中1日の連戦で23名全員を起用し2連勝、U-22日本代表の冨樫剛一監督が振り返る「日本の育成の成果」

2021.10.28 16:25 Thu
©超ワールドサッカー
U-22日本代表の冨樫剛一監督が、U-22香港代表戦を振り返った。

28日、AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選のグループK第2戦でU-22香港代表と対戦。4-0で勝利を収めた。
2日前のU-22カンボジア代表戦で4-0と勝利していた日本。勝てば本大会の出場が決まる中、スタメン11名を入れ替えて臨んだが、引いて守る香港の前に苦戦する。

それでも14分に藤尾翔太(水戸ホーリーホック)がゴールを奪い先制。しかし、その後は中々ゴールを奪えず、1-0で前半を終える。

後半に入ると、49分に藤尾が再びゴールを奪い2-0とすると、ここから香港が少し緩む形に。63分に郷家友太(ヴィッセル神戸)が追加点を奪うと、85分には細谷真大(柏レイソル)がカンボジア戦に続いてゴールを決め、4-0で勝利した。
試合後、冨樫監督はオンラインの記者会見にて「相手がカンボジア戦からシステムを変えてきて、後ろ5枚にしてきたことは、事前のトレーニングキャンプから想定してシミュレーションができていたので戸惑いはなかったです」と、システムをいじってきたことには驚かなかったとコメント。ただ「相手があることで、硬いゲームの中で、アイデアは持ちつつプレーしましたが、なかなか噛み合うことが少なく、前半は特に苦しいかなと思いました」と、1点しか奪えなかった前半の戦いを振り返った。

それでもチーム一丸となっての勝利については「リスタートで優位に立てたところは、このチームの武器ではありましたし、交代した選手がチームをより違った形で強めていくことで、23人全員で2試合をしっかり戦えたと思います」と、全選手を起用しての2連勝を喜んだ。

カンボジア戦、香港戦でGKも含めて招集した23名全員をプレーさせた冨樫監督。「23人全員が出場機会を得られたこと、1試合目と2試合目でスターティングメンバーが全く違う形でも2チーム編成していてもチームとして戦えたことは、日本の育成の成果だと思います」と語り、チームとして準備してきた通りだったと振り返った。

一方で選手たちに感じた驚きについては「1試合目も2試合目も、硬くゲームが進んでいく中、90分をしっかりと淡々と勝って終わらせる、リスク管理ができるということ、サッカーをプレーすることができていたと思います」と、難しい状況下でも落ち着いていたことを挙げた。

また久々の公式戦を国際大会でできたことについては「サッカーをプレーするのが上手いチーム、選手でなければ代表チームはいけないと思います。相手とのレベル差があれど、国際試合は難しい。90分失点しないで、得点を取って勝つというプランニングを、選手たちが90分間できる選択、思考を持てることが、育成年代では大事だと思っています」と語り、難しい国際試合で、しっかりと判断して戦えたことを称えた。

試合後には選手たちに話しかけていた冨樫監督。「この2試合を戦ったからこそ、6月のウズベキスタンに向けて次に進むことができましたけど、目標はより高いところにあると思うので、自チームに帰って試合に出る、ポジション争いに勝つ、日常を高めてくれることを期待していると話しました」と、残りの半年間でしっかりと選手としての成長をして欲しいとエールを送ったという。

実際に選手たちに求めたいことについては「今までも選手たちは日々をしっかりと取り組んでいると思いますが、それを2レベル、3レベル上げていく。より日常をフットボール中心に生活していくことが大事だと思います」と、サッカー漬けの日々を送り、さらにレベルアップして欲しいと語った。

合宿を繰り返し、最後はぶっつけ本番のような形になった今回の戦い。戦術面での成長については「相手があることなので、相手を見る、どう動かすか。それは全てゴールがあることで、ボールを中心にするのか、人を中心にするのか、スペースの共有などがある中で、一番大事なゴールを忘れずにやることが戦術として大事だと思います」とコメント。「攻撃でも守備でも原理原則の中でゴールを意識しつつ、選手のプレーエリアを広げていくことが戦術として大事だと思います。選手たちは色々考えながらプレーしてくれたと思います」と、準備してきたことに加えて、ピッチ内でもしっかりと判断してプレーしていたと語った。また「システムの中で自チームと違う形でプレーする中で、幅、深みの取り方、中と外の使い分けは、選手たちはまだまだ正解を探しながらではありましたが、繋がりや1人、2人ではなく、3人目、その背後を意識してプレーしたと思います」と、意識もしっかりとしていたと、一定の手応えを語った。
関連ニュース

日韓戦で感じた違和感/六川亨の日本サッカーの歩み

とても奇妙な前半戦だった。パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップのグループB最終戦、日本と韓国は勝点6、得失点差+3で並び、両国の直接対決でグループBの1位と2位が決まる。1位抜けなら準々決勝はグループA2位のインドネシア、2位だとホストカントリーのカタールと対戦する。できればカタールとの対戦は避けたいところ。とはいえ、準々決勝で勝ったとしてもパリ五輪の出場権は獲得できない。そんな微妙な背景で試合は始まった。 日本は第2戦のUAE戦から7人のメンバーを代えた。GK野澤大志ブランドンら3選手は今大会初出場だ。対する韓国も10人の選手を入れ替えてきた。グループリーグを1位で抜けようと2位になろうとも、準々決勝はパリへの通過点に過ぎない。主力選手をターンオーバーで温存するのは当然の策でもあった。 そして前半は、奇妙なほど攻め手を欠く大凡戦だった。韓国が中盤での争いを避け、ロングボールによるカウンター狙いは今に始まったことではない。フィジカルの強さと空中戦での優位を生かし、セットプレーに活路を見いだすのも常套手段である。 対する日本も攻め手を欠いた。CBの高井幸大と鈴木海音、ボランチの川﨑颯太と田中聡は安全第一なのか、それともポストプレーヤーが見つけられなかったのか、急所を突くようなタテパスは皆無で、サイドに開いた平川悠や藤尾翔太の足元に緩いパスをつなぐだけ。とはいえ両選手とも三笘薫や伊東純也のようなドリブラーではないため、決定機を演出するまでにはいたらない。 互いに負けたくないという心理状態が色濃く反映された前半は、82年スペインW杯1次リーグの“出来レース"と言われた西ドイツ対オーストリアの試合(初戦でアルジェリアに負けた西ドイツが2次リーグに進むには最終戦のオーストリア戦を2点差以内で勝つしかなく、西ドイツが前半にリードすると後半は互いに無理をせず時間が過ぎるのを待った)を彷彿させる退屈な45分間だった。 ところが後半に入り13分過ぎから両チームとも選手交代をしたところ、突然攻撃が活性化した。日本は川﨑と田中に代えて藤田譲瑠チマと松木玖生を投入。やはり彼らが大岩剛監督にとって選択肢のファーストチョイスなのだろう。松木は後半26分にミドルサードで2人の選手に囲まれながらもフィジカルの強さを生かしてボールをキープすると、1トップの内野航太郎に決定的なスルーパス。安全を優先したプレーでは、組織的な守備を崩せないことを自ら証明した。 彼らと山本理仁、レフティーモンスターの山田楓喜が現チームの主力であり、準々決勝のカタール戦ではスタメンに名前を連ねると思う。そして、大岩監督の気持ちはわからないでもないが、野澤大志ブランドンは肉体的な資質は申し分ないものの、鈴木彩艶と同様にA代表やU-23代表で起用するには経験不足は否めないのではないだろうか。野澤は元々キックに難点があり、左足は得意ではないためトラップして右足に持ち替えることが多い。韓国戦でも冷やっとしたシーンがあったし、なんでもないシュートを後ろにそらしてOGの危険性もあった。 これまで2試合でチームを救った小久保怜央ブライアンを使っていれば、CKに飛び出てクリアするでもなく、中途半端なポジショニングで何もできずに失点したシーンも何とかできたのではないかと思ってしまう。期待するのは悪いことではない。しかし、その見極めを誰がいつするのか。これは個人的な見解だが、鈴木彩艶は今年のアジアカップで、野澤大志ブランドンは韓国戦のプレーをシビアに検証すべきだろう。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> <span class="paragraph-title">【動画】日韓戦は韓国に軍配! 低調な試合も後半は一変</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="TMihrmhQQbc";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.23 14:30 Tue

