ドイツのJFAハウスの重要性/六川亨の日本サッカーの歩み
2022.05.25 18:30 Wed
週明けの23日はJリーグとNPB(日本野球機構)の新型コロナウイルス対策連絡会議に始まり、フランスの国際大会に出場するU-19日本代表のメンバー発表、そして反町技術委員長の会見とZOOMでの取材が相次いだ。
そして24日はウズベキスタンで開催されるAFC U-23アジアカップに参加するU-21日本代表のメンバー発表に始まり森保一監督の定例会見と、夕方からはJFA(日本サッカー協会)ハウスでのFリーグキックオフカンファレンスを取材した。
まだ新型コロナウイルスが終息を迎えたわけではないが、Jリーグが声出し応援の実験に乗り出したように、「ウィズ・コロナ」として各年代で代表強化の試みが再スタートを切ったのは明るい話題と言っていいのではないだろうか。
その中で興味深いのが、U-19日本代表に選ばれたDF前田ハドー慈英(ジェイ/ブラックバーン・ローヴァーズFC)とDF高橋センダゴルタ仁胡(ニコ/FCバルセロナ)の2人だ。
彼らについて反町技術委員長は「JFAはヨーロッパに拠点がある。それはSAMURAI BLUEだけでなく、アンダーカテゴリーの発掘作業もしている。まず見に行き、映像をもらい、我々も見ている。今回は2名だが、候補は他にもいる。それは呼んでみないとわからないが、本人と会って、代表でやりたい意図はある。ニコは日本に住んだことはないが、関西弁をしゃべれる。ヨーロッパにJFAハウスができた理由でもある」と、JFAはグローバルな活動をしていることを紹介した。
今年の3月24日、アウェーのオーストラリア戦ではヨーロッパ各地から選手は飛行機を乗り継いでオーストラリア入りした。週末の各国リーグ終了後、ヨーロッパ各地にいる選手を、どのフライトで、どこをトランジットしてオーストラリアに行くか。考えただけでも膨大な労力が必要だろう。
それを現地では元札幌のマネジャーで、07年にJFAへ転籍した津村尚樹氏(現強化育成部/JFAヨーロッパオフィスダイレクター)が1人でこなしている。森保監督が4月にデュッセルドルフをベースに自動車でヨーロッパの選手を効率よく視察できたのも、津村氏がいたからに他ならないだろう。そして今回のU-19日本代表では選手発掘の役割も担ったようだ。
彼らが代表に定着するかどうかはこれからの活躍次第だが、大岩剛U-21代表監督が今後も海外組が増えるだろうという予想からすると、デュッセルドルフのスタッフは津村氏1人ではいつか限界が来るだろう。このためさらなるスタッフの拡充を、JFAはいまから考えておくべきだ。
日本人らしい発想のヨーロッパのJFAハウス。その効果に今後も期待したい。
【文・六川亨】
そして24日はウズベキスタンで開催されるAFC U-23アジアカップに参加するU-21日本代表のメンバー発表に始まり森保一監督の定例会見と、夕方からはJFA(日本サッカー協会)ハウスでのFリーグキックオフカンファレンスを取材した。
その中で興味深いのが、U-19日本代表に選ばれたDF前田ハドー慈英(ジェイ/ブラックバーン・ローヴァーズFC)とDF高橋センダゴルタ仁胡(ニコ/FCバルセロナ)の2人だ。
彼らについて反町技術委員長は「JFAはヨーロッパに拠点がある。それはSAMURAI BLUEだけでなく、アンダーカテゴリーの発掘作業もしている。まず見に行き、映像をもらい、我々も見ている。今回は2名だが、候補は他にもいる。それは呼んでみないとわからないが、本人と会って、代表でやりたい意図はある。ニコは日本に住んだことはないが、関西弁をしゃべれる。ヨーロッパにJFAハウスができた理由でもある」と、JFAはグローバルな活動をしていることを紹介した。
このヨーロッパでの拠点は、80年代から日本の商社などが進出して日本人が多く暮らすドイツ(当時は西ドイツ)のデュッセルドルフに、20年10月に開設された。「海外組が代表の半分を占めるようになった」のがその理由で、仕事としてはヨーロッパに拠点をおく日本代表選手たちのサポートと、日本代表への招集に関して所属クラブやリーグとの調整だ。
今年の3月24日、アウェーのオーストラリア戦ではヨーロッパ各地から選手は飛行機を乗り継いでオーストラリア入りした。週末の各国リーグ終了後、ヨーロッパ各地にいる選手を、どのフライトで、どこをトランジットしてオーストラリアに行くか。考えただけでも膨大な労力が必要だろう。
それを現地では元札幌のマネジャーで、07年にJFAへ転籍した津村尚樹氏(現強化育成部/JFAヨーロッパオフィスダイレクター)が1人でこなしている。森保監督が4月にデュッセルドルフをベースに自動車でヨーロッパの選手を効率よく視察できたのも、津村氏がいたからに他ならないだろう。そして今回のU-19日本代表では選手発掘の役割も担ったようだ。
彼らが代表に定着するかどうかはこれからの活躍次第だが、大岩剛U-21代表監督が今後も海外組が増えるだろうという予想からすると、デュッセルドルフのスタッフは津村氏1人ではいつか限界が来るだろう。このためさらなるスタッフの拡充を、JFAはいまから考えておくべきだ。
日本人らしい発想のヨーロッパのJFAハウス。その効果に今後も期待したい。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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