるため、ローテーションにはいいタイミングじゃないでしょうか。 ▽一方、キケ・サンチェス・フローレス監督率いるエスパニョールでは、2週間前のマラガ戦で頭蓋骨にヒビが入り、休養していたピアッティがアーセナルのチェフのようなヘッドギアをつけて復活。同チームではエルナン・ペレスも鼻骨骨折でマスクをつけてプレーしているんですが、この2人が揃うと結構、怖いかも。あとはカシージャ、ディエゴ・ロペスの両GKが、それぞれ河岸を変えて対戦するのが楽しみだったりしますが、そんなマドリーvsエスパニョールは土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ。今度はナポリ戦ではアシスト役に徹していたロナウドのゴールも見られるといいですね。 ▽それで、今年になって初めて試合のない1週間を過ごしたアトレティコは何をしていたんだって? 木曜の夜などには選手たちが集まって、前節のセルタ戦での逆転勝利から、盛り上がったムードを維持しようとしてか、決起ディナーなどを開いていたようですけどね。今週にはマハダオンダ(マドリッド近郊)での全体練習に戻ったGKオブラクやチアゴもまだ、ヒホン(スペイン北部のビーチリゾート都市)遠征のメンバーには入っていません。 ▽同様に負傷中のゴディンやファンフアン、ガイタンも来週火曜のCLレバークーゼン戦を目指して、リハビリを続けていますが、困ったのはその大事な日に彼女との相互DV訴訟で出廷しなければならないリュカが日程変更を認めてもらえず、午前11時に裁判、午後3時過ぎの飛行機でドイツまで移動して、8時45分のキックオフに間に合わさないといけないこと。まあ、何事もなければ、この土曜午後1時(日本時間午後9時)からのスポルティング戦でプレーして、レバークーゼンではサビッチとヒメネスのコンビでCBを賄えば済みますけどね。これ以上、DFにケガ人が出るとシメオネ監督が困ることになるため、今週末は何事もなく終わってくれるのを祈るばかりかと。 ▽そんな中、やっぱり時間がたっぷり取れるというのは良かったようで、彼らもとうとう金曜にはPK練習を実施。いえ、その日はたまたま、マドリッドは祝日で学校がお休みだったため、見学の子供たちでギャラリーが多かったというのを利用したみたいですけどね。今季はもらったPK9本中6本を失敗、クラブ通算でも445本中30%近い129本もゴールにできず、リーガ1の失敗率という、呪いのようなデータを聞けば、さすがのシメオネ監督だって、ちょっとは練習させなきゃと思っても不思議はない? ▽ちなみにその練習はPK戦形式でグリーズマン、フェルナンド・トーレス、ガメイロ、コケ、サウルが蹴り、今回は枠に当ててしまったのがガメイロだけ。あとは成功したそうですが、もしスポルティング戦でPKがあっても「Seguro que saldrá de los que ya patearon/セグロ・ケ・サルドラ・デ・ロス・ケ・ジャー・パテアロン(きっと今までに蹴った選手が蹴るだろう)」(シメオネ監督)とのことなので、あまり不安は晴れませんけどね。 ▽個人的には丁度、今週は昨季のCL決勝でお隣さんに再び負けた後、後半にPKを失敗していたグリーズマンが「試合が終わって、負けたのは自分のせいだと思っていたら、シメオネ監督が来て、まったく反対だと言ってくれた。ボクはチームにとって重要な選手だから、心配しないで、また決勝に行けるように努力すべき時だってね」と話しているインタビューを読んだばかりだったので、そろそろ彼にリベンジを果たしてもらいたいと思いますが、さて。 ▽加えて、アトレティコには先週、スポルティングに負けてしまった弟分の敵をとるという使命もありますしね。とりわけ今節、レガネスはバルサと分が悪いだけでなく、18位のスポルティングだけでなく、金曜には19位のグラナダもベティスに勝ってしまったため、降格圏にいる両チームとの差がたったの勝ち点2と厳しい状況になってしまったため、とにかくここは先輩が勝ってあげないと。ええ、それでなくても今は勝ち点4ある3位セビージャとの差も縮めないといけないアトレティコなので、私もいい結果を出せるように願うばかりです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.18 16:20 Sat
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【倉井史也のJリーグ】すでに悲劇が見えてるチームがあるってみんな言ってるよ?! の巻

▽はい! 行ってきました! Jリーグキックオフカンファレンス。例年よりも狭い会場で、すっごい混んでました。狭いモンだからJ3のクラブがロビーに追い出されちゃって、ちょっと寂しそう。そんなとこに元日本代表の監督や選手がいるんですから、なんか申し訳ないッスって、Jリーグ関係者でもないのに思っちゃいましたよ。それでも、去年と違って今年はちゃんと監督も目玉選手も来てるし、DAZNのお披露目的もよかったんじゃないスカね。 ▽で、いよいよ今週末のゼロックススーパーカップからJリーグがスタートするわけです。いろいろ練習取材に行ってみると、クラブ関係者たちから異口同音に聞こえてきた話が。 ▽あるクラブが同情を集めてるんですよ、すでに。それは胸スポンサーが「ちょっと大丈夫?」的なあのクラブでもなければ、アガサ・クリスティもビックリの誰もいなくなりそうなそのクラブでもなく――浦和なのでした。 ▽浦和にとってみると、今年の最初の公式戦は18日、日産スタジアムでもスーパーカップ。その後すぐオーストラリアに飛んでシドニー・ワンダラーズとのACLが21日。日本に戻ってきたら、次は25日にまたも日産スタジアムで横浜FM戦。やっとホームで試合ができるのは28日だけど、ACLで相手は強いFCソウル。3月4日にやっとJリーグのホーム開幕がC大阪を迎えて行えるわけです。 ▽一方の鹿島はどうか。18日の日産スタジアム、スーパーカップは同じでも、21日の蔚山現代戦、25日のFC東京戦はホームゲーム。28日はタイでムアントン・ユナイテッド戦と、うーん、こういう部分も鹿島、持ってるじゃん、みたいな。 ▽だいたいね、鹿島は出足が悪くて尻上がりに調子を上げてくチーム。浦和は最後が一番ヤバイチーム。その浦和にスタートダッシュさせないような日程じゃないですか。去年、年間勝点を最も稼いでいながら王者になれず、今年こそって思ってるチームにこの仕打ち。もしかして昔、横断幕たくさん出した恨みか!! と言いたくなるスケジュールなんですけど。 ▽でも、この2チームが最初っから大変な状態なのは間違いなくて、ってことはスタートダッシュで勝ち点をがばがば稼いで途中でアクセル吹かしそうなあのチームが、今年いいんじゃないですか? そのチームとは――あ、もう字数が足りない! この続きはまた来週! 憶えてたら!! 【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.02.16 22:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】久保の過保護にひと言!

