ミランがローマとの上位対決制して公式戦5戦ぶりの白星! イブラヒモビッチら主力アタッカー3人負傷交代の代償に勝ち点3奪取《セリエA》

2021.03.01 06:49 Mon
Getty Images
セリエA第24節、ローマvsミランが2月28日にスタディオ・オリンピコで行われ、アウェイのミランが1-2で勝利した。

現在、4位のローマ(勝ち点44)は前節、10人となったベネヴェントからゴールを奪えず0-0の引き分けに終わった。それでも、ミッドウィークに行われたヨーロッパリーグ(EL)のブラガ戦では3-1の快勝を収め順当にベスト16進出を決めた。今季結果が出ていない上位対決ではセンターバックの負傷者続出に伴い、ファシオを3バックの右で引き続き起用した以外、現状のベストメンバーを起用。ただ、負傷のジェコがベンチを外れている。
一方、2位のミラン(勝ち点49)は前節ミラノ・ダービーに0-3で完敗し、首位インテルとの勝ち点差が「4」に広がった。さらに、ホーム開催となったELではツルヴェナ・ズヴェズダ相手に数的優位を得るも1-1のドローに終わり、辛くもアウェイゴール数の差で薄氷の16強入りとなった。公式戦4試合未勝利で臨む難敵とのアウェイゲームではインテル戦からカピターノのロマニョーリを外し、トモリを起用した以外同じメンバーを起用した。

前回対戦で3-3の撃ち合いを演じた両者の一戦は、ホームチームのバタつきによってアウェイチームが続けて決定機を迎える。まずは2分、ボックス左でテオ・エルナンデスの落としに反応したイブラヒモビッチがGKパウ・ロペスを脅かすファーストシュートを放つと、このプレーで得た右CKの流れからトモリがゴールネットを揺らすが、ここはオフサイドの判定に。

続く5分にはバックパスを受けたGKパウ・ロペスにプレッシャーをかけたイブラヒモビッチがボックス内でボールを奪って無人のゴールへシュートを放つが、これは惜しくも枠の左に外れた。さらに、9分にはケシエがビジャールから高い位置でボールを奪ってショートカウンターに転じ、ボックス左に抜け出したレビッチから右を並走するイブラヒモビッチにプレゼントパスが出る。これをエースが難なくゴールネットへ流し込むが、ラストパスの時点でオフサイドラインを越えており、ゴールは取り消しとなった。
相手のミスを生かし切れない拙攻で序盤のビッグチャンスを逃したミランだが、半分寝た状態でピッチに入ったローマは再三のピンチも目覚ましの代わりとはならず、以降も不用意なボールロストを連発。そして、17分には再びカウンターから今度はボックス手前のレビッチが強烈なミドルシュートを枠の左へ飛ばすが、これはGKパウ・ロペスのビッグセーブに阻まれた。

20分を過ぎてローマが目覚めたことで、ようやく試合らしくなり始めると、22分にはボックス内でのマジョラルの落としに反応したヴェレトゥが際どい枠内シュートを放ってGKドンナルンマを脅かす。

前半半ばを過ぎると、試合は多くの決定機を作り合う非常にオープンな展開となる。まずは27分、チャルハノールの右CKをケアーが渾身のヘディングで合わせるが、これは惜しくもクロスバーを叩く。さらに、ミランは33分と34分にレビッチ、サーレマーケルズとボックス内で強烈なシュートを枠に飛ばすが、いずれもGKパウ・ロペスのビッグセーブに阻まれる。

対するローマも36分にムヒタリアンの絶妙なショートスルーパスに抜け出したペッレグリーニがゴール前で立て続けにシュートを放つが、これはトモリ、トナーリの身体を張ったシュートブロックに遭う。続く38分にはカルスドルプの斜めのラストパスに完璧なタイミングで抜け出したムヒタリアンが飛び出したGKの位置を見極めてチップキックを狙うが、これは惜しくも枠の左へ外れた。

互いに再三の決定機を決め切れないまま前半終了かに思われたが、アウェイのミランがセットプレーでゴールをこじ開ける。39分、相手ボックスギリギリの位置でカラブリアがDFファシオにアフターで足をスパイクされる。一度プレーは流されたものの、オンフィールドレビューの結果、このファウルでPKが与えられる。これをキッカーのケシエがきっちり決めて43分の先制点とした。

1点リードで試合を折り返したミランだが、筋肉系のトラブルによってチャルハノールが前半でベンチに下がりブラヒム・ディアスが後半から投入される。立ち上がりの49分にはカウンターからボックス手前まで攻め上がったテオが強烈なミドルシュートを放つが、これはわずかに枠の左へ外れた。

一方、後半もピンチからスタートしたローマだが、ファーストチャンスを生かして同点に追いつく。50分、左サイドを攻め上がったスピナッツォーラがボックス左でタメを作ってヴェレトゥにマイナスのパスを送る。そして、そのまま短く運んだヴェレトゥが絶妙な右足のシュートをゴール右隅に突き刺した。

この同点ゴールで勢いづくローマは直後にもスルーパスに抜け出したムヒタリアンがボックス左に抜け出して並走するマジョラルへラストパスを送るが、ここはDFトモリの好守に阻まれる。

一方、ミランは前半から足を気にしていたイブラヒモビッチがプレー続行不可能となり、56分にレオンを緊急投入。チャルハノールに続くエースの負傷交代に嫌な流れが漂うが、この直後に勝ち越しに成功する。

58分、GKパウ・ロペスの苦し紛れの縦パスを相手陣内でカットしたサーレマーケルズからボックス手前左でパスを受けたレビッチが巧みなターンから見事な左足のシュートをゴール右隅に突き刺した。

良い流れの中でミスから再びビハインドを背負う展開となったローマは62分にファシオを下げてブルーノ・ペレスを投入。この交代でカルスドルプが3バックの右に落ちてブルーノ・ペレスが右ウイングバックに入る。

一方、勝ち越したミランだが、この試合で三度目のアクシデント発生。殊勲の2点目を奪ったレビッチがスプリントした際にハムストリングかでん部を痛めてしまい、自ら交代を要求。そして、67分にクルニッチの投入を余儀なくされた。

その後は中盤が間延びしてオープンな展開となり、互いに決定機を作り合う。何とか追いつきたいローマは古巣対戦のエル・シャーラウィ、ペドロらアタッカーをピッチに送り込む。

試合最終盤にはカスティジェホ、メイテの同時投入で逃げ切りを図るミランに対してローマが攻勢を仕掛けていく。93分にはボックス内での混戦からペッレグリーニが左足のシュートを枠に飛ばすが、これはGKドンナルンマが冷静に正面でキャッチ。

そして、試合はこのままタイムアップを迎え、主力アタッカー3人の負傷という代償を払った中、敵地でローマに競り勝ったミランが公式戦5戦ぶりの白星を手にし、首位インテルとの勝ち点差4を維持した。一方、またしても上位対決で敗れたローマはアタランタに抜かれてトップ4圏外の5位に転落した。
関連ニュース

好戦的サッカーのイタリアーノ監督はフィオレンティーナ退任確実か 伊紙がミランに推薦「このリスクを冒せ」

フィオレンティーナのヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督(46)には野心がある。『フットボール・イタリア』が伝えている。 ドイツ出身のイタリアーノ監督。現役時代はエラス・ヴェローナにキエーヴォ・ヴェローナ、ペルージャなどなどプロヴィンチャを渡り歩き、指導者キャリアも2019〜21年のスペツィアでセリエA初指揮。花の都フィレンツェが大都会に感じるほど、30年間地道にこの道を歩いてきた。 そんなイタリアーノ監督、2021-22シーズンからフィオレンティーナ指揮官になると、セリエAで7位、8位、今季ここまで8位と安定した順位を維持。前線からガンガンプレッシングをかける好戦的なサッカーを志向し、昨季はヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)準優勝&コッパ・イタリア準優勝という成果を上げた。 しかし、契約は今季限りで、どうやら退任を決意。特色ある46歳の戦術家は、指導者キャリアのステップアップを目指しているという。 『フットボール・イタリア』はイタリアーノをミランに猛プッシュ。退任濃厚とされるステファノ・ピオリ監督(58)の後任として「誰よりも合う」と推す。 「ヤングタレントを伸ばす能力、ヒトを管理する能力。この2つはロンバルディア州の州都(ミラノ)で貴重な要素。イタリアーノが率いたフィオレンティーナの3年間はいずれもポジティブ。ミランがインテルとの差を縮めるために最も必要なものは…『リスクを冒す』ことだ」 選手時代を含め、セリエAでタイトル獲得経験が一切ないイタリアーノ監督。そんな人材でも能力を信じて登用するリスクこそが、今のミランに必要だという。 2024.03.29 15:45 Fri

ヴォルフスブルクの190cmCBラクロワ、ミランに続いてユベントスも関心拡大

ヴォルフスブルクのフランス人DFマクサンス・ラクロワ(23)にユベントスも関心を高める。 ミランの獲得候補と報じられる190cmの右利きセンターバック・ラクロワ。イブラヒマ・コナテ(リバプール)を輩出したフランスの古豪ソショーで育まれ、2020年夏にヴォルフスブルクへ。加入から今季で4年目、常に主力としてプレーする。 フランス『レキップ』によると、ラクロワは2025年6月までとなっている契約の延長話がなく、今夏のステップアップを視野に。ヴォルフスブルクも同選手の売却をビジネスと捉えるなか、このほどクラブにユベントスから連絡が入ったという。 ユベントスがラクロワをどこまで重視しているかは不明だが、ミランにとってのラクロワは退団濃厚なデンマーク代表DFシモン・ケアー(34)の後継者候補。ブレストの元U-20フランス代表DFリリアン・ブラシエ(24)も注視しているとのことだ。 2024.03.29 14:45 Fri

オファー次第では売却も? ミランのMFベナセルに古巣アーセナルなど関心か

ミランのアルジェリア代表MFイスマエル・ベナセル(26)に移籍の可能性があるようだ。イタリア『Calciomercato.it』が伝えた。 2019年夏にエンポリから加わり、ミランの中盤を支えてきたベナセル。今シーズンは右ヒザの大ケガによりリハビリスタートとなったが、2023年12月に復帰して以降はコンスタントに出場を続けている。 一方、ミランではフランス代表FWオリヴィエ・ジルーのメジャーリーグ・サッカー(MLS)行きが有力となってきているが、高額なオファーが届けばベナセルの売却に踏み切る可能性もあるとのこと。クラブはこの26歳を重要な選手とみなしているが、5000万ユーロ(約81億6000万円)以上であれば放出も考慮するという。 現行契約を2027年6月まで残し、純額400万ユーロ(約6億5000万円)の年俸を受け取っているというベナセルに対しては、ヨーロッパのさまざまなクラブが関心。プレミアリーグのクラブも注目しているようで、特にベナセルにとって古巣のアーセナルが強い興味を抱いている模様だ。 また、サウジアラビアのクラブも獲得に動く気配があり、より高額なオファーはこちらから届くとも考えられている。 ミランの中盤を見ると、昨夏加入したオランダ代表MFタイアニ・ラインデルスやアメリカ代表MFユヌス・ムサ、今シーズン台頭したフランス人MFヤシン・アドリなど将来性豊かな選手が存在。イタリア代表MFトンマーゾ・ポベガもUEFAの選手登録の観点から重要と、頭数はそれなりに揃っている。 ベナセルは「心からミランを尊敬している」と語るクラブ愛の強い選手だが、同じくクラブ愛の強かったイタリア代表MFサンドロ・トナーリは昨夏ニューカッスルへ移籍。オファーがあるなら2年連続の高額売却も十分ありえるはずだ。 2024.03.28 19:47 Thu

37歳ジルーがロサンゼルスFCと契約合意か フランス代表の歴代最多得点者

ミランのフランス代表FWオリヴィエ・ジルー(37)が、ロサンゼルスFC(LAFC)との契約合意に達したようだ。 イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、今シーズン限りでミランとの契約が満了を迎えるジルーは、7月1日付けの18カ月契約でアメリカMLS・LAFCと合意したとのこと。 すでにミランとの契約延長の意志がないことがハッキリしつつあったが、欧州を離れて新たな冒険に出ることが事実上決まったようだ。 ジルーは2021-22シーズンにチェルシーからミランへ加入。30代半ばに差し掛かっての加入だったが、いきなり11年ぶりのスクデットに貢献し、今季まで3年間エースの座を譲らず。ここまでクラブ通算121試合46ゴール20アシストをマークし、数字以上の貢献度も全世界のミラニスタが認めるところ。 また、フランス代表では通算131試合57得点。ティエリ・アンリ氏らを抜いて同国歴代最多得点者であり、2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)制覇も経験している。今夏のユーロ2024を最後に、代表キャリアも終止符を打つとみられている。 まだまだ一級品のセンターフォワードであり、ミラン移籍後に最盛期を迎えたといっても過言ではないほどの存在感だったが、ミランにとってはひとつの時代が終わる。 2024.03.27 15:15 Wed

イマイチ評価が定まらないピオリ、レジェンド指揮官の通算勝利数まであと1勝

今季も解任の噂がありながら持ちこたえている印象のミラン指揮官ステファノ・ピオリ。しかし、改めて結果を見れば十分な記録を残していると、イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が報じた。 就任3季目にミランを10季ぶりのスクデットに導いたピオリ監督は、これまでミランで通算127勝をマーク。この勝ち星は1978-79シーズンにミランをスクデットに導いた名将ニルス・リードホルム氏の128勝まであと1勝に迫る数字。ちなみに勝率はピオリ監督が大きく上回り、リードホルム氏の45.7%に対し、55.4%を誇っている。 ただ、昨季はナポリ、そして今季はインテルの独走を許してしまい、2025年6月まで残す契約を全うできるかは不透明な状況だ。 ミラン歴代勝利数でカルロ・アンチェロッティ監督(238勝)、ファビオ・カペッロ監督(161勝)らに次ぐ6番目の数字を残しているピオリ監督は、来季もミランの指揮を執ることはできるだろうか。 2024.03.27 00:10 Wed
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly