「何か余裕よね」そんな風に私が感じていたのは火曜日、夏の移籍市場クローズの零時が来るのを待ちわびていた時のことでした。いやあ、この最終日にはバルサがガブリエウ・ジェズス(アーセナルから移籍)、アトレティコはジョナサン・デイビッド(ユベントスからレンタル移籍)、マドリッドの弟分ヘタフェもイバン・アソン(同コモ)と即戦力となるFWの駆け込み入団が続いていたんですけどね。早々とエスピ(レバンテから移籍)とディオマンデ(同ライプツィヒ)を獲っていたレアル・マドリーだけは、最後の補強が今季はRMカスティージャで修業する予定の19才のMF、セルヒオ・マルティネス(同ラシン・サンタンデール)だったから。
いやまあ、移籍に関しては朝になってから、パラパラ名前が出て来たりするので、まだ正確にはお伝えできないんですけどね。ただリーガ3節を終えた時点で、首位にはどちらも3連勝のバルサ、マドリーが並び、続いて2勝1分けのアトレティコが3位。弟分たちは1勝だけのヘタフェが14位、ラージョなど、勝ち点1だけで降格圏の18位と、今季も兄貴分たちの上位争いを見ながら、ボルダラス監督とベニャト・サン・ホセ監督のチームが無事、残留を達成してくれるのを祈る形になりそうですが、ええ、まさにその展望を裏書きしてくれたのが先週末の試合だったんですよ。
ちなみに3節の先陣を切ったのはアトレティコで、土曜にサンチェス・ピスファンで今季初のアウェイゲームに挑んだんですが、いやあ、本当にバエナはW杯のおかげで更生したんですね。バルサ移籍が叶わず、先週は練習にも来なかったフリアン・アルバレス、負傷中のセルロートがいないため、この日もfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)を使ったシメオネ監督だったんですが、それをルックマンからバエナに代えて、大成功だったから、私もビックリしたの何のって。
そう、もう開始4分にはイ・ガンインのラストパスを受けて、バエナが先制ゴールを決めてくれたからですが、彼は26分にもルックマンにアシストして、アトレティコは2点目をゲット。更には33分にもバエナがエリア前からシュートを撃ち込んで、あっという間に3点差になっているって、ここ数シーズンお馴染みだった、あのアウェイ弱者は一体、どこに行った?ここまで2連勝だったセビージャもシエラの連続シュートがGKオブラクに連続paradon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、チャンスがなかった訳ではないんですが、0-3でハーフタイムを迎えたとなれば、もうこっちのもんですって。
残念ながら、後半6分に入ったルックマンの自身2点目は、プビルのロングパスに抜け出して、ゴール前でアシストをしたバエナがオフサイドだったため、認められなかったんですけどね。失点を22分にシエラが決めたアクロバティックなシュートによる1点だけに留めたアトレティコは危なげなく、そのまま1-3で勝利。大活躍だったバエナによると、「CFのポジションはボク同様、イ・ガンイン、ジュリアーノ、ルックマンもプレーできる。Hoy me ha tocado a mí/オイ・メ・ア・トカードー・ア・ミー(今日は自分に当たっただけ)」だそうなんですが、いや本当に昨季の彼と比べるとまるで別人じゃない?
実際、シメオネ監督も「Sin duda la alegría y lo emocional del Mundial le vino muy bien/シン・ドゥーダ・ラ・アレグリア・イ・ロ・エモシオナル・デル・ムンディアル・レ・ビノ・ムイ・ビエン(間違いなく、W杯の歓喜と感動が彼に大きなプラスとなった)」と言っていましたしね。それこそ王者スペインのレギュラーとして使ってくれたデ・ラ・フエンテ監督に感謝しないといけませんが、何はなくとも、開幕からCF不在でありながら、3試合で7得点は立派。まさに「No tener delanteros no quiere decir que no ataquemos/ノー・テネール・デランテーロス・ノー・キエレ・デシール・ケ・ノー・アタケモス(FWがいないからといって、ウチが攻めない訳ではない)」(シメオネ監督)ことを証明した試合でしたが、シーズンはまだ始まったばかりですからね。
だからこそ、クラブはジョナタン・ディビッドを獲ったんでしょうし、日曜からは徐々に失意から立ち直りつつあるフリアンもマハダオンダ(マドリッド近郊)でのチーム練習に合流。次節、この土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのサン・マメスでのアスレティック戦に出られそうですしね。セルローとだけは未だに音沙汰なしなんですが、もう来週水曜にはCLリーガフェーズ1節のリバプール戦、昨季はアンフィールドでドラマチックな後半ロスタイム負けを喫したリベンジ遠征もありますし、ゴールを入れてくれる選手は多いに越したことありませんって。
そして翌日曜にはサンティアゴ・ベルナベウでマドリーがホーム連戦2試合目となるマラガ戦をプレーしたんですが、偶然にもスタメンを5人もローテーションしたこちらも前半に3点が入る展開に。それも19分に敵を何人もかわしてエリア内に入り、先制点を挙げたベリンガムが、26分にもエムバペが弾かれたボールをヘッドして、GKエレラのオウンゴールを誘発しているって、これもバエナのケースと似ていない?そう、W杯でイングランドを3位に導いた彼は、ええ、大会で7得点したのも良かったんでしょうね。3年前、入団1年目のMFの皮をかぶったFWだった頃の本性を思い出したよう。
更に31分にもダムフリースに代わり、今季初先発となったトレントのラストパスをエムバペが撃ち込んで、先日のメトロポリターノ同様、fondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏)右手最上階2区画をびっしり埋めたマラガファンの希望を絶望に変えていたんですが、こればっかりはねえ。その後、3-0で幕を開けた「El segundo tiempo fue más de gestión, de ritmo más bajo/エル・セグンド・ティエンポ・フエ・マス・デ・ヘスティオン、デ・リトモ・マス・バホ(後半は試合運びを重視し、ペースも落ちた)」(モウリーニョ監督)ため、うーん、それでもベリンガムのシュートがゴールポストに弾かれるなんてことはあったんですけどね。
結局、終盤にギュレルがベリンガムと交代で入り、ロスタイムにビニシウスのアシストで4点目を挙げるまで、ゴールは見られなかったんですが、大丈夫。この日はスタンドからpito(ピト/ブーイング)が聞こえることもなく、ファンも今季はエムバペだけでなく、「Ahora estoy un poco más libre, con libertad para volver/アオラ・エストイ・ウン・ポコ・マス・リブレ、コン・リベルタッド・パラ・ボルベル(今のボクは少し自由にプレーできて、戻ることもできる)」というベリンガムにもゴールを期待できることに満足して帰ったんですが、え?
