初めての代表4連戦が始まった…

「バルサに代わってアトレティコが一番多くなっちゃったってこと?」そんな風に私が驚いていたのは日曜日、前日のイングランド戦でキックオフ直前にヒザの痛みを訴え、先発落ちしたエリック・ガルシア(バルサ)がスペイン代表を離脱。代わりにル・ノルマン(アトレティコ)が追加招集されたという知らせがあった時のことでした。いやあ、この新設9月10月合体長期代表戦週間では、初戦に旅立った後はもうラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設には戻って来ないのが普通だったこれまでとは違い、ウェンブリーで試合を終えた直後、チームはマドリッドに帰還したんですけどね。

日月とラス・ロサスで練習してから、ネーションズリーグ・グループリーグ2節の開催されるセビージャに移動するんですが、ええ、古くはデル・ボルケ監督時代のナチョ(当時はレアル・マドリー、昨季までアル・ガーディシーヤでプレー)を始め、昨年のデ・フルートス(ラージョ)など、近場にいるマドリッド勢が追加招集の対象にされがちでねえ。よってユーロ2024優勝メンバーでありながら、この夏のW杯には不参加だったル・ノルマンが呼ばれても不思議はないんですが、折しもシメオネ監督のチームはこの週末、土日月を3連休に。

おかげでキャプテンのコケなど、土曜のオーランド・シティの試合を見にフィラデルフィアまで行って、旧友グリーズマンとの再会を果たしていたりしたため、ル・ノルマンが必ずしもマドリッドにいた保証はありませんが、これで元々、今回の代表戦週間に16人招集されていたアトレティコは17人に。逆にバルサは17人が16人になって、リーガ20チーム中、出向選手最多チームが入れ替わるって、うーん、アトレティコも15人招集されたお隣さん同様、paron(パロン/リーガの停止期間)明けにCLリーグフェーズがあって、ハードスケジュールになりますからね。

すでにフランス代表の1試合目が始まる前にコナテがヒザの側靭帯を負傷して帰還。初戦のトルコ戦でも決勝ゴールを挙げたエムバペがその際、昨季後半、頭痛の種となっていた左ヒザを痛め、マドリッドに速攻、戻って来たのを見るにつけ、代表選手が多いことの弊害を心配してしまっても仕方ない?逆に実は軽傷だったマドリーの2人は超長期代表戦週間のおかげで、10月10日のビジャレアル戦に間に合いそうだというのはちょっと皮肉ではありますけどね。ちなみにスペインのエリック・ガルシアはマルチDFですが、ペドロ・ポロ(トッテナム)が負傷中、ジョレンテ(アトレティコ)が代表引退した今回、右SBとしてプレー予定だったため、イングランド戦ではアトレティコではCBをやることが多いプビルが代わりを務めることに。

たった1試合の出場で、ゆっくりベンチから観戦することができたW杯とは違い、あと3試ずっと出ずっぱりとなってしまう可能性もありますし、アトレティコのレギュラーCBはハンツコ(スロバキア)も金曜のモルドバ戦に左SBとして先発。2-0で勝利した試合でPKを獲得するお手柄でしたし、メッシの後を継いでアルゼンチンのキャプテンになるというクティ・ロメロも10月1日から始まる親善3連戦で顔出ししない訳がありませんからね。となると、スペイン代表はクバルシ(バルサ)とラポール(アスレティック)に任せ、ル・ノルマンにはあまりプレーしてほしくないかも。

実際、5人しか代表選手がいないにも関わらず、弟分のラージョもインドネシア代表の親善シンガポール戦に出場しなかったGKアウデオが負傷しているというニュースが入って来ましたしね。程度の方まではよくわからないんですが、いよいよエスタディオ・バジェカスで今季デビューできるアスレティック戦で、長期リハビリ中のバタジャの代わりに獲った守護神が使えないとなったら、ベニャト・サン・ホセ監督も困ってしまうかと。ええ、現在、浪人中の選手から補強を探しているヘタフェのボルダラス監督も5人の代表選手たちが恙なく戻って来てくれることを心の底から、祈っているはずですって。

