シーズンの命運がこの2週間で決まる…/原ゆみこのマドリッド

「せめて準決勝まではマドリッドでCLが見られたらいいんだけど」そんな風に私が心をザワザワさせていたのは月曜日、未だに週末の再開リーガの余韻も消えないというのに、世間がすでにCLモードになっているのに気がついた時のことでした。いやあ、準々決勝1stレグでは、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)にレアル・マドリーがサンティアゴ・ベルナベウでバイエルン戦、アトレティコは水曜午後9時にカンプ・ノウでバルサ戦となるんですけどね。すでに結末の見え始めたリーガとは違い、ゼロからの対戦となる2つのカードの行方はまったくわからず。

更には木曜午後6時45分(日本時間翌午前1時45分)にラージョのコンフェレンスリーグ準々決勝AEK戦1stレグも控えているんですが、何せ、決勝トーナメントは敗退したら、そこで終わりですからね。来週土曜にはカルトゥーハでの決勝アトレティコvsレアル・ソシエダ戦でコパ・デル・レイも片がつきますし、CLがマドリッドから消えたら、あとは5月24日の週末まで続くリーガで、ヘタフェが来季ヨーロッパの大会に出場できるかどうかぐらいしか楽しみがないって、ちょっと寂しすぎじゃない?

まあ、そんなことはともかく、先週末の30節のマドリッド勢がどうだったか、報告していくことにすると。実はそれが兄貴分、弟分で真逆の結果が出てしまったんですよ。そう、金曜にラージョがエスタディオ・バジェカスにエルチェを迎えて先陣を切ったんですが、序盤から、互いに何度もシュートを撃って活発な展開だった割に、とにかくゴールが決まらなくてねえ。

ローテーションはむしろ、コンフェレンスリーグの方でしているイニゴ・ペレス監督のチームだったんですが、3月のスペイン代表戦ではデ・ラ・フエンテ監督からお声が掛からず、休養十分だったデ・フルートスがエリアを飛び出してきたGKディトゥロをかわして撃ったシュートも敵DFがカット。だんだんスタンドもフラストレーションを溜めていったんですが、何と39分、ビガスが2枚目のイエローカードをもらい、エルチェが10人になってくれたんです!

といっても結局、イニゴ・ペレス監督も「por lo que jugar contra diez no es una gran ventaja/ポル・ロ・ケ・フガール・コントラ・ディエス・ノー・エス・ウナ・グラン・ベンタハ(10人相手にプレーするのはそんなに大きなアドバンテージではない)」と言っていたように、ゴールは後半20分にバレンティンとイシが下がり、パブロ・ディアスとエヌテカが入るまで待たされることに。29分、アルバロ・ガルシアのラストパスをエヌテカがゴール前で軌道を変えて入った1点だけだったんですが、1-0でも勝利は勝利ですかね。

これで降格圏から勝ち点6離れたラージョは心置きなくコンフェレンスリーグに没頭できることになったんですが、ええ、彼らがこれまで唯一出場したヨーロッパの大会、2000-01シーズンのUEFAカップでは準々決勝でアラベスに負けていますからね。このAEK戦を勝ち抜けば、クラブ史を書き換えることができますし、とりわけ、ここまでハンガリー、イエーデボリ、ブラスチラバ、ポーランド、トルコとマイナーな地への応援旅行だったのが、来週はアテネ。これはファンも嬉しいんじゃないかと思いますが、準決勝ではドイツのマインツかフランスのストラスブールに行けるっていうのも魅力的ですよね。

そしてもう1つの弟分、ヘタフェは日曜にアスレティックをコリセウムに迎えたんですが、いやあ、こんなに冬の選手補強が当たったチーム、見たことありませんって。というのも前半14分にはボッセリ(リーベル・プレートからレンタル)のクロスをサトリアーノ(オリンピック・リヨンからレンタルで来て、先週に完全移籍)がヘッドで叩きつけたボールはGKウナイ・シモンに弾かれてしまったものの、こぼれ球を再度シュート。それがルイス・バスケス(アンデルレヒトからレンタル)に触れてゴールに入ったため、得点者はこちらになることに。