▽いよいよ今週土曜の18日に、鹿島対浦和のゼロックス・スーパーカップで2017シーズンが開幕する。その前座試合として10時30分から高校選抜対U-18Jリーグ選抜の試合があるが、おかしなメールがJリーグから届いた。 ▽「また、1点ご連絡です。NEXTGENERATION MATCH U―18Jリーグ選抜のメンバーである久久保建英選手(FC東京U-18)への取材に関しまして、Jリーグとクラブで協議した結果、チームに合流する試合前々日から試合当日(ミックスゾーン含む)まで一切の取材をお受けいたしかねますので、予めご了承頂きますようお願い申し上げます」 ▽久保といえば、U-17日本代表の主軸であるだけでなく、昨年末はU-20日本代表のアルゼンチン遠征にも招集され、U-20日本代表の内山監督も今年5月から6月にかけて韓国で開催されるU-20W杯への参加を希望する日本サッカー界の期待の星だ。将来を嘱望される逸材だけに、大切に育てたいという気持ちは分かる。 ▽しかし、それだからこそ久保はこれまで“飛び級”で、レベルの高いステージで戦ってきた。昨年11月5日には15歳5カ月でFC東京U-23の一員として、長野戦でJ3リーグのデビューを果たし、J3最年少出場記録を飾った。試合後は異例とも言える多くの報道陣に囲まれながらも、「緊張したけど身体はいつも通りに動きました。でも、何もできずに時間ばかり過ぎたけど、途中からは試合に入っていけました」と語り、デビュー戦と自身の出来については「順調と言えば順調ですけど、自分的には早かったかな。記録とかは意識していません。あまりゴールに絡めずミスも多かったので、10点か15点。今後は1人で局面を打開できるプレーヤーになりたい」と抱負を述べていた。 ▽中学3年生にもかかわらず、多くの報道陣、彼にしてみれば見ず知らずのオジサンたちに囲まれながら、言いよどむことなくはっきりと受け答えするのを見て、正直驚かされた。自分が中学3年生だったとしても、これほど理路整然と答えることはできなかっただろう。バルセロナに留学していただけに、精神的な自立も早いのではと感心したものだ。 ▽能力の高い選手は、より高いレベルでプレーさせた方がいいというのは常識だろう。久保に関して、「身体のできていない中学生を、高校年代や大学年代と試合をさせて、ケガをしたら取り返しのつかないことになる」とい危惧する声も聞こえた。しかし久保は、上の年代とのフィジカルコンタクトも苦にすることなく、巧みなドリブルとステップでかわしていった。危惧する声は、いまのところ杞憂に終わっている。 ▽だからこそ、プレー同様に若いころからメディアとも接して、社会性を身につけさせるべきだと思う。ピッチでは成長を促しながら、ピッチ外では周囲の大人が過保護になっていると感じられてならない。久保の、選手としての成長を見守るなら、“普通”に接するのが一番だとも思う。もしも久保が韓国でのU-20W杯で活躍したら、「試合当日(ミックスゾーン含む)まで一切の取材をお受けいたしかねます」という言葉が通用するとは思えない。国際的なスタンダードを身につけさせるためにも、関係者には再考を求めたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.02.16 15:05 Thu
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【東本貢司のFCUK!】エンリケとヴェンゲルの差

▽これはちと、ひどい。いくらなんでもリターンマッチで4点差を跳ね返すのは骨が折れるどころではない。チャンピオンズ・ラスト16。バルセロナとアーセナルのことだ。ただし、両者の問題と修復への課題には、天と地の差ほどの、つまり、まるで正反対の要因があることを見逃してはいけない。あえてこのコラムでスペインの雄を引き合いに出す意味もそこにある。バルサの蹉跌、その理由は(たぶん)誰の目にも明らかだろう。十八番の、トレードマークのポゼッションプレスよ、今いずこ。いや、それ自体は必ずしも失敗だとは言えない。方向転換(の必要性)はどんなチームにも、いつかめぐってくる。しかし、それを承知の上だとして、ルイス・エンリケが見誤ってしまった最大の失敗とは・・・・メッシ、スアレス、ネイマールの“ワンダー3”にあまりにも頼りすぎた戦術・・・・いや、それはもう戦術でさえない。いったい「個の能力任せ」のどこに戦術があろうか。筆者はいまだに首を傾げている。就任1年で「ルイス・エンリケの戦術論」本が世に出た“謎”について。 ▽パリSGの前に無残の散った試合後、セルヒオ・ブスケッツは「我々は戦術的に敗れた」と述べたそうだ。それを会見の場で伝え聞いたルイス・エンリケは「何のことか(ブスケットが何を指してそんなことを言ったのか)さっぱりわからず」、当の記者に逆切れして?みついたという。そして、その一件を伝え聞いた某評論家は「これで終わりだな」と思ったとか。ルイス・エンリケ体制の終わり。すでに後任候補の名はいくつか上がっている。最有力はセヴィージャの将、ホルヘ・サンパオーリ。バルサ上層部はスパーズのポチェッティーノやエヴァートンのクーマンも「お気に入りリスト」にアップしているといわれているそうだ。もっとも、リーガとコパ・デル・レイの優勝の目はまだ残っている。タイトルを一つは確保できればお目こぼしはあるのかも・・・・いや、その可能性は低いと、前出の評論家は断言する。ブスケッツの指摘にルイス・エンリケがカチンときたということは、プレーヤーたちに不信の輪が広がり、エンリケ自身にもきっと思い当たる節があるからだ。 ▽では、アーセナルは? エミレイツに戻ってこの、緩急自在の剛腕をまざまざと見せつけたバイエルンをひっくり返すのは至難の業。つまり、チャンピオンズはほぼ絶望、残る現実的なタイトルの目はFAカップだけだ。この数年、定番のようになった(今やイングランドでも哀しいかな価値が薄れゆく一方の)トロフィーを仮に獲ったところで、アーセン・ヴェンゲルの地位は保たれるのか? 確率でいえば「保たれる」方に、筆者なら賭ける。なんとなれば、こちらは戦術で負けたわけではないからだ。明白な力負け。つまり、敗戦の責任は一にも二にもプレーヤーたちの側にある。具体的には、ガナーズの生命線というべきペース(スピード)の点で、バイエルンにほぼ完全に競り負けた。その上、バイエルンが絶妙な間合いで差しはさむ「緩」に翻弄されてはおよそ太刀打ちできるはずがなかった。なにゆえに? 思うに、あのワトフォード戦敗退の屈辱がまだ尾を引いている。精神的に立ち直れていない。だからペースで敵を上回るヴァイタリティーを絞り出せなかった。 ▽最近、何かというと、かつての“レジェンドたち”のコメントが引き合いに出される。本人たちが何を言ったかということより、そこには、あの「インヴィンシブル」シーズンのチーム(2003-04)と比較したがっている(ゲスな)“下心”が透けて見える。無論、そんな“揶揄めいた”ことに何の意味もない。比べる基準などどこにもないからだ。ならば、さすがに無敗とはいかずとも、アーセナルが今も優勝争いの輪に踏みとどまっているのはなぜだ? 当時とまったくわけが違うのは、あの翌シーズンからチェルシーの“爆買い”が始まり、しばらくしてマン・シティーも追随したという、いわば「世界が変わってしまった」ことである。同じ尺度で測れるはずがない。そんなことよりも、今季のアーセナルはここまでを通してほぼベストメンバーを組めないで、何とかやりくりしてきた点を思い出すべきではないか。無論、今後、思い切った補強に向かうのは当然だとして、そこで立ち止まって考えてみなければならない。ヴェンゲルが去ったアーセナルにはたして、誰が、どんな大物即戦力がはせ参じるだろうか。上辺しか見ない輩にはそこがわかっていない。 ▽ルイス・エンリケには悪いが、そこに天と地ほどの差があるのは明白だろう。そう、このバイエルン戦を控えた時点でも「後継者」候補が取りざたされていた。だが、そのどれをとっても(エンリケじゃないが)さっぱり理解に苦しむ話にしか聞こえない。果ては、現在イングランド2部のニューカッスルを率いるベニテスの名前が飛び出す始末。笑ってしまうしかないが、筆者は思ったものである。どうせ“冗談の一環”なら、サー・アレックス・ファーガソンの名前くらい出してみろ、と。さもなくば、ヴェンゲルの前の前のジョージ・グレアムとか。“物理的”に現実味のある名前を出すことに、むしろ真実味が薄れるのに、誰も気づかないとは。かつてのガナーの一人、マーティン・キーオンは「まだアーセナルはヴェンゲル更迭の準備ができていない」と述べ、イェンス・レーマンは「チャンピオンズを獲ってこそ、アーセナルもヴェンゲル自身も“変化”を真剣に考えるだろう」と予言している。そう、まだ早いのだ。それに何よりも、ヴェンゲルが去って誰が来たところで、その節は多分、いやきっと、サンチェスとエジル辺りは新天地を望むだろう。そうなってからでは遅い、いや、それこそ壮大な一からの出直しになってしまうだろうから。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.02.16 13:25 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】珍しいものを見た…

▽「別にいいけど、ちょっと微妙」そんな風に私が感じていたのは月曜日、スペイン・サッカー協会理事会で5月27日のコパ・デル・レイ決勝会場がビセンテ・カルデロンに決まったという報を知った時のことでした。いやあ、先週末のリーガであった予行演習、アラベスvsバルサ戦は0-6という後者の圧勝で終わったんですけどね。昇格組にも関わらず、ミッドウィークにも試合がある年明けからのハードスケジュールを乗り切ったペレグリーノ監督のチームはもう精根尽き果てていたはずで、それでも一応、リーガでは降格圏まで勝ち点10以上の余裕を持っての12位。となれば、その日、2得点挙げたルイス・スアレスもコパ決勝では出場停止ですし、ここはバルサに手の内を明かさず、「チョロい相手と」と過信させて、メンディソローサから気分良く帰ってもらうのも決して悪くはなかったかと。 ▽ただ、予想外だったのはアトレティコからレンタル移籍で修業に出ているテオが、もしかしたら決勝の当日はU20ワールドカップ参加のフランス代表に招集されており、自分が年子の兄、ルカスの敵をとってあげられないかもしれないのが悔しかったのかもしれませんね。ボールを奪おうと激しくいったアレイス・ビダルの当たり所が悪く、足首の脱臼で今季絶望にしてしまったのはあと味が悪かったかも。うーん、実はお兄さんの方も来週のCLレバークーゼン戦の日に、先日起きた彼女との相互DV訴訟で出廷を命じられていて、今クラブと代理人が日付を変えるよう、裁判所と交渉している最中なんですけどね。兄弟揃って乱暴事がこうも続くと、ご両親も辛いかと思いますが、それより何より、前節は仮想コパ3位決定戦の方が見応え満載。それもあって、返す返すもアトレティコが今季限りのホーム、ビセンテ・カルデロンで最後の試合となる決勝に進出できなかった間の悪さを嘆くことになったんですが…。 ▽まあ、そのことは後で詳しく話すとして、先にお隣さんのオサスナ戦がどうだったか伝えておかないと。土曜にバルサが勝利した後、消化試合は2つ少ないものの、順位表の上では勝ち点2下の2位でエル・サダル(オサスナのホーム)のピッチに立ったレアル・マドリーでしたが、結構、首位に返り咲くのには苦労したんですよ。いえ、序盤にイスコとの接触プレーでオサスナの選手が足を骨折、「Tano gritaba 'tibia y perone'. No quise ni mirar/タノ・グリタバ・ティビア・イ・ペロネ。オー・キセ・ニ・ミラール(タノは脛骨と腓骨だと叫んでいた。ボクは見たくもなかったよ)」というショックを選手たちは乗り越え、前半23分にはベンゼマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドが先制点を決めてリードと、順調に見えたんですけどね。 ▽ジダン監督が採用した3CB制は、私もほとんどマドリーで見たことがないだけに、やっぱりチームカラーに合わないんでしょうか。バラン、この日がマドリー公式戦500試合出場の節目となったセルヒオ・ラモスと共に先発した、まだ100試合のナチョなど、「tenemos un gran equipo y mucha variedad de jugadores/テネモス・ウン・グラン・エキポ・イ・ムーチャ・バリエダッド・デ・フガドーレス(ウチには偉大なチームがあって、イロイロな種類の選手がいる)から、どんなシステムでも快適だよ」と言っていたものの、中盤まで上がった2人のSB、ダニーロとマルセロはそうでもなかったよう。ええ、この形でスタートした1月のリーガのセビージャ戦(2-1で負け)もコパ準決勝セルタ戦2ndレグ(2-2で敗退)でもいい結果は出ませんでしたしね。この日も32分にはセンターから敵にロングパスを出され、セルヒオ・レオンの見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でオサスナが追いついて、1-1でハーフタイムを迎えることに。 ▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。 ▽え、前々節のセルタ戦が中止になって、間が12日も空いたため、この試合ではイロイロ考えてしまったジダン監督だけど、もうここからはシーズンも正念場。水曜のCL16強対決ナポリ戦1stレグで実験的な布陣を組んだりはしないだろうって?そうですね、相手は昨年グループリーグが終わって以来、11試合無敗ですし、ドリース・メルテンスを始め、カジェホン、ハムシークと強力な攻撃陣を擁している上、カジェホンと共に里帰りとなるCBアルビオルや34歳ながら、GKレイナも絶好調のようですしね。昨年11月のCLスポルティングCP戦で負傷した足首を手術したベイルも日曜から全体練習に戻り、復帰は近いと言われていますが、まだ実戦には早いと思うので、とりあえずこの試合ではルーカス・バスケス辺りを前線に入れた4-3-3に戻るのでは? ▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。 ▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。 ▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。 ▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。 ▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た? ▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。 ▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。 ▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。 ▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。 ▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。 ▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。 ▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.14 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】奮闘空しく…

▽「じゃあ、こっちは3位決定戦?」そんな風に私が皮肉に思っていたのは金曜。この週末のリーガの予定を見直していた時のことでした。いやあ、昨季はアトレティコを破りながらも準決勝でセビージャに負け。今季もレアル・マドリーを退けるもアラベスに敗れて2年連続で決勝進出の夢が消えたセルタの選手も、似たようなことを考えながらマドリッドに来るんでしょうけどね。その対戦相手であるアトレティコの予定が狂ったのは、来季からワンダ・メトロポリターノにホームを移すため、最後のお勤めをコパ・デル・レイ決勝の舞台で飾りたいと、昨年中からビセンテ・カルデロンが会場候補に名乗りを上げていながら、どちらのファイナリストも違うスタジアムを希望しているから。 ▽そう、毎年のことながら、スペインのカップ戦は日付こそ5月27日とシーズン当初に決まっていながら、どこでやるかは未定。理想は対戦するクラブから等距離にある中立地ですが、なかなかすんなりとは決まらず、今回もバスク(スペイン北東部)地方のアラベスとカタルーニャ(西部)のバルサということで、もちろん3年連続決勝に進出している後者は毎度の嫌がらせで、最初はサンティアゴ・ベルナベウを口にしていたんですけどね。そこは先手を取って、レアル・マドリーのペレス会長はスタジアム改装工事がリーガ終了直後からあると、最大のライバルが自分たちのホームでトロフィーを掲げる可能性を却下。 ▽一方、初のコパ決勝進出とあって、メンディソローサでセルタ戦2ndレグ終了の笛が鳴った直後には花火まで上がり、選手たちはファンの声援に応えて場内一周。まるで優勝したかのような祝賀ムードになっていたアラベスなど、スタンドでもロッカールームでも皆、「Si, si, si, nos vamos a Madrid!/シー、ノス・バモス・ア・マドリー(オレたちはマドリッドへいくぞ!)」と唱和していたため、てっきりビセンテ・カルデロンで異論はないと思ったんですけどね。どういう訳か、先週末も選手たちは予定通りプレーしたいと言っていたにも関わらず、サン・マメスでの決勝開催をリクエストしているんですよ。 ▽うーん、確かに同じバスク地方のビルバオにあるアスレティックのホームスタジアムなら、新しいし、収容人数もビセンテ・カルデロンと大して変わらず。さらに毎年のように決勝に出るバルサより、一生に一度あるかないかのアラベスファンが応援に行きやすい近場にしてほしいという気持ちは何となくわかりますけどね。それがどうにも通らなさそうなのは折しも、サン・マメスでは決勝から3日後にガンズ・アンド・ローゼスのコンサートが開催。それもスペインだからなのかは知りませんが、ステージやら音響設備やら、会場の整備に1週間は必要とのことで、日程的に無理なのだとか。 ▽え、アトレティコファンだって、自分の応援するチームが出ない試合でビセンテ・カルデロンに別れを告げたいとは思わないだろうって? そうですね、どちらかというと、セレソ会長を始め、クラブ経営陣が予定通りに決勝をやりたいという感じですが、その一方でベルナベウが使用できないことを知ったバルサは、今度は自身のスタジアム、カンプ・ノウでの開催を主張。これも2年前のアスレティックとの決勝の例があるため、ないとは言えませんが、当時、負けたチームのメンバーだったトケロなど、それだけは絶対に避けたいのだそう。となると、マドリッドはビトリア(アラベスのホームタウン)からも、バルセロナからも行きやすいため、やはり最後はビセンテ・カルデロンで落ち着きそうですが…はい、一番悪いのは準決勝で負けたアトレティコだというのは、私もわかっていますって。 ▽ただ、火曜のカンプ・ノウでの2ndレグは序盤から、冗談のように彼らが優勢で、いえ、もちろん前半、カラスコのGKシレッセンと1対1のシュートや、サビッチやゴディンのヘッドがゴールにならなかったんですから、試合を見てない人にはあまりわからないかもしれないんですけどね。おまけに42分にはメッシのシュートはGKモヤが弾いたものの、こぼれたボールをルイス・スアレスに押し込まれ、総合スコアをバルサに3-1と広げられているのでは、いくら「前半のボクらはいい感じがしなかった。Ellos han tenido protagonismo con el balon/エジョス・アン・テニードー・プロタゴニスモ・コン・エル・バロン(相手はボールを持って主導権を握っていたね)」とベンチにいたイニエスタに言ってもらえたとて、結果にはまったく反映されません。 ▽それでも「Sabiamos que si nos marcaban daba igual, teniamos que hacer dos goles de todas formas/サビアモス・ケ・シー・ノス・マルカバン・ダバ・イグアル、テニアモス・ケ・アセル・ドス・ゴーレス・デ・トーダス・フォルマス(得点されても、とにかくウチが2ゴールを入れないといけないのが変わらないのはわかっていた)」(コケ)ため、ハーフタイム後にも気落ちせずにピッチに出て来たアトレティコでしたが、またいきなり不運に襲われるんです。そう、再開2分でガイタンが打撲のため、コレアに代わったかと思えば、その1分後には守備の要、ゴディンまで太ももを痛めて交代になってしまった日にはもう私など、目の前が真っ暗に。 ▽でも、大丈夫。ここは先日の彼女に対するDV容疑でバルサファンに激しいpito(ピト/ブーイング)を浴びながらもリュカが奮闘。更に56分には丁度、ルイス・エンリケ監督が「lo iba a cambiar por la tarjeta que tenia/ロ・イバ・ア・カンビアル・ポル・ラ・タルヘタ・ケ・テニア(イエローカードをもらっていたから、代えるつもりだった)」というセルジ・ロベルトが、フィリペ・ルイスへ激しいタックル。2枚目をもらい、退場となってくれたって、もしや前半に当人がエリア内でフェルナンド・トーレスを倒したのをペナルティに取らなかったことを内心、主審も後悔していた? ▽でもやっぱりアトレティコは不幸体質の方が強いようで、その2分後にグリーズマンが決めたゴールは脚の分、ピケが前にいたんですけどね。オフサイドで認められず。その上、68分にはカラスコが出場停止のネイマールの代理を務めていたアルダ・トゥランを吹っ飛ばし、こちらも2枚目のイエローカードをもらっているんですから、困ったもんじゃないですか。ええ、本人が抗議していたように、直前で滑って止まれなかったのはリプレーを見れば明らかですが、大体がして、その日のアルダはアトレティコ時代とは違って、全然、存在感を示せず。なので、そんなところで突っ込まなくても良かったのに、これでせっかくの数的優位もオジャンとはいかにもアトレティコ的展開です。 ▽そしていよいよ、悲劇のクライマックがやってきます。そう、77分にはメッシのFKが枠に弾かれ、命拾いしたすぐ後、フェルナンド・トーレスから代わっていたガメイロがピケにエリア内でファールを受け、今度はPKが与えられたんですけどね。何とこれを最近、PK7回中5回失敗していたグリーズマンに代わって、キッカーを引き受けた当人がゴールバーに当ててしまうって、ああ、このチームって一体、どこまでファンを失望させたら気が済むんでしょう。 ▽うーん、マドリッドに戻った翌日、マハダオンダ(マドリッド近郊)での練習では、ガメイロもよっぽど悔しかったのか、居残りでPKを蹴っていたそうなんですけどね。その時も3本中1本をポストに当てていたとかで、これってシメオネ監督になってから、チームがもらったPK46本中失敗14本、30%はゴールにできていない彼らの実態をまさに証明していない? ただそれはもう、キッカーが誰とかという問題ではなく、アトレティコは元々、PKが苦手なようで、クラブ通算でも432本中119本(28%)は失敗しているのだとか。 ▽おかげで昨季のCL決勝など、PK戦で決められなかったファンフランはともかく、90分内でもグリーズマンがGKケイロル・ナバスに止められていて、後悔してもしきれない程の損をしているため、言わせてもらえれば、全員に週1ぐらいでPKだけのセッションを課していいぐらいですが、こればっかりはねえ。ちなみにマルカ(スポーツ紙)の行ったウェブアンケートでファンの選んだキッカー、一押しはトーレスなんですが、ピッチにいないこともありますし、以前の在籍時代から、彼も結構、外したりしているため、シメオネ監督も決めかねるところでしょうか。 ▽え、それでもPK失敗後、2分もしないうちにガメイロはグリーズマンからパスをもらって、同点ゴールを決めているじゃないかって? 加えて、45分にはルイス・スアレスが「No me doy cuenta de que el jugador del Atleico esta ahi/ノー・メ・ドイ・クエンタ・デ・ケ・エル・フガドール・デル・アトレティコ・エスタ・アイー(アトレティコの選手がそこにいたなんて、気がづかなかった)」と、コケの顔に肘が当たった接触プレーで、3分前に続いて2枚目のイエローカードをゲット。とうとう9人になったバルサ相手に、お隣さんのremontada(レモンターダ/逆転)精神を見習えとばかりに、最後はセットプレーにモヤまで上がっての全員攻撃でロスタイムの5分を戦ったアトレティコでしたが…。 ▽1-1のまま、延長に持ち込むゴールは奪えずタイムアップです。いやあ、試合後はシメオネ監督も「Si fuera hincha del Atletico estaria muy orgulloso/シー・フエラ・インチャ・デル・アトレティコ・エスタリア・ムイ・オルグジョーソ(アトレティコのファンなら、とても誇りに思っているはずだ)」と言っていましたし、ここまで彼らがバルサを圧倒するところは見たことがなかったため、それはその通りなんですけどね。とはいえ、問題は「ボクらは全力を尽くした。El partido de ida sobre todo el segundo tiempo y el partido de hoy/エル・パルティードー・デ・イダ・ソブレ・トードー・エル・セグンド・ティエンポー・イ・エル・パルティードー・デ・オイ(1stレグのとりわけ後半と今日の試合でね)」(コケ)だったとしても、1stレグ前半にまったく精彩がなく、ルイス・スアレスとメッシにゴールを許してしまったのが、そもそもの敗因だったかと。 ▽それ故、「En los 90 minutos no hemos merecido este resultado/エン・ロス・ノベンタ・ミヌートス・ノー・エモス・メレシードー・エステ・レスルタードー(90分間、ウチはこの結果に値することをしていない)。しかしこの大会でやってきたことから、決勝でプレーするのにふさわしい」(ルイス・エンリケ監督)ということになってしまうのでは? うーん、もちろんこの2ndレグではその日、コケとのダブルボランチで出場停止のキャプテン、ガビの役割をしっかり補ったサウールなども「Hemos hecho todo lo que estaba en nuestras manos/エモス・エチョー・トードー・ロ・ケ・エスタバ・エン・ヌエストラス・マノス(自分たちにできることは全部やった)」と残念がっていたように、グリーズマンのゴールがオフサイドにされていなければといったタラレバはありますけどね。 ▽かといって、シメオネ監督がスペイン人の審判への皮肉を込めて、「Tengo claro por que en Champions tenemos mas opciones que en Liga o en Copa/テンゴ・クラーロ・ポル・ケ・エン・チャンピオンズ・テネオス・マス・オプシオネス・ケ・エン・リーガ・オ・エン・コパ(ウチにはリーガやコパ・デル・レイより、CLでの方が、オプションがある理由ははっきりわかっている)」と言うのは正しいかどうか。とりあえず、彼らのCL16強対決レバークーゼン戦は21日の火曜。どうやら木曜にはゴディンも全治10日程と診断され、戻って来られるようですから、2年前の同じラウンドではPK戦で何とか下した相手ということを忘れず、今は地道にPK練習に励んでほしいかと。 ▽その傍らで、日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からは、コパに全身全霊を注いでいただけにショックも大きく、そのせいか、やはりローテーションをしてくるというセルタとの試合に勝って、リーガでもCLグループリーグ出場権が獲得できる3位争いに後れを取らないようにするのが肝要。バルサ戦で見せた、どこまで不幸が降りかかってもメゲずに立ち向かう姿勢を維持できれば、大丈夫かとは思いますが、予想はあまりアテにならないのがアトレティコですから、やっぱり心配ですよね。 ▽そしてそのセルタ戦が順延したため、この土曜が12日ぶりの試合となるマドリーはどうしていたかというと。うーん、水曜には25歳のバースデーパーティ第2弾をチームメート全員招いて開いたネイマールと違い、32歳になったクリスチアーノ・ロナウドには表立ったお祝いの席がなかったため、今週はマスコミ露出がかなり低下していた選手たちですが、いつの間にか、バルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションが賑やかになっていたのには私もちょっとビックリ。というのもセルタ戦で復帰予定だったマルセロやペペに加え、ハメス・ロドリゲス、カルバハルやモドリッチまで全体練習でアクセル全開だったから。 ▽実際、金曜のジダン監督の会見によると、足首の手術をしたベイルだけ、復帰がCL16強対決ナポリ戦2ndレグになる予定ではあるものの、他は全員、完全に回復したよう。土曜午後8時45分からのオサスナ戦に出られないのは累積警告のクロースだけだとか。この予期せぬparon(パロン/休止期間)で体力満々な上、何より相手は最下位ですしね。同日、近隣でアラベスとコパ決勝の予行演習をする2位バルサとの差が現在、勝ち点1しかなく、試合までは抜かれてしまう可能性があるとはしても、エル・サダル(オサスナのホーム)で日が変る前に順位は元に戻っているのでは? ▽一方、マドリッドの新弟分、レガネスは翌日曜にブタルケに残留の直接ライバル、スポルティングを迎えるんですが、いよいよ本腰を入れて勝ち始めないといけないということで、サポーターはhimno(イムノ/クラブ歌)をアカペラで歌ってチームを迎え、選手たちを励ますよう。まあ一応、降格圏にいる相手とは勝ち点差5あるとはいえ、まだ18ポイントしか貯めていないのでは心もとないですからね。冬の移籍市場で獲った新戦力7人もそろそろ馴染んだ頃でしょうし、早くファンを安心させてあげられるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.11 13:11 Sat
