「とにかくもう、マドリッド勢の選手にケガ人さえ出なければいいわ」そんな風に私が呟いていたのは日曜日、久々に試合のない週末をのんびり過ごしていた時のことでした。いやあ、フィナリッシマ(ユーロ王者とコパ・アメリカ王者の対戦)がポシャッた後、スペインは3月の代表戦を親善2試合に変更。ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会本部での公開練習もなかったため、あまり気が入らなかったというのもあるんですけどね。
そんな中、木曜にアメリカで行われたブラジルvsフランスの親善試合でラフィーニャ(バルサ)が太ももを負傷、全治1カ月半となったと聞いた日には、paron(パロン/リーガの停止期間)明けにバルサ祭りを控えるアトレティコにとっては有難いタイミングだと思った私は不謹慎?それが、同僚のビニシウスもその試合でヒザを痛め、日曜のクロアチア戦に出るか出ないか、練習を控えて様子見となれば、アルベロア監督も気が気ではないかと。
逆にブラジル相手に見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で先制ゴールを挙げ、フランスを1-2の勝利に導いたエムバペは順調に実戦の勘を取り戻しつつあるようで、ええ、同伴しているチュアメニとカマビンガにも異常があったという報はありませんからね。日曜のコロンビア戦(1-3でフランスが勝利)では、デシャン監督がW杯を見据えたお試し人事をしたため、3人共、あまり酷使はされずにマドリッドに戻って来ることになって良かったかと。
一方、アトレティコでは6人の大量派遣をしているアルゼンチン代表の様子が気になるところで、金曜のフィナリッシマ代替親善モーリタニア戦(2-1で勝利)ではフリアン・アルバレス、アルマダ、モリーナ、ニコ・ゴンザレスが出場したものの、皆、ハーフ程度をプレーしたに留まることに。ただ、てっきり私もこれでもう帰って来るのだろうと思っていたところ、実は後付けで日曜に同じブエノス・アイレスのボンボネラ(ボカ・ジュニアーズのホーム)でザンビア戦が入っており、いえまあ、スカローニ監督もローテ人事を採用すると思いますけどね。
二桁台の選手を各国代表に出向させているマドリッドの兄貴分チームとしては、これからシーズンの佳境を迎えることもあって、心配の種は尽きないんですが、とりあえず、W杯予選プレーオフ準決勝でコソボに負けたアトレティコのハンツコ(スロバキア)、それにトルコに負けた弟分ラージョのラティウ(ルーマニア)は予定外の早期帰還をすることに。その分、決勝でコソボと戦わないといけないレアル・マドリーのギュレル(トルコ)や、ラージョのバリウが出場しなかったアルバニアを下したポーランドがスウェーデンと出場権を争う、バルサのレバンドフスキは火曜まで代表から離れられず。結果次第で当人たちの士気も変わりそうですが、果たしてどうなるんでしょうか。
まあ、そんなことはともかく、金曜に新作の若干、学校の体操着めいたデザインの白の第2ユニでセルビア戦をプレーしたスペインがどうだったか、お伝えしていくことにすると。実はこちら、中東の軍事情勢悪化により、フィナリッシマのキャンセルと同時に、それと平行して予定されていたカタール・フットボール・フェスティバルでのサウジアラビアvsセルビア戦も中止に。そこで現役時代、アトレティコやヘタフェなど、リーガの複数チームでプレーし、昨年の10月までオビエドを指揮していたパウノビッチ監督がスペインでの人脈を利用して、申し込んできたんですが、何せセルビアはW杯予選プレーオフにも届かなったチームですからね。
6月1日にはFIFAにW杯用26人の招集リストを出さないといけないスペインのデ・ラ・フエンテ監督は、何せ丁度、今はミケル・メリーノ(アーセナル)、ファビアン(PSG)、ニコ・ウィリアムス(アスレティック)、カルバハル(マドリー)らのユーロ2024優勝メンバーが絶賛リハビリ中、もしくは回復後の実戦不足により、招集できませんからね。おかげで4人目のGKジョアン・ガルシア(バルサ)も含め、モスケラ(アーセナル)、バレネチェア(レアル・ソシエダ)、ビクトル・ムニョス(オサスナ)ら初招集3人、ロドリ(マンチェスター・シティ)、カルロス・ソレル(レアル・ソシエダ)の再招集と一味違ったリストとなったんですが、ラ・セラミカ(ビジャレアルのホーム)での先発はお馴染みの顔ぶれで行くことに。
