CL開幕は楽しみだけど…

「タイミングが悪すぎる」そんな風に私が嘆いていたのは日曜日、ミッドウィークにCLリーグフェーズ1節を控えながら、自信を持って挑めそうなのが、バルサだけなのに気がついてしまった時のことでした。いやあ、フリック監督のチームはリーガ4節のバレンシア戦にもメスタジャで0-5のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利を挙げ、単独首位となる4連勝中。水曜の相手はフェイエノールトですし、会場となるカンプ・ノウでは前節、ラージョにも5-2で勝っていますからね。ゴール祭りが続くんじゃないかと思うのはきっと、私だけではないかと。

翻って金曜に今季初黒星を喫したレアル・マドリーは、うーん、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのインテル戦は一応、ここ2試合4点ずつ挙げているサンティアゴ・ベルナベウ開催というのは慰めになるんですけどね。いきなり逆境が発覚して、昨季最後のCLマッチで退場しているベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティがマドリーに敗退した16強対決2ndレグ)、カマビンガ、ギュレル(準々決勝バイエルン戦2ndレグ)が出場停止なんですよ。おかげでモウリーニョ監督の使える中盤の選手がバルベルデだけになるため、プレシーズンの負傷が治り、日曜からチーム練習に合流したばかりのピタルチ、もしくは他のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)でやりくりしないといけないんですが、それってかなり不安じゃない?

それ以上に頭が痛いのはアトレティコで、ええ、土曜のサン・マメスでは今季もアウェイ弱者だったことが露呈しちゃいましたからね。水曜午後9時からのリバプール戦はアンフィールドですし、いやまあ、昨季も9月の対戦でハビ・ガラン(現セルタ)がサラー(現トラブゾンスポル)にキリキリ舞いさせられていたのはまだ記憶に新しいんですが、そのどちらも今季はおらず。といっても、イラオラ監督率いるチームには他にも名の知れたアタッカーがいますし、この夏、ルッジェーリがアストン・ビラに移籍し、グリマルド(レバークーゼンから移籍)が入ったことで、長年に渡る左SBの質の低さ問題に解決を見たはずだったのが、実は大誤算だったんです。

そう、2019年にフェリペ・ルイス(現モナコ監督)が退団して以来、ロディ(現アトレティコ・ミネイロ)、レイニウド(現サンダーランド)、カラスコ(現アル・シャバブ)などで迷走を続けていたポジションだったんですが、やはりククレジャ(チェルシーから移籍)をお隣さんに獲られてしまったのが失敗でしたかね。ならばと、W杯王者となったスペイン代表の控え、大会では一度も出番のなかったグリマルドにしてみるも、もしや片や5500万ユーロ(約100億円)、こちらは1500万ユーロ(約27億円)という移籍金額の違いがそのまま、実力差を反映していた?

ええ、常に代表に招集されてもプレーすることがほとんどなかったですし、レバークーゼン時代のビデオはゴールやアシストなど、攻撃面の名シーンばかり。そのため、私も知らなかったんですが、グリマルドは守備に大穴を抱えていたことが、アスレテッィク戦で明らかになったんですよ。それでアトレティコのフロントが移籍市場最終日まで、タグリアフィコ(オリンピック・リヨン)の獲得に奔走していたのかと、ようやく合点がいったものでしたが、はあ。加えて、アルナウ・オルティスも2年前のシロンスク・ボロツワフ時代、カンフェレンスリーグ予選のザンクト・ガレン戦で退場。この試合には出られないとなれば、あの悔しい後半ロスタイム負けのリベンジなんて、とても望めないかと。

まあ、そんなことはともかく、まだ月曜にヘタフェがコリセウムでプレーするセルタ戦は残っているものの、他のマドリッド勢の4節がどうだったか、お伝えしていくことにすると。金曜にはモラタ(コモからレンタル)がデビューした2部の弟分レガネスが、アトレティコ時代に何度絶望させられたかわからない当人のオフサイド地獄とシュート精度のなさもあって、カナリア諸島でラス・パルマスと0-0で引き分けた後、マドリーがカルトゥーハでベティスと対戦。スタメンは前節のマラガ戦から、リュディガーとブライムがコナテとギュレルに代わっただけだったんですが、前半はGKバジェスの活躍もあって、0-0で終わることに。

