ようやく本格的なプレシーズンマッチが始まる…

「今週末には真っ当な親善試合が見られそうだわ」そんな風に私が喜んでいたのは木曜日、これまで所謂、練習試合しかしてこなかったマドリッドの兄貴分チームたちが土曜にはとうとう、観客を入れて大きなスタジアムでプレーするプレシーズンマッチを迎えることに気がついた時のことでした。いやあ、それが午後6時(日本時間翌午前2時)から、オーストリアのクラーゲンフルトで開催のレアル・マドリーvsフィオレンティーナ戦はクラブ自前のTV局で中継が決まっているため、自宅で見られることは確実なんですけどね。

問題は午後3時(日本時間午後11時)から、ストックホルムであるマンチェスター・ユナイテッドvsアトレティコ戦の方で、モビスター・プルス(スペインの大手電話会社系有料放送局)で中継があるものの、リーガのないこの時期、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)は契約解除しているところが多いんですよ。となると、私もお店探しをしないといけないんですが、現在、マドリッドにはもうこの夏、4度目にもなる猛暑が到来。1日の一番暑い時間にバル回りするって、一体、何の罰ゲーム?

ただ、両チーム共、出場する選手たちにはほぼ変化はなく、ええ、マドリーはW杯3位決定戦組のエムバペ、チュアメニ、コナテ(フランス)、ベリンガム(イングランド)、そしてスペインの初戦前日に入団が決まり、代表1人参加となったククレジャ(チェルシーから移籍)らはチーム合流が8月10日と、もっと先ですからね。決勝組が同じ日に戻って来るアトレティコなど、バエナ、ジョレンテ、プビル、グリマルド(スペイン)、フリアン・アルバレス、アルマダ、モリーナ、ムッソ(アルゼンチン)に加え、準々決勝敗退のセルロート(ノルウェー)と大量10人がいないんですから、これはもう、まったく違うチームと言ってもいいかと。

まあ、そんなことはともかく、弟分のヘタフェやラージョに遅れること1週間、先週金曜にはマドリーもバルデベバス(バラハス空港の近く)のエスタディオ・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でこの夏、最初の対外試合を迎え、いやあ、こういうの、昨年までもご近所さんを呼んで、ひっそり非公開でやっていたんですけどね。それが何故か、今年はマスコミ部分公開となり、前半20分までは見学できるというお知らせが来たものの、暑さマックスの午後6時、カンカン照りの道をメトロの駅から30分、歩くことを考えただけで頭がくらくらして、早くも私はギブアップすることに。

でも大丈夫。このチームにはレアル・マドリーTVという、ファンの強い味方がいるため、冷房のきいた自室で、アルコルコン(RFEF1部/実質3部)戦の公開された部分を見ることができたんですが、やはり最初の試合ですよね。スタメンにいたカンテラーノ(RMカスティージャ/RFEF1部の選手)は2人だけだったんですが、せっかく開始2分にマスタントゥオノがエリア内で倒されて得たPKを、トルコ代表がW杯グループリーグで敗退し、先週頭に合流したばかりのギュレルが敵GKに弾かれるという不運。

結局、中継が打ち切られる前半のお水休憩までにはゴールを見られず、モウリーニョ新監督の猛練習の疲れが祟ったか、ピッチがカネラーノオンリーになっていた後半36分、ようやくジャニェスがPKを決めて、1-0の辛勝をしていたんですが、まあドンマイ。今週水曜に灼熱の同時刻、行われた練習試合第2弾、レガネス(2部)戦では、公開部分がハーフタイムまでに拡大されたところ、前半20分にはギュレルがアルコルコン戦をパルコ(貴賓席)観戦していた、やはり早期敗退組のバルベルデ(ウルグアイ)に繋ぎ、そのシュートでマドリーは先制点をゲットすることに。

25分にもトレントのロングボールを追ったゴンサロが見事な2点目を決めるのも目撃できたんですが、後半13分のマスタントゥオノ、その1分後のプリドのオウンゴールで入った4点目は中継終了で見ることは叶わず。その後はまた、チームはオールカンテラーノとなってしまったようですが、失点を前半36分、相手をレンタル生活の長かったナイムの単独ゴールだけに抑え、エムバペ、ビニシウスがおらずとも、4-1で貫禄の勝利を挙げる姿には、この夏、インテルから移籍。その日から練習に加わり、パルコ観戦していたW杯32強敗退組のダムフリース(オランダ)も安心したのでは?

