またデジャブが始まった…

「あまり先走りはしない方がいいのに」そんな風に私が感じていたのは木曜日、いつの間にか世間が今年のバロンドールとして、エムバペ推しになっているのに気がついた時のことでした。いやあ、キッカケは先日、レアル・マドリーのモウリーニョ監督がバルデベバス(バラハス空港の近く)のプレスルームで、「CL優勝を称えたいなら、PSGのルイス・エンリケ監督、W杯優勝なら、スペインのデ・ラ・フエンテ監督が最優秀監督賞に値する。だが、世界最高の選手がPSGやスペインの選手である必要はない。その数人はここにいて、皆がこの夏、個人レベルで歴史的な偉業を挙げたのは誰か知っている」とエムバペを示唆したことなんですけどね。

上司の後押しを受けた当人も月曜のCLインテル戦前日記者会見に出た際、「ボクがこの夏、スポーツで最も重要な大会で歴史を作ったのは明らかだ。Yo pienso que este año puede ser bueno para mí para ganar el Balón de Oro/ジョ・ピエンソー・ケ・エステ・アーニョ・プエデ・セル・ブエノ・パラ・ミー・パラ・ガナール・エル・バロンン・デ・オロ(今年は自分にとって、バロンドールを獲得するのにいい年のような気がする)」とアピールしていたんですが、いやまあ、彼が直近のW杯で10得点を挙げ、大会得点王になっただけでなく、22本とW杯通算得点数でもトップに躍り出たのは本当のこと。

でもその流れでエムバペのバロンドール当確ムードが広がってしまうと、うーん、リーガとCLの2冠を達成した2年前、すっかりその気になっていたにも関わらず、表彰式当日にロドリ(マンチェンスター・シティでプレミアリーグ優勝、スペインでユーロ優勝)が受賞することがわかり、クラブを上げてドタキャン。それ以降、ビニシウスのハイパフォーマンスが戻ることはなく、更にはどこのスタジアムへ行っても「Balon de playa/パロン・デ・プラジャ(ビーチボール)」と歌われることになったことを考えると、ここは慎重になった方がいいかと。

ええ、実際、エムバペはリーガとCLでも得点王でしたが、昨季のマドリーは無冠で、フランスもW杯を4位で終わっていますからね。これまでの例からすると、火曜に発表されたバロンドール候補30人のショートリストの中にいる、W杯と国内リーグ優勝のジャマル、クバルシ(バルサ)、フェラン・トーレス(バルサからPSGに移籍)、加えてCL制覇もしているファビアン(PSG)らが優位だったりしない?

まあ、その辺は、ロンドンで表彰式が行われる10月26日までにはまだ時間があるため、今はあまり考えなくてもいいんですが、とりあえず、このミッドウィークにあったマドリッド勢の試合をお伝えしていくことにすると。今週はCLリーグフェーズが火水木に渡って開催されたんですが、その前の月曜には弟分のヘタフェがリーガ4節のセルタ戦をコリセウムでプレー。スタジアム全面改修工事中で現在、正面スタンドにはプレス席しかなく、かぶりつきで見られるのを楽しみに私も行って来たんですが、これがまた、この夏最後の悪夢というか、気温38℃の中、午後7時からの試合で汗だくになろうとは。

おまけにGKダビド・ソリアが194試合連続先発のリーガ最長記録を称えられた後、始まった試合では開始7分にはもう、キコ・フェメニアがハムストリングを負傷。急遽、アンドレス・ガルシアと交代するというアクシデントに見舞われたヘタフェだったんですけどね。嬉しいことに21分には敵がクリアし損ねたCKをサトリアーノがゴール前から蹴り入れて先制点をゲット。まだ今季白星のないセルタにはさぞ重荷になったかと思いますが、後半12分、CKからスターフェルトにヘッドで同点にされてしまうとは、ヘタフェもまだまだ詰めが甘い。

すると21分にはお馴染みの災難が起こって、サイド・ロメロがあっさり2枚目のイエローカードをもらって退場に。いやあ、幸いそのまま1-1で引き分けることができて最悪は免れたんですが、今季消化6試合のうち、半分の3試合を1人少ない状態で戦っているって、かなりのハイペースじゃない?それでも結果は1勝1分け1敗とまずまずなんですが、今週末、日曜にホーム連戦で昇格組ながら、現在5位と好調なデポルティーボを迎える試合ではいい加減、この退場者ラッシュを卒業してもらいたいものです。

そして火曜にはサンティアゴ・ベルナベウでマドリーが今季のCLをスタートさせたんですが、リーグフェーズだけに応援団がfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に掲げる横断幕も「Tengo blanco el corazon/テンゴ・ブランコ・エル・コラソン(私のハートは白い)」、「No hay quien pare esta pasion/ノー・アイ・キエン・パレ・エスタ・パシオン(この情熱を止める者はいない)」と文字が書かれただけのシンプルなもの。時候がら、現在、モロッコからの不法移民問題で苦境にあるセウタ(モロッコ内にあるスペイン領土)の州旗をファンたちが振り回してサポートを示すという演出になっていたんですが、それにしたって、CLアンセムが流れる時、センターサークルに何もなかったのはどうして?

ちなみに試合の方は序盤から、トゥラムやラウタロが撃ってきて、GKクルトワがフル活動。それでも先手を取ったのはマドリーで、ええ、14分にはブライムのアシストを受けて、エムバペがゴールを挙げてくれるんですから、まったく有難い。おまけに23分にはパバードのバックパスを受けたGKジョセップ・マルティネスがバルベルデに詰められて、ボールを蹴り込まれてしまったから、驚いたの何のって。これで2-0になったため、少しは落ち着いた展開になるかと思いきや、やっぱりマドリーはその日、昨季最後のCLマッチで退場していたベルナルド・シウバ、ギュレル、カマビンガがおらず、バルベルデとコンビを組んだ急造ボランチが右SBのトレントだったのが悪かったんでしょうかね。

インテルの攻勢は止まず、クルトワが7度ものparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露という、「El partido estuvo demasiado loco/エル・パルティードー・エストゥーボ・デマシアドー・ロコ(常軌を逸した試合だった)」(クルトワ)になるとは。いえ、前半後半通じて21本もシュートを撃ってきたインテルの精度に問題があったのが幸いし、失点は後半31分、ラウタロのクロスをアウグストがゴール前から決めた1点だけに留まったんですけどね。その一番のとばっちりを受けたのは、「No está a tope, lo vemos todos, pero él lo sabe/ノー・エスタ・ア・トペ、ロ・ベモス・トードス、ペロ・エル・ロ・サベ(絶好調でないのは誰の目にも明らかだが、当人もそれを知っている)」(モウリーニョ監督)というビニシウスだったかと。

だってえ、その日は積極的に守備にも走り、ボール奪取に貢献していたものの、肝心の攻撃では突破に失敗してボールロストするたびにスタンドからpito(ピト/ブーイング)が聞こえていたんですよ。そのせいでしょうか、彼が後半42分に交代する時、ピッチから出るのに時間がかかり、今季からの新ルールの10秒を越えてしまったため、カレラスが1分間入れないなんてことも。その間、インテルに追いつかれそうでヒヤヒヤさせられたんですが、大丈夫。そのまま2-1で逃げ切って、マドリーは最初の勝ち点3を無事獲得することができましたっけ。

リーガ前節ではベティスに負けていただけに、まさにベルナベウ様々ですが、同時にモウリーニョ監督も「Si hoy Courtois no ha sido elegido MVP, no lo va a ser nunca/シー・オイ・クルトワ・ノー・ア・シードー・エレヒードー・エメウベペー、ノー・ロ・バ・セル・ヌンカ(もし今日、クルトワがMVPに選ばれないのなら、2度と選ばれることはないだろう)」と言っていたように、彼のおかげで勝てたのも確か。いえ、この試合のMVPはバルベルデだったんですけどね。

それでも10月14日の次節ローマ戦では出場停止だった3人が戻るのに加え、その日、今季初めてプレーしたチュアメニも実戦慣れしているはずとあって、その辺は心配ないんですが、マドリーはこの週末、土曜午後9時(日本時間翌午前4時)にラージョとの兄弟分ダービーをホームで迎えることに。ええ、今季はヨーロッパの大会のないベニャト・サン・ホセ監督のチームは先週土曜に仮の宿、ブタルケ(レガネスのホーム)でラシン・サンタンデールを3-2で破った後、試合がなくて休養十分。更に怖いのはカメージョが開幕から4試合で5得点と当たっていることなんですが、でもやっぱりマドリーにはベルナベウの利があるんじゃないでしょうか。

え、それで昨季に続いてアンフィールドに乗り込んだアトレティコはどうだったのかって?いやあ、水曜には、ラージョ戦から5得点勝利をリピートしているバルサが早い時間のフェイエノールト戦でまた5-1の大勝をした試合が終わった後、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でいそいそとリバプール戦のキックオフを待った私だったんですけどね。何と前日の記者会見では、「Julián está en fase de crecimiento, no le veo para empezar mañana/フリアン・エスタ・エン・ファセ・デ・クレシミエントー、ノー・レ・ベオ・パラ・エンペサール・マニャーナ(フリアンは成長の過程にあって、明日の試合で先発できるとは思えない)」と言いながら、シメオネ監督はフリアンをスタメンで起用。

前半17分には彼の出したスルーパスにアンフィールドキラーのジョレンテが追いついて、先制ゴールを決めてくれたのには意表を突かれたものでしたが、やっぱり1点だけでは辛いですよねえ。せめて26分にフリアンがエリア前から撃ったシュートがGKアリソンに弾かれてなければ良かったんですが、40分、バルコラはGKオブラクが防いでくれたものの、回りに回ってソボスライに同点ゴールを奪われてしまったから、さあ大変!

おまけに1-1で迎えた後半5分、これはまたリーガ前節のサン・マメス同様、眠ったままピッチに立ってしまいましたかね。バエナがエリア内からクリアしたボールをマック・アリスターが撃ち込んで、呆気なく逆転されているって、黒の第2ユニはグレーの第3ユニより強そうに見えても、その実態はやっぱりアウェイ弱者?その後はルックマンや駆け込み入団のジョナサン・デイビッド(ユベントスからレンタル)らがピッチに入り、反撃を試みたアトレティコだったんですが、誰もゴールを入れることは叶わず。

それこそフリアンなんて、中盤に下がってばかりで、実はグリーズマン(現オーランド・シティ)の後継はイ・ガンインではなく、彼だったのかと思わされる程だったんですが、その当のフランス人FWはMSLですでにゴールを入れまくっているとなれば、忸怩たる思いを抱えてしまうアトレティコファンも多いかと。結局、そのまま2-1で負けて、私もバルで見るアトレティコの試合は今季もこんなのばっかりなのかと、溜息をつくしかなかったんですが、いや、コケ。「El año pasado también perdimos aquí y llegamos a semifinales/エル・アーニョ・パサードー・タンビエン・ペルディモス・アキー・イ・ジェガモス・ア・セミフィナレス(昨季もここで負けたけど、ボクらは準決勝まで進出した)」なんて言われても全然、慰めになりませんって。

シメオネ監督曰く、今のチームは「Está en construcción/エスア・エン・コンストルクシオン(構築中)」なんだそうですが、10月13日のマンチェスター・ユナイテッド戦ならセルロートも回復して、デイビッドも馴染んでいてくれる?それにしたって、この状態で日曜午後9時にアノエタでレアル・ソシエダ戦に挑むのは本当に鬱で、ええ、相手はミッドウィークフリーチームですからね。前節はエルチェにスシッチの土壇場のゴールで2-3と競り勝っていますし、何より、アウェイということがアトレティコの最大のハンディキャップなんですが…また今季もシーズン序盤から、首位とどんどん差が開いていくのを見せられるは本当に嫌ですよね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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