いやまあ、エムバペなどゴール前からのシュートを最初はナタンに、弾かれたボールをまた撃ってもバルトラに防がれるなど、ツイていないところもあったんですが、結果的に勝負を分けたのは選手交代だったかと。そう、負傷で前半のうちからディエゴ・ジョレンテがバルトラに代わったのはともかく、後半15分には大黒柱のイスコがガス欠となり、ペレグリーニ監督がフィダルゴを入れた後、20分には珍しいことにモウリーニョ監督が3人一斉交代を実施。イエローカードをもらっていたギュレル、カマビンガ、ダムフリースをベルナルド・シウバ、ディアマンデ、トレントにしてもまったく状況が改善しなかったのに対して、ベティスはデオサとパロットがピッチに入ったのが決定的だったんです。

それは35分、CKからデオサが撃ったヘッドはGKクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたんですが、こぼれ球に1人、誰より早く駆けつけたパロットにゴールを決められてしまったから、さあ大変!いやあ、それでも即座にヘルプに入ったエスピが42分にはビニシウスのクロスをchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)で決めて、開幕エスパニョール戦に続くヒーローになったかに見えたんですけどね。2分近く続いたVAR(ビデオ審判)チェックにより、そのプレーが始まった時に当人がオフサイドにいたことが判明。

スコアボードに挙がらなかっただけでなく、ええ、ロスタイムにはビニシウスがエリア内でナタンに倒され、PKを獲得してくれたんですが、肝心のエムバペがバジェスに弾かれてしまってはねえ。こぼれ球を撃とうしても、「Intenté aguantar todo lo que he podido con el pie apoyado y sin pisarlo/インテンテ・アグアンタル・トードー・ロ・ケ・エ・ポディードー・コン・エル・ピエ・アポジャードー・イ・シン・ピサールロ(片足で立って、地面を踏まないよう、できるだけ耐えた)」と、PKが蹴られる前にエリアに入ると蹴り直しになるというルールの盲点を突いたバルトラが駆けつけてクリア。最後のエスピの強烈ヘッドもバジェスに逸らされたマドリーは、そのまま1-0で負けてしまいましたっけ。

うーん、これにはモウリーニョ監督も「No sé por qué hemos perdido/ノー・セ・ポル・ケ・エモス・ペルディードー(ウチが何故負けたのかわからない)。チーム的にはとてもいいプレーをしていて、勝利に値したが、価することで勝ち点は得られない」と言っていたんですけどね。ベルナベウでの試合ではあんなに強かったのに、やっぱりマドリーも内弁慶気質であったのかと、私もこの敗戦には驚かされたんですが、実はベティスのホームはここ5年間、彼らが勝っていない鬼門だったのだとか。

ただそれ以上だったのがお隣さんで、ええ、アトレティコは土曜にアスレティック戦だったんですけどね。前節のサンチェス・ピスファンではまったくアウェイ弱者を感じさせず、セビージャに1-3と快勝していたため、イ・ガイインやジュリアーノ、バエナ、ルックマン、バリオスらのシュートが決まらず、前半が0-0で終わっても、何とかなるだろうと、割と楽観的に私はラージョのプレーするブタルケ(レガネスのホーム)に向かうため、家を出たところ…。

メトロの駅に着いて、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況中継を聞き始めた途端、悲報が届いたから、ビックリしたの何のって。そう、この日のアトレティコは、うーん、AS(スポーツ紙)などでは初出のグレーの第3ユニがパジャマみたいだったせいかもと書いていたんですが、久々に「眠ったままピッチに入る」という愚行を犯してしまったんですよ。後半1分にはもう、グリマルドの姿がまったく見られないエリア内右からイニャキが出したクロスをニコがヘッド。今週、スペイン代表引退を表明したジョレンテの見守る前でウィリアムス兄弟弾を決められただけでなく、その2分後にはグリマルドがロベルト・ナバーロを逃して、2点目を奪われているって、もう終わっていなくない?