クラブ史上最高額の移籍金1億2500万ユーロ(約232億円)で入団したディオマンデのゴールはまだのかって?いやあ、何となく成り行きで値段が吊り上がってしまったもの、彼はまだ19才ですからね。チームは最初の3試合で10得点も挙げていますし、大器晩成と言いますか、もっとシーズンが佳境に入った頃に当人が爆発してくれるのを願うばかりかと。来週火曜にホーム開催のCLリーガフェーズ1節インテル戦が入っているマドリーは今週、9月の代表戦週間前唯一のミッドウィークフリーなんですが、次節ベティス戦は金曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフ。
移籍市場最終日にようやく念願のベティス復帰が叶ったセバージョス(昨季限りでマドリーを退団)の出場はちょっと、難しいかもしれませんが、ペジェグリーニ監督のチームも前節はレバンテに5-2で負けるなど、22年ぶりのCLマッチ、リール戦が近づいてきて、浮足だっていなくなくもなし。こうもマドリーがハイペースでゴール量産していると、向かうところ敵なしに見えてしまうんですが、開幕戦のエスパニョール戦では後半45分のエスピのゴールで勝つなど、ちょっと苦労していましたからね。アウェイゲームでは勝手が変わるのかが、一番の見どころになるでしょうか。
そしてようやく月曜に弟分チームたちが揃って試合となったんですが、うーん、ヘタフェはカンフェレンスリーグ・リーグフェーズ出場を決めるのに力を使い切ってしまいましたかね。エル・サダルでのオサスナ戦では、パルチザン戦2ndレグのスタメンをリピートしたんですが、拮抗していた前半42分のCK守備で、キャプテンのジェネがブドミルを引き倒していたことをVAR(ビデオ審判)が注進。次のプレーが一回り終わってから、モニター判定となり、PK献上となってしまうんですから、まったくツイいませんって。
ブドミルが決めたPKで先制された彼らは、うーん、後半7分にはアンドレス・ガルシアのキラーパスをお馴染み、出戻りFWウナルがゴール前から押し込んで、一旦は同点に追いついたかに見えたんですが、こちらもVARにオフサイドにされてしまってはねえ。結局、24分のテラッツの至近距離シュートもGKエレラに弾かれ、そのまま1-0で負けてしまったんですが、ヘタフェにとって、リーガはこれからが本番。10月にカンフェレンスリーグが始まるまで、国内戦に専念できるため、まずは来週月曜、コリセウムでのセルタ戦から本腰を入れてくれたらと思いますが、さて。
一方、ラージョはカンプ・ノウでバルサ戦だったんですが、開始からガンガンに攻められていながら、最初のゴールは前半12分、アルバロ・ガルシアのラストパスをカメージョがゴール前でボールの方向を変えてゲット。でもファンが夢を見ていられた時間は限りなく短くて、19分にはもう、シャドーCFとして定着したラフィーニャに、21分にもジャマルに決められ、あっという間に逆転されているんですから、たまったもんじゃありませんって。おまけにこの日、ジャマルとマッチアップとなったジョシュアが32分には早くも負傷交代。金曜に到着したばかりのペドローサ(セビージャからレンタル、昨季はエルチェでプレー)を出さざるを得ないのでは…。
それに輪をかけてくれたのが、後半6分、ゴードンのゴール前へのパスをクリアしようとして、レジューヌがオウンゴールにしてしまったことで、ええ、14分にはCKからカメージョがヘッドを決めてくれたため、本来ならここで1回、同点に持ち込めていたはずだったんですけどね。その後は再び、ラフィーニャとジャマルに決められ、最後は5-2の大敗となってしまったんですが、実はこの日のラージョには間の悪いことが重なっていたんですよ。そう、前節、ブタルケ(2部の弟分レガネスのホーム)で開催したアラベス戦でGKバタジャがヒザの重傷で長期離脱となり、この日は控えのカルデナスがプレー。
加えてイシもその試合で負傷していなかった上、フラムへの移籍話が持ち上がっていた右SBのラティウもベンチ待機と、メンバーの質が落ちていたせいもあるんですが、いやあ、とっくに午前零時は過ぎているのに、未だにラティウがどうなったか、情報がまったくないって、一体、どうなっている?何せ、ラージョは次のホームゲーム、土曜のラシン戦もどこでプレーするのか、正式に決まっていませんからね。おそらくブタルケのリピートでしょうが、使用許可がマドリッド州からもらえず、エスタディオ・バジェカスの強みを生かせないこのシーズン序盤、本当に先行き不安になりますよ。