恥骨炎が治ったニコ・ウィリアムスが入った後半もヘタフェはゲームを上手くコントロールし、ええ、45分にはマリオ・マルティンのラストパスをまたサトリアーノが決めてくれましね。2-0で勝って、勝ち点41の残留確定ラインに到達し、来季はコンフェレンスリーグ出場権が回ってくる確率の高い8位をキープしたんですが、前節エスパニョール戦の退席処分でプレス用ボックス観戦をしていたボルダラス監督は何より、名門にアスレティックに勝てたことが嬉しかったよう。

「相手は今季CLに出ていて、目標は来季もヨーロッパの大会をプレーすること。Hemos conseguido ganarles en San Mamés y aquí/エモス・コンセギードー・ガナールレス・エン・サン・マメス・イ・アキー(ウチはその彼らからサン・マメスとここで勝利を手に入れた)」と胸を張っていたんですが、うーん、来週月曜の次の相手も降格圏にいるレバンテですからね。ここしばらくはヘタフェの快進撃が続いてもおかしくはありませんよ。

え、それより暗黒の土曜試合のことが知りたいって?そうですね、先にプレーしたのはマドリーで、サマナ・サンタ(イースター週間)の観光客で賑わうマジョルカ島での試合だったんですが、各国代表戦での疲労に配慮して、アルベロア監督はビニシウス(ブラジル)とピタルチ(スペインU19)をベンチスタートに。代わりにいよいよエムバペが先発に復帰し、マドリーダービーで退場したバルベルデが出場停止の中盤には別のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)、アンヘルとカマビンガを入れたんですが、何せ、この日は敵のGKレオ・ロマンが冴えまくっていてねえ。

エムバペの2度のシュートもギュレルのvolea(ボレア/ボレーシュート)もparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、なかなかゴールを見ることができなかったんですが、それがまさか、前半41分にはカマビンガの油断から、マッフェオのクロスをモルラネスに決められてしまったから、さあ大変!後半もエムバペのシュートをマッフェオの顔面クリアで防がれてしまったマドリーは14分、カマビンガ、アンヘル、ハイセンをビニシウス、ベリンガム、ミリトンにする3人一斉交代を行ったものの、一向に点を取れる気配がしないって、え?マジョルカって降格圏にいるチームじゃなかった?

ただそれでもギリギリ、43分にはトレントの蹴ったCKをミリトンが頭で決めて、得意のremontada(レモンターダ/逆転劇)が始まるのかと思いきや、いや、とんでもない。ロスタイム1分に敵のゴールキックから始まったプレーで守備に戻るのが遅れ、マテオ・ジョセフのラストパスをムリキに決められて、2-1でマジョルカに負けてしまうとはこれ如何に。Paron(パロン/リーガの停止期間)直前のエルチェ戦では後半ロスタイムに同点となるはずだったPKに失敗、各国代表戦週間でもプレーオフ決勝でトルコに負け、母国を悲願のW杯初出場に導けなかったコソボ人大型FWがピッチで涙していたのは感動的だったもの、もしやマドリー、お隣さんが援護射撃をしてくれるとでも?

うーん、アルベロア監督は「難しいのは、200%の力でプレーしないと今日は勝てないと選手たちに理解させることだった」と何か、アウェイでダメダメの試合をした後のどこぞのチームの選手たちの言い訳みたいなことを口にしていたんですけどね。問題はエムバペがヒザを痛めてリハビリ中だった5試合には5連勝していたマドリーだったのに、当人が先発復帰した途端、負けてしまったことで、いえ、以前のようなゴール量産型エムバペであれば、誰からも文句は出ないはずですよ。

それがまったくシュートが決まらず、イングランド代表の2試合でまったくプレーしなかったベリンガムも途中出場したものの、相変わらず、とりとめなく、かといって、ネームバリューを考えれば、使わない選択はできずと、アルベロア監督も悩みが多そうですが、逆にむしろこれで、土曜夜には首位バルサと勝ち点7差になったリーガときっぱりお別れして、CL特化モードに入れる?

