「クロアチアの方が良かったかも」そんな風に私が残念がっていたのは金曜日、深夜にあったW杯32強対決の試合でポルトガルがスペインの16強対決の相手に決まったのを知った時のことでした。いやあ、ペリシッチ(PSV)のゴールで先制しながら、PKでクリスチアーノ・ロナウド(アル・ナスル)に同点にされ、後半ロスタイムにはゴンサロ・ラモス(ミラン)が勝ち越し点。それでも土壇場で決まったグバルディオル(マンチェスター・シティ)のゴールがオフサイドにされなければ、クロアチアも延長戦で波乱を起こせたかもしれないんですけどね。
これでこのW杯、もしくは現役選手としてのモドリッチ(ミランと契約満了)のプレーがもう見られないかもしれないというだけでなく、実はスペインは昨夏のネーションズリーグ決勝のPK戦でモラタ(コモ)が止められ、ポルトガルに5-3で負けているんですよ。逆にクロアチアには2023年のネーションズリーグ決勝のPK戦で4-5と勝ち、初優勝を遂げているんですが、え?前回のW杯カタール大会ではモロッコに、その前のロシタ大会ではホスト国にPK戦で敗退しているように、PK戦弱者傾向の強いスペインは何より、そこまで行く前に決着をつけることをマストにすべきだろうって?
まあ、その通りなんですが、16強対決の相手が決まったことで、スペインの決勝までのルートがかなり見えてきたのも確かかと。そう、ポルトガルを倒すことができれば、準々決勝の相手はアメリカvsベルギー戦の勝者で、GKクルトワ(ベルギー、レアル・マドリー)の存在は無視できないものの、どちらが来ても勝てそうな気がしますしね。続く準決勝はここまで6得点と冴えまくっているエムバペ(マドリー)のいるフランス一択でしょうが、実はスペイン、彼らには王者となったユーロ2024の準決勝で2-1と勝利。更に2025年ネーションズリーグ準決勝でも5-4で競り勝っているとなれば、かなり楽観的になってもいいかも。
ちなみに決勝トーナメントの反対サイドの方は、うーん、日本を倒すのに後半ロスタイムまでかかったブラジルは16強対決のノルウェー戦で、ここまで4得点のビニシウス(マドリー)と5得点のハーランド(マンチェスター・シティ)がガチンコ対決。そこを越えても準々決勝では同僚のベリンガムに加え、5得点のハリー・ケイン(バイエルン)のいるイングランドが立ち塞がりそうですからね。
もしや決勝は、金曜はシメオネ監督まで、息子ジュリアーノの背番号17のユニを着て、マイアミのハードロックスタジアムに応援へ。予想外の延長戦の激闘の果て、カーボベルデを3-2で下した前大会王者のアルゼンチンとの対戦になって、スカローニ監督のチームに6人、それも息子に会いに合宿ホテルに行った際、先日、移籍希望をマイクの前で口にしたフリアン・アルバレスとも話したシメオネ監督も今はきっと、母国アルゼンチンの勝利が最優先なんでしょうね。
「El futuro de él, sobre todo, es el partido de mañana/エル・フトゥロ・デ・エル、ソブレ・トードー、エス・エル・パルティーオー・デ・マニャーナ(何より彼の未来は明日の試合に懸かっている)」と、フリアンが翻意するよう働きかけているのかもわからないため、いずれは5人になるかもしれないんですが、スペインもグリマルド(レバークーゼンから移籍)が入って4人となる、アトレティコ勢対決が実現する可能性も高いかと。
いえ、CL決勝で勝ち組、負け組となったファビアン(PSG)とミケル・メリーノ、スビメンディ、ダビド・ラジャ(アーセナル)らもデ・ラ・フエンテ監督の下では仲良くやっているため、どちらが優勝したとしても、新シーズンに遺恨を残すことはないかと思いますけどね。ようやく3大会ぶりに決勝トーナメントで勝利したとはいえ、今回は48チーム参加の拡大大会となり、これまではなかった32強対決に勝っただけ。下手すれば、ロシア、カタールに続いて3連続16強対決敗退となるかもせず、スペイン決勝進出の夢を見るには早やすぎるんですが、ただ、それには理由がまったくない訳ではないというか…。
そう、グループリーグ初戦でアフリカの諸島国家、カーボベルデとスコアレスドローをした後、サウジアラビア戦で4-0の快勝。最終節ウルグアイ戦ではまた、0-1という渋いスコアで勝ったスペインは、木曜のオーストリア戦で再び強さを見せつけてくれたんですよ。賢明にもサウジアラビア戦のスタメンをリピートし、ペドロ・ポロ(トッテナム)とダニ・オルモ(バルサ)が戻ったチームは、いえ、前半のお水休憩が来るまではあまりパッとしなかったんですけどね。
オーストリアのキャプテン、マドリーを退団してフリーとなったアラバも「序盤のウチは悪くなかったが、después del primer parón ellos cambiaron un poco/デスプエス・デル・プリメール・パロン・エジョス・カンビアロン・ウン・ポコ(最初の休止の後、彼らは少し変わった)」と言っていたように、気温23℃程の涼しいロサンジェルスのスフィ・スタジアムでも与えられたこの3分間を、デ・ラ・フエンテ監督はプレスをかける位置を高くするため、どうやら有効活用できたよう。プレーが再開していくらも経たない29分、クリアされたCKからククレジャ(チェルシーからマドリーに移籍)が決めたゴールこそ、クバルシ(バルサ)がGKシュラーガー(ザルツブルク)にファールしたとされ、スコアには挙がらなかったものの、大丈夫。
36分にはその鬱憤を晴らすかのごとく、ククレジャが今度はエリア内、ぽっかり敵DFがいないスペースにラストパスを送り、頼りのオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がワンタッチでシュート。見事に先制点にすると、ユニの下にボールを入れ、彼女の第2子妊娠を祝うことに。ただし、残念ながら、ロスタイム、バエナ(アトレティコ)が蹴ったFKがゴールバーを直撃した後のジャマル(バルサ)の至近距離からの一撃はシュラーガーに当たってしまい、試合は1-0でハーフタイムに入ることに。
変わらず、攻勢が続いた後半は逆にお水休憩の直前、21分に、いやあ、本当にアトレティコと代表のバエナは違うんですね。この日も左サイドのアタッカーとして先発した彼がエリア内奥まで進み、ゴール前に折り返しのピンポイントパス。飛び込んできたポロがヘッドで撃ち込んで、2点目が入っているんですから、まったく嬉しいじゃないですか。それからはスペインも選手交代が始まり、フェラン・トーレス(バルサ)やメリーノがピッチに入ったんですが、止めの3点目は、その日、自分もゴールを決めたいと何度か、無理筋の動きしていたジャマルが最後に放ったシュートもアラバにライン上クリアされ、何の成果を上げられず、ガビ(バルサ)と代わった後のこと。
そう、44分にまたしてもククレジャがラストパスをエリア内に入れ、オジャルサバルが決めてくれたんですが、これで彼ももう5得点目ですからね。となれば、2点差のメッシや1点差のエムバペらと大会ピチチ(得点王)を争う資格が充分ある?ただ、デ・ラ・フエンテ監督も「Es una persona normal/エス・ウナ・ペルソーナ・ノルマル(彼はノーマルな人)。その偉大さはパフォーマンスだけでなく、親しみ易く、話しかけ易いところにある」と言っていたように、2008~2012年のスペイン黄金期をゴールで支えたビジャやトーレスなどと比べると、彼って若干、華に欠ける感じは否めず。
それもこのままゴールを入れ続け、すでに代表通算24得点として、歴代ランキング9位まで上がった記録を伸ばしていけば、だんだんカリスマ性も出て来るはずですが、さて。後半ロスタイムにはとうとう、プビル(アトレティコ)も大会デビューを果たしたスペインはそのまま3-0で快勝し、GKウナイ・シモン(アスレティック)も4試合連続無失点の。もし課題があるとすれば、この日も20本以上シュートを撃ちながら(うち枠内10本)、かなり効率が悪いところかと。
実際、完敗したオーストリアのラングニック監督など、「ウチはヨーロッパ王者と対戦して、相手は次の世界王者になりうる」とベタ褒めしてくれたものの、デ・ラ・フエンテ監督は更なる高みを目指していましたしね。曰く、「チームに改善の余地は少ないという意見には同意しない。Hay que mejorar todo/アイ・ケ・メホラル・トードー(全てを良くしていかないと)」そうで、「La satisfacción te mata/ラ・サティスファクシオン・テ・マタ(満足は身を滅ぼす)」のだとか。
ちなみにその夜はロサンジェルで3晩目を過ごし、翌金曜には前日練習したグラウンドでリハビリトレ。もうベースキャンプのチャタヌーガには戻らず、夕方にポルトガル戦の開催されるダラスに飛んだスペインですが、朗報はウルグアイ戦でのケガが思ったのより軽かったニコ・ウィリアムス(アスレティック)、ジェレミー・ピノ(クリスタル・パレス)、更には合宿開始時から、ずっと個人練習だったビクトル・ムニョス(オサスナからリバプールに移籍)も、木曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合に出場できること。
逆に気になるのはこれまでポロと代わりばんこで右SBの先発していたジョレンテが、相手がオーストリア戦でゴールを挙げたこともあり、残り試合で控えになりかねなかったり、ええ、左SBはククレジャが絶好調で、グリマルドにはまったくつけ入る隙がありませんからね。バエナ以外のアトレティコ勢のプレゼンスが乏しくなりそうなことですが、まあ、そうは言ってもチームにはまだ、ボルハ・イグレシアス(セルタ)、スビメンディ、エリック・ガルシア(バルサ)ら、1度もプレーしていない選手が6人もいますからね。
この先は中3日のスケジュールが続いていくため、デ・ラ・フエンテ監督もローテーションを視野に入れていくはずですが、それにしたって、もう来週にはプレシーズン練習を始めるリーガのチームも少なくはなし。マドリッドの兄貴分はどちらもその次の週、13日からなんですが、すでにW杯が終わったのはマドリーではギュレル(トルコ)、バルベルデ(ウルグアイ)、リュディガー(ドイツ)の3人のみで、アトレティコではヒメネス(ウルグアイ)だけなんですよね。
すでにこの火曜には8月16日の週末に始まる26-27シーズンの対戦組み合わせも、現在、コロン広場に設置されているパブリックビューイング会場で発表され、1節はアトレティコvsマラガ、マドリーvsソシエダ、アラベスvsヘタフェ、セビージャvsラージョとマドリッドで見られる試合もわかるんですが…19日のW杯決勝に出場する選手は絶対、準備が間に合いませんよね。