日本撃破の韓国、10人を入れ替える苦しい台所事情…ファン・ソンホン監督は選手を称賛「選手たちの素晴らしい努力に感謝したい」

U-23韓国代表のファン・ソンホン監督が、U-23日本代表戦を振り返った。 22日、AFC U23アジアカップのグループB最終節で韓国は日本と対戦。勝利した方が1位通過となり、準々決勝でU-23インドネシア代表と対戦。2位は開催国のU-23カタール代表との対戦となる試合だった。 試合は両者ともにリスクを冒さないプレーに終始。あまり見どころがない中で時間が経過。韓国はロングボールを使って攻め込むも、日本が上手く対応してゴールを許さない。 後半に入ってもペースは変わらず。日本は選手交代で活性化させて行った中、75分にCKからキム・ミヌがヘディングで決めて韓国が先制。終盤は日本が押し込んでいくも、0-1で韓国が勝利し、グループ1位通過を決めた。 試合後、ファン・ソンホン監督は日本戦を振り返り、選手たちのパフォーマンスを評価した。 「この種の大会ではどのチームと対戦するのも非常に難しい。我々は試合に勝つために本当に最善を尽くした」 「チームにはケガ人もいて、現時点では厳しい状況だが、選手たちがこの試合に費やしたハードワークを称賛したい」 「これは大会の終わりではなく、始まりに過ぎない。インドネシアも非常に競争力のあるチームであり、ベストを尽くして次の試合に向けて準備する必要がある」 また、この試合には今大会3得点を決めていたFWイ・ヨンジュンらを温存。10人を変更して日本戦に臨んだ中、ケガ人などの影響で難しかったとコメント。その中でもプランを遂行し、日本に勝利した選手たちを称えた。 「チーム内に負傷者が出ているので、多くのローテーションをしなければならなかったし、この試合に勝って結果を出すための最善の方法を見つける必要があった」 「私のゲームプランによれば、選手たちは本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。これは我々が望んでいた形ではないが、前向きに考えるように努め、選手たちの素晴らしい努力に感謝したいと思う」 <span class="paragraph-title">【動画】日韓戦は韓国に軍配! 低調な試合もCKで一撃</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="TMihrmhQQbc";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.23 13:12 Tue

「バラバラにならないように」敗戦を受けて気を引き締めるキャプテン・藤田譲瑠チマ、負けられない戦いへ「優勝を持ち帰りたい」

U-23日本代表のMF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)がU-23韓国代表戦を振り返った。 22日、AFC U23アジアカップのグループB最終節が行われ、日本は韓国と対戦した。 勝利した方がグループ1位通過となり、準々決勝でU-23インドネシア代表と対戦が決定。敗れた方が2位通過となり、開催国のU-23カタール代表との対戦となる。 試合は韓国が低くラインを設定し、日本は立ち上がりこそ攻め込んでいたものの、なかなかゴールに迫れない展開が続く。 スローペースに付き合ったまま前半はゴールレスドロー。後半、日本は流れを変えようと選手交代を図ると、チャンスの数は圧倒的に増えたものの、この世代の課題でもある決定力不足を露呈。すると75分にCKからキム・ミヌにゴールを許し失点。その後、さらに猛攻を仕掛けるもゴールは奪えず、0-1で敗れることとなった。 試合後のフラッシュインタビューに応じたキャプテンの藤田。この試合はベンチスタートとなったが「最後は勝って良い流れで行きたかったですが、この敗戦を無駄にしたくないです」とコメント。しっかりと、今日の敗戦から修正したいとした。 開催国でもあるカタールとの試合については「試合を見ている感じだと、審判のレフェリングも難しい場面がありますけど、チームとしてしっかりサッカーをして勝ちたいと思います」と、自分たちのペースに持ち込んでいきたいと意気込んだ。 ここまで全員で一丸となって戦ってきた日本。GK山田大樹(鹿島アントラーズ)以外はピッチに立っている。 チームの団結力については「良い感じだと思います」と語った藤田だが 「この敗戦で1回バラバラにならないように、自分を中心にまたまとめあげて、良い方向に向かえればと思います」と、リーダーシップを発揮してまとめ上げたいとした。 この3試合を終えての収穫については「最初の2試合は無失点で終えられて、簡単に得点をやらせない所は強みだと思うので、決勝トーナメントに行っても大事になるので、もう1回集中して入りたいです」とコメント。守備が安定している部分は、強みにしていきたいという。 次は開催国のカタール戦。負ければ、パリ・オリンピックへの挑戦は幕を閉じることとなる。 現地に多く集まったファン・サポーター、そして日本からも応援しているファン・サポーターに向け、藤田は意気込みを語った。 「たくさんの方が応援してくれていると思うので、自分たちもしっかりそれに見合う戦いをして、優勝を持ち帰りたいので、応援よろしくお願いします」 2024.04.23 01:08 Tue