ちなみに翌木曜には同じく32強敗退組のリュディガー(ドイツ)、そして16強敗退組のエンドリック(ブラジル)も合流予定を前倒しして、バルデベバスに出勤していたマドリーなんですが、とにかく先輩のビニシウスの方は音沙汰がなくてねえ。いえ、1週間程前に整形後のニュールックが話題になったり、ジャマイカでバケーションを楽しんでいる映像は見たんですが、やはり懸念は彼には来年切れる契約の延長問題があること。おかげでここ数日、突如、補強候補に挙がってきた、奇しくも2年前、ボルハ・ヒメネス監督のレガネスを2部降格からあと一歩で救えなかったアタッカー、ディオマンデがその後釜なのではないかと穿つ声も世間からは聞こえてくることに。

いやあ、当時の彼は冬にアメリカから来たばかりの17才で、最初はBチームにいたものの、すぐトップチームに昇格すると、10試合で2得点を記録。1部の試合でその才能がメディア露出したおかげで、シーズン終了後には2000万ユーロ(約37億円)という破格の移籍金でライプツィヒへ行くことに。昨季13得点10アシストというのはともかく、W杯にもコートジボワール代表として出場したため、現在では1億2000万ユーロ(約220億円)まで高騰って、いやあ、モウリーニョ監督が欲しがっている、スペインの優勝で大会MVPを獲った2年前のバロンドール、ロドリ(マンチェスター・シティ)だって、5、6000万ユーロ(約92~110億円)ですからね。

どうにも昨今、数字がバグッているようですが、まだ当人19才と若いですし、弟分チームからの出世移籍というと、これもまた、前回のモウリーニョ監督時代、ヘタフェからマドリーに行って、あまりいい目に遭わなかったペドロ・レオン(昨季限りでRFEF1部のムルシアを引退して会長に就任)の例もあるため、果たしてどうなることやら。とりあえず、近日中にはもう1人の補強選手、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティと契約終了、ポルトガル)も練習に合流することになりますが、木曜に太ももを負傷。全治4~6週間となったアセンシオ共々、土曜のフィオレンティーナ戦にはまだ、出られない気がします。

その一方でチームに5人程しか、昨季2部残留を決めたシーズン最終戦で見た顔がいなかったレガネスには、1部の弟分の尻ぬぐいが回ってきそうで、いやあ、先週はラージョも日曜には変則120分試合でフェイノールトに延長戦部分に決勝点を入れられて、2-1で負けていたんですけどね。快適なオランダキャンプもこれで終わり、マドリッドに戻って来てみれば、水曜にはマドリッド州政府から、いきなりエスタディオ・バジェカスの使用許可を凍結されてしまうんですから、寝耳に水とはまさにこのこと?

スタジアムの安全面が懸念されるとかで、8月20日のリーガ2節、アラベスとのホーム開幕戦は昨季、ピッチ状態の劣悪化により、バジェカスでプレーできなかったアトレティコ戦同様、ブタルケ開催となるんじゃないかと言われているんですが、でもマドリッド州政府は2~6カ月の改修工事が必要って言っていなかった?レガネスだって自分たちの試合がありますし、ラージョファンも応援に行きにくくなって最悪なんですが、何故か翌木曜には当局から派遣された造園師、電気、水道技術者らの入場をクラブは拒否。代わりに副会長を先頭に職員たちが場内の清掃に精を出していたって、何か本当にもう、やっていることの意味がわかりませんって。

そんな、いきなり想定外の危機に見舞われたベニャト・サン・ホセ新監督のチームは早くもこの土曜、シャルルロワとベルギーで対戦となるんですが、実はこの水曜には私もとうとう、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場に行ってきたんですよ。そう、お隣さんを真似したのか、シメオネ監督のチームもキックオフから20分程までマスコミ公開する練習試合を、こちらはヘタフェと組んでいて、時間も午後8時30分と少しは熱波も収まっていそうでしたからね。場所がバス停から歩いてすぐというのも決め手になったんですが、これがまさに正解だったんです。

その理由は、緑の多い郊外のマハダオンダはマドリッド中心部より、風が通って、暑さが凌ぎやすかったのもあるんですけどね。すでに日陰になっていたスタンドで取材していた記者たちは、お隣さんと違って、制限時間以降、カメラの使用を禁じられただけで、退場は促されず。よって、映像に残っているのは、両チーム並んでのピッチ入場もなく、ややグダグダな感じで試合がキックオフして5分、メンドーサのシュートがポストに弾かれたボールをゴール右脇から撃ち込んだルックマンの先制点のシーンだけなんですが、これは単なる始まりに過ぎなかったんですよ。

いやあ、土曜に3試合目のプレシーズンマッチとなるバジャドリー(2部)戦を、このところ恒例となっているラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部のグラウンドでプレーして、スコアレスドロー。月曜にはまた電車に乗って、カンポアモール(地中海沿岸)での2泊3日のミニキャンプに行った後、その日も午前中に練習して、アトーチャ駅から直接、マハダオンダに来たボルダラス監督のチームが、スタメンにGKダビド・ソリア、ジェネ、ボセッリ、ダビンチの4人しか、トップチームの選手を並べなかったおかげもあったかと思いますけどね。

逆にカンテラーノ(アトレティコ・マドリレーニョの選手)は2人だけ、後は新人のヒュルマンド(スポルティングCPから移籍)を含め、GKオブラク、ハンツコ、ル・ノルマン、コケetc.とW杯に行っていない精鋭を揃えただけあって、アトレティコは35分にもカルロス・マルティン(昨季はラージョにレンタル)のクロスをルックマンが撃ち込んで、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成。いえまあ、それでも41分にはヘタフェのカンテラーノ、アルバロ・グティエレスの3度撃ちの執念が実り、1点を返されてしまったんですけどね。

サトリアーノやウチェがお休みしたヘタフェのゴール不足は明白で、一方、アトレティコはハーフタイムに11人全員を交代。今度はトップチームの選手がW杯早期撤退組のヒメネス(ウルグアイ)、バルガス(メキシコ)、ようやく足首の手術から回復したカルドーソだけになったせいか、シメオネ監督の指導の声もかなり控えめになった後半10分にはBチームのエース、アルナウ・オルティスが3点目、終了間際にもバルガスがPKゴールを決め、4-1でこの夏、幸先のいい初勝利を挙げることに。

こんな試合を見せられると、ヘタフェもボルダラス監督ではなく、スタンド観戦していたBチームのマヌ・デ・モラル監督が指揮を執った方が良かった気がしますが、まあこの日は類を見ない程の強行軍でしたからね。来週木曜、偶然にも8月20日、27日に彼ら同様、カンフェレンスリーグのプレーオフに挑むモナコと対決する時にはもっと、勝利を意識したマッチプランを立ててくれるはずですが、さて。とにかくまずは、ルイス・ミジャ(コモに移籍)とアランバリ(同リーベル・プレート)の代わりを補強してほしいところです。

そしてアトレティコの方は今週、加入が正式に決まったイ・ガンイン(PSGから移籍)の到着待ちをしているんですが、韓国はW杯でグループリーグ敗退しているものの、どうやら当人が行政手続きの関係で出国できないようでねえ。最悪、ソウル遠征となる8月9日のマンチェスター・シティ戦まで合流できないかもしれないんですが、セルロートもフリアンも本当に戻って来るのか定かではない今、やっぱり心配なのはいざという時、FW獲得レースに遅れを取らないかどうか。ルックマンが健在なのは朗報でしたが、彼もこのW杯で頭角を現したバエナとポジションが被るため、シメオネ監督にはまだ考えることが沢山、ありそうです。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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