「シメオネ監督のプラン、大丈夫かしら」そんな風に私が心配していたのは木曜日、とうとうアトレティコがリーガ4連敗、というか、最後に勝ったのは3月14日のヘタフェとの兄弟分ダービーで、その後は公式戦8試合中1勝7敗していることに気がついた時のことでした。いやあ、かなり前にリーガ優勝は不可能と悟った彼らはエネルギーをミッドウィークの試合に全振り。コパ・デル・レイ準決勝やCL決勝トーナメントは2試合制の対戦だったため、2ndレグに負けても、1stレグの貯金で勝ち抜くことができたんですけどね。
控え選手+カンテラーノ(Bチームの選手)でセビージャ戦に負けた後、温存したチームAで踏ん張り、バルサを押しのけて、CL準決勝に到達した時はそれでいいのかと思ったものの、今度は本気の試合が続けてその週末に到来し、コパ決勝では延長PK戦の末、レアル・ソシエダに5年ぶりのトロフィーを贈呈することに。120分の死闘を戦い抜いた選手を休ませないといけないのもあって、次のミッドウィーク開催リーガにBチームを投入したところ、エルチェにまた負けて、とうとう5位ベティスとの勝ち点差が8になっちゃったんですよ。
リーガ次節はこの週末土曜午後9時(日本時間翌午前4時)のアスレティック戦ですが、その時には来週水曜のアーセナル戦1stレグが目前ですからね。更に2ndレグとの狭間に入るバレンシア戦、準決勝の疲れが残っているであろうセルタ戦まで、勘定にいれないことにしているとしたら、もしやその頃にはベティスに4位の座を奪われていたりしない?いえ、ペジェグリーニ監督のチームの33節はこの金曜午後午後9時(日本時間翌午前4時)、ベニト・ビジャマリンでのレアル・マドリー戦なので、3連勝するのは難しいでしょうけどね。それにしたって、全振りしたコパ決勝に負けた後、CL準決勝でも敗退し、リーガも5位落ち、そこで来季CL出場権は4チームに戻るなんて言われたら、悔やんでも悔やみきれないことにならない?
まあ、そんなことはともかく、今はミッドウィーク開催のリーガ32節でのマドリッド勢の試合がどうだったか、お伝えすることにすると。先陣を切ったのはマドリーで火曜にアラベスをサンティアゴ・ベルナベウに迎えたんですが、ええ、ミュンヘンでのCL準々決勝2ndレグでバイエルンに敗退してから、初めての試合ですからね。ホームのファンの反応が気になったんですが、月曜にユースリーグ優勝を達成したCチームのトロフィーお披露目などがあったせいか、幸いながら、キックオフ直後からpito(ピト/ブーイング)の嵐にはならずに済むことに。ただ逆にそれが、ファンが誰を戦犯だと思っているのかを如実に示すことに繋がって、うーん、開始3分から、ビニシウスがドリブルしているだけでピーピーされていたのはかなり気の毒だったかと。
試合の方は序盤、残留争いにどっぷり嵌っているアラベスがボジェやトニ・マルティネスのシュートで攻めてきたものの、しばらく大したことは起きなかったんですけどね。何と前半30分、エムバペがエリア前から放ったシュートがジョニー・オットーに当たって軌道が変わり、GKシベラを破ったから、今季最低の入りを記録したスタンドもようやく盛り上がれることに。でもその後はエムバペもビニシウスも追加点を挙げることはできず、44分にはvolea(ボレア/ボレーシュート)をゴールバーに当て、場内に溜息をつかせたミリトンが負傷。前半にしては長い6分というロスタイムが出たため、アルベロア監督はリュディガーを入れて対応していたんですが、トニ・マルティネスのダブルチャンスを防いでリードを保てたのは、GKルーニンのおかげでしたっけ。
そして後半、5分にはビニシウスがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてくれたんですが、普通のゴール祝いはせず、スタンドに謝るポーズって、やっぱり当人も前半のブーイング攻勢に感じ入るところがあった?ただ、それは18分にカマビンガが入った時のものと比べるとまったく可愛いもんだったんですが、ええ、アリアンツ・アレナではフランス人MFが軽薄な行動を取ったせいで、2枚目のイエローカードを出されて退場。その後、1人少なくなったチームはバイエルンに得点され、remontada(レモンターダ/逆転突破)できませんでしたからね。
非難の矛先が向くのもわかるんですが、それから時間が経っても、それ以上、マドリーにはゴールが生まれず、終盤にアラベスに何度もチャンスを作られると、チーム全員にブーイングが飛ぶように。といっても相手が現在、降格圏を入ったり出たりしているのには理由がありますからね。ゴール力に欠けるキケ・サンチェス・フローレス監督のチームの反撃もロスタイム3分、ゲバラのシュートをトニ・マルティネスがゴール前でtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で押し込んだ1点だけに留まったため、マドリーは2-1で逃げ切り成功です。
