シーズン終了間際に悪目立ちしているのは…

「リーガ優勝が決まればもう、落ち着くと思ったんだけどなあ」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、レアル・マドリーのお家騒動が拡大しているのに気がついた時のことでした。いやあ、今週はまた2日続けて午前様となったため、9試合同時開催となる37節の日曜が来るまでゆっくりできるのを有難く思っていたんですけどね。事の発端はいきなり火曜午後4時、2時間後にレアル・マドリーのペレス会長がバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場プレスルームで記者会見を開くというお知らせが入ったこと。

丁度、先週末にはバルサがリーガ王者となり、2年連続ビッグタイトルと縁がないことが決まったばかりのマドリーでしたからね。先週はバルベルデとチュアメニが諍いを起こし、前者が病院送りになった件が漏洩したり、昨今のチーム状況の悪さから、2006年のようにいきなり会長辞任もありうるんじゃないかと世間もうごめきたったため、私も行ってみようかとチラッと思ったものの、このクラブは何でも自前のTV局で生中継してくれるのがミソ。だったら、家で見てもいいだろうとラクすることにしたんですが、これがまさか1時間以上のロング会見になるとは!

え、でもペレス会長は辞任しなかったんだろうって?その通りで、当人も最初の言葉でそれを否定。そうではなく、10万人のソシオ(協賛会員)の手にクラブを戻すため、まだ3年任期が残っていながら、会長選挙を近々に行うことを発表したんですが、同時にマドリーと自身に対して、マスコミがネガティブキャンペーンを行っていると告発することに。更に一向に決着のつかないネグレイラ事件(バルサが20年間、審判協会の副会長にお金を払っていた)の影響で、自分の会長在任時、7回リーガ優勝を逃したと言い、UEFAに500ページの報告書を送る予定なのだとか。

まあ、同様の内容は翌日のセクスタ(スペインの民放)でのインタビューでも繰り返していて、こちらでは記者会見時には断固返答を拒否していた今季のチームのパフォーマンスの悪さの原因として、クラブW杯があった昨夏、プレシーズン練習ができなかったことを挙げていたんですけどね。でも彼らが準決勝で4-0と大敗し、決勝ではチェルシーに3-0で負けて、優勝を逃したPSGなど、先週末、リーグ1を制して、CLでもファイナリストですよ。とてもそれだけがスペイン・スーパーカップ決勝でバルサに負けた後、シャビ・アロンソ監督を解任、後継のアルベロア監督も迷走している理由にはならないんじゃないかと思いますが、まあ、それはそれ。

実際、会長選挙は今月の14日から23日までが候補者受付期間で、うーん、79才のペレス会長は2021年の選挙で立候補を匂わせていたスペイン人実業家、メキシコで再生エンネルギー会社を経営する37才のエンリケ・リケルメ氏をライバル視して、煽っていたんですけどね。対抗馬なしの無選挙会長体制を守るため、立候補するにはクラブ年間予算の15%、1850万ユーロ(約340億円)の供託金が必要と決めたため、どんなお金持ちでもこんな短期間で用意するのは至難の業。

受付期間を延ばすよう頼んできたリケルメ氏に、ペレス会長は「2000年に選挙があった時、自分は延長を頼まなかった。Me presenté y las gané/メ・プレセンテ・イ・ラス・ガネ(出馬して、勝った)」と言っていたんですが、はあ。私にとっては、来季の指揮官がモウリーニョ監督になるという予想が日に日に高まっている方が憂鬱ですが、それが木曜のオビエド戦後にはアルベロア監督とエムバペの対立も発覚って、一体、マドリーはどうなってしまうんでしょうね。

まあ、そんなことはともかく、ミッドウィークリーガでマドリッドのチームがどうだったかもお伝えしていかないと。先陣はペレス氏会見のあった火曜の夜、アトレティコがエル・サダルでのオサスナ戦で切ったんですが、相変わらず、負傷欠場者の多かったシメオネ監督のチームは開始10分、グリーズマンの蹴ったボールがエリア内でガランの腕に当たり、プレーが一周回った後、VAR(ビデオ審判)注進により、モニターチェックされることに。結果、ペナルティとされたため、PKをルックマンが決めて先制と、幸先良いスタートを切ることができたんですよ。

