一番驚かせてくれたのは…

「ホントに隣にあったんだ」そんな風に私が目をパチクリさせていたのは月曜日、先週末はリーガの試合に加え、ラ・ブエルタ(自転車ロードレース)の最終日などもあったため、あまり気にしている余裕がなかったものの、ふと思いついて、地図でMadringを検索してみた時のことでした。そう、実はこの日曜、サッカー以上に盛り上がっていたのは、マドリッドで45年ぶりの開催となったF1レースだったんですが、そのために建設されたサーキットにモウリーニョ監督やビニシウス、クルトワら、レアル・マドリー勢が出現。

それもそのはずで、まさにその会場はバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場のすぐ横にあったから。いやあ、滅多にないイベントですから、選手たちが練習帰りに寄ってしまう気持ちもわからなくないですけどね。まさに土曜にマドリーと対戦したラージョからも見に行った選手がいても不思議ありませんが、それって、日曜試合だったアトレティコとヘタフェの選手たちは損したってこと?

まあ、そんなことはともかく、今週ミッドウィーク開催のリーガ6節が始まる前に5節のマドリッド勢がどうだったか、お伝えしていかないと。今季初の兄弟分ダービーとなったサンティアゴ・ベルナベウにラージョを土曜に迎えたマドリーでは、うーん、最近は試合が立て込んできていますからね。モウリーニョ監督はこの日、ギュレルを控えにして、クラブ史上最高額の移籍金で入団したディオマンデを始めて先発させたんですが、まだ互いに探りあっていた序盤、前半12分にはラージョが墓穴を掘ってしまったんですよ。

そう、ビニシウスのパスを追ってエリア内に入ったカレラスをベテランCBのルジューヌが倒し、PKを献上してしまったからですが、前節のベティス戦で弾かれていたとはいえ、エムバペが2度続けて失敗することはありませんからね。バタジャが長期リハビリとなってしまったのを受けて、コモからのレンタル移籍でラージョに到着。これが初先発となるGKアウデロをあっさり破ったんですが、実はルジューヌは17分にも敵にボールを渡すという大ポカって、もしや彼、大殺界中?

今度はエムバペとワンツーで繋いだカレラスがシュートを決めて、あっという間に2点差にされているって、これじゃ、ブタルケ(レガネスのホーム)へ行くより近いと思って、応援に駆けつけたラージョファンもfondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏席)最上階のビジター区画で泣くしかなかったかと。マドリーは35分にもビニシウスのアシストでベリンガムが3点目を決め、リーガのホームゲームでは習慣になりつつある、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利への道を着々と進んでいたんですが…。

うーん、前半をGKクルトワがペドロ・ディアスのエリア外からのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)して終えたのと、ハーフタイムに「Jugó contra el Inter con molestias, hay que gestionar un poco/フゴ・コントラ・エル・インテル・コン・モレスティアス、アイ・ケ・ヘスティオナル・ウン・ポコ(インテル戦で痛みを抱えてプレーしたから、少し調整する必要があった)」(モウリーニョ監督)という理由で、バルベルデをカマビンガに代えたのが裏目に出ましたかね。後半開始すぐにはラティウのシュートがゴールポストを直撃した後、6分には何と、ビニシウスが送ったバックパスをカメージョがゲット。

現在、ラージョでもっとも頼りになるFWがコナテの足の間を通してボールをネットに送り、1点を返したものだから、場内には動揺が走ることに。更にはルジューヌ、ツィタイシュビリ(メスから移籍)のチャンスが続いたとなれば、どんどんpito(ピト/ブーイング)の音量が上がっていったのも仕方ない?でも大丈夫。モウリーニョ監督がベルナルド・シウバをチュアメニに、ディオマンデをギュレルに代えたおかげで、チームには落ち着きが戻り、ええ、29分にはカメージョが「Sentía que si seguía algo más, se podía romper/センティア・ケ・シー・セギア・アルゴ・マス、セ・ポディア・ロンベル(これ以上続けたら、ケガするかもしれないと感じた)」(ベニャト・サン・ホセ監督)せいで、引っ込んでしまったのもラージョはツイていなかったんですけどね。

その日はデ・フルートスとフラン・ペレスが出場停止で、イシもまだ回復していなかったのもあり、アタッカーが少なかった彼らにはそれ以上、点を取ることは叶わず。ええ、モウリーニョ監督にも「Me ha parecido que es mejor cerrar la puerta/メ・ア・パレシードー・ケ・エス・メホール・セラール・ラ・プエルタ(扉を閉めた方がいいと感じた)」と、43分にはビニシウスを下げ、ククレジャを入れて、ダブルSBで守備を強化されてしまいましたしね。それどころか、後半ロスタイムにはカマビンガのスルーパスから、エムバペに自身2点目を挙げられ、最後は4-1で負けてしまいましたっけ。

え、それにしたって、マドリー戦でカメージョが今季早くも6ゴール目、エムバペ、ジャマル、ラフィーニャと並んで得点王レースのトップにいるって、凄くないかって?まあ、その通りで、これでもう昨季の通算を越えたんですが、今は彼がケガをしておらず、無事に火曜のエスパニョール戦に出場できることを祈るばかり。ちなみにこちらはブタルケでプレーする最後のホームゲームになる予定で、週末にアウェイのオサスナ戦を済ませた後、今年は3週間程続く各国代表戦週間明けの10月10日、アスレティック戦ではとうとう、エスタディオ・バジェカスの使用許可が下りたのだとか。

一方、マドリーは火曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)から、マルティネス・バレロでエルチェ戦となり、日曜にはいよいよ本家マドリーダービーにメトロポリターノで挑むことに。ラージョ戦ではいよいよベンチにアセンシオも戻り、今は長期リハビリ組のミリトン、ロドリゴ、メンディしか、出られない選手がいない彼らですからね。モウリーニョ監督もスタメン選びに嬉しい悲鳴を上げているはずですが、どうやらエムバペ、ビニシウス、ベリンガム、バルベルデ、クルトワは不動のようですよ。

そして翌日曜、前節のセルタ戦程ではなくても、まだかなり暑い午後6時30分からのデポルティーボ戦をコリセウムに見に行った私だったんですが、もう何か、選手が米粒大のピッチを見るより、天井から吊り下げの大型スクリーンを眺めることの方が多い気がするベルナベウと比べると、こちらはまったくの別世界。ヘタフェベンチ裏かぶりつきで、選手たちやボルダラス監督の声まで聞こえる距離で見る迫力あるサッカーはもしや、違うスポーツを見ているんじゃないかとさえ、錯覚してしまう程ですが、まあ、それはそれ。

その日はこの夏、入団したFWアソン(イプスウィッチ・タウンから移籍)もスタメンに入り、ウナル、サトリアーノのFW3人制でスタートしたヘタフェだったんですが、残念ながら、開始2分に入ったアソンのゴールはオフサイドで認められず。結局、先制点が入ったのは後半21分のことだったんですが、この時もアソンのアシストでテラッツ(ビジャレアルから移籍、昨季はエスパニョールでプレー)が決めているって、もしや今回の補強は当たりだった?

ただねえ、そのアソンをボルダラス監督が31分にフランチョ(今季はREFE1部/実質3部に落ちたサラゴサから移籍)に代えてしまったのか悪かったか、33分にはジェレマイのクロスから、オバメヤングが頭で5試合連続5ゴール目をゲットし、同点にされてしまったから、さあ大変!42分にCKから、アトレティコからレンタル移籍しているヒメネスのヘッドがあやうく外れると、もう点を取るどころではなく、サトリアーノを左SBのダビンチに代えて、何とか1-1をキープしたんですが、こうもホーム連戦で同じパターンに陥っていてはねえ。