まあ、そんなことはともかく、6月19日にニュージャージーのメットライフ・スタジアムで2度目の世界王者となって以来、初めて試合を迎えたスペイン代表のことを話していくことにすると。火曜にはペドロ・ポロの代理としてU21代表から、フレスネダ(スポルティングCP)を徴用して、ラス・ロサスの施設に集合したチームだったんですが、いやあ、本当にW杯優勝効果は覿面でねえ。午後7時からの公開練習のため、午前8時から、まだ残暑も厳しい中、入場待ちの列に並ぶファンも現れたぐらいで、いえ、私は20分ぐらい前に着いたんですけどね。

もうすぐ練習が始まるにも関わらず、代表ユニを着たファンが施設周辺の道を何人もウロウロしていたため、何事かと思いきや、午後6時半には入場制限がかかって閉門に。当てが外れたファンがかなりいたようでしたが、入れたものの、スタンドにはたどり着けず、ゴール裏の壁沿いがギャラリーで鈴なりになっている光景なんて、いつ以来か、私も思い出せなかったぐらい。ちなみに11月にはまた、アウェイのチェコ戦、そして15日、メトロポリターノでのイングランド戦のため、スペイン代表はおそらく9日辺りに公開練習となるはずですが、もし観光旅行ついでに見学しようと思っている日本人ファンがいるなら、早めに行くことを推奨。ただ、今は人気がピークに達しているため、試合のチケットも即完売してしまうのは辛いですよね。

まあ、公開練習の方は足にマメのできたプビルがジム籠りとなったぐらいで、いつも通りにロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)から始まり、余力のある選手たちはpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)、疲れている選手はランニングして終わりといった具合で進行。最後は恒例の選手全員参加のファンサービスで終わったんですが、とにかくスタンド前列は人がギッシリでようよう移動もできないため、どの選手のサインをもらえるかは運次第に。そのせいか、モンクロアに戻るバスを待っている間、それぞれの成果を報告し合っているファンのグループも多かったかと。

そして水木、試合前日の金曜もラス・ロサスで非公開練習をしたチームは夕方、ロンドンに移動。ウェンブリーのほとんど隣にあるヒルトン・ロンドン・ウェンブリー・ホテルに宿泊し、翌土曜にはイングランド戦を迎えたんですが、ええ、相手は2年前のユーロ決勝で戦った因縁の相手ですからね。この夏のW杯でもアルゼンチンに準決勝で負けた後、フランスに勝って、3位となっていますし、試合前から接戦が予想されていたんですが、開始2分、いきなり均衡を破ったのは、このところ、エムバペとのバロンドール獲得PR合戦に余念のないジャマル(バルサ)でした。

そう、敵エリア右前でコンサ(アーセナル)からボールを奪い、そのまま自身のシュートでGKトラフォード(リーズ)を破ってしまうんですから、ビックリさせてくれるじゃないですか。その後も30分過ぎぐらいまではスペインペースで進んでいたんですが、W杯決勝のスタメン、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)から代わっていた、フェラン・トーレス(PSG)が決めたゴールは残念ながら、オフサイドで認められず。更には1対1のシュートも外してしまうなど、アルゼンチン戦での決勝ゴールに加え、今季、バルサから河岸を変えた後、パリでの5試合4得点の好調ぶりを買ってくれたデ・ラ・フエンテ監督の期待には応えられなくねえ。

すると36分、唐突に流れが変わり、いえ、キッカケはこちらもバエナ(アトレティコ)の代わりに左サイドに入っていたニコ・ウィリアムス(アスレティック)だったんですが、敵エリア付近で足を滑らせ、ボールをロスト。そこからイングランドの速攻カウンターが始まり、最後はベリンガム(マドリー)のスルーパスを追ったゴードン(バルサ)に同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変!続いてその4分後にも、オライリー(マンチェスター・シティ)のクロスをハリー・ケイン(バイエルン)がヘッドしたところ、そのボールがクリアしようとしたククレジャ(マドリー)の太ももに当たり、オウンゴールになってしまうって、もしかしてこの日のスペイン、ツイていない?

