「もう事態はそこまで来たか」そんな風に私が認識を新たにしていたのは月曜日。5月10日のリーガ後半戦クラシコ(伝統の一戦)でバルサの優勝が決まるかもしれないと知った時のことでした。3月のparon(パロン/リーガの停止期間)明け以来、1分け2敗とレアル・マドリーに白星がないのは完全に自己責任なんですけどね。31節を終えて、首位との勝ち点差が9まで開いたため、35節のクラシコまでにその差が変わらなければ、カンプ・ノウで負けたら最後、フリック監督のチームのリーガ2連覇が決まるのだとか。
実際、マドリーの選手たちの目の前で永遠のライバル優勝を祝われるのもファンには噴飯ものでしょうが、もう1つ、嫌な可能性もあって、その前のアラベス、ベティス、エスパニョール戦でマドリーが躓けば、クラシコ前に優勝が決まる可能性もなきにしろあらず。最悪、オサスナ戦で戴冠となった場合、選手入場の時にマドリーはPasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(優勝チームのための花道)を作って祝ってあげないといけないんですが、それもやっぱり嬉しくはないかと。
だからって、2連敗して、優勝時期をもっと早めるというのもどうかと思いますし、とにかく今週はマドリーもバルサもremontada(レモンターダ/逆転劇)が必要なCL準々決勝2ndレグが控えていますからね。ミュンヘンでアルベロア監督のチームがバイエルンを倒して準決勝に進出、バルサはメトロポリターノで敗退なんてことになっても、とてもじゃないけど、マドリーのリーガ逆転優勝はありえないように見えますが、お隣さんの力を借りて、相手をちょっと鬱にすれば、お祝いをクラシコ以降にズラすことぐらいはできたりする?
まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢のリーガの試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。先陣を切ったのは、水曜のバイエルン戦を余裕を持って準備できるようにと配慮されたマドリーで、金曜にジローナをサンティアゴ・ベルナベウで対戦。うーん、やっぱりアルベロア監督も二兎を追う者は一兎をも得ずと思ったんでしょうかね。この試合では、累積警告による出場停止でアリアンツ・アレナのピッチに立てないチュアメニの代理としてカマビンガ、頼れるCBとして、是非ともリュディガーと共にコンビを組んでもらいたいミリトンも負傷から復帰後、初先発することに。
ベリンガムもギュレルに代わってスタメンとなり、同時にリュディガー、カレラス、トレントはベンチ外で温存と、完全にバイエルン戦を意識した人事起用をしていたんですが、でもエムバペとビニシウスは普通にいたんですよ。それが前半は両チーム共、無得点で、後半6分になって、エリア外からのバルベルデ砲が火を噴くと、ようやくマドリーは先制。すると、今節はラ・リーガがJornada retro/ホルナーダ・レトロ(レトロ節)と銘打ち、各チームに過去のビンテージユニ着用を要請(マドリーやラージョ、ヘタフェは不参加)。そのせいで、まるでアトレティコみたいなユニを着ていたジローナのレマル(アトレティコからレンタル移籍)が17分、こちらもエリア前からのシュートで同点にしてしまったから、ビックリしたの何のって。
結局、同点になってからはもうスコアは動かず、試合は1-1で終了。いえ、43分にはエムバペがエリア内でビクトル・レイスのcodazo(コダソ/肘打ち)を額に受け、大出血しながらも、ペナルティを取ってもらえないなんてことはあったんですけどね。でもそれ以前にゴールが入っていないことの方が問題で、ええ、ヒザの負傷から復帰したエムバペもそれ以前の量産型には戻れず、ここ5試合、バイエルン戦1stレグで1本決めただけですしね。マジョルカやジローナに勝てないマドリーが、この週末にもブンデスリーガ優勝が決まりそうなバイエルンを相手に1-2負けの結果を引っくり返せるかは疑問かと。
それとも、アルベロア監督は「Hasta el último día hay que pelear/アスタ・エル・ウルティモ・ディア・アイ・ケ・ペレアル(最後の日まで戦わないといけない)」と言っていたものの、これでリーガが絶対的に絶望的となったのをバネに、得意の大会でのレモンターダ、更には優勝へと突き進むことになる?何にしても水曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのバイエルン戦までは時間があるため、ジローナ戦にフル出場したエムバペ、ビニシウス、バルベルデらも体力的には心配なし。ここでマドリーが敗退すると、来季のCL出場権が4位までになる可能性もあるため、とにかくいい結果を出してくれることを私も祈っています。
え、それって、5位にも貰えないと、アトレティコが困るかもしれないからかって?いやまあ、現在、4位の彼らは5位のベティスとは勝ち点11差もあるため、あくまで万が一のためなんですけどね。そう、翌土曜の昼間は暖かくなり、快適に過ごせるブタルケへ行って、レガネスがコパ・デル・レイ16強対決でマドリーを破ったアルバセテに後半、ファン・クルスとミジャンのコンビプレーのゴールで2-1と逆転勝利する姿を堪能。これで降格圏から勝ち点8と残留確定には近づいたものの、昇格争いには縁がないのを嘆いていた私だったんですが、まさか家に帰って、またしても三兎は絶対追えないと腹を括ったアトレティコの姿を見せつけられることになるとは!
うーん、各国代表戦週間を挟んで、すでにマドリーとバルサに2連敗していた彼らなんですけどね。その日のセビージャ戦はいよいよ、CL準々決勝2ndレグとコパ決勝の前哨戦とあって、控え選手中心のBチーム出動どころか、スタメンに4人もカンテラーノ(下部組織の選手)が入っていたんですよ。それこそ守備ラインなんて、バルサ戦に出場停止のプビル以外、アトレティコ・マドリレーニョの選手という有様でねえ。おまけにアルメイダ監督を継いだルイス・ガルシア新監督も3人、セビージャ・アトレティコ(Bチーム)の選手を入れてきたため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況など、RFEF1部(実質3部)対決なんて揶揄していたくらいだったんですが、開始7分には早速、やらかしてくれたんです。
エリア内でダニエル・マルティネスがイサークを蹴り、PKを献上してしまったからで、おかげでアダムスのゴールでセビージャが先制。でも同点にしてくれたのも2人のカンテラーノだったんですよ。そう、中盤のメンドーサとバルガスはカンテラーノたちとあまり変わりない年齢で、バエナとアルマダもどうして、スペイン、アルゼンチン代表の常連であるのかの理由をその日も示してくれず。セルロートなど、誰からもラストパスをもらえなくて絶望していた35分、左SBのフリオ・ロメがエリア内奥から上げたクロスを右SBのボニャルがヘッドして、デビュー戦初ゴールをゲットしているって、ちょっと先輩たち、何か言うことはない?
でもねえ、後で当人も「Es una jugada que hacemos mucho en los entrenamientos/エス・ウナ・フガダ・ヶ・アセモス・ムーチョ・エン・ロス・エントレナミエントス(あれは練習でよくやるプレーなんだ)」と言っていたんですが、フェルナンド・トーレス監督の教え子たちもやるもんだと私が感心していたのもほんの束の間。前半ロスタイムにはバルガスの蹴ったCKをバエナが目を離したグデリがヘッドで決め、またリードされてしまうとは、まったく情けないっちゃありませんって。
そのまま2-1で後半が始まったんですが、「Nosotros tenemos un plan/ノソトロス・テネモス・ウン・プラン(ウチにはプランがある)。いい目も悪い目も出ることがあるが、変えることはしない」というシメオネ監督は選手交代でもカンテラーノを2人使い、あとはルックマンが26分に入っただけに留まることに。主力を使ってまで同点を求めることはせず、フリアン・アルバレス、グリーズマン、ジョレンテらがベンチ見学を続ける中、とうとうリーガ3連敗となってしまいましたっけ(最終結果2-1)。
直前の試合でバルサがエスパニョールとのカタルーニャダービーに4-1で勝利していたせいで、これでとうとうアトレティコと首位の差は勝ち点22という凄いことになってしまったんですが、まあ、5位のベティスと6位のセルタもヨーロッパリーグ準々決勝があるため、リーガが疎かになっていますからね。むしろ、準々決勝2ndレグ直前なのにフリック監督がジャマルやペドリを休ませることをせず、リーガ優勝を決めに行ってくれたことに感謝した方がいい?
