出口が見えない問題がある…

「何よ、これならCFなんて全然いらないじゃない」そんな風に私が怒っていたのは月曜日、今季の開幕となるエルチェ戦でバルサが0-5のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利をした映像をニュースで見ていた時のことでした。いやあ、この夏、レバンドフスキ(現シカゴ・ファイアー)とフェラン・トーレス(現PSG)を失ったフリック監督のチームはずっと、その代わりを探していていたんですけどね。蓋を開けてみれば、公式戦初戦からラフィーニャが2発、フェルミンも2発、新人のFWアデイェミ(ドルトムントから移籍)も初ゴール。加えてニューキャッスルから来たFWゴードンが2アシストとなれば、一体、バルサはこれ以上の何を欲している?

まあ、CF補強をするしないはよそ様のチームのことなので、別にいいんですけどね。おかげで第1候補にされたフリアン・アルバレスがその気になってしまったのが、アトレティコにとって大迷惑で、ええ、決着のつかないまま、シメオネ監督のチームはメトロポリターノでの開幕戦を迎えてしまったんですよ。先週水曜のマラガ戦こそ、準備不足でベンチ外となったものの、日曜のビジャレアル戦には招集されたとなれば、W杯期間中に「皆にとって移籍が最善。ボクは自分の夢を叶えたい」と公言。ファンの反感を買っていたアルゼンチン人FWがキックオフ前のメンバー紹介の時から、pito(ピト/ブーイング)の嵐に見舞われてしまうのは火を見るよりも明らかだったかと。

それも試合が早期決着して、プレーせずに済めば、まだ穏便に済んだものの、ビジャレアルに追いつかれてしまったシメオネ監督はフリアンを投入する破目に。おかげでエージェントの話によると、今年3月にクラブに移籍希望を伝えたところ、ヒル・マリンCEOに「1億5000万ユーロ(約280億円)のオファーを持ってきたら考える」と言われ、期限だった6月20日前の9日にはレアル・マドリーの非公式オファーを通達。選りに選って永遠の宿敵であるお隣さんとあって、即座に却下されることに。その脇で何故か、4月にコパ・デル・レイ準決勝とCL準々決勝の死闘を制していながら、いつの間にか、フリアンがラブになっていたバルサは1億ユーロ(約186億円)以上出そうとしないため、当人も不満を溜めていたんでしょうね。

そのニッチもサッチもいかないプレーぶりにスタンドの音量も爆上がりとなり、試合後はクラブの判断でチーム恒例の場内一周に彼を参加させなかったため、1人だけ先にロッカールームに帰る姿でますます、印象を悪くしてしまったんですが、はあ。何せもう、ヒル・マリンCEO以下、アトレティコは意固地になってしまったため、バルサには絶対に売らないでしょうし、たとえ、金回りのいいアーセナルが満額払って、移籍することになってももう、夏の市場クローズまであと1週間強しかありませんからね。こんなギリギリになって、フリアンクラスのFWが獲れる保証なんて、どこにあるっていうんですか。

え、そんなことより、先週末のマドリッド勢の試合はどうだったのか知りたいって?そうですね、土曜にはリーガ1節を順延していたマドリーが2節のエスパニョール戦で今季をスタートさせたんですが、モウリーニョ監督はRCDEスタジアムでトップをエムバペ、その後ろにギュレル、ベリンガム、ビニシウスを並べる4-2-3-1のシステムを採用。すると開始9分にはギュレルの蹴ったFKを「最高のクロスとチームメートの動きのおかげで自分にスペースができた。Era un gol un poco fácil/エラ・ウン・ゴル・ウン・ポコ・ファシル(ちょっと簡単なゴールだった)」というベリンガムが頭で決めて、早々に先制したんですが、その後が続かなくてねえ。

