CFなしで平気なチームもあるけれど…

「これって登校拒否が別室登校になったような」そんな風に私が首を傾げていたのは金曜日、今週水曜から始まったマハダオンダ(マドリッド近郊)でのアトレティコのセッションを体調不良でお休みしていたフリアン・アルバレスが、午後に個別で練習したというニュースをマルカ(スポーツ紙)で見た時のことでした。いやあ、折しも前日にあったモナコでのCLリーグフェーズ抽選会後には、ヒル・マリンCEOが「Julián está realmente mal/フリアン・エスタ・レアルメンテ・マル(フリアンは本当にひどい状態だ)。彼を騙して、混乱するように仕向けた人物がいる」と言っていたんですけどね。

先週末のメトロポリターノでスタンドからpito(ピト/ブーイング)の嵐に見舞われたり、天地がひっくり返ってもバルサには行かせないという、アトレティコの決意の固さを思い知らされたせいでしょうか。いきなり練習に来なくなっちゃったんですが、「Si él cree que es incompatible estar en el Atlético de Madrid buscaremos una alternativa/シー・エル・クレエ・ケ・エス・インコンパティブレ・エスタル・エン・エル・アトレティコ・デ・マドリッド・ブスカレモス・ウナ・アルテルナティバ(もしアトレティコにはいられないと考えているなら、代替策を探すことになる)」(ヒル・マリンCEO)という言葉がもしや、希望の光を灯した?

そう、午前中のセッションの後、シメオネ監督も「En la vida se puede revertir todo mientras tengamos salud/エン・ラ・ビダ・セ・プエデ・レベルティル・トードー・ミエントラス・テンガモス・サルード(人生において、健康でさえあれば、どんなことでも挽回できる)」と言っていたんですが、ずっと鬱状態でいたら、夏の移籍市場が閉まるまで残るところ4日。アーセナルなり、マンチェスター・シティなりにしても、オファーを出すのに二の足を踏んでしまいますからね。すでに土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのセビージャ戦不参加が決まり、セルロートの負傷休場もあるため、ルックマンのCFリピートをするしかなく、大打撃を受けているアトレティコだって、残留してくれるなら、もっとしゃんとしたフリアンじゃないと困りますって。

ちなみにその9月8、9、10日から始まるCLリーグフェーズでは、バイエルン、リバプール、マンチェスター・ユナイテッドらの強敵と当たることになったアトレティコですが、まだ日程は出ておらず。マドリッドではお隣さんのインテル戦やローマ戦などもあるため、リーガのカードも見ながら、秋や冬に観戦旅行の計画を立ててみるのも、ファンにとっては一興じゃないでしょうか。

まあ、そんなことはともかく、ミッドウィークのマドリッド勢の試合がどうだったか、お話ししていくことすると。今週はまず水曜にレアル・マドリーが順延1節レアル・ソシエダ戦をサンティアゴ・ベルナベウで開催。ホーム開幕戦とあって、私も久々の訪問となったんですが、W杯でアメリカの巨大なスーパースタジアムを見慣れてしまったからでしょうか。スペインでは唯一の完全密閉式のこちらがやや、小ぶりに見えてしまったんですが、その分、クラブはキックオフ前の演出をグレードアップ。ピッチにスポットライトによる水玉が現われたり、360度大型スクリーンの下に設置された放射器から炎が出ていたのには驚かされたんですが、モウリーニョ監督はスタメンにエスパニョール戦と同じ選手をリピートすることに。

逆にマテラッツォ監督は、初戦は控えだったオジャルサバルを頭から出すサプライズを見せてくれたんですが、彼もスタート前にククレジャと共にW杯優勝メンバーとして場内から、喝采を浴びていた姿は微笑ましかったかと。ただ、スペインのエースの前半11分のシュートはGKクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。マドリーもエムバペやビニシウスが撃っていったものの、なかなか決まらず、35分にセルヒオ・ゴメスのvolea(ボレア/ボレーシュート)が際どく枠を逸れていった際など、そこここからブーイングが聞こえたりもしたんですが、大丈夫。

40分にはベルベルデのラストパスをエムバペが決め、マドリーが先制したからですが、まさかハーフタイム入り前にはエスパニョール戦のように守備に穴が開いてしまうとは!オチエングのシュートがDFに当たって逸れたところ、フリーで入って来たスシッチに同点ゴールを決められているんですから、困ったもんじゃないですか。ええ、モウリーニョ監督も後で、「me hubiera gustado tener cooling break para el minuto 20 o 25 y poder hablar/メ・ウビエラ・グスタードー・テネール・クーリング・ブレイク・パラ・エル・ミヌート・ベインテ・オ・ベインテシンコ・イ・ポデール・アブラル(20分か25分ぐらいにお水休憩があって、話せれば良かった)」と問題があったことを認めていたんですけどね。

猛暑の過ぎたマドリッドの夜、しかも外気の入らないベルナベウとあって、気温25℃程度ではそんなこと、望むべくもなく。結局、ハーフタイムに「De la presión/デ・ラ・プレシオン(プレスについて)、ボクらは敵陣でボールを取り戻すのに苦労していて、いつも相手より1人少ない状態だったから、それを修正した」(ベルベルデ)そうなんですけどね。それに加えて、まだ練習日数の少ないオジャルサバルが監督との事前の打ち合わせ通り、早くも後半12分には交代してしまったのもマドリーの追い風になりました。

ええ、15分にはベリンガムのアシストを受けたエムバペが2点目をゲットすると、W杯のイングランドでもトップ下の位置で自慢の攻撃力を発揮していた彼が23分にまたアシスト。今度は個人技でボールをエリア内左奥まで運ぶとゴール前にいたビニシウスにラストパスを出し、3点目が入ります。更にソシエダの久保建英選手が退いた後の35分にも、いやもう、W杯ピチチ(得点王)は止まりませんね。ビニシウスのパスをもらうと、ゴール前左からvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKレミロを破ってハットトリックって、まさに「lo que Kylian ha hecho… es de locos/ロ・ケ・キリアン・ア・エッチョー…エス・デ・ロコス(キリアンのやったことは…まさに常軌を逸している)」(モウリーニョ監督)?

うーん、その後、45分にもホームデビューを果たしたエスピが放ったシュートが弾かれたボールをブライムが決めたなんてこともあったんですが、こちらはオフサイドで認められず。実際、もう4-1になっていたため、別にいいんですが、何より驚くべきは、プレシーズン最終チーム合流組でありながら、エムバペがこの2試合フル出場していることで、だってえ、オジャルサバルはもとより、同僚のククレジャ、ベリンガムらもまだ90分はプレーできないんですよ。それを考えると、この夏のエムバペの一番の進化はその体力だったかと。

ただ、ホーム連戦となる次のマラガ戦は日曜午後5時(日本時間翌午前0時)。この1週間で3試合目と予定が立て込むため、早くもローテーションが始まるかもしれませんけどね。今のところ、筋肉痛のチュアメニとエンドリックはまだ戻れないようなんですが、相手は1部昇格組。先日のメトロポリターノ同様、久々のエリートチームとの対戦にビジターファンが大勢詰めかけるかと思いますが、ベルナベウで勝ち点を掴むのはかなりハードルが高いかもしれませんね。

そして翌木曜には弟分のヘタフェの番が回ってきて、ええ、彼らは先週、コリセウムでパルチザンとのプレーオフ1stレグに3-1で勝った後、ベオグラードでの2ndレグでリーグフェーズ進出を決めないといけませんでしたからね。この日も中継はプレシーズンマッチ同様、クラブのYouTubeチャンネルの生配信だけだったため、私も自宅のPCで見ていたんですが、キックオフの午後9時になっても始まらず、コメント欄が悲鳴の嵐でいっぱいに。映像が流れだした時にはすでに前半3分になっていたんですが、それまで動きがなかったのは幸いだったかと。