ちなみにアトレティコには朗報もあって、カルドーソが日曜から練習に合流したんですが、CBコンビがル・ノルマンとラングレっていうのはちょっと怖いかも。GKオブラクが先発に戻るかも当人のフィーリング次第と言われていますが、1カ月のブランクを考えると、ムッソのままの方が無難?バリオスとバルサ戦1stレグで捻挫したハンツコは、土曜にアラベスと3-3で分けた試合で久保建英選手が戻って来たレアル・ソシエダとのコパ決勝での復帰が目標のようです。
一方、バルサも決戦前日の月曜には、ええ、コパ準決勝1stレグではメトロポリターノの悪いピッチ状態に影響され、4-0の大敗を喫していましたからね。まあ、リーガ前節でも来たんですが、今度は同じ轍を踏まじと、珍しくスタジアム前日練習を決行。私も見学に行ったところ、一見、荒れているところはなさそうでしたが、果たして火曜午後9時からのメトロポリターノでの一戦で、アトレティコは0-2先勝の結果を守ることができるのでしょうか。
そして日曜、最悪のヨーロッパ呆けを見せてしまったのが弟分のラージョで、ええ、先週はコンフェレンスリーグ準々決勝AEK戦1stレグにホームで3-0と先勝し、この木曜のアテネでの2ndレグは無難にこなせばいいだけになっていたんですけどね。イニゴ・ペレス監督がスタメンをローテしたせいもあったか、マジョルカとのアウェイ戦では前半36分にCKからムリキのvolea(ボレア/ボレーシュート)で先制されると、40分にもルブンボのアシストでムリキにdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を許してしまうことに。
慌てて後半頭から、デ・フルートスとパテ・シスを入れたものの、うーん、デミチェリス監督が引き継いだ相手は降格圏にいて、前節も死に物狂いでムリキが後半ロスタイムに勝ち越し点を挙げ、兄貴分のマドリーを破っていましたからね。後半20分にもFKからのボールを途中出場のビルヒルにフリーで押し込まれ、ラージョも3-0で負けてしまうって、あまりにハイルとジキドじゃない?いやあ、イニゴ・ペレス監督も「コンフェレンスリーグ敗退となって、リーガ残留ができるのなら、そっちを選ぶ」と言っていたんですが、何せ、これでまた、彼らは降格圏と勝ち点3差になってしまいましたからね。
といっても、せっかくクラブのヨーロッパの大会記録を書き換える機会を逃すのも惜しいですし、今週末はコパ決勝があるため、他の無関係な17チーム同様、ラージョも来週木曜のエスパニョール戦まで試合はなし。その間に気合を入れて、最終節のガラガラドボンに巻き込まれない位置まで上がってくれればいいんですが、続いてコンフェレンスリーグ準決勝マインツorストラスブール戦が来るとなると、やっぱりリーガに集中するのは難しいかもしれません。
そしてもう1つの弟分ヘタフェは月曜にシュタット・デ・バレンシアでレバンテと対戦したんですが、いやあ、こちらはマドリッド勢で唯一、ミッドウィークフリーだったんですけどね。やっぱり前節で勝ち点41まで貯まってしまったせいでしょうか、もちろん、降格圏にいる相手の方が執念があったというのもあるんですが、ベンチ入り禁止処分中のボルダラス監督とカレロ監督がプレスボックスで観戦する中、試合は後半38分まで0-0と停滞。
それでも勝ち点が42になれば、ヘタフェは満足だったんですが、いきなりマヌエル・サンチェスのクロスを稼ぎ頭の21才のFW、エスピにヘッドで決められて、1-0で負けてしまうとはこれ如何に。それどころか、GKダビド・ソリアが2本のPKを止めてくれなければ、もっと大差になっていたかもしれません。うーん、さすがに残りが8試合ともなると、降格圏界隈のチームの必死度も増してきて、ええ、今節はエルチェ、セビージャ、マジョルカ、オビエド、そしてレバンテと、レアル・ソシエダと3-3で引き分けたアラベス以外、15位から下のチームが揃って勝利。ヘタフェも今回は悪い相手に当たったと思って、来週水曜のコパ戴冠祝い疲れか、失意の準優勝のソシエダとの試合で挽回するしかありませんが、どちらにしても相手はビッグマッチを戦ってきた後だけに、ボルダラス監督のチームに有利に働くんじゃないでしょうか。

