「レギュラーを獲られたから控えを狙うって、ちょっと安直かも」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、グリマルド(レバークーゼン)のアトレティコ入りがかなり近づいているという記事を読んだ時のことでした。いやあ、この夏はレアル・マドリーが精力的に戦力補強に動いているせいで、第1候補として考えていた左SBのククレジャ(チェルシーから移籍)も、司令塔のベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティと契約終了)も持って行かれてしまった彼らなんですけどね。そこで次に白羽の矢が当たったのが、まさにスペイン代表でククレジャの後塵を拝するグリマルドとイ・ガンイン(PSG)なんだとか。
かといって、W杯開催中に動きがあるかは微妙で、いえ、韓国代表の事情は知りませんけどね。ククレジャ、更には同じスペイン代表にいながら、まだ体調が完全ではなく、大会デビューしていないビクトル・ムニョス(オサスナ)も先日、リバプール移籍が発表に。どうにもアトレティコが出遅れているようなのが気になるんですが、お隣さんのように前述の2人に加え、コナテ(リバプールと契約終了)、ダムフリース(インテル)と次々と獲って、エンドリックもオリンピック・リヨンでのレンタル修行から帰還。昨季限りで退団したのはまだ、カルバハルとアラバしかいないため、トップチームの選手が27人にまで膨れ上がるというのもどうしたものか。
その上、モウリーニョ監督はエンソ・フェルナンデス(チェルシー)も欲しがっているとかで、おかげで元々、退団見込みだったセバージョスだけでなく、チュアメニ、カマビンガ、フラン・ガルシア、メンディといった辺りまで、売却候補に挙がっている始末なんですが、さて。対照的に先週金曜には絶賛改装中のコリセウムではなく、市内中心部にある商業施設で恒例の新ユニフォームお披露目イベントを開いた弟分のヘタフェでは、契約満了のファン・イグレシアがセビージャに入団したり、アランバリのリベル・プレートへの移籍が決定。
更にルイス・ミジャもコモとの移籍話が進んでいるなど、先に選手の放出が始まっているんですが、イベントで会見したアンヘル・トーレス会長は、「No te preocupes, que vendrán cuatro medios igual que ellos o mejores/ノー・テ・プレオクペス、ケ・ベンドラン・クアトロ・メディオス・イグアル・ケ・エジョス・オ・メホーレス(心配しなくていい。同程度かそれ以上のMF4人が来るから)」と宣言。ただアランバリとミジャはここ数シーズン、ヘタフェの大黒柱でしたからね。実際、今季は8月20、27日にカンフェレンスリーグのリーグフェーズ進出プレーオフが入っているため、昨夏のように所属選手が14、5人しかいない状態でシーズンスタートする訳にはいかないのが辛いところかと。
その脇でとうとう、ラージョも先週木曜には新しい指揮官が決まり、ここ2年、2部のエイバルを率いて、昨季は8位で終わったベニャト・サン・ホセ監督を招聘。ええ、本命はアラサーテ監督(昨季途中にマジョルカを解任)と言われていたんですけどね。プレースタイルがラージョに合っていると、ペレサ会長が続投の決まっていたエイバルにわざわざ契約解除金の40万ユーロ(約7400万円)払って、来てもらったんですが、こちらは赴任前、指導歴の短かったイラオラ監督(今季からリバブール)やイニゴ・ペレス監督(同ビジャレアル)と違い、中東、中南米のチームで沢山経験を積んでいるベテランのよう。カンフェレンスリーグを弟分仲間にバトンタッチして、今季はリーガだけに専念すればいいラージョとあって、肝心の選手補強の方はまだまだこれからという感じでしょうか。
え、今はマドリッドのチームのことより、スペインのW杯2試合目はどうだったのかの方が気になるって?いやあ、私も初戦でカーボベルデと0-0で分けるのを見た時にはもしや、時折やらかすグループリーグ敗退コースがチラと頭をよぎったんですけどね。日曜のサウジアラビア戦でデ・ラ・フエンテ監督はスタメンを4人、ジョレンテ(アトレティコ)、ガビ、フェラン・トーレス(バルサ)、ファビアン(PSG)をペドロ・ポロ(トッテナム)、ダニ・オルモ(バルサ)、バエナ(アトレティコ)、そして待望のジャマル(バルサ)に代えて見事に軌道を修正できたんです!
そう、自陣エリア付近に固まるカーボベルデの周りで延々と悠長なパスを回していた先日とは打って変わり、この日はシーズン最後の2カ月間、負傷でプレーできずにフラストレーションを抱えていたジャマルが序盤から躍動。すると前半10分、先発は「Ha sido una pequeña sorpresa para mí/ア・シードー・ウナ・ペケーニャ・ソルプレッサ・パラ・ミー(自分にとって、ちょっとしたサプライズだった)」というバエナからボールを受けたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がゴール前ファーサイドにキラーパス。それをジャマルが押し込んでくれるんですから、有難いじゃないですか。
「Todos coincidíamos en que necesitábamos más verticalidad, más intensidad/トードス・コインシディアモス・エン・ケ・ネセシタバモス・マス・ベルティカリダッド、マス・インテンシダッド(もっと垂直方向の動き、プレーの強度が必要だったという点で皆の意見が一致した)」(デ・ラ・フエンテ監督)というスペインの猛攻はそれからも続きます。21分にはジャマルの蹴ったCKから始まったプレーで、敵DFのクリアをラポール(アスレティック)が繋ぎ、今度はオジャルサバルがゴールを決めてくれることに。
更にその2分後にもポロのクロスから、ククレジャ、オルモを経由して、最後は再びオジャルサバルが反対サイドからvolea(ボレア/ボレーシュート)。あっという間に3点差になっているって、うーん、カーボベルデ戦では開始から30分ぐらいまで、まったくボールに触れず、批判されていたソシエダのFWだったんですけどね。昨夏のネーションズリーグ決勝ポルトガル戦のPK戦で最後に止められたモラタ(コモ)が姿を消した後、スペインのエースはもう彼しか考えられない?
いやあ、「サウジアラビアはカーボベルデ程、引いていなかったから、eso ha generado más espacios, que los hemos sabido encontrar/エソ・ア・ヘネラードー・マス・エスパシオス、ケ・ロス・エモス・サビードー・エンコントラル(それによってできたスペースを見つけることができた)」(デ・ラ・フエンテ監督)のもあって、お水休憩を挟んだ後も何本もシュートを撃っていたスペインだったんですけどね。結局、前半はそれ以上の追加点はなく、ハーフタイムに入ることに。
まあ、3点もあればもういいだろうと、まだフル出場は無理で、「Era el plan, salir media parte y poder descansar/エラ・エル・プラン、サリール・メディア・パルテ・イ・ポデール・デスカンサル(ハーフだけ出て、休むっていうのがプランだった)」というジャマルはオジャルサバルと共にここで交代。代わりにフェランとジェレミー・ピノ(クリスタル・パレス)が入った後半、3分にはとうとう、4点目が入ったんですよ。そう、バエナの蹴ったCKがクリアされて落ちて来たボールをククレジャが撃ったところ、GKアル・オワイス(アル・ウラ)のセーブがタムバクティ(アル・ヒラル)に当たってオウンゴールになったんですが、さすがにここまで差が開くとスペインのリズムも落ちますよね。
その後はデ・ラ・フエンテ監督もミケル・メリーノ(アーセナル)やニコ・ウィリアムス(アスレティック)ら、負傷上がりでプレー時間が必要な選手を入れたりして、無難に過ごしたんですが、残念ながら、ロスタイムにフェランが入れたゴールはオフサイドで認められず。GKウナイ・シモンの出番もシュート1本をキャッチした程度に留まり、4-0でスペインは完勝です。それこそまさに大会前に期待されていた強さを発揮できたんですが、実は悲しいことにこの日はマドリッドの夕方は気温40℃と、猛暑警報でコロン広場でのパブリックビューイングが開かれず。ええ、3試合目のウルグアイ戦は土曜午前2時(日本時間午前10時)キックオフですしね。涼しいのは歓迎ですが、果たしてメトロも動いていない時間にパブリックビューイングがあるのかは微妙化と。
ちなみに日曜深夜にカーボベルデと戦ったウルグアイも2-2で引き分けていたため、実はアフリカの島国国家はサッカー強国だったのかもしれないと認識を新たにした私だったんですが、おかげでスペインはメキシコのグアルダハラでの試合で引き分け以上なら、無事にグループ首位突破が叶うことに。何せアルジェリア戦のハットトリックに続き、月曜のオーストリア戦でもメッシ(インテル・マイアミ)が2得点して、アルゼンチンも2連勝で首位突破への道を着実に歩んでいますからね。
2試合連続で途中出場し、メッシの2点目の直前に1対1のシュートを弾かれていたフリアン・アルバレス(アトレティコ)が試合後、「Lo mejor para todos es un traspaso, quiero cumplir mi sueño/ロ・メホール・パラ・トードス・エス・ウン・トランスパソ、キエロ・クンプリール・ミ・スエニョ(皆にとっていいのは移籍だ。ボクは自分の夢を叶えたい)」という爆弾発言をしていたのはともかく、うっかり32強対決でアルゼンチンと当たらないように、スペインには今の調子を保ってくれることを願うばかりでしょうか。

