オミクロン株でJリーグと代表戦に影響か?/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.12.02 21:30 Thu
南アフリカで発見され、ヨーロッパに急拡大している新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」が、早くもサッカー界に影響を及ぼしている。ロイター通信によると、ポルトガルの首都リスボンにあるクラブの選手とスタッフ13人のオミクロン株感染が29日に確認され、選手のうちの1人が南アから帰国したばかりだったそうだ。
そしてJFA(日本サッカー協会)は12月1日午前9時過ぎ、「なでしこジャパン(日本女子代表)の帰国後のスケジュールについて」という、以下の内容のリリースを出した。
本日(12/1)、オランダ遠征から帰国するなでしこジャパンのスタッフ・選手は、日本政府が定める新型コロナウイルスのオミクロン株への対応の一環として、帰国後は14日間の待機が求められることになりました。
(空港検疫所定のホテルにて6日間の隔離、7日目以降は自宅(又は事前に手配した宿泊施設)にて14日目まで待機)
従って、今週末に予定されているWEリーグには出場いたしません。
リーグ戦に関する取り扱いは、WEリーグよりあらためてご連絡をいたします。
オランダにもオミクロン株の感染者がいるための措置だが、このことで4日に予定されているWEリーグ5試合にはFW田中美南、MF猶本光、DF宮川麻都ら総勢18人の選手が出場できない。さらに12月に予定していたなでしこジャパンの国内キャンプも待機期間と重複するため中止となった。
ところが1日の16時30分よりWEリーグは緊急会見を開いて4日の第11節5試合はすべて延期すると発表した。その理由を野仲賢勝専務理事は「オミクロン株で14日間の待機を国に求められた。国の水際対策の強化で選手が試合に出られない。実行委員会で審議し、チェアの最終決定で、最大5名が出場不可になる。公平性を担保するため延期を決定した」と説明した。代替日とチケットの払い戻しはこれからの作業になる。
Jリーグは最終節を残すのみとなったが、現在はどのクラブも契約を更新するか、終了するか選手と交渉の真っ最中だ。同様に、来シーズンの戦力補強のため新外国人選手とも交渉しているだろう。入国禁止措置が1ヶ月で終了すればキャンプに間に合うものの、延期された場合は今シーズンの開幕直後と同様、選手や監督が来日できない可能性も出てくる。
1月には21日に埼玉スタジアムでウズベキスタンとのテストマッチが、27日にはカタールW杯アジア最終予選の中国戦が、2月1日にはサウジアラビア戦が日本で開催される。入国に際して特例措置が認められなければ、試合の開催そのものが危ぶまれる。
そんな状況のなか、森保一監督が12月1日にズームでのインタビューに応じた。本来なら12月と1月はヨーロッパで日本人選手を視察する予定だった。しかしオミクロン株により出入国が制限されるため、「視察の予定はこれから状況を見ながら決めたい。出国できても何カ国かを視察するのは難しいし、帰国時の制限も変わってきていて仕事に支障が出てしまってはいけない」と予定の変更も視野にいれて慎重に状況を見極める方針だ。
日本代表は今後、12月17日から国内組を集めてキャンプを実施する予定で、そのメンバーは7日に発表される。さらに来年1月21日のウズベキスタン戦後、W杯アジア最終予選の中国戦とサウジアラビア戦のメンバーを1月22日に発表する予定だ。もちろんその前提として、オミクロン株の感染が終息に向かっていることが条件になるが、こちらは予断を許さない状況にあることに変わりはない。
【文・六川亨】
そしてJFA(日本サッカー協会)は12月1日午前9時過ぎ、「なでしこジャパン(日本女子代表)の帰国後のスケジュールについて」という、以下の内容のリリースを出した。
(空港検疫所定のホテルにて6日間の隔離、7日目以降は自宅(又は事前に手配した宿泊施設)にて14日目まで待機)
従って、今週末に予定されているWEリーグには出場いたしません。
リーグ戦に関する取り扱いは、WEリーグよりあらためてご連絡をいたします。
オランダにもオミクロン株の感染者がいるための措置だが、このことで4日に予定されているWEリーグ5試合にはFW田中美南、MF猶本光、DF宮川麻都ら総勢18人の選手が出場できない。さらに12月に予定していたなでしこジャパンの国内キャンプも待機期間と重複するため中止となった。
ところが1日の16時30分よりWEリーグは緊急会見を開いて4日の第11節5試合はすべて延期すると発表した。その理由を野仲賢勝専務理事は「オミクロン株で14日間の待機を国に求められた。国の水際対策の強化で選手が試合に出られない。実行委員会で審議し、チェアの最終決定で、最大5名が出場不可になる。公平性を担保するため延期を決定した」と説明した。代替日とチケットの払い戻しはこれからの作業になる。
さらに影響はJリーグにも及ぶ。岸田首相は昨日11月30日、外国人の新規入国を原則1ヶ月停止にすると決定した。
Jリーグは最終節を残すのみとなったが、現在はどのクラブも契約を更新するか、終了するか選手と交渉の真っ最中だ。同様に、来シーズンの戦力補強のため新外国人選手とも交渉しているだろう。入国禁止措置が1ヶ月で終了すればキャンプに間に合うものの、延期された場合は今シーズンの開幕直後と同様、選手や監督が来日できない可能性も出てくる。
1月には21日に埼玉スタジアムでウズベキスタンとのテストマッチが、27日にはカタールW杯アジア最終予選の中国戦が、2月1日にはサウジアラビア戦が日本で開催される。入国に際して特例措置が認められなければ、試合の開催そのものが危ぶまれる。
そんな状況のなか、森保一監督が12月1日にズームでのインタビューに応じた。本来なら12月と1月はヨーロッパで日本人選手を視察する予定だった。しかしオミクロン株により出入国が制限されるため、「視察の予定はこれから状況を見ながら決めたい。出国できても何カ国かを視察するのは難しいし、帰国時の制限も変わってきていて仕事に支障が出てしまってはいけない」と予定の変更も視野にいれて慎重に状況を見極める方針だ。
日本代表は今後、12月17日から国内組を集めてキャンプを実施する予定で、そのメンバーは7日に発表される。さらに来年1月21日のウズベキスタン戦後、W杯アジア最終予選の中国戦とサウジアラビア戦のメンバーを1月22日に発表する予定だ。もちろんその前提として、オミクロン株の感染が終息に向かっていることが条件になるが、こちらは予断を許さない状況にあることに変わりはない。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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