一番興味が持たれていたGKもウナイ・シモン(アスレティック)で、ジョアン・ガルシアがベンチ外観戦となったんですが、え?2年前のユーロでは直前合宿で足きりされていたジョレンテ(アトレティコ)がここのところ、スペインの右SBとして定着しているのは喜ばしくないかって?そうですね、直前の本家マドリーダービーではシュートを撃った後、カルバハルの猛タックルを受けながら、ペナルティを取ってもらえず、物議を醸したのはともかく、かろうじてケガを免れた彼はこの日もスーパーアクティブ。
親善試合であることなど、すっかり忘れたように走り回っていたため、年明けからずっと続いた週2試合ペースの疲労は残っていないのだろうかと、目を瞠ることに。ええ、これにはユーロ前、「複数のポジションがこなせる彼の特性は必要ではない」と言っていたデ・ラ・フエンテ監督さえ、「完璧な選手だ。サッカーの展開をよく理解していて、それも幾つものポジションで。Nos da profundidad, seguridad, estabilidad defensiva/ノス・ダ・プロフンディダッド、セグリダッド、エスタビリダット・デフェンシバ(ウチに厚み、安心感、守備の安定をもたらしてくれる)」とまで言っていたんですが、いやあ。
一方、アトレティコではレギュラーではないにも関わらず、リスト落ちしたル・ノルマンと違い、デ・ラ・フエンテ監督の絶対の信頼を受けているようなバエナは相変わらず、精度が悪くてねえ。16分に先制点が決まる前、スペインの最初のシュート2本を外していましたが、フェルミン(バルサ)のラストパスはバエナが賢くスルーして、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)が撃ち込んでくれたから、一安心。
その後もセルビア側からの反撃はほとんどなく、スペインはジャマル(バルサ)のシュートがゴールポストに弾かれたり、フェルミンが敵DFをかわして決めたゴールがオフサイドで認められないなんてこともあったものの、やっぱりこのチームのゴールマスターはオジャルサバルなんですよ。43分にはクバルシ(バルサ)が放ったロングボールを受け、エリア外からのシュートを決め、2点目も取ってくれたからで、これで彼、スペインのここ10試合で11得点6アシストって、凄くない?
実際、ユーロ決勝もオジャルサバルの決勝ゴールのおかげで、イングランドに勝ったんですが、昨夏のネーションズリーグ・ファイナルフォー決勝ポルトガル戦のPK戦でスペイン最後のPKに失敗し、2連覇を阻んだモラタ(コモ)が9月以降、招集されなくなってから、どんどん当人のCF力に磨きがかかってきたのは否定できないところ。ただ、それは割と代表限定で、ソシエダの方では今季31試合で14得点とそこそこのため、4月18日にコパ・デル・レイ決勝で顔を合わすアトレティコもそこまで怯える必要はないかと。
そして試合は2-0で折り返したんですが、公式戦と違い、交代が8人まで認められていたため、後半はどちらもチームも積極的に選手を入れ替え。ペドリ(バルサ)とフェルミンがハーフでお役御免となり、オルモ(バルサ)とフォルナルス(ベティス)が入ったのを皮切りに17分にはジャマル、オジャルサバルも下がり、フェラン・トーレス(バルサ)と共にビクトル・ムニョスが入って、A代表デビューを果たすことに。いやあ、それが27分にはオルモのスルーパスをエリア内で受けたフェランがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でボールを折り返すと、それをビクトル・ムニョスがゴールにしてしまったから、ビックリしたの何のって。
