まだシーズン開幕の準備が完全に整ったとは言えないけど…

「これでようやくメンツが揃ったわね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、レアル・マドリー、アトレティコのW杯決勝、3位決定戦参加組の、バケーションから最後に戻った選手たちが練習している姿を見た時のことでした。いやあ、そうは言っても、週明けからバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場にエムバペ、チュアメニ、コナテ(リバプールから移籍)、ククレジャ(同チェルシー)、更にクルトワも参加してのセッションがあったお隣さんと違い、シメオネ監督のチームはその日の午前中、ソウルからの長旅を終え、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に到着。

韓国遠征には行かず、汗を流していたのは、先週から調整を始めていたセルロート、ジュリアーノ、プビル、グリマルド(レバークーゼンから移籍)と初出勤となったフリアン・アルバレス、バエナ、ジョレンテだけで、彼らはチーム練習が休みとなる火曜も遅れを取り戻すべく、稼働することになるんですけどね。ちなみに同じアルゼンチン代表組でもアルマダ、モリーナがいないのは、前者はリーベル・プレートへの移籍が決定。モリーナもローマへの移籍が迫っているため、レンタル期間が終わり、一旦、ユベントスに帰っているニコ・ゴンサレス共々、姿がなかったんですが、でもとりあえず、これでシメオネ監督も一安心できるかと。

まあ、そんなことはともかく、先週末はまたマドリッド勢のプレシーズンマッチラッシュがあって、いえ、ヘタフェなど、木曜からモナコ戦をプレーしていたんですけどね。それがまた、正面スタンドしか解放していなかったのか、無観客試合感満載のスタッド・ルイ・ドゥでは後半20分にダビンチがPKを献上。ブラナーにゴールを決められて、1-0で負けてしまったことより、もっとショックな出来事があったんですよ。そう、後半34分、クリスタル・パレスへのレンタル移籍から戻り、今季は再び得点力として当てにされていたウチェがマウィッサに乱暴なタックルを受けて担架退場。

マドリッドに戻って検査を受けたところ、ヒザの靭帯や半月板が複数断裂していることがわかり、シーズン開幕前から、今季絶望の烙印を押されてしまったから、さあ大変。そのショックもあったか、土曜にはロンドンで、でもあの立派なスタジアムではなく、練習場でトッテナムと対戦したプレシーズンマッチも、いえまあ、後半10分にはカンテラーノ(ヘタフェBの選手)リスコのゴールで先制したボルダラス監督のチームだったんですけどね。その4分後、今年の1月にアトレティコでの短期滞在を終えていたギャラガーに同点弾を喰らい、1-1で引き分けてしまうことに。

結局、6試合のプレシーズンマッチを2勝2分け2敗で終えたんですが、もう今週の土曜からヘタフェはリーガ勢1チーム限定の週2試合モードに入りますからね。そう、リーガ開幕アラベス戦を皮切りに、来週木曜にはコンフェレンスリーグ予選3回戦1stレグでトボル(カザフスタン)に3-0で勝ったパルチザン(セルビア)と当たることが濃厚なプレーオフ1stレグをコリセウムで、その週末日曜にはラシン・サンタンデール戦、27日(木)にはプレーオフ2ndレグ、31日(月)にはオサスナ戦と大忙しに。その割にはまだ、先週はジョージア人DFサゾノフ(トリノと契約満了)、ベルギー人MFマンガラ(オリンピック・リヨンからレンタル)ぐらいしか、補強選手は増えていないんですが、とにかく7年ぶりのヨーロッパの大会のリーグフェーズには進んでほしいものです。

そして同じくW杯準決勝出場選手がいないため、この土曜のセビージャとのリーガ1節が延期されなかった弟分仲間、ラージョも土曜にはイギリスでイプスウィッチ・タウン(今季からプレミアリーグ)とプレシーズンマッチ最終戦をプレーしたんですが、これがまた、前半に3点を取られての3-0完敗という、いい終わり方をしなくてねえ。4試合中、シャルルロワに後半ロスタイムのオウンゴールでしか勝てなかったというのも何ですが、イニゴ・ペレス監督(現ビジャレアル)を引き継いだベニャト・サン・ホセ監督(昨季はエイバル)には、リーガ1部での指導経験がないのもちょっと不安の残るところ。