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【倉井史也のJリーグ】今こそこっちにスポット当てたほうがいいんでねぇの?!の巻

▽先日、知り合いの知り合いの知り合いから連絡があったんです。Jリーグのことでお願いがありますって。なんかすごい深刻そうだったから話を聞いてみたら、ガックリきちゃいましたよ。だって、「マスコット総選挙」投票してくれって話だったんだから。 ▽13日(月)23:59までやってるんですってよ。で、これの中で何が問題になってるかって、下克上! ディビジョンが上のチームが下のカテゴリーのチームに負けてるって、結構ヤバいことらしくて。だって、あんまり注目されてないぞってことになっちゃうでしょ? そうすると商品展開なんかにも影響しちゃうんじゃないかって心配してるらしいんです。 ▽調べてみると、J3のクラブよりも得票数が少ないJ2のクラブがあり、J1なのにJ2よりも人気がないマスコットがいる! というか、長野のライオー、強い! 大分のニータン、長崎のヴィヴィ、松本のガンズ、すごすぎ。名古屋のグランパス、J1だったとしても上位です。そして札幌のドーレ、魔王的な強さ誇ってます。 ▽だけど確かにこの投票数じゃ、J1のクラブのマスコット商品は、ほとんど開発できないじゃないか! みたいな。子供向けかもしれないけど、Jリーグが解決しなきゃいけない問題に、新規観戦者層の開拓と、若年ファンの獲得があるんだから、この投票って大事かもしんないです。え? 僕ですか? そりゃもちろん、9日正午現在J1でぶっちぎり最下位の浦和、レディアに入れましたとも。 ▽まぁこれで人気があったとしても、クラブと安定度とは何の関係もないわけですが。てなことで、一番心配なのはヴィヴィを擁する長崎なワケですよ。サポーターミーティングでいきなり社長、専務、GMの3人が辞任したことが明らかに! って、開幕もうすぐなんですけど!! 13日には「キックオフカンファレンス」開催されるんですけど!! つーか、期限付移籍満了を合わせて16人が出て行って、17人が入ってきて選手全員で29人。マスコットよりもこの選手たちにスポット当ててあげた方が良い気がするんですけどね……。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.02.09 18:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】Jリーグの「強化分配金」の金額が決定。リーグ連覇すれば2年で30億円の強化費

▽Jリーグは2月9日、優勝賞金の変更と同時に「強化分配金」を新設し、その金額を明らかにした。今シーズンからイギリスの大手動画配信会社のパフォーム社(映像配信はダ・ゾーン)と、10年で約2100億円の大型契約を結んだが、これらの原資が「強化分配金」に充てられる。 ▽まず優勝賞金は、年間1位が1億円から3億円に、以下2位は2000万円から1億2千万円に、3位は2000万円から6000万円に引き上げられた。そして「強化分配金」は、1位が翌年に10億円、2年目は4億円、3年目は1億5000万円と分割して計15・5億円が支払われる。2位は翌年が4億円、2年目が2億円、3年目が1億円の計7億円。3位は翌年が2億円、2年目は1億5000万円、3年目はなし。4位が翌年は1億8000万円で、2年目と3年目はなしとなっている。 ▽単純計算で今シーズンの優勝チームは来シーズンに13億円を手にすることができる。そしてリーグ連覇を達成すれば、翌年には優勝賞金3億円に加え2年目の4億円と1位の10億円の計17億円、2年間合計で30億円もの巨費を獲得できるのだ。ただし、「強化分配金」を受け取るには、①Jリーグの理念・活動方針に沿った目的に拠出しているか、②クラブライセンスにおいて当該年度のJ1ライセンスを保有しており、かつ当年度のリーグ戦に参戦していること、③当年度の配分金予算執行に関して理事会において決議されており、かつJリーグ内で支払い決議が下りていること、が配分条件とされている。 ▽要は、「強化分配金」がクラブ運営の補填費用などではなく、クラブの「強化」に使われる予定かどうか。それをクラブ側も明確にしなければならないということだ。金額を明かす必要はないが、どのような「強化」に使うのか、クラブは使途をファン・サポーターに説明して欲しい。 ▽今シーズンは優勝した鹿島がGKクォン・スンテ、MFレオ・シルバ、FWペドロ・ジュニオール、MFレアンドロを始めとした大型補強を敢行。FC東京はGK林彰洋、DF太田宏介、MF高萩洋次郎、FW永井謙佑、FW大久保嘉人とこちらも即戦力を獲得した。その他にもMF中村俊輔とMF家長昭博はそれぞれ磐田と川崎Fに新天地を求めるなど、これまでチームの“顔"だった大物選手が移籍市場を賑わせ、近年になり活況を呈した。 ▽巨額の「強化分配金」を想定しての移籍ではなく、たまたま契約が切れるなどのタイミングが重なったり、家庭の事情等もあったりしたのだろう。それでも当該チームのファン・サポーターにしてみれば、2月25日の開幕戦を楽しみにしていると思う。“新鮮力"がなければチームはマンネリ化するだけに、こうした活発な移籍は歓迎したいし、中国のCリーグに及ばないまでも、「強化分配金」を有効活用してヨーロッパで活躍するスター性のある選手を獲得して欲しい。 ▽2月25日は大型補強同士の鹿島とFC東京が激突するし、家長の抜けた大宮が、家長を獲得した川崎Fと対戦する因縁のカードも組まれている。個人的に残念なのは、試合をライブ配信するダゾーンは録画できないということ。現状では「見逃し配信」に頼るしかなさそうだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.02.09 10:00 Thu
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【東本貢司のFCUK!】歴史が培ってきたクラブカラー

▽ふ~ん・・・・「ヴェンゲル解任を求めるプラカードにツイート」? アレックス・オクス=チェンバレンが“誤って”「いいね」を押したとかどうしたって? ま、メディアが「事実」を報道するのは致し方ないとしても、こんなこと日常茶飯事なんですよ、皆さん。ファンたるもの、熱ければ熱いほど、何かしなきゃという強迫観念にとらわれて、一時の激情、それも最も“過激でわかりやすい”文言を吐き散らしたくなるのが世の習い。要するに欲求不満のはけ口、その発露なのであって、それ以上でもそれ以下でもない。昨年末辺りじゃ「今シーズンこそ(優勝まで)行けるぞ」と、期待に胸を膨らませていたはずだろうから、悔しさ、やり切れなさのほどはよ~くわかる。しかし、そんな彼ら自身とて、今この現状を確実に好転させる監督交代などあり得ないことも、よ~くわかっている。仮にもしそうなってしまったら、今度は「アーセナル理事会解散」を叫び出すに違いない?! ▽「ミラクル」から一転、残留争いのアリジゴク(の穴)でもがいているレスターの上層部はこのほど、クラウディオ・ラニエリに引き続き全幅の信頼を置く、と明言した。そもそも昨シーズンが出来過ぎだったこともあるだろうが、ならばなおのこと、解任させる根拠がないからだ。初年度で望外の結果を出して次年度に揺り戻しが来たという、まともな神経の持ち主なら当然、「想定内」と受け取ってしかるべきであり、つまり、ラニエリを評価する材料など、まだ何ひとつと言っていいほど見当たらない。もし仮に、プレーヤーサイドからの“要請”なりがあれば、レスターの理事会も「動く動かない」の議論を持つだろうが、それも一切聞こえてこない。さもありなん、非のほとんどはプレーヤーたちの方にこそある。動きが緩慢、パスミス続出、何をやっても思い切りが悪い・・・・二つ三つゲームを眺めていればすぐ、それがわかる。どこぞの訳知り顔(大抵は戦術論を振りかざす輩)が「カンテがいなくなったのがね・・・・」? 失礼にもほどがある。5人6人が抜けたのならいざ知らず、たった一人のせいでプレミアを制したチームがガタつくなんてあるものか。 ▽それでも、彼らはまだチャンピオンズで生き残っている。大したものではないか。何年か前のエヴァートンに比べれば、超のつく快挙と言ってもはばからない。クラブ史上初、本人たちも夢か幻か、てな心境だったに違いないのだから。(グループリーグの)相手に恵まれた? またしても失礼千万。こういう、一握りの“常連強豪”ばかりをもてはやす通気取り(実際、こういう手合いは“それら以外”のチームについてロクに知っている節もなければ、勉強した跡すらない!)が、年々フットボール観戦の面白さを台無しにし、純粋なファンの楽しみを矮小化している・・・・違うと言い切れますか? ごくごく要約して言うなら、やることなすこと上手くいってプレミアの王者になってしまった、実にむずがゆくてどうやってもどんと構えてなどいられない重圧と、ここだけは失うもののない格下チャレンジャーとしてぶつかっていける解放感の対比が、今季のレスターなのである。だからこそ、レスターは今後もラニエリを全力でバックアップする意志をあっさり更新した。 ▽さて、ここで考えていただきたい。では、アーセナルの経営陣、理事会は、ヴェンゲル支持を改めて確認する何らかの言動をものしたか。していない。多分、今後もする“予定”はない。なぜなら、彼らはヴェンゲルの方から辞任の意思を伝えてこない限り、何もするつもりはないからだ。いや、ヴェンゲルが辞めたいと言ったとしても、全力で翻意を促すだろう。この世界には、成績が悪くなると監督のクビをすげ替えるのを当たり前と考える人々がうようよしている。クラブ経営陣のお歴々も、専任ジャーナリストも、元プレーヤーの評論家も、元プレーヤーで評論家経験も持つ監督経験者も、例外ではない。率直に言おう。そういう方々、手合いからは、歴史についてロクに(本心は「これっぽちの」と言いたいところだが)知識も、理解も、リスペクトも感じられない。ざっと10年ほど前、ある高名なコーチ経験者の評論家が、筆者に向かって「ファーガソン、まだ辞めないんですか?」と呆れ顔で問いかけたときは、正直唖然とし、内心ひどくがっかりしたものである。 ▽そして、本来なら「わかっているはずの」オーナーサイドですら、最近はしびれを切らすのが早くなったきらいがある。無論、そのほとんどが異邦の投資家グループだという事実と密接にリンクしている。つまり、クラブの歴史、言い換えれば、当クラブならではの伝統に基づくスピリット、優に百年以上をかけて培ってきた“カラー”に対する敬意など、多分、彼らはもはや何の役にも立たないと見切っている節がある。が、現実は正直だ。ファーガソン勇退後のユナイテッドがどんな行く末をたどってきたかを振り返れば、言葉を尽くす必要もないだろう。そして、アーセナルもアーセン・ヴェンゲルあっての“今そこにある”アーセナルなのである。もし、ヴェンゲルが去った日には、アーセナルもそっくり別物になり果ててしまうだろう。このざっと20年間、見続け、それなりに理解してきたアーセナルではなくなってしまうだろう。それでも「結果オーライ」なら良しとするかどうかは“彼ら”の問題だ。いや、いずれはそんな日も必ず訪れる。そして「ヴェンゲル解任」を叫んだあの熱血ファンが、いざその日が来て失望に暮れ、あのときの“暴言”を後悔するのも目に見えている。ひょっとしたら、それを“予見”してしまったからこそ、その“恐怖”に怯えたからこそ、彼は思わず“逆噴射”してしまったのだろうか・・・・。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.02.08 13:25 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】もっと前に直しておけばいいのに…

▽「まったく取り越し苦労もいいところというか」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。延期になったセルタvsレアル・マドリーが下手したら、最終節直前のミッドウィーク開催になるかもとマスコミが騒いでいるのを見た時のことでした。いやあ、先週末はガリシア地方(スペイン北西部)を暴風雨が襲ったため、リアソルの屋根が破損。それでまず、金曜のデポルティボvsベティスが延期になったんですけどね。当然のことながら、そのデポルティボのあるコルーニャから電車で1時間ぐらいのビゴも同様の悪天候、バライドスの劣化度も同じぐらいだったらしく、こちらも屋根がはがれて観客、選手に危険が及ぶ恐れがあるということで、セルタ戦は日曜夜の予定だったんですが、土曜にはもう延期の決定がなされることに。 ▽そこに至るまでもビゴ市長の中止勧告に始まって、LEP(スペイン・リーガ協会)が延期を正式に決定するまでに7時間もかかり、その間、アウェイに移動する側が振り回されたとか…。今週水曜にコパ・デル・レイ準決勝アラベス戦2ndレグを控えているセルタがせっかく控え選手で迎えてくれるんだから、試合をしないのは損とばかりにマドリーが開催を迫り、屋根の落ちそうな場所には観客を座らせなければいいとか…。同じガリシア地方の違うスタジアム、でなければ同じスペイン北部のエル・モリロン(スポルティングのホーム)や隣接するポルトガルでやったらどうだなんて代案を出してきたとか…。イロイロ悶着はあったようですけどね。 ▽結局、一番の問題は延期した試合を過密日程のどこに組み込むのかで、週明けに屋根の修理がすぐできたとしても今週のミッドウィークはセルタのコパでダメ、来週はヨーロッパの大会でセルタもマドリーも試合があり、その次はマドリーがクラブW杯のため、延期していたバレンシア戦があるといった具合で2月中は不可能。では3月はと見れば、セルタがヨーロッパリーグの32強対決でシャフタール・ドネツクに負ければ、チャンピオンズリーグの16強対決でナポリとの2ndレグの後はマドリーにも空き週があるため、15日頃にできないこともないんですが…。万が一、そこを越えて、どちらかが準々決勝、準決勝と進んでしまったら、最悪5月17日まで引きずることになるのだとか。 ▽逆に両者が早い段階でヨーロッパの大会から脱落すれば、4月や5月にやることができるんですけどね。セルタがELでどこまで進むかは未知数とはいえ、マドリーのCLがいつも3月で終わっていたのはすでに遠い過去の話。2010-11シーズン以来、最低でもずっと準決勝まで進んでいるとなれば、もしかしてリーガ優勝が決定した後にセルタ戦をプレーするなんてケースだってありうる? それとは対照的にデポルティボvsベティスの方はどちらも余計な試合がないため、あまり問題なく適当なミッドウィークに設定できそうですが、首位を狙っているバルサやセビージャなんかにとっては、時に順位表で上に行っても、相手に勝ち点6も上積みのチャンスがあるというのは厳しいところですよね。 ▽え、それでも先週末はリーガ優勝をすっぱり諦めたアトレティコの試合はあったんだろうって? その通りで土曜にはマドリッドの新弟分、レガネスをビセンテ・カルデロンに迎えてのミニダービーだったんですが、スコアレスドローだったシーズン前半戦での対決と違って今回は先輩としての貫禄を示すことができました。ただ、後でシメオネ監督も「Vi ráfagas buenas en el primero y en el segundo tiempo/ビ・ラファガス・ブエナス・エン・エル・プリメーロ・イ・エン・エル・セグンド・ティンポ(前半と後半に閃光のようないいプレーを見た)」と言っていましたが、決して最初から最後まで相手を圧倒していた訳ではありません。 ▽それでもこのところの途中出場での発奮ぶりを買われ、先発したフェルナンド・トーレスがこの日はチームを牽引。開始1分、エリア内からのフリーのシュートを思いっきり外した時はどうしようかと私も頭を抱えたもんでしたけどね。14分には、そのトーレスがレガネスの新加入CBシオバス(オリンピアコスから移籍)に倒されてPKを獲得。キッカーはグリーズマンだったんですが、やはりここ6回のPK中、4回を失敗しているのを彼は覚えていたんでしょうね。GKエレリンが弾くのを予測していたか、脱兎のごとく飛び出すと、そのままボールを押し込んで、アトレティコが先制することに。 ▽前半はそれ以外、ほとんどチャンスらしいものがなかったため、ハーフタイムにシメオネ監督は「Me pareció que no estaba haciendo un buen partido/メ・パレシオ・ケ・ノー・エスタバ・アシエンドー・ウン・ブエン・パルティードー(いい試合をしているように見えなかった)」というサウールを下げてコレアを投入。するとこの交代がバッチリ当たって、後半早々、50分にはそのコレアのスルーパスがトーレスへ。シュートを防ごうと出て来たエレリンのすぐ前で、まるで2008年ユーロ決勝ドイツ戦で見せたようなvaselina(バセリーナ/ループシュート)を放って2点目を決めてくれたから、驚かされたの何のって! ▽もうそれ以降はスタンドのファンも安心して、「Echare huevo!/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」と火曜のコパ準決勝2ndレグでremontada(レモンターダ/逆転突破)を目指すチームへの応援をスタート。確かにレガネスもシーズン前半戦の時のように、「en Butarque no nos dejó ni tirar/エン・ブタルケ・ノーノス・エホ・ニ・ティラール(ブタルケでウチはシュートさえ撃たしてもらえなかった)」(アシエル・ガリターノ監督)という程。守ってばかりではなかったんですが、やはり頼りが冬の移籍市場最終日に加わったブエノ(グラナダから移籍)やサム(同ルビン・カザン)では難しかったかと。残り時間のアトレティコもパッとしなかったものの、これは「ウチは3日前に試合をして、また3日後にプレーする。No es excusa, es realidad/ノー・エス・エスクーサ、エス・レアリダッド(これは言い訳ではなく現実だ)」(シメオネ監督)という事情があるため、仕方なかったかもしれません。 ▽結局、そのまま2-0で4試合ぶりの勝利を挙げたアトレティコでしたが、ゴディンなど「2点差になって、監督も火曜の試合に備えて交代を考えることができた」と言っていたものの、不満が残るとすればその交代に意外と手間取ったこと。