といっても直近4度の決勝トーナメントでの対決でマドリーが勝っているとはいえ、相手のバイエルンはブンデスリーガ優勝が秒読み段階、CL16強対決ではアタランタを総合スコア10-2で下していますからね。どうやら、昨季コンパニ監督が率いるようになってから、1試合平均4点近くも挙げているそうで、ハリー・ケインの足首も回復したチームに、果たしてマドリーが撃ち勝てるものかどうか。今は私もただ、ベルナベウのCLマジックが起きるのを祈るばかりです。

そして土曜の夜はメトロポリターノにバルサ祭り最初の試合を見に行ったんですが、いやあ、すでに首位とは勝ち点16差のアトレティコとはいえ、あそこまでなりふり構わず、スタメンローテをしてくるシメオネ監督には逆に感嘆してしまう程。もちろん、ジョレンテの出場停止処分やカルドーソ、バリオスの負傷などもあったんですが、フリアン・アルバレスもルックマンも、更にはスロバキア代表の2試合にフル出場してきたハンツコもベンチスタートと、いえ、フリック監督もレバンドフスキとフェラン・トーレスを温存して、オルモのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)で来たんですけどね。

ただ前半、もちろんよく撃ってきたのはバルサだったんですが、GKムッソは持ち堪え、それどころか、グリーズマンに絶好機が2度も訪れたりもしたんですが、どちらもゴールにならなかったのは大後悔。それでも前半39分、バルサの高い守備ラインの裏を取るラングレからのロングボールをジュリアーノが受け、先制点を挙げたアトレティコだったんですけどね。まさかアラウホが負傷でベルナルに代わった直後の42分、ラッシュフォードとオルモの連携であっという間に同点にされてしまってはまったくもって、意味なかったかと。

すると前半ロスタイム、ローテの綻びが顕現し、ええ、やっぱりジャマルを左SBもできるというだけで、本職でないニコ・ゴンサレスに任したのは失敗でしたよね。22分に空中のボールを両手で触るという謎のファールでイエローカードをもらっていた彼が、エリア内に入ろうとするジャマルに乱暴なタックルをかけて、2枚目をもらっているんですから、困ったもんじゃないですか。何故か、それがVAR(ビデオ審判)のモニターチェックで一発レッドに変わったって、後半のアトレティコが1人少ないチームで戦うのは変わりありませんって。

え、コケに代えて、ここ2週間、マハダオンダ(マドリッド近郊)でじっくり練習をしていたルッジェーリが入った後半、始まってすぐにバルサのジェラール・マルティンもレッドカードを出されていなかったかって?いやあ、それがひどい話で、またVARモニターチェックをした主審は、彼がアルマダの足にスパイクを立てたのはボールを蹴った後だったとして、イエローにチェンジ。これには数節前のベティスvsラージョ戦でラティウを蹴ったバレンティンのプレーは危険だったため、イエローではなく、レッドが正しいという見解を審判協会が後付けで出していたため、アトレティコサイドも猛抗議をしたものの、判定は覆りませんでしたっけ。

それでも1-1で耐えていた彼らでしたが、どうやら神様はこの試合でもW杯予選プレーオフ決勝敗者に慰めを与えることにしたよう。そう、大詰めだった42分、カンセロのシュートをムッソが弾いたボールが途中出場のポーランド人CF、レバンドフスキの胸に当たり、勝ち越しゴールになってしまうとは、どこまでアトレティコは運が悪い(最終結果1-2)?うーん、結局、フリアンもルックマンも出ませんでしたし、大体がして、カンプ・ノウでは今季はリーガでも、コパ準決勝2ndレグでも3点取られて負けているため、水曜のCL1stレグは守りに行くんですよ。

となれば、10人になってもカウンターのチャンスはあったため、アタッカー温存に意味があったのか疑問なところですが、実は月曜には朗報もあって、とうとうGKオブラク、プビル、メンドーサがチーム練習に合流。ええ、ムッソも沢山セーブはしてくれるんですが、ここ4試合で勝てたのは零封したヘタフェ戦だけですからね。バリオスとカルドーソはまだですが、ジョレンテも戻ってくるため、2ndレグに希望が持てる試合をしてくれるんじゃないかとは思いますが…何か本当にカンプ・ノウって、ここ20年ぐらい、アトレティコが勝った記憶がないんですよね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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