いきなり暇な日々が戻って来た…

「この先の2週末はリーガがないのね」そんな風に私が空白の増えた予定表を眺めていたのは月曜日、7節が終わって、新設の9月10月分合体の各国代表戦週間が始まった週明けのことでした。いえ、レアル・マドリーからはククレジャとハイセン、アトレティコからはジョレンテは引退したものの、グリマルド、バエナ、プビルが参加するスペイン代表は火曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合。午後7時(日本時間翌午前2時)から公開練習(ネット中継あり)となるため、まだスタンバイ状態なんですけどね。

その各国代表もヨーロッパ勢こそ、ネーションズリーグ・グループ予選6試合中4試合を一気にこなすため、ハードスケジュールであるものの、アフリカ・ネーションズカップ予選のあるアフリカ勢にしても、親善試合が組まれているアジア、中南米勢にしても、そこまでギッチリ働くことはなし。いつも通り、懸念は半数以上の選手を招集されているマドリッドの兄貴分チームたちも、3~5人程度の弟分チームたちもFIFAウィルス(代表招集中の負傷)だけなんですが、少なくともマドリッド勢4チーム中3チームは心穏やかにこの3週間を過ごせるのは良かったかと。

そう、ヘタフェとラージョは勝ち点8で11位、12位に並び、降格圏から勝ち点3離れていますからね。マドリーダービーで勝ち組となったアトレティコも首位バルサと勝ち点5差ながら、2位に躍進。お隣さんに敗れたマドリーだけが、6差の4位となってしまったため、モウリーニョ監督に最初のクライシスが訪れたなんて言われているんですが、このparon(パロン/リーガの停止期間)中は主力選手がゴソッといなくなるため、ジタバタのしようがない?

まあ、そんなことはともかく、土曜にラージョがエル・サダルでオサスナと1-1と分けた後、日曜開催となったリーガ7節はどうだったのか、お話ししていくことにすると。午後2時から、再び残暑に見舞われたコリセウムでマラガ戦を迎えたヘタフェの様子は、最初はTVで、本家マドリーダービーに向かうため、家を出てからは、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況中継で追っていた私だったんですが、最下位チームを前にウナル、アソン、サトリアーノのFW3人制を敷きながら、とにかくボルダラス監督のチームはゴールが遠くてねえ。

それどころか、前半終了間際にはマラガのドトルがゴールを決めて、ヒヤリとさせられたんですが、幸いオフサイドでスコアボードには上がらず。後半も20分に力尽きたジェネがマンガラに代わったぐらいで、ずっと0-0だったんですが、折しも私がメトロポリターノのスタンドに着いた40分、待望のニュースが届いたんですよ。そう、サトリアーノからボールをもらったアソンが、うーん、後で映像を見ると、右サイドを1人で上がって行く彼には到底、シュートまで可能には見えなかったんですけどね。

それが「ベルカルが来るのが見えたから、he hecho el caño medio queriendo medio sin querer/エ・エッチョー・エル・カーニョ・メディオ・ケリエンドー・メディオ・シン・ケレール(半分は意図して、半分は偶然で股抜きをかけた)」とこの夏、コモからレンタルで来た23才のFW(昨季はイプスウィッチ・タウンでプレー)がまんまとエリア内に入り込み、サリナスを振り切って、GKエレロを破ってしまうんですから、偉いじゃないですか。時間も時間だったため、その後はアソン、サトリアーノをサソノフ、ダビンチのDF2人と代え、そのまま1-0で逃げ切ったヘタフェは、これでようやく今季2勝目を挙げることに。

この日もボルダラス監督は、「Esto es un sinvivir, ese es el sentir mío, de los jugadores/エストー・エス・ウン・シンビビール、エセ・エス・エル・センティル・ミオ、デ・ロス・フガドーレス(これは苦痛に満ちた試練だ。私も選手たちもそう感じている)。彼らは並外れた努力をしており、その多くはフィジカルギリギリのところでピッチで耐えている」と、チームが疲労困憊状態にあることを訴えていたんですが、いやあ。何せ、シーズンは始まったばかりですからね。こんな早くから息切れを起こしていたら、10月10日のカンプ・ノウ訪問を皮切りに2週連続、ミッドウィークにカンフェレンスリーグ・リーグフェーズの試合が入る来月は一体、どうなってしまう?

少なくとも、サトリアーノ(ウルグアイ)、ジェネ(トーゴ)、サソノフ(ジョージア)、グデリ(セルビア)、マリオ・マルティン(スペインU21)以外はこの3週間、十分な休養を取って、1週間2試合体制を乗り切る体力づくりに励めるのは朗報ですけどね。ちなみに昨季はそのヨーロッパの大会との両立を、決勝でクリスタル・パレスにぶち当たるまで走り切った弟分仲間のラージョの方は、今季は楽をできる番。ここまで7試合7得点と、ついにゴール力が開花したようなカメージョもスペイン代表には呼ばれなかったため、とうとう使用許可が出たエスタディオ・バジェカスでの初戦となる、リーガ再開8節アスレティック戦に向けて、力を蓄えていってくれるはずかと。

そしてバックスタンドの一部円形部分だけ強い日差しを浴びていたメトロポリターノでのマドリーダービーがいよいよ、始まったんですが、この日のフォンド・スール(南側ゴール裏席)は「Del Atleti, al Cielo/デル・アトレティ、アル・シエロ(アトレティコから天へ)」と書かれたシンプルな横断幕と赤白のモザイクを掲げて選手たちをお出迎え。両チームの先発もほぼ予想通りだったんですが、序盤から、妙にバエナがギュレルに突っかかって行ってねえ。相手も若いながら、トルコの熱い血でやり返すものだから、前半6分にはそれに抗議してシメオネ監督がイエローカードをもらっている始末。それ以外は散発的にシュートはあったものの、GKオブラクもクルトワも手を煩わすことなく、そのまま0-0でハーフタイムに入ったんですが、起きたんですよ。後々、モウリーニョ監督がCTA(審判テクニカル委員会)に敗戦の責任を押し付ける出来事が。