逆に前半ロスタイムにはオブラクに代わってGKを務めていたムッソがハイボールをクリアした際、ブドミルを倒してしまい、すわコパ・デル・レイ決勝の再現かと思われたんですけどね。こちらはモニターチェックでペナルティなしとなり、ええ、コケがバックパスをブドミルに送ってしまった時も1対1のシュートを外してくれましたし、本当にツイていますって。アルマダがセルロートに代わった後半も26分にはジョレンテのクロスを、セルタ戦と違い、この日はスウェーデン人大型FWが卒なくゴールに入れることができたのも有難かったかと。

そのジョレンテが2枚目のイエローカードをもらって34分には退場、更に後半ロスタイムにはバラハに1点返されてしまったものの、そのままアトレティコは1-2で逃げ切りに成功。オサスナにはかなりシュートを撃たれていたんですが、そこは量より質が肝心で、ええ、シメオネ監督も「La palabra contundencia existe y es real/ラ・パラブラ・コントゥンデンシア・エクシステ・イ・エス・レアル(ガツンと行くという言葉は存在していて、本物だ)」と言っていましたしね。

折しもこの節は3位のビジャレアルがセビージャに逆転負けしてくれたこともあって、4位のアトレティコとの差も勝ち点3に縮小。今週末の日曜午後7時(日本時間翌午前2時)、グリーズマンのメトロポリターノお別れ試合となるジローナ戦の後、最終節にはビジャレアルと直接対決があるだけに、未だに3位奪取の夢は消えていないんですが、今のところ、バリオス、ニコ・ゴンザレス、フリアン・アルバレス、ヒメネス、モリーナはまだリハビリ中で、復帰できるのはジュリアーノだけのようです。

そして翌水曜はヘタフェがコリセウムにマジョルカを迎えたんですが、ここ3試合無得点だったのが嘘のようにゴールが入った試合でねえ。まず前半14分に連戦によるローテーションで先発した右SBニヨムのラストパスをサトリアーノがゴール前で軌道を変えて先制点を挙げると、41分にはdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成。こちらはGKダビド・ソリアのゴールキックをバリエントがGKレオ・ロマンの飛び出しに気づかず、ヘッドでバックパスをしたところ、はぐれたボールをウルグアイ人FWが空のゴールに決めたんですが、正直、ヘタフェがすでに残留争いを卒業できているのは、この1月の補強選手のおかげと言っても過言ではない?

ヘタフェは後半18分にも1月入団組のCB、ロメロがルイス・ミジャのFKをヘッドで決めて、リードを3点に拡大。いえ、その2分後にはやはりFKからマスカレルに頭で決められてしまったんですけどね。浅野拓磨選手もピッチに入り、最後はムリキ、プラッツのFW3人で攻めてきたマジョルカの反撃も実ることはなく、試合はそのまま3-1で終了することに。こちらも6位のセルタがレバンテに負けてくれたため、7位のヘタフェとは勝ち点2差となったんですが、やっぱり来季出場できるなら、カンファレンスリーグより、ヨーロッパリーグの方がいい?

いえ、ボルダラス監督はこの日、とうとう数字的に残留が確定した方を重視し、「El objetivo es ir paso a paso/エル・オブヘティボ・エス・イル・パソ・ア・パソ(目標は一歩一歩進むことだ)」と言っていましたけどね。日曜の一斉試合の相手は降格圏19位のレバンテ、18位のマジョルカと同じ勝ち点39の17位エルチェ、最終節はまだ残留確定が微妙な13位のオサスナと、生存競争期間にいるチームなため、ちょっと連勝するのは難しいかもしれませんが、弟分仲間のラージョだけにヨーロッパの甘い水を吸わせるのもシャクに触りますし、ここは頑張ってみるのもいいかと。

そして翌木曜、まずそのラージョがメスタジャでバレンシア戦となったんですが、結局は私が見られた前半だけの戦いだったよう。いえ、イニゴ・ペレス監督のチームも開始5分にはパチャがサラビアにエリア内で倒され、PKをもらったんですけどね。ローテで先発していたエヌテカがボールをポストに当ててしまい、得点できず。それでも21分にはグンバウが蹴ったCKをルジューヌがヘッドで決めて、先制点が入ったんですよ。それが40分、ハビ・ゲラとディエゴ・ロペスの連携で同点とされ、うーん、後半はアレモン、デ・フルートス、パテ・シス、ウナイ・ロペス、ラティウとレギュラーを順々に入れていったんですけどね。

どちらのチームも追加点を挙げることはできず、そのまま1-1で引き分けたんですが、これで勝ち点44とした10位のラージョはまだ数字的ではないものの、ほぼ残留が確定。日曜にはバジェカスにビジャレアルを迎えるため、兄貴分の援護射撃をしてくれると有難いんですが、とにかく彼らには27日(水)にライプツィヒでカンフェレンスリーグ決勝クリスタル・パレス戦という大一番が控えていますからね。それまでは選手たちにケガ人が出ないようにローテを続けていくんでしょうが、リーガ7試合出場停止になってしまったイシも今は力を溜めているところだと思います。

え、それでカンプ・ノウでライバルのリーガ戴冠の証人となって帰って来たマドリーをサンティアゴ・ベルナベウはどんな風に迎えたのかって?いやあ、それがクラブの方もpito(ピト/ブーイング)が飛ぶのは織り込み済みだったか、その日はメンバー紹介時のボリュームをマックスにしていてねえ。月曜に2部降格が確定したオビエドとの試合がキックオフすると、ビニシウスやカマビンガらに散発的に口笛が吹かれていたものの、前半のスタンドはむしろ静けさが目立つことに。幸い44分にはブライムのクロスから、ゴンサロが先制ゴールを決めてくれたため、比較的穏便にハーフタイムに入ったんですが…。

後半9分には今季限りでの引退が見込まれている、2008年、2012年ユーロ優勝スペイン代表のメンバーだった41才のカソルラがピッチに入り、スタンドからは温かな拍手が沸き上がったんですが、その少し後にエムバペがアップに出て来た瞬間、マドリーファンが誰を今季一番の戦犯と思っているかが明確に。ええ、復帰予定だったクラシコ(伝統の一戦)前日に痛みを訴え、お留守番していたフランス人FWには1週間前のリハビリ中、マドリーがエスパニョール戦でバルサの優勝を少しでも遅らせそうと奮闘していた日、彼女とサルディーニャ島にバカンスに行っていた件もありましたしね。

23分にゴンサロと代わってピッチに入ると、ボールを持つ度にピーピーされていたんですが、当人はあまり気にしていなかったよう。だってえ、でなきゃ、35分にベリンガムがゴールを決め、2-0で試合が終わった後、ダッシュで私服に着替え、意気揚々とミックスゾーンに登場するなんてことする?おまけにそこで、「先発しなかったのは、監督がボクはマスタントゥオノ、ビニシウス、ゴンサロに次ぐ4番目のFWと言ったから。Yo estaba para ser titular, es su decision/ジョ・エスタバ・パラ・セル・ティトゥラル、エス・ス・デシシオン(自分はスタメンでプレーできたから、それは彼の選択だ)」なんて言い出したから、もうシーズン終了までマドリーは誰もミックスゾーンには出て来ないだろうと思っていた記者たちもビックリしたの何のって。

これには丁度、エムバペがコメントした直後に記者会見が始まったアルベロア監督も困惑していて、「No le he dicho semejante frase, no lo habrá entendido bien/ノー・レ・エ・デイッチョー・セメハンテ・フラセ、ノー・ロ・アビア・エンテンディードー・ビエン(そんな風なことは言った覚えはないが、正しく理解していなかったんだろう)」と言っていましたけどね。大方、「この試合は」とか、「今日は」という限定の単語をエムバペが聞き逃しただけなんじゃないかと思いますが、さて。

ちなみに監督によると、彼を控えにしたのは、「Hace cuatro días no pudo ni ir al banquillo y no era una final lo de hoy/アセ・クアトロ・ディアス・ノー・プド・ニー・イル・アル・バンキージョ・イ・ノー・エラ・ウナ・フィナル・ロ・デ・オイ(4日前はベンチに入ることもできなかったし、今日の試合は決勝ではない)。負傷上がりの選手を危険にさらさないのは論理的で自然なこと」だからだそうですが、まあ、互いに不満があっても、どうせあと2試合だけの関係ですからね。あまり騒ぐ価値もないんですが、マドリーの日曜試合はサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦。相手は降格の崖っぷちに追い詰められてから3連勝と火事場の馬鹿力を発揮しているチームとあって、うっかり負けたりしたら、またマドリーはやいのやいのと言われんでしょうね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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