ユナイテッドが4季ぶりの決勝進出! ローマに意地の勝利許すも初戦のアドバンテージで逃げ切る《EL》

2021.05.07 06:08 Fri
Getty Images
ヨーロッパリーグ(EL)準決勝2ndレグ、ローマvsマンチェスター・ユナイテッドが6日にスタディオ・オリンピコで行われ、ホームのローマが3-2で勝利した。ただ、2戦合計スコアでは5-8としたユナイテッドの決勝進出が決定している。
PR
先週にオールド・トラフォードで開催された1stレグは、優勝候補筆頭のユナイテッドが6-2という衝撃的なスコアで先勝に成功し、今回の一戦を待たずしてグダニスク行きの切符をほぼ手中に収めた。
前半に3選手が負傷交代するアクシデントがあったとはいえ、課題の守備崩壊によって惨敗したローマは、先週末のセリエAではサンプドリアに0-2の完敗を喫し、来シーズンのEL出場権獲得も絶望的となった。

さらに、4日には今シーズン限りでのフォンセカ監督の退任および、モウリーニョ氏の来季新監督招へいという驚きのニュースが舞い込んだ。そんな激動の1週間を過ごしたチームは公式戦7戦ぶりの白星を目指す中、1stレグから先発4人を変更。いずれも初戦で負傷したGKパウ・ロペス、ディアワラ、ヴェレトゥ、スピナッツォーラに代えてサスペンション明けのマンチーニ、GKミランテ、ブルーノ・ペレス、ペドロが起用された。

一方、ユナイテッドは2つのアウェイゴールを与えこそしたものの、圧巻のゴールショーで2016-17シーズン以来のELファイナル進出をほぼ確実なモノとした。ただ、クラブを巡ってはヨーロッパ・スーパーリーグ(ESL)構想に同意したオーナー一家に対するサポーターからの批判が高まっており、2日に開催予定だったリバプール戦が一部の過激なサポーターによる本拠地での過激な抗議活動の結果、開催延期となる事件に見舞われた。
これにより、今週末からの5日間にリーグ戦3試合の超過密日程を強いられることになったスールシャール監督は、難しい用兵を迫られた中で1stレグから先発3人を変更。リンデロフ、マクトミネイ、ラッシュフォードをベンチに置き、バイリー、ファン・デ・ベーク、グリーンウッドを起用した。

逆転突破に最低4点が必要なローマは本職センターバックのマンチーニを中盤に上げた前輪駆動の[4-2-3-1]を採用。これに対してユナイテッドは同じ[4-2-3-1]を採用も、ポグバをボランチ、ファン・デ・ベークを左ウイングと配置に変化を加えた。

戦前の予想通り、キックオフ直後から前がかるローマは開始直後に得た連続のセットプレーからゴール前のマンチーニが左足ボレー、ムヒタリアンがヘディングシュートといきなり相手ゴールに迫る。以降も前から激しく圧力をかけて良い形でボールを奪い、ペッレグリーニやペドロが積極的に足を振っていくが、最後の精度を欠き開始早々のゴールには至らなかった。

一方、初戦の大量リードが足かせとなったか、あるいはローマの4バックへの変更が想定外だったか、防戦一方の展開が続くユナイテッド。それでも、徐々に相手の圧力に慣れてくると、うまく試合を落ち着けていく。さらに、前がかりな相手の背後を突く形の攻撃から20分にフレッジの浮き球スルーパス、26分にブルーノ・フェルナンデスのスルーパスに抜け出したカバーニに続けてビッグチャンスが訪れるが、一度目はループシュートが枠の上、2度目はコースの甘いシュートをGKミランテに阻まれてアウェイゴール奪取とはならず。

その後、筋肉系のトラブルによってスモーリングがプレー続行不可能となり、初戦に続いて前半に負傷交代を余儀なくされたローマは30分、これがELデビューとなる19歳MFダルボーをスクランブル投入。この交代でマンチーニがセンターバックにポジションを下げた。

すると、相手のメンバー変更で生まれた一瞬の隙を試合巧者のアウェイチームが見事に突く。39分、ショーの縦パスに反応したトップ下のブルーノ・フェルナンデスがセンターバックに落ちたマンチーニを釣り出してレイオフ。サポートに入ったフレッジが前向きに持ち運んで背後を狙うカバーニへ絶妙なスルーパスを通すと、百戦錬磨のウルグアイ代表FWはこの試合3度目の決定機をきっちり決め切り、決勝進出を決定づけるアウェイゴールを奪った。

ハーフタイムにかけてはよりオープンな展開となり、ローマはムヒタリアン、ユナイテッドはグリーンウッド、B・フェルナンデスと互いに決定機を作り合うが、前半はユナイテッドの1点リードで終了した。

迎えた後半、ようやく突破を確信したスールシャール監督はワン=ビサカとショーの両サイドバックを下げてブランドン・ウィリアムズ、テレスをハーフタイム明けに投入し、今後の連戦を睨んだ采配を見せた。

一方、逆転突破は絶望的も何とかホームゲームを勝利し、一矢報いたいローマは後半も引き続き攻勢を仕掛けていく。GKデ・ヘアの牙城を破れず、早い時間帯の同点ゴールとはならなかったが、55分を過ぎてようやく序盤からの攻勢が結実する。

57分、クリスタンテのスルーパスに反応したムヒタリアンがボックス左のゴールライン際で浮き球の折り返しを入れると、これをファーのペドロがダイレクトシュート。当たり損ねとなったボールがゴール前のジェコへの絶好の折り返しとなり、ユナイテッドキラーがヘディングで初戦に続くゴールとした。

このゴールで完全に勢いづいたローマは直後の60分に相手ボックス付近でフレッジからボールを奪ったペッレグリーニのショートパスに反応したクリスタンテが半身から鋭い右足のシュートをゴール左隅に突き刺し、逆転に成功した。

さらに、畳みかけるホームチームは1分後にも右サイドのスペースに抜け出したカルスドルプからの絶妙なクロスをゴール前に飛び込んだジェコがヘディングシュート。さらに、こぼれ球に詰めたペドロがゴール至近距離からシュートを放つが、いずれもGKデ・ヘアのビッグセーブに遭う。続く62分にもボックス右でペドロがグラウンダーで折り返したボールをニアに飛び込んだムヒタリアンがワンタッチで合わすが、これもデ・ヘアの身体を張ったビッグセーブに阻まれた。

デ・ヘアの連続セーブがなければ、2戦合計スコアでも危うい展開になりかねなかったユナイテッドは、精彩を欠いたポグバを下げてマティッチを64分に投入。攻守のバランスを整えにかかる。すると、初戦と同様に苦しい展開を救ったのは、絶対的司令塔とストライカーのコンビだった。

68分、グリーンウッドのボックス内でのボールキープからマイナスの落としを受けたB・フェルナンデスが絶妙な斜めのクロスをゴール前に入れると、ボックス右から完璧に相手の背後を取って斜めにゴール前に飛び出したカバーニが頭で合わせ、2戦連続での2ゴールを達成した。

これで2戦合計の勝負は完全に決した中、ユナイテッドは殊勲のカバーニを下げてラッシュフォードを投入。対してこの試合での勝利にこだわるローマは、76分にジェコとペドロを下げてマジョラルと、これがトップチームデビューとなる19歳MFザレフスキをピッチに送り込んだ。

すると、この一戦へのモチベーションで上回るホームチームが勝ち越す。83分、ボックス左角でサントンが入れた浮き球のクロスをファーで反応したザレフスキが右足ダイレクトボレー。これがDFテレスに当たって大きくコースが変わり、GKデ・ヘアの股間を抜けたボールがゴールネットに吸い込まれた。

記録上はテレスのオウンゴールもトップデビューのザレフスキの大仕事で勝ち越しに成功したローマは以降も懸命にゴールを目指したが、さすがにここから大量ゴールを奪うまでには至らず。

この結果、カバーニの2戦連続2ゴールの活躍によってトータルスコアを8-5としたユナイテッドが4シーズンぶりの決勝進出を果たした。なお、今月26日にポーランドで行われる決勝ではアーセナルを破って初の決勝進出となったビジャレアルとの対戦が決定している。

PR
関連ニュース

ブルーノが逆転導く2ゴールで直近5戦7発! 「一番は勝つこと」

マンチェスター・ユナイテッドの大黒柱がプレミアリーグ5試合ぶりの勝利を呼び込んだ。 ユナイテッドは24日の第29節延期分でシェフィールド・ユナイテッドをホームに迎え撃ち、4-2で勝利。最下位に沈み、残留に厳しい戦いが続く相手に2度もリードを許したが、ポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスが1-2の61分に同点となるPK弾を決めると、81分に勝ち越し弾もマークし、逆転に導いた。 85分のダメ押しとなるデンマーク代表FWラスムス・ホイルンド弾もアシストして、2得点1アシストの活躍を披露したブルーノはイギリス『BBC』によると、失点を反省しつつ、逆転勝ちを喜び、不安定な戦いぶりにも言及している。 「僕らはいつだってクリーンシートの話をしているし、やりたいと思っている。その点ではシェフィールド・ユナイテッドの功績だ」 「でも、最後は僕らが挽回した。自分たちで勝つのを難しくしたけど、少しはキャラクターを示したと思う。前半のように試合をコントロールするなら、チャンスをモノにしないといけないのを認識する必要がある」 「僕らは多くのゴールを決めた。チームとして必要なのはコンパクトさだ。ゴールを決められたのは本当に嬉しいけど、そんなことよりも勝ちたい。ゴールも僕の役割ではあるけど、一番は勝つことなんだ」 「最近、僕らは本来ほど多く勝てているわけじゃない。それも仕事の一部で、8、9試合続けて勝ったりもするけど、負ければ批判されるもの。マンチェスター・ユナイテッドの選手である限り、勝利が求められる」 なお、ブルーノはこれで直近の公式戦5試合で7得点2アシスト。プレミアリーグでは4戦連発だ。 <span class="paragraph-title">【ハイライト動画】マンチェスター・ユナイテッドvsシェフィールド・ユナイテッド</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="qS24vORE20w";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.25 10:45 Thu

テン・ハグ監督がネガティブな点もありと語る逆転劇 「学ばないと。勝利には満足だがね」

マンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグ5試合ぶりの白星を掴んだ。 24日の第29節延期分でシェフィールド・ユナイテッドをホームに迎え撃ったユナイテッド。最下位相手に2度もリードを許したが、大黒柱ブルーノ・フェルナンデスの2得点1アシストもあり、4-2で逆転勝ちした。 先のFAカップ準決勝でPK戦にもつれる熱戦を演じた直後のリーグ戦も勝利で飾り、公式戦連勝のエリク・テン・ハグ監督はイギリス『BBC』の番組『 Match of the Day』で反省も口にしつつ、勝利に満足した。 「多くのポジティブがある日だ。2度にわたってリードを許してから反撃する挽回力もあった。ネガティブな点もあったがね。失点はあってはならないし、受け入れられない。学ばないとね。だが、勝利に関しては満足だし、次に進まないといけない」 また、「(ビハインドになってからの動揺?) いや、ないよ。試合を通じてチャンスを作り続けた。(ラスト15分はベストな出来?) いや、ウェンブリーでの70分間の方がずっと良かったよ」と振り返っている。 FAカップに続いて、センターバックとしてプレーしたカゼミロにも「ハリー(・マグワイア)とともに、彼はとても良いセンターバックだと思う。ポゼッションの有無に関わらず、非常に安定している」と評した。 そして、直近の公式戦5試合で7ゴールを記録するブルーノの働きぶりにも「彼は非常に一貫性がある。今の彼は非常に調子が良いね」と話している。 <span class="paragraph-title">【ハイライト動画】マンチェスター・ユナイテッドvsシェフィールド・ユナイテッド</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="qS24vORE20w";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.25 10:15 Thu

ブルーノ・フェルナンデスが2G1Aと躍動!最下位ブレイズを下したユナイテッドがリーグ戦5試合ぶりの白星【プレミアリーグ】

マンチェスター・ユナイテッドは24日、プレミアリーグ第29節延期分でシェフィールド・ユナイテッドと対戦し4-2で勝利した。 FAカップ準々決勝の影響で延期となっていた最下位ブレイズ(勝ち点16)とのホームゲームでリーグ戦5試合ぶりの勝利を狙う7位ユナイテッド(勝ち点50)。 21日に行われたFAカップ準決勝のコヴェントリー・シティ戦をPK戦の末に勝利したユナイテッドは、その試合からスタメンを2人変更。ラッシュフォードとマクトミネイに代えてエリクセンとアントニーをスタメンで起用した。 立ち上がりから主導権を握ったユナイテッドだが、要所で集中した守りを見せるブレイズ守備陣を攻略できず、なかなか決定機まで至らない状況が続く。 それでも22分には、アントニーとのワンツーでゴール前まで侵入したガルナチョが最初の決定機を迎えたが、シュートはGKフォダリンガムの好セーブに防がれた。 するとユナイテッドは、35分にミスから失点を許す。GKオナナが左サイドに展開したビルドアップのボールをボーグルがカットされると、そのままゴールエリア右まで侵入され、シュートをゴールに流し込まれた。 先制を許したユナイテッドだったが、42分にセットプレーの流れから追いつく。ボックス右手前で獲得したFKからブルーノ・フェルナンデスがクロスを供給すると、左サイドに流れたボールをボックス左横で拾ったガルナチョがクロス。ニアでマグワイアが合わせると、これがゴール右隅に吸い込まれた。 さらにユナイテッドは、44分にもGKオナナからロングフィードをボックス手前まで駆け上がったダロトが落とすと、最後はガルナチョがシュートを放ったが、これはGKフォダリンガムの好セーブに阻まれた。 同点で後半を迎えたユナイテッドだったが、開始早々の50分にリードを許す。ハメルのパスでボックス左に抜け出したオズボーンの折り返しをブレレトン・ディアスにワンタッチで流し込まれた。 早い時間に勝ち越しを許したユナイテッドは60分、右CKの場面でポジション内のマグワイアがトラスティに倒されると、主審はPKを宣告。このPKをブルーノ・フェルナンデスがゴール左に突き刺した。 試合を振り出しに戻したユナイテッドは、81分にもバイタルエリア中央右でボールを受けたブルーノ・フェルナンデスが左足を振り抜くと、コントロールショットがゴール右に突き刺さり、逆転に成功した。 待望の逆転弾で勢いづくユナイテッドは85分、ダロトのロングパスからボックス右に侵入したブルーノ・フェルナンデスが意表を突くタイミングで折り返しを供給すると、ゴール前に走り込んだホイルンドがゴールネットを揺らした。 その後、91分にトップチームデビューとなる18歳FWウィートレイを投入したユナイテッドは4-2のままタイムアップ。ユナイテッドが逆転勝利でリーグ戦5試合ぶりの白星を飾った。 2024.04.25 06:03 Thu

負傷者多数のユナイテッド、ラッシュフォード&マクトミネイも状態懸念

マンチェスター・ユナイテッドのエリク・テン・ハグ監督が、2選手の欠場の可能性について語った。クラブ公式サイトが伝えた。 先日行われたFAカップ準決勝では、チャンピオンシップ(イングランド2部)のコヴェントリー・シティ相手に3点差を追いつかれ、延長戦とPK戦の末に辛くもファイナル進出を決めたユナイテッド。プレミアリーグでも4試合勝ちなしと苦しい状況が続く中、24日には第29節延期分のシェフィールド・ユナイテッド戦に臨む。 最終ラインを中心に負傷者に悩まされているテン・ハグ監督は、コヴェントリー戦でブラジル代表MFカゼミロをセンターバックで起用。シェフィールド・ユナイテッド戦も引き続きカゼミロがCBに入ると見られる。 また、テン・ハグ監督はイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードとスコットランド代表MFスコット・マクトミネイの状態が不安だと前日会見でコメント。アルゼンチン代表FWアレハンドロ・ガルナチョとポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスも万全ではないというが、こちらはプレー可能なようだ。 「ガルナチョには問題があったからあの試合(コヴェントリー戦)では交代させた。だが、彼は大丈夫だと思う」 「スコット・マクトミネイについては今日判断しなければならない。状態がとても疑わしい。マーカス・ラッシュフォードの状態も怪しい。ブルーノ・フェルナンデスは手に問題があったが、彼は出場可能だと思う」 「そのため、明日の試合に向けてはいくつかの懸念がある」 2024.04.24 15:57 Wed

「帰ってきたポグバが別人に」モウリーニョ氏がユナイテッドでの指揮を回想「私は仕事をこなした」

ジョゼ・モウリーニョ氏がマンチェスター・ユナイテッド指揮官時代を振り返った。イギリス『ミラー』が伝えている。 2016-17シーズンから18-19シーズン途中まで、約2年半ユナイテッドを指揮したモウリーニョ氏。最後は成績不振が決定打となって解任されたわけだが、今回『テレグラフ』の取材でその当時を振り返る。 「最後の数カ月、クラブが私の経験・判断を信頼してくれれば、状況を変えられるかもしれないと感じる瞬間もあった。ユナイテッドは5〜6年前(在任当時)に私が必要としなかった選手が今も残っているね」 「ユナイテッドに相応しいパーソナリティやプロフィールをしっかり披露しなかった選手がいる一方、私は自らの仕事をこなした。時間が経つと、真実が浮き彫りになってくる」 ユナイテッド前上層部に恨み節のモウリーニョ氏。解任された18-19シーズン、当時W杯制覇メンバーとなったばかりのポール・ポグバとの衝突が伝えられたが、これは事実だと言う。 「フランス代表が勝った2018年だな…帰ってきたポールは別人だったよ」 「サッカーはチームスポーツ。全員が同じ哲学を同じレベルで共有したいわけだが、あのロシアW杯はポールの価値観を変えてしまった。サッカーが最も大事ではない人生に切り替わってしまった…」 最後はマンチェスターでほとんど信任を得られなかったモウリーニョ氏だが、指揮官なりの苦悩もあったようだ。 2024.04.24 14:20 Wed
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly