【2020-21ブンデス総括】超WS選出の最優秀選手はレヴァンドフスキ

2021.06.04 19:00 Fri
Getty Images
絶対王者バイエルンの9連覇で幕を閉じた今季のブンデスリーガ。ライプツィヒが優勝争いを盛り上げかけたものの及ばず2試合を残しての優勝と、例年通りの危なげない連覇達成となった。
PR
◆レヴァンドフスキが記録樹立~バイエルン~
そのバイエルンを牽引したのはブンデスリーガのシーズン歴代最多ゴール記録を樹立したFWレヴァンドフスキ。コンスタントに得点を挙げ続け、実に41ゴールをマーク。並外れた得点力でケガ人やコロナ陽性により欠場者の多かったチームを救った。また、就任2季目を戦ったフリック監督の手腕も見逃せない。前述のように欠場者の多かったチームをうまくやり繰りし、決して厚いとは言えなかった選手層の中、うまく勝ち点を積み上げて見せた。その手腕が評価され、次期ドイツ代表監督就任が決まっている。
◆名将ナーゲルスマンの手腕~ライプツィヒ~
シーズン終盤、バイエルンに多少のプレッシャーをかけたのは2位フィニッシュを果たしたライプツィヒだった。得点源だったFWヴェルナーを失ってスタートした新シーズンだったが、名将の仲間入りを果たしたナーゲルスマン監督はMFフォルスベリやMFダニ・オルモらを前線に置くゼロトップスタイルで明確なストライカーを置かず、中盤の選手たちの得点力をうまく引き出した。そのナーゲルスマン監督は来季、バイエルンの指揮官に就任し10連覇を目指すことになる。

◆怒涛の追い上げでCL出場権獲得~ドルトムント~
FWハーランドやMFサンチョといったヤングスターを擁し、開幕前はバイエルンの対抗馬に挙げても良い程のドルトムントだったが、12月の段階でファブレ監督を解任せざるを得ない不安定な戦績で優勝争いから早々に脱落してしまった。一時はチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得も危うい状況に陥ったが、ボルシアMGの指揮官を務めるローゼ監督の来季指揮官就任が発表された辺りから復調。テルジッチ暫定監督の下、怒涛の追い上げを見せて7連勝締めとし、3位フィニッシュでノルマのCL出場権を獲得している。

◆主砲ヴェグホルストの存在~ヴォルフスブルク~
この3チームに加え、CL出場権を獲得したのはヴォルフスブルクとなった。意外な健闘を見せたヴォルフスブルクは例年、ヨーロッパリーグ(EL)出場権争いには絡んでくる中堅だが、今季は目立った戦力補強があったわけではなかったものの、現有戦力をグラスナー監督がうまくまとめ上げた格好だ。とりわけ大きかったのがシーズン20ゴールの大台に乗せた主砲FWヴェグホルストの存在。過去2シーズンも15ゴール超えとコンスタントに得点力を発揮していたが、今季はより得点感覚に磨きがかかった印象だった。
◆遠藤航、鎌田、堂安が活躍、長谷部と奥川は及第点、遠藤渓太は来季に期待、大迫は落第~7人の日本人~
7人が挑戦した今季のブンデスリーガではシュツットガルトのMF遠藤航、フランクフルトのMF鎌田、ビーレフェルトのMF堂安がチームを牽引する働きを見せた。

まずは遠藤航。シュツットガルトを昇格に導き、1部初挑戦となった遠藤航だったが、物怖じせず堂々たるプレーを披露。フィジカルの強さを生かし、デュエル勝率で圧巻のリーグ1位をマークして見せた。最終節、出場停止で欠場した以外は全て先発と、シュツットガルトにとって欠かせない戦力となっていた。

続いて鎌田。CL出場権獲得には一歩及ばなかったものの、フランクフルトを5位フィニッシュに導く活躍を見せた。昨季の活躍以上に目に見えるスタッツを残し、リーグ戦5ゴール15アシストを記録した。チームメートのMF長谷部もリーグ戦29試合に出場。37歳となったが、まだまだ老け込むことなく今季は運動量が求められる本職のボランチでも十分なプレーを見せた。

そしてMF堂安。PSVからレンタルで加入し、昇格組のビーレフェルトに加入した中、リーグ戦全試合スタメン出場を果たした。劣勢を強いられることが多かった中、守備も献身的に行った上、5ゴール3アシストを記録し、チームを残留に導いた。また、1月にザルツブルクから加入したMF奥川もチームの戦力となって残留に貢献。残留の懸かる最終節ではPKを獲得するなど、日本人コンビが主力として存在感を示した。

一方でブレーメンのFW大迫はまさかのノーゴールに終わり落第。チームも41年ぶりに降格し、痛恨のシーズンとなってしまった。また、ウニオン・ベルリンにレンタルで加入したMF遠藤渓太は好調なチームの中、なかなか出場機会を得られず苦しんだ。それでも完全移籍を勝ち取り、来季の活躍が期待される。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)
Getty Images

文句なしでの選出。ヒザの負傷により約1カ月戦列を離れる時期があっての大記録樹立に脱帽だ。結局、29試合の出場で41ゴールと並外れたスタッツを残し、不滅と思われたレジェンドのゲルト・ミュラー氏超えを達成してしまった。彼がいる限り、バイエルンが王座から退くことはなさそうだ。

★最優秀監督
◆アディ・ヒュッター(フランクフルト)
Getty Images

惜しくもクラブ史上初のCL出場権獲得は果たせなかったが、5位フィニッシュに導いたフランクフルトのヒュッター監督を選出。限られた戦力ながら選手たちの特長をしっかりと出させる戦術で、上位争いを展開し続けた。惜しむらくは自身がボルシアMGの指揮官に就任することが発表されて以降、チームの士気が落ちてしまったこと。来季は新天地での好采配が期待される。

【期待以上】
★チーム
◆ウニオン・ベルリン
Getty Images

クラブ史上2度目の欧州カップ戦出場を果たしたウニオンを選出。昇格2年目の今季、シーズンを通して安定した戦いを続け、見事7位でフィニッシュし、新設されたカンファレンスリーグへの出場を決めた。堅守速攻のスタイルを突き詰め、大きな成果を残した。

★選手
◆MFジャマル・ミュージアラ(バイエルン)
Getty Images

ドイツ出身で2年前にチェルシーの下部組織からバイエルンに加入したミュージアラ。昨年6月にトップチームデビューを果たして迎えた今季、その才能が早くも花開いた。ゴレツカやキミッヒ、トリソら中盤の主力が戦列を離れる時期のあったバイエルンだったが、その穴を埋める以上の活躍を18歳の若武者はやってのけた。今年2月、ドイツ代表を選択したが、ユーロでの活躍が期待される。

【期待外れ】
★チーム
◆シャルケ
Getty Images

もはや近年の低迷から降格は驚きではない状況だったが、ここまでの体たらくは想像できなかった。かつてはCL出場権争いの常連だった名門だが、フロントのゴタゴタもあり、チーム力が大きく減退してしまった。そのツケが一気に吹き出たシーズンとなったが、30年ぶりの2部降格で目を覚ますことはできるか。

★選手
◆MFリュカ・トゥザール(ヘルタ・ベルリン)
Getty Images

リヨンからクラブレコードの2500万ユーロで加入したトゥザールだったが、その移籍金に見合うだけの活躍は披露できなかった。中盤の底でチームを安定させる役割を担いたいところだったものの、失点がかさむチームを救うことができず。ビッグクラブ化を図った今季のヘルタだったが新戦力が軒並み外れ、道半ばで頓挫に終わりそうな気配だ。


PR
関連ニュース

技ありのとんでもゴールを決めたムバッペ、ゴールデンシュー争いで2位浮上も受賞はかなり困難?

パリ・サンジェルマン(PSG)のフランス代表FWキリアン・ムバッペがロリアン戦で2ゴールの活躍。これで、今シーズンのゴールデンシュー争いで2位に浮上した。 各国リーグもシーズン終盤戦に差し掛かっており、ブンデスリーガではすでにレバークーゼンが無敗で初優勝。セリエAもインテルの20度目のスクデット獲得を決めている。 リーグタイトル以外にも注目されるのがヨーロッパ・ゴールデンシュー。シーズンのリーグ戦で最もゴールを決めた選手に届けられる賞だ。 リーグごとの格差を埋めるため、UEFAリーグランキングで1位から5位のリーグは得点の2倍、6位から21位のリーグは1.5倍の係数がかけられ、ポイントで争うこととなる。 各国の得点王が争うタイトルだが、その中の1人であるムバッペは、24日に行われたリーグ・アン第29節延期分のロリアン戦で2ゴールの活躍。リーグ・アンでのゴールを「26」に伸ばし、52ポイントで2位に浮上した。 これまでの2位はシュツットガルトのギニア代表FWセール・ギラシー。ここまで25ゴールを記録し、残留争いを続けていたシュツットガルトの3位躍進に貢献している。 ギラシーを1ゴール抜いたムバッペだが、1位は遠くにいる。バイエルンのイングランド代表FWハリー・ケインで、今シーズンから挑戦したブンデスリーガで33ゴールを記録。66ポイントを持っており、7ゴール差だ。ブンデスリーガは残り4試合、リーグ・アンも残り4試合。ケインがこの先ゴールを決めなかったとしても、ムバッペは4試合で7ゴール以上が必要な状況。不可能とは言わないが、かなり難しいミッションとなりそうだ。 なお、ラ・リーガのトップはジローナのウクライナ代表FWアルテム・ドフビクの18ゴール(36ポイント)で13位タイ。プレミアリーグのトップはマンチェスター・シティのノルウェー代表FWアーリング・ハーランド、チェルシーのイングランド代表MFコール・パーマーの20ゴール(40ポイント)で6位タイ。セリエAのトップはインテルのアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスで23ゴール(46ポイント)で4位タイとなっている。 ◆ヨーロッパ・ゴールデンシュー ランキング 1位:ハリー・ケイン(バイエルン) 66ポイント(33ゴール) 2位:キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン) 52ポイント(26ゴール) 3位:セール・ギラシー(シュトゥットガルト) 50ポイント(25ゴール) 4位タイ:ラウタロ・マルティネス(インテル) 46ポイント(23ゴール) 4位タイ:ロイス・オペンダ(RBライプツィヒ) 46ポイント(23ゴール) 6位タイ:アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ) 40ポイント(20ゴール) 6位タイ:コール・パーマー(チェルシー) 40ポイント(20ゴール) 8位:ルークデ・ヨング(PSV) 39ポイント(26ゴール) 8位:ヴァンゲリス・パヴリディス(AZ) 39ポイント(26ゴール) 10位:オリー・ワトキンス(アストン・ビラ) 38ポイント(19ゴール) <span class="paragraph-title">【動画】とんでもゴールを含むムバッペが2ゴールを記録!</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJUTHp4bFJsRiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.onefootball.com/inline/ultrasoccer.js"></script> 2024.04.25 17:15 Thu

バイエルンがター獲得に動く? 代理人サイドと交渉を開始

バイエルンが、レバークーゼンのドイツ代表DFヨナタン・ター(28)の獲得に動き始めたようだ。 今シーズンのブンデスリーガで12連覇を逃したバイエルン。すでにトーマス・トゥヘル監督のシーズン終了後の退任が決定し、後任探しに注力する一方、来シーズンの覇権奪還に向けて戦力補強にも動くクラブは、今季優勝を逃した大きな要因であるディフェンスラインのテコ入れとしてライバルクラブの主力引き抜きを画策しているようだ。 ドイツ国内の移籍に精通するジャーナリストのフロリアン・プレッテンベルク氏によると、バイエルンはターの獲得に向けて代理人サイドとの交渉を開始。契約に向けた動きを推し進めているという。 同選手とレバークーゼンの契約は2025年までとなっており、クラブはブンデスリーガ初優勝に貢献した主力との契約延長を希望しているものの、選手本人はプレミアリーグや欧州主要リーグのビッグクラブ移籍を希望しているとみられる。 3バックと4バックのセンターバックに加え、ドイツ代表ではユリアン・ナーゲルスマン監督の下で右サイドバックの役割も担う28歳は、その汎用性や経験値を含め、どの指揮官にとっても間違いなく構想に入るタイプの選手だけに、バイエルン首脳陣としては新監督の人選に関わらず、確保しておきたい人材のようだ。 2024.04.25 11:00 Thu

オーストリアを率いるラングニック監督がバイエルンからの接触を認める「OFBにもそのことは伝えてある」

オーストリア代表を率いるラルフ・ラングニック監督が、バイエルンからの接触を認めている。オーストリア『90minuten』が報じている。 バイエルンはブンデスリーガのタイトルレースでレバークーゼンに大きく後れを取っていたこともあり、2月にトーマス・トゥヘル監督の今シーズン限りの退任を発表。 すでに後任探しを始めているクラブは、レバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いたシャビ・アロンソ監督や2021年7月~2023年3月までクラブを率いたドイツ代表のユリアン・ナーゲルスマン監督にアプローチをかけたが、交渉はまとまらず破談に。そして、現在はラングニック監督と交渉中であると、一部メディアに報じられていた。 そんな中、ラングニック監督は『90minuten』のインタビューでバイエルンについての質問を受けると、実際にクラブからコンタクトがあったと明かした。 「バイエルンから連絡があり、オーストリアサッカー協会(OFB)にもそのことは伝えてある。我々は非常に強い信頼関係で結ばれている。今はオーストリア代表のことだけを考えていて、それ以外のことは考えていない。ユーロのことだけに集中しているんだ。ここはとても居心地がいい。今のところ、去就について具体的に考える必要はないと思っている」 2024.04.25 00:30 Thu

CLレアル戦に期待感高めるムシアラ、元同僚ベリンガムの活躍ぶりにも言及「驚かなかった」

バイエルンのドイツ代表MFジャマル・ムシアラがかつての戦友とも相まみえる大一番を心待ちにしている。スペイン『アス』が伝えた。 アーセナルとの準々決勝を制し、チャンピオンズリーグ(CL)でベスト4まで到達したバイエルン。ファイナル進出が懸かる準決勝ではレアル・マドリーとの2試合が待ち受けている。 ホームでの1stレグを30日に控える中、チームの攻撃を牽引するムシアラはこの強敵との対戦についてドイツ『シュポルト・ビルト』にコメント。敵地サンティアゴ・ベルナベウで行われる5月8日の2ndレグも含め、期待に胸を膨らませている。 「伝統あるベルナベウでのレアル・マドリーとの試合を楽しみにしている。ヨーロッパで最高の2チームが対戦する。重要な試合だ」 また、ドイツ生まれイギリス育ちのムシアラは、ユース年代をイングランド代表として戦っており、当時はマドリーのイングランド代表MFジュード・ベリンガムとも共闘。CLでの対戦を前に、元チームメイトの活躍ぶりについても語った。 「ジュードとはヤングライオンズで長年ルームメイトだったし、何試合か一緒にプレーした。それ以来僕らは良い友達だ。彼が順調なことを嬉しく思っている。彼は自信に満ち溢れているし、大きな挑戦を前にしても躊躇しない」 「言うまでもなく、彼のレアル・マドリーでのスタートは普通ではなかった。他国のチームと契約する際、普通であれば環境に適応しなければならないが、ジュードの場合は違った。それに、そのことにはあまり驚かなかった。彼のメンタリティを知っているからね」 2024.04.24 18:23 Wed

シャビ・アロンソ、ナーゲルスマンの招へい失敗のバイエルン、ラングニック監督との交渉が加速中か

新指揮官の選定を急ぐバイエルンは、オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督(65)との交渉を進めているようだ。 バイエルンはブンデスリーガのタイトルレースでレバークーゼンに大きく後れを取っていたこともあり、2月にトーマス・トゥヘル監督の今シーズン限りの退任を発表。後任の最有力候補はそのレバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いたシャビ・アロンソ監督だったが、指揮官は3月に残留を明言した。 続けてバイエルンがターゲットとしたのは、ドイツ代表を率いるユリアン・ナーゲルスマン監督。2021年夏に就任してから2023年に電撃解任されるまで指揮をとっていた若手指揮官の再招へいに動いていたが、ナーゲルスマン監督はドイツ代表での仕事継続を決断し、契約延長が発表されている。 当初、4月中には新指揮官を決定したい意向を持っていたバイエルン。ドイツ『スカイ・スポーツ』によると、現在はラングニック監督と交渉中であり、指揮官側も前向きな姿勢を示しているとのことだ。 ラングニック監督はこれまでシュツットガルトやハノーファー、シャルケ、ホッフェンハイム、RBライプツィヒなど、主にブンデスリーガで監督を歴任。現在はオーストリア代表を指揮しており、6月から始まるユーロ2024へ向けた準備を進めている。 バイエルンはかねてよりラングニック監督の手腕を高く評価しているが、指揮官が大きな大会を控えていることもあり、まだ不確定要素も残っているようだ。 2024.04.24 14:05 Wed
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly