もうマドリッドにはリーガ戦しかない…/原ゆみこのマドリッド

「これがコパ・デル・レイ決勝で起こっていたら」そんな風に私が想像していたのは木曜日、前夜のCL準決勝インテル戦1stレグでハーフタイム間近に交代したバルサのクンデが左太ももを負傷。全治3週間で2ndレグにも、リーガのクラシコ(伝統の一戦)にも間に合わないらしいと知った時のことでした。いやあ、月曜はスペインほぼ全土に渡るスーパー大停電で始まった今週、マドリッドのチームはどこもミッドウィークフリーでヒマだったんですけどね。水曜の一戦もクレ(バルサファン)に囲まれてTV観戦する気が起きず、バル(スペインの喫茶店兼バー)には行かなかった私なんですが、後で見ておけば良かったと後悔することに。

ちなみにその試合、モンジュイックでの開催だったにも関わらず、うーん、やっぱりバルサはまだコパの優勝呆けしていたんでしょうかね。開始1分もしないうちから、テュラムに先制点を決められたかと思えば、21分にはダンフリースが2点目をゲット。それでやっと目を覚ましたジャマルが25分、敵選手5人に囲まれながらのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で1点を返すと、38分にはフェラン・トーレスも決めて、前半を2-2で終了したため、後半は私もGOL(スポーツ専門オープン放送局)で実況を聞くことにしたんですけどね。

それが後半途中、CMが終わって、番組が戻ってきたところ、即ゴールコールがあって、しかもダブルというから、ビックリしたの何のって。そう、19分、CKから再びDFのダンフリースのヘッドでインテルがまた1点リードした直後、バルサもCKからラフィーニャの弾丸シュートがゴールバーに当たった後、GKゾマーの後頭部で3-3にするオウンゴールになったんですよ。試合の方はそのままのスコアで終わり、全ては来週火曜のサン・シーロでの2ndレグで決着がつくことになったのはまあいいとして、気になったのは前半42分にはクンデがケガで交代していたこと。

だってえ、コパ決勝の延長戦でバルサに優勝をもたらすゴールを挙げた選手ですよ。しかもフリック監督のローテーションに入らない彼は今季、そのインテル戦が53試合目の出場。ここまで酷使されれば、負傷するのは時間の問題で、それがあと1試合早かったなら、カルトゥーハではレアル・マドリーがPK戦で勝利して、今頃、今季3つ目のタイトルを祝っていたかもしれないと思ってしまうマドリディスタはきっと、少なくなかったかと。

え、それよりバルサの1stレグでの撃ち合いドローといえば、コパ準決勝1stレグを思い出さないかって?その通りで、実際、フリック監督も「ウチはコパのアトレティコ戦と同じ状況にある」と言っていたんですけどね。ただ違いは、モンジュイックでシメオネ監督のチームが土壇場に4-4と追いついて分けた後、2ndレグが行われたのは1カ月も経ってからだったこと。ええ、その間にアトレティコはCL16強対決2ndレグPK戦で尋常では起こりえない不運があって敗退し、更にリーガのバルサ戦でも2点差を引っくり返されて、2-4の逆転負け。リーガ優勝の目もほぼここで失ってしまったため、コパ準決勝2ndレグではかなり尾羽打ち枯らした状態で、前半にフェラン・トーレスに決められた1点を返せず、0-1で敗退という結末に。

対照的にこのCL準決勝は1stと2ndレグの間が1週間しかなく、それでインテルも負傷交代したラウタロが間に合わないようなんですけどね。よって、ミラノでもまた撃ち合いになるかもせず、決して大船に乗った気ではいられないんですが、いやあ、バルサは恵まれていますよ。というのも、ここしばらく負傷のリハビリ中だったレバンドフスキとバルデが復帰見込みだそうで、となれば、取られたら、取り返せばいい作戦を変える必要はない?

