「モウリーニョ監督の望み通りになったのは2人だけか」そんな風に私が確認していたのは日曜日、長いW杯グループリーグがようやく終わり、32強対決に進むチームを確認していた時のことでした。いやあ、先日見たインタビューで、レアル・マドリーの新監督はW杯に望むことを訊かれ、「ウチの選手のいるチームはさっさと負けて、バケーションに行ってほしい」と発言。2010-13シーズンの第1期より丸くなったとは言われていても、やっぱりまだ完全に角が取れた訳ではないんだなと思ったものでしたけどね。
そう、オーストラリア、パラグアイに連敗した時点で敗退が決まっていたトルコは最終節のアメリカ戦でギュレルがW杯初ゴール、3-2の初勝利に慰められていたものの、バルベルデがキャプテンを務めたウルグアイなど、白星を1つも拝めずに大会を終了。もちろん、それでもまったく出場することなく終わった同僚、アトレティコのヒメネスよりはマシかもしれないんですが、この3人は奇しくも同じ7月13日に始まるクラブのプレシーズン練習に最初に合流するW杯参加メンバーとなることに。
マドリッドの兄貴分のそれ以外の選手たちは無事、32強対決進出を達成し、マドリーではGKクルトワ(ベルギー)が弟分ラージョのパテ・シスのいるセネガル、2得点のベリンガム(イングランド)はコンゴ民主共和国、リュディガー(ドイツ)はパラグアイ、4得点のエムバペ、チュアメニ(フランス)はスウェーデン、同じく4得点のビニシウス、エンドリック(ブラジル)など、それこそ、まだ久保建英選手(レアル・ソシエダ)の復帰が間に合いそうにない日本と対戦するんですけどね。
アトレティコではジョレンテ、バエナ、プビル、近日中に仲間になりそうなグリマルド(レバークーゼン)、更に最近マドリー1人参加となったククレジャ(チェルシーから移籍)もいるスペインが、木曜にお隣さんを退団したばかりのアラバ率いるオーストリアと激突。バルガス(メキシコ)はエクアドルと、セルロート(ノルウェー)はコートジボワールと、そしてフリアン・アルバレス、アルマダ、モリーナ、ニコ・ゴンサレス、ジュリアーノ、GKムッソと6人もの大所帯となっているアルゼンチンはスペインを避け、カーボベルデと当たるんですが、ここまでゴールを挙げたのはバエナ1人だけって淋しくない?
いえまあ、フリアンにしろ、セルロートにしろ、この夏、移籍してしまう可能性があるため、決勝トーナメントでいきなりメッシ(6得点)やハーランド(3得点)ばりに爆発されても、ファンの心境は微妙なところなんですけどね。ちなみにグリーズマン(オーランド・シティに移籍)の後継候補と言われているイ・ガンイン(PSG)のいる韓国はグループ3位だったものの、勝ち点4のチームが7つあり、勝ち点3で32強対決に進出できたチームがセネガルだけだったため、早期帰国となることに。
いやあ、スペインのいるグループHなど、2位のカーボベルデはたったの勝ち点3で突破していましたからね。何となく、昨夏のクラブW杯、勝ち点5でグループ2位突破をしたチームもあったのに、勝ち点6も貯めながら、得失点差でボダフォゴに及ばず、敗退となったアトレティコの巡り合わせの悪さを思い出してしまうんですが、そうそう、オフシーズンに入ってもイベントで盛り上がっているメトロポリターノでは先週土曜、BTSがコンサートを開催。6万5000人もの聴衆が駆けつけたんですが、舞台でSUGAが、昨季最終節のビジャレアル戦でお披露目された第2ユニと違い、公式未発表の新シーズン第1ユニを着ていたんですよ。
たまたま韓国のグループだったため、イ・ガンインとの関連が取り沙汰されていたんですが、まあこれはこじつけもいいところのような。何にしろ、アトレティコ入団となるのなら、シメオネ監督も早いうちに練習で見られて良かったはずですが、はあ。昨季来たばかりのアルマダもアルゼンチン代表レギュラーで売値が上がることを期待されていてねえ。昨年、自動車事故で死亡したジオゴ・ジョタ(ポルトガル、リバプール)を始め、今回のW杯にラウール・ヒメネス(メキシコ、フラム)、マテウス・クーニャ(ブラジル、マンチェスター・ユナイテッド)らがいるのを見るにつけ、若い頃にアトレティコに来ながら、シメオネ監督にほとんど使われず。その後、プレミアリーグに移って才能を開花させ、アトレティコに見る目がなかったことを証明したFWがこうも沢山いるのは、本当にどうしてなんでしょうね。
そんなことはともかく、スペインの3試合目となったウルグアイ戦がどうだったかもお話ししていかないと。初戦のカーボベルデ戦でスコアレスドロー発進をし、サウジアラビア戦ではスタメンを4人代えて、4-0と大勝。見事に軌道修正したデ・ラ・フエンテ監督のチームだったんですが、引分け以上なら、1位突破が決まるこのグアルダハラでの一戦ではスタメンが2人変更に。右SBがペドロ・ポロ(トッテナム)からジョレンテに戻り、見限られた訳ではなかったと私も安心したんですが、もう1人はダニ・オルモ(バルサ)がミケル・メリーノ(アーセナル)になっていたものの、序盤は何だかカーボベルデ戦のデジャブみたいでねえ。
ウルグアイはアフリカの諸島国家程、自陣に固まっていた訳ではなかったものの、歩きながら、悠長にパスを回しているスペインの姿に私もしばし、絶望することに。でも大丈夫。前半のお水休憩後にはややリズムが上がり、とうとう42分にはアトレティココンビの連携が炸裂したんです!そう、右サイドでジャマル(バルサ)が奪われたボールをメリーノが取り戻し、サイドを上がって来たジョレンテに渡すと、彼が入れた折り返しのパスをバエナがシュート。
まあ、昨季は撃っても撃っても決まらなかった彼でしたからね。私もあまり期待はしていなかったんですが、この時は40才になるGKムスレラ(エストゥディアンテ・デ・ラ・プラタ)がボールに触りながら逃すというミスを犯してくれたから、ビックリしたの何のって。「Por echarle un capote, le ha botado mal/ポル・エチャールレ・ウン・カポーテ、レ・ア・ボタードー・マル(彼を庇うとすれば、変なバウンドをしたってこと)」(バエナ)というボールがゴールに入り、スペインはまんまと先制点をせしめることに。
だからって、0-1で始まった後半頭から、ムスレラがロシェ(インテルナシオナル)に代わっていたのには驚かされたものですが、ビエルサ監督のサプライズ采配はそれだけにとどまらず。ええ、12分にはもう、バルベルデをフェデ・ビーニャ(オビエド)に代えてしまったんですが、「porque pretendí darle potencia al ataque/ポルケ・プレテンディ・ダールレ・ポテンシアル・アル・アタケ(攻撃を強化したかった)」(ビエルサ監督)といっても、エリア外からのゴールが期待できる彼を外すって、おかしくない?
