そしてラージョだけが残った…

「あと4試合、どうするつもりなのかしら」そんな風に私が首を捻っていたのは金曜日、30日のCL決勝にアトレティコがいないというショックから、徐々に回復しつつある時のことでした。いやあ、優秀な弟分のおかげで、スペインが来季もCL出場権5席を獲得できることになったため、同時に6位と勝ち点16差の4位にいる彼らのCL参加も確約されたんですけどね。つまりそれって、リーガ残り4節ではまったく目標ないってことにならない?

おまけに2週間ぶりにメトロポリターノに戻ってくる土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのセルタ戦には、ロンドン遠征に行けなかったバリオス、ニコ・ゴンザレスに加え、エミレーツ・スタジアムで痛み止めを打ってプレーしたフリアン・アルバレスと何度も転がされていたジュリアーノ、そして木曜に再開されたマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションで足首を酷く痛めたカルドーソが出場できず。必然的に先発はBチームとなるんでしょうが、折しも今回はアトレティコ・マドリレーニョが金曜の夜に試合だったんですよ。

まだRFEF1部(実質3部)で1位となって、直接2部昇格の可能性があるだけに、フェルナンド・トーレス監督も前節のバレンシア戦でゴールを挙げて、トップチームの勝利に貢献したルーケとクボをサバデル戦(4-3で勝利、ルーケは3点目を入れた)で使わない訳にはいきませんでしたからね。大体がして、年初からずっと週2試合ペースで稼働してきたシメオネ監督のチームはもうクタクタの上、コパ・デル・レイに続き、CL優勝の夢もが絶たれたばかりで、今は選手たちも精神的に辛い時期。せいぜい目標と言えるものが、勝ち点5差の3位ビジャレアルを追い越すことしかないとなれば、3差で追ってくるヘタフェとアスレティックから、ヨーロッパリーグ出場の6位の座を守ることに必死なセルタに果たして勝てるものやら。

まあ、そんなことはともかく、今週ミッドウィークのマドリッド勢の準決勝2ndレグがどうだったか、お話していかないと。先週の1stレグはアトレティコもラージョもホームゲームだったため、スタジアム通いをした私だったんですが、ええ、もう準決勝ともなると、CLは1日1試合ですからね。アトレティコの試合はお隣さん程、混まないのも知っていたんですが、それでも用心して、火曜は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にかなり早めに行って席を確保したのは正解でした。

アーセナル戦キックオフ時には立ち見客も現れる中、序盤にはフリアンのエリア内シュートが外れ、前半11分にもグリーズマンのシュートをGKダビド・ラジャが弾いた後、ジュリアーノはガブリエウに邪魔されてボールをゴールに向けて蹴ることができず。1stレグでの1-1から、早くリードしたい気持ちが現れていたスタートだったんですが、何故かアトレティコ、その後が続かなくてねえ。

相手もそれ程、ガンガン攻めてくる感じではなかったので、前半は0-0で終わるのかと思いかけた45分にまさか、点を取られてしまうとは!そう、ギェケレシュのクロスをプビルが頭でクリアしたボールがトロサールに渡り、うーん、そのシュートはGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたんですけどね。ル・ノルマンとルッジェーリがのほほんと見守る前でサカにこぼれ球を蹴り入れられてしまったんですよ。

ただ、それでも後半丸々残っていたため、むしろ1-1となって、延長戦、PK戦の鬼門コースになるのを恐れていた私だったんですが、うーん、ジュリアーノは再び敵DFにシュートさせてもらえず。更には11分、グリーズマンがカラフィオリに後ろから踏まれながら、主審が直前の全然、何でもないプビルとガブリエウとの接触をファール認定して、PKを取ってくれなかったのが大誤算に。同点のチャンスを失ったアトレティコはその直後、得意の3人一斉交代を行い、セルロート、モリーナ、カルドーソを入れたんですが、いやあ。

22分にはとうとう、フリアンとグリーズマンが限界タイムに達し、アルマダとバエナに代わったことで命運が尽きたんでしょうね。一応、セルロートには40分、バエナのラストパスをエリア内でシュートできるチャンスがあったんですが…何でこういう時に限って、ボールが足に絡まったりする?ロスタイムの5分間など、アーセナルが露骨な時間稼ぎをして、怒ったコケがイエローカードをもらったりしていたんですが、結局、アトレティコは最後までゴールを入れることができず、そのまま総合スコア2-1で敗退してしまいましたっけ。

