柴崎への思いやりと技術委員長の役目/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.10.12 15:35 Tue
オーストラリアとの試合を翌日に控え、日本代表の選手25人は埼玉スタジアムで17時より冒頭15分だけメディアに解禁でトレーニングを行った。森保一監督の挨拶も簡単なもので、その後はランニングで練習をスタートさせた。
サウジアラビア戦で決勝点のきっかけとなるバックパスを出した柴崎岳も普段通り練習に参加していたが、どうしてあのようなパスを出したのか。たぶん本人にも分からないかもしれない。毎日4人ずつのズームによる選手会見も、サウジアラビア戦後に柴崎が登場することはなかった。たぶんスタッフも気遣っていることは想像に難くない。
しかし、もしも森保監督がオーストラリア戦で彼を起用する意思がないのなら、サウジアラビアからスペインに帰してあげた方がよかったのではないか。柴崎自身、肩身の狭い思いをしているだろうし、チームメイトも“腫れ物に触るように”とまでは言わないが、どう接したらいいか困っているのではないだろうか。救いがあるとすれば「バブル」のため、接触する機会が少ないということくらいだろう。
本来なら明日の試合はホームだけに絶対に負けられない一戦だ。普段なら長友佑都あたりがランニングの前に「よっしゃー!」とチームメイトに気合いを入れたかもしれない。しかし柴崎がチームにいれば、盛り上げる方も気を遣わざるをえないだろう。ここらあたりの空気感というか、チームマネジメントを考えて、森保監督にアドバイスする――それができるのは反町康治JFA(日本サッカー協会)技術委員長くらいしかいないだろう。
その反町技術委員長が、まったくコメントを発していないのが気になるところである。サウジアラビアに敗れた後の8日の日本時間10時50分、田嶋幸三JFA会長は広報を通じてコメントを出した。ところが反町技術委員長は公式には何も発言していない。かといって代表の練習には参加しているので、外国人監督と交渉するため海外へ行っているわけでもないようなのは残念だった。
【文・六川亨】
サウジアラビア戦で決勝点のきっかけとなるバックパスを出した柴崎岳も普段通り練習に参加していたが、どうしてあのようなパスを出したのか。たぶん本人にも分からないかもしれない。毎日4人ずつのズームによる選手会見も、サウジアラビア戦後に柴崎が登場することはなかった。たぶんスタッフも気遣っていることは想像に難くない。
本来なら明日の試合はホームだけに絶対に負けられない一戦だ。普段なら長友佑都あたりがランニングの前に「よっしゃー!」とチームメイトに気合いを入れたかもしれない。しかし柴崎がチームにいれば、盛り上げる方も気を遣わざるをえないだろう。ここらあたりの空気感というか、チームマネジメントを考えて、森保監督にアドバイスする――それができるのは反町康治JFA(日本サッカー協会)技術委員長くらいしかいないだろう。
その反町技術委員長が、まったくコメントを発していないのが気になるところである。サウジアラビアに敗れた後の8日の日本時間10時50分、田嶋幸三JFA会長は広報を通じてコメントを出した。ところが反町技術委員長は公式には何も発言していない。かといって代表の練習には参加しているので、外国人監督と交渉するため海外へ行っているわけでもないようなのは残念だった。
オーストラリア戦の結果次第では、森保監督の進退問題に発展する可能性は高いだろう。そのために反町技術委員長はどのような対策を立てているのか。そして、もしもオーストラリアに勝ったとしても、森保監督のままでいいのかどうか。技術委員会がやらなければいけない仕事は山ほどある。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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