マドリッドでヨーロッパの大会をまた見られる…/原ゆみこのマドリッド

「4月なら今季が終わってもまだマシかな」そんな風に私が冷静でいようと努めていたのは金曜日、もちろん、3月の各国代表戦週間入り前にある日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からの本家マドリーダービーも気になるところではあるものの、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのアトレティコはバルサ祭りとなることに気がついた時のことでした。いやあ、すでにコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1st、2ndレグの間にCL16強対決進出プレーオフのクラブ・ブルージュ戦の2試合が入った2月には、彼らの今季はもう終わってしまうのかもしれないと恐れていた自分だったんですけどね。

あにはからんや、メトロポリターノで4-0というgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)でバルサに先勝した後、天敵ブルージュにも鬼門のアウェイでの1stレグでは3-3で分けたものの、得意のホームで4-1と完勝。しっかりCL16強対決の切符を掴むと、カンプ・ノウでは3-0まで追い詰められながらも、逃げ切ってコパ決勝に進出することに。3月にはトッテナムを倒すことができたため、4月のCL準々決勝を戦えるんですが、その相手がバルサというのは、これまた一体、どういう因縁?

実際、過去のクラシコ祭りなどを振り返っても、そういう時は大抵、リーガでの対戦も巡ってきて、ええ、4月は4日(土)にメトロポリターノで30節のバルサ戦、8日(水)にカンプ・ノウでCL準々決勝1stレグ、14日(火)にホームでの2ndレグとなるんですが、絶対、フリック監督のチームはコパ準決勝のリベンジに燃えているはずですからね。更にアトレティコにはその直後、18日(土)にカルトゥーハでのコパ決勝レアル・ソシエダ戦が控えているとなれば、まさに今季の全てを決める月が来たと言っても過言でないかと。

え、そんな先のことより、今はミッドウィークのヨーロッパの大会でのマドリッド勢がどうだったのかを知りたいって?そうですね、CL、EL、コンファレンスリーグの16強対決2ndレグが開催された今週はまず、火曜にレアル・マドリーがエティハド・スタジアムでマンチェスター・シティとの2ndレグだったため、私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にキックオフ45分前に乗り込んで席を確保することに。ええ、先週のベルナベウでは3-0と余裕の勝利だったにも関わらず、やはり人気のカード。試合開始が近づくにつれ、お客さんがどんどん増え、ギリギリに来た人は立ち見だったぐらいですから、用心に勝るものはありませんって。

肝心の試合の方は、始まってすぐ、GKクルトワがチェリキやロドリのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防ぎ、早い時間から得点して、remontada(レモンターダ/逆転劇)に繋げるというグァルディオラ監督の計画を妨げていたんですが、誰もが予想もしなかった事態が発生したのは17分のこと。そう、1stレグではバルベルデのハットトリックでお株を奪われていたビニシウスのシュートがゴールポストに弾かれた後、ブライムの回収したボールを今度は反対サイドから、また彼が撃ったところ、GKドンナルンマの前で右ポストを守っていたベルナルド・シウバがクリア。それが何と、肘を使ってだったんですよ!

直後に線審の旗が上がったため、「Mano!(マノ/ハンド)」と口々に叫んでいた店内のファンたちもオフサイドだったのかとがっかりしていたんですが、大丈夫。主審にVAR(ビデオ審判)通信が入り、モニターチェックに行ったところ、オフサイドは間違いで、ベルナルド・シウバは意図的に腕でゴールを防いだとレッドカードを出されて退場、そしてマドリーはPKをもらえるって、こんな幸運なことがあっていい?