ちなみにそんなバルサとは真逆な逆境地獄に陥ってしまったのがマドリーで、ええ、コパ決勝で負けたのは言わずもがなですが、その試合でリュディガーがヒザの半月板を部分断裂、メンディも右太ももの肉離れを起こして交代。更にリーガ前節ヘタフェ戦のハーフで退いたアラバも昨年、靭帯断裂したヒザの半月板を損傷していることがわかり、3人揃って手術って、そんな不幸な偶然があっていい?

いえまあ、全治6週間と言われるリュディガーはコパ決勝でもらったレッドカードのせいで、出場停止6試合となったため、どちらにしろ、リーガの残り試合には出られないんですけどね。アラバとメンディの方は6月18日のアル・ヒラル戦から始まるクラブW杯にも間に合わないそうで、現在、マドリーでプレー可能なDFは、コパ決勝での退場による2試合の処分は来季のコパで消化するルーカス・バスケス、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のアセンシオ、員数外と見なされているバジェホ、そしてフラン・ガルシアのたった4人だけという、前代未聞の人手不足が発生することに。

それでも一応、CBにはチュアメニをアテにできるんですが、カマビンガも負傷中の今、中盤も決して人員豊富という訳じゃありませんからね。残り5試合は、ほぼ2部昇格プレーオフ出場の可能性がなくなったラウール監督の率いるRMカスティージャ(RFEF1部)からDFを借りてくるしかなさそうですが、実はマドリーが落ち着かない理由はそこに留まらず。というのもアンチェロッティ監督のブラジル代表監督就任の話がいよいよ、本当になりそうだったから。

実際、今週の火曜には当人がクラブの許可を得て、ロンドンまで出向き、ブラジル・サッカー協会と交渉していましたしね。ただ、6月の代表戦から指揮を執ってもらうため、向こうは契約書類を用意していたにも関わらず、アンチェロッティ監督はサインに至らず。その理由はまだ、逆転優勝の可能性もあるリーガ戦が残っている上、これはクラブW杯を現在、サッカー・ディレクターのソラリ氏が暫定監督として引き継ぐという、世間の予想に真っ向から反する情報だったんですが、アンチェロッティ監督自身がアメリカでの初出の大会の指揮を執りたいからなのだとか。

まあ、これと来季は現レバークーゼンのシャビ・アロンソ監督を招聘する話は別なんですけどね。ただ、この日曜午後2時(日本時間午後10時)のセルタ戦、そして11日のクラシコに連敗でもして、完全にリーガ優勝不可能となってしまった場合、アンチェロッティ監督の気が変わるかもしれませんし、そればっかりは先が読めず。何せ現在、7位のセルタはバルサには4-3で負けたものの、続くビジャレアル戦で3-0の勝利と、2試合連続3得点していますからね。ボルハ・イグレシアスが4得点と当たってきましたし、相手は勝ち点2差のオサスナ、マジョルカの追撃をかわして、来季のEL出場権を死守しようとしているため、エムバペとビニシウスが完全に回復しているとはいえ、果たしてどうなることやら。

そしてこのところ、すっかり週1試合生活に馴染んでいるお隣さんのことにも触れておくと、今週はスーパー大停電の影響で月曜こそ、8人の選手がマハダオンダ(マドリッド近郊)での夕方練習に間に合わなかったものの、火曜からは平常運転に。試合が少なくなったものだから、ケガ人もいないアトレティコは土曜午後2時からのアラベス戦を目指して日々、シメオネ監督にハッパをかけられながら、汗を流しているんですけどね。

ただ、4月のリーガMVPをもらったフリアン・アルバレスは「Necesitamos seguir sumando de a tres estos cinco partidos para terminar lo más arriba posible/ネセシタモス・セギール・スマンドー・デ・ア・トレス・エストス・シンコ・パルティードス・パラ・テルミナール・ロ・マス・アリバ・ポシーブレ(できるだけ上の順位で終わるため、ボクらは残り5試合で勝ち点3を獲得し続ける必要がある)」と言っていたものの、これまでの例から考えて、その辺はあまり信用おけない彼らですからね。メンディソローサでのアラベス戦には昨季、レンタル修行していたジュリアーノの活躍もあって、2-0と負けているため、その二の舞にならないことを祈るばかりかと。

ええ、本音のところ、やっぱりアトレティコの目標は6月15日のPSG戦から始まって、シアトル・サンダース、ボタファゴと対戦するクラブW杯のようで、フリアンも「Es un torneo importante, así que vamos a prepararnos bien para hacer un gran torneo/エス・ウン・トルネオ・インポルタンテ、アシー・ケ・バモス・ア・プレパラールノス・ビエン・パラ・アセール・ウン・グラン・トルネオ(重要な大会だから、いい大会にできるようにしっかり準備するよ)」と話していましたしね。相手のアラベスも前節、レアル・ソシエダに勝って、降格圏を抜けたとはいえ、ラス・パルマスと勝ち点2、レガネスと4の17位と残留ゾーンぎりぎりにいるチームのため、試合に挑む覚悟が違うのが怖いですよね。

その一方で兄貴分の援護射撃を心待ちにしているレガネスは日曜にセビージャ戦で、いやあ、最近、絶不調の相手は2節前にピミエンタ監督を解任し、旧知のカパロス監督を呼んだんですけどね。それでもアラベスとは1-1で引き分け、オサスナには1-0で負けとまだ勝ち星がないんですが、ここ7試合白星のボルハ・ヒメネス監督のチームも決して調子は自慢できたものじゃないのが辛いところ。おまけにシセは出られないのに、セビージャは同様に前節の退場で出場停止だったはずのルケバキオまで、行政裁判所の処分一時停止命令で出られることになってしまい、ツイてない感もなくはないかと。

といっても残り5試合、現在、勝ち点が30しかないレガネスは、このセビージャ戦に続くエスパニョール、ビジャレアル、ラス・パルマス、バジャドリーとの試合で、通常の残留確定ポイント42に届くためには勝ち点12、要は4勝が必要ってことですからね。もちろん、最下位バジャドリーの降格が前節に決まった後、残り2席を争う、ラス・パルマス、アラベス、ジローナ、セビージャといったチームの成績にもよるんですが、とにかく今は根性を見せて、2部最速Uターンを避けてほしいものです。

そして最後に34節の先陣を切る金曜試合、エスタディオ・バジェカスでの弟分ダービーにも触れておくと、ラージョとヘタフェはまだ勝ち点42にはなっていないものの、現在、11位と12位と降格圏からは遠いところに位置。ただ、それがいいのか悪いのか、おかげで前者はここ4試合白星がなく、後者は3連敗中と、ええ、来季はスペインのCL出場チームが4から5になるため、8位までがヨーロッパの大会に出場。どちらにとってもいいチャンスだったんですが、この流れだとやっぱり高望みだったような。

それでも弟分同士にもマドリッド第3のチームはどちらかというメンツが懸かっているため、決して手を抜くことはないと思いますが、何せ、ヘタフェはエスパニョール戦で退場したウチェが3試合の出場停止で、前節からいませんからね。おまけにこのところ、マジョラル、ファンミ、ベルトゥグらFW陣がゴール日照り期に入ってしまったため、アランバリぐらいしか、得点が期待できないんですが、こればっかりはねえ。ただ今節、ラージョは正GKのバタジャとラティウが累積警告で出場停止となり、代理でGKカルデナス、バリウが入るため、その辺につけ入る隙はあるかと。前節はメトロポリターノで兄貴分に3-0と完勝されてしまったイニゴ・ペレス監督のチームもFW陣に関してはあまり潤っているとは言えないものの、バジェカスのファンの前では頑張らないといけないですよね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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