補強の方は先週、やっとハル・シティに1000万ユーロ(約18億円)で移るメンディの代わりとして、CBクンブラ(マジョルカからレンタル)が到着したんですが、パチャ・エスピーノが契約終了、チャバリアもククレジャの後釜として2500万ユーロ(約46億円)でシャビ・アロンソ監督のチェルシーに引き抜かれ、空席となった左SBはまだ埋まっておらず。もちろん、一刻も早くエスタディオ・バジェカスでの試合開催を認めてもらうため、補修費用が必要なのはわかるんですが、二転三転の末、ホーム開幕戦のアラベス戦がマドリッド近郊のブタルケ(レガネスのホーム)開催となったのはファンにとって、不幸中の幸いだったかもしれません。

そして土曜にはマドリーもブダペストでフェレンツバーロシュ戦となったんですが、意外なことに木曜にクラブ史上最高額、同じ1億ユーロ(約168億円)越えのベリンガム、ベイル、アザールを大きく引き離す1億4000万ユーロ(約260億円)の移籍金でライプツィヒからの入団が決まったディオマンデはお留守番に。金曜にチームが旅立った後、バルデベベスで個人練習をしていたんですが、丁度、その1週間前、1回セッションをしただけのエスピ(レバンテから移籍)が即、オーストリアでのフィオレンティーナ戦に連れて行かれたのとは真逆の扱いだったのは一体、何故?

試合の方はこの日もCFとして先発したエンドリックがなかなかゴールを決められないのを横に、前半41分にはギュレルの蹴ったCKが敵DFにクリアされた後、フィオレンティーナ戦でゴールを挙げていたカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のシリアが入れたクロスを同僚のマリオ・リバスがヘッドで決めてマドリーが先制。後半頭から、とうとう契約を2032年まで延長。最初に希望したエムバペと同じ3000万ユーロ(約55億円)には届かなかったものの、年棒を2400万ユーロ(約44億円)まで上げることができたビニシウスと共に、期待の新人、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティと契約満了)もデビューしたんですが、モウリーニョ監督も「Ha tenido poco entrenamiento/ア・テニードー・ポコ・エントレナミエントー(少ししか練習していなかった)」と言っていたように、どちらもこれはといったプレーは披露できなくてね。

逆にW杯に行かず、1部残留を果たしたレバンテでしっかりプレシーズン練習に取り組んできたことを証明したのが途中出場をリピートした21才のエスピで、後半4分にはバルベルデのラストパスを受けて2点目をゲット。エムバペにもしものことがあれば、CFとして、チームをしょって立つ覚悟を示してくれたんですが、おかげで先日はゴンサロがアルベロア監督のフラムへ移籍。今季こそ、そのポジションを独占できると信じていたエンドリックも昨季後半のオリンピック・リヨンに続き、今季もレンタル移籍を考え始めるようになったのだとか。

後半12分には新たにカンテラーノコンビから、CBを引き継いだリュディガーとハイセンが隙を突かれ、コドロに1点を返されてしまったマドリーだったんですが、敵の反撃もここまで。そのまま1-2で逃げ切って、ヨーロッパリーグ予選1回戦から、リーグフェーズ進出を目指している相手に貫録を示すことに。まあ、リーガ1節を延期して、22日(土)の2節エスパニョール戦でシーズンがスタートする彼らにはまだ、今週も水曜午後9時(日本時間翌午前4時)、ラ・コルーニャ(スペイン北西部のビーチリゾート)で久々に1部に戻って来たデポルティボとのテレサ・エレラ杯、更には日曜にもゲルゼンキルヘンでシャルケ戦がありますからね。

