五輪スタートで男子は波乱続出/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.07.24 17:00 Sat
21日に始まった東京五輪の女子サッカーで、なでしこジャパンは田中のPK失敗がありながらもエース・岩渕の同点弾でカナダと1-1で引き分けた。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪と2大会続けて銅メダルを獲得している相手に先制点を許しただけに、追いついてのドロー発信はけして悪いスタートではない。
第2戦のイギリス戦は過去1勝1分け5敗と日本が大の苦手にしている相手。クラシカルなキック&ラッシュによるフィジカル勝負のサッカーだが、スピード勝負となると日本は圧倒的に分が悪い(現チームには攻守にスピードのある選手がいない)。このためイギリス戦もドロー狙いで、勝負は最終戦のチリ戦での得失点差争いに持ち込むのが現実的な目標だろう。
その女子サッカーの初戦で、過去に3度の金メダルを獲得しているアメリカがグループリーグ初戦でスウェーデンに0-3で敗れる波乱があった。前回のリオ五輪でも両チームは準々決勝で対戦し、この時はスウェーデンが1-1からのPK戦を4-3で制して銀メダルを獲得している(金メダルは今回出場していないドイツが獲得)。このためアメリカが負けたことは想定内にしても、0-3という一方的なスコアは衝撃的だった。
それ以外は順当な結果に終わった女子サッカーの第1節だった。
それに比べ22日にスタートした男子では波乱の連続だった。
ところが韓国は、ニュージーランドを圧倒的に攻めながら1チャンスを決められ0-1で初戦を落としてしまう。優勝候補筆頭のスペインもエジプトに0-0のドロー。04年アテネ五輪、08年北京五輪金メダルのアルゼンチンもオーストラリアに0-2で敗れる波乱があった。
ヨーロッパ勢は新シーズンの開幕を控え、チームが選手の招集を拒むケースもあるだけに、狙い通りのチーム作りができなかった国もある。このため“前評判”はあまり当てにならないこともある。
そして初戦を落とすと、思わぬ落とし穴にはまることがあるのが五輪やW杯の国際大会だ。12年ロンドン五輪では、優勝候補にあげられていたスペインが初戦で日本に0-1で敗れ、なおかつ退場者を出したため、終わってみればグループリーグ最下位で敗退した。02年日韓W杯では、前回大会優勝のフランスがグループリーグで敗退している。
初戦を落としたフランスや韓国、アルゼンチン、ドイツが第2戦以降、どう立て直してくるのかも注目したい。日本の第2戦の相手は12年ロンドン五輪の準決勝で1-3と敗れたメキシコだ。25日の第1試合、フランス対南ア戦でフランスが敗れればグループリーグ敗退が決定する。
このため第3戦の日本戦のモチベーションはかなり低下するだろう。そうなれば無理してメキシコに勝ちに行く必要はない。引き分け狙いで勝点を分け合い、フランス戦での得失点差争いでグループAの1位抜けがいいか2位抜けにするか、他グループ(Cのスペインかアルゼンチンか、Dのブラジルかドイツ、コートジボワールか)の状況を見ながら選択できれば理想的だ。
【文・六川亨】
第2戦のイギリス戦は過去1勝1分け5敗と日本が大の苦手にしている相手。クラシカルなキック&ラッシュによるフィジカル勝負のサッカーだが、スピード勝負となると日本は圧倒的に分が悪い(現チームには攻守にスピードのある選手がいない)。このためイギリス戦もドロー狙いで、勝負は最終戦のチリ戦での得失点差争いに持ち込むのが現実的な目標だろう。
それ以外は順当な結果に終わった女子サッカーの第1節だった。
それに比べ22日にスタートした男子では波乱の連続だった。
男子の日本は南アフリカの守備的なサッカーと粘りに苦しみながらも、久保の大会第1号ゴールにより1-0で逃げ切った。グループAのもう1試合は12年ロンドン五輪金メダルのメキシコがフランスを4-1と粉砕した他、リオ五輪決勝の再戦となったブラジル対ドイツ戦はブラジルがヒシャルリソンのハットトリックなどで4-2と圧勝した。
ところが韓国は、ニュージーランドを圧倒的に攻めながら1チャンスを決められ0-1で初戦を落としてしまう。優勝候補筆頭のスペインもエジプトに0-0のドロー。04年アテネ五輪、08年北京五輪金メダルのアルゼンチンもオーストラリアに0-2で敗れる波乱があった。
ヨーロッパ勢は新シーズンの開幕を控え、チームが選手の招集を拒むケースもあるだけに、狙い通りのチーム作りができなかった国もある。このため“前評判”はあまり当てにならないこともある。
そして初戦を落とすと、思わぬ落とし穴にはまることがあるのが五輪やW杯の国際大会だ。12年ロンドン五輪では、優勝候補にあげられていたスペインが初戦で日本に0-1で敗れ、なおかつ退場者を出したため、終わってみればグループリーグ最下位で敗退した。02年日韓W杯では、前回大会優勝のフランスがグループリーグで敗退している。
初戦を落としたフランスや韓国、アルゼンチン、ドイツが第2戦以降、どう立て直してくるのかも注目したい。日本の第2戦の相手は12年ロンドン五輪の準決勝で1-3と敗れたメキシコだ。25日の第1試合、フランス対南ア戦でフランスが敗れればグループリーグ敗退が決定する。
このため第3戦の日本戦のモチベーションはかなり低下するだろう。そうなれば無理してメキシコに勝ちに行く必要はない。引き分け狙いで勝点を分け合い、フランス戦での得失点差争いでグループAの1位抜けがいいか2位抜けにするか、他グループ(Cのスペインかアルゼンチンか、Dのブラジルかドイツ、コートジボワールか)の状況を見ながら選択できれば理想的だ。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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