おまけに30分には敵に守備の緩みを突かれ、ハビ・エルナンデスのラストパスをカラにフリーで撃たれて同点にされているって、もしやこのマドリー、あまり昨季と変わってない?ええ、ビニシウスがど突かれまくって、騒ぎになっているのも同じでしたし、とにかくエムバペが何度撃ってもGKドミトロビッチを破れなかったのが痛いんですが、土壇場に奇跡が起きるのもマドリーの十八番。そう、1-1のまま、後半45分となり、ドロー発進を誰もが覚悟していた時のこと、ギュレルと交代で入っていたディオマンデがエムバペにラストパス。

まったく当たりのなかったフランス人FWはこの時もボールをコントロールできず、ゴール前でロストするところだったんですが、そこで10分前にピッチに入ったエスピが抜け目なくスイッチ。レバンテからの出世移籍で、これがマドリー公式戦デビューという舞台にも物怖じせず、敵GKをかわして決めてしまったから、ビックリしたの何のって。チームを1-2の勝利に導いた当人も「No puedo creer que sea la mía/ノー・プエド・クレエル・ケ・セア・ラ・ミア(自分のゴールだったなんて信じられない)」と思わず言ってしまったそうなんですが、もしや誰より冷や汗をかいていたのは、この日も筋肉痛が治らず、マドリッドでお留守番していたエンドリックだった?

ちなみにこの21才のFWについては、194cmという長身や終盤に出場して決定的なゴールを挙げることから、「Espí desde el banquillo marcó un gol como si fuese Joselu Jr/エスピ・デスデ・エル・バンキージョ・マルコ・ウン・ゴル・コモ・シ・フエセ・ホセル・ジュニア(エスピはベンチから出て、まるでホセルの息子のようにゴールを決めた)」(ベリンガム)と、2024年のDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)の功労者との類似性を指摘する声も。未だにマドリッドに家がなく、ホテル住まいをしているせいか、朝昼晩とバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場の食堂でご一緒しているモウリーニョ監督に言わせると、「Es un chaval muy divertido/エス・ウン・チャバル・ムイ・ディベルティードー(とても楽しい若者)」なのだとか。

なかなか点が取れなかった時、結局はシャビ・アロンソ監督(現チェルシー)やアルベロア監督(現フラム)同様、FW4人体制にすることしかできなかったのは何ですが、試合後のモウリーニョ監督は更にビニシウスに関して、「今の社会はいじめ撲滅の風潮だが、con Vini estamos todavía en el bullying, de adversarios y de público/コン・ビニシウス・エスタモス・トダビア・エン・エル・ブリイング、デ・アドベルサリオス・イ・デ・プブリコ(ビニは未だに対戦相手や観客からのいじめに遭っている)」と告発することに。まあ確かに初めて訪れたテレサ・エレラ杯のリアソル(デポルティーボのホーム)やシャルケのフェルティンス・アレナでもブーイングされていたのは不思議でしたが、いえいえ、大丈夫。

次の試合は水曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、サンティアゴ・ベルナベウでの順延1節レアル・ソシエダ戦ですからね。更に日曜もマラガとのホーム連戦となれば、9月になるまでアウェイゲームの試練に遭わなくて済みますからね。そうそう、マドリーでは日曜からエスピ、月曜ククレジャ、火曜ディオマンデと個別入団プレゼンが再開。これに続いて先日、契約を2032年まで延長したビニシウスのビデオも流れるんでしょうか。

そして翌日曜はメトロポリターノで午後5時から、アトレティコがビジャレアル戦となったんですが、本当に助かりましたよ、熱波が去ってくれていて。暑いは暑かったものの、気温37、8℃だった頃に比べると雲泥の差で、直射日光の当たっていたバックスタンドの一部以外はまあ快適に過ごせることに。試合の方は前半、初先発となったイ・ガンインが何度か撃っていったものの、枠は捉えられず、GKオブラクもミカウターゼやアジョセのシュートをしっかりセーブしてくれたため、0-0でハーフタイムを迎えます。

すると後半14分、まるでマラガ戦の韓国人MFの先制点と似た位置から、プビルがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてくれたため、一旦は恒例の3人一斉交代から、アップ中も応援団席に「Dile que se vaya, de una puta vez/ディレ・ケ・セ・バジャ、デ・ウナ・プータ・ベス(出て行くときっぱり言えよ)」と歌われていたフリアンを除いたシメオネ監督だったんですけどね。何とその5分後、ヒュルマンドがブキャナンを引きずり倒してペナルティを取られてしまったから、さあ大変。リードされた直後にピッチに入ったジェラール・モレノにPKを決められ、同点にされたため、フリアンもバリオス、ジョレテンテと共にピッチに入ることに。

といってもまだ移籍願望が消えていない当人が積極的にプレーに関わることはなく、これならトップチームに昇格して燃えているアルナウ・オルティスの方が良かったんじゃないかと私が思っていた頃、何と29分には最悪の事態が発生。そう、VAR(ビデオ審判)振り返り注進で主審がモニターに走り、2分前、反対サイドでミカウターゼがオブラクにシュートをセーブされる直前、相手を押したル・ノルマンのプレーがペナルティとされただけでなく、当人はレッドカードで退場って何?

今度はミカウターゼにPKを決められ、1-2と逆転されたのには、1節でセビージャに先制しながら、PKを2本献上して負けた弟分ラージョの姿が重なってしまったんですが、CFとしてはまったく機能しないルックマンをヒメネスに代えたアトレティコは終盤に意地を見せてくれたんです。41分、後半頭から入っていたバエナのスルーパスをジュリアーノが撃ち込み、W杯決勝でアルゼンチンの望みを延長戦に繋げる同点ゴールを決められなかった鬱憤を晴らしてくれたから、有難かったの何のって。

ただ、9分とたっぷりとあったロスタイム中にはそのジュリアーノがふくらはぎに、当人も初めてというこむら返りを起こしてしまい、ええ、フリアンがあんな感じでまったく当てになりませんでしたしね。そのまま2-2で試合は引き分けたんですが、何せ、土曜のセビージャ戦にもセルロートは間に合わず。ルイス・ガルシア監督のチームはラージョに勝った後、アスレティックも1-3で倒して、意表を突く首位となっていますし、月火と練習をお休みして、一息つけたアトレティコももうちょっと、シュートが上手くなってくれるといいのですが。

そして続く時間帯で始まったコリセウムでのヘタフェvsラシン・サンタンデール戦は、私は見ることができなかったんですが、この日は幸い、ボルダラス監督のチームもここ2試合リピートしていた退場者を出さず。後半30分にはサソノフがサリーナスをエリア内で倒し、PKを献上したものの、GKダビド・ソリアがアンドレス・マルティンを弾いてピンチを凌ぐと、36分にはアンドレス・ガルシアのラストパスを、出戻り入団の恩を返そうと一生懸命なエネス・ウナルがゴール右前で押し込んで、とうとう得点することに。そのまま1-0で逃げ切って、嬉しいリーガ初白星を挙げたんですが、こちらはとにかく、木曜のパルチザン戦2ndレグでカンフェレンスリーグのリーグフェーズ進出を決めないといけませんからね。

ベオグラードでの一戦がまた、ヘタフェのYouTubeチャンネルの生配信になるのかはわかりませんが、予選とはいえ、ヨーロッパの大会の試合にTV中継がないのはちょっと不思議なところかと。一方、2節のアラベス戦を木曜に開催し、1-1と引き分けていたもう1つの弟分、ラージョの方は来週月曜のバルサ戦まで試合がないんですが、実はブタルケ(レガネスのホーム)で負傷交代したGKバタジャのケガが重傷だったですよ。右足脛骨を骨折し、月曜に手術して、全治3~6カ月って、駆け込み補強しないといけないのでは?

加えて、チーム唯一のW杯戦士、セネガル代表のパテ・シスが月曜から移籍を希望して、練習ボイコット状態に入ってしまったのも心配ですが、ええ、エスタディオ・バジェカスでの試合開催許可も一向におりませんしね。少なくとも今週はゆっくりできるラージョなため、バルサ戦までにまだまだ足りない選手を獲得するだけでなく、クラブもスタジアムの補修工事をガンガン進めていってもらいたいものです。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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