「日本に勝利を届けたい」苦しい展開も活性化させた松木玖生、カタールとの決戦へ意気込み「絶対にパリの切符を掴めるようにする」

U-23日本代表のMF松木玖生(FC東京)がU-23韓国代表戦を振り返った。 22日、AFC U23アジアカップのグループB最終節が行われ、日本は韓国と対戦した。 勝利した方がグループ1位通過となり、準々決勝でU-23インドネシア代表と対戦が決定。敗れた方が2位通過となり、開催国のU-23カタール代表との対戦となる。 試合は韓国が低くラインを設定し、日本は立ち上がりこそ攻め込んでいたものの、なかなかゴールに迫れない展開が続く。 スローペースに付き合ったまま前半はゴールレスドロー。後半、日本は流れを変えようと選手交代を図ると、チャンスの数は圧倒的に増えたものの、この世代の課題でもある決定力不足を露呈。すると75分にCKからキム・ミヌにゴールを許し失点。その後、さらに猛攻を仕掛けるもゴールは奪えず、0-1で敗れることとなった。 試合後のフラッシュインタビューに応じた松木。試合に向けての意気込みについては「負けられない相手でしたし、自分たちも絶対に1位突破をするという気持ちを持って臨みました」とコメントした。 試合はセットプレーでの失点に。松木は警戒していた中での失点だったと振り返った。 「セットプレーでやられてしまったこと、今日みたいな固いゲームだからこそ、セットプレーの攻守においての重要さは選手は重要視していましたが、そういうところでの失点で、内容的には後半押し込んだ時間はありましたけど、決めきれずにこういう結果になって悔しいです」 後半途中まではベンチで見守っていた松木。なかなか苦しい展開となった中、ピッチに入ってからはチームを活性化させていた。 「なかなか韓国も良いブロックを組んでいたので、攻撃のバリエーションがなかなか引き出せなかったかなと思いました」 「自分が入ったら裏抜けやクロスに入ろうと意識していました」 結果として今大会初黒星。しかし、次の戦いで負ければ、それはパリに行けないということだ。 カタールとの試合に向けては「やっぱり次も勝たないとトーナメントになるので、敗退となりますし、自分たちは絶対にパリの切符を掴めるように、強い気持ちを持って、開催国ですけど、アウェイの中しっかりと日本に勝利を届けたいと思います」とコメント。必勝を誓った。 2024.04.23 01:02 Tue

「決定力だけ」2連続先発も不発の荒木遼太郎、カタールとの準々決勝へ「ここからが本当の戦い」

U-23日本代表のMF荒木遼太郎(FC東京)がU-23韓国代表戦を振り返った。 22日、AFC U23アジアカップのグループB最終節が行われ、日本は韓国と対戦した。 勝利した方がグループ1位通過となり、準々決勝でU-23インドネシア代表と対戦が決定。敗れた方が2位通過となり、開催国のU-23カタール代表との対戦となる。 試合は韓国が低くラインを設定し、日本は立ち上がりこそ攻め込んでいたものの、なかなかゴールに迫れない展開が続く。 スローペースに付き合ったまま前半はゴールレスドロー。後半、日本は流れを変えようと選手交代を図ると、チャンスの数は圧倒的に増えたものの、この世代の課題でもある決定力不足を露呈。すると75分にCKからキム・ミヌにゴールを許し失点。その後、さらに猛攻を仕掛けるもゴールは奪えず、0-1で敗れることとなった。 試合後のフラッシュインタビューに応じた荒木は、「前節から同様に決定力が出た試合だったと思います」とコメント。2試合続けて先発したものの、ゴールを奪えなかったことを振り返った。 今大会はなかなか苦しんでいる攻撃陣。「良い崩しはできているので、ゴール前の決定力だけだと思います」と振り返った荒木。後半も何度も押し込み決定機を迎えたが、枠に飛ばす回数が少なかった。 次は負けられない戦いに。U-23カタール代表戦に向けては「ここからが本当の戦いと言ってもおかしくないので、切り替えてやっていきたいです」とコメント。負ければパリ・オリンピック行きが無くなる次戦へ意気込んだ。 2024.04.23 00:54 Tue
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly