コラム

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【原ゆみこのマドリッド】もう準決勝のことを考えてもいい?

▽「痛いところを突かれてしまった」そんな風に私が反省していたのは木曜深夜、すでに日付の変わったワンダ・メトロポリターノのミックスゾーンでのことでした。いえ、今回の相手は冬休みを終えたばかりの北国のチームではなく、よく見れば2016年ユーロで優勝したGKルイ・パトリシオまでいるポルトガルの名門。試合前にはクリスチアーノ・ロナウドが宿泊先のユーロスターホテルを訪れ、レアル・マドリー時代から仲の良いコエントランのいる古巣を鼓舞したなんて話も伝わっていただけに、不安も少しだけあったんですけどね。 ▽それも幸い杞憂となり、アトレティコはスポルティング戦を無事に切り抜けたため、私もホッとして、ジエゴ・コスタやグリーズマンが母国語で話しかけてきた新聞記者たちに答えていたのに合わせ、各局のTVカメラもそちらに移動。間が悪くも時同じくして、映像メディア用のお立ち台に現れたコケの前は閑散としていたなんて出来事もあった後、ようやく登場したのは、帰り支度の遅さではマドリーのセルヒオ・ラモスといい勝負のフアンフランだったんですが、やはり外せない質問はこの日曜のマドリーダービーについて。 ▽現在、アトレティコはマドリーに勝ち点差4をつけているものの、「No podemos salir al Bernabeu pensando que si perdemos seguimos segundos/ノー・ポデモス・サリール・アル・ベルナベウ・ペンサンドー・ケ・シー・ペルディモス・セギモス・セグンドス(負けても2位のままだなんて考えて、ベルナベウのピッチに出ることはできない)」とは随分、頼もしいじゃないですか。ええ、リーガは2位でも3位でも、それこそ今季からは4位でもCLグループリーグ直接出場権をもらえるため、実利的な面ではどうでもいいんですが、そこはお隣さんの上で終わりたいというライバル意識からでしょうか。私など、結果に関わらず、順位は変わらないというのを負けた時の慰めに取っておいたぐらいだったんですが、そうですよ。やっぱりダービーとなれば、絶対、勝つ気で挑まないと。 ▽まあ、その辺はまた後でお話ししますが、今週はいよいよヨーロッパの大会も佳境に入り、準々決勝1stレグが行われたミッドウィークはまず、火曜にマドリーがアウェイでユベントスと対戦。折しも昨季のCL決勝で1-4と下して2連覇を遂げた相手だったせいか、ジダン監督もゲンを担いだんでしょうかね。そのカーディフでの一戦と同じメンバーをリピートしたんですが、これがまさに大当たりすることに。ええ、開始3分にはイスコのラストパスをロナウドが押し込み、早々にGKブッフォンを破ってしまったから、驚いたの何のって。 ▽とはいえ、ユーベもそこで気落ちすることなく、前半残りは追加点を奪われこそしなかったものの、後半19分にはクライマックスが訪れます。起点はロナウドで、ルーカス・バスケスが撃ったシュートはGKブッフォンに弾かれてしまったんですが、カルバハルがクロスを上げて、ボールがエリア内に戻ったところ、ゴールに背を向けていたロナウドが飛翔。打点2メートル21センチという高みから、chilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を見事に決めた日には、敵側のファンまでが拍手を送ってしまったのはムリもない?ええ、これには念願のオーバーヘッドでのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)をゲットした当人も、「ユベントスのファンにお礼を言わないと。自分のキャリアの中でこんな素晴らしいことがあったのは初めてだ」といたく感動していたようですけどね。 ▽ユーベにとって、泣きっ面に蜂だったのはその2分後、ディバラが2枚目のイエローカードをもらって退場してしまったことで、うーん、せめて1点でも返して、1-2で2ndレグを迎えるのだったら、まだremontada(レモンターダ/逆転)の目もありながら、この時点で2ndレグでも貴重なアタッカーを失ったのは大打撃だったかと。そこへ、27分にはロナウドのアシストでマルセロがGKの上を越えるチップキックで3点目を入れてしまったとなれば、40歳のブッフォンが「CL優勝というボクの夢を果たすのは不可能だ。世界一の選手が邪魔するのだから」と嘆いていたのも当然だった?「ウチには必要なツキがなかった」というアッレグリ監督の意見もありますが、やはり今季、唯一、残ったタイトル獲得のある大会でのマドリーは別格。リーガと違い、惜しむところなく、実力全開でプレーするのが強さの秘訣でしょうか。 ▽え、ツキなさといえば、同日、サンチェス・ピスファンにバイエルンを迎えたセビージャに並ぶものはないんじゃないかって?そうですね、0-3という余裕のあるスコアで先勝したため、来週水曜の2ndレグではラモスが累積警告で出場停止になってしまったのもあまり痛くはないマドリーに比べると、せっかくサラビアのゴールで先制しながら、ヘスス・ナバス、エスクデーロのオウンゴールで1-2と逆転負けてしまったモンテッラ監督のチームは気の毒な面がなきにしもあらず。ただ、同様のことは翌水曜にも起きて、カンプ・ノウでローマもデ・ロッシとマノラスが味方のGKアリソンを破って、バルサに2点を献上、最後は4-1で負けてしまうことに。その日はリバプールもマンチェスター・シティに3-0と予想外の快勝をしたため、セビージャにはアリアンツ・アレナでの奇跡を祈るものの、どうやらCL準決勝はマドリー、バイエルン、バルサ、リバプールという面々になりそうな気配が濃厚かと。 ▽こうなると遅かれ早かれ、CLクラシコ(伝統の一戦)が実現しそうですが、もしCL準決勝で対戦となると1stレグが4月24、25日、2ndレグが5月1、2日。丁度、その直後の週末がリーガのバルサvsマドリー戦となるため、クラシコ祭りを避けるには5月26日のキエフで顔を合わせるというのが、シナリオ的にベストかもしれませんが、さて。2014年、2016年とダービー決勝ではお隣さんに連勝したマドリーとはいえ、クラシコ決勝は私もまだ見たことがないですしね。アッレグリ監督が「今、最強のチームはマドリーとバルサ。ロナウドとメッシがいるからで、それは大きなアドバンテージだ」と称えていた両選手だって、もうどちらも30歳越えしているため、今季はCLで雌雄を決する最後のチャンスになるかもしれませんよ。 ▽そして翌木曜はワンダでアトレティコのEL準々決勝1stレグを見た私ですが、少し早めに行ったところ、ようやくスタジアム周りの下段、オフィシャルストア並びにレストランがオープンしたのを発見。これまで試合前に飲食をするにはメトロ(地下鉄)7号線の最寄り駅、エスタディオ・メトロポリターノ駅の1つ手前、ラス・ムサス駅からスタジアムに向かう道の途中にあるバル(スペインの喫茶店兼バー)に寄るか、マッチデーだけオープンするフードトラックを利用するしかなかったんですが、このGradona(グラドナ)というお店は年中無休だそうで、スタジアムツアーに来た際などに喉を潤すのに便利かと。 ▽一方、ポルトガルからスポルティングファンが3600人程駆けつけ、ELには冷たかったホームのサポーターもかなり増えた試合では、もしや火曜のお隣さんの速攻に刺激されたんですかね。こちらは何と、キックオフからたった24秒、CBコアテスのエリア前での横パスをコスタが奪い、そこからスペースに走り込んだコケがゴールを挙げて、アトレティコがあっという間に先制したから、呆気に取られたの何のって。どうやら、「una buena predisposicion para presionar en campo rival, algo que teniamos preparados/ウナ・ブエナ・プレディスポシシオン・パラ・プレシオナール・エン・カンポ・リバル、アルゴ・ケ・テニアモス・プレパラードス(敵陣でプレスをかけようと、ウチは準備していた)」というシメオネ監督の作戦が上手くはまったおかげだったようですが、でもねえ。 ▽39分に追加点が入った時もキッカケはもう1人のCB、マチューがサウールのパスをカットミス。今度はグリーズマンがボールを拾い、「Nosotros disfrutamos con los errores del rival/ノソトロス・ディスフルタモス・コン・ロス・エローレス・デル・リバル(ボクらは敵のミスを満喫している)」と2点目を入れてくれたのはいいんですが、こう太っ腹な相手にはなかなか出会えませんからね。むしろ、後半序盤、ルイ・パトリシオと1対1になったコスタが判断を誤り、3点目を奪えなかった方が問題かと思いますが、それにつけても有り難いのはGKオブラクの存在。ええ、前半もジェルソンのエリア内からのシュートを弾いて、同点のピンチを防いでくれましたし、後半ロスタイムにも同選手の強烈な一撃をparadon(パラドン/スーパーセーブ)って、救いの神とはまさにこのこと?こぼれ球はモンテーロが天に撃ち上げてくれたため、敵にアウェイゴールを与えず、アトレティコは2-0で試合を終えることができましたっけ。 ▽ただ、マドリーの3-0と比べると、ちょっと心もとない感じもあって、何せ来週木曜の2ndレグはリスボンのジョゼ・アルベラーデでの開催ですしね。シメオネ監督も「El 2-0 es importante/エル・ドス・ア・セロ・エス・インポルタンテ(2-0の結果は大きい)。今日と同じ態度であちらでもプレーするならね」と言っていた通り、スポルティングはエースのドン・バストとコエントランが出場停止になるとはいえ、まだまだ油断は禁物かと。おまけに勝負を決める3点目が取れなかったため、コスタもグリーズマンも残り数分までピッチにいたんですが、この日も終盤、選手たちの疲れが目立っていたように、今やフィールドプレーヤーはたったの17人。今季絶望のフィリペ・ルイス、代表戦での負傷がまだ治らないヒメネス、ベルサイコを除き、更に14人の超少数精鋭になっているアトレティコにはローテーションという単語はありませんからね。 ▽当然、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのダービーでも同じ選手がプレーする他なく、逆にジダン監督のチームは休養日も2日多い上、ユベントス戦でベンチだったベイルや先発しなかったアセンシオ、ルーカス・バスケスら、体力満々のメンバーを使えるのはかなり不利かと。ケガ人もあちらはナチョしかいませんしね。余裕でマルセロやカルバハルが温存され、テオとリュカの兄弟対決が実現したりするのも微妙に悔しい感じがしますが、ダービーで消耗した選手たちが再び、EL準々決勝2ndレグでリピートするのはもっと怖い? ▽だってえ、コケなど「Es normal que nos den por favoritos por todo lo que hemos hecho en Europa estos anos/エス・ノルマル・ケ・ノス・デン・ポル・ファボリートス・ポル・トードーロ・ケ・エモス・エッチョー・エン・エウロッパ・エストス・アーニョス(ここ数年、ヨーロッパの大会でやってきたことから、ウチが優勝候補と見られるのは当たり前)」なんて、ひょうひょうとした顔で言っていましたが、同日はアーセナルがCSKAモスクワに4-1、ラツィオはザルツブルクに4-2で勝利と、得点力の高いチームはまだ残っているんですよ。32強対決はコペンハーゲン、16強対決はロコモティブ・モスクワに大勝したアトレティコでしたが、この先、厳しい試合が待っているとなると、彼らのスタミナがいつまでもつのか、憂鬱になってしまうんですが…。 ▽まあ、それはそれとして、この土曜にはマドリッドの弟分、レガネスがバルサに挑みますからね。実は今回、痛み止めを注射してローマ戦に出たブスケツが招集外、メッシもアルゼンチン代表合宿からの筋肉痛を引きずっていて本調子でなく、ベンチ待機となるかもしれないと聞いているため、こっそり首位との差が勝ち点9から縮まることを期待しているのは私だけ?お隣さんのヘタフェが今年、同じカンプ・ノウでの試合でスコアレスドローを勝ち取っているだけに現在、降格圏と15差と、まだ勝ち点は36ながら、ほぼ残留を達成しているレガネスだって、負けていられないっていうのは好材料になるかもしれません。 ▽そしてヘタフェの方は同じ土曜、午後1時(日本時間午後8時)から、ビトリア(スペイン北部の町)でアラベスと対戦なんですが、こちらも降格圏とは18差の11位と最低限の目標には達しているんですが、あと8試合あるとなれば、来季のEL出場権を得られる7位までの7差を詰める時間はまだあるかと。彼らの場合、アンヘルが当たってくれないと、なかなか勝利に結びつかないという傾向があるものの、ようやくボランチのベルガラも復帰。前節ベティス戦でとった不覚を挽回すべく、そろそろ柴崎岳選手の活躍も見たいところです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.07 13:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】ちょっと考えりゃすぐわかる?! JリーグとACLの怖ろしい関係!? の巻

▽ACLの5節が始まる前に敗退が決まってしまった川崎Fのファンのみなさん、ワタクシも奇跡の大逆転を信じて、出張を遅らせてまで6節の川崎Fの試合に取材申請してるんですよ。泣。泣。泣。しかも取材申請取り消しても翌日の飛行機って動かせない安いヤツだから、もうどーしよーもないんですわ。涙。涙。涙。いや、一番泣きたいのはこれで賞金獲得がならなかった監督や選手やクラブだっちゅうことはよくわかってるんですけどね。 ▽でもね! そこで敢えて明るいデータを探さなきゃ!! ってことでACLとJリーグの関係について調べたわけですわ!! すると!! ▽過去日本がACLで優勝したのは、ACLって名前になった後に3回。2007年の浦和、2008年のG大阪、2017年の浦和です。ところが! 2007年と2008年のJリーグ王者って鹿島、2018年のJリーグ王者は川崎F。つまり、ACLで優勝しちゃったチームはJリーグのチャンピオンになれてないのです。 ▽さらに言えば、歴代の王者になったチームって、 2003年 鹿 島(グループリーグ敗退) 2004年 横浜FM(グループリーグ敗退) 2005年 G大阪(出場せず) 2006年 浦 和(出場せず) 2007年 鹿 島(出場せず) 2008年 鹿 島(ベスト8) 2009年 鹿 島(ベスト16) 2010年 名古屋(出場せず) 2011年 柏 (出場せず) 2012年 広 島(出場せず) 2013年 広 島(グループリーグ敗退) 2014年 G大阪(出場せず) 2015年 広 島(出場せず) 2016年 鹿 島(出場せず) 2017年 川崎F(ベスト8) と、どんなに頑張ってもベスト8で敗退しておかないといけなかったのです。 ▽まぁ確かにACLの決勝があるわ、代表戦があるわって日本のシーズン終盤はリーグ戦に集中できない要素がバンバン詰まってますからね。インターナショナルマッチデーは、しっかりヨーロッパのCLに配慮して設定されてるけど。 ▽ま、つーことで、今回敗退が決まったチームはこれでリーグ優勝の可能性が高まったと諦めるしかないんです。そう考えて涙を拭こう! 柏! 川崎F! そして今年のリーグは落とせないと思ってるC大阪と鹿島! 大丈夫か? 大丈夫なのか、踏ん張って。今週末のC大阪vs鳥栖という尹晶煥監督因縁対決や、湘南vs鹿島の永木亮太と三竿雄斗には帰ってきてほしい対決のほうが大切だと思うぞ〜。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.04.05 21:30 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】パススピードの違いと正確性の認識

▽先月の日本代表のベルギー遠征2試合、マリ戦とウクライナ戦はメディアでもう顧みられることもなく、過去に追いやられた格好だ。そんな中、毎日新聞は「ハリルジャパンの現在地」というコラムを3回に渡って連載した。その最終回で、浦和DF槙野智章の「未来の日本サッカーを考えた時、引いて守って我慢するサッカーは成長につながらない」というコメントを引用しながら、次のように結んでいた。 ▽「10年の時のように歴史の針を戻すようなサッカーをするのか。たとえ失敗に終わっても得点を狙うことに徹するのか。3年間かけて築いてきたハリルジャパンの現在地が世界と遠いからこそ、どちらの決断にも痛みは伴う」 ▽ここで記者が指摘した「3年間かけて築いてきたハリルジャパン」のサッカーとは、改めて指摘するまでもなく「ジャイアントキリング」を起こすサッカーである。ウクライナ戦後、ハリルホジッチ監督は日本人の特長を把握した上で、「ボールを持ったらスピード、瞬発力を生かした攻めが必要」と話し、「自分たちに何ができるのか、しっかり認識しないといけない。幻想を抱いては罠にはまってしまう」と警鐘を鳴らしていた。 ▽その点、4年前は「自分たちのサッカー」が通じず、「自分たちに何ができるのか、しっかり認識」した長友佑都や本田圭介らはハリルホジッチ監督の理解者と言えるだろう。一方で、ブラジルW杯を経験していない槙野はいまだに「幻想を抱いて」いるとしか言い様がない。こうしたチーム内の温度差がベルギー遠征では不協和音として表面化したのかもしれない。そして、これが本大会前に明らかになったことは不幸中の幸いと言える。 ▽さて、ウクライナ戦である。先週のコラムではヨーロッパ勢との対戦は日本にとってハマりやすいと書いたが、日本と決定的な違いも感じた。昨年のベルギー戦もそうだったが、パススピードに明らかな差があるのだ。そして「正確性」でも大きな差があった。 ▽日本のパスは一見すると味方につながっている。しかし、受け手が次のプレーに移りやすいパスかというと答えは「ノー」だ。30センチにも満たないかもしれないが、ちょっと前に出せばいいのに足下に出したり、プレスを受けているのでワンタッチで落とせるようなパスを出せばいいのに、受け手が苦しくなるようなパスを出したりしている。 ▽1つ1つのパスのズレは時間にすれば1〜2秒かもしれない。しかし、パスはつながるものの、タイムロスが積み重なると攻撃はどんどん遅くなる。その結果、一見するとパスはつながっているようで、相手に守る時間と次のプレーを読む余裕を与えてしまう。 ▽マイボールにして時間を稼ぎ、味方選手の体力温存のためのポゼッションなら問題はない。しかし点を取るためのポゼッションでのタイムロスは致命傷にもなりかねない。これを解消するにはワンタッチパスでの攻撃を増やしていくしかないが、パススピードの遅さを自覚し、正確なパスとは何かという認識を改める必要がある。戦術以前の問題であり、これはJリーグだけでなく、日本サッカーを根本から変えなければならない大作業と言ってもいい。 ▽これも高めなければならない「個の力」の1つかもしれない。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.05 19:15 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】夢はヨーロッパの大会で果たす…

▽「きっと火曜はマドリーファンで商売大繁盛ね」そんな風に私が想像していたのは月曜日、レアル・マドリーのトリノ入りはこの日の午前中とあって、先乗りレポーターもまだネタがなかったんでしょうね。マルカでもAS(スポーツ紙)でも、更にはお昼のニュースでも市内にある「ジダン監督がユベントス時代に行きつけだったレストラン」、Da Angelino(ダンジェ゛リーノ)を紹介。コックに扮した姿や産後間もない長男のエンツォ君を抱いた、まだ黒髪だった当人の写真、ユニフォーム、グッズなどのコレクションが沢山、飾られた店内に加え、当時、彼がよく注文していたというトマトソースとバジルのパスタ、リガトーニ・ア・ラ・ジダンなんて見せられた日には、あらやだ、何だか私まで行きたくなってしまったじゃないですか。 ▽そう、要はチームもファンも心待ちにしていたCL準々決勝ユベントス戦1stレグがいよいよ、やって来たということなんですが、まあ、首位と先週末、ちょっとは縮まったとはいえ、勝ち点差13のリーガでこの先、何がある訳もなし。となればもう、マドリーはCLに、勝ち点差が9になったアトレティコだって、キャプテンのガビが逆転優勝への展望を聞かれて苦笑していましたしね。こちらもヨーロッパリーグに懸けるのは当然ですが、折しも来季のCLとELの出場権を分ける4位と5位の差も15ポイントまで拡大。降格圏も該当3チームと残留ラインであるレバンテの差が7、その上は11差のアラベスですらから、ほぼ決まったようなものとあって、残り8試合ではELの3席を争う7チームはともかく、他はかなり焦点のぼやけた戦いになりそうなんですが…ええ、予兆はもうこの30節でも十分、見ることができましたっけ。 ▽とりあえず、マドリッド勢の前節を順番にお伝えしていくと、せっかくのセマナ・サンタ(イースター週間)ということもあり、私もセントロ(市内中心部)にプロセシオン(キリストやマリアの像が乗せられたスペイン風お神輿)を眺めに行った帰り、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で向かった土曜はマドリーがトップバッターとしてラス・パルマスとグラン・カナリア島でアウェイ戦。先週半ばまで各国代表でお勤めしていた選手も多かったため、出場停止のカルバハルに加え、クリスチアーノ・ロナウド、セルヒオ・ラモス、イスコ、クロース、マルセロらはお留守番と、火曜のCLを見据えて、ジダン監督は大幅なローテーションを実施したんですが、今回はあまり影響なかったかと。 ▽いえ、相手もまだ残留を諦めていないため、開始からしばらくは拮抗していたんですけどね。前半26分、モドリッチのスルーパスを見事な走りで追ったベイルが先制点を挙げると、39分にはラス・パルマスのFWカレリがルーカス・バスケスをエリア内で倒し、PKを献上してしまうんですもの。このPKは、うーん、ロナウドがいない時の担当はラモスかベイル、更にラモスもいなければ、ベイルが蹴るのが常道だと思うんですが、マルセロもいなかったため、この試合のキャプテンを任されたベンゼマがキッカーを務めるって、やっぱりキャプテン権限は絶大? ▽おかげでマドリーが2点リードしてハーフタイムを迎えることになりましたが、彼らは再開後も7分にルーカス・バスケスがチモ・ナバロに引っ掛けられて2つ目のPKをゲット。今度はベイルが決めて、0-3になったところで、あとは省エネモードに入ってしまったものの、何せ相手は実力的に「Al menos hemos tirado más que otras veces, y eso también es una buena noticia/アル・メノス・エモス・ティラードー・マス・ケ・オトラス・ベセス、イ・エソ・タンビエン・エス・ウナ・ブエナ・ノティシア(少なくともウチは他の試合より枠内シュートを撃った。それもいいニュースではある)」(パコ・ヘメス監督)という程度で満足しないといけない、18位のチームですからね。 ▽むしろ2点はPKで、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らわなかったことが、次節レバンテとの直接対決に挑む自信になったようでしたが、実は思わぬアクシデントに見舞われたのはマドリーの方だったんですよ。そう、前半途中、これまでのプロ生活、1度もケガをしたことがなかったナチョが太ももを痛めて交代。「Ha salido del campo por precaución/ア・サリードー・デル・カンポ・ポル・プレカウシオン(用心のためピッチを出た)」とジダン監督は言っていたものの、マドリッドに戻って検査したところ、全治3、4週間の重傷であることが判明しから、さあ大変! ▽彼はCBですが、両サイドのSBとしても常にカウントされている控えですからね。Aチームではカルバハル、バラン、ラモス、マルセロら、一流DFたちによるラインを形成できるマドリーとはいえ、このCL準々決勝中、誰かに何かあったら、一気に不安の種が増しかねないかと。そんなマドリーはそのナチョも連れて、トップチームメンバー全員でトリノに乗り込んだんですが、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのユベントス戦1stレグで唯一、スタメン予想が立てられないのは1人のみ。いえ、前日記者会見で喋ったモドリチなどは、「Si juega Gareth o Isco, para mí es lo mismo/シー・フエガ・ガレス・オ・イスコ、パラ・ミー・エス・ロ・ミスモ(ベイルがプレーしてもイスコがプレーしても、ボクにとっては同じだよ)。どちらもチームの大きな戦力だ」と言っていましたけどね。 ▽実際、「代表でプレーする時の彼はおそらく違うのだろう。あちらでは8試合、ウチでは60試合あって、3日おきにプレーしないといけないのだから」というジダン監督のコメントもありますが、同じユベントスと戦った昨季の決勝で先発、マドリーのCL2連覇達成に大きく貢献したイスコも捨てがたいですし、ベイルもラス・パルマス戦で2得点挙げたばかりですからね。他にもアセンシオ、ルーカス・バスケスと候補はいるんですが、監督が「ウチはいい試合をするつもりだが、no tiene nada que ver con lo que pasó hace diez meses/ノー・ティエネ・ケ・ベル・コン・ロ・ケ・パソ・アセ・ディエス・メセス(10カ月前に起きたこととはまったく関係ないよ)」とも言っていたのは何かのヒントになる? ▽ちなみにユベントスのアッレグリ監督の予想はベイルでしたが、あちらではこの試合、ベナティア、ピアニッチが出場停止。ベルナルデツキはヒザの負傷、マンジュキッチは回復したものの、ベンチ待機となり、イグアインやディバラ、ドグラス・コスタらが前線を担うよう。マドリーサイドとして心配なのは、これまで決勝では2度、倒してきた相手ですが、2試合制の決勝トーナメントとなると、勝ち抜けたことがないことで、更には昨季、バルサが準々決勝でユベントスに負けてしまったなんて前例もありますからね。決して油断せず、すでにチケット完売となっている来週水曜、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでファンが奇跡のremontada(レモンターダ/大逆転)を願わなくてもいい結果を持って帰ってくれるといいのですが。 ▽そしてまた、話をリーガに戻すと、翌日曜は私も久々のダブルヘッダー。まずお昼を食べてすぐ向かったのはマドリッド近郊にあるブタルケで、その日は風も弱く、夏時間になったこともあって、午後4時頃はまだ陽光が燦々と降り注いでいたため、ようやく寒い思いをせずに済んだんですけどね。バレンシアとの一戦は後半17分、ロドリゴがエリア外から撃ち込んだシュートにより、レガネスが0-1で惜敗してしまうことに。 ▽いえ、ガリターノ監督も「アウェイで取られたカウンターでの2ゴールを避けたかった」という理由で、彼らにしては珍しい5人DF制を採用。これには相手のマルセリーノ監督も「ellos jugaron con 5-4-1 y nos impedia progresar/エジョス・フガロン・コン・シンコ・クアトロ・ウノ・イ・ノス・インペデイア・プログレサール(彼らは5-4-1のシステムでプレーして、ウチが前に行くのを妨げた)」と戸惑ったのを後で告白していたんですけどね。ただ、そんな逆境も先日、スペイン代表のドイツ親善試合でゴールを挙げ、脚光を浴びたばかりのロドリゴの才能溢れる一発で解決してしまうんですから、やはりそこはCL出場を目指して作られたチームと残留すればOKのチームの差? ▽おまけにどちらもすでに目標をほぼ果たしていたため、ゲームの展開もそこはかとなく、倦怠感が漂っていない気もしなくはなかったんですが、次節のレガネスは来週土曜にカンプ・ノウでのバルサ戦。折しも相手はCL準々決勝ローマ戦の谷間とあって、前日は残り30分で登場、2点差を追いついて、セビージャと2-2で引き分ける原動力となったメッシもお休みするかもしれませんしね。「No nos vamos a relajar, iremos a muerte en cada partido/ノー・ノス・バモス・ア・レラハール、イレモス・ア・ムエルテ・エン・カーダ・パルティードー(ボクらはリラックスしない。どの試合も全力で行くよ)」(ディエゴ・リコ)という言葉通り、レガネスが勝ち点1でも取ってくれれば、兄貴分たちから先々、感謝されることになるかも…いや、むしろクラシコ(伝統の一戦)でバルサ戴冠を見せられる方が迷惑とか、マドリーからは言われちゃいますでしょうか。 ▽そしてブタルケを後にした私はセルカニア(国鉄近郊路線)のサラケマダ駅からセントロに戻り、メトロ(地下鉄)を乗り着いで1時間10分程。ワンダ・メトロポリターノに無事到着したんですが、そういえば、先週はここで、アルゼンチンに6-1と大勝した夢のようなスペイン代表の親善試合を見たのよねと思い出す暇もあらばこそ。その時、先制点を挙げたジエゴ・コスタが大事をとって、デポルティボ戦では控えだったのもあるんですが、まさか19位のチームにアトレティコが攻め込まれる破目になろうとは。それでも幸い、ルーカス・ペレスのシュートは2本ともGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。無失点のままでいたところ、どうやら最近は彼らのPK運も変わったんですかね。 ▽前半33分にはFKからのボールを争った時、サウールが「Primero me agarra el a mi/プリメーロ・メ・アガラ・エル・ア・ミー(最初、彼がボクを引っ張った)。それで自分も引っ張り返したんだけど」(モスケラ)という状態で倒れ、ペナルティを吹いてもらえたため、ガメイロがPKを決めて、先制点を奪っているんですから、驚いたの何のって。ただそれ以降、チャンスらしきものも、後半15分過ぎにフアンフアン、ベルサイコの右SB同時負傷のため、トップチームデビューしたカンテラーノ(アトレティコBの選手)のイサークがポジションをトマスに譲り、コスタと交代。その彼のシュートがゴールポストをかすめたぐらいしかなかったんですが、逆に心臓に悪いシーンはいくつもあったんです! ▽ええ、もうその頃にはボールを受けるたび、即効ロストするコレアに対するpito(ピト/ブーイング)もだんだんボリュームが上がっていたんですが、23分など、ボルハ・バジェがアトレティコ陣内を独走。オブラクと1対1となる寸前、爆走で追いついたリュカのタックルで間一髪、ピンチを脱した時なと、またドローになるのかと予感したファンはきっと、私だけではなかったはず。そこへトマスまでふくらはぎがつってしまい、コスタとフェルナンド・トーレス以外、Bチームの選手しかいなかったベンチから、20歳のモヤまで駆り出されたため、ロスタイムの3分など、永遠のように感じられたものでしたが…。 ▽大丈夫、最後は崖っぷちにいるデポルティボに余裕がないのが有利に働いたか、彼らの反撃は実を結ぶことなく、アトレティコはそのまま1-0で逃げ切りに成功。いやあ、試合後、シメオネ監督は「ボールロストは別として、誰よりリスクを取って、ドリブルとか仕掛けていた。Creemos mucho en el/クレエエモス・ムーチョ・エン・エル(彼のことは大いに信頼している)」とその日、散々だったコレアを庇っていたんですけどね。あんなではワンダでの開催にも関わらず、スペイン戦でアルゼンチン代表のサンパオリ監督が、ご当地選手の彼をベンチ見学に留めていたのも仕方なかったかと。 ▽そうは言っても、アトレティコもタイトル獲得の望みが唯一、残った木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からのEL準々決勝スポルティング戦1stレグでは、デポルティボ戦で出場停止だったグリーズマンがプレーできますからね。おそらくファンフラン、ベルサイコのどちらかも出られるはずなので、リーガではもう、お隣さんの上で2位になるぐらいの野望しかない彼らもちょっとはマシなプレーを見せてくれるはずですが、はあ。試合をすればまた、ケガ人が出るかもしれませんし、正直、日曜のマドリーダービーが怖いですよ。 ▽え、前節は月曜夜の日程に当たったもう1つの弟分、ヘタフェはどうしたんだって?いやあ、こちらもレガネス同様、残念なことになってしまって、実はこのベティス戦、序盤にアンヘルが2度もチャンスを失敗したのを見た時から、イヤな予感はしたんですけどね。ハーフタイム前、セットプレーから入った当人のゴールもオフサイドで認めらえなかったものの、やはり明暗を分けたのは後半19分、エリア内でのアマトのハンドによりもらったPKをポルティージョがGKアダンに弾かれ、その跳ね返りを押し込もうとしたシュートも体で防がれてしまったプレーでしょうか。 ▽更にアントゥネスのFKがゴールポストに阻まれた後、43分にはおそらく、ポゼッション主体でスピードのない相手に油断してしまったんですかね。カウンターからバラガンにエリア奥まで持ち込まれ、折り返しのパスをセルヒオ・レオンに決められてしまうんですから、平日の遅い時間、しかも雨が降りだしたにも関わらず、応援を続けていたファンがどんなにショックを受けたことか。うーん、ロスタイムにはCKからカブレラのヘッドが炸裂し、アダンが掻き出したものの、実はゴールラインを越えていたという疑惑のプレーもあったんですけどね。 ▽審判が認めてくれず、リーガにはまだVAR(ビデオ審判)もホークアイもないため、スコアは0-1のまま、試合は終了。ええ、残り10分に「PK失敗を悔んで、no paraba de mirar al cielo/ノー・パラバ・デ・ミラール・アル・シエロ(天を見上げてばかりだった)」というポルティージョと交代で入った柴崎岳選手の見せ場もなく、これで7位と勝ち点差7となったヘタフェはEL出場権争いから一歩後退してしまうことに。どうやら残り8試合、ダレずに来季に繋がるような試合をするのがマドリッドの弟分たちの課題になりそうです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.03 13:00 Tue
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【六川亨の日本サッカーの歩み】繰り返されるW杯キックオフ時間の変更。しわ寄せはいつも選手に

