届かなかった頂点――上田綺世が背負った“1トップの責任”と次なる決意

ラウンド32で大会を終えた日本代表。その中心で戦ったエースFW上田綺世は、強い責任と覚悟を背負いながらピッチに立っていた。敗退の悔しさの中で語られた言葉には、日本の現在地と、世界と戦うために必要な進化、そして自身の決意が凝縮されていた。

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「1トップ」の誇りと背負った責任

届かなかった――。

チュニジア戦で2ゴールを叩き出すなど、日本代表の絶対的なエースストライカーとして君臨したFW上田綺世の北中米W杯は、ラウンド32で幕を閉じた。

「悔しいですね。素晴らしいチームだったと思うし、優勝を掲げて今大会が始まって、本気で達成できると思っていたし、できる可能性はあったと思う。だからこそ、率直にこの結果で終わったことが悔しいですね」

今大会、上田は相当な覚悟と責任感を持って日本代表のユニフォームに袖を通していた。

「日本代表は1トップなので、FWはたった一人しか出られない。その1トップにスタメンで出るということは、その瞬間、その試合においては日本で一番いいFWだと評価されていることの証。それは僕にとっての誇りだし、責任。日本を勝利に導かなければいけない立場であるにもかかわらず、今日はその仕事を全うできなかった」

たった一つしかないポジションを、日本代表というナショナルチームで託される意義を彼は常に胸に刻んでいた。だからこそ、重要な試合でその責務を果たせなかった自分に、悔しさと怒り、そして次なる決意が芽生えていた。

世界と戦うために必要な“個の力”

「仮にどれだけ孤立するようなゲーム展開でも、質の違いを見せて、自分がチャンスでもないようなシーンから一つもぎ取れる。やっぱりそういうクオリティーがある選手が今後の日本代表に絶対に必要だと思います。その理想のストライカーは今後成長した僕かもしれないし、これから出てくる新しい選手かもしれない。それはわからないですが、世界のトップを目指す上では今日みたいな厳しいゲームは絶対に避けられないし、これからレベルアップしていく上で、今大会で言うとブラジルやオランダを相手に五分五分のポゼッション率など、対等なサッカーをしなければいけない。いつかは来るかもしれないけど、すぐには来ないと思うので、個でゴールをこじ開けられるような存在にならなきゃいけないし、日本代表にはそういう選手が必要だと思います」

目標達成に欠かせない個人の成長。この言葉には「次こそ俺だ」という決意も含まれているからこそ、将来の自分への期待と責務、そして下からの突き上げに負けないという反骨心がひしひしと伝わってきた。

日本の課題とエースの決意

それだけではない。この4年間、エースストライカーとしてチームを牽引してきたからこそ、チームに対しても客観的な視点でビジョンを描いていた。

「ブラジルのようにクオリティーがあるチームでも、しっかりとクロスを上げてくる。日本としてはシンプルに上げてこられるのが結局一番嫌なので、どう対応しないといけないか。これはもうずっとついてくる課題だと思うんですよね。日本代表が仮にどんなにレベルが上がっても、おそらくクロス対応は難しい課題になり続けると思います。相手が世界のトップ・トップだとより難しくなってくると思うので、今後どういうメンバーになっても、日本の課題として残っていくと思います」

クロスを弾く力を高めるのか、それともクロスを上げさせない守備を徹底し、果敢にショートカウンターを狙うのか。そして、クロスの質とアイデア、それをゴールに結びつけるストライカーの質。両方の質が上がらない限り、目標であるW杯優勝は、はるか遠い夢になってしまう。その危機感を上田は強烈に感じ、今後の自分の責務としてリスタートを切ろうとしている。

「レギュラーではなかった4年前(カタールW杯)と比べて、自分自身のプレーのクオリティーもそうだし、大会前の感情、終わった時の感情、すべてにおいて違うものになったと思っています」

4年後のスペイン・ポルトガル・モロッコで開催される2030年W杯については、「簡単に次とは言えない」と口にするが、個人のレベルアップの重要性を強調する時点で、目指す土台はできている。あとはそこに自分の実力を積み上げていくだけだ。

「まだまだ成長できると思うし、伸び代はある。まだまだ挑戦できる年齢だと思っているので、まずは今シーズン開幕から自分らしく成長できるシーズンを過ごしていきたい。もっともっと日本人が世界に通用するということを証明しないといけないと思っています」

エースストライカーの座は譲らない。その強い決意と責任感を胸に、上田綺世はアメリカの地から新たな一歩を力強く踏み出した。

取材・文=安藤隆人
大学卒業後、地元の第一地方銀行に就職するも、フリーサッカージャーナリストとして週末だけ活動。2005年7月に5年半勤めていた銀行を辞め、単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は40を超える。本の著作・共同制作は14作。最新作は『ドーハの歓喜 2022 世界への挑戦、その先の景色』と早川史哉の半生を描いた『ともに歩き出す』(徳間書店)。NumberWebで11年連載などの執筆活動以外にも講演・講師活動を小学校、中学校、高校、大学、企業と年10回ほど幅広く行っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年10月〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチも兼務する。W杯も2大会連続取材予定。

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超ワールドサッカー編集部
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