相変わらず、試合はカンテラーノ頼みだけど…

「へえ、また選手が増えたのね」そんな風に私が新鮮さを覚えていたのは月曜日、お昼のニュースでこの日から、ビニシウス(ブラジル、16強対決敗退)、ブライム(モロッコ、準々決勝敗退)、マンチェスター・シティを退団して来たベルナルド・シウバ(ポルトガル、16強対決敗退)がレアル・マドリーの練習に加わったことを知った時のことでした。いやあ、実はもう先週から、W杯決勝トーナメントに出場した選手の帰還は始まっていて、予定を早めたエンドリック(ブラジル)、インテルから移籍したダンフリース(オランダ、32強対決敗退)、そしてリュディガー(ドイツ、32強敗退)らが、すでにバルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドで練習を始めていたんですけどね。

すると夜のニュースでは、夕方にセッションをしたアトレティコの新顔が映り、いえ、セルロート(ノルウェー、準々決勝敗退)はチームが練習休みとなった日曜から、マハダオンダ(マドリッド近郊)に出勤。しっかり準備していたのか、初日から普通に皆と一緒にエクササイズに加わっていたんですが、こちらは火曜にも前倒しでW杯決勝組のジュリアーノ(アルゼンチン)が戻って来るのだとか。もしかして、シメオネ監督が直々、見に行ったニュージャージーのメットライフ・スタジアムでの延長戦で2度のチャンスに失敗。スペインに追いつけなかったせいで、父から今季はもっと精進するよう、ハッパをかけられたのかと穿ってしまったもんですが、勝ち組のグリマルド(レバークーゼンから移籍)もW杯ではまったく出番がなかったため、今週中に合流するよう。

まあ、そうは言っても今週末の日曜午後1時(日本時間午後9時)、ソウルで開催されるマンチェスター・シティとのプレシーズンマッチにはまだ彼らは出る予定はなく、韓国遠征中はお留守番して、他の選手に追いつくため、フィジカルトレに励むそうですが、土曜午後7時(日本時間翌午前3時)にブダペストでフェレンツバーロシュに挑むマドリーは微妙。ええ、先週末のフィオレンティーナ戦では練習をたった2日しただけのエンドリックとダムフリースが先発していましたしね。電撃入団となったエスピ(レバンテから移籍)なんて、チームメートを初めて顔を合わせた翌日にはもう、クラーゲンフルトで行われた試合でデビューしているって、2期目のモウリーニョ監督はもしや、せっかち?

となると、ビニシウスやベルナルド・シウバも出場して、かなり今季のレギュラーチームの顔ぶれに近くなるかと思いますが、何せ肝心のエムバペ(フランス、4位)、ベリンガム(イングランド、3位)、チェルシーから移籍したククレジャ(スペイン)らが戻るのは10日まで待たないといけませんからね。モウリーニョ監督も「他の選手とも3週間練習したいが、es imposible/エス・エンポシブレ(不可能だ)」と言っていた通り、22日の開幕エスパニョール戦にベストメンバーで挑むのはちょっと、難しいかもしれませんね。

そんなことはともかく、一気にマドリッドの3チームがプレーした先週土曜のプレシーズンマッチがどうだったか、お話ししていくことにすると。午後3時という早い時間に先陣を切ったのはアトレティコで、ストックホルムでマンチェスター・ユナイテッドと対戦したんですが、開始5分には、この日スタメンに入ったカンテラーノ(下部組織の選手)2人のうちの片割れ、アルナウ・オルティスが先日のヘタフェ戦に続いて、驚かせてくれることに。

そう、コケの出した短いCKを受けた彼がクロスを入れたところ、ボールがすっぽりゴール右隅に入ってしまったからですが、実はこのアトレティコ・マドリレーニョのFW、昨季は23得点もしているゴールゲッターでねえ。それが終盤戦はコパ・デル・レイとCLを優先して、リーガでカンテラーノ満載の大ローテーションを展開していたシメオネ監督のチームに何故、現れなかったのかというと、当人の24才という年齢がネックに。この年の選手は1度、トップチームの公式戦に出ると、もうBチームでは出場できないという規定があったから。

当時はフェルナンド・トーレス監督も2部昇格を争っていたため(プレーオフ準決勝で敗退)、それは困るということだったんでしょうが、昨季限りでグリーズマンがオーランドシティに移籍。フリアン・アルバレスも先行き不明という今なら、トップチームの選手にしてあげてもよくなくない?まあ、アルナウ自身は「Eso al final no está en mis manos/エソ・アル・フィナル・ノー・エスタ・エン・ミス・マノス(結局のところ、ボクが決めることではない)から、自分は毎日、頑張ることに集中している」と言っていたんですが、すでに彼を狙っているリーガの1部チームは結構、あるのだとか。