その前の時間帯でアスレティックを3-0で下したコパ準決勝の相手であるバルサがルイス・スアレスを丸々温存。メッシも64分にはベンチに下がったのに対し、シメオネ監督がグリーズマンを交代させたのは71分でしたからね。バルサ戦に強いと見られているトーレスなど、2015年1月にアトレティコに戻って来てから、3度目の1試合2得点を達成したせいか、カンプ・ノウでの先発も視野に入ってきましたが、最後までピッチにいたのはちょっと配慮に欠けるかと。 ▽それだけに中2日の試合でどこまで体力が回復するか心配されますが、アトレティコの場合、もちろんケガ人が多いという事情もあるものの、相手がコパ初戦のギフエロ(2部B)のように、よっぽど格下でないとローテーションできないため、仕方ないところも。となれば、ここはトーレスが今季末で切れる契約を延長すべきとクラブに納得させて、新スタジアムのワンダ・メトロポリターノでプレーできるよう、「Afronto cada partido como si fuera el ultimo/アフロントー・カーダ・パルティードー・コモ・シー・フエラ・エル・ウルティモ(毎試合、それが最後であるかのように立ち向かう)」という姿勢でバルサ戦に立ち向かってもらうしかありません。 ▽そんな彼らは月曜夕方にはもう、出場停止のガビ、負傷中のチアゴ、冬の市場で行き先が見つからず、残留したものの員数外とされているチェルチも伴ってバルセロナ入りしているんですが、朗報はアフリカ・ネーションズカップのガーナ代表で準決勝まで進出。その日の朝に帰国したトーマスと、やはり月曜午前中に裁判所に出頭し、DV容疑で7カ月の実刑を求刑されたリュカも招集リストに入ったこと。いやあ、金曜に逮捕されたリュカの事件はどうやら、やっぱり痴話喧嘩だったか…。9歳年上の彼女の方もDVで4カ月の求刑をされているようで、2週間以内にまた裁判があるんですけどね。土曜のレガネス戦こそ、カルデロンには応援に来ず、自宅にこもっていた当人ですが、日曜月曜と練習はしていたのでプレーするのに問題はないとか。 ▽一方、1stレグで1-2の勝利を得ているバルサでは、アスレティック戦で筋肉痛を訴えてピケがハーフで代わったと聞いた時にはラッキーと思ったんですけどね。どうやら軽症で先発出場に支障はないような。ケガからの復帰が見込まれているイニエスタとブスケッツはスタメンに入るか定かでありませんが、試合中にGKテア・シュテーゲンの拳が顔に当たり、12針縫ったラフィーニャは欠場。ルイス・エンリケ監督は「Creo que va a ser un partido muy atractivo/クレオ・ケ・バ・ア・セル・ウン・パルティードー・ムイ・アトラクティボ(とても魅力的な試合になると思う)。アトレティコが2点を取らないといけないという、慣れていない状態でプレーするのだからね」なんて言っていましたが、いやいや。火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのこの一戦は私も本当に気が重いですよ。 ▽え、それでセルタ戦がなくなって、週末が暇になったマドリーはどうしたんだって? もちろん仕方ないのでバルデベバス(バラハス空港の近く)で練習を続けていましたが、おかげでマルセロやペペ、ハメス・ロドリゲス、モドリッチら、負傷から回復しつつある選手たちにはもっと体調を完璧にする、いい時間稼ぎになったよう。累積警告でセルタ戦出場停止だったクロースは次のオサスナ戦で出られなくなってしまいましたけどね。エル・サダルでの試合とはいえ、相手は降格圏にいますし、最近はコバチッチも成長著しいため、それ程、心配することはないかと。 ▽ただこの日曜がバースデーだったクリスチアーノ・ロナウドなど、セルタ戦が元々、アウェイの夜遅い試合で手配ができなかったか、さすがに男性でも32歳になるというのはイヤなんでしょうか。自宅で家族と祝っただけに留まったようですが、実は当人、試合でハットトリックでも決めて自分へのプレゼントを贈るつもりだった? 一方、同日に25歳になったネイマールは、コパは出場停止のため、チームメートや母国から彼女や友人を招いて、バルセロナの流行りのお店でパーティを開いてしまうのもわかる? ▽ただ、コパも準々決勝で敗退しているため、ここ2週間はマドリーがプレーする姿をサンティアゴ・ベルナベウでもTVでもまったく見ないというのはかなり違和感が…。その分、来週は待ちかねていたCL決勝トーナメントも始まって、ファンも早起きする日が増えると思いますが、さて。すでにチケット完売のナポリ戦にはイタリア人サポーターが大挙してマドリッドに駆けつけるようですし、向こうもセリエAで2位と好調ですから、きっと盛り上がりますって。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.07 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】希望を持ってもいいのだろうか…

▽「この大事な時に何やってんだか」そんな風に私が呆れていたのは金曜日、いつものように朝、新聞を買うため、家の前の売店に寄ったところ、アトレティコファンの店主のお兄さんから「ルカスがDVで逮捕された」と聞いた時のことでした。いやあ、ネットで詳しく調べてみると、木曜深夜、チームメートとの食事から、酔って帰宅した20歳のDFは彼女と議論になった挙句にケガをさせ、マハダオンダ(マドリッド近郊)の警察署で一晩過ごしたそうなんですけどね。後で病院に行ったものの、彼女の方も同時に暴力行為で逮捕されていたとかって、要はこれって痴話喧嘩では? ▽うーん、1度こんな話が出ると、後追いのように、実はルカスは1年前にもカラオケ店でお酒を飲んで煙草を吸っていたところを他の客に注意され、相手を殴って現在、訴訟中だなんて記事も出てきたりもするんですけどね。今回の件で何とも情けなかったのは折しも丁度、その木曜の夜はアトレティコからレンタルでアラベスに修行に出ているテオがバライドスでドシャ降りの雨の中、セルタとのコパ準決勝1stレグで奮闘。まさか、その兄ルカスが1歳年下の弟がアウェイで0-0と引き分けたことを祝って遊びに出た訳もないと思いますが、何よりこの1週間、自分のチームは水曜の結果を引っくり返すべく、死に物狂いで努力しなければならない苦境にありますからね。 ▽それもせっかく、お隣さんの専売特許のような奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を少しは信じられそうな雰囲気になってきたところで、こういう事件が起きると、ファンの気分が削がれてしまうかもしれないのが怖いんですが、さて。あ、金曜午後3時頃に保釈されたルカスは月曜に裁判所に出頭予定、彼女とは500メートル以内の接近禁止令が出ているそうですが、とりあえず、当人はベンチで応援していたバルサとのコパ準決勝1stレグがどうだったかをお伝えしていくことにすると…。 ▽それがリーガ前節のアラベス戦で見せた目を覆うような惨状からすれば、序盤はまともに見えたアトレティコだったんですが、化けの皮が剥がれるのも早かったんですよ。そう、前半6分にはグリースマンが自陣でマスチェラーノにボールを奪われたのをキッカケにルイス・スアレスがゴール目指して猛ダッシュ。サビッチもゴディンも簡単にかわして、GKモヤを破った時には前夜、合宿先のモンテ・レアル・ホテルに到着したチームを昨季のCL準決勝バイエルン戦以来でしょうかね。盛大にbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊いて迎えた300人余りの疑うことを知らない熱烈なファンも、試合前、「この5年間で6回目の準決勝を戦うウチの選手たちを心から誇りに思う」と話していたシメオネ監督もただただ、呆れるしかなかったかと。 ▽1点リードを許した後のアトレティコはここ数試合のダメダメ気質が前面に出てしまい、いえ、バルサがある程度、引いてくれたため、追加点は32分まで取られなかったんですけどね。今度はメッシにエリア前から弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められてしまうとは、ちょっとお。もしやアトレティコの選手たち、ここ9試合で計12得点されているMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)の恐怖を忘れてしまった?ええ、こうなったら次はネイマールだろうと私が覚悟したのと同様、その時点ではオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナたちも「こりゃ0-5ぐらいになると思った」、「fin de ciclo/フィン・デ・シクロ(サイクルの終わり)という言葉が頭に浮かんだよ」と、試合後のミックスゾーンで話していましたっけ。 ▽でもそうじゃなかったんですよ!後半頭からベルサリコ下げ、フェルナンド・トーレスを入れたアトレティコはまったく違うチームになっていたんです。再開早々、ガビがワンツーでGKシレッセンの前に躍り出たチャンスはジョルディ・アルバにシュート直前でボールをカットされて実らなかったものの、どうやらそれが反撃の狼煙だったようで、急に攻め始めたものだから、こちらもビックリしたの何のって。前半のひどい出来に意気消沈していたスタンドもしばらくは息を潜めて見守っていましたが、とうとう13分、ガビの出したFKをゴディンが頭で流し、ゴール左前にいたグリースマンがマークについたマスチェラーノを高々と上回ってヘッドをお見舞い。1点を返すことに成功したため、一気にスタジアムを満員にしたファンが盛り上がることに。 ▽え、でもその時、ゴディンをフリーにするのにコケがルイス・スアレスを引き留め、倒してしまったのは明らかにファールで、本来なら、このゴールはスコアボードに上がらないものじゃなかったのかって?