▽3月のベルギー遠征ではマリに1-1、ウクライナに1-2と低調な試合内容だったハリルホジッチ・ジャパン。試合後はかなりの逆風が吹いたものの、西野朗・技術委員長がハリルホジッチ監督の続投を明言したせいか、同氏への批判はピタリとやんだ。それだけ現在の日本代表は、議論するに値するほど期待されていないことの表れかもしれない。 ▽ベルギーで取材していて気になったのが、長友佑都の発言である。長友は過去2大会について、「10年の時は全然ダメ。でも(グループリーグを)突破できた。14年の時はポジティブだったけど結果を残せなかった。いまは1人1人が危機感を持っているし、いい形で進める。(不安要素を)逆転する要素が揃っている」と振り返っていた。 ▽長友が言う通り、2010年の岡田ジャパンは2月の東アジア選手権で韓国に1-3と完敗するなど岡田武史監督が辞任を示唆することもあった。その後もセルビアに0-3、韓国に0-2、イングランドに1-2、コートジボワールに0-2など4連敗を喫した。 ▽当時の日本代表は、右サイドハーフに誰を起用するか。絶対的なエースの中村俊輔と、台頭著しい本田が激しいポジション争いをしていた。結果的に中村は足首の負傷が癒えず、さらにテストマッチで結果が出ないことで、岡田監督は本田を0トップ、阿部勇樹をアンカーに置く守備的な布陣を採用。結果的に日本はベスト16に進出した。 ▽対照的に2014年は、直前の米国タンパでのテストマッチでコスタリカに3-1、ザンビアに4-3と快勝したものの、グループリーグで1勝もできず敗退した。選手はポゼッションによる「自分たちのサッカー」に自信を持って臨んだものの、それは幻想に過ぎないことを痛切に思い知らされた。日本が3-1で勝ったコスタリカがベスト8に進出し、準々決勝でオランダとPK戦にもつれ込む接戦を演じたのは皮肉な結果と言えよう。 ▽現状は10年のパターンだけに、本大会では予想を裏切る結果を期待したいものだが、他にも不安要素はある。それは2006年大会の再現だ。 ▽今回のベルギー遠征で、マリ戦は13時20分、ウクライナ戦は14時20分のキックオフだった。現地では25日が冬時間から夏時間(サマータイム)への切り替わりだったため、試合開始時間が1時間ずれたものの、日本では21時20分と視聴しやすい時間帯のキックオフだった。 ▽これは2試合とも日本が主催した大会のため、試合の開始時間をテレビ局の都合に合わせることが可能だった。そしてロシアW杯である。日本は初戦でコロンビアと対戦するが、当初は18時キックオフだった。しかし、日本のテレビ放映の都合によりポーランド対セネガル戦とキックオフ時間が入れ替わり、15時(日本時間22時)に変更された。 ▽ロシアの6月の平均気温は20度ほどだが、日中は気温の上昇も予想される。そして思い出されるのが06年のドイツ大会だ。キャンプ中は例年になく気温が低く、冬物の上着を購入しようとボンの街中を探し回ったほど。しかし大会が始まると気温が急上昇。初戦の日本対オーストラリア戦(当時はオセアニア代表だった)は今回と同様に15時キックオフで、猛暑の中での試合となった。 ▽日本は中村俊輔のFKで先制したものの、後半はオーストラリアの執拗な空中戦に根負けして、交代出場のケーヒルに2ゴールを奪われるなど1-3の逆転負けを喫した。果たして6月19日のサランクスの気温は何度なのか。視聴者のためには歓迎すべきキックオフ時間の変更だが、そのしわ寄せはいつも選手に来る。視聴率の高いW杯で、日本代表の繰り返される歴史でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.02 17:30 Mon
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【クラッキーの実況席の裏側】倉敷さんが考える放送界、サッカー協会の問題点は?

▽インターネットでのスポーツ中継が広まり、スマートフォンでのサッカー観戦が可能となるなど、いつでもどこでもサッカーに触れられる時代となった。そんなサッカー中継で欠かせないものの1つが実況だ。白熱した試合を言葉巧みに視聴者に伝え、その場にいるような雰囲気にしてくれる。そんな実況者たちはどんな思いを持って、それを伝えているのだろうか。 ▽20年以上もアナウンサーとして活躍している“クラッキー”こと倉敷保雄さんのインタビュー連載最終回は、倉敷さん自身の今後の目標や、放送界、サッカー協会への問題提起を語ってもらった。 ◆サッカーへの恩返しは色々なスタイルがあって良い!! ――長く実況を続けてこられましたが、今後の目標はあるのでしょうか 「いずれ世界のスタンダードと肩を並べられるレベルになれるように努力を続けることです。力は競技の理解度と比例すると思いますが、それこそキックオフからの数分を見ただけで、その時点での問題点をズバリ指摘できる指導者のレベルにまで到達できたら嬉しいですね。解説者に対しての質問のレベルもグッと変わってきます。実況者の質問のレベルが高ければ中継のレベルも上がるので、もっともっとサッカーを理解したいと思っています」 「サッカー文化を育てる現場にはそれぞれのポジションと役割があり、今はどういうレベルで何が求められているのかを気にしなくてはいけません。僕の周りで考えれば放送局周辺ということになるわけですが、これがどうも落ち着かない。ほんの数年前までは変化もなく住み分けができていたサッカーコンテンツの放映権がここにきて大移動の時期を迎えてしまいました。もちろん僕のような小さな力ではどうすることもできないので、製作サイドのひとりとして、変化していく放送形態の中でどう作り分けをするかということを考えています。」 「例えば、テレビの大画面で観るサッカー中継とスマホで観る中継とは音声に関しては作り分けをしてもいいのでは?と考えます。スマホで見るなら聞いて楽しいラジオ中継的なアプローチをする、大画面ならスパイクのこの面のフェイスを使った技術が光ったね、といった視覚重視のプレー解説、技術解説を中心にするのはどうか?と提案したいですね。」 「後進のためのアンテナショップになるのも良いかな、と思うんです。海外には詩人のように詠うタイプなど様々な実況スタイルがあります。日本ももっとしなやかでいい。中堅どころの実況者はもうスタイルを固めてしまった印象なので、まだ見ぬ未来の実況者への傾いた道標といった程度でしょうけど、サッカーに対する恩返しとして色々なスタイルを見せてあげるのもアリかな、と思っています。ただ、あの人はまた変なことやってるって感想で終わっちゃったら困るんですけどね(笑)。もっと極端にやってみたら?やればいいじゃん、誰が怒るの? って若者を唆したいですね。まあ、トライ&エラーですから失敗は必ずあるでしょうけど。それでも冒険をお勧めしたいです。」 ◆なくならない用語の誤用 ――確かに実況を聞いていても同じような方が多いような気がしますね 「歌手の方や落語家の方は同じ楽曲、同じ噺を披露しても個性的ですよね。でないと商売にならない。実況って恐らく“アナウンサー”という言葉に縛られているんです。それもNHKのアナウンサーという品行方正なイメージですね。今やNHKだって個性を表に出している時代ですけど、ただ試合を追えばいいと考える実況者が多い。特にサッカーでは大多数に思えてしまう。不思議ですね。僕が憧れたスポーツの実況者はずっと昔から個性で勝負してきたのに。」 「個性的な表現もどんどん増えたらいいのにと思います。現在使われているサッカー用語を減らしたくはないのですが、実は違和感を覚える言葉もあって悩ましい。例えばPKは獲得するものなのか?“ペナルティ”は罰則です。だから相手の罰則を獲得するという表現はいかがなものか?P Kを与えられました、が正しいのではないかな、といつも疑問に思います。あとはPKを沈めた、も気になるんです。どこに沈むのか?これはカップにボールを沈めたというゴルフ用語から来た誤用でしょうね。同様の誤用は他の競技にもありますよ。プロレスラーはリングに上がる。フィギュアスケートの選手はリンクには上がりません。正しくはリンクに降り立つです。言葉狩りをするつもりはなく他の表現を増やしたいだけなんですが、難しいですね。」 ――そういった誤用は確かに見受けられますね 「雑誌やWEB媒体も気をつけてください。ゴールマウスというのはあの四角い枠の中ではなく、シュートが打てる守り手にとって危険な区域のことを言います。キーパーが守っているあのゴールの枠は“マウス=口”に見えますが、違いますからね。ただ言葉は時代と共に変化していくので、時代が受け止めれば誤用も誤用ではなくなるでしょう。本当に“口”と考えれば面白い表現も生まれてくるはずなんですけどね。」 「あと多くの解説者が異なるニュアンスを共有しているのではないかと思われる言葉のひとつに“マリーシア”があります。ブラジルでも南部でしか使わない言葉を、そこの出身であるドゥンガが使ったことで広まりました。“マリーシアがない”という本来の意味は“女性の口説き方も知らないウブな奴”というニュアンスで、“騙す”という意味とは遠いんです。相手の気を引いたり、恋の近道をすることを言うわけで、おそらくドゥンガも“まだまだ青いな”という意味で使いたかったのではないでしょうか。もっと駆け引きをしろってね。」 「世界の言葉を上手に集めて、正しいニュンスで翻訳して、まだ日本にはない考え方を理解していけたらいいですね。そのために実況もたくさん勉強しないといけません。特にこれからのサッカー文化を語り継いでいく新しい実況者はかなり戦術的なことに言及できなくてはならないと思います。そういう部分をこれからサッカーを観始める人に上手に伝えてファンを獲得していく。日本のサッカーは個で足りない部分を組織で補うスタイルなのだから、組織としてのサッカーを語れないとだめですね。」 「現在の日本代表を率いるハリルホジッチ監督についても、どんなサッカーをしているのかわからないから教えてくれ、ではなく自分の意見をまとめた上で、高いレベルの質問をして欲しいとメディアには思います。一番影響力の大きいところ、テレビやスポーツ紙などがわかっていないとたくさんの人には伝わらないんです。彼のサッカーは魅力的ではないけれども、今の批評のされ方はおかしいと思います。もちろん監督も相手を説得する努力が欠けていると思いますけど。」 ◆日本サッカー協会に物申す!! (C)CWS Brains,LTD.――話にも出ましたが、今の日本代表をどうご覧になられていますか 「ワールドカップイヤーだというのに、残念ながら街の話題になっていません。流行語大賞にサッカーの何かがノミネートされてほしいのに、不満です。ピッチ外の話題で恐縮ですが、今、大切なのはワールドカップのプロモーションです。年頭に大きく発信して欲しかったですね。とにかく今は流通イメージがぼんやりしている。日本サッカー協会と広告代理店も既に手を打っているのかも知れませんが、少なくとも僕の近所の一般庶民にはまだ届いていない。近年の歴代監督って、岡ちゃん、ジーコさん、ザックさんって、親しみやすいイメージが流通してサッカーファン以外にも好意的に受け入れられていました。でもハリルホジッチ監督はそうではない。怒っているイメージ?記者会見でも自分の意見を一方的に述べるだけで、記者とのコミュニケーションがとれていない。心の交流が足りないと好意的な記事もなかなか出てこないですよね。ここをサッカー協会や広報はもっと気にするべきでは?と思います。質実剛健でも硬派でもいい。とにかくなにかキャッチーなイメージが欲しい。このままではこの夏一緒に戦い辛いです」 「端から見ていると、監督と協会との距離が気になります。E-1(EAFF E-1サッカー選手権)で惨敗した韓国戦の内容も、そのあとのコメントも、韓国と日本の強いライバル関係を協会はしっかりと監督に説明していたのかな、と感じてしまいました。ただ、今はまだあまり良いイメージはないですが、ロシア大会で決勝トーナメントにまで進出できたらOKなんです。それは、ジーコさんもザックさんもできなかったこと。ワールドカップで勝つための監督、このコピーで丸く収まるかは結果次第なので、なんとか実績をと思いますが、それが叶いそうもないのなら、せめて流通イメージを上げてほしいです。多くのファンに愛された方が良くないですかって、余計な心配をしています。」 「先ほどのE-1にしても、日本開催だったのですから、早くからもっとタダ券をバラ撒けなかったのでしょうか? 事情があっても満席にすることによって、スポンサーも納得させられるし、アジアに向けての画作りという点でも価値があった。監督やチームのモチベーションだって違ったと思います」 「同じE-1を戦ったなでしこジャパンのあのガラガラぶりは可哀想です。特に初日は雨で3000人しか入らなかった。訪れたファンは本物のサポーターばかりでしょう。しかし、試合に関して協会側から発信されたのは、なでしこの試合は内容が良くなかったとか責任もとらせるとかだった。では協会はどれだけの環境を整えてあげたのか。やっているなら僕らももっと報道すべきだし、そこはやっぱりメディアとして是々非々で批判しませんか? もっと一緒に(笑)」 ――E-1の女子の取材に行きましたが、本当に日本のサポーターは少なく、決勝では逆に北朝鮮はおそらく朝鮮学校の生徒たちが応援に駆けつけて大声援を送っていたのが印象的でしたね 「どちらがホームなんでしょうね。北朝鮮の子供達はどうしても日本の中では嫌な思いをすることがあるはずですが、それでも学校やグラウンドでは礼儀正しい子ばかり。取材に行った誰からも評判がいい。まとまっていますよね」 「メディアは発信の方法や仕方がどんどん変わっている。テレビが地上波放送してくれたら人気が上がるという時代ではもうありません。近しいメディアから個人のファンを取り込んでいく時代なんです。なでしこの戦いを誰かがレビューやプレビューしたものを協会は公式ページでフォローしたらいいのになと思います。選手のコメントだけがオフィシャルのページにあって、悔しいとか、次につなげられるように頑張るとか、負けたら選手は悔しいし、すまないと言う気持ちはみんな持っているものでしょう。そんなコメントばかりでは建設的な未来には繋がらないですよね」 「サッカーを取り巻くメディアのあり方ってこれじゃいけないと思っているんです。色々な話を聞くことが多いので耳年増になったのか、去年は一生懸命に老害よろしく意見させてもらったんですけど、今年はただプレイヤーとして頑張ろうと思ってます。一兵卒として何か違ったことをしようかなと。変わり者で良い。欅坂46もそう言っていますもんね(笑)」 ◆倉敷さんは野球も好き!? ――サッカー以外の実況もやられたと思いますが、その中で改めてやってみたい競技などありますか 「昔、ストックカーレースの中継を担当したんです。面白かった。モーターレースってあらゆるスピードでの優劣なんですよね。3年くらい前にもやはりNHK BSでヨットレースの中継を手伝わせていただいて、こちらはスケールの大きさ、自然と真剣に向き合うことの恐ろしさが印象的でしたね。たくさんの競技を中継して来ましたが、もう一度きちんと一から勉強してみたいのは野球かな。原点回帰ですね。MLBって独特な用語がいっぱいあって面白いんですよ。」 「イチローの守備を”エリア51”と名付けたセンスが好きですね、超常現象が目撃されるラスベガスの上空を”エリア51”と呼びますが、ヒット性のあたりも掴み取ったり、長打を狙えるヒットをアウトにさしてしまうイチローの守備能力と背番号をかけた格好いい言葉です。日本でもかつては”王シフト”とか”高田ファウル”とかありましたよね。言い換えが楽しいんです。サッカーのPK戦でも最初のキッカーをトップバッターという人もいます。野球用語って溶け込んでいるんですよ。ある有名なサッカージャーナリストの方も続投に代わる言葉が見つからないとおっしゃっていました。ちなみにトップバッターはMLBではリードオフマンですね」 ――リードオフマンくらいならば日本でも耳にすることは増えてきましたね 「豊かな表現ができると良いですね。野球なら多くの変化球を見分けられるファンがグンと増えたらリテラシーのレベルがひとつ上がったという証明だと思います。最近は球種が多いから、フォーシーム、ツーシームなど僕はそこから勉強し直さないとダメですね。」 ◆「まず面白い人間でいたい」 ――以前からラジオに戻りたいとおっしゃっていましたが、その気持ちは今も変わらないんですか 「熱に浮かされたように時々思うんです。わあ、もっと勉強しないと!なんて急にどっさり本を買い込んだりしてね。先日もそう思っていたところでした(笑)。自分が満タンでないと自信が持てないんです。語りたいくらいに充実していないとラジオってできない仕事だと思うので、まず勉強してからですね。」 「他人から見て、面白いと言ってもらえる人間でいられたらいいですね。今年はもっとインプットを増やしたい。自分がもし面白い人間でいられたら別な仕事の機会があるかもしれないと思っています。サッカーと一緒ですね。良いプレーをしていれば、他からオファーが来る。引き出しは多い方がいい、でもストロングポイントははっきりさせないといけないでしょうね。」 「93年にJリーグが生まれた頃からサッカーの実況をしています。当時は一番若手だったのに今では自分よりベテランの方にはなかなかお会いしなくなりました。様々なサッカー界の変化も目の当たりにし、まだ大きく変化しています。実況者はやがてスカイプなどのツールで、解説者とは違う場所で中継を行う時代もやってくるでしょうね。まだ引退はしませんけど、新しいステップを踏むであろう後進にエールを送ります。スポーツ実況界にも新しいスターが欲しいですね。前衛か土着か。進化が一番ゆっくりしているのはNHKかな。現在のNHKのサッカー中継スタイルは多分野地(俊二)さんのスタイルですから、もう長く続いてます。起伏の付け方など、どなたもそっくりです。同業者の仕事って気になるものなんですよ」 ――この5回のインタビューで本当に勉強になるようなことをお話しいただきました。倉敷さんのように強く自分を持っていらっしゃるのであれば、実況だけでなくメディアとして発信することは考えていないのですか 「編集担当の方がゆっくり育てて下さっているのに甘えてばかりいたものが、もうすぐ発表できるはずです。書下ろしです。表紙だけは最高の出来だと思いますので、その節はよろしくお願いします(笑) 」 ▽全5回のインタビューを終え、改めて倉敷さんの魅力を大いに感じた。画一的な中継では面白みに欠けるからこそ、オリジナリティを追い求める。そういった中で、中継では視聴者のリテラシー向上を考え、さら少しでも現地の“空気”に近いものを感じてもらおうとその国の言葉をチョイスして視聴者を楽しませてくれる。 ▽そのようなこだわりを持って長年サッカー中継の実況者を務めているのは、サッカーが『好き』だからだろう。サッカーが『好き』だからこそ学び、『好き』だからこそもっと良くしたいと思う。そのような情熱を持ちながら、少しずつ変化を加え、これからも実況席から試合を届けてくれるに違いない。実況者である倉敷さんの思いを感じながら試合を観戦すれば、今まで気づけなかった新たなものが発見できるだろう。 2018.03.31 12:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】でも過信は禁物…

