あとは遠くから見守るしかない…

「ようやく今季初の完全追っかけ中継ができたのね」そんな風に私が呟いていたのは土曜日、いやあ、実はテレマドリッド(ローカルTV局)はよく闘牛中継をしているため、血を見るのが嫌な自分は夜のスポーツニュースにチャンネルを合わせる前、必ずホームページで番組をチェックすることにしているんですけどね。その日は「Madrid con el Papa/マドリッド・コン・エル・パパ(ローマ教皇とマドリッド)」となっていたため、興味半分で見てみたところ、まさに午前中、バラハス空港に到着。スペイン国王フェリペ6世、レティシア王妃、ペドロ・サンチェス首相らに迎えられていたレオ14世が車に乗って、ぎっしり人で埋まったカステジャーナ大通りをパレード中だったんですよ。

シベレス噴水広場でのミサを挟み、最後はサンティアゴ・ベルナベウのすぐ横にあるリマ広場で大々的に歓迎行事が開かれていたんですが、何せ、今季のマドリッドはお祝いが1つもありませんでしたからね。ええ、アトレティコがプレーしたコパ・デル・レイ決勝の翌日も、ラージョがプレーしたカンフェレンスリーグ決勝の翌日も、スタッフ総動員の祝賀追っかけ中継を計画していたテレマドリッドは肩透かしを喰らう破目になったんですが、まさか15年ぶりのローマ教皇訪問が優勝祝いどころでない、街を挙げてのお祭りになるとは!

教皇イベントは翌日になっても続き、月曜にはサンティアゴ・ベルナベウでカトリック信者との大型ミーティングがあるそうで、ええ、昨季に続き、今季もメジャータイトルを獲得できず、CL決勝パブリックビューイングも含め、試合以外、スタジアムでのお楽しみがなかったレアル・マドリーですからね。先週末はバッド・バニーの公演で盛り上がったメトロポリターノと違い、未だに防音工事が終わってないため、この夏もコンサートが開けないクラブにとっては、自慢の最新設備をサッカーファン以外にも披露するいい機会となるかと。

まあ、そんなことはともかく、開幕まで1週間を切ったW杯の準備を進めているスペイン代表のお話しをしていくことにすると。実はチームは先週木曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設での合宿を打ち上げ、ラ・コルーニャ(スペイン北西部のビーチリゾート)でイラクとの親善試合を済ませた翌日、ヘルプメンバーの9人と別れて、グループリーグ中のベースキャンプとなるアメリカのチャタヌーガに移動。土曜にはベイラースクールに現地のファンを迎えての公開練習があったんですが、時差が6時間あるため、スペインでは午前0時のスタートでねえ。

サッカー協会のライブストリーミングを見るには遅すぎて無理と私も諦めていたんですが、夜にYoutube動画を見ていたところ、リストに上がってきたため、繋いでみることに。実際、練習そのものは大したことはなく、ええ、未だにジャマル(バルサ)とニコ・ウィリアムス(アスレティック)はチーム練習には加わらず、ビクトル・ムニョス(オサスナ)もジム籠り。セッション中、今季は負傷でプレー時間が少なかったせいか、有り余る元気を持て余しているガビ(バルサ)が勢い余って、ロドリ(マンチェスター・シティ)の足を踏んでしまい、ヒヤリとさせられたなんてこともあったんですが、いやあ。

チームは日曜もベースキャンプで練習を続け、午後にはメキシコのプエブラへ出発。ええ、月曜午後8時(スペイン時間翌火曜午前4時/日本時間同正午)には最後の親善試合となるペルー戦があるんですが、これってまったく、日本にいてリーガやCLの試合を見るのと同じ時間帯。代表の試合放映権を持つTVE(スペイン国営放送)が生中継してくれるのかどうかも今は定かではないんですが、まあ、昨年のクラブW杯も午前2時キックオフとかの試合がありましたからね。

私が見れるか見れないかは別として、スペインにとって、これが15日(月)のW杯デビューとなるカーボベルデ戦前の最終リハーサルになるとなれば、デ・ラ・フエンテ監督が「Lo tenemos claro/ロ・テネモス・クラーロ(はっきりわかっている)」と言っていた、かなり本番に近いスタメンでプレーすることになるかと。まあ、例外はチャタヌーガでお留守番となったジャマル、ニコだけですが、それが安心に繋がるのは、そう、スペインは控え選手中心で挑んだ3月の親善試合エジプト戦で0-0、先日のイラク戦でも1-1と、連続引き分け中だから。

対照的にグループ最弱想定のカーボベルデはセルビア、バミューダに連勝と自信をつけてきているため、W杯に行かないペルーをサンドバッグにして、ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)が勢いをつけることができればいいんですが、果たしてどうなることやら。

え、それで木曜のイラク戦はどんな試合だったのかって?いやあ、デポルティーボの8年ぶりの1部復帰祝いで、最終節終了後にファンが大量乱入。おかげでボロボロになったリアソルのピッチを突貫工事で補修してプレーすることになったその一戦、ヘルプメンバーもいたため、デ・ラ・フエンテ監督はCL決勝に出場したファビアン(PSG)、スビメンディ、ダビド・ラジャ(アーセナル)らを筆頭に何人も主力選手をベンチ外に。スタメンもラポール(アスレティック)以外、ほぼ控え選手だったんですが、いえ、出だしは悪くなかったんですよ。

バエナ(アトレティコ)がやっぱり何度撃っても決まらない姿を見せられた後、前半16分にはオルモ(バルサ)のパスをボルハ・イグレシアス(セルタ)がスルーしたボールを受け、センターからドリブルを始めたフェラン・トーレス(バルサ)が敵エリアに到達。そのシュートでスペインは先制することに。

でもねえ、27分には左SBのドスキ(ビクトリア・プルゼニ)がエリア外から放ったクロス気味のシュートにGKジョアン・ガルシア(バルサ)が意表を突かれてしまったから、さあ大変!この3月に代表デビュー、レミロ(レアル・ソシエダ)を差し置いて、W杯メンバーに入った今季のサモラ(リーガで最も失点率が低いGKに与えられる賞)は、大会でウナイ・シモン(アスレティック)と正GK争いをすると言われていたんですけどね。こんな呆気なく同点ゴールを奪われてしまっては困りますって。

結局、その後はフェランの再度のシュートがゴールバーに当たったぐらいで、試合は1-1で折り返したんですが、うーん、両チームで合意した交代人数が11人と聞いた時から、何となく嫌な予感はしていたんですけどね。後半頭からもう、ボルハ・イグレシアス、ラポール、オルモ、フェラン、グリマルド(レバークーゼン)の5人がジェレミー・ピノ(クリスタル・パレス)、エリック・ガルシア(バルサ)、そしてヘルプメンバーのゴンサロ(マドリー)、セルヒオ・ゴメス(レアル・ソシエダ)、ヘスス・ロドリゲス(コモ)になったせいで、何と21才のガビがキャプテンマークを巻くことに。

15分にはそのガビもヘルプメンバーのクラブ同僚マルク・ベルナル、ヨン・マルティン(ソシエダ)と共に退き、初招集のW杯組プビルがデビュー。更にハビ・ゲラ(バレンシア)、トリエンテス(ソシエダ)が入り、キャプテンはバエナになったんですが、彼も23分にCL決勝ではプレーしなかったミケル・メリーノ(アーセナル)と交代となり、マークもバトンタッチと短命でしたね。最後はペドロ・ポロ(トッテナム)、ジョアン・ガルシアがハビ・ロドリゲス(セルタ)、そして2部降格したのを慰めてもらうように呼ばれたGKレオ・ローマン(マジョルカ)が入り、9人のヘルプメンバー全員が出場。ええ、この試合だけでデビュー選手が8人って、なかなか半端じゃありませんよね。

同様にW杯に参加するイラクの方も7人一斉交代を含め、粛々と11人の交代枠を使い切ったため、どちらも勝ち越し点を奪いにいくどころじゃなくなっていたんですが、ええ、22分にバエナがアシストしてピノが決めたゴールもオフサイドでしたしね。そのまま試合は1-1で終わり、正直、私もこのチームが2008年にユーロに優勝した後、2010年W杯、2012年ユーロと3連覇した黄金期を再現できるのかどうか、何とも言えないんですが、まあそれはそれ。今はできるだけ長く、スペインの大会が続くことだけを祈っています。

そして翻ってマドリッドのチームに目を向けると、この週末は2部昇格プレーオフ準決勝2ndレグがあって、うーん、金曜にサダベルのホームに赴いたRMカスティージャは2-0で先勝していたんですけどね。アルベロア監督になってから、トップチーム専属となっていたピタルチも応援出場していたものの、まさか3-0でremontada(レモンターダ/逆転勝利)されてしまうって一体、どういうこと?

一方、アトレティコ・マドリーニョも土曜にアルカラ・デ・エナレス(マドリッド近郊)の練習場スタジアムにポンフェラディーナを迎えたんですが、こちらは1stレグ0-0だったのはともかく、その試合で退場となったイケル・ルーケが3試合の出場停止を課されてしまったのが痛かったですかね。彼と一緒にトップチームのバレンシア戦でゴールデビューしたクボも頑張ったんですが、序盤に奪われた1点が返せず、こちらも0-1で敗退してしまうことに。

よって、来季も2部のマドリッド勢はレガネスだけになったんですが、まあ、1部だけでも4チームあって、しかも兄貴分はCLの常連、今季のラージョに代わって、ヘタフェがカンフェレンスリーグ出場とミッドウィークも週末も試合には事欠きませんからね。まだリーガ開幕日は決まっていないものの、8月半ば以降、マドリッドが再び、短い滞在で複数試合が見られる絶好のサッカー観戦スポットとなるのは間違いありませんって。

そして日曜にはとうとう、20年ぶりのマドリーの会長選挙がバルデベバス(バラハス空港の近く)のバスケットボールチーム用体育館で実施されたんですが、即日開票の結果、予想通り、70%近くの票を獲得したペレス会長の勝利が確定。この結果、エンリケ・リケルメ氏が公約、確約は取れていなかかったものの、ロドリ、ハーランド(マンチェスター・シティ)の移籍、クロップ監督招聘、加えてラウール、イエロ、カシージャス、デル・ボスケ元マドリー、スペイン代表監督のクラブ役職就任はないことに。代わって、ベンフィカに1500万ユーロ(約28億円)を払ってのモウリーニョ監督の復帰に加え、来季の肩にピンクの3本ストライプが入ったユニフォームを着るのはコナテ(リバプールと契約終了)とダンフリース(インテル)となることに。

いえ、ペレス会長は土曜に「移籍金1億5000万ユーロ(約280億円)程のガラクティコ(クラック)獲得を火曜に発表する」と言っていたため、まだお楽しみはあるんですけどね。ちなみにAS(スポーツ紙)ではその選手をオリーゼ(バイエルン)と特定していたものの、諸説にはPSGのビティーニャorジョアン・ネバスといった名前もあるんですが、ちょっと私が不安になったのはその金額がフリアン・アルバレスの売値と言われているのと同じだったこと。いやあ、バルサにさえ、絶対、行かせたくないアトレティコなんだから、まさかお隣さんへなんて、天地が引っくり返ってもない?

何にしろ、ガラクティコが来るとすれば、当然、その選手はW杯に出場しているはずなので、もしメガプレゼンがあるとしてもまだまだ先になりそうですが…このところ、毎日、毎日、ペレス会長とリケルメ氏の演説ばかり聞かされていたため、ようやく選挙にケリがついてくれたのは、私も嬉しいです。

author avatar
原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
目次