まあ、そうなんが、幸い審判もお目こぼししてくれましたし、元々、そういう形のセットプレーだったようですからね。それより感心したのはシメオネ監督の先見の明で、ファンフランによると、「Al descanso nos dijo que si metiamos el primer gol se crearia en el Calderon un aura especial/アル・デスカンソ・ノス・ディホ・ケ・シー・メティアモス・エル・プリメール・ゴル・セ・クレアリア・エン・エル・カルデロン・ウン・アウラ・エスペシアル(ハーフタイムに、もし最初のゴールを入れれば、カルデロンに特別な雰囲気が生まれると言われた)」のだとか。 ▽実際、お隣さんのジダン監督同様、やはり現役時代から知っているクラブで監督をしているだけあって、ファンの気質をよくわかっているのはありがたいことで、以降は「Tiene una aficion increible, que le anima aunque vayan perdiendo/ティエネ・ウナ・アフィシオン・インクレイブレ、ケ・ラ・アニマ・アウンケ・バジャン・ペルディエンドー(信じられないようなファンを持っている。負けているにも関わらず、応援するんだから)」と後でジョルディ・アルバも羨んでいた場内の声援を受けて、アトレティコは更なる攻勢に。ええ、バルサの方は30分にメッシのFKをモヤが弾いたボールが枠に当たったぐらいだったのに対し、シメオネ監督のも後で「en el segundo tiempo nos acercamos al equipo que siempre hemos sido/エン・エル・セグンド・ティエンポー・ノス・アセウカモス・アル・エキポ・ケ・シエンプレ・エモス・シードー(後半はウチが常にそうだったチームに近づいた)」と認めていたように、グリースマン、トーレス、そしてカラスコから代わったガメイロと何度も危険なシュートを撃ったんですが…。 ▽残念ながら、同点には至りませんでした。ただ、1-2で負けてしまったアトレティコとはいえ、やはり優勢で試合を終えたのは自信回復につながったようで、「No tengan ninguna duda de que estamos vivos/ノー・テンガン・ニングーナ・ドゥーダ・デ・ケ・エスタモス・ビボス(ウチがまだ生きていることに少しでも疑いを持たないでくれ)」というシメオネ監督を始め、選手たちも「La eliminatoria esta abierta y vamos a ir a morir a Barcelona/ラ・エリミナトリア・エスタ・アビエルタ・イ・バオス・ア・イル・ア・モリール・ア・バルセロナ(対戦は終わっていないし、ウチは死ぬ気でバルセロナに行く)」(ファンフラン)と来週火曜の2ndレグに向けて気合満々。 ▽いやあ、だったら前半あんなにオタオタしないで、最初からやる気を見せていれば良かったんじゃないかと言うのは正論ですが、バルサの選手たちと彼らには明らかに天賦の才に差がありますからね。「En el descanso hemos recordado quienes somos/エン・エル・デスカンソ・エモス・レコルダードー・キエネス・ソモス(ハーフタイムにボクらは自分たちが何者かを思い出した)」とトーレスも言っていましたが、諦める前に才能では劣っていても、意志と体力を総動員した密度の高いプレーをすれば、バルサやレアル・マドリーとも互角にやり合えることを思い出してくれただけでもありがたいじゃないですか。 ▽え、でもそのせいで、トーレスと共に後半、生え抜きのアトレティコ魂を見せてくれたガビがイエローカードをもらい、累積警告で2ndレグに出られなくなってしまったじゃないかって?うーん、バルサもネイマールが同じ憂き目にあっていますが、片や「Si hay un equipo en el mundo que no debe lamentarse de las ausencias es el Barcelona/シー・アイ・ウン・エキポ・エン・エル・ムンド・ケ・ノー・デベ・ラメンタールセ・デ・ラス・アウセンシアス・エス・エル・バルセロナ(世界に選手の不在を嘆くべきでないチームがあるとしたら、それはバルセロナ)」(ルイス・エンリケ監督)と自負している相手ですからね。もちろん個人的には、「Me pierdo el partido de vuelta, pero asi estoy en la final/メ・ピエルド・エル・パルティードー・デ・ブエルタ、ペロ・アシー・エストイ・エン・ラ・フィナル(自分は2ndレグを逃すけど、おかげで決勝には出られる)」というキャプテンの台詞を信じたい気持ちもありますが、こればっかりはねえ。 ▽おまけに向こうはビセンテ・カルデロンでの試合には間に合わなかったイニエスタが復帰しそうだとか、これまでアトレティコはホームでの初戦を1-2で負けて、逆転突破したのは4回中1回しかないとか、逆にバルサは14回全部勝ち抜けているとか、更にはこの結果は先日、準々決勝で敗退したマドリーがセルタ戦1stレグで喫したのと同じだなんて、ネガティブな面を考え始めると決して楽観はできないんですけどね。とはいえ、リーガと違って、確かに「Siempre digo que la Copa es rara/シエンプレ・ディゴ・ケ・ラ・コパ・エス・ラーラ(コパは奇妙だと私はいつも言っている)」(シメオネ監督)という意見も一理ありますから、今はあまり悩まない方がいい? ▽というのも彼らにはもう、レガネスとのミニダービーが迫っているせいで、始めに書いた事情でルカスは招集されず。前節に肉離れを起こしたヒメネスもいないため、ますますDF陣が手薄になってしまったアトレティコはとうとうトップチームのフィールドプレーヤー自体、15人しかいないという事態に。対照的に1月31日の駆け込み補強も含め、この冬の市場で7人を獲得したマドリッドの新弟分はブエノやティト(どちらもグラナダから移籍)といったラージョ(今季は2部)でお馴染みだった選手やエル・ザール(ラス・パルマス)なども加わって少々、得点力が増した感が。 ▽いえ、もちろん現在、17位と降格圏ギリギリにいる彼らにも頑張ってはもらいたいんですけどね。一応、すぐ下のスポルティングとは勝ち点差5ありますし、ここでまた、シーズン前半戦のように引き分けるようなことになると、アトレティコはミニマムマストのCL出場権獲得順位すら危うくなってきますから、やはり背に腹は変えられないかと。そんなアトレティコvsレガネス戦は土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)キックオフ。アフリカ・ネーションズカップ参加中のトマスがいるガーナも準決勝で敗退したそうですが、帰って来るにはまだ日数がいりそうですしね。中盤はチアゴやアウグストがリハビリ中とあって、シメオネ監督がコパに備えてローテーションできるのはせいぜい、前線ぐらいでしょうか(ただしグリースマンを除く)。 ▽一方、今週からコパがないマドリーはずっとバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトレーニング三昧の日々だったんですが、どうやらこの節は首位固めに最高の環境が揃っている気配が。だってえ、木曜にアラベスと準決勝1stレグでアドバンテージを取れなかったセルタのベリッソ監督がまた、「Para nosotros es prioritario el partido del próximo miércoles. El domingo, rotaciones/パラ・ノソトロス・エス・プリオリタリオ・エル・パルティードー・デル・ミエルコレス。エル・ドミンゴ、ロタシオネス(ウチにとって、優先されるのは次の水曜の試合。日曜はローテーションする)」と宣言しているんですよ。つまり、イアゴ・アスパスやバス、ボンゴンダといった、マドリーをコパから追い落としたメンバーが出て来ないってことじゃないですか。 ▽となると、ジダン監督が狙うは、16強対決でのセビージャのようにコパでは苦杯をなめながら、続くリーガ戦で勝利して鬱憤を晴らすという道ですが、唯一の難点は今回、クロースが出場停止ということ。ただ、それ以外は朗報が多くて、負傷者が続々と戦列復帰に近づいているのは心強いかと。ええ、左右順番にふくらはぎを痛めていたハメス・ロドリゲスはこのセルタ戦で戻れそうですし、もう全体練習に参加しているマルセロも秒読み段階。モドリッチも次のオサスナ戦には準備ができる見込みな上、何とカルバハルや足首の手術をしたベイルまで予定を繰り上げて、15日のCLベスト16、ナポリ戦1stレグに出場できそうだとなれば、もう怖い物などない? ▽ちなみにそのサンティアゴ・ベルナベウで行われるそのナポリ戦はもうチケット完売だそうですが、まだ先のことなのでともかく、今週末は土曜に2位バルサがアスレティックと、日曜には3位セビージャがビジャレアルといった難敵と顔を合わせるだけに、取りこぼしも十分見込めますからね。その上、22日にはクラブW杯参加のため、延期されていたバレンシア戦もあるとなれば、この1カ月で現在、勝ち点4の差がもっともっと開く可能性も。まずはその第一歩となるセルタvsマドリー戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からですが、それまでにライバルたちの試合が終わっているのも選手たちの励みになるかもしれませんね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.04 10:00 Sat
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