「また買い被りだったんだろうか」そんな風に私が欝々としていたのは火曜日、ようやく待ちに待ったスペイン代表のW杯デビュー戦が終わった翌日のことでした。いやあ、この北米3カ国共催大会、2年前のユーロで王者となっただけに、こちらのマスコミは彼らを自信たっぷりに優勝候補扱いしていたんですけどね。それこそ2008年ユーロ、2010年W杯、2012年ユーロの3連覇を果たした黄金期の復活も囁かれていたんですが、ええ、実際、2010年とは類似性も多々あってねえ。

まずは南アフリカ大会の開幕日だった6月11日に始まったことから、開幕戦カードが同じメキシコvs南アフリカ戦だったこと。その時もメキシコはアギーレ監督が率いていており、スペインは当時と同じグループHでプレー。3試合目には同じく、16年前にチリを率いて対戦したビセイラ監督のいるウルグアイ戦。更にヨハネスブルグの開会式で大会テーマソングの「Waka Waka」を歌ったシャキーラが、今回はエスタディオ・シュダッド・デ・メヒコで「Dai Dai」を歌い、リーガはバルサが優勝、コパ・デル・レイ決勝でアトレティコ敗戦という、諸々の一致ぶりに、「いっそ初戦でカーボベルデに負ければ、スイスに負けて黒星スタートした2010年のように優勝できるかも」という声まで上がることに。
まあ、前回のW杯王者アルゼンチンもデビュー戦でサウジアラビアに負けていましたからね。48カ国参加となったこの拡大W杯では、12グループの3位の成績上位8チームまで決勝トーナメントに行ける大甘っぷりなため、最初に躓いても十分、挽回可能なんですが…何かカーボベルデ戦を見るにつけ、グループ突破はしても、最初の16強対決でPK戦となり、早々に敗退した2018年ロシア大会、2022年カタール大会を思い出して、先行き暗く感じてしまうのは私だけでしょうかね。
まあ、その試合のことはまた後でお話しするとして、リーガのチームが絶賛バケーション中の今は、私もTVE(スペイン国営放送)が1日1試合オープン放送してくれるW杯カードを見る以外、あまりやることもなかったんですが、先週末の土曜には久々にサンティアゴ・ベルナベウに向かうことに。そう、レアル・マドリー毎年恒例のコラソン・クラシック・マッチが開催されたからで、うーん、デイゲームのせいで、以前はプレス席にガンガン日が当たって、辛い思いをしたものですけどね。現在の完全密封状態のベルナベウは快適なこと、この上なし。何より涼しいのが何より有難かったかと。
月曜にはローマ教皇レオ14世訪問でステージが作られていたピッチも綺麗に片づけられ、マドリーと今回の対戦相手であるインテルのOBが一人ひとり呼ばれて登場した後に始まった試合は前半41分、サルガドが献上したPKをエルナネスが決めて、リードされてしまったんですけどね。後半25分には2年前、ポルトで現役引退。このチャリティマッチ初出場となるペペがヘッドで同点にすると、31分にはバラルが勝ち越しゴールを挙げ、2-1でマドリーが逆転勝ちしたから、スタンドを満員にしたファンたちも気分を良くして帰れることに。
ただねえ、丁度、W杯期間中とあって、今回は参加したマドリーOBが少なくてねえ。実際、ジダンやロナウド、ロベルト・カルトスらが翌日曜、ニュージャージーのメットライフ・スタジアムでのブラジルvsモロッコ戦のスタンドで目撃されていたように、フィーゴも、ラウールも、常連のバプチスタやブトラゲーニョ渉外ディレクターもいないって、ちょっと寂しくない?おかげで若手の38才グラネロなど交代した後、再びピッチに入ることになったり、今季限りでレアル・ムルシア(RFEF1部/実質3部)でのプレーから引退し、クラブ会長となったペドロ・レオンまでいたのはちょっと、ビックリだったかと。
だってえ、マドリーは丁度、彼が在籍した2010-13シーズン、指揮を執ったモウリーニョ監督が帰還したばかりなんですよ。当時は両者の間に色々、トラブルをあったことを思い出すと不思議な因縁ですが、ああもう、聞いてください。そのモウリーニョ監督の暗躍のせいで、アトレティコが迷惑をかけられているんです。いや別にペレス会長が選挙公約を果たすためだけに出した、フリアン・アルバレスへの移籍金1億5000万ユーロ(約280億円)オファーはクラブが即一蹴して、解決済みなんですけどね。
ずっとグリーズマンの後継を探していた彼らは狙いをマンチェスター・シティとの契約が満了したベルナルド・シウバに定めたところ、モウリーニョ監督のたっての要望もあって、当人は同胞の率いるチームに行くことにしたよう。かてて加えて、左SB補強候補として交渉を始めていたククレジャ(チェルシー)にも手を回し、月曜には移籍金5500万ユーロ(約103億円)で獲られてしまうって、アトレティコは来季もガラン(現オサスナ)、ルッジェーリ級の選手で我慢しないといけないってこと?
いえ、すでにチームにはカレラス、メンディ、フラン・ガルシアと3人も専門職がいるポジションにそれだけお金をかけられるお隣さんも凄いんですけどね。火曜にはリュディガーの契約1年延長も発表され、すでに話のついているダンフリース(インテル、オランダ代表)、コナテ(リバプールと契約満了、フランス代表)と、どんどん今回のW杯でのプレゼンスを上げているマドリーに比べ、アトレティコはまだ、イ・ガンイン(PSG)などの名前は聞こえるものの、補強選手は1人も決まらず。折しもモウリーニョ監督のチーム同様、シメオネ監督もプレシーズン練習を7月13日スタートに設定したんですが、その頃までには誰か、いい選手を獲れていることを今は祈るばかりです。
そして翻って、とうとうマドリーの選手が参加することになったスペイン代表のカーボベルデ戦がどうだったかというと。いやあ、日曜にはドイツが同じ島国国家、初出場のキュラソーを7-1で粉砕していたため、似たような展開になるんだろうと私も期待していたんですけどね。スタメンもイラクとの親善試合にドローした控え選手ではなく、ジャマル(バルサ)とニコ・ウィリアムス(アスレティック)こそベンチ待機だったものの、ペルーを1-3で破ったレギュラー陣が出動とあって、いつ最初のゴールが見られるのかと身構えていたところ…。
一体、あれは何なんでしょう!カーボベルデが自陣近くにこもってしまったため、スペインはその周辺でずっとパスを回していたんですが、それが開始15分、ペドリ(バルサ)がエリア外から外れるシュートを撃つまで続いたんですよ。結局、23分のお水休憩前はあと、クバルシ(バルサ)が遠目から撃った程度で終わったスペインだったんですが、ようやく得点チャンスが巡ってきたのは39分。でもねえ、せっかくロドリ(マンチェスター・シティ)のクロスをククレジャがゴール前のいい場所に頭で落としてくれながら、フェラン・トーレス(バルサ)がvolea(ボレア/ボレーシュート)をゴールバーに当ててしまってはいけませんって。
戻って来たボールをオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がヘッドで撃ったものの、こちらも40才のベテランGK、ビジーニャ(ポルトガル2部シャベス)に掻き出されてしまいましたしね。その後もハーフタイムまでに再び、フェランやオジャルサバルらにチャンスがあったんですが、枠を外れたり、セーブされたりと、試合は0-0のまま折り返すことに。そんな状況は後半になっても続き、自陣にこもる敵を囲って、ゆっくりしたパスを回し、ほとんど走りすらしないスペインの姿には、アトレティコのアウェイゲームのデジャブを覚えていた私でしたが、そこに撃っても撃っても決まらない病が重なってしまってはねえ。
実際、その日はバエナではなく、ガビ(バルサ)が入っていたため、ピッチにアトレティコ勢はジョレンテしかいなかったんですけどね。シメオネ監督なら絶対、早々に3人一斉交代をしていた展開だったにも関わらず、デ・ラ・フエンテ監督は最初の交代を後半のお水休憩まで行わず。そこでようやくジャマルとメリーノ(アーセナル)が入ったんですが、先に3人代えていたカーボベルデの引き籠り守備の堅さが揺るぐことはなく、最後はオルモ(バルサ)、ニコも加わり、チームの半分をアタッカーにしても点を取ることはできませんでしたっけ。
これには日陰のないコロン広場で炎天下の中、パブリックビューイングしていた大勢のファンたちもたまったもんじゃなかったでしょうが、ポゼッション74%、シュート27本(枠内7本)、CK11回もありながら、0-0で終わったこの虚しさは一体、どこにぶつけたらいいものか。おかげでW杯初勝ち点獲得の英雄となったカーボベルデのGKビジーニャがMVPとなっていたんですが、何より痛かったのはここまで11試合連続でゴール、もしくはアシストを続けてきたオジャルサバル砲が沈黙してしまったことだったかと。
いえまあ、デ・ラ・フエンテ監督は「このタイプの大会の難しさはわかっていた。Un partido que no tiene esa finura, esa frescura, ese acierto en los pases finales, pues pasa esto/ウン・パルティードー・ケ・ノー・ティエネ・エサ・フィヌラ、エサ・フレスクーラ、エセ・アシエルト-・エン・ロス・パセス・フィナレス、プエス・パサ・エスト(繊細さ、新鮮さ、ラストパスの正確さがない試合では、こういう結果になる)」と言っていたんですけどね。負傷上がりのジャマルやニコが少ししかプレーできなかったのは仕方ないとはいえ、敵の壁の前にパスが通らないのであれば、いっそ大型FWボルハ・イグレシアス(セルタ)を入れて、一発狙いのクロスを放り込むみたいなことをしても良かったのでは?
何にしろ、ほとんど仕事のなかったGKウナイ・シモンも「Ahora en lo que hay que pensar, como dice el Cholo y como el tópico, pues partido a partido/アオラ・エン・ロ・ケ・アイ・ケ・ペンサル、コモ・ディセ・エル・チョロ・イ・コモ・エル・トピコ、プエス・パルティードー・ア・パルティードー(今はシメオネ監督、そして一般的に言うように1試合1試合行くだけだ)」と言っていたように、日曜午後6時(日本時間翌午前2時)から、同じアトランタのメルセデスベンツ・スタジアムであるサウジアラビア戦での必勝を目指すばかり。ええ、幸い同じグループのサウジアラビアvsウルグアイの方も1-1の引き分けでしたしね。
ちなみに試合後、チームはバスで2時間のチャタヌーガのベースキャンプに戻ったんですが、翌火曜はリハビリトレで、水曜は休養日。これも拡大大会のせいで、1節と2節の間が中5日もあるおかげですが、あと何回かセッションを重ねれば、頼りのジャマルも実戦の勘を取り戻してくれるかも。現在、スペインが一番、恐れていることは、グループ2位で終わると、32強対決でグループJ1位と対戦となることで、そう、いきなり前大会王者のアルゼンチンとガチンコ勝負になりかねませんからね。
初戦のアルジェリア戦が火曜深夜にあるアルゼンチンには6人ものアトレティコ勢がいるため、私もあまり早い段階での対戦はしてほしくないんですが、こればっかりはねえ。うちフリアン・アルバレスとニコ・ゴンサレスはケガでまだ出られないようで、ちょっと回復状態が心配なところ。何せ、お隣さんはブラジルのビニシウスがモロッコ戦で同点ゴール、火曜もフランスのエムバペがセネガル戦で2発と当たっていますからね。ただ、フリアンもセルロート(ノルウェー)もこのW杯で下手にブレイクすると、ますますアトレティコ残留が遠くなりそうなため、そこそこでいる方がいいのかもしれません。