▽「具合が悪いんじゃ仕方ないけどね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのラス・パルマス戦を控え、久々にレアル・マドリーのジダン監督の会見を聞いた時のことでした。いやあ、先日のスペイン戦の前にはアルゼンチンのサンパオリ監督が、これでもかというようにメッシについて質問されていたんですけどね。今度はその親善試合のヒーローにお鉢が回り、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場プレスルームではやたら、イスコの名前ばかりが聞こえてくることに。 ▽そして、その当人はというと、まあ、もちろん最近はクラブの方で2試合連続先発など、ずっとなかったことなので、ドイツ戦、アルゼンチン戦に続けて出たのが堪えたのか、水曜からジムごもり。ジダン監督よると、180分間フル出場し、丁度、この30日に32歳のバースデーを迎えたセルヒ・ラモス同様、体に痛みがあるため、土曜のグラン・カナリア(ラス・パルマスのホームがあるカナリア諸島)遠征には同行しないそうなんですけどね。スペイン代表に比べ、マドリーでのプレゼンスが低いのは、「No es un problema de Isco/ノー・エス・ウン・プロブレマ・デ・イスコ(イスコの問題ではない)。問題はウチには25人の選手がいて、プレーできるのは11人だけということ」(ジダン監督)とはいえ、折しもポルトガル代表のお勤めを果たしてきたクリスチアーノ・ロナウドはミッドウィークのCLユベントス戦を見据えてお休み予定。こんなチャンスを利用できないのはやっぱり、自己責任と言えなくもない? ▽まあ、週末のリーガについてはまた後でお話しすることにして、そのイスコが大活躍したワンダ・メトロポリターノでのアルゼンチン戦がどうだったかというと。実はスペインが薄い水色のモザイク模様が入っているため、パンツの白と微妙にトーンが違うW杯用の第2ユニを披露したこの試合、お昼のニュースではその前2日間、マドリーの練習場を借りてのセッションに参加。サンパオリ監督もアテにできると確信していたメッシの状態が急変し、結局、最初の親善試合、イタリア戦に続いて、休場することになったのが報道され、応援に駆けつけた1万人のアルゼンチン・サポーターもいきなり、鼻先に水をかけられたような状態でキックオフを迎えたんですけどね。 ▽それに輪をかけたのがCFの決定力の差で実際、先にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を破るチャンスを得たイグアイン(ユベントス)が見事に撃ち損ねてしまったのと対照的に前半12分、アセンシオ(マドリー)からスルーパスをもらったジエゴ・コスタ(アトレティコ)は先日のドイツ戦でこそ、ロドリゴ(バレンシア)にスタメンを譲ったものの、ロペテギ監督がホームスタジアムで花を持たせてくれたのも嬉しかったんでしょうか。ブストス(インディペンディエンテ)のタックルも、目の前に迫るGKロメロ(マンチェスター・ユナイテッド)もものともせず、先制ゴールをねじ込んでしまうって、いかにも彼らしいじゃないですか! ▽いえ、正直に言えば、その時、ロメロにぶつかってヒザを痛めた当人を見て、「また戦力が減るかも」と心配になったのは私だけでなく、パルコ(貴賓席)で観戦していたシメオネ監督も同じだったんじゃないかと思うんですけどね。結局、この衝突で大きなダメージを受けたのは相手の方で、22分には控えのカバジェーロ(チェルシー)と交代。コスタはピッチに戻り、26分には再びアセンシオがイスコをアシスト、39分にはバネガ(セビージャ)のCKからオタメンディ(マンチェスター・シティ)がヘッドで1点を返すのを見て、ハーフタイムでようやく退くことに。 ▽うーん、ここまでは2-1とまだ逆転の可能性もあったアルゼンチンだったんですけどね。代わって入ったイアゴ・アスパス(セルタ)がこれまた、敵DF陣にとって悪鬼のような存在だったようで、後半は「Espana nos golpeo por todos los lados/エスパーニャノス・ゴルペオ・ポルトードス・ロス・ラドース(スペインはウチをそこら中から打ちのめした)」(サンパオリ監督)という状態になったんですよ。もちろん、それには本来であれば、前も後ろも全員でメッシを止めることに集中しているはずの選手たちが、当人はパルコで見学、おまけにアグエロ(マンチェスター・シティ)やディ・マリア(PSG)まで、負傷で離脱していたため、攻撃に専念できたおかげもあると思うんですが、早くも7分にはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったから、さあ大変! ▽ええ、まずはエリア内からアスパスにパスをもらったイスコがこの試合2本目のゴールを決めると、その3分後には当人がアスパスにラストパスをお返し。その場は上手くホールドできなかったアスパスがチアゴ・アルカタラ(バイエルン)に繋ぎ、スペインの4点目が入ったなれば、満員のスタンドがどれ程、歓喜したことか。おかげで試合開始からpito(ピト/ブーイング)を受けていたピケ(バルサ)ですら、jugadon(フガドン/ナイスプレー)を称えられ、拍手でアスピリクエタ(チェルシー)に交代することができましたが、28分にはパスサッカーが基調の彼らには珍しい光景も発現。モウリーニョ監督の下でロングフィードを磨いてきたデ・ヘアがゴールキックを蹴ったところ、アスパスが素早くこれに追いついて、今度は自分でゴールを決めてしまったから、こちらもただただ、驚くしかなかったかと。 ▽そして最後はまたしてもアスパスがイスコにアシストして6点目が入ったんですが、いやあ、やっぱりアトレティコではハットトリックを目撃することが滅多にないせいか、それともお隣さんの選手だからですかね。サンティアゴ・ベルナベウでお馴染みの「Hattrick de Ronaldo!/ハットトリック・デ・ロナウド」のイスコバージョンをスピーカーに期待したんですが、ただの「Gol de Isco/ゴール・デ・イスコ」だったのはちょっと拍子抜けだったかも。これでスコアが6-1となったため、ロペテギ監督も余裕を持って、マルコス・アロンソ(チェルシー)やパレホ(バレンシア)を代表デビューさせたりできたんですが、終盤のアルゼンチンはちょっと頂けませんでしたね。カルバハル(マドリー)やコケ(アトレティコ)が荒いタックルを受け、時折、tangana(タンガナ/小競り合い)になっていましたが、幸いながらケガ人は出ていません。 ▽え、W杯まではまだ3カ月もあるのにいきなりこんな大勝ちして、スペインの選手たちが調子に乗ったら困るんじゃないかって? まあ、その辺は「Argentina sin Messi es otra cosa/アルヘンティーナ・シン・メッシ・エス・オトラ・コーサ(メッシ抜きのアルゼンチンは別物)」とコスタも言っていた通り、彼らもわかっているようですしね。むしろ、6点目を取られてすぐ退席、ロッカールームで「Levanten la cabeza. Esto lo vamos a sacar adelante juntos/レバンタン・ラ・カベッサ。エストー・ロバモス・ア・サカール・アデランテ・フントス(頭を上げて、この事態を皆で乗り切ろう)」と、チームメートにメッシがキャプテンとして檄を飛ばしたというアルゼンチンより、ずっとムードがいいのは確かかと。 ▽実際、この2試合ではデ・ヘア、カルバハル、ラモス、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、イニエスタ(同)、チアゴ、コケ、イスコら、9人がリピートと、本大会の先発メンバーもかなり固まったとはいえ、とりわけFW陣など、モラタ(チェルシー)やロドリゴら、リスト入り当確線上にいる選手もいますしね。ロペテギ監督のポゼッションだけには頼らない戦法もいい感じになってきたようですし、今のところは程ほどの期待を懸けておくぐらいが丁度いい? 彼らが6月、W杯直前に挑むテストマッチはスイス戦とチェニジア戦ですが、それまでのシーズン残りに負傷者が出ないかだけが懸念の種になるでしょうか。 ▽え、それにしても国際メジャートーナメントでの復権を狙うスペイン代表で、これだけお役立ちのイスコがマドリーでは控え扱いなのは、このままだと当人だって調子の維持が難しいだろうし、納得いかないって? そうですねえ、彼自身は殊勝気に「Julen me demuestra la confianza con minutos/ユーレン・メ・デムエストラ・ラ・コンフィアンサ・コン・ミヌートス(ロペテギ監督はボクへの信頼をプレー時間の形で示してくれる)。マドリーではサッカー選手に必要な信頼がなくて、悪いのはそれを勝ち取れていない自分だろう」とピッチインタビューで言っていましたが、何せ、あのチームはスペシャルなタレントの持ち主ばかりですからね。 ▽イスコのサッカーのテンポがマドリーには合わないとかいう意見はともかく、そういう場合は「La confianza no se la da el entrenador, sino el jugador al entrenador/ラ・コンフィアンサ・ノー・セ・ラ・ダ・エル・エントレナドール、シノ・エル・ウガドール・アル・エントレナドール(信頼は監督が選手に与えるものではなく、選手が監督に与えるもの)」(ロペテギ監督)を実践するのも難しいかと。逆にとりわけこの冬、選手を4人も放出してフィールドプレーヤーがたった17人に、フィリペ・ルイスの腓骨骨折で今は16人と極めて少人数でスタメン争いをしているコケなどにしてみれば、「イスコは最高だよ。あっちでレギュラーになれなくても、アトレティコならなれるかも」という次元のようですが、まあ実際、世の中、そんなものかもしれません。 ▽そして19人の各国代表参加メンバーもイスコとラモス以外、特に問題もなく戻ったマドリーは水曜から3日間、バルデベバスで練習。金曜夕方には飛行機で移動となりましたが、いやあ、ジダン監督も思いきりましたねえ。リーガは首位と勝ち点差15と、もう今季のタイトル獲得可能性はCLしかないため、来週火曜の準々決勝ユベントス戦1stレグを睨み、ローテーションがあるのは予想できましたが、最初に言ったロナウド以外にもクロース、マルセロをお留守番に。そこへカルバハルの出場停止まで重なるとなると、もしや現在18位、何とか17位のレバンテとの勝ち点差6を縮めようと必死なパコ・ヘメス監督のラス・パルマスにもチャンスがある? ▽とは言っても、ベイルはウェールズ代表の中国戦でハットトリック、マジョラルもU21スペイン代表のユーロ予選2試合で計5得点と当たっていますし、フランス代表と縁が切れてしまったベンゼマも休養十分ですからね。ジダン監督も「Para preparar el martes hay que estar bien mañana/パラ・プレパラール・エル・マルテス・アイ・ケ・エスタ^ル・ビエン・マニャーナ(火曜の準備をするには明日の試合でいい状態でないと)」と自信を見せていたように、やはり土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの一戦はマドリーの勝利に賭ける人が多いでしょうね。 ▽一方、GKオブラク(スロベニア)が臀部の痛みで2試合目を免除されて戻ったり、ヒメネス(ウルグアイ)がチャイナカップ決勝で足を打撲。ブルサイコ(クロアチア)もメキシコ戦の序盤で交代、加えてコスタの件があったアトレティコは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ワンダ・メトロポリターノにデポルティボを迎えるんですが、こちらも相手は降格圏の19位だけに実力的には勝っているものの、何せ人出不足が心配でねえ。私も水曜の午後セッションにはポカポカ陽気にも誘われて、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってしまいましたが、思った通り、代表帰りの選手たちの大半は、スペイン戦では馴染みのベンチをアルゼンチン代表のユニで温めることになったコレアや途中出場だったサウール以外、グラウンドに現れず。 ▽だからかどうかは知りませんが、シメオネ監督など、バーベル上げなど、フィジカルトレに励む選手たちをよそにカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちにポジショニングの指導をしているって、もしやそれって、緊急事態を想定してのもの?その一方でフランスの2試合目、ロシア戦では30分程の出場にとどまったグリーズマンの元気な姿も見られたものの、彼はビトロと一緒に今週末は出場停止ですからね。いくら、フェルナンド・トーレスやガメイロと並んでシュート練習、おまけに柵の外から覗くギャラリーを意識してか、ゴールが決まった後のパフォーマンス練習までしてくれてもまったく、助けにならないんですが、幸い翌日の練習ではヒメネスを除いて皆、普通にセッションに参加できたとか。ただシメオネ監督は2トップをガメイロとコレアでリハーサルと、コスタを外していたため、こちらも来週木曜のヨーロッパリーグ準々決勝スポルティング戦1stレグを視野に入れているのかもしれません。 ▽そしてようやく春が来たのが嬉しくて、翌日の午前中にはヘタフェの様子を探りに行った私だったんですが…いやあ、周辺が荒野のため、風吹きすさぶシュダッド・デポルティバ(練習場)の寒かったの何のって。おまけにその日から、セマナ・サンタ(イースター週間)の祝日に入ったせいか、同じ敷地内で普段は週末にあるユースチームのリーガ戦が開催。ゲートで入場料10ユーロ(約1300円)と言われてしまったせいで、裏からグラウンドの反対側に回ってみたところ、辺りは一面、菜の花満開ながら、ええ、ボルダラス監督の練習は2、3時間と他より長いこともありますよ。ヒートテックを着て来なかったことを激しく後悔する破目に。 ▽そのセッションにはベルギーでの日本代表親善試合に参加、2試合目のウクライナ戦で先発した柴崎岳選手も普通に混じっていたんですが、実はこの代表戦期間中、ヘタフェには今季、3番目の中足骨骨折患者が発生。それはボランチのアランバリで、最初は柴崎選手、次はベルガラとどちらも回復に2、3月かかっていますからね。今季は絶望ということで、入れ替わりでそのベルガラが戻って来るんですが、当人は先週、鼻中骨骨折をしてマスクをつけてプレーって、何ともツイていない。ただ月曜午後9時(日本時間翌午前4時)にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにベティスを迎える彼らは1部残留をほぼ達成。あとは勝ち点差4を覆して、来季のEL出場権をもらえる7位に喰いこめるかどうかぐらいが焦点になるため、ムリをしないでいいのは助かります。その辺は土曜にバレンシアをブタルケに迎えるもう1つの弟分、12位のレガネスも同じと言ったところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.31 12:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ベルギーでの2試合で見えたこと part.1

▽ヨーロッパ初となるキリンチャレンジ杯2018がベルギーのリエージュで開催され、日本は23日にマリと、27日にウクライナと対戦して1分け1敗の成績に終わった。ハリルホジッチ監督があらかじめ「多くの選手を見たい」と宣言していたように、2試合で22名の選手を起用。出場機会のなかったのはGK東口順昭とケガ明けの森重真人、負傷中の遠藤航、そして車屋紳太郎の4人だけだった。 ▽指揮官が代表23名の選定に着手するのは5月のキャンプからと明言していたので、現時点で誰が当確とか、当落線上と推測するのはあまり意味を持たないだろう。ただ、試合を見れば川島永嗣、槙野智章、長友佑都、長谷部誠、本田圭介、原口元気、大迫勇也といった実績のある選手は、ケガでもしない限り招集は確実だろう。 ▽この話題は別の機会に譲るとして、2試合を取材して改めて感じたことがある。まず日本は、やはり「ヨーロッパ勢との試合は相性がいい」ということだ。というのもセオリー通りに攻撃を組み立ててくるからだ。ウクライナは長身FWベセディンのポストプレーから左サイドに展開し、ドリブラーのコノプリャンカが仕掛けたり、素早いサイドチェンジから右サイドのMFマリノフスキーやDFブトコが攻撃参加したりしてワイドな攻めを展開した。 ▽試合を見ていて思ったのは、「バイタルエリアからドリブルで仕掛けられたら嫌だな」ということだった。というのも前半なかば、ベセディンが前を向き、槙野智章と1対1になりながら、彼はバックパスでサイドへ展開する攻撃を選択した。 ▽これが南米やアフリカのチームなら、間違いなくドリブルで勝負してくる。実際、マリ戦ではFWムッサ・ジェポネが槙野と長友の間をドリブルで割って入ろうとした。ペナルティーエリア内に侵入を許せばPKを与える危険もある。「組織」で攻撃してくるヨーロッパ勢に対し、「個」で勝負してくる南米やアフリカ勢。どちらが日本にとって厄介か、いまさら説明する必要もないだろう。 ▽実際、過去のW杯で日本がヨーロッパ勢に負けたのは10年南ア大会のオランダしかない。98年のクロアチアと02年のロシア、06年のクロアチア、14年のギリシャはいずれもドローで、02年のベルギーと10年のデンマークには勝っている。このためロシアでは、第3戦のポーランド戦に、グループリーグ突破の可能性を残して臨みたいものだ。 ▽W杯本大会に向け、いかにしてコロンビアとセネガル対策を講じるか。ハリルホジッチ監督の手腕が見物でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.28 18:30 Wed
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【日本代表コラム】「罠」に陥らず、足りないものをしっかりと認識できたのか

▽「完全に満足することはできないが、ポジティブなものも見られた試合」と試合後の会見で語ったヴァイッド・ハリルホジッチ監督。ベルギー遠征でのテストマッチ2試合は1分け1敗。本大会まで3カ月を切ったタイミングでのこの結果には、不安を抱く方が多いのは致し方ないことだろう。 ▽冒頭のコメントに関しても、「この時期にそれでいいのか」と思われている方も居るに違いない。確かに、その気持ちは理解できないこともない。ただ、それではこれまでと何も変わらないのではないか。個人的にはそう感じてしまう。 ◆「幻想」→「罠」Getty Images▽危機感がないわけでもなく、現状を楽観視している訳でもない。「幻想を抱いては罠に陥るだけだ」。ハリルホジッチ監督はウクライナ戦後に「罠」という言葉を使った。日本人が陥りやすい「罠」は、逆の意味もあると思う。 ▽マリ代表戦、ウクライナ代表戦と、ワールドカップ本大会を想定し、2戦目のセネガル代表、3戦目のポーランド代表を“仮想”して戦った。試合日程も中3日。結果は1分け1敗。この結果が本大会であれば、グループステージ敗退は確定に近い。 ▽ポジティブに捉えるならば、「本大会じゃなくて良かった」といったところだろう。あくまでもテストマッチ。結果が重要ではないとは言わないが、2カ月半後にピークを持って行くには、必要だったプロセスにも成り得るはずだ。もちろん、この先の改善が重要となる。 ▽しかし、日本サッカーを応援する人の大半の意見は冒頭でも触れた通り「不安」で一杯であり、「不満」も溢れてくるだろう。結果が出ていない以上、当然とも言える。ただ、それが「罠」でもあると考えられる。 ▽「面白いサッカー」、「試合を支配して華麗に勝ち切る」というような“幻想”を抱き、「結果が残らない」という“罠”に陥ることは容易に想像できる。一方で、ワールドカップで結果を残すということをリアルに考えた時、「本大会に影響しない勝ち点」を求めることが最重要なのかと問われれば、それは「イエス」と言い切れない。あくまでも、6月の3試合がメイン。そこで勝ち点を稼ぐための「準備」が今は求められるはずだ。 ◆必要なことは“継続”Getty Images▽マリ戦と比較すれば、ウクライナ戦はポジティブな部分が多かったと言える。2失点は喫したものの、“仮想”であるポーランド代表の特徴でもあるサイド攻撃は、決定機を作らせることは少なかった。もちろん、その数を減らすことは求められるが、サイドバック、ウイングの縦関係で一定の守備を行えていたことはプラスだ。 ▽トップ下で先発出場したMF柴崎岳(ヘタフェ)は、中央だけでなく、サイドにも顔を出すなど、精力的に動いていた。冷静なプレーも多く、柴崎の良さを出すことはできただろう。DF槙野智章(浦和レッズ)のゴールをアシストしたFKからのクロスも、精度は高かった。 ▽さらに、1-1で迎えた後半の立ち上がり、日本はプレス強度を高め、左サイドでトライアングルを形成してゴールに迫っていた。前半に比べ、左サイドバックのDF長友佑都(インテル)の攻撃参加も増え、良い入りを見せていた。しかし、時間の経過とともにウクライナが盛り返し、日本は単調な攻撃に逆戻りした。 ▽90分間常に100%のパフォーマンスを出すことは当然難しい。ただ、相手が嫌がるプレー、相手を上回るという部分は試合のポイントとなる時間帯では必要だ。この2戦を見ていても、どこかギアを変えるタイミングがなく、単調な攻撃で決定機を作れないまま90分が過ぎていった印象だ。トライしようとしていることが失敗に終わったからといってやめるのではなく、どこまで継続していけるのか。結果を出すための“継続”は必要だろう。 ◆攻守でハッキリと出た課題Getty Images▽昨年11月のベルギー遠征でのブラジル代表、ベルギー代表との2試合、そして今回のマリ、ウクライナとの2試合では、攻守でハッキリと課題が出た。ブラジル、ベルギー、マリ、ウクライナとワールドカップの出場に関係なく、アジアとは違うレベルでサッカーをするチームとの対戦では、通用しない部分が多かった。本大会に向けて危機感を抱くのもそれが理由だろう。 ▽攻撃面では、圧倒的にシュートが少ない。マリ、ウクライナを相手にしても、決定機と呼べるシーンはわずか。ただ、決定機を多く作ることが目的ではなく、ゴールを奪う事が目的にならなければいけない。ハリルホジッチ監督は「これでも多い」と語ったが、ワールドカップで対戦するコロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表を相手では、決定機を迎える回数は試合中に数えるほどだろう。そこでいかに効率よくゴールを奪うか。何度もハリルホジッチ監督が言う「直接FKからのゴール」もその1つと言える。 ▽シュートチャンスの形をイメージし、どの様に崩すかを考えることは多いだろう。ただ、それではゴールは決まらない。ゴールをどうやって奪うかまで考えた崩しでなければ、ワールドカップで結果を残すのは難しい。相手の守備を崩すことではなく、ゴールをどう奪うかまで見た攻撃を見たいものだ。 ▽そして守備面でもハッキリした課題があった。それは、『デュエル』だ。『デュエル』は一対一の局面に限らず、ピッチ上の様々な部分で起きている。マリ、ウクライナとの対戦では、人数をかけて奪いに行った局面でも、いなされてボールを繋がれていた。相手としては数的優位を作れる状況なだけに、いかにそういったシーンを減らすかが重要となる。 ◆良いイメージとメンタルコントロールGetty Images▽残り3カ月を切った時点で、フィジカル的に優位に立てる選手を探すことはまずムリだろう。ハリルホジッチ監督が口にしたように「ゴールのところで我々の瞬発力、スピード、リズムの変化、早いボール回し、前に向かう動き」が必要だ。 ▽しかし、これらのプレーがこの2試合にあったかといえば、ほとんど見ることができなかったはず。高いレベルの相手にどこまで、「ストロングポイント」を出せるかが、ワールドカップで結果を残せるかに繋がるはずだ。 ▽各選手のコメントなどを見ていると、選手間でのメンタル面での差が多く出ているように感じる。世界を相手にどの様に戦うのか。恐れてリスクを負わなければ、光が指すことはないだろう。監督と選手の信頼関係が重要にはなるが、まずは選手たちが「ストロングポイント」だと認識しなければ、良い結果は生まれないかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.28 15:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】W杯はまだ遠い…

▽「別に隠す程のこともないのにね」そんな風に私が文句を言っていたのは月曜日、アルゼンチン代表のサンパオリ監督がワンダ・メトロポリターノで会見すると聞いたため、スペイン代表の公開練習より早めに行ってみたところ、いえ、当人は30分以上、母国やカタルーニャ(バルセロナのある州)のメディアから、次から次へと飛び交う質問に淡々と応答。その半分以上が先週金曜、エティハド・スタジアムのパルコ(貴賓席)でアグエロ(マンチェスター・シティ)と一緒にイタリアに2-0と勝った試合を眺めていたメッシが、「火曜の親善試合でプレーできるのかどうか」だったのはともかく、肝心のチームの方はこの日もバルデベバス(バラハス空港の近く)にあるレアル・マドリーの練習場で非公開セッションだった上、記者会見で話す選手を1人も連れて来ていなかったから。 ▽おかげでこちらも当てが外れてしまったんですが、とりあえず、スペイン代表の試合は11月の親善以来、久しぶりということで、先週のドイツ戦の様子から話すことにすると。この日のロペテギ監督は大方の先発予想を大きく外してくれて、ええ、アトレティコのFIFA処分が明けて、この1月からプレーを再開。おかげで代表招集は9カ月ぶりながら、今回はモラタ(チェルシー)が呼ばれず、当人は双子を妊娠中のイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんと一緒にバケーションに行ってしまったこともあり(https://www.instagram.com/p/BgvW-lFHTYP/?hl=ja&taken-by=alvaromorata)、ジエゴ・コスタのスタメンCF起用という説が多かったんですけどね。ドュッセルドルフのエスプリット・アレナのピッチでイニエスタ(バルサ)、イスコ(レアル・マドリー)、シルバ(マンチェスター・シティ)らと並び、himno(イムノー/国歌)を聞いたのはロドリゴ(バレンシア)。 ▽でもこれがバッチリ当たったんです!そう開始5分、スローインからボールを持ったイニエスタがエリア内のロドリゴにスルーパス。そのまま、フンメルス、ボアテングのバイエルンCBコンビの裏を取った彼がシュートを決め、あっさり先制点をゲットしているんですから、ビックリしたの何のって。ただねえ、その後も軽快にパスを繋いでいたスペインでしたが、チャンスはほとんど生まれず、前半34分にはトマス・ミュラー(バイエルン)にエリア前から、いえ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がまだW杯用のマッチボール、テルスター18に慣れていなかったせいもありますよ。あの長い腕でも届かないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて、同点に追いつかれてしまうことに。 ▽1-1のまま始まった後半、スペインはバルベルデ監督の下でも今季は時間限定で妙技を見せてくれるイニエスタに代え、サウール(アトレティコ)を投入。チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)から、現在、負傷中で参加していないブスケツ(バルサ)の役割を引き継ぐことになったんですが、同じボランチでもシメオネ監督のチームとスペイン代表では勝手が違ったよう。具合の悪くなったピケ(バルサ)がナチョ(マドリー)に代わったことも重なって、幾度かDFラインに混乱を巻き起こした後、ケガをしたケディラ(ユベントス)がギュンドガン(マンチェスター・シティ)と交代する間にロペテギ監督から注意を受けていましたが、とにかく相手は強豪ドイツですからね。 ▽この日、代表150試合出場の節目に達した百戦錬磨のキャプテン、セルヒオ・ラモス(マドリー)も「Alemania es la actual campeona del mundo y se palpa en cada acción/アレマニア・エス・ラ・アクトゥアル・カンペオナ・デル・ムンドー・イ・セ・パルパ・エン・カーダ・アクシオン(ドイツは現W杯チャンピオン、1つ1つのプレーにそれを感じる)」と言っていたぐらい高レベルのチームとなれば、サウールでは時に対応できないのも仕方なかったかと。ええ、残り10分にはビジャレアルで同職を務めるロドリが代表デビュー、一番無難にこなしたと言われているものの、本大会のここ一番でブスケツの代わりとなるボランチはいないというのは、この日の試合でもわかりましたっけ。 ▽まあ、それはさておき、この後半には両チームのGKが活躍。片や10分にはゴール前からのイスコのシュートをテア・シュテーゲン(バルサ)がparadon(パラドン/スーパーセーブ)したかと思えば、その1分後にはデ・ヘアがギュンドガンの一撃をそらし、更にフンメルスのヘッドもセーブ。それこそ後でロペテギ監督が、「El partido ha sido bonito para el espectador, de juego abierto y con oportunidades/エル・パルティーオー・ア・シードー・ボニートー・パラ・エル・エスペクタドール、デ・フエゴ・アビエルトー・イ・コン・オポルトゥニダーデス(観客にとって楽しい試合だった。オープンなプレーとチャンスがあって)」と言っていた通りだったんですが、残念だったのはせっかく20分にはロドリゴと交代でピッチに入りながら、コスタが降って湧いた絶好機をモノにできず。シュートをフンメルスに当ててしまい、勝ち越し点を取れなかったことかと。 ▽うーん、ここ2試合程、彼はアトレティコでも目立つ働きをしていませんしね。丁度、そういう調子の波に当たったのがアンラッキーでしたが、このところ、マドリーのプランBからAに昇格したアセンシオ&ルーカス・バスケスの両翼を終盤には採用しながらも、スペインに成す術はなし。結局、そのまま1-1の引き分けで終了したのには、レーブ監督もロペテギ監督もいいゲームだったと互いに満足感を表明し、ラモスも「Hoy hemos hecho cosas al alcance de muy pocas selecciones/オイ・エッモス・エッチョー・コーサス・アル・アルカンセ・デ・ムイ・ポカス・セレクシオネス(今日のウチは僅かな代表にしかできないことをやった)」と胸を張っていましたが、でもお。ロシアでのW杯を勝ち抜いていくと、ドイツとは準決勝で当たる可能性が大。その折には引き分けだと延長戦、PK戦で勝負になりますからね。 ▽できれば、本番ではもうちょっと攻守にレベルアップして、90分で勝てるようになっていることを祈っていますが、さて。前回のブラジル大会はグループリーグ敗退、2016年のユーロもベスト16で敗退したスペインとなれば、今から「Vamos al Mundial para ganarlo/バモス・アル・ムンディアル・パラ・ガナールロ(W杯には優勝するために行くつもり)」なんて、コケ(トレティコ)のようにあまり大風呂敷は広げない方がいいかも。まずはポルトガル、イラン、モロッコと当たるグループリーグを突破することに専念しないといけませんよ。 ▽そしてその夜のうちにマドリッドに戻ったチームは翌土曜、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドで今合宿、初めての公開セッションを実施したんですが、晴れてこそいたものの、この日は歩いていて飛ばされそうになる程の強風が吹いていたのが災いしたんでしょうかね。意外とスタンドに詰めかけたファンも少なめだったんですが、前日先発組のイニエスタやピケ、ラモス、ジョルディ・アルバ(バルサ)らはグラウンドに姿も見せず、シルバなんて、最近、低体重で生まれたお子さんの様子を見るため、すでに代表を離脱していたことが発覚。 ▽おまけにコケやサウール、イスコ、ロドリゴらもピッチの横幅を一往復しただけですぐにジムに直行してしまい、コスタ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、加えて現在、リーガでスペイン人中、最多得点となる16ゴールを挙げているイアゴ・アスパス(セルタ)などが1/4ピッチのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)でビシバシ、ネットを揺らしているのは見られたものの、ちょっとメンバー的に寂しかったのは否めないかと。そのセッション終了後には24時間のデイオフをもらい、選手たちは三々五々、休日を楽しんだんですが、日曜の午後1時半には再び協会施設内のホテルに集合。例外はラモスで、芸能人の彼女、ピラル・ルビオさんもセルヒオ・ジュニア君、マテオ君に続いて3人目ともなると、上手くタイミングを合わせることができるんですかね。 ▽その日曜の午後に3男のアレハンドロ君を出産するのに立ち会ったため(https://www.instagram.com/p/BgwiCa_nfTX/?hl=es&taken-by=sergioramos)、彼だけは午後7時頃の遅い合宿帰還となったとか。まあ、今回は親善試合オンリーですし、チームメートも翌月曜、午後7時半からのアルゼンチン戦に向けて、スタジアム練習をするまで、W杯期間に流すCM撮りなどで明け暮れていたため、別に不都合はなかったんでしょうが、私が驚かされたのはその公開セッション見学の整理券を協会が当日、朝から配布したところ、スタジアムの窓口に長蛇の列ができていたこと。いやあ、試合のチケットの方も金曜に窓口販売が始まった途端、売り切れてしまったそうですしね。どうやら強敵イタリアを退けて、予選グループ首位でW杯出場を勝ち取ったのが良かったのか、再び国内での代表人気が回復しつつあるのは喜ばしい限りかと。 ▽そしてサンパオリ監督が「Hoy entreno normal, con el grupo. Esta bien para jugar/オイ・エントレノ・ノルマル、コン・エル・グルッポ。エスタ・ビエン・パラ・フガール(今日は普通にグループに入って練習した。プレーできる状態にある)」と、筋肉痛が心配されていたメッシが出場できることを明言。続けて、「スペインは2014年のW杯で自分が率いたチリに負けた頃より、均質的なチームになっている。今は他のところよりずっと上だ。Demasiada superioridad al resto de selecciones/デマシアダスペリオリダッド・アル・レスト・デ・セレクシオネス(その他の代表に比べて優位すぎるぐらい)」と火曜の対戦相手に賛辞を贈るのを聞いた後、ワンダのプレスルームではロペテギ監督やデ・ヘア、チアゴ・アルカンタラらが会見することに。 ▽元アトレティコのGKなど、一応、古巣の新しいホームで初めてプレーすることになるためか、「Como portero enfrentarme a Messi es un reto/コモ・ポルテーロ・エンフレンタールメ・ア・メッシ・エス・ウン・レトー(GKとして、メッシと対戦するのはチャレンジ)」と勇敢なところを見せていましたが、果たしてどうなることやら。およそ2万人のファンの前で行われた公開セッションでのミニゲームは先発組と控え組を混ぜたチーム編成だったため、あまりスタメン予想には自信がないんですが、顔馴染みの代表番ラジオ記者によると、ロペテギ監督はあまりドイツ戦からメンバーをいじらないだろうとのこと。シルバが抜けた穴はアセンシオで埋め、CFをロドリゴからコスタに代える程度じゃないかと言っていましたが、ピケには練習中からpito(ピト/ブーイング)が飛んでいたため、CBはナチョ先発の方が好ましいかも。 ▽一方のアルゼンチンはすでにアグエロとディ・マリア(PSG)が負傷でチームを離れており、いえ、土曜の会見でサウールなどは、「Si no esta Messi estara Correrita/シー・ノー・エスタ・メッシ・エスタラ・コレリータ(メッシがいなくてもコレアがいる)」と、クラブの同僚を立てていたんですけどね。コレアのことはサンパオリ監督も交代要員のオプションと考えているようなので、やはりメッシとイグアイン(ユベントス)頼みになる?何にせよ、まだW杯までは3カ月ありますしね。火曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分、スペインは今週から夏時間)からの試合では勝敗より、来週にはCLやヨーロッパリーグの準々決勝1stレグを控えているチームも多いため、選手たちがケガなくプレーしてくれることが一番ですよね。 ▽え、それってやっぱり、月曜のチャイナカップ決勝で、先週は中国戦でハットトリックを挙げたベイル(マドリー)のいるウェールズにカバーニ(PSG)のゴールでウルグアイが勝ったものの、アトレティコのヒメネスが左足を打撲してしまったから言っているんじゃないのかって?まあ、そうなんですが、実は彼、準決勝のチェコ戦でも傷を負ってしまい、根性ですぐ復帰しているため、週末のデポルティボ戦に影響するかはまだわからないんですけどね。代表によっては、スロベニアのように最近、臀部の痛みに悩まされているGKオブラクを2戦目免除で返してくれたところもあるため、アメリカで親善試合中のクロアチアがモドリッチだけを解放。マドリーの後輩、コバチッチはいいとしても、「少人数精鋭チーム」のアトレティコの貴重な右SB、ベルサイコが水曜の2試合目、メキシコ戦にも付き合わないといけないというのはちょっと、不安な気がしないでもないかと。 ▽更にマドリーにとって朗報なのは、クリスチアーノ・ロナウドが月曜に一足先に2つ目の親善試合を終え、帰って来られることなんですが、最初のエジプト戦こそ、ロスタイムに2ゴール挙げて、ポルトガルの逆転勝利に花丸貢献したものの、オランダ戦ではノーゴールでチームも3-0と完敗。あまり当人の機嫌は良くないかもしれませんが、バルデベバスでのメッシとのニアミスも避けられましたしね。火曜からは1週間、寂しかったジダン監督のセッションを賑わせてくれることかと。ただし、お隣さんのマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場も同様ですが、各国代表に招集されている選手の大多数が戻って来るのは水曜となるため、現地に行ってサインや写真ゲットを狙うファンは気をつけた方がいいですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.27 16:45 Tue
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【六川亨の日本サッカーの歩み】ハリルの苦悩と懸念材料