それは35分、まずクティ・ロメロにタックルに行ったベリンガムにイエローカードが出されたんですが、主審はVAR(ビデオ審判)注進を受けて、モニターチェックへ。結果、クティのスパイクがベリンガムのヒザに入っていたとして、イエローの対象が変わった件とその後、イ・ガンインがバルベルデの足首を蹴りながら、ファールだけに終わってしまった件で、うーん、確かに映像を見ると、どちらもレッドカードが出てもおかしくはない気はするんですけどね。

被害者の2人共、すぐ立ち上がったため、その時は私もそんなに深くは考えなかったんですが、モウリーニョ監督に言わせると、「En el primer tiempo es un derbi de once contra nueve/エン・エル・プリメール・ティエンポー・エス・ウン・デルビ・デ・オンセ・コントラ・ヌエベ(前半は11対9のダービーだった)」そう。もしそんなことになっていたら、頭からプビルがコケに代わっていた後半4分、自陣からのロングボールを追っていたジュリアーノがハイセンに絡みつかれ、エリア内で倒れてペナルティをゲット。その際、ハイセンに出たイエローカードがモニターチェックでレッドに変わり、マドリーが1人、少なくなるなんてことも起きなかった?

そのPKは先日のレアル・ソシエダ戦に続いて、グリマルドが決め、アトレティコが先制したんですが、まあ仕方ないですかね。ここでモウリーニョ監督がビニシウスとギュレルを諦め、ディアマンテとCB補完でリュディガーを入れることにしたのも。それでもマドリーの左サイドを攻め続けたシメオネ監督のチームは14分、再び指揮官自慢の三男が活躍。ジュリアーノが入れたパスがククレジャ、リュディガー、コナテの前を通り抜けると、ゴール前で待つジョナサン・デイビッドが押し込んで、自身3試合連続となるゴールで2点目を取ってくれたから、場内は完全にお祭り状態に。

え、そんな盛り上がりムードを利用して、ディビッドに代え、こっそり送り込まれたフリアン・アルバレスだったけど、やっぱりpito(ピト/ブーイング)を浴びていなかったかって?まあ、キックオフ前のメンバー紹介の際に続き、ピッチに入る時はそうだったんですが、この日はビジャレアル戦とは比較にならず。すぐにCKから、クティのヘッドをクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)、跳ね返りをフリアンがシュートして、ライン上でコナテが頭でクリア、更にハンツコのヘッドも弾かれるという連続チャンスがあったのもありますが、ファンは概ね、ピッチを歩きながら、DF勢とコケの間でパスをゆったり回しているチームに「Ole/オーレ」の掛け声をかけて満足していたかと。

ただ、マドリーが最後の交代機会でエスピを入れず、クティやジュリアーノら、アルゼンチン勢と悪口の応酬ばかりしていたベリンガムをベルナルド・シウバにしただけだったのは、よくよく考えれば、ラッキーだったかというか、ええ、まだ交代人数は1人残っていましたからね。44分にはそのポルトガル人MFの蹴ったFKをリュディガーにヘッドで決められ、1点差に迫られてしまったため、土壇場のお助けゴールを持つFWがピッチにいたら、ロスタイム中、もっとドキドキさせられたはずですが、大丈夫。

マドリーのシュートを8本(うち枠内3本)に留め、「el equipo defendió muy bien ante grandes jugadores/エル・エキポ・デフェンディオ・ムイ・ビエン・アンテ・グランデス・フガドーレス(チームはビッグな選手たちを前にとてもよく守った)」(シメオネ監督)アトレティコはそのまま2-1で勝利することに。実際、オブラクのセーブも2度だけでしたしね。これでアトレティコはメトロポリターノでのリーガダービーでここ4年、3勝1分けとして、ファンにかなり安心感を与えてくれたかと。

え、試合後すぐ、記者会見に現れたモウリーニョ監督が審判批判に終始したのはもしや、13年前とまったく何も変わっていないんじゃないかって?ええ、往年時のアグレッシブな声音こそ、収まっていたものの、わざわざ彼は例のレッドカード案件該当プレーの写真を持参。国際試合の経験のない主審と昨季何度もレアル・マドリーTVに論われていたVAR審判をこのダービーの担当に選んだCATに「Enhorabuena al Comité!/エンオラブエナ・アル・コミテ(おめでとう、委員会)」って、聞いていて、決して気持ちのいいもじゃありませんって。

それに対してのシメオネ監督の反応は、「Perder, perdemos todos/ペルデル、ペルデモス・トードス(私たちは皆、負ける)。だが他人へのリスペクトを失うのは危険だ。それがモウリーニョ、フリック、シメオネだろうと、何でもありではない」というものだったんですが、まあ正論。確かにこの日はアトレティコに運があったところもあるんですが、とにかくサンティアゴ・ベルナベウ外でのマドリーには改善が大いに必要なことから、目を逸らしてはいけませんよね。

ちなみに両チームの代表戦明けの予定はマドリーがホームでのビジャレアル戦、アトレティコはアウェイでのアラベス戦。どちらも各国代表から選手たちが無傷で戻って来ることを祈りつつ、Bチームとの合同練習を3週間して、10月10日にはヘタフェがバルサに一矢を報いてくれることを願っているんですが…開幕からリーガ7試合、CL1試合全勝で、うち5試合は5得点以上。ラフィーニャだけで12ゴールを挙げているフリック監督のチームには、とても手がつけられる気がしないのは私だけでしょうか。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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