キッカーは1stレグでドンナルンマに止められていたビニシウスがリピートしたんですが、当人によると、実は先日もその日も最初はバルベルデに譲ろうとしたのだとか。それが、相手は「Pero me ha dado toda la confianza como un capitán debe/ペロ・メ・ア・ダードー・トーダ・ラ・コンフィアンサ・コモ・ウン・カピタン・デベ(でもキャプテンとしてあるべき全ての信頼をボクにくれた)」(ビニシウス)そうで、自分で蹴ったところ、今度はしっかりゴールをゲット。これでもう4点差となれば、1人少ないマンCは白旗を挙げてもおかしくなかったんですが…。

その後も何本かのセーブをクルトワに強いた彼らはとうとう41分、ドクが左から入れたクロスがトレントに当たり、ゴール前に流れたボールをハーランドが決めて、1点を返すことに成功。1-1でハーフタイムに入った後、ピッチに出て来たのがGKルニンだったのには驚かされましたが、彼も3度程、いいセーブを見せるなど、マンCに追加点を許さなかったのは朗報かと。というのも、その日は筋肉痛と伝えられたクルトワの交代理由が検査の結果、全治1カ月半の太ももの負傷と判明したから。

ベルギー人GKがヒザの靭帯断裂をした2年前のシーズン、リーガ、CLの2冠達成を果たしたチームで立派に代理を務めたルニンだけに、何か今季もまた決勝直前にクルトワが戻って来て、いいとこ取りされてしまいそうなのはあれですが、試合の方はその後、ドクとアイト=ヌーリがゴールを決めたものの、どちらもオフサイドで認められず。それどころか、後半ロスタイムにはチュアメニのラストパスから、ビニシウスが2本目のゴールを挙げ、最後は1-2で勝っている辺り、いかにもCLフェチのマドリーらしいんですが、マンCも以前程、強くなかった気がしたのは私だけではない?

いえ、グァルディオラ監督は「No sé qué hubiese pasado once contra once/ノー・セ・ケ・ウビエセ・パサードー・オンセ・コントラ・オンセ(11人対11人だったら、何が起きたかはわからない)」と言っていたんですけどね。総合スコア1-5という大差がついてしまったのは、1stレグの時、彼がFWを4人もスタメンに並べた戦術ミスのせいもあるんですが、この2ndレグでは、前日を練習休みにするという不可解なこともしていましたしね。

逆にアルベロア監督の方は18才のカンテラーノ(下部組織の選手)、ティアゴ・ピタルチの先発起用を貫き、この遠征から復帰したエムバペも最後の20分にお試しプレーをさせることができて、大満足といったところでしょうが、マドリーの準々決勝の相手は天下のバイエルン。16強対決では彼らの倍ゴールを挙げて、アタランタを総合スコア10-2で粉砕しているチームとなると、ちょっと先行き不安ですよね。

そして翌水曜、先に始まったバルサvsニューカッスルの前半、イギリスのチームが2度も追いついたことを知り、これはアトレティコの準々決勝の相手はバルサじゃないかもしれないという淡い希望を抱いた私だったんですけどね。ちょっと目を離しているうちに7-2になっているってどういうこと?トッテナム戦開始30分前にバルに着いた頃には、そのゴールラッシュも収まっていて、幸い私がバルサの得点シーンを目撃することはなかったんですが、総合スコア8-3での堂々突破をされてはねえ。

おまけにシメオネ監督のチームは試合直前にプビルが脇腹の痛みで先発落ちし、モリーナが入ったのも悪かったんですかね。一応、1stレグでは5-2で勝っていたとはいえ、開始6分のルックマンのゴールもオフサイドで認められず、30分にはテルのクロスを完全フリーのコロ・ムアニにヘッドで撃たれては、それまでフル稼働でオブラクの代理を務めていたGKムッソだって、止められませんって。

ただそれでも後半2分には、トッテナムがアトレティコのエリアに放り込んできたスローインをフリアン・アルバレスが奪い取り、カウンターが発動。ルックマンが敵エリアまで駆け上がり、最後はフリアンに渡して、しっかり同点ゴールをゲットしたため、ホッとできたんですけどね。その5分後にはジュリアーノのパスミスから、最後はシャビ・シモンズにエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められるって、まったく何を考えている?