▽ベルギーに遠征中の日本代表は、明日27日にウクライナと対戦する。といったところで、マリ戦は低調な内容だったため、スポーツ紙はかなり手厳しく批判したようだ。それも仕方のないことだろう。代表初招集の宇賀神友弥がスタメンで起用されただけでなく、大島僚太と宇佐美貴史も久しぶりのスタメンだ。 ▽これまでの実績と、昨年の選手起用からレギュラー当確と言えるのは長友佑都、槙野智章、長谷部誠、久保裕也、大迫勇也の5人しかいない。チームの半数以上が入れ替わっているのだから、若いマリ代表に苦戦したとしても不思議ではない。 ▽そうした試合で、前半9分のGKと1対1のピンチにアダマ・トラオレのシュートをブロックしたGK中村航輔、そして後半アディショナルに同点弾を決めた中島翔也と、リオ五輪世代が活躍したことは明るい材料と言っていい。今回の遠征には2人の他に、大島、久保(予選に出場も本大会の参加はクラブが拒否)、植田直通、遠藤航と6人のリオ五輪世代が招集された(予備登録メンバーを含めれば三竿健斗の7人)。やっと下からの突き上げがあったことは歓迎したい。 ▽その一方で、主力選手からはハリルホジッチ監督がロングボールを多用するよう指示したことで、戸惑いの声も漏れてきた。これにはちょっと意外な気もした。そもそもハリルホジッチ監督は、前技術委員長だった霜田正浩氏が、「ジャイアントキリング(番狂わせ)を起こせる監督」として招聘したからだ。 ▽ザッケローニ監督が構築した、プレーしている選手はもちろん、見ていても楽しいポゼッションのサッカーは、アジアでは頂点に立ったものの、W杯ではまるで通用しなかった。日本はポゼッションのサッカーを確立したとして、次のステップとしてアギーレ監督やハリルホジッチ監督を招聘したはずである。 ▽ハリルホジッチ監督は就任直後から「デュエル」や「タテに速い攻撃」、「ショートカウンター」などを強調してきた。それはW杯イヤーになっても変わらないはずだし、ベテランや若手に関係なく求め続けているだろう。 ▽そこで25日の練習後、本田が興味深い発言をしていた。 ▽「日本の一つの弱点は、歴史が浅いせいで“日本とはこれ"というサッカーがないこと。4年ごとに違うスタイルを模索しながらここまで来ている」とこれまでの経緯を振り返りつつ、「困ったとき、集団には原点回帰するものがあるけど、それが今の日本サッカーにはない。普通は簡単に立ち返る場所があるけど、そういう楽な道がない。どの国もそういうことをやってきて、歴史は築かれている」と日本代表の弱点を指摘した。 ▽まさに正鵠を射ている。そして、4年ごとに変わる代表のスタイルを、A代表からアンダーカテゴリーの代表まで同じコンセプトのスタイルで統一するため「強化指針」を作成したのが霜田氏であり、右腕の木村幸吉氏だった。しかし霜田氏はJ2山口の監督に就任し、木村氏は技術委員の任を解かれた。 ▽このため、選手とハリルホジッチ監督との間に齟齬があった場合、両者の橋渡しとなる人材がいないことも、意思の疎通を欠く原因になっているのではないだろうか。本来なら西野朗技術委員長の役割だが、ハリルホジッチ監督を招聘した経緯をどこまで理解しているのか心許ない。同じことは手倉森誠コーチにも当てはまるだろう。 ▽ハリルホジッチ監督が苦境に陥っても、サポートできるキーマンがいない。これば現在の日本代表が抱える一番の問題点ではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.26 19:30 Mon
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【日本代表コラム】仮想セネガルの“テストマッチ”で見えたもの

▽「現実を直視してトレーニングを続けなければならない」と試合後会見の冒頭で口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。仮想セネガルとして挑んだ試合だったが、課題が散見される結果となった。しかし、テストマッチであることを考えれば、発見できたことはプラスに捉えられるだろう。 ◆目を見張る大島の成長も無念の負傷交代Getty Images▽試合前日会見でMF大島僚太(川崎フロンターレ)について「就任した当初から追い掛けているが、当時からはるかに成長している」と語っていたハリルホジッチ監督。昨シーズンは川崎フロンターレの初優勝にも貢献したが、本来の力を発揮したと言える。 ▽ハリルホジッチ監督の下で日本代表デビューを果たした大島の初戦は2016年9月のロシア・ワールドカップ アジア最終予選の初戦、UAE代表戦。その後、日本代表から遠ざかり復帰した、2017年12月のEAFF E-1サッカー選手権では試合中の負傷で大会を後にした。 ▽最後のテストの場である今回のベルギー遠征に大島を招集したハリルホジッチ監督の期待は高く、スターティングメンバーとしてピッチに立った大島は、ダブルボランチの一角としてピッチに立つと、MF長谷部誠ともポジショニングの指示を出し合うなど良い連携を見せた。また、持ち前のテクニックと縦パスでギャップを作り出し、攻撃面でも1つ上のプレーを見せていた。 ▽しかし、今回も試合中に負傷。MF山口蛍と交代を余儀なくされたが、その後の攻撃面の変化を見ると、大島がマリ戦の序盤で見せたパフォーマンスが際立っていたように思う。 ▽Jリーグで結果を残し、大事な最後のテストの場に呼ばれた大島。またしても…と言われてしまうかもしれないが、ケガをしてしまったことは残念でならない。ロシアの地で日本に違いをもたらせることができる可能性を見せただけに、代表発表までの残り約2カ月は好パフォーマンスを維持してもらいたい。 ◆ビルドアップの問題をどう解決するかGetty Images▽今回は負傷のためにメンバー外となったDF吉田麻也(サウサンプトン)に代わり、DF昌子源(鹿島アントラーズ)、DF槙野智章(浦和レッズ)がセンターバックコンビを組んだ。 ▽吉田の相棒の座を争う国内組のセンターバックがアフリカ勢相手にどれほどの守備を見せられるかという点は注目だったが、大きなミスはなく、フィニッシュの部分でも体を寄せるなど、一定のパフォーマンスを見せていた。ただ、アフリカ勢特有の間合い、懐の深さやしなやかな身のこなしには苦労した部分も見えた。 ▽加えて、ビルドアップの面では課題を感じざるを得なかった。前線の選手の動き出し、中盤の選手のポジショニングも関わる部分ではあるが、コレクティブな守備を見せていたマリの前に、判断の遅さ、リスクを嫌う部分が散見され、後半の停滞につながった。 ▽特にボランチにつけるパス、横へのパスが目立ち、しっかりとブロックを作り、立ち位置がはっきりしていたマリの守備を崩すことに苦慮した。ワールドカップではよりレベルが上がることを考えると、ビルドアップの精度は上げる必要があるだろう。 ◆前線の核は大迫。宇佐美、本田、中島は持ち味出すGetty Images▽1トップとして先発したやFW大迫勇也(ケルン)は、前線のターゲットマンとして機能。また、サイドに開いたプレーも、自身のパフォーマンスを見せていた。このままいけば、セネガル戦も大迫が軸となるだろう。 ▽また、途中出場で日本代表デビューを飾ったFW中島翔哉(ポルティモネンセ)は投入当初こそ遠慮する部分も見えたが、最後の同点ゴールまでの流れはさすがだった。ハーフウェイライン付近でパスを受けると、3人に囲まれながらも得意のターンで振り切りフリーに。ドリブルで持ち上がり左サイドへ展開すると、最後は三竿のクロスに合わせて代表デビューゴールを奪った。 ▽仕掛けが特徴でもある中島の色が出たプレー。ポルトガルで身につけた自信を、結果としてピッチで残せたことは大きいだろう。ワールドカップで勝ち上がるチーム特有の“ワンダーボーイ”的な役割を担う可能性もある。 ▽そして、久々の代表復帰となったFW本田圭佑(パチューカ)もパフォーマンスは悪くなかったように思う。ドリブルでの仕掛けなどで相手に防がれてしまう部分はあったが、ボールが収まること、周りを使うプレーに関しては問題なかった。先発という立ち位置を約束されない可能性は高いが、劣勢である試合をコントロールするという点では、経験値を含めて重要な役割を担うだろう。 ▽さらに、先発出場を果たしたFW宇佐美貴史(デュッセルドルフ)も久々の代表戦ながら調子の良さを見せていた。左サイドでコンビを組んだDF長友佑都(ガラタサライ)とのコンビは良好。独特の間合いを持つ宇佐美は、一対一の局面でもアフリカ勢の間合いに負けることはなかった。ゴールという結果は出なかったが周りを使うプレーに磨きがかかった印象。コンビネーションを生かしたプレーこそ宇佐美の真骨頂であり、激戦区である左ウイングのポジションでも新たな可能性を示したと言えるだろう。 ◆悲観しすぎることはないGetty Images▽当然のことながら、テストマッチとは言えど勝利することに越したことはない。結果を出すことは1つのプラス材料だが、勝利したことに満足感を得ることもまた危険だ。 ▽不用意なPKで失点することは、ワールドカップでは当然起こりうる。ビハインドの状況で戦う機会も、グループステージの相手を見れば3試合ともあり得る話だ。その中で、どうやって盛り返すかも重要になる。 ▽マリは4年後のワールドカップ出場を目指すこともあり、前半からしっかりと試合に入っていた。若い選手が多かったものの、想定以上に組織立っていた守備を見せ、日本が各局面で苦労したのも事実。アフリカ勢特有のプレー範囲など、多くを体験できたことも大きいだろう。ハリルホジッチ監督としても、セネガル相手にどのような戦いが必要か、どの選手が通用するかもある程度見えたように思う。「今日は深い分析をしたくない」と語ったものの、ヒントは得ているはずだ。 ▽本番は6月の本大会。事前のテストマッチで結果を残した時ほど、日本のワールドカップ本大会での結果は芳しくない。課題をしっかりと把握し、どこまで改善させられるか。ウクライナ戦もポーランドを想定した試合になるが、どこまでのテストができるかに注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.24 15:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】会見で見せたハリルの余裕の理由とは

▽ブリュッセル国際空港からIC(特急電車)を乗り継ぐこと3回。約1時間30分で試合会場のリエージュ・パレス駅に着いたのが21日午後4時30分のこと。駅から徒歩で予約したアパート探しに30分ほど費やしたが(グーグルマップに住所を入れても検索不可のため、番地を頼りに通りを1軒1軒探索)、無事にアパートにたどり着くことができた。 ▽22日は試合会場であるスタッド・モーリス・デュフランで13時よりハリルホジッチ監督が公式会見を開いた。マリ代表のマガッスバ監督が「主力8人がケガをしている」と話したのに対し、ハリルホジッチ監督も「4~5人ほどケガで来られなかった。今いる選手で戦うしかないので、チャンスをつかんで欲しい」と期待しつつ、マリ戦については「これまで出ていない選手にトライしたい。特に後半はそうなるだろう」と多くの選手を起用することを示唆した。 ▽今回の会見を取材していて、特に印象に残ったが、ハリルホジッチ監督に余裕を感じたことだった。ケガ人が多く、特に右SBは「航(遠藤)に宏樹(酒井)がケガで、高徳(酒井)も問題を抱えている(遠藤は別メニュー)。そういうこともあって何人かにトライしないといけない。ベストメンバーが揃っていない」と話しながらも、その口ぶりからはさほど深刻な問題ではないという印象を受けた。 ▽これまでの指揮官は、ケガで望んだ選手を呼べない際の会見では、どちらかというと試合結果について事前に“エクスキューズ”している印象を与えがちだった。それがスポーツ紙の反感を招き、ハリルホジッチ監督は批判されることで両者の関係は険悪なものになった。ところが今回は、スポーツ紙の記者から会見後に批判的な私語を聞くことはなかった。 ▽こうした両者の関係の変化は、おそらく3月の2試合で連敗しても、ハリルホジッチ監督はロシアW杯までの続投が決まったからではないだろうか。そのため指揮官には余裕ができ、スポーツ紙も批判しても意味がないためスタンスを変えたと推測できる。 ▽監督である以上、結果について責任を負う必要がある。しかし、いつまでも目の前の試合結果に進退を問われてはチーム作りに支障があるのも確かだろう。どの時点で監督の進退を見極めるのか。アジア杯はW杯の翌年開催に変更されたため早すぎる。個人的にはロシアW杯の出場権を獲得した時点で、ハリルホジッチ監督の続投を90パーセントくらい決めてもよかったのではないかと思っている。 ▽続投が決まったせいなのか、ハリルホジッチ監督は「5月(30日のガーナ戦)までに、いろいろな情報を持っておきたい」と、3月の2試合でW杯メンバーを絞り込まない方針も明らかにした。 ▽1998年のフランス大会と2002年の日韓大会では最終メンバー発表の際に2名のサッカープラズがあった(98年は三浦カズと北澤、02年は中山と秋田)。しかし、それ以後はほぼW杯メンバーは予測できた(例外は前回ブラジル大会の大久保くらい)。5月までメンバーを絞らないハリル流が、選手のモチベーションにどのような影響を及ぼすのか。 ▽ちなみに22日のミックスゾーンでキャプテンの長谷部は、ハリル流のメンバー選考について、「今まで(のW杯)はチーム作りが見えていたけど、今はまだまだ。本大会のメンバー(選考)は5月のキャンプに入ってからだと思う」と予測しつつ、「実際にやったことはないけど、ヨーロッパのクラブでは30人くらい呼んでいるので、『まだわからない』という選手もいる。ヨーロッパではよくあることなので、それぞれ監督のやり方だと思うし、メンバー発表からチームは固まっていくと思う」と感想を述べていた。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.23 13:30 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】親善試合は気楽だけど…

▽「食べ歩きに来たんだろうか」そんな風に私が笑っていたのは代表戦週間の真っただ中、アルゼンチン代表に呼ばれなかったユベントスのディバラが月曜にはマドリッドのレストラン、Los Arroces de Segis(ロス・アロセス・デ・セヒス/パエジャ専門店)で、火曜にはKabuki(カブキ/創作日本料理店)で目撃されたというニュースを読んだ時のことでした。いやあ、ネットで調べたところ、前者はメニュー(定食)35ユーロ(約5000円)と、高給取りのサッカー選手にしてはリーズナブルなお店だったのはともかく、後者の方ではアトレティコのシメオネ監督と一緒だったそうで、この夏の入団を勧誘しているのではなんて憶測も飛んだものでしたけどね。もしや、4月11日のCL準々決勝2ndレグでチームと一緒に来る前にマドリッドを偵察しておきたかった? ▽まあ、そんなことはともかく、シメオネ監督も翌日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)で負傷中のフィリペ・ルイス、フアンフランを除き、各国代表に招集されなかった6人(ガビ、トマス、フェルナンド・トーレス、ビトロ、ガメイロ、GKベルネル)だけが細々と練習を続けているチームを”モノ”・ブルゴス第2監督に任せ、ブエノスアイレスに帰郷。paron(パロン/リーガの停止期間)明け、4月1日(日)のデポルティボ戦の準備を本格的に始めるのは来週、大半の親善試合が火曜に終わった後、選手たちが戻って来る水曜からということになりますが、いえ、南寧市で開催されているチャイナカップに参加しているウルグアイの2戦目は月曜なので、ゴディンとヒメネスは余裕で着くんですけどね。 ▽折しもクラブの筆頭株主であるヒル・マリン氏が同市を訪問、中国にサッカースクールとオフィスを開く提携をワンダ(大連万達グループ)と結んだ調印式に両選手も呼んで花を添えているぐらい、自由のきく親善試合のようですが、唯一、心配なのはクロアチア代表でアメリカまで行っているベルサイコ。ええ、ダラスでのメキシコ戦が水曜とあって、マドリッド到着は金曜になる上、右SBはフアンフランの回復予定もギリギリですからね。この冬にアウグスト、ガイタン、カラスコ、モヤが移籍して以来、頭数が少ないだけでなく、前節のビジャレアル戦で退場したビトロが出場停止。「何日も圧力をかけた」と、リュカのスペイン代表入り希望を翻して、フランス代表に連れて行ってしまったグリーズマンも累積警告で出られずと、逆境も重なっているアトレティコのため、とにかく今は誰もケガをしないで戻って来るのを祈るばかりなんですが…。 ▽え、マドリッド留守番組放置状態はお隣さんも同じじゃないかって?そうですね、アトレティコに輪をかけて、24人のトップチームメンバー中、大量20人が各国代表に出向いているレアル・マドリーもやはり、4人(GKカシージャ、マルコス・ジョレンテ、テオ、ベンゼマ)だけでは練習にならないとあって、ジダン監督は水曜から再開する今週のセッションをグティ監督率いるフベニルAと合同で行うことにしたとか。ええ、当人もリモージュへ出かけて、1998年W杯優勝のフランス代表メンバーを集めたチャリティマッチに参加したりしていましたが、木曜にはウェールズ代表でチャイナカップの中国戦に出場したベイルがハットトリックを挙げたなんて嬉しいニュースも。 ▽何せ、最近ではBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)ともてはやされていたのもいつのことやら、CL16強対決の大一番、PSG戦でもスタメン落ちと、全盛時代からは隔世の感もあるベイルは木曜のマルカ(スポーツ紙)でも、「チームに溶け込んでおらず、ロッカールームではスマホが友達。身の振り方を考えられるシーズン終了を心待ちしている」なんて、ひどいことを言われていた程でしたしね。それでも今季の残り、とりわけマドリーがタイトル獲得に懸けているCLもまだ、準々決勝ユベントス戦を始め、準決勝、キエフでの決勝と彼の活躍が望まれるシーンもあるでしょうし、チーメートが頼りにしてくれるウェールズ代表での活躍で気分が上を向いてくれれば、ジダン監督にとっても喜ばしいかと。 ▽ちなみにマドリーも最後に戻って来るのはモドリッチとコバチッチのクロアチア組で、他は月曜のオランダ戦が2試合目になるポルトガル代表のロナウドを始め、マルセロ、カセミロ(ブラジル)、ケイロル・ナバス(コスタリカ)らも皆、ヨーロッパ内の親善試合。火曜までにはお勤めが終わるため、31日(土)のラス・パルマス戦に向けての準備には問題がなさそう。いえ、彼らにとっては首位バルサと勝ち点差15のリーガより、4月3日(火)のユベントス戦1stレグが赤丸付きの試合なんですけどね。現在、負傷している選手がいないとはいえ、FIFAウィルスの被害はもっとも受けたくない時期ではありますよね。 ▽そして弟分チームたち、ヘタフェとレガネスは各国代表に招集されている選手はそれぞれ、数人しかいないんですが、丁度、1部残留がほぼ確定したこともあり、今週は一息つけるいい機会。ええ、実際、シマノフスキが恥骨炎の手術で今季残りを欠場することが決まったレガネスなどは金土日が3連休だったり、負傷明けのベルガラが全体練習に戻ったヘタフェもミッドウィークに試合がない週は恒例だったダブルセッションなしで週末を休みに。前者は4月1日のバレンシア戦、後者は2日(月)のベティス戦でリーガ再開と、シーズン終盤に向けて英気を養う時間がたっぷりあるのはいいことです。 ▽え、クラブサッカーがない今週、そろそろ6月のW杯メンバーも見えてきたスペイン代表はどんな様子なのかって?そうですね、私がモンクロア(マドリッド市内のバスターミナル駅)から628/629番のバスに乗って、ラス・ロサスにあるサッカー協会施設のグラウンドに寒風吹きすさぶ中、見学に行ったのは練習初日の火曜だったんですが、スタンドにいられたのはたったの15分だけでしたからね。アップだけでは何とも言えなくて申し訳ないんですが、この日は代表初招集となったマルコス・アロンソ(チェルシー)とロドリ(ビジャレアル)が記者会見に登場。とりわけ後者はすでに来季のアトレティコ入団が決まって言われているため、ちょっと気になったんですが、どうやら今回はブスケツ(バルサ)が負傷中により、U21代表から昇格したよう。 ▽よって、本大会に行けるかどうかも微妙なんですが、木曜にドュッセルドルフ入りしての前日練習によると、ドイツとの親善試合でボランチの代理を務めるのはどうやら、いえ、ラス・ロサスでの午後からのラジオインタビュータイムで「イスコ(マドリー)は凄いタレントがあって、アセンシオ(同)も何でも上手くやっているけど、サウールには大きな潜在能力がある。De los tres, me quedo con Saúl/3人のうちだったら、ボクはサウールを選ぶよ」とコケが褒めていたのは、多分に身内びいきも混ざっていたと思うんですけどね。ロペテギ監督に抜擢されたのはそのアトレティコの後輩のようでしたが、まあそれも試合が親善のため、詳細な情報がなく、確かとは言えず。 ▽ラス・ロサスでは火曜も水曜も筋肉痛と風邪のための発熱でグラウンドに姿を現さなかったピケ(バルサ)も復活していたのはいいニュースでしたが、CBはこれが代表150試合目の節目となり、「Mi objetivo es ser el que mas veces vista la camiseta de Espana/ミ・オブヘティーゴ・エス・セル・エル・ケ・マス・ベセス・ビスタ・ラ・カミセタ・デ・エスパーニャ(ボクの目標はスペイン代表最多出場選手になること)」と現在、167試合でトップにいる大先輩、カシージャス(ポルト)を超えるのを狙っているセルヒオ・ラモスとナチョのマドリーコンビになる可能性が高いかと。 ▽ちなみに今回の代表にはマドリーの選手が6人おり、クラブ別としては最大勢力。おまけにブスケツはともかく、水曜にはやはりラジオ出演したイニエスタが「Por momento y por naturaleza posiblemente sea mi ultima aparicion con la Seleccion/ポル・モメントー・イ・ポル・ナトゥラレサ・ポシブレメンテ・セア・ミ・ウルティマ・アパリシオン・コン・ラ・セレクシオン(時期的にも体力的にもおそらく代表でのプレーは最後)」と、この夏のW杯を区切りにすることを告げたため、結構、前から代表引退を表明していたピケも含め、来季からはバルサ勢が少数派に転じる恐れも。いえ、ラモスに言わせると、「以前はバルサ流サッカー哲学が代表で強調されていたけど、ahora esta mas equilibrada/アオラ・エスタ・マス・エキリブラードー(今はもっとバランスが取れている)。色々なチームの選手がいるのはスペイン・サッカーにとっていいこと」だそうですけどね。 ▽金曜には敵として対戦するクロースなど、その先を行って、「マドリーには質の高い選手がいるから、スペイン代表に6人もいる。バルサやアトレティコの選手もいるけど、ベースはマドリーだよ」と言っていましたが、いやいや。人数的にはともかく、マドリーって、特に哲学的なものはないものの、ロナウドやベンゼマ、モドリッチ、カセミロ、それこそクロースら外国人選手が中心で機能して、見栄えのいいサッカーを構築しているのかと思っていましたが、私、ひょっとして思い違いをしていた?まあ、レーブ監督は「アトレティコはフィジカル的に凄い展開をするし、マドリーにはダイナミックさがあり、バルサには高いポゼッションと、それらのミックスがスペイン代表だ」と言っていましたけどね。 ▽そこまで行くと、逆にスペイン代表のサッカーって一体、何なのかという疑問が湧いてきますが、前回のW杯勝者に挑むこの金曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのドイツ戦では、9カ月ぶりにジエゴ・コスタ(アトレティコ)も先発予定。ブラジルではオランダ、チリに連敗してグループリーグ敗退、2016年のユーロでは16強対決でイタリアに敗退と、2008年から2012年の黄金期を体験できず、「Espero que hagamos un gran Mundial y, por que no, ganarlo/エスペロ・ケ・アガモス・ウン・グランムンディアウ・イ、ポル・ケ・ノー、ガナールロ(W杯で凄いことができるのを期待している。優勝することだってね)。ボクなんか、1回しか出たことなくて、それもすぐ帰って来たんだから」と、今度こそはと期待に胸を膨らませているコケなども少しは貢献できるといいのですが、さて。 ▽そして試合後のスペイン代表の予定も話しておくと、チームはその夜のうちにマドリッドに戻り、翌土曜にはラス・ロサスで12時30分から一般公開練習を実施。慣例からいくと、次のアルゼンチン戦の前日、月曜も会場のワンダ・メトロポリターノでオープンのセッションとなると思うんですが、まだ時間などはわかっていません。丁度、金曜からはスタジアムの窓口で入場券販売も始まるため、メッシ(バルサ)やイグアイン(ユベントス)、アグエロ(マンチェスター・シティ)ら、豪華絢爛なFW陣を揃えた前回W杯準優勝チームとスペインの親善試合を見てみたいというファンは早めにチケットを手に入れておく方が安心かも。そうそう、金曜にはマンチェスター・シティのホーム、エティハド・スタジアムでイタリアとの親善試合をするアルゼンチンは土曜から、バルデベバスで練習予定。ただ、マドリッドでの滞在ホテル、ユーロスターズ・マドリッド・タワーとの往復はチームバスとなるため、練習場入口で待っていても選手を見るのは難しいと思いますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.23 13:20 Fri
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【倉井史也のJリーグ】科学的データ分析に基づいて今年のJ2の行方を占うと!?の巻

▽だいたいね、サッカーで書き物をしている人たちの間では言われてるんですよ。「J2の順位予想だけは止めておこうね」って。 ▽昇格できるチーム数プラス1チームぐらいがデッドヒートを繰り広げてて、新しく入ってきたチームは最初のうちに突っ走って驚かせるけど、だんだん選手層の薄さがバレちゃって沈んでいって、下のほうには3チームぐらいが独立リーグ的な争いを続けてるっていう、わかりやすいJ2の時代はとっくに終わり、今は群雄割拠というか戦国時代というか、ちみもう、いやいや。 ▽もちろん、まだまだ始まったばかりだからこれからどうなるかわかりません。だって去年の例を見てみると、5節を終了した時点でこうなのです(カッコの中は最終順位)。 1位 湘南(1位 ±0) 2位 東京V(5位 -3) 3位 徳島(7位 -4) 4位 長崎(2位 +2) 5位 名古屋(3位 +2) 5位 福岡(4位 +1) 7位 横浜FC(10位 -3) 8位 大分(9位 -1) 9位 岡山(13位 -4) 10位 松本(8位 +2) 11位 山形(11位 ±0) 12位 千葉(6位 +6) ▽どうですか、この変動ぶり……って、あんまり変動してないか。5節から6つ順位を上げた千葉だけが大きく変動したチームで、だいたいのチームはちょっとだけ順位を上げるか、最大で4つ順位を落としてるじゃないですか。ってことはですよ!! ▽現在の順位に去年の例を当てはめると、1位岡山、2位町田ってのは最低でもプレーオフ圏内にいそうで、3位水戸、4位山口は自動昇格圏も視野にあって、5位横浜FC、6位徳島、7位東京V、8位熊本、9位大分、10位新潟、11位福岡、12位甲府あたりが踏ん張りどころって感じですか。 ▽で、この中にJ1経験チームは、横浜FC、徳島、東京V、大分、新潟、福岡、甲府の7チーム。残り5チームは新顔なんです。 ▽ああ、ところがJ1ライセンスを持っていない水戸、町田ってどうなるんでしょ? 自治体は焦ってくれるかしらってところも問題で。 ▽ついでに言うと、Jリーグクラブライセンス制度にもいろいろ問題点はあるんだけど、こういうときに一気に解決してくれないといけないですよっと。 ▽ま、かわいそうなのはルヴァンカップにも参加してる新潟と甲府って感じなんですけどね。つーか、降格組がこんなに沈んでたらもうそれこそ何を信じていいのやら。つーことで、今週の結論は「J2の順位予想は止めよう」でした!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.03.22 19:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】1つだけ足並みを乱したチームがある…

▽「もうそこまで考えないといけないの?」そんな風に私が呆気に取られていたのは日曜日の夜、サンティアゴ・ベルナベウのミックスゾーンでラジオ・マルカ(スポーツ専門ラジオ局)のレポーターの質問を聞いた時のことでした。いやあ、「クラシコでバルサにpasillo(パシージョ/花道)ってどう思う?」とルーカス・バスケスに訊いていたんですが、今季のクラシコ(伝統の一戦)は遅めで、シーズン後半分は第36節。その日は第29節が終わったばかりだったので、6試合あと、日付にして5月最初の週末の話なんですけどね。そこで私が、これはアトレティコのせいだと肩身が狭く感じてしまったのは現在、首位と2位の差は勝ち点11。つまり今後、この差が変わらなければ、第35節にバルサのリーガ優勝が確定するため、次の試合で対戦するチームは入場時、花道を作ってチャンピオンをお迎えするという慣習があったから。 ▽え、8差のままだったら、カンプ・ノウでの試合で永遠のライバルの優勝決定シーンに自らが立ち会うこともありえたのだから、だったら花道の方がマシじゃないかって? まあ、そうなんですが、あまり先回りして物事を考えると、ならいっそ、4月8日のマドリーダービーでお隣さんを叩き、更に首位との差を広げてやれば、バルサはもっと前倒しで戴冠。心おきなく5月26日、キエフでのCL決勝の準備に専念できるなんて、レアル・マドリーの選手たちが思いついてしまうかもしれませんからね。あまり寝た子を起こすようなことには触れてほしくなかったんですが、ちょうど第35節前の2週間はCL準決勝。この日程がいきなりクラシコ祭りになったりしたら、面白いかもしれませんよね。 ▽まあ、4月5月のことはまだいいんですが、ここで先週末のリーガを振り返ってみることにすると、マドリッド勢で土曜にプレーしたのは1チームだけ。ええ、雨がザーザー降る中、弟分のヘタフェがアノエタでレアル・ソシエダと対戦したんですが、相手がこのところ不調だったのが幸いしましたかね。前半23分にはウィリアム・ホセにヘッドで先制されてしまったものの、ハーフタイムに入る直前にCKからジェネが撃ち込んで同点に。すると後半5分、アンヘルがエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてくれたから、驚いたの何のって。 ▽いやあ、前節のレバンテ戦では前半のチャンスに彼の照準が合わず、結局、0-1と惜敗してしまったヘタフェだったんですけどね。このクラスのチームには常勝義務はないですし、アンヘルは今季ここまでチーム内最多の12ゴール。全ての試合で得点していたら、それこそクリスチアーノ・ロナウドかメッシかという話になってしまうとなれば、決まった時には喜んでおかないと。後半33分には殊勲のアンヘルも柴崎岳選手と交代で退き、この1点を守って、1-2で逆転勝利したヘタフェでしたが、おかげで9位になった彼らは来季のヨーロッパリーグ出場権が得られる7位まで勝ち点4差に接近。4月2日の次節は1つ上のベティスとの直接対決ですから、月曜開催でもコリセウム・アルフォンソ・ペレスにファンが応援に駆けつけてくれるといいですね。 ▽まあ、余談として、翌日曜にはELも32強対決で敗退、現在15位の不成績のせいでソシエダのエウセビオ監督が解任。エスクリバ監督(ビジャレアル)、デ・ビアージ監督(アラベス)、ミチェル監督(マラガ)に続き、ヘタフェ戦の直後にクビとなった今季4人目の指揮官となったなんてこともあったんですが、これは単なる偶然かと。今週のヘタフェは水曜からセッションを再開しますが、柴崎選手はベルギーで合宿している日本代表へ行ってしまったので、来週火曜のウクライナとの親善試合が終わるまで、練習場で会えないのは残念です。 ▽そして日曜は正午からの試合を見にブタルケへ向かった私でしたが、いやあもう、久々にいい天気だったにも関わらず、スタジアムが周りに建物のない丘の上にあるせいか、強風が吹きつけて寒かったの何のって。それでも試合はレガネスが前半19分、CKからブスティンサのヘッドで先制すると、後半23分にもディエゴ・リコのパスをエラソが撃ち込んでリードが2点に拡大。相手のセビージャは、後でモンテッラ監督も「疲労が出たようだ。メンタル的にも身体的にも落ち込みが見られた」と言っていたように、火曜にオールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドを下したCL16強対決2ndレグの大一番が堪えていたみたいでしたっけ。 ▽実際、サラビアが2枚目のイエローカードをもらって退場した後、終了間際に1点を返したのもCLにメンバー登録されていないラユンでしたしね。それでもまだ、彼らには準々決勝バイエルン戦というお楽しみがあるんですから、ここは初めてのコパ・デル・レイ決勝進出という夢を砕かれたレガネスの面々が、同大会の準々決勝でやはりセビージャに敗れた兄貴分、アトレティコが第4節前に2-5と大勝したのに続き、2-1の勝利でリベンジできたのは良かったかと。おかげでしばし、停滞していた勝ち点も36に増え、キャプテンのガブリエル・ピレスなどは「No nos damos por salvados virtualmente/ノー・ノス・ダモス・ポル・サルバードス・ビルトゥアルメンテ(ボクらは残留を実質上、達成したとは思わない)。安心するのは数字的に決まってからさ」と言っていましたが、降格圏とは15ポイント離れていますからね。 ▽何はともあれ、これでレガネスも代表戦週間後にバレンシア、バルサと続く、強豪との試合をプレッシャーなしに迎えられると思いますが、私が信じられない経験をしたのはその日、一旦、家に戻って休んでから、もう1度、コートを着込んで出かけた夜の部のことでした。だってえ、サンティアゴ・ベルナベウへ行く前、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていた間、前半19分にグリーズマンがゲットしたPKを当人が決めたアトレティコは0-1でずっと勝っていたんですよ。コケのシュートがゴールポストに阻まれ、追加点が取れなかったり、後半になって、ビジャレアルに押され気味になっていたのは気に入らなかったものの、試合の残りはたった15分。バルを出てメトロ(地下鉄)に乗り、地上に戻ってラジオをつけたら、2-1で負けていたって一体、何がどうなっている? ▽え、あと10分守り切ればというところでビジャレアルがセットプレーを利用。後半38分にはアルバロのクロスからウナルがヘッドで、46分にはゴディンのクリアしたボールを戻したボネラのパスからゴール前でウナルが再び決めて逆転されたんだろうって?まあ、そうなんですけど、後でサウールも「No tiene explicacion/ノー・ティエネ・エスプリカシオン(説明がつかない)。ウチはあの2度のセットプレーでもっと集中していないといけなかった」と言っていたんですが、やっぱりそれって、EL16強対決ロコモティブ・モスクワ戦2ndレグの後、金曜明け方にマドリッドについたせいで疲れていたから?ええ、私も土曜にマハダオンダ(マオリド近郊)に練習を見に行ったところ、たった40分でセッションが終わってしまったのにビックリしたんですが、加えて彼らは現在、フィールドプレーヤーがたったの17人。更にフィリペ・ルイスとファンフランのケガでマイナス2人ですからね。 ▽となれば、いくらシメオネ監督が「25人いたって、6人ケガをすることもある。Tengo un plantilla corta pero importante/テンゴ・ウナ・プランティージャ・コルタ・ペロ・インポルタンテ(ウチは少ないが強力な選手層だ)」と言い張ったって、ローテーションもままならないのは自明の理かと。イエローカードで次節の累積警告が決まったグリーズマンをガビに代えた途端、同点にされたり、ロスタイムにはビトロが退場になってしまったりと、試合終盤はツキもありませんでしたしね。「自分のせいで試合に負けたような気がする。選手たちは物凄い努力をしてくれたが、私の決断で助けてやることができなかった」(シメオネ監督)というのもあったんでしょうが、どうやらラ・セラミカ(ビジャレアルのホーム、エル・マドリガルから改称)はアトレティコにとって、とことん相性の悪いスタジアムのようです。 ▽そして私がまだ呆然としているうちにマドリーvsジローナ戦が始まったんですが、いやあ、ベイルやモドリッチ、カセミロをベンチに置き、ジダン監督はアセンシオ、ルーカス・バスケス、コバチッチらの第2陣を先発させたんですが、ロナウドがノッている時の彼らは簡単にgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)ができるんですよ。ええ、前半こそ、10分にクロースのパスからロナウドが決めたゴールを29分、FKからストゥアニのヘッドで帳消しにされてしまったものの、後半だけで5点を挙げているんですから、忙しいったらありゃしない。まずは2分、ベンゼマのアシスストでロナウドが勝ち越し点を入れると、14分にはベンゼマからのパスを彼がルーカス・バスケスに送って3点目。その4分後はベンゼマが1対1で狙ったんですが、GKボノに弾かれ、こぼれ球はまたしてもロナウドのゴールになります。 ▽更に40分には揃って途中出場したモドリッチがベイルにスルーパスを送って5点目が入ると、最後はロスタイム、またしてもクロース、ロナウドのコンビで決めて、とうとうpoker(ポケル/1試合4得点のこと)達成って、あらやだ。その日はメッシもアスレティック戦でゴールを挙げ、2-0でのバルサの勝利に貢献していたため、ランキングトップが25得点になっていたんですが、これでロナウドも22ゴールとして2位に浮上。たった3点差しかないとなれば、残り9試合でピチチ(得点王)ゲットも決して夢ではありませんって。うーん、今季は前半戦で4得点しかできなかった彼なんですけどね。後半戦9試合で18ゴールって、この驚異の追い上げはまさに、「Es lo que tiene este senor, es de otra galaxia, sin palabras/エス・ロ・ケ・ティエネ・エステ・セニョール、エス・デ・オトラ・ガラクシア、シン・パラブラス(これがこのセニョールが持っているもの、別の銀河のものだね。言葉もないよ)」(ジダン監督)という通りでしょうか。 ▽え、だから前半戦でのロナウドの不調がなければ、マドリーも今頃、首位と勝ち点15差で、2位との差が4に縮まったことなんか、ちまちま喜んでいることもなかったんだろうって?それは結果論で、覆水盆に返らずですからね。今は「ウチはシーズン前半に欠けていた、recuperamos algo de confianza/レクペラモス・アルゴ・デ・コンフィアンサ(何がしかの自信を取り戻した)」(ジダン監督)ことに感謝して、唯一、残ったタイトル、CL優勝に邁進するしかないと思いますが、でもご用心。というのもこの日はセルヒオ・ラモスがお休みをもらっていたせいもあるんですが、マドリーは後半にもセットプレーから、22分にはストゥアニに、43分にはフアンペに頭で決められて、最終スコアは6-3だったから。 ▽そう、準々決勝の相手はユベントスで、守備もジローナよりずっと堅いため、そういうミスは命取りになりかねませんからね。4月3日の1stレグまでにはジダン監督もセットプレー時のマーカー調整など、イロイロ練習しておきたいところですが…当面は望むべくもなし。ええ、月曜にはチームの19人が各国代表に向かったため、水曜から始まるバルデベバス(バラハス空港の近く)のセッションにはGKカシージャ、ベンゼマ、テオ、マルコス・ジョレンテの4人しか来ないんですよ。中でも中国でウェールズが国際親善カップを戦うベイル、新大陸でクロアチアがペルー、メキシコと親善試合というモドリッチ、コバチッチらは長距離移動になるため、代表戦明けの疲れが気になりますが…。 ▽まあ、それは同じクロアチアのベルサイコがいるアトレティコも出向組が総勢11人と、ただでさえ選手が少ないため、心配なのは同じですって。それと並行して、月曜夕方にはラモス、カルバハル、アセンシオ、イスコ、ナチョ、ルーカス・バスケスらのマドリー勢、そしてコケ、サウール、ジエゴ・コスタのアトレティコ勢もラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設で合宿入りしたスペイン代表の予定を伝えておくことにすると。木曜にドュッセルドルフに移動する前、火曜と水曜の午前11時からのセッションは15分のみマスコミに公開で、クロースがいるドイツとの親善試合は金曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。一応、一般のファンも練習見学できる公開セッションが帰国したその日、土曜の12時30分から予定されています。 ▽2試合目はワンダ・メトロポリターノで来週火曜、メッシはもちろんのこと、ファンへの配慮かもしれませんが、アトレティコのコレアも招集されたアルゼンチンとの親善試合で、こちらは金曜からスタジアムのチケット売り場(11時~19時)でも入場券購入ができるよう。ここ最近はあまり、スペイン国内での代表戦で満員御礼は聞きませんし、ワンダはキャパも大きいため、その頃、マドリッド訪問の予定がある方は立ち寄ってもいいかと。ちなみに今回、ロペテギ監督の招集したメンバーで変わったのはパレホ(バレンシア)、ロドリ(ビジャレアル)、マルコス・アロンソ(チェルシー)が初めて呼ばれたのと入れ違いで、モラタ(チェルシー)、ビトロ(アトレティコ)らが外れたこと。まあ、FWではコスタやルーカス・バスケスが戻りましたしね。W杯前最後のリストとなるため、ここで外れた選手は焦っているかもしれませんが、本番は6月。まだまだこの先、返り咲きのチャンスはあるんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.20 13:01 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】同じ準々決勝でも何か違う…

▽「たった18人になるってこと?」そんな風にギョッとして、私がアトレティコのオフィシャルウェブで選手の数を確認していたのは金曜日、ヨーロッパリーグ16強対決ロコモティブ・モスクワ戦でエデルのシュートを止めようと足を出して負傷。零下3度のRZDスタジアムで半袖のユニの上に毛布もかけてもらえず、担架退場したフィリペ・ルイスの腓骨骨折がわかり、全治8週間と今季中の復帰がほぼ絶望なだけでなく、下手したら6月のW杯出場も危ういというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、1月にはアウグスト、2月にもカラスコとガイタンの中国行きが決まり、GKモヤにまでレアル・ソシエダへ移籍することを認めたクラブとシメオネ監督は、少数精鋭で残りのシーズンを乗り切れると踏んだんでしょうけどね。 ▽確かにリーガはあと10試合、ELもリヨンでの決勝含めて5試合しかありませんから、決して不可能とは言いませんが、フィールドプレーヤーが16人しかいないって、前代未聞の少なさかも。おまけにサウールが去年の夏に卒業して以来、カンテラーノ(アトレティコBの選手)にはまったくU21スペイン代表から声がかからずと、最近の後輩たちはあまり出来が良くないみたいですしね。3月半ばになっても荒れ模様が続き、気温が上がらないこの折、誰かが風邪でも引いたら一体、どうするっていうんでしょう。 ▽え、それでもロコモティブ戦2ndレグでのアトレティコは再び、格の違いを見せつけ、その強さには同日、ミランを総合スコア5-1で破って準々決勝に進出したアーセナルのベンゲル監督でさえ、「この大会で最強の優勝候補」と認めていたぐらいだったんだろうって?まあ、その通りで、スペインでは夕方の午後5時という早い時間に始まったモスクワでの試合にはジエゴ・コスタとガメイロがケガで遠征に参加しておらず、一応、同行したGKオブラクも臀部の筋肉痛を悪化させないため、スタンド観戦となったんですけどね。念のため、ベンチではグリーズマンが待機と、1stレグで3-0と快勝していたことを考えると、シメオネ監督も用心深いっちゃありません。 ▽だってえ、逆転が必要だったロコモティブは負傷明けのエース、ファルファンを先発させ、1週間前のワンダ・メトロポリターノよりは攻める気でいたんですが、前半16分にはコケとのワンツーでエリア内に入ったコレアのゴールであっさり先制しているんですよ。その3分後には続けざまのシュートを2発防ぎながら、最後はリブスのミドルシュートが人垣で見えず、これが2試合目のオブラクの代役となったベルネルが失点してしまったんですが、それでも4-1ですからね。この試合は省エネを優先して、1-1で終わってもいいんじゃないかと私など、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でカフェ・コン・レッチェ(カフェオレ)をすすりながら、お気楽に眺めていたんですが、とんでもない。後半開始すぐにはフィリペ・ルイスのアシストをコケがスルー、後ろにいたサウールがワンタッチで撃ち込んで、勝ち越しているんですから、見上げた心がけじゃないですか。 ▽ただ、その後に起こったのがフィリペ・ルイスの事故で、丁度、ファンフランもハムストリングを痛めてハーフタイムでベルサイコに代わっていましたしね。「Admiro a mis jugadores, juegan de la misma manera todos los partidos alla donde van/アドミオ・ア・ミス・フガドーレス、フエガン・デ・ラ・ミスマ・マネラ・トードス・ロス・パルティードス・アジャー・ドンデ・バン(どこに行っても全ての試合に同じ姿勢で立ち向かう選手たちを尊敬している)」というシメオネ監督ですが、いやいや。左SBとしてリュカが入るのと同時にグリーズマンもピッチに立ち、スルーパスを追ってエリア内に駆け込んだところ、GKコチェンコフにすっ飛ばされてしまうなんて、どれ程、私の心臓に悪かったことか。 ▽でも大丈夫、こちらは一回転しただけで無事だったようで、ゲットしたPKもフェルナンド・トーレスが危なげなく決めて更にリードは拡大。おまけにその4分後にはコレアのパスから再びトーレスがゴールを挙げると、39分にはこの日、一番のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)がお目見えしたんですよ。そう、リーガの試合では敵DFに邪魔されてしまうことが多いコレアですが、リブスをsombrero(ソンブレロ/ボールを相手の頭上に上げて突破する技)でかわすとグリーズマンにパス。こちらもコチェンコフに届かないゴール右上隅に見事なvaselina(バセリーア/ループシュート)で決め、とうとう5点目を取ってしまったとなれば、ロコモティブのセミン監督が「アトレティコはELに優勝する。彼らの前に他のチームはチャンスがないだろう」と太鼓判を押していたのも当然だった? ▽最後は総合スコア8-1で圧勝、私なんかに言わせれば、次の機会に少しゴールを取っておけばいいのにと言いたくなるぐらいのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で準々決勝進出を果たしたアトレティコでしたが、金曜の対戦組み合わせ抽選の結果もラッキー。いえ、ここ数年、CL慣れしていたため、ベスト8に残ったチームはアーセナルを除けば、どこも大きな実力差はなさそうだったんですけどね。16強対決に残っていたもう1つのスペイン勢、サン・マメスにオリンピック・マルセイユを迎えたアスレティックは3-1の敗戦という1stレグの結果を逆転できず、2ndレグにも1-2で負けて、総合スコア2-5で敗退したのはともかく、32強対決のスパルタク・モスクワ戦に続き、相手チームのウルトラ(過激なファン)集団がビルバオ(スペイン北部の町)に襲来。今度は警官2人が刺されたそうで、スタンドも厳しい身体検査をすり抜けて持ち込まれたbengala(ベンガラ/発煙筒)で真っ赤に燃えていましたしね。 ▽マルセイユは数年前にビセンテ・カルデロンでも騒ぎを起こしてくれましたし、リヨンでもCSKAモスクワとのウルトラ対決があったそうなので、ポルトガルのスポルティングと当たったアトレティコは近くて、暖かくて運が良かったんじゃないかと思いますが、どちらにしろ、試合は代表戦週間が終わった後の4月5日と12日。準々決勝とはいえ、ワンダ・メトロポリターノは1stレグですし、カード的に満員になるとは思えないため、丁度、その頃、マドリッド来訪を予定しているファンは覗いてみてもいいかと。ちなみに32強対決ではカザフスタンのアスタナ、16強対決ではチェコのビクトリア・プルゼニを破ったスポルティングには元レアル・マドリーのコエントラン、元バルサのマチューなど、リーガで見知った顔もいるんですが、それより今、目前に迫っているのは日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのビジャレアル戦。 ▽ええ、金曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションではジエゴ・コスタが復帰、サビッチも回復しているようですが、何せ相手は前ラウンドでELを敗退していて、休養十分ですからね。首位とは勝ち点差8がついているリーガとはいえ、アトレティコにはバルサにこれ以上、離されないよう、尚且つ、負傷者を増やさない試合をしてほしいかと。実際、来週はスペイン代表でのプレーを一時、希望していながら、彼女へのDV騒動やその後の接近禁止令を破り、ラスベガスで挙式。新婚さんとして戻って来たところ、バラハス空港で逮捕されるといった前科から、スペイン国籍取得が遅れて今回、デシャン監督の招集が渡りに舟に。グリーズマンと共にフランス代表に行くことにしたリュカなど、各国代表に呼ばれている選手も多いのは心配ではありますよね。 ▽え、世間的に注目を浴びていた金曜のビッグイベントは正直、CLの準々決勝組み合わせ抽選会の方だったんじゃないかって?もちろんそうなんですが、こちらはELとは真逆で、どこと当たっても大変なのはお約束。その中でも比較的、楽な相手を引いたと言われているのはバルサで、ローマはベスト8の常連ではありませんからね。それこそ火曜にオールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドに1-2と勝利。元アトレティコのGKデ・ヘア相手に殊勲の2ゴールを挙げたベン・イェデルがやはり、フランス代表に初招集されたセビージャが当たっていれば、伝説のスポーツディレクター、モンチ氏(長くセビージャで務めた後、現在はローマ)も大喜びする好カードになったんじゃないかと思うんですが、こればっかりはねえ。 ▽結局、セビージャは今度はドイツの名門、バイエルンに挑むことになり、水曜のチェルシーとの16強対決2ndレグではメッシの2発とデンベレのゴールで、こちらもアトレティコOBのGKクルトワを破り、3-0とチェルシーに完勝したバルサが4月4日と10日にローマと対戦になります。そうそう、カンプ・ノウの試合で敗退したチームの選手では今回、ドイツ(ドュッセルドルフ)とアルゼンチン(ワンダ・メトロポリターノ)で親善試合をするスペイン代表招集にも吉凶があって、モラタがリスト落ちした傍らでマルコス・アロンソが初招集の栄誉に。まあ、モラタは今季、レアル・マドリーから移籍してまだtitular(ティトラル/レギュラー)にはなれてないようですしね。1月からアトレティコでプレーできるようになったジエゴ・コスタが好調なため、今回、代表復帰したというのもありますし、W杯行き最終リストに入るためにはこの先、かなり頑張らないといけないようですよ。 ▽そして一足先にPSGにパリでも1-2と勝利、総合スコア2-5でCL準々決勝進出を決めていたマドリーはユベントスと顔を合わせることになったんですが、実はこれが曲者。というのも、昨季のカーディフでのduodecima(ドュオデシマ/12回目のCL優勝)を含め、決勝では2度倒している相手ですが、2試合制の対戦では勝ったことがないのだとか。ええ、3年前の準決勝でもそれこそ、当時はユーベにいたモラタのゴールもあって敗退しているんですが、まあ、今度はイグアインが古巣への恩返しを狙っているとは言ってももうCLしか、タイトル獲得の可能性のない彼らですからね。4月3日、ユベントス・スタジアムでの1stレグ、11日、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ、どちらもチケット早期完売が予見される中、きっと根性で勝ち抜いてくれるのでは? ▽うーん、残り1組のイングランド勢対決、リバプールvsマンチェスター・シティにしてもCLはどれもこれもゴージャスなカードばかりで、私も楽しみなんですが、それだけに週末のリーガ戦が色褪せて見えてしまうのは仕方ない?日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)にジローナをベルナベウに迎えるマドリーにしても首位とは勝ち点差15ですからね。そこへモドリッチはふくらはぎ痛、ベイルもウェールズ代表の中国遠征を控えてムリさせられないとなると、またジダン監督が大幅なローテーションをする可能性もありそうな。スペイン代表に再招集されたルーカス・バスケス辺りはW杯行の切符が懸かっているため、発奮してくれると思いますが、さて。相手のジローナもシーズン前半でマドリーに勝利したとはいえ、もう1部残留も確定。モチベーションを見つけにくいというのはお互い様かもしれません。 ▽一方、マドリッドの弟分チームたちは、あまり各国代表から招集される選手がいないとはいえ、ヘタフェなど、柴崎岳選手を始め、ファジル(モロッコ)、ジェネ(トーゴ)、マノイロビッチ(セルビア)、メルヴァイユ(コンゴ)と5人程、出向が決まっているんですけどね。土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのレアル・ソシエダ戦では、ここ2連敗という悪い流れを払拭して、2週間のparon(パロン/リーガの停止期間)に入りたいところ。現在、11位で降格の危険はほぼないヘタフェですが、ボルダラス監督も「どっちつかずの順位で終わるのはいいシーズンでなかったという印象を与える。No podemos caer en ese error, no lo voy a permitir/ノー・ポデモス・カエール・エン・エセ・エロール、ノー・ロ・ボイ・ア・ペルミティル(そういう過ちを犯す訳にはいかないし、許すつもりもない)」と言っていましたし、残り10試合、勝ち点7差のEL出場権をもらえる7位の座に少しでも近づけるよう、勝てるといいですよね。 ▽そしてレガネスは日曜正午、ブタルケにセビージャを迎えるんですが、相手がCL準々決勝進出を決めたばかりなのはいいのか悪いのか。モンテッラ監督もリーガでは4位バレンシアまで勝ち点差11と離れているため、来季CL出場圏の獲得は難しいと考えているはずですが、7位のジローナもたったの2差とEL出場圏死守はしたいはずですからね。ガリターノ監督も「Estamos bien pero creo que con treinta y tres puntos no te salvas/エスタモス・ビエン・ペロ・クレオ・ケ・コン・トレインタ・イ・トレス・プントス・ノー・テ・サルバス(ウチの状態はいいが、勝ち点33では残留できないと思う)」と言っていたレガネスが、あと少しの上積みを狙うにはちょっと、難しいライバルなのは確か。代表戦明けもバレンシア、バルサと上位チームとの対戦が続くため、今は辛抱の時期なのかもしれません。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.17 14:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】おっとここに来てハリルホジッチ監督がJリーガーに熱い視線!?の巻

▽ヨーロッパ遠征の日本代表発表記者会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は士気盛んというか、意気軒昂というか、ちょっと大丈夫って感じもあり、つまりいつもどおりって感じでした。そんな中で今回は何人のJリーガーを選んだのか! ▽東口順昭、中村航輔、槙野智章、森重真人、宇賀神友弥、車屋紳太郎、昌子源、遠藤航、植田直通、山口蛍、大島僚太、三竿健斗、小林悠、杉本健勇の14人。26人中の14人ですからね。ハリルホジッチ監督、今回は結構選んだんじゃないですか。 ▽ただね、ちょっと気になる点があるんです。それは発表の順番。サッカー協会が配るリストにはポジション別、年齢別で選手が記載してあります。だけど監督が発表するときの順番は別。もしかすると、それって監督の優先順位が反映されてるんじゃないの? って感じなんです。 ▽GKでは上から川島永嗣、中村、東口。右SBは酒井宏樹、遠藤。左SBは長友佑都、車屋、宇賀神。CBは昌子、植田、槙野、森重。 ▽守備的なMFは長谷部誠、三竿、山口。攻撃的MFは大島、柴崎岳、森岡亮太。右FWは久保裕也、本田圭佑、左FWは原口元気、宇佐美貴史、中島翔哉、CFは小林悠、杉本健勇、大迫勇也。 ▽うーん、本当に監督の中ではこの序列なの? って言いたい部分もあるけれど、何もなくてこんな順番にはしないでしょ。となると、ここで注目なのはJリーガーながらリストのトップにいる昌子、大島、小林じゃないですか。確かにDFではハリルホジッチ監督が絶対的な信頼を置いていた吉田麻也がいないし、攻撃的MFのところで監督は香川真司と清武弘嗣の名前を挙げてたけど。 ▽でもそんなひねくれた見方じゃなくて、ここは素直にこの3人のプレーを見ておかねば! ってことで、鳥栖vs鹿島、名古屋vs川崎って楽しみじゃないですか。今週のJ1は日曜開催、前者は16時キックオフ、後者は19時キックオフ。 ▽で、データを調べると、おっとベアスタでのリーグ戦、鳥栖vs鹿島は鳥栖の3勝1分2敗。うーん、昌子にとっても試練ですな。名古屋vs川崎はデータよりも、今の川崎の基礎を作った名古屋の風間八宏監督が、大島も小林も特徴を知り尽くしてるだろうし……。 ▽しかも試合の翌日はすぐにヨーロッパ行きってコトで、選手は試合後のバタバタも心配なんじゃないですか。なんかリストの順番も入れ代わりそうな試合になっちゃうかも。ま、選手もワールドカップのメンバー入りをかけて士気盛んだとは思いますけどね。監督ぐらいには。たぶん。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.03.16 15:30 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ベルギー遠征メンバーから見える興味深い5点

▽3月19日からベルギーへ遠征する日本代表26名が15日に発表された。ハリルホジッチ監督は現地でのケガ人を想定して23名ではなく26名を招集したが、興味深いのは次の5点だろう。 ▽まずDF陣はケガから復帰した森重(FC東京)が久々に呼ばれたものの、「すぐには使わない。どんな状況であるかや、励ますために呼んだ」と明言した。今回はケガで吉田(サウサンプトン)が招集外のため、CB候補は槙野(浦和)、昌子、植田(ともに鹿島)だが、昨年12月のE-1選手権を見る限り、鹿島の2人には不安が残る。 ▽そこで本大会を見据えて森重の状態をチェックしたいということだろう。逆に言うと、昌子や植田を超えるCBはいないということの裏返しでもある。それはそのまま、日本代表のウィークポイントにつながるだけに気になるところだ。 ▽次は左SBについて、長友(ガラタサライ)のバックアッパーとして車屋(川崎F)と宇賀神(浦和)の競争と話していた。いつもなら酒井高(ハンブルガー)の名前が挙がるところだが、今回は彼を外した理由について言及しなかった。これも裏読みすれば、左右の両SBができるだけに、コンディションさえ整えば23人のメンバー入りは確実と想定していいのかもしれない。 ▽そしてMFでは、ボランチの長谷部(フランクフルト)に「本大会までケガをしないで欲しい。代表では絶対的な中盤の選手で、グラウンド内外で絶対的な存在」と全幅に信頼を寄せつつ、「彼に代わる存在で今野(G大阪)を考えていたが、ケガをしてしまった」と自ら今野に言及したことだ。アウェーのUAE戦ではオマル・アブドゥルラフマンを封じたプレーが印象に残っているのかもしれない。彼もまた、コンディションさえ整えば23人のリストの有力候補と言っていいだろう。 ▽最後の2点は、半年ぶりに招集された本田(パチューカ)と初招集の中島(ポルティモネンセ)だ。今回の招集リストで国際Aマッチ2桁得点は36点の本田ただ1人。彼以外に2桁得点をあげているのは、ケガで招集を見送られた香川(ドルトムント)と、「リストには入っている」(ハリルホジッチ監督)という岡崎(レスター)の3人だけ。この3人で100ゴール以上決めてきただけに、ザック・ジャパンもハリル・ジャパンもいかに3人の得点力に依存してきたかが一目瞭然だ。 ▽だからこそ、ハリルホジッチ監督は彼らの後継者探しを急務と感じているのだろう。そこで今回初招集された中島だ。ハリルホジッチ監督も「ドリブラーで、俊敏で爆発的な力を持っている。1対1で抜ける日本人選手は数少ない」と高く評価した。左サイドからのカットインで、ニアを射貫く強シュートと、ファーの右上スミを狙ったコントロールシュートは何度も練習したため体に染みついている。2年前のリオ五輪でブラジルのファンを沸かせたドリブル突破は健在だ。 ▽その中島が招集されたことで今回メンバー外となったのが乾(エイバル)である。ハリル・ジャパンの左アウトサイドは最激戦区で、今回は宇佐美(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)も呼ばれている。所属クラブでは原口が左で、宇佐美が右でプレーしているものの、宇佐美が得意とするのは左サイドからのカットインである。 ▽原口は中央でも、ボランチでもプレーできるためロシア行きは当確として、それでも左MFの候補は乾、宇佐美、中島と競争は激しい(ケガが治れば齋藤/川崎Fも候補になるかもしれない)。まずはベルギーでの2試合で中島と宇佐美のどちらが結果を残すか。 ▽ハリルホジッチ監督に23人のW杯メンバー発表の日時について質問したところ、「5月30日のガーナ戦が終わった翌31日に23人名を発表する予定でいる」と答えてくれた。3月のベルギー遠征後、5月下旬にトレーニングキャンプを予定しており、30日のガーナ戦が最終選考の場となる。 ▽残された時間は少ないだけに、ベルギーでの練習でマリ戦とウクライナ戦に出場できることを指揮官に証明できるか。それがボーダーライン上の選手が代表に生き残るためのカギになる。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.15 20:59 Thu
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【Jリーグが伝えたい事】第3回:キーワードは「共に成長」、25年間にわたるヤマザキビスケット社との歩み

▽Jリーグが目指すもの、Jリーグが生み出してきたものについて株式会社Jリーグマーケティング専務執行役員として多忙な日々を送る山下修作氏に語っていただく連載インタビュー『Jリーグが伝えたい事』。 ▽これまでのインタビューでは、Jリーグが後援する映画『MARCH』を通じての東日本大震災を始めとする支援活動、2011年からスタートした「サポユニfor smile」という、アジア各国の子供たちへのユニフォーム寄付活動といった、Jリーグが実施している支援活動についてお伺いしてきた。 ▽支援活動への積極的な取り組みを見せるJリーグだが、そのJリーグを支えているパートナーも存在する。第3回目のインタビューは、ギネス記録にも認定されているJリーグカップを25年間にわたって支える「ヤマザキビスケット株式会社」との取り組みについてお話を伺った。 取材・文=菅野剛史 ▽1992年、Jリーグ開幕前に第1回大会がスタートしたJリーグカップ。その第1回から大会の特別協賛しているのが、ヤマザキビスケット株式会社(旧・ヤマザキナビスコ株式会社)だ。山下氏は、このリーグカップが思い出深いものであると明かしてくれた。 「私が生まれて初めてJリーグクラブの試合を観たのが、1992年に行われたヤマザキナビスコカップ(現JリーグYBCルヴァンカップ)でした。出身地が埼玉県の川越市なんですが、当時、川越で浦和レッズと横浜マリノス(現横浜F・マリノス)の試合が行われていました(2-1で浦和が勝利)。それがすごく印象に残っています」 ▽1993年に開幕したJリーグ。その1年前に、「オリジナル10」と呼ばれる初期の10チームが参加した、Jリーグ初の公式大会として「Jリーグヤマザキナビスコカップ」が開催された。山下氏は当時を振り返り、新たな日本サッカーの第一歩を感じたと明かしてくれた。 「それまで日本サッカーリーグ(JSL)とかを、今ほどお客様がいないスタジアムに観に行っていました。天皇杯も決勝は入っているけど、今ほどではないという時代でしたし、観ている人も静かでした。ただ、その試合は今まで観てきたサッカーとは全然違うなという感じをハッキリ覚えています」 (C)J.LEAGUE[Jリーグ開幕後の1993年大会を制したヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)は第1回大会から3連覇] ▽当時のJリーグカップを観た山下氏は高校2年生だったという。そこから25回の開催を重ねたJリーグカップを支え続けたヤマザキビスケット社に対しては、感謝の気持ちしかないという。 「その頃から支えていただいていると思うと、感謝の言葉しかないです。Jリーグに関わってきた人はみんなその気持ちがあると思いますし、世界に誇れる素晴らしい大会だなと思っています」 ▽2012年に20回目の開催を終えたJリーグカップは、2013年に「同一企業の協賛により最も長く開催されたプロサッカーの大会 (Longest sponsorship of a professional football competition)」としてギネス世界記録に認定されている。 ▽Jリーグカップを支え続けているヤマザキビスケット社との取り組み。観戦者として第1回大会に触れた山下氏は、第25回大会となった2017年には運営などで大会に直接携わっている。その中で、実際に大会に携わることで、改めてヤマザキビスケット社がJリーグカップに懸ける思いがあることを感じているようだ。 「直接携わると、それまで見えていなかった部分があるということもあります。そして、ヤマザキビスケット様がこの大会に懸けている思いというのをお伺いすることもありました。期待値以上のことにお応えし、協賛していただいていることに対して、お返しできるということを考えています」 「一方が頼るということではなく、お互いが共に成長するということが実現できればなと考え、運営などに携わっています」 (C)J.LEAGUE[2000年、国内3冠を達成した鹿島アントラーズ] ▽25年にわたり「共に成長する」という点では、大会方式の変更や新たな取り組みを行い、大会そのものも成長し続けている。そこには、出資するという意味での「スポンサー」としての関り方以上のものがあることを教えてくれた。 「大会方式の変更に関しては、我々もこの大会をもっと成長させて日本サッカーを成長させたいとか、こういった方式にした方が露出も増えるとか。ヤマザキビスケット様にもメリットをお返しできるんじゃないかというところから、工夫をして提案し、認めていただいているというところです」 「本当に包容力があるというか、「もっとこうしてくれ」という形ではなく、Jリーグとして考えていることを尊重してくださります。我々もヤマザキビスケット様のことを考えて、日本サッカーのことを考えて提案しているので、凄くご理解をいただいているので、ありがたいですね」 ▽共に手を取り合い、一緒に歩みを進めてきたことで、「共に」成長していったJリーグカップ。しかし、2016シーズンに大きな転機を迎える。それは、大会名称の変更だ。 「Jリーグヤマザキナビスコカップ」として親しまれてきたJリーグカップが、2016シーズンのグループステージ終了後に「JリーグYBCルヴァンカップ」と名称を変更した。特別協賛のヤマザキナビスコ株式会社が、「ナビスコ」ブランドのライセンス契約終了に合わせて社名をヤマザキビスケット株式会社に変更。その動きに、Jリーグも対応した。 (C)CWS Brains,LTD.[2016シーズンのノックアウトステージからYBCルヴァンカップに名称変更] ▽当初は2017シーズンからの名称変更という話が挙がっていた中、Jリーグの村井満チェアマンはシーズン中の大会名称変更を決断。その裏には、25年にわたり「共に」成長してきたヤマザキビスケット社への感謝の気持ちが込められていた。 「非常にJリーグとしても難しい判断だったと思います。通常、大会が始まって、途中で名前を変更することはないと思います。ただ、それもヤマザキビスケットと社名が変わり、基幹商品も変わるというところで、元々の商品をPRするよりも、我々としてはヤマザキビスケット様に感謝をお伝えできます。そして、共に成長するという部分に繋げられると思ったので、名称変更や大会イメージカラーなど全部を変えていきました」 「色々なことを調整したり、修正したりすることが必要だったと思います。そこまでしてもヤマザキビスケット様に「恩返し」したいというよりは、お世話になった「恩返し+一緒にこれからも歩んでいく」という意思表示としてやらせていただきました」 ▽大会途中に名称変更という異例の事態。しかし、その裏にはJリーグが大切にしている「何かできることはないか」の精神があり、パートナーと「共に」成長していくための決断があった。そして、その決断は間違っていなかったと、山下氏は手応えを感じている。 「Jリーグのサポーターの中では『ルヴァン』という名前が一気に浸透したと思いますし、お店で商品が並んでいる時に選んでいただくキッカケになっていると思います。2017年からというのではなく、2016年のあのタイミングで名称を変更したからこそ、インパクトもあったのかなと思います」 ▽ルヴァンカップとしてスタートした2017シーズンの決勝は、ここ10年で最も多くのチケットが売れ、5万3000枚が完売した。セレッソ大阪、川崎フロンターレと互いに初タイトルが懸かっていた試合だったことも一因ではあるが、スタジアム全体の盛り上がり、ファン・サポーターの盛り上がりは、大きなものがあった。 (C)CWS Brains,LTD.[2017年はセレッソ大阪が制しクラブ初タイトル獲得] ▽ルヴァンカップ決勝は、例年Jリーグファンが注目している。しかし、近年は決勝だけでなく、Jリーグカップそのものにファン・サポーターが関心を向けている。「ニューヒーロー賞」や「21歳以下の選手起用」といった若手育成への取り組みも、注目を集める理由の1つだろう。 ▽ユース年代を終え、大学進学ではなくプロ入りを志した選手。世代別の代表に選出されながらも、リーグ戦で出場機会を得られない選手は多い。各チームがタイトルを目指す状況であれば、レギュラー組の選手たちが起用されるのも当然だ。しかし、「21歳以下の選手起用」を義務付けたことで、新たな風を吹かせた。 ▽リーグ戦とは違う形で、日本サッカーの成長、そして魅力創出に寄与しているJリーグカップ。山下氏は、カップ戦の位置づけについて、重要度が増していると感じている。 「カップ戦の価値を上げていく。リーグ戦の明治安田生命Jリーグとカップ戦のJリーグYBCルヴァンカップが日本のプロリーグを支えている重要な要素だと思っています。その両方がしっかりと成長していくこと自体が、リーグの価値や日本サッカーのレベルを上げていくことになると思っています」 ▽JリーグYBCルヴァンカップで実戦の経験を積み、その活躍が明治安田生命Jリーグに繋がる──そういった可能性が広まることは、Jリーグカップとしての魅力が増すだけでなく、日本サッカーの成長、日本代表の強化にもつながる。その結果は、「ニューヒーロー賞」も示している。 ▽歴代の「ニューヒーロー賞」受賞者の多くが日本代表としても活躍。また、世界に羽ばたいていっている選手も多い。2016年の受賞者であるMF井手口陽介は2018年にイングランド2部のリーズ・ユナイテッドへと移籍した(2017-18シーズンはスペイン2部のクルトゥラル・レオネサへ期限付き移籍)。 (C)J.LEAGUE[2016年のニューヒーロー賞を受賞した日本代表MF井手口陽介(当時ガンバ大阪)] ▽2014年の受賞者であるFW宇佐美貴史、2011年の受賞者であるFW原口元気はブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフでプレーしている。2004年の受賞者であるMF長谷部誠はブンデスリーガのフランクフルトでも主軸を担い、日本代表ではキャプテンとしてヴァイッド・ハリルホジッチ監督の信頼も厚い。 (C)J.LEAGUE[2004年のニューヒーロー賞を受賞した日本代表MF長谷部誠(当時浦和レッズ)] ▽若手の出場機会創出により、日本サッカーの底上げを進める場となりつつあるJリーグカップ。今シーズンからは「ニューヒーロー賞」の対象選手も21歳以下の選手に変更された。ヤマザキビスケット社と共に、Jリーグも成長していくためのチャレンジを止めない。 「カップ戦だからこそチャレンジさせていただいていることはあります。21歳以下の選手の件などもそうですが、そういったことをさせていただけるのもありがたいです」 「我々としても、大会の位置付けを考えて世間とコミュニケーションを取る中で、切り口があった方が露出面を考えても良いのかなというのもあり、チャレンジさせていただいています」 ▽ヤマザキビスケット社とJリーグが共に歩み、成長してきた25年間。各クラブのタイトル以外にも、眠っている才能の原石を発掘できる場として、日本サッカー界にもたらせているものは大きい。 ▽2018シーズンのJリーグYBCルヴァンカップは、3月7日にグループステージが開幕。今シーズンは決勝も21歳以下の選手の出場が取り決められ、若手の活躍も楽しみだ。新たな魅力の創出へ。Jリーグとヤマザキビスケット社の成長は止まらない。 2018.03.15 18:00 Thu
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【六川亨の日本サッカーの歩み】コバルトーレ女川と村田監督

▽昨日はJ3とJFL(ジャパンフットボールリーグ)の開幕日だった。そして3月11日といえば、7年前に東日本大震災で東北地方が甚大な被害を受けた日でもある。夢の島陸上競技場でのFC東京U-23対沼津のJ3を取材したが、2時キックオフの試合前には7年前の災害に黙祷が捧げられた。おそらくどの会場でも黙祷が捧げられたことだろう。 ▽そして静岡県浜松市都田サッカー場では昨シーズンのJFL覇者・ホンダFCと、今シーズンJFL昇格を決めたコバルトーレ女川が対戦した。試合は1-2で敗れて女川は初戦を飾ることはできなかったが、いまなお復興に取り組む被災地を励ましたことだろう。 ▽女川には震災前と震災後の2度訪れたが、女川湾の漁港を中心に扇状に家屋やビルが広がる風光明媚な町だった。それが最大15メートルの津波で跡形もなく消えていたのを目の当たりにした時は声を失ったものだ。 ▽コバルトーレ女川は将来のJリーグ入りを目指して06年に誕生した。最初は石巻市民リーグからスタートし、10年には東北社会人リーグ1部に昇格と順調に歩んできたものの、11年の震災で1年間の活動中止を余儀なくされた。それでもチームの再開を願う町内企業が選手の雇用を受け入れるなどの協力もあり、12年に東北社会人リーグ2部から再出発。1年で1部に復帰し、16年には初優勝を遂げる。そして昨シーズンは全国地域サッカーチャンピオンズリーグでも優勝し、初のJFL昇格を決めた。 ▽今年からチームを率いるのは東京ヴェルディや日テレ・ベレーザのコーチなどを歴任した村田達哉氏(45歳)。もともとは読売ユース出身で、読売ジュニオールでJSL(日本サッカーリーグ)2部にデビュー。その後はヴェルディ川崎や札幌、仙台などでプレーして、05年に指導者の道に転身した。 ▽彼の名前を覚えていたのは、読売ユースの時代に試合を取材したことがあるからだった。レフティーの左SB(サイドバック)で攻撃参加を得意とし、当時読売サッカークラブのコーチを務めていた松木安太郎氏(現解説者)が、「和製ロベカルです」と教えてくれたからだった。 ▽選手として大成することはなかったものの、現役引退後は仙台のフロント入りし、キエーボ・ヴェローナにコーチ留学するなど宮城県と縁があったから女川の監督に就任したのだろう。リーグ戦は第2、3節とアウェーが続くが、4月1日の第4節ではホームの石巻フットボール場に戻ってくる。きっと多くのファンが訪れることだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.13 12:05 Tue
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】新天地アンデルレヒト適応もバッチリ。攻撃的MF枠で最も活躍しているのがこの男! 森岡亮太

▽欧州時間3月3日夜(日本時間4日未明)に行われたベルギー1部のズルテ・ワレゲム戦。開始早々の2分、アウェイに乗り込んだアンデルレヒトの背番号10・森岡亮太が目の覚めるような先制弾を相手ゴールに叩き込んだ。右サイドバックのデニス・アピアーのクロスに鋭い反応を見せた彼は、相手最終ラインの間の狭いスペースに巧みに侵入。ヘディングで一撃をお見舞いしたのだ。この1点がチームに勢いを与え、アンデルレヒトは前半だけで3-1でリード。終盤に2失点目を献上したものの、3-2で勝利を収め、2位に浮上した。 ▽さらに翌週11日のアントワープ戦でも森岡はトップ下で先発。1-1の状況で迎えた後半22分にペナルチィエリアでPKをゲットし、決勝点をお膳立てする大仕事をしてみせた。この試合も白星で飾ったアンデルレヒトは、4月1日からスタートする順位決定プレーオフに向け、大きな弾みをつけることに成功。背番号10をつける男も「優勝したい」と意欲を前面に押し出している。 ▽1月末にワースランド・ベフェレンからベルギー屈指のビッグクラブ・アンデルレヒトへステップアップしてから1カ月余り。デビュー戦のメヘレン戦でPK失敗という苦い結末を余儀なくされながらも、森岡はそれを引きずることなく、新天地に着実に適応している。 ▽最初のゲームでは2シャドウの一角という不慣れなポジションでプレーすることになり、彼自身も「やりづらさはあった」と本音を吐露したが、その後はトップ下や2トップで起用され、攻撃チャンスに顔を出す回数が着実に増えている。指揮を執るハイン・ファンハーゼブルック監督もそのポジションで使った方が攻撃センスをより発揮させられるという判断があるのだろう。「新しい監督は戦術的に細かいけど、適応はそんなに問題はないと思う」と森岡自身も手ごたえを口にしていただけに、新指揮官といい関係を形成できているようだ。最近2試合で3ゴールという数字が彼の好調ぶりを物語っている。 ▽アンデルレヒトでブレイクしつつある森岡をヴァイッド・ハリルホジッチ監督も放っておけないだろう。昨年11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦招集時も「現地での評価が非常に高い」と発言。欧州での世論に押される形で抜擢したことを示唆していた。その代表2連戦では続けてジョーカー起用されながら結果を出せず、本人は「まだまだですね」と不完全燃焼感をにじませた。だが、あれから4カ月が経過し、森岡はビッグクラブへ行っても十分やれることを示している。その評価はハリルホジッチ監督の耳にも届いているに違いない。しかも、今回も試合会場がベルギーということで、注目度を考えても森岡を呼ばないわけにはいかないはず。3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)でボスニア人指揮官が再テストに踏み切る可能性が極めて高そうだ。 ▽森岡が争う攻撃的MFの枠には香川真司(ドルトムント)を筆頭に、清武弘嗣(セレッソ大阪)、柴崎岳(ヘタフェ)と実績ある選手が並ぶ。しかしながら、香川と清武は負傷離脱中。香川は間もなく復帰すると見られるが、どこまでパフォーマンスが戻ってくるか未知数だ。柴崎にしても長期離脱から戻ってきたが、試合に出たりでなかったりで、コンスタントな活躍は見せられていない。リーグのレベルはやや下がるものの、欧州での活躍度という意味では、森岡がダントツなのだ。 ▽本田圭佑(パチューカ)とも同ポジションを争うことも考えられるが、ハリルホジッチ監督の中では本田はあくまで右サイド要員。これまでも久保裕也(ヘント)や浅野拓磨(シュツットガルト)らと競わせてきた。本田自身はインサイドハーフやトップ下を熱望しているが、その意向に沿う起用法を今から指揮官が採るかどうか分からない。 ▽こういったさまざまな要素を踏まえても、攻撃的MF枠の目下のファーストチョイスは森岡だろう。現状を3カ月後に迫った2018年ロシアワールドカップ本大会まで維持できれば代表滑り込みが見えてくる。本人もそういうことを具体的に考え始めているのではないか。 ▽ただ、森岡にはオフ・ザ・ボールと守備面の課題がある。11月のブラジル・ベルギー戦を見ても、ボールのない時の運動量やアグレッシブさ、守りの強度や球際の強さなどで見劣りする部分が感じられた。 「自分はもともと自由を愛する男で、ボールをつないだり、パスを展開したりと攻撃面に重きを置いてきた。だけどポーランド、ベルギーと欧州でプレーしてきて、球際の重要性を強く感じるようになった。年に一度、昔の仲間と初蹴りをしていても『球際行け、球際』といつの間にか叫んでいるくらい」と本人も自身の変化に苦笑していたほどだ。 ▽その意識はアンデルレヒトというビッグクラブへ赴いて、より一層高まっているはず。それを3月の代表2連戦で示すことができれば、ハリルホジッチ監督の評価も急上昇すると見られる。 ▽実績面では本田、香川、清武に劣る森岡が一発逆転を狙うなら、自身の劇的な変貌ぶりを指揮官の目に焼き付けるしかない。早稲田大学eスクール卒業というサッカー選手屈指のインテリジェンスを誇るこの男なら、自分の進むべき道を明確に見極めることができるだろう。ここからの森岡亮太の一挙手一投足から目が離せない。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.03.13 12:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決めるべき人が決めて勝ったけど…

▽「控えになってもいいんだろうか」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、スポーツ紙のウェブページでグリーズマンが「アトレティコとの契約延長を拒否、来季はもう仮契約をしているバルサに移籍予定」という記事を見つけた時のことでした。いやあ、この系統では前日にも奥さんのエリカさんが先週、カンプ・ノウでアトレティコの試合があるのを利用してバルセロナを訪問。メッシやルイス・スアレス、コウチーニョらが住む、地中海沿岸の近郊にあるカステルダフェルスや、テア・シュテーゲンが住む市内のパセオ・デ・ガルシア近辺の家を見て回ったという報道がカタルーニャ・ラジオからあったんですけどね。 ▽どちらの地区も彼女が満足するには至らなかったというのはともかく、ここ数日は中足骨骨折でCL16強対決レアル・マドリー戦2ndレグに出場できずに、PSGも敗退。現在、母国ブラジルで手術後の静養中のネイマールにも、昨年の夏に出て行ったばかりのバルサに復帰を希望しているという噂があったから。 ▽いえ、ネイマールの不在を補おうと、デンベレ(移籍金1億6000万ユーロ/約211憶円)、コウチーニョ(1億2000万ユーロ/158億円)に大枚をはたいたのに加え、グリーズマン(1億ユーロ/約132億円)、再びネイマール(4億ユーロ/約528億円)もの出費をどうクラブが賄うかなんて、下々の者には想像もつかないんですけどね。それより気になるのは来季のバルサの前線で、だってえ、メッシやルイス・スアレスが出て行く訳ないじゃないですか。となれば、アトレティコでは上にも下にも置かない扱いをされているグリーズマンとて、彼らの中ではワン・オブ・ゼム。 ▽正直言って、ネイマールとポジション争いをして勝てるのかという疑問もありますし、アトレティコから移籍してからの2年間、ほとんど白紙で過ごした上、現在は故郷のイスタンブール・バシャクシェヒルにレンタル移籍しているアルダ・トゥランの例もありますからね。MSN(メッシ、スアレス、ネイマールの頭文字)再結成となれば、それこそ昨夏、BBC(同ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウド)優先にうんざりして、レアル・マドリーからチェルシーへ行ってしまったモラタのような破目にもなりかねない? ▽おまけに先週末は奥さんのアントネッラさんが第3子を出産したため、メッシがお休みをもらっても、ルイス・スアレスとコウチーニョのゴールで0-2と簡単にマラガを退けてしまったバルサですよ。今季はすでにコパ・デル・レイで決勝進出、リーガも2位に勝ち点差8と独走状態、CLだけはまだ16強対決で、チェルシー戦1stレグを1-1で引き分けた後の2ndレグがこの水曜に控えているため、ちょっと先行き不透明な感はあるものの、上手くいけば21世紀になって、4度目のtriplete(トリプレテ/リーガ、コパ、CLの三冠優勝)もできるとなれば、そうまでクラック収集にこだわらなくてもと思うんですが…シメオネ監督も「憶測よりも現実について話さないといけない。Mañana es mañana/マニャーナ・エス・マニャーナ(明日は明日)」と言っていたように、今は下手に気を揉まない方がいいのかも。 ▽まあ、その辺は私も忘れて、先週末のマドリッド勢のリーガ戦がどうだったのかをお伝えしていくことにすると、土曜のアジアン・ゴールデンタイムに先陣を切ったのはマドリー。もちろんこれは相手に乾貴士選手がいるための配慮なんですが、残念ながら、「Ellos fueron mejores, hicieron un gran partido/エジョス・フエロン・メホーレス、イシエロン・ウン・グラン・パルティードー(彼らの方が良かった。素晴らしい試合をしたよ)」と後でジダン監督に褒められていたエイバルも今年になって、ゴール量産態勢に入ったロナウドを止めることはできませんでした。ええ、先日のPSG戦ではベンチ待機をしていた、負傷明けのモドリッチが調子に乗ってきた前半33分、その彼のロングパスから決められて、先制を許してしまうことに。 ▽いえ、エイバルも後半5分には、今季はずっとケガに悩まされてきたペドロ・レオンの蹴ったCKからラミスがヘッドを叩き込み、同点に追いついたんですけどね。マドリーには珍しい昼の時間帯開催の試合だったためか、急に便意をもよおしたセルヒオ・ラモスがピッチを外していた30分には乾選手も頭で勝ち越しゴールを狙ったんですが、ボールは枠を外れてしまいます。そうこうするうち、39分にはカルバハルのクロスをドンピシャのタイミングでロナウドがネットに送り込んだため、最後は1-2でマドリーが勝ち点3を持ち帰ることになりましたっけ。 ▽え、後でエイバルのメンディリバル監督も「Otros equipos no te meten gol con un fallo, pero estos sí/オトロス・エキポス・ノー・テ・メテン・ゴル・コン・ウン・ファジョ、ペロ・エストス・シー(他のチームなら、1回のミスでゴールを奪われることはないが、こういう相手はそうだ)」と言っていたけど、本当に最近のロナウドはチャンスに失敗しなくなったって?そうですね、当人が出場したここ5試合のリーガ戦で計10得点しているおかげで、とうとう得点ランキングでもトップのメッシと6本差の18ゴール、3位まで追い上げてきたんですが、後悔先に立たず。 ▽そう、シーズン前半戦でも彼が今と同じ頻度で決めてくれていたら、首位と勝ち点差15という絶望的な状況にはなっていなかったはずですからね。それを思うと、素直に喜べないマドリーファンもいるかもしれませんが、まだCL決勝への道は遠し。この金曜に対戦相手が決まる4月の準々決勝までチームの調子を維持するため、日曜に好調ジローナをサンティアゴ・ベルナベウに迎える試合を含め、足慣らしは続けていってもらわないといけません。 ▽そして同じ土曜、夕方からの試合だったのは弟分のヘタフェで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにレバンテを迎えたんですが、こちらはダブルの意味で残念。というのも前半はアンヘルやホルヘ・モリーナにチャンスが再三あったものの、決めきれず。15試合白星がないため、降格圏が近く、先週はムニス監督をパコ・ロペス監督に代えていた相手も必死だったため、何度もピッチでtangana(タンガナ/揉み合い)が起きたり、イエローカードが飛び交ったりしていたんですが、まさか後半33分、レバンテが唯一、チャンスを作れていたCKから、コケにヘッドを決められてしまうとは! ▽おまけに柴崎岳選手はカンテラーノ(下部組織の選手)のメルヴェイユ、久々にベンチ入りをしたアルバロ・ヒメネスの後、残り3分からの出場でしたしね。結局、そのまま0-1で試合は終わり、「Hemos errado ocasiones claras y lo hemos pagado/エモス・エラードー・オカシオネス・クラーラス・イ・ロ・エモス・パガードー(ウチは絶好機にミスして、そのツケを払った)」(ボルダラス監督)という結果になってしまいましたが、実はこれ、彼らにとって10試合ぶりのホーム敗戦だったとか。うーん、すでに勝ち点36あって、1部残留はほぼ確定しているヘタフェですが、このままだと、tierra de nadie/ティエラ・デ・ナディエ(誰のものでもない場所)の順位で締まらないシーズン終盤になってしまうこともありえますからね。次のレアル・ソシエダ戦では気合を入れてくれるといいんですが。 ▽え、翌日曜にはお隣さん同様、リーガ逆転優勝の目がほぼなくなったアトレティコも頑張ったじゃないかって?その通りで、前節はバルサに1-0と負け、勝ち点差が8に広がったにも関わらず、ワンダ・メトロポリターノでのセルタ戦ではベストメンバーを並べてスタート。もちろん先週のヨーロッパリーグ16強対決ロコモティブ・モスクワ戦1stレグで3-0の快勝と、この木曜の2ndレグでは楽ができそうだったからもありますが、何より驚かされたのは絶対ムリと言われていたGKオブラクが手と臀部の負傷を超特急で乗り越えて、ゴールを守ってくれたことでしょうか。 ▽ただこの日も試合はなかなか動かず、セルタがオブラクを煩わすことも前半のうちはなかったんですが、恒例の0-0でハーフタイムを迎えなくて済んだのは44分、ガビのCKをヒメネスが落としたボールを拾ったグリーズマンのおかげ。ええ、前を塞いだジョニーとGKルベンを見事な切り返しで座らせて、ゴール右上隅に決めてくれるんですから、チームメートだって、「彼に頼むのは、ウチにいる間は全力でプレーして違いを見せてほしいということ、porque es de los pocos de este equipo que lo puede hacer/ポルケ・エス・デ・ロス・ポコス・デ・エステ・エキポ・ケ・ロ・プエデ・アセール(それができるこのチームの少ない選手だからね)」(ガビ)と持ち上げない訳にはいかないかと。 ▽おまけに後半11分にもグリーズマンはその才能を発揮して、ビトロにアトレティコ移籍後リーガで初となるゴールをプレゼント。その直後、ビトロと交代したコレアも24分にはコケのスルーパスから2度撃ちして3点目を入れてくれたんですが、うーん、返す返すも惜しいのは、この日の効率の良さがカンプ・ノウでは見られなかったこと。まあ、だからこそバルサは首位で、アトレティコは2位なんでしょうけどね。とりあえずは、「Mi deseo es llegar con opciones a las ultimas cinco jornadas/ミ・デセオ・エス・ジェガール・コン・オプシオネス・ア・ラス・ウルティマス・シンコ・ホルナーダス(自分の望みはオプションを持って残り5節を迎えること)」とシメオネ監督も言っていたように、1試合1試合、勝っていけば、何かいいこともあるかもしれませんよ。 ▽そんなアトレティコはマドリッド勢で唯一、今週のミッドウィークに試合があるチームで、いやあ、木曜のロコモティブ戦は時差のあるロシアで開催のため、キックオフが午後5時(日本時間翌午前1時)とイレギュラー。妙に早い時間とあって、私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で流してくれるか、ちょっと心配なんですけどね。次の日曜はアウェイでビジャレアル戦と油断はできないため、セルタ戦の終盤はゴールキックをヒメネスに頼んでいたオブラクなどは気温零下のモスクワでまた風邪を引かないようにお休み、若いベルネルに任してみてもいいかと思いますが、カラスコ、ガイタン、モヤ、アウグストの退団で、今のアトレティコは総勢たったの19人。うちサビッチだけ、まだケガから復帰していないため、おそらく全員、飛行機には乗せられるんでしょうね。 ▽一方、日曜の遅い時間にはアトレティコとは真逆の状態、ELオリンピック・マルセイユ戦1stレグで3-1と負けて帰ってきたアスレティックにサン・マメスでレガネスが挑んだんですが、remontada(レモンターダ/逆転突破)で頭がいっぱいの相手の状況を利用することはできず。ええ、前半10分と16分にラウール・ガルシアにゴールを決められ、まったく反撃できずに2-0で負けるって、やっぱり未だにコパ準決勝敗退の影響が続いている? ▽うーん、こうなるとこの日曜の相手、セビージャが火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのCLマンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグ(1stレグは0-0)に負け、念願の準々決勝初進出を逃してショックを受けたとしても、レガネスが優位に立つことは難しいそうですが、さて。ちなみにコパ準々決勝でセビージャに敗退したアトレティコは3節前のリーガで2-5勝利とリベンジに成功。きっとレガネスファンも兄貴分に倣って、初のコパ決勝の夢を砕いてくれた相手にブタルケで一泡ふかせてやりたいと思っているんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.13 12:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】タイトルはもうヨーロッパにしかない…

▽「違うってば」そんな風に私がチェックを入れていたのは金曜日、メンディリバル監督の試合前日記者会見をネットで読んだ時のことでした。いやあ、エイバルが土曜に迎えるのはレアル・マドリーなんですが、首位バルサから勝ち点15離れている相手にとって、リーガは決して気合の入る大会じゃないんですけどね。それでも彼は、「あと2週間はCLをプレーしないのだから、マドリーは勝ちに来るだろう」と言っていたんですが、いえいえ。計8カードを4つずつ2週間に分け、更に火水で1日2試合開催にしたCL16強対決2ndレグが全て終わるのは来週の水曜。その2日後の抽選会で準々決勝の相手は判明するものの、3月下旬には国際代表戦週間が入るため、その1stレグは4月3、4日まで待たないといけないんですよ。 ▽そう、要はCLが戻って来るまでにエイバル戦、ジローナ戦、そしてparon(パロン/リーガの停止期間のこと)明けのラス・パルマス戦をこなさないといけないマドリーなんですが、それらのリーガ戦は3年連続CL制覇という偉業を果たすための調整試合扱い。おかげでこちらもテンションを上げるのが難しいんですが、一応、ジダン監督も「Mi mensaje a la plantilla es que no vamos a bajar los brazos/ミ・メンサヘ・ア・ラ・プランティージャ・エス・ケ・ノー・バモス・ア・バハール・ロス・ブラソス(選手たちへの私のメッセージは諦めないということ)」と言っていましたしね。エイバル(スペイン北部)にはBBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)を始め、ベストメンバーを率いて乗り込んだため、現在、この6月で終わる契約の延長を交渉中。ここ数日、ベティス移籍の可能性も浮上してきた乾貴士選手のプレーも楽しみにしつつ、この土曜午後1時(日本時間午後9時)からの試合を待ちたいところですが…。 ▽え、それでも火曜のPSG戦2ndレグが無事、終わってくれたのはありがたかったじゃないかって? いや、そうなんですけど、元々この対戦は1stレグに3-1とマドリーが余裕を持って勝利。そこへネイマールも第5中足骨骨折で欠いた相手がいくら、クラブ公認でウルトラ(過激なファン)たちがパルク・デ・プランスを何度も真っ白に煙らせる程のbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊いて応援したとて、逆転の目は始めから薄かったですからね。実際、試合の方もジダン監督がベイルをベンチスタートにして、ルーカス・バスケスとアセンシオを先発に抜擢。「Buscaba al final tener dos lineas de cuatro, defendiendo bien con sus jugadores de fuera/ブスカバ・アル・フィナル・テネール・ドス・リネアス・デ・クアトロ、デフェンディエンドー・ビエン・コン・スス・フガドーレス・デ・フエラ(最後は4人で2列を作るようにした。サイドの選手で上手く守りながらね)」という作戦が見事に当たります。 ▽そう、前半は0-0で折り返した彼らでしたが、スタンドが赤くなりすぎて試合が一時中断した後半、6分には「Zidane me pidio trabajo en defensa y soltura en ataque/ジダン・メ・ピディオ・トラバッホ・エン・デフェンサ・イ・ソルトゥーラ・エン・アタケ(ジダン監督から守備で働くことと、ノビノビ攻撃することを頼まれた)」アセンシオがダニエウ・アウベスの足の間を抜いて、エリア内に入り込むルーカス・バスケスへパス。そこからのクロースがロナウドの先制ヘッドを呼び込みましたしね。26分にはゴール前でカセミロが弾いたボールがカバーニのヒザに当たって同点にされてしまったものの、35分にはそのカセミロがアンラッキー返し。ええ、今度は彼のシュートがマルキーニョスに当たってゴールとなり、2ndレグも1-2で勝って、総合スコア5-2で準々決勝進出となれば、ケチのつけようもありませんって。 ▽うーん、この16強対決、2試合で計3得点挙げたロナウドはもちろんのことながら、マドリッドでも残り15分から出場、2アシストで3-1の逆転勝利を導き、パリでも先制点の起点となったアセンシオが影のヒーローだったかと思いますが、PSGのもろさは予想外。いえ、ウナイ・エメリ監督は「Caer eliminado con el Madrid no es una decepcion, caer en octavos, si/カエール・エリミナードー・コン・エル・マドリッド・ノー・エス・ウナ・デセプシオン、カエール・エン・オクタボス、シー(16強対決で敗退するのはそうだが、マドリー相手に敗退するのは幻滅ではない)」と、あくまで相手が悪かったという姿勢でしたけどね。試合後は、「去年の夏、ウチは4億ユーロ(約530億円)を費やしてチームを補強したけど、結局、CL決勝トーナメント最初のラウンドも突破できなかった」(ドラクスラー)という声が内外共に一般的だったかと。 ▽おかげでエメリ監督の今季限りの退陣が確定的になってしまったため、次期指揮官候補にはシメオネ監督も挙がっているとか、お隣さんにも飛び火してきたり、早くもネイマールの移籍金4億ユーロでの来季マドリー入りの噂が聞こえてきたりと、何かとかしましいんですが、何せ、マスコミも次のCLマッチデーが来るまで間をもたせないといけませんからね。ここしばらくはイロイロ、あることないこと出て来るんじゃないかと思いますが、とりあえず、エイバル戦ではPSG戦に交代出場したクロース、ベンチ待機だったモドリッチら、負傷明けのメンバーに実戦のリズムを取り戻してもらいたいところです。 ▽そして1stレグを0-0で終えたセビージャがマンチェスター・ユナイテッドのホーム、オールド・トラフォードに乗り込むのは来週火曜、スタンフォード・ブリッジで1-1と引き分けてきたバルサがチェルシーをカンプ・ノウに迎えるのはその翌日なため、この水曜にはスペイン勢のCLはなく、ええ、もちろん悪いのは恥ずかしいグループリーグ敗退をしたアトレティコなんですけどね。別にその罰ゲームじゃないんですが、グループ3位でヨーロッパリーグに回った彼らはコペンハーゲンとの32強対決をあっさり通過。いよいよ木曜には16強対決1stレグでロコモティブ・モスクワをワンダ・メトロポリターノに迎えたところ…やっぱりこの大会では勿体ないチームであることを立派に示してくれたから、嬉しかったの何のって。 ▽いえ、当日券も十分あったため、2月末からオープンしたチケットオフィス(地下鉄エスタディオ・メトロポリターノ駅を出て、オフィシャルショップのある遊歩道の並び、スタジアムの正面左手奥。試合日前に購入したい時はすぐ横のインフォメーション・オフィスへ/月~木:9時から19時、金:9時から15時、土:10時から14時オープン)も賑わっていたワンダながら、満員にはならなかったんですけどね。おまけに前日にはGKオブラクが臀部を負傷して出場できないことが発覚。モヤがレアル・ソシエダに緊急移籍してしまったため、22歳のアルゼンチン人GK、ここまで親善試合経験しかないベルネルが急遽、先発デビューすることになっただけでも不安だったのに加え、合宿先のホテルでゴディンが急性胃腸炎にかかり、こちらもベンチ入りできずと、実は逆境に襲われていたアトレティコだったんですが、もしや今回は相手に恵まれた? ▽ええ、ロシアのチームは冬休みが明けてまだ間がありませんからね。先週末のスパルタク・モスクワとのダービーも雪まみれでスコアレスドローと、いい足慣らしにはならなかったようですし、組み合わせ決定から2週間とあって、その試合で壮大に発煙筒を炊いていたウルトラたちが大挙して応援に駆けつけられなかったのは吉だったかと。実際、アトレティコだって、先週はメッシのFKゴールでバルサに1-0と負け、首位との勝ち点差5が8に拡大。リーガ逆転優勝の夢が雲散霧消してしまったため、もうこの大会しかないのは誰もが認めるところですからねえ。その思いを最初に具現化してくれたのはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)のサウールで前半22分。いくらパスする相手が見つからなかったからって、いきなり30メートル離れたところからシュートを放ち、それがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になってしまうんですから、こちらも呆気に取られたの何のって。 ▽それからハーフタイムまでは追加点が入らず、ヤキモキさせられたものですが、おそらくロッカールームでチームは「よくあることだから1-0でもいいけど、2-0ならもっと安心」という確認をしたんでしょうかね。後半開始直後にはサウールのクロスから、グリーズマンのシュートはGKギジェリュメに弾かれたものの、ジエゴ・コスタが押し込んで2点目をゲット。更にその2人が温存の意味もあったのか、ベンチに退いた後も「Una ventaja de dos goles tampoco es que sea corta, pero el equipo ha tenido ambicion/ウナ・ベンタハ・デ・ドス・ゴーレス・タンポコ・エス・ケ・セア・コルタ、ペロ・エル・エキポ・ア・テニードー・アンビシオン(2点リードが少なすぎるということもないけど、チームは野心的だった)」とサウールも言っていた通り、45分にはファンフランが右サイドでボールを奪うと、敵エリア脇まで持ち上がってラストパス。駆け込んで来たコケのシュートが決まり、ガビもベンチだったため、回ってきたキャプテン役に恥ずかしくない貢献ができたんですが、3-0なら来週木曜の2ndレグはもう大船に乗った気でいていい? ▽え、主力FWのファルファン、アリをケガで欠いたロコモティブがあまりに撃ってこなかったため、注目のベルネルの実力は未だに不明なんだろうって? いやあ、後でシメオネ監督など、「Ha crecido mucho desde que ha llegado/ア・クレシードー・ムーチョ・デスデ・ケ・ア・ジェガードー(ここへ来てから、彼はとても成長した)。だから、モヤに移籍のオファーがあった時、彼を信頼することにしたんだ」と言っていましたけどね。以前は第3GKだったベルネルは招集リスト落ちすることも度々。それでも「レバンテ、バレンシア、セビージャにも自分でAVE(スペインの新幹線)に乗って、試合を見に来た。誰に来いと言われた訳でもないのにね」(シメオネ監督)というのは当人の意欲の証明にはなっても、さすがに本職での才能まで保証するにはムリがあったかと。 ▽そこへモスクワでのネックとして、マイナス気温ともしかしたら降雪という悪天候が加わるんですが、何より今怖いのはオブラクの回復が絶対に間に合わないとされている、この日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのセルタ戦。相手はヴァスが椎間板ヘルニアでダウン、エースのイアゴ・アスパスもヒザの痛みで出場が微妙と、ちょっと攻撃力的には弱っている感がありますが、マキシ・ゴメスやシストら、油断のならないアタッカーがまだいますからね。優勝戦線から遠ざかっても、来季CL出場権を得られる4位以上を確定するまでは、アトレティコもリーガで勝っていかないと。 ▽そして今週はミッドウィークに試合なしと、平常運転に戻ったマドリッドの弟分チームたちにも触れておくと、前節、サンティアゴ・ベルナベウで3-1と兄貴分に一蹴されてしまったヘタフェは土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにレバンテを迎えることに。すでに勝ち点36を溜め、降格圏から16ポイントも離れている彼らだけに、あとはボツボツ勝っていくだけで1部残留の目標達成はできるんですが、ホームではここ2試合、セルタ、デポルティボに3-0で連勝と景気がいいですからね。アンヘルの体調に少々、不安があるため、今度は柴崎岳選手も加わって再び、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露してくれると嬉しいかと。17位と降格圏ギリギリのところにいるレバンテはムニョス監督を解任して、Bチームを率いていたパコ・ロペス監督が昇格したばかりというのもありますし、ホームのサポーターの前でいい試合ができるといいですね。 ▽一方、レガネスは日曜にサン・マメスでアスレティック戦に挑むんですが、ある意味、難所であるスタジアムを攻略するにはいい巡り合わせに。というのも相手はこの木曜、アトレティコと同じEL16強対決1stレグで3-1と敗戦。来週ホームでの2ndレグでオリンピック・マルセイユを2-0以上で倒し、逆転突破するのに頭がいっぱいですからね。前節、ようやくコパ・デル・レイ準決勝敗退ショックから脱出。マラガに勝利して、とうとう6試合連続白星なしにピリオドを打ったレガネスにとっては残留達成へ、もう一歩前進するいいチャンスになりそうな。ちなみに現在、彼らは勝ち点33の13位。ここも7位のジローナまで、7ポイント差だけですから、このシーズン終盤、もしからしたら弟分同士のEL出場権争いが見られるかもしれませんよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.10 08:40 Sat
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【倉井史也のJリーグ】今週はJ1各チームがホッとしているんじゃないの!?の巻

▽今週の金曜日はいよいよJ3開幕! でね、この金曜日のゲームはいっぱいプロモーションするもんで、第1節の鳥栖vs神戸は1万9633人、第2節の川崎vs湘南は2万2475人と、なかなか観客が入ってるわけです。あ、ちなみに2節のC大阪vs札幌は1万415人、柏vs横浜FMは1万659人とちょっと寂しい数字もあったわけですけど。 ▽となると、土曜日に試合を開催するクラブは結構ドキドキしてるんですな。クラブ関係者って勝敗以外にも、いろんなとこで心配しなきゃいけないから大変そうです。 ▽ま、今週はJ1の土曜開催がないから、クラブの人の心配は一つ減ってるのかも。では、今週かかってる記録って何があるのか調べてみましょう。 ・神戸はあと1勝でJ1通算200勝。あれ? これって開幕戦の時にも書いた記憶が……汗。 ・広島はJ1アウェイ通算150勝まであと1勝。ルヴァンカップでG大阪に快勝した勢いのまま、鹿島に乗り込むんですけど……。 ・横浜FMはJ1通算1300点まであと1点。ルヴァンカップではイッペイ・シノヅカが決めてるんですけど、土曜日の三ツ沢で鳥栖を相手にゴールが生まれるか? ・川崎はJ1通算850点まであと1点。相手はここまでちょっと調子が出てないG大阪なだけに、可能性は……。 ▽あ、ところで前節の鹿島vsG大阪、前半36分に鹿島のペドロ・ジュニオールが独走し、G大阪のGK東口順昭がペナルティエリアを飛び出して相手に手をかけて止めた場面なんですけど。まぁ賢明な読者の人なら当然おわかりかとは思いますけど、イエローで間違いないです。 ▽ゴールから遠いし、ゴールにはG大阪の選手も戻ろうとしてるので、得点機会の阻止にはあたらないし。そう考えるとDFが独走しそうなFWの体を止めて攻撃を断ち切ったのと変わらないし。スパイクの裏を向けて飛び込んで相手に接触してる、なんてのだったら退場なんですけど、あれは誤審じゃありません。 ▽ま、鹿島のファンの方は異議があるかもしれませんが、現行ルールを適用すると「警告」なんですな。 ▽で、もうひとつこの場面には意味があって、それは東口が「そこまでカバーしてんの!」ってくらいの位置でタックルしてるってコトなんです。通常GKはボールがゴールから遠いときって、ボール奪われた後のロングシュートで頭の上を越されないように、後ろを気にしつつポジション取ってるんですけど。あの場面で東口があそこまで行ったってのは、 1. 東口はものすごく足が早い 2. 東口は味方がパスミスするのを予感していた 3. 東口はフラフラと前に出ていた 4. 東口は自分がDFだと勘違いしていた 5. 東口はハーフコートをペナルティエリアと間違えていた ▽さぁどれだ!! あ、鹿島ファンを怒らせた後にG大阪ファンも怒らせている気が……?!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.03.09 12:45 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】レフェリングカンファレンス

▽今週は先週に引き続き、2月22日に行われたレフェリングカンファレンスから、今シーズンのJリーグの傾向を紹介したい。 ▽昨シーズンのJリーグでは、J1とJ2で反スポーツ行為は減少したとの報告があった。選手同士が対立するシーンは減った一方で、ラフプレーによる警告が増えたそうだ。その原因として小川審判委員長は「ハリルホジッチ監督がデュエルを求めた結果かもしれない」と推測し、ボールへのタックルについて、「激しさだけではなく安全にも配慮して欲しい」とJクラブの全選手に説明した。 ▽これはJリーグに限ったことではないが、ボールにアタックしていれば正当なタックルと思いがちだが、過剰な力でボール保持者にタックルすると反則になる。選手の安全性を配慮してのジャッジと言える。 ▽そしてハンドの概念についても再度説明があった。手に当たればすべてがハンドの反則ではなく、意図的に手を使わず偶然当たった場合はプレー続行となる。昨夜のアルガルベ杯の5~6位の順位決定戦、カナダ戦の1点目は相手のクロスが中島の手に当たり、一瞬プレーを止めてボールを見失ったため相手のシュートを許した。往々にして攻撃側はつい手を上げて「ハンド」をアピールしがちだが、こちらも故意でない場合は反則とはならない。 ▽意外だったのは、カンファレンス後の懇親会で小川審判委員長から聞いた話だ。FIFAはホールディングとシミュレーションについて厳しい罰則を設けていて、U―17W杯から女子も含め、この2つの反則については1プレーにつき3千ドル(約33万円)のペナルティーを科しているという。 ▽反則を犯した選手が支払うのか、それともチームが支払うのかは小川審判委員長も知らなかったものの、おそらく選手が支払ったという話しは聞いたことがないので、たぶん各国ともサッカー協会が支払っているのだろう。そのことを選手が知っているのかどうか、今月下旬のベルギー遠征を取材した際に、選手に聞いてみようと思っている。 ▽ホールディングなら槙野あたり、シミュレーションなら……興梠しか思いつかないが、2人とも国内組だ。もしかしたら海外組はペナルティーのことを知っているのだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.08 21:57 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】もうヨーロッパしかない…