これで一時的に首位バルサとの差も勝ち点6になったため、アルベロア監督も「Hasta que sea posible la seguiremos peleando/アスタ・ケ・セア・ポシブレ・ァ・セギモス・ペラアンドー(可能な限り、ウチは闘い続ける)」と落ち着いていましたけどね。でもいくらベストメンバーを並べてもあまりチームの覇気が感じられず、スタンドのあの凍り付いた雰囲気の中、アウェイ3連戦の後、ベルナベウで今季あと2試合も見ないといけないのは、私もちょっと辛いところ。おまけに翌水曜にはバルサがセルタに1-0で勝ち、差が再び勝ち点9に戻った上、木曜にはミリトンとギュレルに今季絶望となる太ももの肉離れが見つかったとなると、ジャマルも同様に負傷離脱したものの、フリック監督のチームの戴冠はクラシコ(伝統の一戦)前になるかもしれませんね。
そして水曜にはアトレティコとヘタフェの番が回ってきて、どちらもアウェイだったんですが、午後7時には兄貴分が降格圏の18位にいたエルチェとの試合をキックオフ。当然ながら、シメオネ監督はBチームで先発を組んだんですが、この日はセルロートとルックマンが負傷で、フリアン・アルバレス、コケ、ジョレンテ、ルッジェーリは休養でマドリッドでお留守番だったんですよね。それでも前半10分にはニコ・ゴンザレスがこの1月にエルチェから移籍したメンドーサとのヒールキックワンツーでエリア内に入り、先制点を挙げてくれたから、ひとまず安心できたんですが…。
いえ、そんなのただの妄想で、今季数々のアウェイゲームで先制しては追いつかれ、逆転されを繰り返してきたデジャブがもう18分には顕現。実はこの試合からGKオブラクが復帰していたんですが、敵のCKをクリアした後、ヘッドを繋いでエリア内に戻って来たボールを取りに出た彼に先んじて、アフェングルガーにゴールに押し込まれてしまったから、びっくりしたの何のって。おまけに30分には何故だか、自陣エリア前でアルマダがアフェングルガーにボールを奪われ、取り戻そうとして相手を倒してPKを献上って、アルゼンチン代表のスカローニ監督は一体、彼のどこを買っている?
でもねえ、アンドレ・シウバに勝ち越し点を入れられた後、34分にはアルゼンチン代表の同僚ニコ・ゴンサレスが人間業とは思えないプレーを見せてくれたんですよ。ええ、ドリブルでエリア内右奥まで行った彼は頭を使ってボールがラインから出るのを防ぎ、ゴール右脇にいた敵DFとGKディトロを浮き球でかわすと最後はヘッドでフィニッシュ。アフェングルバーが掻き出した時にはすでにゴールラインを越えていたことがVAR(ビデオ審判)により確認されたため、スコアは2-2となったんですが、こんな自作自演のゴール、私も初めて目にしましたっけ。
すぐに追いついたアトレティコは後半、グリーズマン、ジュリアーノ、そして負傷からとうとう回復したバリオスを入れて、10人でも勝てることを証明しようとしたんですが、うーん、やっぱり残留が懸かっているチームの執念には凄いものがありますよね。30分、CKからのプレーでオブラクは、アフェングルバーのヘッドはparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたものの、その後、ボールを繋がれて、アンドレ・シウバに至近距離から撃ち込まれてしまってはどうしようもありませんって(最終結果3-2)。
その後、1時間遅れでスタートしていたヘタフェとレアル・ソシエダとの試合の後半にスイッチした私だったんですが、どうやら見どころは前半のうちにあったよう。そう、12分にはブライス・メンデスのシュートがアブカルの腕に当たり、PKを取られたものの、うーん、コパ決勝ではPK戦要員として入る予定だったのが、負傷者発生で出場できなかったのが、悔しかったんでしょうかね。オジャルサバルが控えスタートだったのもあり、自らキッカーを買って出たメンデスのキックはゴールポストに嫌われて、ヘタフェは命拾い。すると29分にはファン・イグレシアスのクロスをゴロチャテギがクリアしようとヘッドして自軍ゴールに入れてしまい、スコアは0-1になっていたんですよ。
後半はマタラッツォ監督がレギュラーを投入してきたのもあり、防戦一方になっていたヘタフェだったんですが、何せ、相手は先週土曜にコパ王者となってから、3日間お祝い三昧でしたからね。最後までGKダビド・ソリアが破られることはなく、ボルダラス監督のチームは枠内シュート数0で勝利。おかげで「es una barbaridad haber conseguido casi la permanencia/エス・ウナ・バルバリダッド・アベール・コンセギードー・カシー・ラ・ペルマンシア(残留をほぼ確定したのは凄いことだ)」とボルダラス監督も大満足で、8位だったヘタフェはソシエアとセルタを抜いて6位に躍進って、え?これって来季のヨーロッパの大会出場圏じゃない?