まあ、リードも2点あるしと、私も焦りはしなかったんですが、やっぱりパルチザンの方は予選2回戦、3回戦を勝ち抜いてのプレーオフ出場でしたからね。CLやELのプレーオフと違い、カンフェレンスリーグには格下の大会に回るという特典もないため、前半はかなり押されてしまうことに。27分にはブコティッチのFKをジェーにヘッドで決められ、ドキリとさせられたものの、TV中継はなくても、VAR(ビデオ審判)があったのは本当にラッキー。この時はオフサイドで認められず、ジェーの先制点は後半8分まで、お預けとなります。

そう、自陣エリアからドリブルでボールを持ち出そうとしたテラッツがボールを奪われ、エリア内左からGKダビド・ソリアを破られたんですが、この日もやってくれたんですよ。ボーンマスから出戻りのトルコ人FWが。24分、キコ・フェメニアの蹴ったCKが敵DFに当たり、落ちてきたボールをウナルがシュート。ここ3試合連続となるゴールを決めて、同点にしてくれたから、助かったの何のって。

いやあ、それでも31分にはコイゼクに勝ち越し点を挙げられ、最後は2-1で負けてしまったヘタフェだったんですけどね。1stレグの貯金が物言い、総合スコア3-4でリーグフェーズ進出が決まったとなれば、まさにここからがユーロヘタの始まりと言っていい?ちなみにボルダラス監督によると、「パルチザンはビッグクラブで、大勢のファンがいる。Por eso, para nosotros esto es un milagro/ポル・エソ、パラ・ノソトロス・エストー・エス・ウン・ミラグロ(それだけにこれはウチにとって、奇跡みたいなもの)」だそうですが、何せ、早速翌金曜にあったリーグフェーズの対戦相手も本当に渋くてねえ。

彼らがコリセウムに迎えるブライトン(イングランド)、ルガーノ(スイス)、インテル・エスカルデス(アンドラ)らはまあいいとして、アウェイではアヤックス(オランダ)は皆知っていても、イベリア・トリビシ(ジョージア)、ウニオン・クライオバ(ルーマニア)と、まあ昨季のラージョ程ではなくてもそこそこエキゾチック。パルチザンのホームでも20人程のヘタフェファンが応援していたんですが、6年ぶりのヨーロッパの大会に果たしてどのくらいのファンが付き添ってくれるのかは不明かと。

どちらにしろ、カンフェレンスリーグはスタートが10月15日と遅いため、それまでヘタフェはリーガに専念。まずは月曜にエル・サダルでのオサスナ戦となりますが、嬉しいことに相手も木曜に順延1節のセルタ戦があって、1-2の逆転勝利で勢いをつけたのはともかく、休養期間は同じになりますからね。先週末のラシン戦に続く、今季2勝目をゲットできればいいのですが、さて。

その一方で、ミッドウィークに試合のなかった弟分仲間、ラージョも月曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)から、カンプ・ノウに乗り込んでのバルサ戦が控えているんですが、今週は木曜にMFブアレ(ベティスから移籍)、金曜にも左SBペドローサ(セビージャからレンタル)らが到着。ようやく補強に本腰が入ってきたようですが、ベニャト・サン・ホセ監督のチームにはまだリーガで白星がないのはともかく、相手はCFがおらずとも、まったくゴールに不自由していませんからね。

この木曜にもアスレティックにラフィーニャとフェルミンのゴールであっさり2-0と勝利していたため、ラージョ的には来週土曜のラシン戦が重要になってきますが、はあ。どうやらこのホームゲームもエスタディオ・バジェカスを使用することはできず、何と今度はそれこそ、この金曜にモラタ(コモからレンタル)が降臨したブタルケ(レガネスのホーム)ではなく、コリセウムを借りる説も浮上。これでまた、アラベス戦のようにビジターファンにチケット配分がなかったら、久々に1部に戻ってきたラシンファンはきっと、カンカンになっちゃいますよね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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