【2022年カタールへ期待の選手vol.57】同期・三笘薫に刺激。球際・ボール奪取力の強みを出しつつ、アジア王者に果敢に挑戦!/安部柊斗(FC東京/MF)
2020.11.24 16:45 Tue
新型コロナウイルスの影響で相次ぐ延期の末、カタールで集中開催されることになった2020年アジアチャンピオンズリーグ(ACL)。このタイトルを是が非でも獲得したいと熱望しているのがFC東京だ。2012年と2016年に同大会に参戦しながら16強敗退を余儀なくされた経験があるだけに、アジア王者への意気込みは非常に強い。11月7日に開催される予定だったYBCルヴァンカップ決勝が柏レイソルのクラスター発生で1月4日に延期されたこともあり、「先にACLを取って年明けのルヴァンに弾みをつけたい」というのはチーム全体の共通認識だろう。
今年、明治大学から加入した大卒ルーキー・安部柊斗にとっても、プロ初の国際大会となる。今季はシーズン初戦となった1月28日のACLプレーオフ・セレスネグロス戦からスタメンを奪取。J1では26試合出場2ゴールと大黒柱の1人と言っていい活躍度を見せている。7月に橋本拳人がロストフへ移籍し、東慶悟が右第5中足骨骨折という重傷を負う中、手薄になった中盤を支え続けてきた。
「拳人君の移籍は痛いですけど、自分が拳人君を補う以上のプレーをすれば全く問題ない。自分が東京を勝たせられるように、安心してサポに見ていただけるようなプレーをしていきたい」と本人は今夏、力を込めていたが、持ち前の守備面でのアグレッシブさに加え、時には精度の高いシュートも放っている。彼の成長に長谷川健太監督も助けられた格好だ。
「試合によって中盤のポジションも変わりますけど、ハードワークや球際で勝つこと、前線に飛び出してゴールを決めるのが自分の理想のプレー。それを積極的にやっていきたいです。僕は海外サッカーはあんまり見ないのでプレーモデル的な選手はいません。ただ、Jリーグに目を向けると、川崎フロンターレの大島(僚太)選手なんかはすごくいい飛び出しやスプリントをしている。山口(蛍=神戸)選手なんかもかなり前にスプリントしてますよね。インサイドハーフがゴール前に出ていけばチャンスになりますし、DFにとってもつかみにくいので、自分もどんどん真似してやっていきたいと思ってます」
もう1つ、安部の刺激になっているのが、同期入団の大卒ルーキーたちの活躍だ。中村帆高、瀬古樹(横浜FC)、森下龍矢(鳥栖)ら明大同期の存在はもちろんのこと、川崎フロンターレの三笘薫のように今季すでに12ゴールを挙げている傑出したタレントまでいる。
「薫が点取ったり、アシストしたり、いいスイッチになったりしてるのはホントにすごい。大学生の時から知ってますけど、ホントにいい選手。自分も負けたくないですし、いい刺激になってると思います」と神妙な面持ちで語っていたことがあった。
その三笘がいる川崎は一歩先にリーグタイトルをつかもうとしているが、FC東京も負けてはいられない。ACLでまずは1次ラウンドを突破することが肝要だ。
彼らはここまで2試合を消化し、勝ち点4で暫定首位に立っているが、同組の上海申花、蔚山現代は侮れない相手。11月24・27・30日と続く2チームとの3連戦は絶対に落とせない。厳しい戦いを勝ち上がれば、ラウンド16以降の戦いが待っている。
海外でのセントラル方式というのは、ルーキーで年代別代表経験のない安部にとっては未知なるチャレンジ。コロナ禍のカタールの環境も未知数だけに、思わぬアクシデントに直面するかもしれない。そういう苦難を乗り越え、チームの快進撃の原動力になれれば、東京五輪代表メンバー入りの道も開けてくるだろう。
東京世代のボランチは海外組の中山雄太(ズヴォレ)と田中碧(川崎)がファーストチョイスと見られるが、手薄なポジションであることは確か。安部のようにデュエルに強く、タフに戦えるタイプの選手は森保一監督も喉から手が出るほどほしいのではないか。2年後のワールドカップ開催国・カタールで大舞台と同時期にプレーできることは、先々のA代表入りを視野に入れてもアドバンテージが少なくない。
今回のACLは安部柊斗という成長著しいMFにとって千載一遇のアピールの機会。アジアの強豪相手にも真っ向から勝負できるタフさと粘り強さを前面に押し出し、強烈なインパクトを残してほしいものだ。
【文・元川悦子】
長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
「拳人君の移籍は痛いですけど、自分が拳人君を補う以上のプレーをすれば全く問題ない。自分が東京を勝たせられるように、安心してサポに見ていただけるようなプレーをしていきたい」と本人は今夏、力を込めていたが、持ち前の守備面でのアグレッシブさに加え、時には精度の高いシュートも放っている。彼の成長に長谷川健太監督も助けられた格好だ。
「試合によって中盤のポジションも変わりますけど、ハードワークや球際で勝つこと、前線に飛び出してゴールを決めるのが自分の理想のプレー。それを積極的にやっていきたいです。僕は海外サッカーはあんまり見ないのでプレーモデル的な選手はいません。ただ、Jリーグに目を向けると、川崎フロンターレの大島(僚太)選手なんかはすごくいい飛び出しやスプリントをしている。山口(蛍=神戸)選手なんかもかなり前にスプリントしてますよね。インサイドハーフがゴール前に出ていけばチャンスになりますし、DFにとってもつかみにくいので、自分もどんどん真似してやっていきたいと思ってます」
こう語るように、安部は日本代表クラスのMFのよさを吸収しようと意欲的に取り組んでいる。もちろん橋本、東、高萩洋次郎といったFC東京の日の丸経験者たちの一挙手一投足も脳裏に焼き付けているはずだ。そういった学習意欲と実践能力の高さはいかにも明治大学出身らしいところ。長友佑都(マルセイユ)や室屋成(ハノーファー)ら偉大な先輩に通じる部分がある。「自分ももっともっとレベルアップしたい」と高い領域を渇望し続け、高いモチベーションで試合に向かっていることが、今季の好パフォーマンスにつながっているのだろう。
もう1つ、安部の刺激になっているのが、同期入団の大卒ルーキーたちの活躍だ。中村帆高、瀬古樹(横浜FC)、森下龍矢(鳥栖)ら明大同期の存在はもちろんのこと、川崎フロンターレの三笘薫のように今季すでに12ゴールを挙げている傑出したタレントまでいる。
「薫が点取ったり、アシストしたり、いいスイッチになったりしてるのはホントにすごい。大学生の時から知ってますけど、ホントにいい選手。自分も負けたくないですし、いい刺激になってると思います」と神妙な面持ちで語っていたことがあった。
その三笘がいる川崎は一歩先にリーグタイトルをつかもうとしているが、FC東京も負けてはいられない。ACLでまずは1次ラウンドを突破することが肝要だ。
彼らはここまで2試合を消化し、勝ち点4で暫定首位に立っているが、同組の上海申花、蔚山現代は侮れない相手。11月24・27・30日と続く2チームとの3連戦は絶対に落とせない。厳しい戦いを勝ち上がれば、ラウンド16以降の戦いが待っている。
海外でのセントラル方式というのは、ルーキーで年代別代表経験のない安部にとっては未知なるチャレンジ。コロナ禍のカタールの環境も未知数だけに、思わぬアクシデントに直面するかもしれない。そういう苦難を乗り越え、チームの快進撃の原動力になれれば、東京五輪代表メンバー入りの道も開けてくるだろう。
東京世代のボランチは海外組の中山雄太(ズヴォレ)と田中碧(川崎)がファーストチョイスと見られるが、手薄なポジションであることは確か。安部のようにデュエルに強く、タフに戦えるタイプの選手は森保一監督も喉から手が出るほどほしいのではないか。2年後のワールドカップ開催国・カタールで大舞台と同時期にプレーできることは、先々のA代表入りを視野に入れてもアドバンテージが少なくない。
今回のACLは安部柊斗という成長著しいMFにとって千載一遇のアピールの機会。アジアの強豪相手にも真っ向から勝負できるタフさと粘り強さを前面に押し出し、強烈なインパクトを残してほしいものだ。
【文・元川悦子】
長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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