これにはさすがにシメオネ監督も閉口したか、13分には普段の上を行く4人一斉交代を実施。ジュリアーノ、ヒュルマンド、ルックマン、イ・ガイインをクティ・ロメロ、コケ、アルナウ・オルティス、そしてバルサ行きが叶わない失意から立ち直る過程にあるフリアン・アルバレスを投入したんですけどね。アルゼンチン人FWのシュートは楽々、GKウナイ・シモンにキャッチされる始末。それどころか、45分にはゲレナバレナのクロスがゴール前でカルドーソに当たり、エリア内に転がったボールをサンセットに撃ち込まれ、おうとう3-0になってしまうんですから、開いた口が塞がらないとはまさにこのとだったかと。

こんなまさに自業自得の敗戦をしておきながら、試合後は「A olvidarnos y seguir/ア・オルビダールノス・イ・セギール(忘れて続けるだけ)」(バリオス)なんて言っているのを聞くと、またしても自分が「そうじゃなくて、アウェイでこうなってしまう原因を発見して、反省するのが先では」とここ数シーズン、何度も繰り返してきた思考ループに陥ってしまいそうで嫌なんですけどね。CLリバプール戦の後のリーガ、レアル・ソシエダ戦もアウェイですし、当分、勝利を見られないかもしれないのは辛いところです。

そして前回のホームゲーム、アラベス戦は丁度、ヘタフェのカンフェレンスリーグ・プレーオフ1stレグと重なっていたため、ブタルケには行けなかった私が今季初めて見た生ラージョはどうだったかというと。現在、マドリッド州から使用許可が下りていないエスタディオ・バジェカスの方が近くて助かるのを別にすると、実を言うと、レガネスが最短2部Uターンとなった2024-25シーズンから、ブタルケはプレス席も新しくなり、各ゴール裏に大型スクリーンも設置。その日は曇っていたため、恐怖の西日直撃もなく、見やすかったんですが、昇格組のラシン・サンタンデールとの試合は開始3分、凱旋復帰したカナレスの直接FKがゴールに突き刺さって始まることに。

レガネスの試合と違い、その先制点が決まったゴール裏に設けられた広いビジター区画に座ったラシンファンもこれには大喜びだったんですが、大丈夫。17分には抜け出したカメージョがエリア前でラティウにボールチェンジ、移籍市場最終日にフラム行きが決まらなかった右SBがゴールを決めて、スコアはイーブンに戻ります。前半28分にも今度はバレンティンが自陣エリア前でボールを失くし、ベティスから移籍ほやほやだったパブロ・ガルシアにgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められてしまったラージョでしたが、43分には再び、同じコンビが活躍。ラティウのスルーパスを受けたカメージョがゴール前から落ち着いてフィニッシュし、2-2でハーフタイムに入ったところ…。

何と後半2分にはまたしてもカメージョがウナイ・ロペスのアシストで勝ち越し点を挙げ、正面スタンドとバックスタンドを埋めたラージョファンを沸かしてくれるとは!ちなみに反対側のゴール裏がガラガラだったのは、ファンの多くがその頃、エスタディオ・バジェカス周辺でホームでの試合開催とペレサ会長退任を求める大規模デモをやっていたせい?幸い33分にCKからのゴール前混戦で入ったザビリのゴールはGKカルデナスへのファールがあったとして認められず、40分にはフラン・ペレスがサリーナスとぶつかって一発退場。続いてベンチに戻っていたデ・フルートスにもレッドカードが出されたものの、最後まで1点差を守ったラージョは3-2でようやく、今季リーガ初勝利を掴むことができましたっけ。

おかげでこの試合、夜のまとめ番組では「Festival de Camello/フェスティバル・デ・カメージョ(カメージョ祭り)」なんて言われていたんですが、ええ、カンプ・ノウでの2得点を入れたのも彼でしたしね。ただ2年前のパリ五輪スペイン優勝の立役者はかなり波があって、未だにシーズン二桁得点をしたことはなし。ここまでのリーガ5ゴールでもう、昨季の記録に並んでいるため、この先、どこまで好調が続くのかはわかりませんが、少なくともベルナベウに乗り込む土曜の兄弟分ダービーまでは持ってほしいかと。何せ、ベニャト・サン・ホセ監督は出場停止でデ・フルートスとフラン・ペレスが使えませんからね。GKバタジャも長期リハビリ中とあって、ラージョにとって今季は厳しい闘いとなるかもしれませんね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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