それでもこの日は退場者が出ず、木曜のベティス戦にはサイド・ロメロも戻って来られるんですが、ボルダラス監督によると、悩みは選手層の薄さなのだとか。そう、「Están jugando prácticamente los mismos desde el comienzo del campeonato/エスタン・フガンドー・プラクティカメンテ・ロス・ミスモス・デスデ・エル・コミエンソ・デル・カンペオナートー(シーズン開幕以来、実質的に常に同じ選手たちがプレーしている)」そうで、中にはサトリアーノのようにすでに疲労蓄積状態になっている者もいるのだそう。まあ、各国代表選手の少ないヘタフェは今週を乗り切れば、一息つけますからね。次の相手はマドリー戦の勝利から、CLリール戦、月曜のビジャレアル戦と3連勝中なんですが、何とか一矢を報いてやれるといいのですが。

そして次の時間帯がアトレティコの番だったんですが、ええ、サン・マメスでのアスレティック戦で3-0負け、アンフィールドでのCLリバプール戦で2-1負けと、このところ、アウェイ弱者の本領を発揮している彼らですからね。その日もアノエタでのレアル・ソシエダ戦だったため、1試合丸々辛抱するのが嫌で、前半は帰りのメトロの中でオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況を聞くに留めたんですが、はい、正解でした。だってえ、水曜の試合でフリアン・アルバレスが負傷、再びCFなし状態になったシメオネ監督のチームはバリオスもふくらはぎのケガでおらず。一体、何度、「Esta jugando mal, malisimo/エスタ・フガンドー・マル、マリシモ(ひどいプレーをしている、最悪だ)」という解説者の怒りの声を耳にしたか、わからないくらいだったから。

それでも奇跡的に0-0でハーフタイムを迎え、後半は私もちゃんと見ていたんですが、早くも13分にはシメオネ監督が恒例の3人一斉交代を実施。イ・ガンイン、ジョレンテ、バエナを下げ、ジョナサン・デイビッド、コケ、カルドーソを入れたのには、もしや点を取る気はないのかと思ったぐらいだったんですが、まさか37分にあんな奇跡が起きるとは!そう、グリマルドの蹴ったFKをクティ・ロメロがヘッドしたボールがオチエングの腕に当たり、うーん、本当なら、当人の脚に当たってからのrebote(レボテ/リバウンド)だったため、ハンドにはならないはずなんですけどね。

どういう訳か、主審がPKを与えてくれたため、グリマルドが先制点を決められたんですが、もうその先は詐欺みたいもんですよ。ええ、45分にはグリマルドのスルーパスを受けたデイビッドがエリア内に入り、敵DF2人をかわしてアトレティコ初ゴールを決めると、ロスタイム5分には自陣からのパスに抜け出したジュリアーノが50mを全力疾走。後で彼の父も、「El gol de Giuliano, en carrera en el 95, con tres rivales, es para pocos/エル・ゴル・デ・ジュリアーノ、エン・カレラ・エン・エル・ノベンタイシンコ、コン・トレス・リバレス、エス・パラ・ポコス(ジュリアーノが95分に3人に追われながら決めたゴールは、あまりできる者がいないものだ)」と言っていたんですが、体力だって、才能の賜物の一つですって。

おかげで10分間に3点を入れたアトレティコは0-3で勝って、ようやくアウェイ弱者の汚名を濯いだんですが、はあ。とりあえず、各国代表戦前の2試合はどちらもメトロポリターノとはいえ、水曜午後7時(日本時間翌午前2時)のオサスナ戦にはまだフリアンもバリオスも間に合いませんからね。ここはシメオネ監督も腹を括って、デイビッドをCFとして先発させるしかない?ええ、9月1日にユベントスからレンタル移籍した彼もまだ、ホームデビューをしていませんし、何よりマドリーダービーに向けて、スタジアムの雰囲気に慣れていってくれれば、もしかしたら、お隣さんを5-2で下した昨季のリピートもあるかもしれませんよ。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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