え、オサスナの選手が代表に呼ばれるのも珍しいけど、デビュー戦でいきなり得点した彼は一体、何者なのかって?いやあ、この22才のFWは今季、RMカスティージャから移籍したばかりで、実は昨季の5月にはアンチェロッティ監督の下、マドリーのトップチームでもデビュー済みなんですけどね。それがモンジュイックでのクラシコ(伝統の一戦)で、4-3とリードされていたチームを同点に導くシュートチャンスを外してしまったため、ファンの批判が殺到。自身のSNSを閉めることになったという逸話があるんですが、今季はすでに31試合出場で6得点を記録しているんですよ。
それで昨年9、10、11月に3連続代表戦招集を果たしたデ・フルートス(ラージョ)を蹴落として、今回、お声が掛かったんですが、これもニコが治ってくれば、W杯にも行けるかどうかは微妙かと。何はともあれ、そのまま試合は3-0でスペインが完勝したんですが、「Por lo que veo, España está a otro nivel. Lo tiene todo para ser favorita/ポル・ロ・ケ・ベオ、エスパーニャ・エスタ・ア・オトロ・ニベル。ロ・ティエネ・トードー・パラ・セル・ファボリータ(自分が見たところ、スペインは別のレベルにある。優勝候補となるための全てを持っている)」というパウノビッチ監督の言葉で慢心する訳にはいかず。
というのも火曜午後9時(日本時間翌午前4時)、次の親善試合の相手はW杯出場組のエジプトで、いえ、今回、サラー(リバプール)はケガでいないんですけどね。金曜にはサウジアラビアに0-4とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)していましたし、デ・ラ・フエンテ監督もシーズンのこの時期に同じ選手ばかり使って、クラブに睨まれるのは避けたいはずなので、おそらくRCDEスタジアム(エスパニョールのホーム)ではrotacion masiva(ロタシオン・マシバ/大規模ローテ)が見込まれる予想。いよいよ、昨季までの古巣でジョアン・ガルシアの代表デビューが果たされるのかが注目されますが、日曜にはスビメンディ(アーセナル)が膝の痛みで代表離脱したため、アレイチェ・ガルシア(レバークーゼン)がいない今回、ロドリはちょっと多めに働くことになるかもしれませんね。
そして週末のお休みが来るまで、マドリッド勢は何をしていたかというと。いやあ、13人の各国代表選手が抜けたマドリーはケガ人も多いため、トップチームの選手で練習できたのはトレント、カルバハル、フラン・ガルシアの3人だけ。もちろん、こちらもスペインU18、U19、U21にかなりの数が駆り出されているRMカスティージャとの合同セッションだったんですけどね。復帰が近いミリトン、アセンシオ、メンディは来週ぐらいにはぼちぼち合流するはずですが、来週土曜のマジョルカ戦、そしてCL準々決勝バイエルン戦に雪崩れ込むチームの準備を始められるのは木曜以降になるかと。
一方、アトレティコも14人が各国代表に行き、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にはコケ、グリーズマン、ル・ノルマン、ラングレ、ルッジェーリしかおらず。それでアトレティコ・マドリレーニョ(アトレティコBが名称改変)とセッションをしていたんですが、何とシメオネ監督までいなくてねえ。どうやら昨年亡くなったお父様の1周忌のため、アルゼンチンに帰国してしまったようですが、こちらもリハビリ最終段階のGKオブラク、バリオス、メンドーサの3人がそろそろ来週頃には戻ってこれそうだとか。
ええ、アトレティコも土曜のバルサ戦から、CL準々決勝バルサ戦1stレグ、セビージャ、同2ndレグ、コパ決勝とまた、ハードな週2試合生活が始まりますからね。それだけに出向組にはなるたけ早く戻ってほしいものですが、対照的に弟分チームたちは、金曜にエルチェ戦を控えるラージョはラティウ、バリウに加え、パテ・シスとメンディがフランスで親善試合をしているセネガルに呼ばれただけ。日曜のアスレティック戦から稼働するヘタフェもジェネ(トーゴ)、マリオ・マルティン(スペインU21)、スペイン戦で先発に入っていたビルマ(セルビア)だけと、イニゴ・ペレス監督、ボルダラス監督にはじっくり選手たちを鍛える時間があるのはちょっと、羨ましいですよね。