だってえ、彼ら、2-1で始まった後半6分にもロドリ(バルサ)がエリア内でベリンガムを倒したプレーがVAR(ビデオ審判)モニター判定となり、ペナルティを取られてしまったんですよ。もちろんPKキッカーはハリー・ケイン、昨季61得点もしているFWが失敗するとは考えられず、私も3-1を覚悟したんですが…起きたんですよ、奇跡が。そう、蹴る瞬間に足を滑らした彼のPKはゴールバーを直撃。その上、両足でボールに触っていたとして、GKウナイ・シモン(アスレティック)のゴールキックになったんですが、え?それっていつだか、フリアン・アルバレス(アトレティコ)もやっていなかったかって?

その通りで、まさに2シーズン前のCL16強対決マドリーダービー2ndレグ、PK戦でフリアンはゴールを決めたものの、両足蹴りだったとして無効に。結局、アトレティコは敗退してしまったんですが、その後、ルールが見直され、両足蹴りでゴールとなった場合は蹴り直し。外れた場合はやり直さないことになったんですが、ええ、このPK失敗にはトゥーヘル監督も「もし決まっていたら、スペインも長く続いた無敗街道はここで終わったと思ったことだろう」と悔しがっていたんですけどね。

逆に「Veía al equipo capaz de superar cualquier circunstancia/ベイア・アル・エキポ・カパス・デ・スペラル・クアルキエル・シルクンシタンシア(チームにはどんな状況も乗り越えられる力があると思った)。たとえ、3-1にされても同様に反撃しただろう」とデ・ラ・フエンテ監督は言っていたんですが、とりあえず、その直後には彼も早々に軌道修正をすることに。フェランとニコを下げ、オジャルサバルとバエナを投入したところ、これが大当たりだったんですよ。

そう、入って4分もしないうちにtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でジャマルにシュートチャンスを作ったバエナが15分、ライン前でダニ・オルモ(バルサ)からボールをスイッチすると、そのまま狙い澄ましたシュートを決め、同点ゴールをゲット。更に29分にも、今度はスルーパスをオジャルサバルに送って、vaselina(バセリーナ/ループシュート)による勝ち越し点ゴールを導いているとなれば、たとえ、所属クラブでの調子がどうであれ、世界王者スペインの絶対レギュラーが誰かは一目瞭然では?

何せバエナなど、ニコが負傷上がりだったためにお鉢が回ってきたW杯ですっかり自信をつけ、今ではアトレティコでも頼りになる選手になってくれましたからね。その後はベリンガムのシュートなどがあったものの、そのまま2-3で逃げ切ったスペインはとうとう、39試合連続無敗記録を達成。ネーションリーグ・グループリーグで幸先のいいスタートを飾ったんですが、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの2節、サンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)でのクロアチア戦までは中2日しかありませんからね。

オビエドでの3節チェコ戦も中3日、そしてまた中2日おいて、スプリトでクロアチア戦となると、デ・ラ・フエンテ監督もローテーションをしない訳にはいかないと思いますが、招集リスト26人中、このイングランド戦でベンチ外となったのは、W杯でも負傷のリハビリがなかなか終わらなかったのが尾を引いて、出場機会のまったくなかったビクトル・ムニョス(リバプール)、これが初招集となるロベルト(エスパニョール)と同フレスナダ。いくら最強メンバーが明らかだろうとも、使い倒せば、クラブの方も黙っていないでしょうし、初戦でチェコに1-2と勝利した、モドリッチ(ミラン)率いるクロアチアに立ち向かうメンツは果たしてどうなるんでしょうね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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