先週はマスタントゥオノもフィオレンティーナにレンタル修行に出たため、エムバペ、ビニシウス、ディオマンデの3トップが見られる日も近いんじゃないかと思いますが、2年前はレガネスでプレーしていた19才のFWにはかなりのプレッシャーがかかるかも。アザールやベイル、お隣さんでもジョアン・フェリックス(現アル・ナスル)など、高額移籍が必ずしも成功を保証する訳ではないため、その辺は注意して見守っていく必要があるかもしれません。

そして木曜にソウルのホテルでイ・ガンイン(PSGから移籍)のお出迎えを受けたアトレティコは、日曜にマンチェスターシリーズ第2弾シティ戦をソウルでプレーしたんですが、この日も前線のスタメンはルックマンとメンドーサという、かなり淋しい状態でねえ。それでも前半43分にはコケの蹴ったCKを敵がクリアしたボールをヒュルマンド(スポルティングCPから移籍)が突っつくと、「モルテンのシュートした位置が悪かったから、ゴールには届かないと思ったけど、quizá me llegaría a mí/キサ・メ・ジェガリア・ア・ミー(自分に届くかもしれない)」という16才のカンテラーノ、ここ3試合、右SBを務めているホルヘ・ドミンゲスがゴール前でシュート。

見事にGKドンナルンマを破って、ユナイテッド戦同様、先制したアトレティコだったんですが、それが後半12分、14分にはまったく同じ形で、右サイドを突破したセメニョから送られたボールをモーモウシュに決められ、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)をされてしまうんですから、ドミンゲスはもうちょっと本業の守備の方を頑張った方がいい?いえまあ、セメニョを取り逃がしたのはカルロス・マルティン(昨季はラージョにレンタル移籍)でしたし、しかも2点目など、VAR(ビデオ審判)がなかったために認められた完璧オフサイドゴールだったというのはありましたけどね。

その後18分には選手大量交代となり、ここでとうとうイ・ガンインもデビュー。この数日、ソウル市内に設けられたカサ・アトレティを賑わせていた韓国人ファンたちも大いに沸いたんですが、残念ながら、ここまで2得点の24才のカンテラーノ、アルナウ・オルティスのシュートも決まらず。それどころか、45分にはカウンターを喰らい、アイト=ヌーリに3点目を取られているって、まったく困ったもんじゃないですか(最終スコア3-1)。

さすがにこのマンチェスターシリーズ2連敗にはシメオネ監督も苦い顔をしていて、ええ、試合後には「開幕まであと9日しかないのだから心配だ。Todavía no hemos podido entrenar en grupo, ni siquiera jugar en equipo/トダビア・ノー・エモス・ポディードー・エントレナル・エン・グルッポ、ニ・シキエラ・フガール・エン・エキポ(ウチはまだ、グループとしての練習も、チームとしてのプレーもできていない)」と言っていたんですけどね。しかもこの2試合はカンテラーノしかゴールを挙げてないとなれば、どんなにフリアンがバルサ行きを希望していても絶対、逃す訳にはいかない?

まあ、といっても行政手続きの関係で韓国遠征までチームに合流できなかったイ・ガンインもこれが初戦。1週間、マハダオンダでじっくりフィジカルトレをしたセルロートも最後のプレシーズンマッチ、金曜午後5時30分(日本時間翌午前1時30分)からのオリンピック・マルセイユ戦には出られるでしょうからね。2年前に優勝したユーロはお客様参加だったバエナも今回はスペインのW杯優勝に大きく貢献。その北中米大会で同じ状況を経験した、一緒にパリ・オリンピックで金メダルを獲っているプビルもチームに戻れば、守備の方もある程度、安定するかと思いますが、さて。

ちなみにアトレティコの選手補強の方は現在、スタンドバイ状態で、ええ、アルゼンチン勢2人に続き、アストン・ビラに移籍するため、韓国に行かなかったルッジェーリもそろそろ決まりそうですからね。それが完了すれば、いよいよ数年越しの目標、CBクーロ・ロメロ(トッテナム)を獲りに行くようですが、そうなるとやっぱり、ヒメネスは放出されてしまうんでしょうかね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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