▽「ようやく本番が来たわ」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、ジダン監督がチーム全員を引き連れてパリ入りした映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、3週間前のCL16強対決1stレグでは3-1とPSGに快勝したレアル・マドリーだったんですけどね。何せ、リーガでは首位バルサに逆転優勝を夢見るのもおこがましい二桁の勝ち点差をつけられていたため、その間の5試合は全て調整扱い。先週末の弟分、ヘタフェとのミニダービーでEnsayo general/エンサジョ・ヘネラル(総合リハーサル)を終え、今季唯一、獲得の可能性が残っているCL戦、この火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時25分)からのスタッド・ド・プランスでの2ndレグに挑むんですが、いや、スコアからして勝ち抜けは楽勝に見える対戦に普通、ここまで大騒ぎする? ▽それこそマドリーの方がremontada(レモンターダ/逆転突破)が必要なのかと思える程、スポーツ紙やTVの報道が盛り上がっているのはちょっと、私も不思議なんですが、おまけにこの試合では昨季、バルサがPSGに1stレグで4-0と負け、カンプ・ノウで6-1と勝って準々決勝進出という奇跡を成し遂げた際の主役の1人、ネマールが中足骨骨折で出場できず。今季はPSGの側でその偉業をリピートしてほしいというエメリ監督の願いを早々に打ち砕いただけでなく、ムバッペも足首のケガでヒヤリとさせてくれましたからね。カバーニとディ・マリアだけでは心もとないのか、クラブも昨今は眉をひそめられる存在であるウルトラ(過激なファン)たちに応援を頼んだなんて話もありますし、確かにそれだとピッチ外は別の意味でかなり賑やかになりそうですが…。 ▽え、今となってはアトレティコもお隣さんと同じ立場だろうって?まあ、そうですけど、彼らのヨーロッパの大会がELだからでしょうか。こちらもワンダ・メトロポリターノ開催の16強対決、ロコモティブ・モスクワ戦1stレグが木曜午後7時(日本時間翌午前3時)に迫りながら、いえ、まだ昨日の今日でバルサ戦のショックが抜けないせいもありますけどね。せいぜい週末のロシアリーグでスコアレスドローに終わったスパルタク・モスクワとのダービーでは、ウルトラたちの炊くbengala(ベンガラ/発煙筒)でスタンドが真っ赤に染まっていたとかぐらいで、相変わらず、対戦チームの情報はほとんど伝わってこず。それでもうっかり油断して、同じロシア勢のルビン・カザンを前にEL32強で敗退した5年前の悪夢の再現になったら困るため、なるたけファンには応援に来てもらいたいとはいえ…まだチケットはかなり残っているようですよ。 ▽まあ、それはともかく、先週末のリーガの様子も話しておかないといけません。マドリッド勢では土曜、先にレガネスがマラガをブタルケに迎えていたんですが、次の時間帯がマドリー戦だったため、私もそちらへは行けず、サンティアゴ・ベルナベウに着いてから、後半のエラソとアムラバットのゴールで2-0と快勝。コパ・デル・レイ準決勝敗退後の5試合連続白星なしというスランプにようやく終止符を打ったと知って、胸をなでおろしたんですが、ガリターノ監督によると、「Creo que los 33 puntos no nos garantizan la permanencia/クレオケ・ロス・トレインタイトレス・プントス・ノー・ノス・ガランティサン・ラ・ペルマネンシア(勝ち点33では1部残留は保証されないと思う)」とのこと。幸いこの日曜に当たるアスレティックもあまり調子のいいチームじゃないため、セビージャ、バレンシア、バルサと続く強豪対決が始まる前にできるだけ、勝ち点を上積みしておいてもらいたいところです。 ▽そしてミニダービーが始まったんですが、この日の私はベルナベウでピッチかぶりつきの席での観戦を初体験。冗談でなく、選手たちが立っているのと同じ高さだったため、まるで自分まで一緒にプレーしているような気分になってしまったんですが、遠い方のゴールで得点が決まってもまったく詳細がわからないのも本当だったかと。ええ、よくペナルティのシーンなどを尋ねられ、監督や当該エリアと反対にいたGKが「見えなかった」と答えているのは決してウソじゃなかったとわかったんですが、大丈夫。前半24分、カルバハルのクロスがイスコに当たり、そのこぼれ球をベイルが決めて1点目、45分にはベンセマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドがGKエミを破って2点目が入ったということは後々、映像で確認しなければならなかったものの、ファンに混ざってゴールを祝うのも時には、テンションが上がっていいですよね。 ▽そう、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が先発したマドリーに対し、「今日のウチは自分たちじゃなかった。No hemos defendido como el equipo pequeno que somos/ノー・エモス・デフェンディードー・コモ・エル・エキポ・ペケーニョ・ケ・ソモス(ウチは本来、そうである小さなチームのように守らなかった)」と後でボルダラス監督も嘆いていたヘタフェはその日、前半はほとんどバックスタンドにいた私から遠いところでプレー。つまり攻められっぱなしだったんですが、後半2分にはレミが2枚目のイエローカードをもらって退場と、更に情勢が悪化してしまったから、さあ大変!それでもホルヘ・モリーナや柴崎岳選手が交代で入ると、20分にはナチョにエリア内で後ろから倒されたエースがPKをゲット。2節前のビジャレアル戦でアンヘルに続き、モリーナもGKアセンホの前にPKを止められていたため、この日はキッカーとして抜擢されたポルティージョが決め、何とか1点差に持ち込んだんですが…。 ▽アタッカーである柴崎選手が私の目の前の自陣でボールを奪おうと、イスコを突き飛ばしているようじゃ、ダメですよね。実際、23分にはジェネへのファールでゴールを認められず、続いてエミのparadon(パラドン/スーパーセーブ)に遭っていたロナウドが33分にはとうとう、PSG戦への足慣らしとして途中出場したマルセロのクロスをヘッドで叩き込み、マドリーの3点目を取ってしまったとなれば、もう勝負はあったかと。その直後、ジダン監督はロナウドを下げて、火曜の大一番に備えて温存したんですが、残り10分程をプレーしたアセンシオ、そしてその日はベンチで過ごしたルーカス・バスケスがパリでスタメン入りするのか、負傷が治り、日月と普通に練習に参加したモドリッチとクロースはプレーできるのか、その辺がPSG戦を前にしての疑問になりますでしょうか。 ▽まあ、3-1で負けたヘタフェにはちょっと気の毒でしたが、彼らには次節のレバンテ戦で1部残留確定ライン目安である勝ち点40にあと1つと迫ってくれるのを願うばかり。勝ち点4差の、おそらく来季のEL出場権をもらえる7位を狙う時間も十分、あるかと思いますが、翌日曜には私もガッカリな午後を過ごすことに。うーん、首位決戦と浮かれていたのが仇になったんですかね。カンプ・ノウでバルサに挑んだアトレティコでしたが、結局、前半27分に決まったメッシの、ここ3試合連続となる直接FKゴールによる1点を返せず、1-0で負けてしまうことに。 ▽いえ、後でヒメネスが「El equipo dudó un poco en ver cómo iba a salir el Barça, qué hacía/エル・エキポ・ドゥド・ウン・ポコ・エン・ベル・コモ・イバ・ア・サリール・エル・バルサ、ケ・アシア(チームはバルサがどんな風に出て来るか、何をするのか見るのに躊躇してしまった)」と言っていたように前半、何もしなかった彼らも悪かったんですけどね。でもそれって実はここ2試合、大勝しているセビージャ戦、レガネス戦も同じで、その時も30分頃に先制点を奪うまで守っていることが多かったんですが、何せ相手はotro mundo/オトロ・ムンド(別世界)から来たメッシ。エリア近くの絶好の位置でトマスがつい足を出して相手を倒してしまったのも、GKオブラクの手がボールに触れながら、FKがネットに入ってしまったのも、シメオネ監督も前日から、「No hay estrategias que puedan controlar a Messi/ノー・アイ・エストラテヒアス・ケ・プエダン・コントロラール・ア・メッシ(メッシをコントロールする作戦はない)」と達観していたように、仕方ない面はあるんですが、そんな中、とりわけ残念だったのはグリーズマンだったかと。 ▽だってえ、この2試合で7得点と大当たりだったにも関わらず、この日は大外れのシュートを1本撃ったぐらいだったんですよ。だから余分なゴールは入れずにバルサ戦にとっておけば良かったんだと、今更ながら私も思ってしまうんですが、こればっかりはねえ。実は2月末になってカラスコ、ガイタン、モヤが移籍、シーズン残りをたった19人の小所帯で乗り切りことにしたのもグリーズマンのお給料を少しでも上げるための企業努力だそうですが、こういう大事な試合で結果を出せないと、ファンの彼を見る目もちょっとシビアになってしまいそうです。 ▽そして後半はコレア、ガメイロも投入され、4人FW体制で攻めたアトレティコでしたが、イニエスタが前半途中で太ももを痛め、アンドレ・ゴメスに代わっていたせいもあったんでしょうかね。極めて珍しくポゼッション52%でバルサを上回りながら、40分にガメイロが決めたゴールもそのアシストをしたジエゴ・コスタがオフサイドだったとして認められず、そのまま負けてしまいましたっけ。うーん、こうなると「メッシがバルサのユニでなく、アトレティコのユニを着ていたら、ウチが0-1で勝っていた」というシメオネ監督のコメントもあながち、笑えないんですが、ここで突きつけられたのはバルサとの勝ち点差が8に開いてしまったという厳しい現実。 ▽何せ、「el Barcelona lo normal es que no pierda cuatro o cinco partidos/エル・バルセロナ・ロ・ノルマル・エス・ケ・ノー・ピエルダ・クアトロ・オ・シンコ・パルティードス(普通なら、バルサが4、5試合も負けることはない)」 (シメオネ監督)というのはまったくの正論ですからね。ここはもう、潔くリーガ逆転優勝は諦めて、お隣さんの上の2位で終わることを目標にしないといけないのかもしれませんが、はあ。ELの決勝は5月16日、リヨンまでの道のりが何だか、とっても遠くに感じられるのはきっと私だけではないはずです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.06 12:15 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】首位決戦になるらしい…

▽「あと4日って言ってもまだリーガ戦があるのに」そんな風に私が白けていたのは金曜日、というのもこのところ、レアル・マドリー関連のニュースはネイマール情報に特化。AS(スポーツ紙)など、早くもパリ入りしている特派員から、先週末のリーグ1のオリンピック・マルセイユ戦で負ったケガは足首のネンザだけでなく、第5中足骨の骨折も判明、結局、当人はW杯を優先して母国ブラジルのベロオリゾンテで手術を受けることに。要はCL16強対決PSG戦2ndレグには出られないということを仔細に渡って伝えてきたかと思いきや、土曜にヘタフェとのマドリーミニダービーを控え、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場であった監督記者会見内容もほとんど、来週火曜の対戦についてだったから。 ▽いえ、一応、ジダン監督は「Yo sigo pensando que hay Liga para nosotros/ジョー・シゴ・ペンサンドー・ケ・アイ・リーガ・パラ・ノソトロス(自分はウチにもまだリーガ優勝の目があると考えている)。難しいが、不可能ではない」と言っていましたけどね。確かに彼らと首位バルサの勝ち点差15がずっとこのままなら、33節まで夢を見ていることはできますが、選手たちも人間ですからねえ。残り12試合でライバルが5敗、もしくは8分けもするなんて、天地がひっくり返りでもしない限り、ありえないと思っていても仕方ないですし、この先、降格やヨーロッパの大会出場権を懸けて真剣に挑んでくるチームと当たり、CLしか目に入っていない自身が足元をすくわれることだってあるかもしれませんし…そう、まさにそれが今週のミッドウィーク開催リーガのエスパニョール戦だったんですよ。 ▽いえ、キケ・サンチェス・フローレス監督の率いるチームにはアトレティコも昨年12月、1年余り続いていたリーガのアウェイ無敗記録を破られましたし、バルサも1月のコパ準々決勝1stレグで敗戦。全てRCDEスタジアムで終盤にゴールを奪われ、1-0の負けと、決して火曜の対戦で同じ轍を踏んだマドリーを責められはしないんですけどね。ただ、この日もジダン監督は先週のブタルケでのレガネス戦に続いてクリスチアーノ・ロナウドにお休みを与え、週1試合ペースをキープ。その時は1-3と快勝したのに安心したか、ベンゼマもベンチスタート、ベイルをCFに置くという奇策に出たのが裏目に出たんでしょうかね。クロース、モドリッチ、マルセロが負傷欠場、カセミロも急性胃腸炎で遠征に参加できずというのもあったんですが、イスコ、ルーカス・バスケス、アセンシオ、ジョレンテ、アクラフらで構成されたチームは、コパ準々決勝2ndでレガネスに逆転勝ち抜けを許した汚名を返上することはできませんでしたっけ。 ▽うーん、前半はエスパニョールの堅い守りに阻まれ、後半には何度もカウンターのチャンスを許していた彼らだっただけに、私もロスタイムにとうとうセルヒオ・ガルシアのパスから、ジェラール・モレモがゴールを挙げた時にはいつぞやのデジャブを見ているような気がしたものですけどね。イスコなど、後半まだ0-0の時にベンゼマと交代させられ、まるで引き分け狙いかのようにピッチをノロノロ歩いて戻ってきたり、終盤にセルヒオ・ラモスがCFとして攻撃に参加して、守りが手薄になっていたのが仇になったり、試合後は試合後でバランが「A veces somos capaces de lo mejor y de lo peor/ア・ベセス・ソモス・カパセス・デ・ロ・メホール・イ・デ・ロ・ペオール(ボクらは時に最上なことと最低なことが可能)」とかつてのお隣さんみたいなことを言っていたりと、どうにもリーガのマドリーには突っ込みどころが多すぎ。 ▽こうなると、翌水曜、ドシャ降りの雨の中、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでデポルティボと対戦。降格圏にドップリ浸り、セードルフ新監督の下でもまったく改善の兆しを見せない相手のミスに乗じ、前半終了間際にはアンヘルがゴールライン上から押し込んで先制すると、続いてそのアンヘルのラストパスをボベダがオウンドールして2-0とリードして折り返すことに。後半にも敵DFのバックパスを追ったホルヘ・モリーナがvaselina(バセリーナ/ループシュート)で3点目を挙げ、3-0と完勝した弟分のヘタフェが勢いづいてサンティアゴ・ベルナベウに乗り込んで来る、土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのミニダービーもどうなることやら。 ▽実際、今度はロナウドがスタメン復帰予定、マルセロも負傷が治ってベンチに入るとはいえ、マドリーにとってはあくまでCL戦に備えての足慣らしという位置付けの試合ですからね。何だか、誰もが1stレグでは3-1と快勝しているのを忘れているみたいですが、たとえネイマールがいなくても、カバーニやムバッペ、そして水曜のクープ・ド・フランス準々決勝でも2得点と、マルセイユを下す原動力となったディ・マリアのいるPSGの攻撃力には用心しないといけない?一方、シーズン前半は1-2で惜敗したヘタフェは丁度、アマトが5枚目のイエローカードをもらったため、このマドリー戦で出場停止。おかげでデポルティボ戦では後半19分からピッチに入った柴崎岳選手の先発見込みが高まっていますし、まだチケットも3000枚程残っているそうなので、折よくマドリッド訪問中の日本人ファンにも観戦のチャンスがありそうですよ。 ▽え、そんなお隣さんと対照的にアトレティコの調子が劇的に良くなってきたのはCLの重荷がないせいもあるんじゃないかって?そうですね、来週木曜にはヨーロッパリーグ16強対決、ロコモティブ・モスクワとの1stレグが迫っている彼らですが、コペンハーゲンとの32強対戦の時同様、ロシアからのウルトラ(過激なファン)集団がワンダ・メトロポリターノに襲来するかもしれない懸念を除いたら、相手の話は一向に聞こえてこず。その脇で中国スーパーリーグに行ったカラスコ、ガイタンに続き、前日には控えGKのモヤまでレアル・ソシエダ(1月末にイニゴ・マルティネスがアスレティックに契約破棄金額で移ったため、1カ月の補強猶予期間があった)に電撃移籍、とうとうチームに19人しか選手がいなくなってしまったというショッキングなニュースがあったにも関わらず、ようやく雨が止んだ水曜夜のレガネス戦では滅多にお目にかかれない光景を目撃することに。 ▽それはグリーズマンのpoker(ポケル/1試合4得点のこと)で、だってえ、彼は前節のセビージャ戦でもハットトリックを挙げていたんですよ。もちろんその流れで調子はいいのだろうとは思っていたものの、まさかあそこまでだったとは!ええ、序盤はエラソや、グンバウとガブリエル・ピレスのダブルチャンスなどでレガネスが気を吐いたんですが、「No vale solo con tener ocasiones/ノー・バレ・ソロ・コン・テネール・オカシオネス(チャンスを作るだけでは価値がない)」とガリターノ監督も後で反省していた通り、前半26分にワンマンショーが開幕。まずはコケが自陣から出したスルーパスを追ってエリア内まで走ると、GKクエジェルの下を抜いて1点目を決めます。 ▽続いては35分、その日は最初のFKでもバーを直撃していた彼が2度目の正直で直接ネットに収めてくれたため、とりわけ今季は1点死守のケチ臭い試合に慣れていた私など、もう前半だけでグリーズマンとジエゴ・コスタを引っ込めて、バルサ戦に備えて温存すればいいのにと思ったぐらいでしたけどね。当人はまだ飽きたらなかったのか、後半も11分にはフィリペ・ルイスのクロスをヘッドで、22分にはコスタのクロスを利き足でない右で半ば打ち損じながらもゴールに。計4点を1人で挙げてしまったとなれば、2人同時に交代となった27分の直前、1対1をクエジェルに弾かれてしまったコスタがプリプリしながらベンチに戻って行ったのも、気持ちはわからなくはない? ▽結局、そのまま4-0で快勝したアトレティコでしたが、ここ2試合で7得点と尋常でないゴール数を記録したグリーズマンは丁度いい機会だと思ったか、ピッチでのフラッシュインタビューで「コメントやファンに黙るような仕草をしたりして間違うことはあるけど、en el campo no me equivoco/エン・エル・カンポノー・メ・エキボコ(ピッチで自分は間違えない)」と、2月のバレンシア戦でカウンターのチャンスにパスを後ろに出してファンからpito(ピト/ブーイング)を受けた際のリアクションについて言及。まあ、今更ながらですが、先日はシメオネ監督も「自分がファンなら、グリーズマンが来季も残ってくれるよう、何でもする」と全面的にバックアップ、それに応えてスタンドも応援してくれたのは本人も嬉しかったんでしょうね。 ▽その後、「Primero que no se acostumbren a que meta tres y cuatro goles/プリメーロ・ケ・ノー・セ・アコストゥンブレン・ア・ケ・メタ・トレス・イ・クアトロ・ゴーレス(最初に言うけど、3つも4つもゴールを入れるのに慣れちゃダメだよ)」と始めた記者会見では、コスタと一緒にプレーできるようになったのを「Me da mucha libertad/メ・ダ・ムーチャ・リベルタッド(自分が大いに自由を与えてくれる)」と高く評価。曰く、「サイドに流れたり、中に入ったり、好きなことができるし、前線での対象もできた。彼が敵DFとぶつかって、ボクはリバウンドにスタンバイ」だそうですが、何より頼もしいのはグリーズマンのシュート精度が上がってきたことだったかと。 ▽そんな好調極まりないアトレティコを見てしまっただけに、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時45分)からのカンプ・ノウでもいい試合をしてくれることを期待してしまった私でしたが、いやあ、天は自ら助くる者を助くってこと、本当にあるんですねえ。翌木曜には再び、首位バルサとの勝ち点差が7に戻るのを覚悟していたところ、パコ・ヘメス監督のラス・パルマスがジャッジにイロイロ議論はありながら、カレリのPKゴールで1-1の引き分けに持ち込んでしまったから、ビックリしたの何のって。これで1位と2位の差は勝ち点5。もしももしも、この直接対決にアトレティコが勝ったら、たったの2差って、つまりあとは5月のクラシコ(伝統の一戦)でお隣さんが協力してくれさえしれば、逆転優勝できるかもしれない? ▽いや、彼らにだってベルナベウでのダービーがありますし、木曜のベティス戦を零封して、GKモヤが立派にソシエダデビューをしてしまったため、オブラクはもう風邪すら引けないなど、もちろんまだ取らぬ狸の皮勘定にしかすぎませんけどね。1カ月前は11ポイント差と全然、つまらなかったリーガ優勝戦線が俄然、興味深いものになってきたのはきっと私だけではないはず。ちなみにその試合、バルサではあとイエローカード1枚で累積警告だったルイス・スアレスが難を逃れ、出場できるんですが、そこは「En la cancha no hay amigos/エン・ラ・カンチャ・ノー・アイ・アミーゴス(ピッチでは友達はいない)」(ヒメネス)という、ゴディンとのウルグアイ代表CBコンビを信頼するしかないかと。うーん、本当に怖いのはラス・パルマス戦でも見事なFKゴールを決めたメッシなんですけどね。こればっかりはどうしようもないため、当日、ツキが味方してくれることを祈るしかありません。 ▽そしてアトレティコにも負けてしまったため、とうとう6試合白星なしとなってしまったレガネスは土曜に最下位のマラガをブタルケに迎えるんですが、何せその後はアスレティック、セビージャ、バレンシア、バルサと手ごわい相手との対戦が続きますからね。順位が16位になってしまったのは、勝ち点30で降格圏にまだ勝ち点差10あるため、あまり気にしなくてもいいかと思いますが、ガリターノ監督も「Las diferencias en Primera entre unos equipos y otros es abismal/ラス・ディフェレンシアスエン・プリメーラ・エントレ・ウノス・エキポス・イ・オトロス・エス・アビスマル(1部でのチーム間の差は深淵のように大きい)」と言っていたように、とにかくこの試合が踏ん張り時。とりあえず、弟分ライバルのヘタフェのように勝ち点36ぐらい貯めれば落ち着くはずですが、残留確定にはあと3勝ぐらいは必要でしょうかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.03 10:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】VARの問題点

▽昨シーズンからスタートしたレフェリングカンファレンス。今年の第1回目は2月22日にメディア向けのブリーフィングが行われた。記者に対して、いつものようにテスト形式で昨シーズンに問題のあったジャッジを検証しつつ今シーズンの傾向を解説した。 ▽ただ、今シーズンの傾向に対し、ジャッジに特段の変更点は報告されなかった。一番の変更点はビデオ判定の導入=VARだが、こちらはFIFAの決定待ち。小川委員長は「おそらくロシアW杯で採用されるだろうが、運営に関しては待つしかない」とし、経費面での負担と人材育成の難しさに顔をしかめていた。 ▽改めて説明すると、VARは「ゴールが決まったかどうか」、「PKに値するプレーがあったかどうか」、「退場(レッドカード)に値するプレーだったか」、「警告、退場を主審が提示した選手に誤りがなかったどうか」の4つのプレーに限定され、最終決断は主審がビデオを見てジャッジする。 ▽そこで問題になると小川審判委員長が話したのは、どのシーンが検証するか判断するVARの担当者の眼力だ。昨年11月、日本代表の海外遠征で、ブラジル戦では吉田のファウルからPKと判定されて日本は失点した。 ▽小川審判委員長は、「仕事として関わっていると、何かを見つけなければいけないという心理に陥る危険がある」と危惧していた。実際、その通りだろう。新しいシステムの担当者としては、「成果を出す」ためにはプレーの検証を主審に報告するのが仕事になる。しかしながら、そのためにプレーは数分間中断されることになる。そのタイムラグは取材している我々だけでなく、ファン・サポーターも興ざめすることは間違いない。90分間の試合中にVARで何度も中断されたら、選手たちの闘志も下がる懸念がある。 ▽様々な問題をはらむ可能性のあるVARシステム。果たしてロシアW杯ではどのような運営と結果になるのか。こちらは大会後の検証に委ねるしかないが、個人的にはかつてフランツ・ベッケンバウアーが、1966年イングランドW杯決勝(イングランド対西ドイツ)でジェフ・ハーストのシュートが決まっていたかどうかや、1986年メキシコW杯(アルゼンチン対イングランド)のディエゴ・マラドーナの「神の手ゴール」を例に出し、「誤審があったからこそ論議を呼び、長く記憶に残る」というコメントを支持したい。 ▽話が横道にそれてしまったが、昨シーズンを振り返って、審判委員会は全クラブの選手に対して2~3の要望を出した。こちらは来週のコラムで紹介させていただきたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.03.02 13:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】今年の優勝チームはもう決定! おめでとうございます!?の巻

▽さあ! 第1節が終わって、これでもう優勝チームがわかった! あとはシーズンが終わるまでのんびりゲームを楽しむのみ! ▽どうです? この神のごときコラムは。適当に言ってるんじゃないですよ。ちゃんと裏付けはあるんです。では謎解きをじっくりしていきましょう。 ▽2000年代に入って1シーズン制だったのは、2005年02014年、2017年。このシーズンで優勝したチームと、そのチームの初戦の結果、さらに初戦の順位と対戦相手の年間順位を調べてみると、 2005年 G大阪 0●2 17位(大宮・13位) 2006年 浦 和 1△1 8位(G大阪・3位) 2007年 鹿 島 0●1 12位(川崎・5位) 2008年 鹿 島 4○0 1位(札幌・18位) 2009年 鹿 島 2○0 5位(浦和・6位) 2010年 名古屋 2○1 4位(G大阪・2位) 2011年 柏 3○0 1位(清水・10位) 2012年 広 島 1○0 2位(浦和・3位) 2013年 広 島 1●2 14位(浦和・6位) 2014年 G大阪 0●1 14位(浦和・2位) 2017年 川 崎 2○0 2位(大宮・18位) ▽ってことになるんです。もうこれで一目瞭然!! あー疲れた。では今週はこのへんで!! ▽……編集部から突き返されたので、しぶしぶ続きを書きましょうかね。 ▽優勝したチームの初戦の成績は6勝1分4敗。もうこりゃ勝つか負けるかって戦いで、「初戦だからとりあえず勝点1」なんつってるチームはなかなか優勝までたどり着かないんですよ。やっぱり。 ▽でもって無得点試合は11試合中わずかに3試合。攻撃力がないと上には行けません。逆に無失点試合は11試合中5試合。守備はまぁそこそこ安定してるって感じですな。 ▽初戦を終えての順位の平均は、7.2位。ただし、実は中位ぐらいにつけていたチームってのはほぼなくて、上位か、あるいはかなり下位のほうに沈むかなんです。これも勝負に行っちゃってるから起きる現象ですね。 ▽ま、ここまでで優勝を目指すチームの積極果敢な姿勢が見えるってもんです。 ▽ただし!! もっと重要で優勝と関連性の高いデーターが!! ▽それは何と!! 11試合中、浦和が対戦相手だったのが、浦和が優勝したときも含めて5試合! つーことは初戦で浦和と対戦すればぐっと優勝の確率が上がる! ってことは今年の優勝はFC東京! ▽あ、しまった。過去の例で唯一初戦引き分けから優勝してるのが浦和でした。FC東京vs浦和が1-1だったってことは……あーでも3-0で堅守の磐田を倒した川崎も強そうだし、名古屋の外国籍選手たちもフィットしてるし、データに関係なく鹿島は不気味だし……。!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.03.01 13:45 Thu
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