サウジと豪州戦のメンバー発表で感じた疑問/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.09.29 15:00 Wed
カタールW杯アジア最終予選グループBの第3戦、10月7日のサウジアラビア戦(ジェッダ・時間未定)と、10月12日の第4戦、オーストラリア戦(埼玉スタジアム・19時10分)に臨む日本代表25名が9月28日に発表された。
通常のインターナショナルマッチの登録人数は23名だが、9月のシリーズではコロナ禍でケガ人が出た際に選手をすぐに入れ替えることができなかったため、今回は「通常の23名にプラスして2名を呼んで入れ替えたいということでこのメンバーになった」と森保監督は説明した。
そして予想通り負傷のMF久保(マジョルカ)とFW古橋(セルティック)は召集外。代わりに負傷の癒えたMF南野(リバプール)とDF酒井(浦和)が復帰し、DF橋岡(シント=トロイデン)、MF三好(アントワープ)、MF浅野拓磨(ボーフム)の3選手が新たに招集された。
DFの3選手、佐々木(広島)、昌子(G大阪)、山根(川崎F)が外れたのはサウジとの時差から(ヨーロッパとは1時間差だが日本とは6時間差)、コンディションを考慮しての選考結果だろう。
森保監督がどのようなスタメンを送り出すかは10月4日に全員が集合し、コンディションを確認してからのことになる。ただ、これまでの采配を見る限り、冒険(ギャンブル)に出るようなことはないだろう。裏を返せば、よほどのことがない限りスタメンに変化はないと思ってよさそうだ。
W杯アジア最終予選グループBは6チーム中の上位2チームが本大会に進出できる。日本とオーストラリアが実績的に2強で、これにサウジが絡む3チームによる争いだ。そして近年力をつけてきているオマーンがダークホースといったところだろう。中国とベトナムはアウトサイダーのため、ホームはもちろんアウェーでも勝点3(できれば大量点で)がノルマになる。
そして日本はホームの初戦でオマーンに負けた。しかし前回予選のUAE同様、アウェーで雪辱すればいいし、それしか対戦成績を五分に戻す方法はない。あとは残る2チーム、サウジとオーストラリアからは、ホームで勝点3を奪い、アウェーで引き分ければ、W杯出場は近づくはずだ。
実際、前回のロシアW杯最終予選では初戦でUAEに敗れたものの、続くアウェーのタイとホームのイラクに勝って、第4戦のアウェー・オーストラリア戦は原口のゴールで1-1と引き分け、ホームのサウジ戦では清武のPKと原口のゴールで2-1の勝利を収めて予選突破に前進した。
つまり、アウェーのサウジ戦は勝点3を奪えれば理想的だが、無理して勝ちに行く必要はない。勝点1を是が非でも持ち帰る戦いと言える。そのためのスタメンに誰がふさわしいのか。さらに言えば、必勝が義務づけられるホームでのオーストラリア戦に向けて、選手を温存するような戦い方ができれば理想的だ。
日本にとって10月の2試合は、最終予選最大のヤマ場と言える。11月はアウェー2連戦とはいえ相手はベトナムとオマーン(オマーンには勝たないといけないが)、年明けの4試合はオーストラリア戦をのぞいていずれもホームの戦いだからである。
ただ、それにしては盛り上がっていないのは、やはりアウェー戦が地上波での放送がなくなったため、前宣伝が不足しているからか。それともファン・サポーターの熱が冷めてしまったからだろうか。もしも日本がサウジに負けてW杯連続出場が危機的な状況に陥れば、97年フランスW杯アジア最終予選のような熱気と緊張感が蘇るなら、それはそれで歓迎したい気もしないではない。
【文・六川亨】
通常のインターナショナルマッチの登録人数は23名だが、9月のシリーズではコロナ禍でケガ人が出た際に選手をすぐに入れ替えることができなかったため、今回は「通常の23名にプラスして2名を呼んで入れ替えたいということでこのメンバーになった」と森保監督は説明した。
DFの3選手、佐々木(広島)、昌子(G大阪)、山根(川崎F)が外れたのはサウジとの時差から(ヨーロッパとは1時間差だが日本とは6時間差)、コンディションを考慮しての選考結果だろう。
森保監督がどのようなスタメンを送り出すかは10月4日に全員が集合し、コンディションを確認してからのことになる。ただ、これまでの采配を見る限り、冒険(ギャンブル)に出るようなことはないだろう。裏を返せば、よほどのことがない限りスタメンに変化はないと思ってよさそうだ。
GKは権田で、DF陣は右から酒井、吉田、冨安、長友。ダブルボランチは遠藤航に柴崎で、2列目は右から堂安(か浅野)、鎌田、南野、そして1トップに大迫というイレブンだ。これが現時点でのベストメンバーという考え方は理解できないでもない。しかし、相手との力関係や置かれている状況から、もう少し柔軟なチョイスはできないものだろうか。
W杯アジア最終予選グループBは6チーム中の上位2チームが本大会に進出できる。日本とオーストラリアが実績的に2強で、これにサウジが絡む3チームによる争いだ。そして近年力をつけてきているオマーンがダークホースといったところだろう。中国とベトナムはアウトサイダーのため、ホームはもちろんアウェーでも勝点3(できれば大量点で)がノルマになる。
そして日本はホームの初戦でオマーンに負けた。しかし前回予選のUAE同様、アウェーで雪辱すればいいし、それしか対戦成績を五分に戻す方法はない。あとは残る2チーム、サウジとオーストラリアからは、ホームで勝点3を奪い、アウェーで引き分ければ、W杯出場は近づくはずだ。
実際、前回のロシアW杯最終予選では初戦でUAEに敗れたものの、続くアウェーのタイとホームのイラクに勝って、第4戦のアウェー・オーストラリア戦は原口のゴールで1-1と引き分け、ホームのサウジ戦では清武のPKと原口のゴールで2-1の勝利を収めて予選突破に前進した。
つまり、アウェーのサウジ戦は勝点3を奪えれば理想的だが、無理して勝ちに行く必要はない。勝点1を是が非でも持ち帰る戦いと言える。そのためのスタメンに誰がふさわしいのか。さらに言えば、必勝が義務づけられるホームでのオーストラリア戦に向けて、選手を温存するような戦い方ができれば理想的だ。
日本にとって10月の2試合は、最終予選最大のヤマ場と言える。11月はアウェー2連戦とはいえ相手はベトナムとオマーン(オマーンには勝たないといけないが)、年明けの4試合はオーストラリア戦をのぞいていずれもホームの戦いだからである。
ただ、それにしては盛り上がっていないのは、やはりアウェー戦が地上波での放送がなくなったため、前宣伝が不足しているからか。それともファン・サポーターの熱が冷めてしまったからだろうか。もしも日本がサウジに負けてW杯連続出場が危機的な状況に陥れば、97年フランスW杯アジア最終予選のような熱気と緊張感が蘇るなら、それはそれで歓迎したい気もしないではない。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
|
関連ニュース