相変わらずのアウェイ弱者ぶりに私も参ってしまったんですが、やっぱりフリアンは調子が戻ってきていたんですね。30分、彼の蹴ったCKをハンツコがばっちり頭でミートして、アトレティコは再び2-2の同点に。それが、そのままで終わってくれればめでたしめでたしだったんですが、45分、最後に守備固めで入ったヒメネスがエリア内でシモンズを倒し、PKを献上しているんですから、頭が痛い。シモンズが決めて3-2となったものの、1stレグの貯金が効いて、総合スコア5-7で勝ち抜けたとはいえ、これって、メトロポリターノでのGKキンスキーの2度のゴールキックミスとファン・デ・ファンの転倒によるラッキーな3点がなかったら、5-4で負けていたってことじゃありませんか。

シメオネ監督も「El Barcelona es mejor/エル・バルセロナ・エス・メホール(バルサの方が優れたチームだ)が、それがウチを最高の形で競わせてくれることを願っている」と言っていたんですが、準々決勝は1stレグがアウェイですしね。いくら2014年と2016年は同じラウンドでホームの2ndレグで倒しているとはいえ、その場合はメトロポリターノ貯金の手は使えないため、アウェイで大量点を取られて、簡単に終わってしまいそうな嫌な予感しかないんですが、今はダービーが最優先。

とりあえず、メンバー的にはルニン、ムッソの控えGK対決となる予定で、マドリーはエムバペに加えて、ベリンガム、アラバ、アセンシオが戻るよう。アトレティコはプビルもダメなようで、バリオスもまだリハビリ中。といっても更にロドリゴ、セバージョス、メンディ、ミリトンが欠けるお隣さんに比べれば、まだ恵まれている方?そうそう、シーズン前半戦のダービーでは5-2で大勝したアトレティコですが、選手たち、リーガでは貯金はないってこと、忘れないでくださいね。

そして木曜にはエスタディオ・バジェカスにラージョvsサムスンスポル戦2ndレグを見に行った私だったんですが、こちらも1stレグでは1-3とラージョに2点の貯金がありましたからね。滅多にない機会に応援団スタンドには華やかな幕が掲げられ、ファンがずっと歌い続ける中、前半から積極的に攻めていったイニゴ・ペレス監督のチームだったものの、デ・フルートスの2度に渡るシュートも敵GKに弾かれてしまったのが運の尽き。他はなかなか狙いが定まらない中、後半20分にはルイス・フェリペが足を滑らし、マリウスのラストパスを止められず、エンディアイエにゴールを決められてしまったから、さあ大変!

1点差に迫られて、場内もますます応援の声に力がこもったんですが、どうやらラージョはゴールとは縁がない日だったようでねえ。カメージョのヘッドやラティウのエリア内シュートも敵GKに防がれてしまい、最後はメンディを入れ、兄貴分のように3人CB制で守り倒すことになったんですが、いや、ホント、総合スコア3-2で乗り切れて良かったかと。ちなみにラージョのヨーロッパの大会での準々決勝進出はこれが2度目で、前回は2000-01シーズンのUEFAカップ。次の相手はAEKアテナのため、ようやくファンもメジャーな場所へ応援旅行ができることに。

ただ、0-1で負けながらも、試合後は「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」をスタンドに唱和して祝ってもらったラージョだったんですが、こちらも喜びに浸っている時間はあまりなくて、日曜午後2時(日本時間午後10時)にはカンプ・ノウでのバルサ戦が到来。イニゴ・ペレス監督は「すでに準備は終わっている」と言っていたものの、何せ中日が1日少ない分、選手たちは体力的に不利になりますからね。その上、あんなゴールラッシュを見せられた直後では、私もあまり楽観的にはなれないんですが、今のラージョは降格圏とは勝ち点6差の13位というのが、心の支えになりますでしょうか。

そしてマドリッド勢唯一、ミッドウィークフリーだったもう1つの弟分、ヘタフェは今週末、土曜にアウェイでエスパニョール戦となるんですが、前節では兄貴分のアトレティコに惜しくも1-0で負けてしまった悔しさをぶつけてもらいたいところ。ええ、このヨーロッパの大会16強対決ではEL組のベティス、セルタも含めて、6チームが揃って勝ち上がったため、来季もスペインにCL出場権5席が回ってくる可能性が高まりましたからね。そうなると、アトレティコがコパで優勝すれば、8位がコンフェレンスリーグに出られるため、現在、勝ち点2差で9位につけるヘタフェが狙ってみてもいいような気がしますが…まずはあと2勝して、残留を確定するのが先決ですよね。

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原ゆみこ
マドリッド通信員。南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。 遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。 今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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