宿命の決戦。メッシの集大成か、イングランド黄金世代の復讐か【W杯準決勝プレビュー】

2026年ワールドカップ準決勝で実現したアルゼンチン対イングランドは、過去の大会でも強い印象を残してきた特別なカードである。

1986年、1998年といった節目の対戦を経て、再び訪れた大舞台での一戦。両国のこれまでの対戦の積み重ねを踏まえても、注目度の高い試合となる。

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「準決勝勝率100%」の神話と、偉業への資格

アルゼンチン代表において「10番」は、チームの中心を担う象徴的な番号として受け継がれてきた。

1986年大会のディエゴ・マラドーナは、その象徴を決定づけた存在である。準々決勝のイングランド戦で見せた「神の手」と「5人抜き」ドリブル突破からのゴールは、今なお大会史における代表的な場面として語り継がれている。彼はそのままチームを優勝へ導き、自身にとって唯一のワールドカップ制覇を成し遂げた。この大会を機に、マラドーナはアルゼンチンにおいて特別な存在として語られるようになった。

その後を継いだリオネル・メッシは、2022年大会で悲願の初優勝を果たし、すでにマラドーナの背中に並ぶ実績を手に入れている。そして今、1962年のブラジル以来となる「ワールドカップ連覇」という歴史的偉業に挑むべく、この準決勝に臨む。もしここで勝ち、ファイナルの地で再び頂点に立つことがあれば、メッシはマラドーナが生涯で一度だけ成し遂げたワールドカップ制覇を「複数回優勝」という形で新たな実績を加えることになる。それはメッシの評価に新たな視点を加える瞬間になる可能性がある。

だが、その偉業に挑戦するためには、目の前の準決勝を突破する必要がある。アルゼンチンはこの「準決勝」という舞台において、これまで5戦全勝で決勝進出を果たしている。過去2度の準決勝でもメッシが中心的な役割を果たしており(2014年はPK戦での最初のキッカーを成功させ、2022年はクロアチア戦で先制PKを記録)、大舞台で安定したパフォーマンスを見せてきた。

しかし、このタフなトーナメントを勝ち上がってきた理由は、メッシ個人の力だけではない。現在のアルゼンチンは、メッシ以外に7人の選手がゴールを決め、8人の選手がアシストを記録するなど、チーム全体として高い機能性を示している。後方ではクリスティアン・ロメロとリサンドロ・マルティネスのセンターバックコンビが安定した対応を見せ、ゴール前では前回大会のゴールデングローブ受賞者エミリアーノ・マルティネスが控える。こうした組織力を背景に、「準決勝無敗」という流れを今回も維持できるか。メッシとその仲間たちにとって、ここは文字通り「歴史の分水嶺」となる。

繰り返されてきた悲劇と、歴史を塗り替える「2人の怪物」

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一方で、イングランドにとってアルゼンチンとの対戦は、結果とともに強い印象を残してきた歴史がある。1986年大会ではマラドーナの前に涙を呑み、1998年大会ではデイヴィッド・ベッカムの退場後、PK戦の末に敗れた。

また、イングランドにとって「準決勝」という舞台も、これまで簡単に突破できていない壁の一つである。過去3大会で2度目の準決勝進出となるが、2018年ロシア大会では延長戦の末にクロアチアに敗戦。1990年イタリア大会でも西ドイツとのPK戦に敗れている。それ以外に準決勝に進んだのは、優勝を果たした1966年大会のみである。

しかし、トーマス・トゥヘル監督率いる現在のスリーライオンズ(イングランド代表)は、過去の結果とは異なる特徴を持つチームでもある。個の能力と組織力を高いレベルで兼ね備えており、歴史を塗り替えるだけの力を持つと評価されることもある。

その中心にいるのが、ハリー・ケインとジュード・ベリンガムの2人だ。2018年大会の得点王であるキャプテンのケインは、今大会でも再びゴールデンブーツ(得点王)を争う有力候補だが、チームは決して彼のワンマンチームではない。相棒のベリンガムもケインと同じく6試合で6ゴールを叩き出しており、ワールドカップの1 大会において、同一国の2選手がともに6ゴール以上を記録したのは史上初の快挙である。

さらに前線には、同じく得点を挙げているマーカス・ラッシュフォードに加え、それぞれ3アシストを供給しているアンソニー・ゴードンやブカヨ・サカといった強力なアタッカー陣が控える。過去の結果を直接覆すことはできないが、このタレント陣にとって、大舞台でアルゼンチンと対峙するこの試合は、イングランドの現在地を示す重要な機会となる。

歴史を背景に、ピッチで決する90分の行方

両国の対戦は、常に決定的なドラマを伴ってきた。ある時は個人のひらめきが、ある時は予期せぬ退場劇が、人々の記憶に刻まれてきた。

しかし、2026年アトランタのピッチに立つ選手たちにとって重要なのは、過去ではなく現在のパフォーマンスである。

メッシにとっては、完璧な強固さを備えたチームとともに挑む、キャリアの集大成としての連覇へのステップ。イングランドにとっては、屈指の破壊力を誇るデュオを筆頭に、過去のトラウマと「準決勝の壁」を完全に乗り越えて世界の頂点へと駆け上がるための試金石だ。

スタジアムの熱狂が高まる中、両国の歴史に新たな1ページが加わる可能性がある。

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超ワールドサッカー編集部
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