「また一斉開催なんだ」そんな風に私が不満を感じていたのは火曜日、先週末に続いて、リーガ最終節も9試合のunificacion(ウニフィカシオン/統合)時間割がバラける様子がないのに気づいた時のことでした。いやあ、ガチンコ対決で3位争奪戦となるビジャレアルvsアトレティコ戦だけ、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)になってくれたのは助かったんですけどね。残りのカードはすでに2部降格しているオビエド以外の2席を争うレバンテ、オサスナ、エルチェ、ジローナ、マジョルカの5チーム、そして来季のELとカンフェレンスリーグの出場権(各1)もセルタ、ヘタフェ、ラージョ、バレンシア、エスパニョールの5チームで争っているため、全て土曜午後9時からのキックオフになることに。
実際のところ、前節ようやく残留が確定したばかりのバレンシアやエスパニョールが、どうして即座にヨーロッパの大会出場権争いに絡んでくるのかは、私にもよくわからないんですけどね。とにかく一斉にやられると、見に行くスタジアムを選ぶ必要があるだけでなく、試合中もオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継に神経を尖らせている破目に。疲れも半端ないんですが、少なくとも今季はマドリッドの弟分チームたちが、最終節のガラガラボッチャンに関係していないのが救いになる?
まあ、そんなことはともかく、怒涛のリーガ37節がどうだったか、お話していくことにしましょうか。日曜日、私が向かったのはメトロポリターノで、ええ、その日は来季からMSLのオーランド・シティでプレーすることが決まっているグリーズマンのお別れ試合でしたからね。スタジアム周辺で見かけるファンたちにも、当人の写真が背番号に入った記念バージョンを含め、グリーズマンのユニを着ている人が多いのに驚かされたんですが、残留争いしているジローナ戦の前半は当然ながら、序盤からミチェル監督のチームが積極的に攻めてくる展開に。
それでも前半21分、先制点を挙げたのはアトレティコで、ええ、この日の主役、グリーズマンがエリア内右奥から出したクロスをルックマンがゴール前で押し込んだんですが、残念ながら、当人は31分のチャンスで2度も続けてシュートを撃ちながら、GKガッサニガに弾かれて得点はならず。その後、ルックマンが再びゴールを入れたものの、そちらはオフサイドで認められずと、GKオブラクも堅実にツィガンコフやブライアン・ヒルのシュートを止めてくれたため、1-0のままでハーフタイムとなります。
ジュリアーノがアルマダに代わって始まった後半は、うーん、ジローナもここ数試合、痛み止めを打ちながら出場して、残留の望みを繋ぐゴールを決めているストゥアーニを早くも10分には出してきたんですけどね。セルロートが入っても追加点が取れないとあって、シメオネ監督も終盤に途中交代をして、グリーズマンがスタンドから、オベーションを受ける機会を逃してしまった感じもなくはなし。アトレティコにとって有難かったのは、35分にはフランシスが負傷し、すでに交代窓口を3回使ってしまっていたジローナが最後は10人で戦わざるを得なくなったことで、それ以上、ゴールを挙げなくても勝てちゃったんですよ(最終スコア1-0)。
そしてピッチではグリーズマンのお別れイベントが始まったんですが、これが2018年に退団したフェルナンド・トーレス以来となる大規模な催しでねえ。選手、スタッフの作った花道から登場した当人がピッチ中央でマイクを取るまでには、キャプテンのコケ、ヒメネス、オブラクから記念ユニをもらったり、コケやシメオネ監督のお別れの言葉、セレソ会長による500試合出場のプレート贈呈、更に歴代キャプテンのアントニオ・ロペス、ゴディン、トーレスらも駆けつけるといった具合で、いや、グリーズマンと2人で有名なarquero(アルケーロ/射手)のゴール祝いポーズをしていたトーレス監督、これからアトレティコ・マドリレーニョが2部昇格プレーオフに挑むというのに、そんな呑気なことしていていい?
その後、ようやく奥さんのエリカさんとミア、アマロ、アルバ、シャイちゃんら、4人の子供たちに見守られ、センターサークルでスピーチをしたんですが、「Te pido perdón otra vez/テ・ピド・ペルドン・オトラ・ベス(もう一度、謝罪する)。ここで自分が受けていた愛情に気がつかなくて、若かったボクは過ちを犯した」って、最初にまた2019年にバルサに移籍したことを謝っているんですから、律儀なもんじゃないですか。
その2年のブランクを経て、前後に5年ずつ、計10年で212得点というクラブ最多記録保持者になった彼ですが、当人は「No he podido traer una Liga o una Champions, pero me vale más este cariño/ノー・エ・ポディードー・トラエル・ウナ・リーガ・オ・ウナ・チャンピオンズ、ペロ・メ・バレ・マス・エステ・カリーニョ(リーガもCLも優勝できなかったけど、自分にはこのファンからの愛情がもっと価値がある)」と言っていたものの、何せ、今季はコパ・デル・レイ決勝、CL準決勝とかなり惜しいところまで行きましたからね。トーレスがアトレティコ退団後、サガン鳥栖で2年プレーしたように、グリーズマンもMSLの後にまたクラブに戻って来る頃には、その夢が果たされていることを私も期待しているんですが、果たしてどうなることやら。
最後は胴上げもされ、筒形気球から下がった幕を背景に家族で場内一周して、1時間近く続いたイベントは終わったんですが、その間、スタンドのファンがまったく帰らず、ずっとおつき合いしていたのは印象的だったかと。でもねえ、その引き換えに私はエスタディオ・バジェカスでのトレホお別れイベントを見逃したんですよ。そう、7人の負傷者はそのままで、ル・ノルマンも累積警告で出場停止となるものの、アトレティコがラ・セラミカで引き分ければ、最終節に3位になれる可能性を与えてくれたラージョvsビジャレアル戦を。
そう、27日(水)にはカンフェレンスリーグ決勝クリスタル・パレス戦を控えるラージョなんですが、今週はとうとうミッドウィークの試合がなくなったため、決勝の予行演習のようにイニゴ・ペレス監督は主役のトレホを除いて、ベストメンバーを起用。すると前半28分にはラティウのパスから、カメージョが先制ゴールを決め、このところのゴール運の良さを証明してくれたんですが、後半2分にはカンフェレンスリーグ準決勝ストラスブール戦のヒーロー、アレモンもトレホのアシストで2点目を入れてくれることに。
トレホが後半20分に拍手の中、退いた後、試合はそのまま恙なく2-0で終わり、ええ、まさかこの段になって、マルセリーノ監督のチームがセビージャ戦から2連敗。たったの2節で一気にアトレティコとの勝ち点6差が縮まるとは私もまったく予想していなかったんですけどね。それと同時にラージョは弟分仲間のヘタフェのすぐ下、8位に勝ち点1差でつけることになり、最終節、やはり先週末に残留が確定したアラベスとのアウェイゲームで2年連続カンフェレンスリーグ出場権を獲得する可能性も出て来たんですが、え?それより決勝で勝って、来季はEL出場の方が良くないかって?
まあ、そうなれば、ビジャレアルに行くんじゃないかと言われている、今は「考察する過程にある」というイニゴ・ペレス監督もちょっとは後ろ髪が引かれるんじゃないかと思いますが、何せ、あちらはすでにCL出場が決まっていますからね。ラージョには次期監督選びを慎重にしてもらいたいところかと。
ちなみに1部、2部時代通じて、10年間在籍した38才のキャプテンマークなしのキャプテン、トレホの背番号8をスタンドにモザイクで作って始まったこの試合は、同じく大勢のファンに見守られて、記念の盾の贈呈、胴上げ、スピーチ、家族を連れての場内一周、そして「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」の唱和で完了。決勝の夜はバジェカスに大型スクリーンを設置してパブリックビューイングをするとマドリッド市長は言っていたものの、まだクラブから正式なお知らせはありません。
そして同時進行の3試合目、まさしくヘタフェのヨーロッパの大会出場が微妙になってしまった原因がエルチェ戦だったんですが、やっぱり残留の懸かったチームは執念が違うんですよ。前半19分にエリア前からチュストにゴールを決められ、いやあ、ヘタフェは39分にジェネが危険なタックルをヘルマン・バレラに見舞い、一発レッドで退場させられたのも響きましたかね。その1点を最後まで返せず、1-0で負け、6位のセルタと勝ち点3差に。要は最終節、ホームでこれまた残留を争っているオサスナに勝って、セルタがセビージャに負けないとELには行けず、ジェネとサトリアーノが出場停止となるコリセウムで勝てなければ、カンフェレンスリーグ出場権も失ってしまうかもしれないという状態に。
まあ、毎夏毎夏、シーズンで活躍した選手はすぐ売られてしまうヘタフェが下手にヨーロッパに行くと、1部キープが脅かされかねないっていうのもありますからね。まだ当分、コリセウムの改修工事も続くため、その辺は何とも言えませんが、もしマドリッド勢全員が来季はヨーロッパの大会出場なんてことになったら、私も嬉しい悲鳴が止まりませんって。
え、それで前節のオビエド戦の後、ミックスゾーンで「監督に自分はチームで4番目のFWと言われた」と物議を醸すコメントをしていたエムバペがとうとう、スタメンに戻ったレアル・マドリーはどうだったのかって?いやあ、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦も前半15分、ブライムからのパスをエムバペがエリア内で落とし、自分は敵ともつれて倒れてしまったものの、駆けつけたビニシウスがシュート。これで決まった1点を最後まで守り、0-1で勝ったんですが、まあルイス・ガルシア監督のチームも1週間前には何とか、残留を達成していましたからね。
揺るぎない2位であるマドリーも、24得点から上積みして、2点差のムリキ(マジョルカ)を引き離し、リーガのピチチ(得点王)を確定させたかったエムバペ以外、比較的穏やかにプレーしていたよう。アルベロア監督も「Acabo muy satisfecho con todos mis jugadores, con el esfuerzo/アカボ・ムイ・サティスフェッチョー・コン・トードス・ミス・フガドーレス、コン・エル・エスフエルソ(自分の選手たちとその努力にとても満足している)」と無難にまとめていたんですが、そのお勤めもあとは土曜のアスレティック戦を残すのみに。
月曜には6回のCL優勝歴を誇るキャプテンのカルバハルが今季で終わる契約を延長せず、退団することが発表されたため、サンティアゴ・ベルナベウでの最終節は彼のお別れイベントになるのは間違えないんですが、実は先週末、一足早くポルトガルのリーグが終了。おかげでベンフィカでの今季のお勤めが済んだモウリーニョ監督が復帰するのが秒読みみたいな雰囲気になっていてねえ。ただ、先日、ペレス会長が会長選挙実施を決めてしまったせいで、少なくとも対抗馬が出るのか、出ないのかがわかる公募期間の終わる今週土曜までは待たないといけないのだとか。
更に先日のサプライズ会見でペレス会長が仄めかしていたスペイン人実業家、メキシコで幅広く再生可能エネルギー企業グループを営むエンリケ・リケルメ氏がマドリッドに現れ、「Tengo el aval y decidiré en los próximos días/テンゴ・エル・アバル・イ・デシディレ・エン・ロス・プロキシモス・ディアス(供託金はあるから、数日中に決める)」と1億8500万ユーロ(約341億円)を用意できることを宣言。もしかしたら、20年ぶりの選挙があるかもしれないため、その場合は新監督招聘にもっと時間がかかりそうですが、こればっかりはねえ。何はともあれ、今はベルナベウでの今季最後の試合がpito(ピト/ブーイング)の嵐で終わらないことを祈るばかりです。