いえ、次節は土曜にコリセウムにバルサを迎えないといけないヘタフェですから、ここは慎重にいかないといけないんですけどね。ただ万が一、こちらでも大金星を挙げることができたら、マドリーにも少しは希望が見えてくるかもしれません。
そして木曜はエスタディオ・バジェカスに向かった私でしたが、コンフェレンスリーグ呆けで前節はマジョルカに3-0負けをしていたラージョはまた、降格圏と勝ち点2差の16位まで落ちてしまっていてねえ。その上、この日は今季連続出場を続けていたルジューヌとメンディが出場停止でレギュラーCBコンビが使えなかったため、本職ボランチのパテ・シスと若いジョシュアが先発したんですが、それより不安だったのはGKバタジャが完調ではなく、控えGKのカルデナスが1月14日にコパ・デル・レイ16強対決で敗退した時以来の先発となったこと。
でもそれが逆に大当たりで、今年になって、リーガで1勝もしていない相手のエスパニョールは前半、それ程、シュートを撃って来ず、ラージョの方はイシがエリア外から何度も撃って、ことごとく外しているうちにハーフタイムが到来。再開前にゴールネットのサイドに穴が見つかり、カルデナスがテープを使って、自ら修理するという珍しいシーンが見られた後半はイシやアレモンのヘッドで得点が近づいてきた予感がしたんですけどね。何と27分、キケ・ガルシアのエリア内からのシュートがバレンティンの腕に当たり、ペナルティを宣告されてしまったから、さあ大変!
そしたらキケ・ガルシア自身が蹴ったPKをカルデナスが弾いてくれたから、どんなに有難かったことか。その後、ジョシュアがケガしたのを機に36分、長期負傷からとうとう戻って来たムミン、そしてカメージョがピッチに入ったんですが、これも正解だったんですよ。そう、42分、イリアスのスルーパスを受けたカメージョがアル・ヒラリをかわして敵エリアに入ると、パリ五輪決勝でも見せた得意の1対1シュートでGKドミトロビッチを破ってくれたから、平日にも関わらず、バジェカスを満員にしたファンたちがどんなに喜んだことか。
まあ、ロスタイムが6分と長かったのは何ですが、ラージョは1-0で逃げ切れましたからね。この勝利で彼らは一気に11位まで順位が上がり、降格圏とは勝ち点5差に。イニゴ・ペレス監督も「el día de hoy era muy importante/エル・ディア・デ・オイ・エラ・ムイ・インポルタンテ(今日の日はとても重要だった)。日曜のレアル・ソシエダ戦で1部残留達成まであと一歩として、コンフェレンスリーグ準決勝に挑むためにね」と明るい顔で語っていましたが、実はベンチにいたバタジャが抗議でイエローカードをもらい、累積警告に。おかげでそのソシエダ戦もカルデナスがゴールを守ることになったんですが、これでバタジャも木曜のコンフェレンスリーグ準決勝ストラスブール戦1stレグまで調整ができますし、もしやウィンウィンの結果?
何はともあれ、ヨーロッパの大会スペインの最後の生き残り組であるラージョとアトレティコは来週も連戦が続くことになるんですが、この32節、弟分はしっかり両立させている姿を披露。それどころか、弟分2チームでコパ決勝のリベンジをしてくれるのを見ても、兄貴分は何にも思わないんですかね。