シーズン終盤にはチュアメニとの殴り合い疑惑もあったマドリーのMFが、しばらく見ないうちにぐんぐん調子を落としていた可能性もありますが、ピッチに入ったビーニャもチームを1部降格から救えなかったFWですからね。それこそ、1月にヘタフェに加わり、チームの残留だけでなく、カンフェレンスリーグ出場にも貢献したサトリアーノでも出てきたら、私もびびったかもしれませんが、幸いマドリッドの弟分チームはビエルサ監督の管轄外だったよう。アランバリ(リーベル・プレートに移籍)すら呼ばれていないため、それ程、失点は心配していなかったんですが…。
それがあ、時間が経つにつれ、ウルグアイが「De por sí ya es un equipo muy intenso, hoy todavía más por lo que se jugaban/デ・ポル・シー・ジャ・エス・ウン・エキポ・ムイ・インテソ、オイ・トダビア・マス・ポル・ロ・ケ・セ・フガバン(元々、ガツンと来るチームだけど、懸かっているものがものだけに、今日はいつも以上だった)」(ジョレンテ)になっていったんですよ。まあ、最初にイエローカードをもらったのはバエナだったんですが、交代出場のフェラン・トーレス(バルサ)のシュートがゴールバーに嫌われた終盤には、ジェレミー・ピノ(クリスタル・パレス)がバレラ(フラメンゴ)に倒され、鎖骨を痛めてしまうことに。
更にはニコもデ・ラ・クルス(フラメンゴ)にぶつかられて負傷。ロスタイムには大暴れだったカノッビオ(フルミネンセ)がとうとうクバルシ(バルサ)の足を蹴り、レッドカードで退場と凄いことになっていましたが、そのまま試合は0-1で終了です。シュート6本、うち枠内はゴールとなったバエナの1本だけと、ここ2試合、20本以上撃ち続けていたスペインにしては控えめな内容でしたが、これで1位突破の目標が達成できたとなれば、一体、誰に文句がある?
ただねえ、あとでデ・ラ・フエンテ監督も「Ellos se han aplicado con excesiva dureza/エジョス・セ・アン・アプリカードー・コン・エクセシーバ・ドゥレサ(相手は過度にハードなプレーを仕掛けてきた)。そのために審判がいるんだし、VAR(ビデオ審判)もあるんだから、この先はノーマルな試合ができることを望んでいる」と言っていたんですけどね。鎖骨を骨折はしていなかったものの、ピノは木曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの32強対決オーストリア戦には間に合わず。
自身のインスタに「La historia no ha acabado nos vemos en los antes posible en este mundial/ラ・イストリア・ノー・ア・アカバード-・ノス・ベモス・エン・ロス・アンテス・ポシーブレ・エン・エステ・ムンディアル(まだ物語は終わっていない。このW杯でできるだけ早く再び会おう)」と投稿していたニコも、せっかく少しずつ出られるようになってきたばかりだったのにまた太ももを痛め、出られなくなってしまったのは気の毒過ぎたかと。更にビクトル・ムニョス(オサスナからリバプールに移籍)も未だにリハビリが終わらずと、とうとうサイドアタッカーが、やはり負傷明けのジャマルだけになってしまったんですから、まったくもって恐ろしい。
いえまあ、デ・ラ・フエンテ監督も「サイドアタッカーがいないなら、なしでプレーするだけだ。Lo podemos hacer/ロ・ポデモス・アセール(ウチにはそれができる)」と言っていたように、手はあるはずですが、困ったのはこの先、ポルトガルvsクロアチア戦の勝者と当たる16強対決は中2日、準々決勝以降は中3日でスケジュールが組まれているため、グループリーグ中のようにはいかないこと。リハビリ1週間で3試合も出られないとなると、スペインにとって、大きな痛手になりますが、まあこればっかりはねえ。
ちなみに試合後、ベースキャンプのチャタヌーガに帰還したチームは翌日にリハビリトレをした後、日曜を休養日に。月火はベイラー・スクールのグラウンドで最後のセッションを行い、火曜の夜に試合開催地のロサンジェルスに移動して、水曜はカーソン・スポーツ・パークで練習。そして水曜にはサンティアゴ・ベルナベウが可愛く見えてしまうような巨大感があるソフィ・スタジアムで試合となるんですが、実はスペインの決勝までの残り試合は全て午後9時キックオフなんですよ。サウジアラビア戦は午後6時で熱波警報、ウルグアイ戦は午前2時の深夜試合だったため、稼働しなかったコロン広場のパブリックビューイングがいよいよ、力を発揮する時が来たようです。