まあ、こんな結末ですから、私もロンドンまで移動した3000人余りのアトレティコファンとご一緒しなくて、本当に良かった、良かった。ちなみにシメオネ監督は、「Hemos dado lo máximo/エモス・ダードー・ロ・マキシモ(ウチは最大限の努力をした)。期待されていた以上のところまで行くことができたが、1stレグではメリットを挙げたし、今日も延長戦に持ち込める可能性があっただけに残念だ」と言っていたんですが、やっぱり最大の敗因は16強対決のトッテナム戦や準々決勝バルサ戦のように先勝できなかったことかと。

ええ、それこそ5-2で勝ったトッテナム戦1stレグのようにメトロポリターノの利を生かして、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)ができていれば、苦手のアウェイに勝負を懸けずに済んだんですが、アーセナル戦1stレグではセルロートが痛みを覚え、途中出場できないという運の悪さもありましたからね。そうそう、金曜のセルタ戦前日会見では、「今季やったことをリピートするのは難しいが、来季、更なる上を目指すには優勝するしかない」と話していたシメオネ監督ですが、実は2027年のCL決勝の舞台はメトロポリターノなんですよ。

といっても2010年にサンティアゴ・ベルナベウで決勝があった時も、2019年のメトロポリターノでもホームチームは参加できませんでしたからね。2012年にアリアンツ・アレナでの決勝に出たバイエルンもチェルシーに負けていましたし、あまり前例には期待ができないんですが、さて。何より今は今季限りでオーランド・シティに行ってしまうグリーズマンがアトレティコでビッグタイトルを1つも獲得できなかったこと、そして水曜の準決勝で勝ち上がったPSGが1-1の引き分けで、いつも5-4だった1stレグのようにゴール祭りする訳ではないのがわかり、決勝に行ければ、お隣さん相手じゃないんだから、アトレティコにもチャンスがあったかもしれないと思えてしまうのが残念でしょうか。

そして木曜には、1600人のファンに後押しされたラージョがストラスブールとのコンフェレンスリーグ準決勝2ndレグに挑んだんですが、1-0で先勝していたイニゴ・ペレス監督のチームはアウェイでも決して守りに入らず。まあ、準々決勝のAEKアテネ戦にエスタディオ・バジェカスで3-0と勝った後、2ndレグでは総合スコア3-3の同点に追いつかれ、イシのゴールでようやく勝ち抜けたのがいい教訓になっていたんだと思いますが、とにかくデ・フルートスが撃っても撃っても入らない病にかかってしまったようでねえ。

それでも前半42分にはCKから始まったプレーで、イリアスのアップ中のケガで急遽、スタメンに入ったパチャがクロスを入れると、いえ、ルジューヌのシュートはGKペンダースに弾かれてしまったんですけどね。丁度いいところにいたアレモンが押し込んで、火曜のアーセナルと似た感じでゴールを挙げることに。これで総合スコアが2-0となり、私もホッとしたんですが、まさか後半ロスタイムになって、ドゥエのシュートがエリア内でバレンティンの腕に当たり、ペナルティを取られてしまうとは!

でも大丈夫、GKバタジャがエンシソのPKを止めただけでなく、続くドゥクレのシュートも胸で防いでくれたため、そのまま0-1で勝ったラージョはクラブ史上初のヨーロッパの大会決勝進出を決定。その日は火曜程、賑わってはいなかったものの、バル中のお客さんも大歓喜することに。試合後はスタッド・ドゥ・ラ・メノにラージョファンの「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」の唱和が響き渡り、2試合連続で決勝ゴールを挙げたアレモンなども、「Es uno de los días más felices de mi carrea/エス・ウノ・デ・ロス・ディアス・マス・フェリセス・デ・ミ・カレラ(自分のキャリアの中で最も幸せな日の一つ)」と言っていたんですが、いや本当に、この弟分の爪の垢をアトレティコの選手たちに呑ませてやりたくなったのは私だけではなかった?

ただ、イニゴ・ペレス監督は「Es el mejor partido que hemos hecho desde que tengo la fortuna de dirigir al Rayo/エス・エル・メホール・パルティードー・ケ・エモス・エッチョー・デスデ・ケ・テンゴ・ラ・フォルトゥーナ・デ・ディリヒル・アル・ラージョ(私がラージョを率いる幸運を得て以来、最高の試合だった)」と満足していたものの、ちょっと彼らにはシュート精度に問題がなきにしろあらず。ええ、この2試合、合計46本(うち枠内16本)もシュートを撃ちながら、たったの2点しか取れていませんからね。

同日、シャフタールを総合スコア5-2で破ったクリスタル・パレスと27日(水)にライプツィヒで戦う決勝ではそれが少しは改善されていることを希望。幸い、時間はあるので、来週月曜のジローナ戦を始め、リーガの残り試合で調整をしていってもらいたいところですが、クラブに割り当てられる1万1500枚の決勝チケットが販売される日にはまた、バジェカスに長蛇の行列ができるのは確実ですって。

え、それでヨーロッパでの悲喜こもごもがあった今週、レアル・マドリーは何をしていたのかって?いやあ、それが何か大変なことになっていて、先日はカレラスが自身のSNSで発信したことがキッカケで、2月にリュディガーに殴られていたことがわかったばかりだったんですけどね。この水曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッション中、激しいタックルをしたことがキッカケでチュアメニとバルベルデが一気触発状態に。話はそこで終わらず、翌日も諍いは続き、最後はバルベルデが病院送りになったというから、ビックリしたの何のって。

うーん、その日のうちにSNSに謝罪文を掲載したバルベルデによると、「En ningún momento mi compañero me ha pegado y yo tampoco lo he hecho/エン・ニングン・モメントー・ミ・コンパニェーロ・メ・ア・ペガードー・イ・ジョ・タンポコ・ロ・エ・エッチョー(チームメートが自分を殴ったことも、ボクが殴ったこともない)。口論中にアクシデントがあって、テーブルに頭をブツけて額を切った」そうなんですけどね。AS(スポーツ紙)によると、前日の騒ぎが世間にもれたことをバルベルデがチュアメニのせいにして、練習中もロッカールームに戻ってからも責め続けたため、とうとう堪忍袋の尾が切れた後者が手を出したのだとか。

おかげで金曜には2人共、クラブからそれぞれ50万ユーロ(約9300万円)の罰金を喰らったんですが、ええ、頭を打ったバルベルデは10~14日間の安静を命じられてしまいましたからね。そこにギュレルの負傷、アルベロア監督と対立したセバージョスが今季はもうベンチ入りしないという理由もあって、チュアメニは普通に日曜午後9時(日本時間翌午前4時)のクラシコ(伝統の一戦)には出るんですが、これってちょっとご都合主義的では?

何せ先週末もリハビリ中のエムバペのサルデーニャ島バカンスがバレて、ファンから顰蹙を買っていたマドリーですからね。その当人はどうやら無事に回復し、カンプ・ノウでは途中出場できるようですが、もうこのカオス状態のベンチを来季は続投しないアルベロア監督が率いて、バルサのリーガ優勝眼前達成を阻止できる気はとてもしないかと。負けなければ2連覇が決まるフリック監督のチームの方は月曜に市内パレード、優勝祝賀行事と着々と計画も立てているようで、羨ましい限りですが、ホント、マドリーにとってはトホホなシーズンになってしまいましたね。

そして2節前に残留がほぼ確定して、バケーションモードに入っているもう1つの弟分、ヘタフェは最下位のオビエドと日曜にタリアッテレで試合なんですが、相手には負ければ2部最短Uターンがほぼ本決まりになる可能性が。ただ、ラージョのおかげで7位でも来季のコンフェレンスリーグに出場できることになったボルダラス監督のチームも、ええ、弟分仲間の盛り上がりぶりを見れば、ちょっとは欲が出てくるかもしれませんからね。前節のそのラージョとの弟分ダービーでは出場停止でいなかったジェネ、ロメロ、マリオ・マルティンも戻ってくるため、また勝てるようになるといいのですが…。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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