ただ、せっかく先制しながら、この日のアトレティコは勢いに乗れず、後半8分にはカンテラーノのカスティージョがペナルティを犯し、ムベウモにPKで同点にされてしまうことに。更には28分、メンドーサのパスミスから、再びムベウモに決められ、その頃はトップチームの選手がヒメネスとレマルの2人だけになっていたせいもあったか、最後は2-1で負けてしまったんですが、まあドンマイ。シティ戦ではグリーズマンの後継とされるイ・ガンイン(PSGから移籍)も合流してくれますしね。ハンツコなどによると、このプレシーズン練習では新しいことも試しているようなので、これから少しずつ、新生アトレティコの姿も見えてくるんじゃないでしょうか。

そして午後6時からはお隣さんの番が来て、フィオレンティーナ戦のキックオフとなったんですが、一番気になったのは、アセンシオが全治4~6週の太もものケガ、ハイセンも筋肉痛、リュディガーはスロー調整ということでお留守番だったため、CBコンビが18才のマリオ・リバスとファン・マルティネスのRMカスティージャコンビだったことでねえ。ただそれでも序盤はマドリーのペースで試合が進み、前半12分にはアルベロア監督率いるフラムに引き抜かれたゴンサロに代わり、CFを務めたエンドリックがカレラスのアシストで先制点をゲット。24分にもカマビンガのパスから、カンテラーノのシリアがGKデ・ヘアを破り、2点をリードしたんですが、やはりバルデベナスを離れて、この夏最初の観客試合となると、疲れるのも早いんでしょうかね。

41分にはピッコリに1点を返され、後半13分にはキーンのヘッドで同点にされてしまったんですが、もうこの頃のマドリーはモウリーニョ監督曰く、「supercansado/スーペルカンサードー(超疲れていた)」という状態になっていましたからね。スピード先発をしたエンドリック、ダムフリースも後半30分には退き、いよいよエスピがデビュー。昨季11得点でレバンテを残留に導いた21才のFWにも、45分にはトレントのクロスをゴール前でヘッドするチャンスがあったんですが、残念ながら、枠を捉えられず、そのまま試合は2-2で終わることに。

そして兄貴分の後半と被って、午後7時から、ベルギーでシャルルロワ戦をキックオフしたのがラージョだったんですが、彼らにはよくあることなんですが、こちらはTVもネット中継もまったくなかったんですよ。おかげで私も映像を見ていないんですが、前半24分にはエヌテカが、後半17分にはフラン・ペレスがゴールを挙げて2点をリード。いよいよベニャト・サン・ホセ新監督も初勝利を掴めるかと思われたんですが、その2分後にはもう相手に反撃されて、シャイドラーに1点を返されている始末でねえ。

おまけにとうとう33分にはソルヘイドに同点にされてしまったんですが、そんな時、やっぱり頼りになるのはベテラン。45分、アルバロ・ガルシアがゴール前に送ったクロスをソルヘイドが、今度はオウンゴールにしてしまい、土壇場で2-3の勝利となったのは、このところ、落ち着かない思いをしているラージョファンの少しは慰みになった?ええ、何せ先日、マドリッド州政府から、安全面の懸念があると、エスタディオ・バジェカスの使用許可を凍結されてしまった彼らですからね。

一応、補修工事が終わるまでの代替スタジアムはブルゴス(2部)のエル・プラティーノに決まったんですが、そこってマドリッドから、往復5時間なんですよ。それなのに相変わらず、クラブは絶賛、abono(アボノ/年間指定席)更新キャンペーン中って、そりゃ、消費者保護団体から、返金勧告もされますって。ようやく月曜になって、プレサ会長とキャプテンのイシとバリウが州庁舎を訪ね、話し合いを持ったんですが、やっぱりバジェカスの使用許可は下りず、マドリッド州内のブタルケ(レガネスのホーム)でプレーするように勧められるって、本当にどうしたものか。

一方、もう1つの弟分、ヘタフェは先週末、試合がなかったんですが、とうとうこの月曜には8月20日と27日にあるカンフェレンスリーグ・プレーオフの相手が決定。候補の中にはモナコ、フライブルク、アタランタといった名のあるチームもあったため、8月上旬に予選3回戦をプレーするパルチザン・ベオグラードvsトボル戦の勝者となったのは良かったかと。その対戦を鑑みて、今週中にはあと3人、補強選手が到着するようですしね。実際、出場権を獲ったとはいえ、リーグフェーズに進めなければ、意味ないため、ここはしっかり準備してもらいたいところ。この木曜、この夏、4試合目となるプレシーズンマッチのモナコ戦でまた、サトリアーノがゴールを決めてくれると、きっとファンも心強いですよね。

author avatar
原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
目次