「またドキドキのミッドウィークだわ」そんな風に私が浮足だっていたのは月曜日、午前中にアトレティコがマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場からチームバスに乗って、バラハス空港に向けて出発する映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、10年ぶりのCL決勝進出が懸かったアーセナルとの準決勝2ndレグへの旅立ちだというのに、お見送りするファンの数が普段と変わらなかったのもちょっと、驚きなんですけどね。実はその違和感、先日のコパ・デル・レイ決勝前もレアル・ソシエダが大勢の声援の中、発煙筒まで焚かれて、スビエタを出るのを見た時も感じたんですよ。
それがまさか、カルトゥーハでの13年ぶりのコパ決勝でPK戦負けという悲しい結果に繋がったとは一概には言えませんが、今季はビッグマッチ前、練習場の柵の外にフレンテ・アトレティコ(過激なファングループ)が集まって、選手たちを励ますといった光景もなかったような気がしますし、まあ、もちろん試合となれば、メトロポリターノが熱狂するのは同じでしたけどね。お隣さん程、CLの高みや決勝を味合うことのないクラブなのに、最近はもしやファンも選手やチームの追っかけをするのに飽きてしまった?
そして今週のお楽しみは火曜午後9時(日本時間翌午前4時)、1-1で終わった1stレグの決着をエミレーツ・スタジアムでつけるアトレティコだけでなく、木曜には弟分のラージョもコンフェレンスリーグ準決勝2ndレグでストラスブールを訪問。こちらは初戦で1-0勝利と僅かながらリードしている上、先週木曜の試合が終わった直後から、ビジターファン用のチケット購入を求めるファンの列がエスタディオ・バジェカスにできていたぐらい(ちなみにラージョはオンライン販売がない)。もし勝ち上がることができれば、27日(水)のライプツィヒでクリスタル・パレスかシャフタールとの史上初のヨーロッパの大会決勝に挑めますからね。
ちなみにアトレティコの方はアーセナルを倒しても、30日(土)のブタペストでの決勝の相手が、準決勝1stレグで5-4と壮絶な撃ち合いをしたPSGかバイエルンになるとあって、応援に行くファンには物凄い勇気が必要になるかと。何にせよ、リーガは先週末には決着がつかなかったものの、もうバルサ優勝も秒読みとあって、5月末まで、興味を持ってサッカーを楽しむためにも、マドリッド勢の2チームには頑張ってほしいんですが…。
まあ、そんなことはともかく、先週末34節の試合がどうだったか、お話ししてくことにすると。まずは土曜にメスタジャでのバレンシア戦でアトレティコが先陣を切ったんですが、ええ、ミッドウィーク集中モードのシメオネ監督はセビージャ、エルチェ戦に続いて、この試合でもスタメンに4人のカンテラーノ(Bチーム、アトレティコ・マドリレーニョの選手)を起用。前半はこの日、右SBをボニャルに任せ、前に出たモリーナがやたらハッスルして、何度も撃っていったんですが、17分のロングシュートもゴールバーに弾かれ、両チーム共、無得点のまま、ハーフタイムに入ることに。
対照的にバレンシアはほとんど攻めてこなかったため、オブラク休養のため、ゴールに戻ったGKムッソも心穏やかでいられたんですが、試合が動いたのは後半18分に2人のカンテラーノが他のカンテラーノと代わり、更に27分にアルマダとメンドーサがコケとグリーズマンになった後のこと。そう、29分にはボニャルがサイドから中央に向かってボールを運び、バルガスにスイッチ。そのラストパスをライン上から20才のイケル・ルーケが撃って、GKディミトリエフスキを破ってしまったから、ビックリしたの何のって。
更に37分にはル・ノルマンのロングボールを受けたグリーズマンがエリア内に飛び込んで来た18才のコボに絶妙のタイミングで繋ぎ、いえ、丁度この時、線審の旗が上がったため、バレンシアのDFの動きが鈍ったというのもあったんですけどね。ためらわずにコボの撃ったボールがネットに突き刺さり、VAR(ビデオ審判)チェックが終わってみれば、実はオフサイドではなかったということで、こちらもスコアに挙がったんですよ。
幸いロスタイムにサディクが決めたゴールも直前にムッソへのファールがあったせいで認められず、最後は0-2の勝利で終わったんですが、いやあ、辛抱はしてみるもんです。シメオネ監督曰く、「セビージャ戦でウチは負けるに値しなかった。エルチェ戦では退場者(アルマダ)を出したことが響いた。今日は若い子たちも大人たちも謙虚さを持って、完璧な仕事をしてくれた」だそうですが、「Está claro que estos chicos es trabajo de Torres, no es trabajo nuestro/エスタ・クラーロ・ケ・エストス・チコス・エス・トラバッホ・デ・トーレス、ノー・エス・トラバッホ・ヌエストロ(これらの若者たちはトーレス監督の仕事のおかげなのは明らか。私たちのしたことではない)」とも。
よって、トップチームデビュー戦初ゴールを達成したルーケもコボもマドリッドには戻らず、他のカンテラーノたちとコスタ・デル・ソルに移動し、日曜正午からのフベントゥッド・トレモリノス戦にも途中出場。結果、RFEF1部(実質3部)1位での2部直接昇格を目指しているトーレス監督の下では3-1と負けてしまうって、ちょっと皮肉だったかと。
それでもバレンシア戦で先発したボニャル、フリオ・ディアス、そしてルーケはロンドン遠征の招集リストにも入りましたしね。フリアン・アルバレスはまだ足首に不安があるものの、週末はお休みをしてケガを治したセルロート、ジュリアーノ、更にはとうとうヒメネスも戻ったチームの一助となってくれると思いますが、やっぱりバリオスとニコ・ゴンザレスがいないのは痛いかと。ちなみにプレミアリーグ優勝をマンチェスター・シティとガチンコで争っているアーセナルは、ウーデゴーアとハバーツがケガで出られないようです。
そして翌日曜は快適な午後4時15分から、コリセウムでヘタフェとラージョの弟分ダービーとなったんですが、いえ、7試合の出場停止処分でイシがもうリーガ戦には出らないのはともかく、イニゴ・ペレス監督はシメオネ監督程、露骨なローテはしなかったんですけどね。「ヘタフェは特殊なタイプのサッカーをするから、nosotros imitar las cosas que hacen y poder hacer daño en las transiciones/ノソトロス・イミタル・ラス・コーサス・ケ・アセン・イ・ポデール・アセ-ル・ダーニョ・エン・ラス・トランシシオネス(ウチは彼らのやることを真似して、カウンターで打撃を与えることにした)」(イニゴ・ペレス監督)せいか、序盤から、やたらにtangana(タンガナ/小競り合い)が多くてねえ。
とりわけアレモンなど、何度も転がされていて、気の毒だったんですが、そんな中、前半38分には中盤でアランバリが逃したボールを追ったカメージョが本領を発揮。エリア前までドリブルで突進すると、狙い澄ましたシュートをゴール右隅に決め、リーガここ3試合3得点目としてしまうんですから、やっぱりパリ五輪優勝の決勝ゴールゲッターの肩書は伊達ではない?それも2分後、ルイス・バスケスのヘッドがゴールバーに当たらなければ、簡単に同点に追いつかれていたところでしたが、どうも2節前のソシエダ戦勝利で残留確定ゾーンに入った後のヘタフェは早くもガス欠状態に入ってしまったようなんですよ。
後半頭にボルダラス監督がした3人一斉交代の効果もあまりなく、いえ、16分にはGKバタジャがルイス・バスケスを倒して、ヘタフェには同点にするチャンスもあったんですけどね。「ほぼ全試合に出ている選手たちもいて、les está pasando factura no haber podido descansar/レス・エスタ・パサンドー・ファクトゥーラ・ノー・アベール・ポディードー・デスカンサル(彼らには休養を取れなかったツケが回ってきている)」(ボルダラス監督)という一人、アランバリがPKをバタジャに弾かれてしまってはどうしようもありませんって。
まあ、それ以外にもジェネ、ロメロ、マリオ・マルティンを出場停止で欠いたヘタフェの選手たちは足の踏み出しが一歩遅かったり、うーん、試合数からすると、コンフェレンスリーグのあるラージョの方が絶対、疲れているはずなんですけどね。それが28分にもカメージョの交代として入ったエヌテカがドゥアルテを出し抜いて、2点目を獲得。「Los suplentes son los que te dan la vida cuando esto está acabando/ロス・スプレンテス・ソン・ロス・ケ・テ・ダン・ラ・ビダ・クアンドー・エスト・エスタ・アカバンドー(控え選手たちはシーズンが終わりかけている時、チームに命を与える存在だ)」(カメージョ)という言葉を証明することに。
実際、この0-2の勝利のおかげでラージョも勝ち点42となり、いよいよ残留ほぼ確定ラインに到達して、心置きなくストラスブール戦2ndレグに専念できるのは有難かったんですけどね。逆にヘタフェはバルサ戦に続く連敗で、7位になってしまったんですが、ボルダラス監督は「この時期に勝ち点44というのは歴史的なマイルストーンで、solo se puede definir de esa manera/ソロ・セ・プエデ・デフィニル・デ・エサ・マネラ(それ以外に表現しようがない)」とあまり気にしておらず。もしやそれって、今季はスタートから選手不足に悩ませられ、ようやくマジョラルがこのラージョ戦で復帰したように、冬の移籍市場までろくろくFWがいなかったことにコリゴリして、来季は続投しないという噂も流れてきているため、もうチームがヨーロッパの大会に行けても行けなくても関係ない?
そして夜にはレアル・マドリーがバルセロナでエスパニョール戦をプレーしたんですが、何せ前夜、バルサがオサスナに1-2で勝利したため、彼らがこの試合に勝たないと、ライバルのリーガ優勝が決まってしまう事態になっていましたからね。それが、次節のカンプ・ノウでのクラシコ(伝統の一戦)でpasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(王者の花道)を作って、フリック監督のチームを迎えるのだけは避けようという意図をもってスタートしたアルベロア監督のチームだったんですが、開始7分にビニシウスのシュートがポストに嫌われたすぐ後、10分にはまたしてもメンディが1人でケガをするという悲劇に見舞われることに。
もう昨季から負傷の連続で、今季も9試合しか出ていない左SBはこの右太ももの肉離れで手術をすることになり、また長い期間、リハビリに励むことになるようですが、とりあえず、この場はフラン・ガルシアが入って試合は続行。でもねえ、前半はシーズン後半16試合で白星がまだなく、徐々に降格圏に近づいているエスパニョールも抵抗して、ゴールが入らなかったんですよ。そこで0-0のまま始まった後半、7分にはアルベロア監督がブライムとピタルチをゴンサロとマスタントゥオノに代えたところ、これが大当たりしたんです!
そう、ピッチに入って3分後、ゴンサロとビニシウスが連携。ワンツーでエリア内に入ったブラジル人FWが敵DF2人をかわして先制点を決めてくれたから、助かったの何のって。21分にも、今度はベリンガムからtaconazo(タコナソ/ヒールキック)のアシストを受けたビニシウスが2点目を入れ、GKクルトワがいない間、ずっと失点を続けてきたルニンもこの日はクリーンシートをキープできましたしね。そのまま0-2で勝つことができたため、ひとまず花道の懸念は解消。次はバルサに勝って、リーガ戴冠の立会人を回避するのが、マドリーの目標になることに。
え、それよりマドリーでは今週末日曜午後9時の試合を目指して、鋭意リハビリに励んでいるはずのエムバペがこの土日、マドリッドを離れ、彼女とサルディーニャ島でバカンス。バラハス空港に着いたのが丁度、エスパニョール戦キックオフの10分前だったことが問題視されていないかって?まあ、そうなんですが、どうやらリハビリ組は週末お休みで、W杯での復活を目指すギュレルなどもイビサ島に行っていたそうですからね。それがエムバベとなると、パパラッチが放っておかないだけなんですが、おかげでこの苦しい状況で、一人でチームを背負っているビニシウスがますます株を上げることになってねえ。
アルベロア監督も「Necesitamos el compromiso de todos para presionar, para defender, para atacar/ネセシタモス・エル・コンプロミソ・デ・トードス・パラ・プレシオナル、パラ・デフェンデール、パラ・アタカル(ウチはプレスをかけるため、守るため、攻撃するため、全員の決意が必要だ)」と言っていましたし、もういよいよ、リーガも大詰め。今はあまり周囲の雑音には耳を貸さず、世界一のクラブとしての品位を保って、今季を終えてくれることを祈るばかりです。

